JPS6343623B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、相対運動する機械部材の方向に突出
する側辺部を有するＵリングと、該Ｕリングに固
着されクランプリングに与圧されて接するエラス
トマー材料製パツキンリツプとから成り、該クラ
ンプリングが該側辺部と軸方向に僅かな間隔で配
属され、軟質弾性材料の緩衝層によつて該機械部
材上のねじれに対してしつかり固定される、相対
運動する機械部材のギヤツプをシールする組立パ
ツキンに関する。

英国特許第881607号明細書はこの種の組立パツ
キンに係るものである。クランプリングは、深絞
り加工によつて作製した２個の山形リングをＵ字
形輪郭に接合したものから成る。この点で製造方
法ははなはだ低廉であるが、深絞り可能な材料、
すなわち機械的観点から見て強度がごく低い材料
を使用することが条件である。その結果、早期の
摩耗が生じる。

またこの種の深絞り山形リングのささえ面は、
しばしば周方向に伸張する波形を有する。これは
パツキンリツプの高い相対速度のもとで、一部区
域にパツキンリツプの押圧力の減少または浮上り
を招き、その結果、洩れが生じる。

パツキンリツプの製造に適するのは、もつぱら
柔軟性の大きいエラストマー材料である。往々に
してこの材料は摩耗挙動が不良であり、使用期間
を著しく狭める。さらに実公昭39−19514号公報
には回転時の外周面に弾性を有する被覆を施し、
弾性材料製のリツプとの間で密封性を向上させる
工夫がされている。また英国特許第879503号には
さらにクランプリングの耐摩耗スリーブに弾性ラ
イニングを接合することによる密封性の向上を図
る工夫がなされている。しかし軸部とハブとのシ
ールとしては、単にシールリツプと耐摩耗スリー
ブの間のような個々の部位の密封性を向上させる
のみならず、作動時に軸部から伝達される軸方
向、半径方向双方に対する振動に対してトータル
バランスを保つことができ、絶えず最適なシール
位置を確保するためにシールユニツト自体の自動
補整が可能な組立パツキンが必要であつた。

本発明の目的とするところは、密閉形ユニツト
より低廉な製造コストで組立てることができ、改
善された摩耗挙動を示し、かつ耐摩耗性材料のパ
ツキンリツプを使用しても回転数にほとんどかか
わりなく良好な密封成績を示す組立パツキン及び
作動時に軸部から伝達される軸方向、半径方向双
方に対する振動に対してトータルバランスを保つ
ことができ、絶えず最適なシール位置を確保する
ためにシールユニツト自体の自動補整が可能な組
立パツキンを提示することである。

この目的は本発明により、冒頭に挙げた種類の
組立パツキンにおいて、クランプリングがＵリン
グの内向きに突出する側辺部の軸方向外側に張り
出し、相対運動する機械部材のギヤツプに組立パ
ツキンを圧入するための環状張出部を有してお
り、それにより押圧力を弛緩した時に弾性緩衝層
の反撥によつてＵリングの内向きに突出する側辺
部とクランプリングの端面との間の軸方向ギヤツ
プを自動的に補整させることによつて達成され
る。

提案の組立パツキンのクランプリングは、技術
的に見てはなはだ簡単に実現される中空円筒の形
状を有する。このため任意の材料を使用して安価
に製作することができるから、パツキンリツプに
対して低い摩擦係数を得るために最適の材料の組
合せが可能である。パツキンリツプがゴムまたは
例えばPTFEのようなプラスチツクから成る場合
は、鋼のほかにねずみ鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、焼結
青銅、ガラスを使用することが好ましく、その場
合、本来のささえ面は必要ならば平滑化し、硬化
することができる。

従つてクランプリングの製造のために使用でき
る材料は、広い範囲から選択することができる
が、使用時に回転対称の変化を招く不つりあい内
部応力があつてはならない。そこで錬合金、例え
ば深絞り可能な種類の材料を使用する場合は、中
空円筒の製造に関連して片側または両側の軸方向
曲折を必ず回避しなければならない。その結果、
必然的に結晶組織が多かれ少かれ鮮明な方位を示
す帯域が中空円筒の中に伸張し、周囲に分布する
こととなるからである。それ故、上記の曲折は波
形凹凸と同様に、周囲に分布する、異なる表面組
織と共に、不つりあいな摩擦挙動をもたらす。両
者は切削加工によつて補整されない。

