【発明の詳細な説明】[Detailed description of the invention]
本発明は低硫高クロム鋼を効率的に得るための
方法に関する。
鋼材の諸材質に硫黄は種々の悪影響を及ぼすこ
とが知られており、低硫化のために各種の方法が
開発されている。特にステンレス鋼や耐熱鋼のよ
うな高クロム鋼では、普通鋼に比してクロムが共
存していることにより溶湯の脱硫には不利になる
(クロムが溶湯中の硫黄の活量係数を小さくする
ため)。一方鋼材材質面からは高クロム鋼は過酷
な条件で使用されるために耐食性や熱間加工性の
点などから硫黄含有量低下が強く要求され、また
極低硫化の効果が大きくあらわれるものが多い。
ステンレス鋼の脱硫は従来次のような方法で行
われてきた。
(i) アーク炉でスクラツプ、フエロクロム、フエ
ロニツケルなどの原料を溶解し、ついで酸素吹
込みを行つて炭素含有量を所定の成品炭素含有
量のレベル以下まで下げた後、Si系合金(フエ
ロシリコン、カルシウムシリコンなど)と石灰
を添加して還元精錬する方法。
この場合に炉内雰囲気を還元性にしてスラグ
の脱硫能を高めるためにカルシウムカーバイド
(以下カーバイドと呼ぶ)が散布されることが
ある。アーク炉は溶湯の撹拌が弱いのでカーバ
イドによる溶湯の加炭は比較的おこりにくい
が、脱硫が十分平衡値まで進行しない。他方多
量のカーバイドを加えると、加炭が問題にな
る。
(ii) アーク炉では原料の溶解のみを行い、得られ
たステンレス粗溶鋼(Cr:Ni:Feの比はステ
ンレス鋼成品のそれにほぼ近いが、炭素含有量
がステンレス鋼成品のそれに比べて数倍以上高
いもの)を、より脱炭に適した装置、例えば
Ar,N2や水蒸気で稀釈した酸素を溶鋼中に吹
き込んでPcpを低くした状態で仕上げ脱炭を行
つた後、一部の酸化したクロムを回収するため
にSi係合金を添加し、さらに石灰を加えて生成
するスラグのCaO/SiO2を調整して脱硫も併
せて行う方法。
この方法では溶湯は強撹拌されているので精
錬反応速度は大きくできるという利点がある
が、もしカーバイドを加えると加炭をおこしや
すく、ステンレス鋼成品の炭素含有量の要求を
満足できなくなるおそれがあるので実質的にカ
ーバイドを使用することができない。通常、実
施可能なスラグの塩基度およびメタルのSi%
(約0.5%)では、処理終りのスラグ中の硫黄含
有量((S)であらわす)と、メタル中の硫黄
含有量(〔S〕をあらわす)の比:(S)/
〔S〕(硫黄分配比)は、せいぜい30〜50の値し
か得ることができない。したがつて極低硫鋼を
得ようとすればスラグ量を増大せざるを得ない
((S)を低くするため)が、スラグ量をある値
以上にふやすことには作業的(例えば温度降
下)、経済的に問題があり、極低硫鋼の溶製に
は限界がある(例:20ppm)。
(iii) ステンレス鋼溶製の一方式として、クロム源
としては高炭素フエロクロム溶湯、鉄源として
は溶銑を用いる方法がある。この場合、溶湯は
いずれも飽和値に近い炭素を含有している。こ
れをカーバイドで処理するという方法は実用さ
れている。この場合、カーバイドはいずれも溶
融しておらず、固液反応で脱硫が行われる。カ
ーバイドの脱硫利用効率を高めるためにはあら
かじめ存在しているスラグを極力除いた後にカ
ーバイドの添加が行われる。これは、炭素を飽
和値近くまで含有する溶湯を処理する場合に見
られる傾向である。
(iv) 含クロム溶湯を還元脱リンするために炭素不
飽和の溶湯にカーバイドを含有するフラツクス
