JPS6311281Y2

JPS6311281Y2 -

Info

Publication number: JPS6311281Y2
Application number: JP1981139067U
Authority: JP
Priority date: 1981-09-19
Filing date: 1981-09-19
Publication date: 1988-04-02
Also published as: JPS5844401U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は、固定スクロールに吸込み口と吐出口
を形成し、ケーシングと旋回スクロール背面との
間に大気開放ないしは密閉の室を形成し（以下、
ケーシングと旋回スクロール背面との間の室を
「背圧室」という）、該背圧室に機械的ばねを張設
し、または圧縮気体の一部を導いて固定スクロー
ルと旋回スクロールとの間の摺動面をシールし、
さらには駆動軸に対して旋回スクロールをスラス
ト方向に変位不可能に軸支させて摺動面をシール
するようにしてなる形式のスクロール式流体機械
の改良に関する。

従来、ケーシングにはラツプ部を有する固定ス
クロールを固着して設け、前記ケーシングには駆
動軸を回転自在に設け、該駆動軸には前記固定ス
クロールのラツプ部と所定角度ずらせて重なり合
うラツプ部を有する旋回スクロールを回転自在に
設け、前記固定スクロールの中心位置には吐出口
を設けると共に該吐出口から離れた位置には吸込
み口を設けてなる空気圧縮機、ポンプ、送風機等
のスクロール式流体機械が知られている。

このスクロール式流体機械を空気圧縮機として
使用する場合、吸込み口から吸込んだ空気を固定
スクロールと旋回スクロールとの間に形成される
密閉空間を圧縮室として密封し、旋回スクロール
が公転しながら圧縮室を縮小して空気を圧縮し、
吐出口から吐出する構成となつている。そして、
圧縮室内で圧縮された空気のために旋回スクロー
ルが軸線方向に押圧力を受けて変位し、該圧縮室
の気密が保持できなくなるのを防止するため、背
圧室には機械的ばねを張設し、または圧縮空気の
一部を導びいて旋回スクロールが受ける軸線方向
への押圧力を打消す構成としている。

しかし、前述した空気圧縮機においては、旋回
スクロールが旋回して吸込み口から圧縮室に空気
を吸込むとき、該吸込み口近傍が負圧となる。一
方、背圧室は大気圧状態または大気圧よりも加圧
された状態にある。このため、背圧室と吸込み口
との間に差圧を生じ、背圧室内に存在する軸受の
摩耗による金属粉、シール部材破片、圧縮空気と
共に外部から侵入する塵埃等の異物（以下、「異
物」という）は、前記差圧のために吸込み口に向
けて背圧室と吸込み口との間の摺動面に吸引され
る。

前述の摺動面が固定スクロールと旋回スクロー
ルとの間の摺動面であつたり、旋回スクロールと
ケーシングとの間の摺動面である場合、侵入した
異物は旋回スクロールの旋回運動によつて摺動面
内を摺動しつづけ、該摺動面間に堆積する。この
ため、摺動面を傷つけるばかりでなく焼付きやカ
ジリ現象の原因となる欠点があつた。また、異物
が固定スクロールと旋回スクロールとの間の摺動
面に侵入したときには、両者の間の隙間を増大さ
せ、圧縮性能を低下させる欠点があつた。

本考案はこのような従来技術による欠点に鑑み
なされたもので、背圧室から吸込み口側に向けて
異物が侵入するのを防止するようにしたスクロー
ル式流体機械を提供することを目的とする。

この目的を達成するために、本考案は、ケーシ
ングにはラツプ部を有する固定スクロールを固着
して設け、前記ケーシングには駆動軸を回転自在
に設け、該駆動軸には前記固定スクロールのラツ
プ部と所定角度ずらせて重なり合うラツプ部を有
する旋回スクロールを回転自在に設け、前記固定
スクロールの中心位置には吐出口を設けると共に
該吐出口から離れた位置には吸込み口を設け、前
記ケーシングと旋回スクロール背面との間に室を
形成してなるスクロール式流体機械において、前
記室と吸込み口との間の摺動面には複数の同心状
全周溝からなる異物捕捉用のラビリンス溝を形成
したことを特徴とする。