冷間引抜材料を使用する場合は、結晶組織が周
方向または長手方向に一貫した方向をもつよう
に、必ず注意しなければならない。従つて必要な
中空円筒は深絞り用鉄板から押抜きによつてでな
く、管状で供給される半製品から得ることが好ま
しい。

押出成形および／または冷間引抜材料は製造に
関連して完全に回転対称な輪郭と、ほとんど凹凸
のない表面を有するものが多い。クランプリング
の製作にこの種の材料を使用することは、この理
由から好ましい。他の方法で得られる材料では、
場合によつては研削と必要ならば研摩により再加
工するのが適当である。個々のクランプリングの
定寸切断を当該の加工工程に後置すれば、この場
合発生するコストが比較的少い。

上記の材料の中には、極めて肯定的な効果があ
る大きな表面硬さばかりでなく、大きなもろさも
特徴とするものがあり、これが取付けの時に、ま
たは直接接する機械部材の熱膨張の相違の結果、
破壊を招くのである。この理由から軟質弾性材料
の十分に厚い層、例えば周方向にリブがついたゴ
ム層の上に、クランプリングを支承することが好
ましい。この層は同時に隣接の機械部材に対する
静止シールを保証する。

パツキンリツプは膜状に形成された薄い中間片
によつてＵリングと連結され、このため比較的粘
り強い材料を使用しても半径方向軸変位にたやす
く追従することができる。クランプリングが完全
に回転対称であるため、伸展性はあまり必要でな
いから、動的応力を生じるパツキンリツプの製造
にこれまで不適当と思われた多くの材料、例えば
ポリプロピレン、ポリエステルを考慮に入れるこ
とができる。また摩擦を生じる区域をこのような
材料の薄いシートで被覆することも考えられる。

クランプリングをなす中空円筒は両側に環状張
出部を具備する。この環状張出部はＵリングの側
辺部の外側にそれぞれ張り出し、かつ側辺部との
間に半径方向間隔を有する。この半径方向間隔に
よつて軸方向および半径方向の一層改善された相
互関係が生じる。この点については、クランプリ
ングがＵリングと結合されたパツキンリツプの作
用により、Ｕリングに対して常に回転対称に配属
されることも重要である。こうして適切な貯蔵と
組立のために特別の包装費も、配置される係員の
特別の訓練も必要でない。

Ｕリングの側辺部とクランプリングのあいだの
小さな間隔は、同時にラビリンス・ギヤツプの効
果があり、それによつて本来の密封帯が被密封媒
質の先頭圧力から守られると共に、媒質の背側区
域からの摩耗作用成分から守る。その結果、寿命
が一層改善される。ラビリンス・ギヤツプは環状
張出部の区域も、中空円筒の軸方向端面の区域
も、同じ幅を有することが好ましい。

提案の組立パツキンではパツキンリツプが主と
して外側が閉じた室内に配設され、予め特定の仕
方でクランプリングのささえ面に配属されてい
る。従つて不適切な貯蔵や不適切な組立が、パツ
キンリツプの損傷を招き、早期の使用中止をもた
らす恐れがない。

動的密封効果を得るために、クランプリングの
ささえ面はパツキンリツプの下を通つて侵入した
漏液を密封室に返送する、少くとも１個のらせん
リブおよび／またはらせん溝を具備することがで
きる。これは相互に移行するように構成され、周
方向に見て、パツキンリツプからの軸方向間隔が
変化することが好ましい。

複数個の上記のらせんリブおよび／またはらせ
ん溝が存在する場合は、これを互いに同形に形成
し、周囲に均一に分布する間隔で配設することが
好ましい。

Ｕリングは、クランプリングを挾んで、密接し
て連結された２個の山形リングにより、安価に作
製される。山形リングは金属またはプラスチツク
から成ることができるが、金属型の方が堅固であ
るので、一般に優先される。同時に金属型は、エ
ラストラー材料のパツキンリツプを２個の山形リ
ングのうちの一方に直接に加硫して突設すると共
に、場合によつては後置される防塵リツプおよ
び／または他方の山形リングに対する密封のため
のゴム層を取付けることを可能にする。この場
合、個々の部材を組立てるには、単に接合して、
押圧するだけでよい。

