JPS6360159B2 - - Google Patents

Description

請求の範囲 １ 乾燥処理部の一方のシリンダ１０が乾燥帯の
ループの外側で、他方のシリンダ１１が内側にそ
れぞれ位置し、ウエブが乾燥帯に支持されてウエ
ブ搬送方向上流側のシリンダ１０から他方のシリ
ンダ１１を経てウエブ搬送方向下流側のシリンダ
１０へ搬送され、ウエブの搬送路中にシリンダ１
０からシリンダ１１に亘るようにして真空ボツク
スが位置し、該真空ボツクスは吸引口を少なくと
もシリンダ１０とシリンダ１１との対応部分に備
え、前記真空ボツクスの吸引力が、シリンダ１１
と乾燥帯との間のくさび状の空間と、少なくとも
上流側シリンダ１０と真空ボツクスの前記上流側
シリンダ１０側先端部との間の空間とに作用して
ウエブを乾燥帯へ密着せしめるように構成してな
る紙製機の乾燥処理部のおけるウエブ誘導の装
置。

２ 前記真空ボツクスは、シリンダ１０，１１間
のウエブ搬送路に対面する平らな端壁３０が設け
られ、該端壁３０には、ウエブ搬送路に対応する
空間を囲むように閉止片が設けられており、前記
閉止片により乾燥帯が真空ボツクスの端壁３０か
ら距離Δ₁分離れて進行するように案内されてい
る請求の範囲１による装置。

３ 前記シリンダ１１の表面に溝が設けられてお
り、前記溝を介して真空ボツクスからの吸引力が
くさび状の空間を通り、乾燥帯の外側に位置する
ウエブがシリンダ１１に巻付いた部分に作用する
構成の請求の範囲１または２による装置。

４ シリンダ１１の表面に設けられる溝はシリン
ダ１１の表面の円周方向に設けられており、これ
らの溝は前記シリンダの表面にテープまたは細帯
片を巻付けて形成され、ウエブがシリンダ１１に
巻付いた部分の外側は減圧状態に保たれるか、ま
たはプレートでカバーされている請求の範囲３に
よる装置。

５ シリンダ１１または類似のロールの表面に軸
方向の溝または盲孔が設けられており、乾燥帯が
シリンダ１１に接触する部分の外側が大気圧に接
している請求の範囲４による装置。

６ 真空ボツクスの端面３１がシリンダ１１の表
面形状に対応して湾曲し、端面３１に閉止片２６
が同じく湾曲状態で取り付けられ、端面３１と乾
燥帯が接触するシリンダ１１の表面とが距離Δ₂
を保つようになつている請求の範囲１乃至５のい
ずれかによる装置。

７ 真空ボツクスには、可撓性の閉止片２４が乾
燥帯の外面に対し、横断方向に設けられ、乾燥帯
により誘導される空気が真空ボツクス内に入るの
を阻止される、請求の範囲１乃至６のいずれか一
つによる装置。

８ 乾燥帯に対する閉止片が、ドクターブレード
状に設けられている請求の範囲１乃至７のいずれ
か一つによる装置。

９ 真空ボツクスは、端壁３０と乾燥帯との間の
空間に連通する排出管が設けられている請求の範
囲１乃至８のいずれか一つによる装置。

１０ 真空ボツクスは、乾燥帯の全幅を覆う幅寸
法を備えている請求の範囲１乃至９のいずれか一
つによる装置。

１１ 真空ボツクスが乾燥帯に対し、その進行方
向に沿つて分割され、互いに隣接している請求の
範囲１乃至１０のいずれか一つの装置。

１２ 分割された真空ボツクスによる吸引力は、
乾燥帯の進行入り口に近い真空ボツクスの方が強
い請求の範囲１１による装置。

明細書 この発明は、複数個の加熱シリンダの間をルー
プ状に進行する乾燥帯によりペーパーウエブを搬
送し、これを乾燥処理する製紙機の乾燥処理部の
装置に関するものである。

従来技術としては、フインランド特許出願第
761953号、同第771056号、フインランド特許第
54954号、フインランド特許出願第780833号（出
願人、ジエイ・エム・ボンド，ゲーエムベーハ
ー，ドイツ特許出願DE―GM7708630号）などが
ある。