このように構成することにより、背圧室から侵
入した異物はラビリンス溝を構成する各同心状全
周溝に順次捕捉、堆積され、摺動面に異物が介在
し、焼付き、カジリ現象が発生するのを防止す
る。

以下、本考案の実施例について、図面を参照し
つつ、詳細に説明する。

第１図は本考案の第１の実施例を示し、ケーシ
ング１には軸受部１Ａと後述の背圧室を形成する
円筒部１Ｂとが形成され、該円筒部１Ｂには固定
スクロール２が固着して設けられている。前記固
定スクロール２は鏡板２Ａと、該鏡板２Ａに立設
されたうず巻状のラツプ部２Ｂと、前記円筒部１
Ｂに固着されるフランジ部２Ｃとからなり、該ラ
ツプ部２Ｂはインボリユートまたはインボリユー
トに近い曲線に形成されている。また、前記固定
スクロール２のフランジ部２Ｃ近くには吸込み口
３が形成されると共に鏡板２Ａの中心位置には吐
出口４が形成されている。

５は固定スクロール２と同一軸線O₁に設けら
れた駆動軸で、該駆動軸５はケーシングの軸受部
１Ａに軸受６，６を介して回転自在に支持されて
いる。前記駆動軸５には旋回スクロール７が軸受
８を介して回転自在に支持され、旋回スクロール
７の軸線O₂は駆動軸５の軸線O₁に対して距離δ
だけ偏心するように設けられている。ここで、旋
回スクロール７は鏡板７Ａと、該鏡板７Ａに立設
されたうず巻状のラツプ部７Ｂとからなり、該ラ
ツプ部７Ｂはインボリユートまたはインボリユー
トに近い曲線に形成されている。そして、ラツプ
部７Ｂは固定スクロール２のラツプ部２Ｂと所定
角度ずらせて重なり合うように取付けられ、該各
ラツプ部２Ｂ，７Ｂ間は密閉空間となつて複数の
圧縮室９を形成し、かつ鏡板７Ａと固定スクロー
ル２のフランジ部２Ｃとが摺動面となつて互いに
摺動するように構成されている。

１０はケーシング１と旋回スクロール７背面と
の間に形成された大気開放空間または密閉空間か
らなる背圧室で、該背圧室１０内には旋回スクロ
ール７を固定スクロール２に向け付勢し、圧縮室
９内の気密が保持できるようにするための機械的
ばね（図示せず）が張設され、または該背圧室１
０内には吐出された圧縮空気の一部が導びかれて
いる。従つて、背圧室１０内は大気圧状態または
加圧状態にある。１１は背圧室１０内に設けられ
た自転防止機構としてのオルダム接手で、該オル
ダム接手１１はオルダムリング１１Ａと、該オル
ダムリング１１Ａの複数箇所に形成された十字状
の凹溝１１Ｂと、旋回スクロール７に植設され、
凹溝１１Ｂに嵌合している軸１１Ｃとからなる。
従つて、駆動軸５を回転すると、旋回スクロール
７はオルダム接手１１によつて案内されつつ該駆
動軸５の軸線O₁を中心として半径δをもつて公
転する。

さらに、１２は固定スクロール２のフランジ部
２Ｃに形成された異物捕捉用のラビリンス溝で、
該ラビリンス溝には同心円状に凹設された３本の
全周溝１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃによつて構成され
ている。

本実施例は以上のように構成されるが、モータ
（図示せず）を回転すると、その回転は駆動軸５、
軸受８を介して旋回スクロール７に伝えられ、該
旋回スクロール７は固定スクロール２に対して軸
線O₁を中心として相対的な円運動を行なう。そ
して、吸込み口３から吸込まれた空気は圧縮室９
内で徐々に圧縮され、所定の圧力に高められた後
に吐出口４から吐出される。