提案の組立パツキンを使用すれば、慣用のラジ
アル軸パツキンリングと比較して、相対運動する
機械部材の精密仕上と硬化が不要である。この機
械部材は重合材料から成るパツキンリツプに直接
接触せず、引掛かる恐れがなく、交換を繰返して
も軸平面を補整する加工が不要である。

パツキンリツプの区域の摩擦に関する特殊な条
件が安価に最適化され、このためパツキンリツプ
の熱負荷が大幅に減少される。不適切な貯蔵と組
立が通常、寿命の短縮をもはやひき起こさないこ
とは、強調すべき利点である。さらに、作動時に
軸部から伝達される軸方向、半径方向双方に対す
る振動に対してトータルバランスを保つことがで
き、絶えず最適なシール位置を確保するためにシ
ールユニツト自体の自動補整が可能であり、しか
もかかる自動補整は組立パツキン圧入時に自動的
に確保されるため、組立パツキンの使用が非常に
簡便となり、しかも自動補整により最適なシール
位置が確保されるため高い信頼性を有する組立パ
ツキンを得ることができる点が本発明の最大の効
果である。

別紙にて添付する図面に基づいて、次に本発明
の主題を詳述する。

第１図による組立パツキンは、外被の孔の中に
水密かつ回転不能に定着されたＵリング１と、軸
１１と共に回転するクランプリング２のささえ面
に環状コイルばね１３によつて押しつけられるパ
ツキンリツプ６から成る。

Ｕリング１は深絞り加工によつて製造された２
個の鋼板山形リング、すなわち外側山形リング４
と内側山形リング３から成る。軸方向および半径
方向に伸張する形材の側辺部がほぼ長方形に画定
された空胴部を取囲むように、上記山形リングが
接合される。

２つの山形リングの寸法精度は、通常の公差域
内の絶対回転対称からの偏差を含む。しかしこの
偏差は、相対運動する面との直接接触がない以
上、決定的な意義はない。また回転対称に製造さ
れた外被の穴に強制拘束的に圧入することによつ
て、種々異なる偏差のある緯度の補正が生じる。

内側山形リング３は外側山形リング４に対し
て、ゴム層５によつて水密かつ回転不能に固定さ
れる。ゴム層５は、パツキンリツプ６と防塵リツ
プ７を含む材料本体の直接的構成部分である。上
記材料本体はゴムから成り、加硫によつて内側山
形リング３に粘着される。シヨアＡ硬度は86であ
り、パツキンリツプと防塵リツプの輪郭は公知の
ラジアル軸パツキンリングの輪郭に相当する。比
較的硬い材料から成るパツキンリツプは、関節の
ように作用する断面縮小部１５によつて、軸の半
径方向変位にたやすく追従することができる。防
塵リツプはもつぱら予圧によつてクランプリング
２のささえ面に押しつけられる。押圧を促すため
に、パツキンリツプに金属製環状コイルばね１３
が設けられる。これによつてつりあいのとれた押
圧が、長い期間にわたつて促進される。

クランプリング２は表面を研摩した肉厚4.5mm
の継目なし引抜鋼管の切断片である。ロツクウエ
ルで測定した硬度は65である。

クランプリング２は内側に軟質弾性材料の緩衝
層１０を具備する。これは軸１１上に回転不能か
つ水密に固定することを保証する。ゴムが好まし
いが、取付けの時に塑性変形する、例えば鉛また
は銅の緩衝層も使用することができる。

クランプリング２はガラスセラミツクから成
り、両側に環状張出部９を有する。環状張出部９
はＵリング１の半径方向内側に突出する側辺部の
外側軸方向に張り出す。これによつて半径方向お
よび軸方向の相互関係の改善が得られる。取付け
に原因する非対称の相互関係は一般に不都合な影
響がなく、緩衝層１０の可撓性によつて軸１１の
最初の回転の時に自動的に補整される。また軸１
１と外被の穴のあいだのギヤツプへの圧入を、露
出する環状張出部９に力を加えることによつて行
うならば、押圧力を弛緩した時に緩衝層１０の反
撥によつて、端面とＵリング１の、内向きに突出
する側辺部とのあいだの軸方向ギヤツプが自動的
に補整される。さらにパツキンが新しい時は軟質
材料、例えばプラスチツクのスペーサを両側に挿
入して、ギヤツプを調整することも可能である。
両方のリングが運転に伴なつて回転するため、上
記のスペーサは破壊される。管状構造の場合は、
このようなスペーサによつて特別の包装を省略す
ることができる。