前記のフインランド特許出願第761953号には、
ペーパーウエブを乾燥シリンダで乾燥するに際
し、乾燥シリンダを複数個、上下二段に配置し、
上段側の乾燥シリンダに掛けた乾燥帯を下段側の
乾燥帯に掛けわたし、この乾燥帯により乾燥すべ
きウエブを搬送して乾燥処理を行う工程が開示さ
れている。そして、この工程においては、ウエブ
を乾燥帯にそわせるため、ウエブの等幅の抑え帯
を使用しており、この抑え帯は粗い網状のもの
で、搬送時、前記三者にずれが生じないよう、前
記抑え帯の角速度を自動的に調節して、同じ角速
度で前記シリンダにそつて進行するようになつて
いる。

前記フインランド特許出願第771056号には、製
紙機の乾燥処理部において、ウエブを乾燥するに
際し、複数個の乾燥シリンダにジグザグ状にかけ
わたした乾燥帯によりウエブを搬送し、搬送中、
乾燥帯とウエブとが離れないように、乾燥シリン
ダの表面に溝を設け、溝内の圧力がウエブ外側の
圧力よりも低くして、圧力差により乾燥帯とウエ
ブとを密着させている。

前記フインランド特許第54954号においては、
プレス加工部から乾燥処理部へウエブを確実に移
送するため、乾燥シリンダ群とプレス加工部との
間に案内の乾燥シリンダを前記乾燥シリンダ群と
は別個に設け、ウエブを上下から搬送用の乾燥帯
で挟持し、前記案内の乾燥シリンダに対し調節自
由に接する案内ロールを設け、これら乾燥シリン
ダと案内ロールとの間に上下から乾燥帯で挟持さ
れたウエブを通し、プレス加工部から乾燥処理部
へと移送する工程が開示されている。

前記ジエイ・エム・ボイト，ゲーエムベーハー
出願のフインランド特許出願第780833号には、乾
燥帯と乾燥シリンダとの間に生ずるくさび状の空
間入口部および／または出口部に乾燥シリンダの
全長にわたり、空気侵入防止装置を設け、これに
よつて前記くさび状空間へ空気が舞きこまれるの
を防止する技術が開示されている。

前記した公知装置は、いずれもウエブが乾燥帯
から離れ、その結果、ウエブが破けてしまう現象
を防止することができない。

前記した公知装置においては、乾燥帯で搬送さ
れるウエブは、上下二段配列の乾燥シリンダの
内、下段側の乾燥シリンダを通るときは、ウエブ
が乾燥帯の外側に位置し、空気流や遠心力作用に
より、乾燥帯から離れる傾向にある。この分離現
象は、ウエブの速度が増せば、それに比例して顕
著となる。また、分離現象の原因は、回転する乾
燥シリンダと進行する乾燥帯とにより乾燥帯とウ
エブとの間に空気が誘導され、この空気流の流入
にもある。さらにまた、このように空気流が乾燥
帯とウエブとの間に流入すると、熱伝導率を低下
せしめる欠点が生ずる。現在一般に採用されてい
るウエブの速度においては、乾燥帯にフエルト帯
を用いることにより、前記欠点をある程度改める
ことができるが、処理速度を早めると、前記欠点
を解消することは不可能となる。

前記欠点を解消し、この発明の目的を達成する
ためにこの発明の主たる要旨は、真空ボツクスか
らなる装置を一方の乾燥シリンダから他方の乾燥
シリンダへ進行する乾燥帯とウエブとに作用せし
め、特に乾燥帯と乾燥シリンダとの間に生ずるく
さび状空間に真空ボツクスの吸引力を作用せし
め、ウエブを乾燥帯へ密着せしめる点にある。

この発明による装置においては、空気流のコン
トロールを真空減圧吸引力の使用を基にしてい
る。この発明による装置においては、真空ボツク
スが乾燥帯側の自由空間に対し作用するようにな
つており、空気流の方向を変えて有害な空気流を
減少させるバツフル作用を行う。さらにまた、こ
の発明の装置は、また乾燥帯とウエブとに吸引力
を作用せしめ、ウエブを乾燥帯側に吸引する。ま
た、この発明において、乾燥帯と乾燥シリンダと
の間の閉鎖空間に圧力差を生ぜしめ、乾燥帯を減
圧下に保つと共に、下側の乾燥シリンダにも圧力
差を作用させ、非通気性のウエブを圧力差により
乾燥帯側へ吸引する。したがつて、この発明によ
れば、装置は前記閉鎖空間の端部にのみ設ければ
十分である。また、この発明においては、乾燥シ
リンダの表面に溝を設けることにより、さらに効
果をあげることができ、下側の乾燥シリンダと乾
燥帯との間の空間には減圧力を作用せしめるかカ
バーを施すこともよい。