然るに、吸込み口３から圧縮室９内に空気を吸
込むとき、該吸込み口３近傍が負圧となり、一方
背圧室１０内は大気圧状態または加圧状態にあ
る。このため、軸受６，８等の摩耗による金属粉
やシール部材の破片、背圧用の圧縮空気と共に外
部から侵入した塵埃等の異物は、背圧室１０と吸
込み口３との間の差圧によつて固定スクロール２
と旋回スクロール７との摺動面、即ちフランジ部
２Ｃと鏡板７Ａとの間に吸引される。

しかし、前記フランジ部２Ｃには３本の全周溝
１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃからなるラビリンス溝１
２が形成されているから、摺動面に侵入した異物
は外側の全周溝１２Ａから内側の全周溝１２Ｂ，
１２Ｃへと順次３段階にわたつていずれかの全周
溝に落下し、堆積することになり、確実に異物を
捕捉することができる。この結果、異物が侵入し
ても摺動面に焼付き現象、カジリ現象が発生する
ことがなく、しかも摺動面に隙間ができる恐れが
ないから、圧縮効率を高めることができる。

第２図は本考案の第２の実施例を示し、第１図
と同一構成要素には同一符号を付すものとする
に、本実施例の特徴は旋回スクロール７の鏡板７
Ａに３本の同心状全周溝２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃ
からなるラビリンス溝２１を形成したことにあ
る。

従つて、本実施例においても、侵入した異物は
ラビリンス溝２１の各全周溝２１Ａ〜２１Ｃに順
次堆積させることができ、第１の実施例と同様の
効果を発揮する。

なお、各実施例においては摺動面の一側面にの
みラビリンス溝を設けるものとして述べたが、両
側面にラビリンス溝を形成してもよいものであ
る。また、ラビリンス溝の形状、溝数についても
図示のものに限るものでないことは勿論である。

本考案に係るスクロール式流体機械は以上詳細
に述べた如くであつて、背圧室と吸込み口との間
の摺動面に複数の同心状全周溝からなるラビリン
ス溝を形成し、該背圧室から摺動面に侵入した異
物は各全周溝で捕捉されて該各全周溝内に堆積さ
せる構成としたから、摺動面にカジリ現象や焼付
き現象を起す恐れがない。また、摺動面が旋回ス
クロールと固定スクロールとの間である場合、両
者の隙間が広がることがないから、圧縮効率を低
下させることがなく、設計値通りの圧縮性能を維
持することができる。さらに、各全周溝に堆積し
た異物は分解修理時に簡単に除去できる等の効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るスクロール式流体機械の
第１の実施例を示す縦断面図、第２図は同じく第
２の実施例を示す部分縦断面図である。１……ケーシング、２……固定スクロール、３
……吸込み口、４……吐出口、５……駆動軸、７
……旋回スクロール、１０……室、１２，２１…
…ラビリンス溝、１２Ａ〜１２Ｃ，２１Ａ〜２１
Ｃ……全周溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】 (1) ケーシングにはラツプ部を有する固定スクロ
ールを固着して設け、前記ケーシングには駆動
軸を回転自在に設け、該駆動軸には前記固定ス
クロールのラツプ部と所定角度ずらせて重なり
合うラツプ部を有する旋回スクロールを回転自
在に設け、前記固定スクロールの中心位置には
吐出口を設けると共に該吐出口から離れた位置
には吸込み口を設け、前記ケーシングと旋回ス
クロール背面との間に室を形成してなるスクロ
ール式流体機械において、前記室と吸込み口と
の間の摺動面には複数の同心状全周溝からなる
異物捕捉用のラビリンス溝を形成したことを特
徴とするスクロール式流体機械。 (2) 前記ラビリンス溝は固定スクロールと旋回ス
クロールとの間の摺動面であつて、該固定スク
ロール側または旋回スクロール側の摺動面に形
成してなる実用新案登録請求の範囲(1)項記載の
スクロール式流体機械。 (3) 前記ラビリンス溝は旋回スクロールとケーシ
ングとの間の摺動面であつて、該旋回スクロー
ル側またはケーシング側の摺動面に形成してな
る実用新案登録請求の範囲(1)項記載のスクロー
ル式流体機械。