また汚れ防止材８を防塵リツプの後に配置する
ことも可能である。これによつて困難な条件のも
とで、例えば地ならし装置の軸駆動装置の領域
で、組立パツキンを使用することができる。

さらに緩衝層１０が円周方向に伸長するリブを
有することが好ましい。このリブを設けることに
より軸部に対するより正確な嵌合が可能となる。

第２図は固定軸１２に対するハブのシールに関
するものである。特に汚れが堆積されるので、こ
の場合も汚れ防止材８が設けてあり、本来のパツ
キンリツプに後置されている。防塵リツプはな
く、ささえ面はハブと共に回転するクランプリン
グ２の内面から成る。パツキンリツプの押圧のた
めに、圧縮力を加えることができる環状コイルば
ねが設けられ、パツキンリツプの半径方向内側の
溝の中に支承される。

クランプリング２は耐食性特殊鋼から成り、さ
さえ面の耐摩耗性の改善のために鏡面仕上モリブ
デン被覆を有する。両側の環状張出部９と、周方
向にリブを設けた軟質ゴムの緩衝層１０が正確に
嵌合する組立を容易にする。

【図面の簡単な説明】

第１図はクランプリングが環状張出部を具備
し、補助汚れ防止部材が防塵リツプの後に配置さ
れた組立パツキンの断面図。第２図は回転する外
被と静止する軸のあいだのギヤツプのための組立
パツキンの断面図を示す。 １……Ｕリング、２……クランプリング、６…
…パツキンリツプ、９……環状張出部、１０……
弾性緩衝層、１４……軸方向間隔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 相対運動する機械部材の方向に突出する側辺
   部を有するＵリングと、クランプリングに与圧さ
   れて接する固着されたエラストマー材料製パツキ
   ンリツプとから成り、前記クランプリングが前記
   側辺部と軸方向に僅かな間隔で配属され、軟質弾
   性材料の緩衝層によつて該機械部材上のねじれに
   対してしつかりと固定される、相対運動する機械
   部材のギヤツプをシールする組立パツキンにおい
   て、クランプリング２がＵリングの内向きに突出
   する側辺部の軸方向外側に張り出し、該ギヤツプ
   に組立パツキンを圧入するための環状張出部９を
   有しており、それにより押圧力を弛緩した時に弾
   性緩衝層１０の反撥によつてＵリング内向きに突
   出する側辺部とクランプリング２の端面との間の
   軸方向ギヤツプが自動的に補整されることに特徴
   を有する組立パツキン。 ２ クランプリング２が硬化および／または平滑
   化したささえ面を有することを特徴とする、特許
   請求の範囲第１項に記載の組立パツキン。 ３ パツキンリツプの下を通つて侵入した漏液を
   密封室に返送するために、ささえ面が少なくとも
   １個のらせんリブおよび／またはらせん溝を有す
   ることを特徴とする、特許請求の範囲第２項に記
   載の組立パツキン。 ４ らせんリブおよび／またはらせん溝がささえ
   面を取囲み、かつ相互に移行するように形成さ
   れ、パツキンリツプの軸方向間隔が絶えず変化す
   ることを特徴とする、特許請求の範囲第３項に記
   載の組立パツキン。 ５ 同じ構造の多数のらせんリブおよび／または
   らせん溝があつて、周囲に均等に分布することを
   特徴とする、特許請求の範囲第３項または第４項
   に記載の組立パツキン。 ６ 側辺部とクランプリング２の環状張出部９ま
   たは端面１４とのあいだの半径方向および軸方向
   間隔が同じであることを特徴とする、特許請求の
   範囲第５項に記載の組立パツキン。 ７ 緩衝層が円周方向に伸長するリブを有するこ
   とを特徴とする、特許請求の範囲第１項乃至第４
   項いずれか１項に記載の組立パツキン。