この発明による装置はウエブの全幅にわたるこ
とが好ましいが、装置を二分割し、ウエブの搬送
を確実にすることもできる。そして、出口側にお
いては、ウエブの端部側にのみ吸引力を作用せし
めればよい。

この発明による装置においては、最高の圧力差
が乾燥シリンダ部分にかゝり、最低の圧力差が自
由走行に対し作用するようにして乾燥帯が吸引作
用により彎曲するのを防ぎ、摩擦抵抗を減らし、
彎曲防止手段の設置を省いて、吸引エネルギーを
節減するようにしてある。

この発明による装置は少くとも下記の利点を有
する。即ち、構造が簡単で、ウエブの自由走行の
支持体を構成する。ウエブの搬送が楽に行える。
装置の撤去が簡単に行える。乾燥シリンダの周囲
に作用する吸引力により、ウエブからの水分の蒸
発が促進され、ウエブと乾燥シリンダとの間の熱
伝導効率も向上する。

この発明の実施例を図面に基き詳細に説明する
が、この発明は実施例に限定されるものではな
い。

第１図は、乾燥シリンダの間に設けられた真空
ボツクスからなる、この発明の装置の概略的側面
図である。

第２図は、乾燥シリンダの間に配置された二個
の真空ボツクスからなる、この発明の装置を示す
説明図である。

第３図は、乾燥帯とウエブとが進入する端部が
くさび状に形成されている、この発明の吸引ボツ
クスを示す説明図である。

第４図は、第３図A₁部の詳細図である。

第５図は、第３図A₂部の詳細図である。

第６図は、第３，４，５図に示した装置の断面
図で、空気排除チヤンネルと乾燥フアブリツクに
対して作用するドクターブレード形の閉止ストリ
ツプを備えている。

第７図と第８図は、それぞれ第６図の装置の要
部詳細図である。

第９図は、この発明の装置の縦断正面図であ
る。

図面は、製紙装置の乾燥装置の一部を示すもの
で、多数のシリンダから構成される、この種の乾
燥装置においては、シリンダ１０，１１はスチー
ム、電気などの手段で加熱される。乾燥シリンダ
は、上下二段の配列で配置されるもので、上段側
のシリンダ１０と下段側のシリンダ１１とを乾燥
帯１２が通過するようになつている。乾燥帯１２
には、フエルトが使用されているが、他のものも
使用される。ウエブＷは乾燥帯１２に支持され、
各シリンダ間をジグザグに走行するが、上段側の
シリンダ１０においては、ウエブＷは、乾燥帯１
２とシリンダの加熱面との間に位置し、下段側の
シリンダにおいては、乾燥帯１２がシリンダ１１
の加熱面に接し、ウエブＷが外側に位置する。こ
のように、上段側のシリンダ１０は乾燥帯１２が
形成するループの外側にあり、下段側のシリンダ
１１は、ループの内側にある。

第１，２図に示すように、真空ボツクス１３，
１３′，１３″がシリンダ間に配置され、乾燥帯１
２の面に作用するようになつている。真空ボツク
スは乾燥帯１２のループ内に位置するもので、第
１図の真空ボツクス１３においては、側壁２０が
シリンダ１１に対面し、シリンダ１０，１０間に
は彎曲した側壁２１が位置し、側壁２１上を空気
が矢印Ａ方向へ流れるようになつている。真空ボ
ツクスには、吸引スロツトが設けられていて、シ
リンダ１０と乾燥帯１２との間のくさび状空間１
６，１７，１８，１９に吸引力が作用するように
なつている。

第１図に示すように、シリンダ１０において
は、ウエブＷは乾燥帯１２とシリンダ１０の間に
あるが、シリンダ１１においては、ウエブＷは外
側に位置する。真空ボツクス１３は、圧力P₁が
P₁＜P₂（１気圧）として設計されており、空間
１６，１７，１８で最高吸引力が得られるように
なつている。真空ボツクス１３の側壁２１によつ
て、空気流ＡがウエブＷを乾燥帯１２側へ押し付
け、高い吸引力によりウエブＷは空間１６で乾燥
帯１２と密接する。そして、低い吸引力によりウ
エブＷは中央位置W₀に保持される。さらに、空
間１７においては、ウエブＷは、高い吸引により
乾燥帯１２側へ引かれ、乾燥帯１２へ吸引力が作
用し、ウエブＷの非通気性により吸引圧力は領域
α全体にわたり保持され、空間１８においては、
ウエブＷは乾燥帯１２へ引かれ、地点W₁におい
ては、吸引力は弱まつて、ウエブＷを空間１９側
へと移送する作用を働く。

シリンダ１１の表面は、溝付きか、また平滑面
であり、後者の場合は、乾燥帯１２は多孔質体で
あり、シリンダ１１が溝付き面である場合は、仮
想線１１′で示すような形状になつている。真空
ボツクス１３の吸引力P₁は、ポンプ１５と吸引
路１４を介して発生する。

第２図の実施例は、第１図のものと実質的に同
じであるが、真空ボツクス１３は二分割された真
空ボツクス１３′，１３″からなる点が相違してい
る。真空ボツクス１３′は、真空ボツクス１３″な
しでも使用できるが、シリンダ１１に溝が設けら
れていれば、領域βは穿孔されていることが好ま
しい。

真空ボツクス１３，１３′，１３″は、ウエブＷ
全体または、ウエブＷの主体部分に対して吸引力
が作用できるように、できる限り広幅なものがよ
い。

第３，４，５図は、真空ボツクスの一例を示
す。真空ボツクスは、吸入口２２，２３を有し、
シリンダ１０とウエブＷとの間のくさび状空間１
６から空気を引くと共に、シリンダ１１とウエブ
Ｗとのくさび状空間１７からも空気を引く。前記
吸入口２２，２３は、スライド蓋などの機構によ
り吸入能力が調節できるようになつており、その
口径、設置位置も変えられる。閉止片２４，２５
により、シリンダ１０，１１にそつて誘導される
空気流を遮断する。閉止片２４は、可撓性部材か
らなる。シリンダ１１にそつて、彎曲するカバー
片２６が設けられ、空気流がシリンダ軸方向へ流
れるのを阻止する、真空ボツクス１３の各端部に
設けられたカバー片２７も同様の目的のために設
けられている。閉止片２８，２９は、吸引力がシ
リンダ１０とシリンダ１１との間の乾燥帯１２の
中間部分へ拡散しないように設けられている。

真空ボツクス１３′は、そのストレートな端壁
３０が乾燥帯１２から距離△₁を有して離れてお
り、彎曲した端壁３１がシリンダ１１の表面から
距離△₂を有して離れており、これら端壁３０，
３１は、端壁３２と両側壁３３によつて連結され
ている。

第６図は、真空ボツクスの他の例を示すもの
で、真空ボツクス１３の閉止片３４，３５はド
クターブレード状になつており、吸引口３６は閉
止片３４の直前にあつて、吸引空気流a₁が最高と
なるようになつている。そして、乾燥帯１２にそ
つて誘導される、少量の空気流a₃は、端壁３０と
乾燥帯１２の間を流れるが、その空気流a₃の影響
は、排出管３７の設置によつて非常に少くなる。
即ち、空気流a₃は排出管３７を通り排出されると
共に、空間１７の空気流は、排出口３８から真空
ボツクス内へ逆流し、外方へ排出される。

第７図の実施例に示すように、排出管３７を設
けずに、閉止片３５の直前に排出口３９を設け、
空気流a′₃を真空ボツクス１３の減圧状態下の
内部へ放出してもよい。また、乾燥帯の中間に低
吸引力を作用させる場合には、カバー４０を第７
図に示すような形状とすればよい。カバー４０の
端縁４１の形状は、乾燥帯１２の端縁の形状に合
わせればよく、そのカーブした形状は圧力差に起
因する。

第１図に示すように、下段側のシリンダ１１
は、溝付き表層部１１′を備えている。そして、
くさび状の空間１７，１８を介して空気が前記表
層部１１′の溝部分から吸引され、領域α全体に
吸引作用が及ぶ。これは、ペーパーウエブＷがそ
の水分含有量にもよるが、非通気性であるからで
ある。この結果、ウエブＷが遠心力作用などによ
り領域α部分において乾燥帯から離れる現象を防
止できる。溝付き表層部１１′の形成は、例えば、
テープをシリンダ表面に巻付けて行なわれる。ま
た、溝の代わりに、軸方向の溝または、盲孔も使
用できる。

この発明の各部構造は、下記の請求範囲に記載
の範囲で種々変えられる。