を添加する方法が知られている(鉄と鋼、第65
年第8号p1167)。この方法で目的とするため
の脱リンを行うためには、カーバイド添加前の
溶湯が炭素不飽和であること、およびSiO2,
MgO,Al2O3などの酸化物を含むスラグが十分
に除去されていることが必要である。すなわち
脱リンを
3(Ca)+2〔P〕(Ca3P2) (1)
(( )内はフラツクス中の成分、〔 〕内は
メタル中成分を示す)によつて行うためには
(CaC2)(Ca)+2〔C〕 (2)
の反応によつて生じたCa(そのためには溶湯が
炭素不飽和であることが必要である)が、ある量
だけフラツクス中に存在することが必要である。
もし、SiO2,MgO,Al2O3などを含有するスラグ
が存在していると
2(Ca)+(SiO2)→2(CaO)+〔Si〕 (3)
(Ca)+(MgO)→(CaO)+Mg↑ (4)
3(Ca)+Al2O3→3(CaO)+2〔Al〕 (5)
の反応によつて一旦生成したCaが消費されて
しまうので、脱リン率は極端に低下する。一
方、脱リンを行えるようにフラツクス中にCa
が存在しているような条件では、Caの蒸発が
おこつて(2)式が右側に進行することが続き、あ
る時間後の残留スラグ量は減少する。脱リンの
ためにはCaの存在が不可欠であるが、脱硫の
ためにはそれほどの還元性は必要条件ではな
く、むしろ残留フラツクス量の減少が、得られ
る脱硫率に悪影響を及ぼす。したがつて、還元
脱リンを行うための条件は脱硫にとつては最適
条件とは言えない。
以上のように、脱硫のためには種々の方法があ
るが、実際にステンレス鋼のような高クロム鋼で
極低硫鋼(20ppm以下程度)を得ようとすれば
満足できる方法は確立されているとは言えない。
本発明は以上のような事情に鑑み、高クロム鋼
の効率的な脱硫方法(極低硫鋼の溶製、あるいは
低硫鋼溶製コストの低減)を見出すという観点か
ら種々実験的に検討した結果得られたものであ
り、その要旨とするところはCr/C=5〜50の
中炭素含クロム溶湯に、CaO/SiO2≧1.2のスラ
グ存在下でカルシユームカーバイドを添加して脱
硫する工程を含むことを特徴とする低硫高クロム
鋼の溶製方法である。
以下、具体的な実施例にそつて詳細に説明す
る。
第1図は本発明を実施するための装置の1例を
示す。転炉状の反応容器1は耐火物内張りされて
おり、炉底に羽口2が設けられている。反応容器
1の炉口には上昇下降可能な吹酸用ランス3が設
けられ、また、主として高炭素フエロクロム塊か
らなる装入原料6を高温排ガスで予熱するための
充填槽5およびこれに接続するロータリーキルン
4が設けられている。また、炉口には移動可能な
炉蓋9が設けられており、還元精錬期には炉口開
口部の面積を小さくして空気の侵入を抑制できる
ようになつている。
この装置を用いてまず第1段階として、高炭素
フエロクロム塊を主とするクロム含有原料を溶解
して、中炭素フエロクロム溶湯と、SiO2含有ス
ラグを作る。そのためには、種湯として溶銑、あ
るいは前ヒートの残り湯に、酸素を上吹ランス3
(あるいはそれに併用して底吹羽口2)から供給
し、溶湯中の成分特に〔C〕、〔Si〕を酸化させて
発熱させ、それにCOを含む高温排ガスで予熱し
た高炭フエロクロム塊を主とするクロム含有原料
を溶湯中に添加、溶融する。高炭フエロクロムを
添加した時には、その中に含まれている炭素やケ
イ素が溶湯の中に入り、これが酸化されて新たな
熱源になる。溶湯が十分に撹拌されている状態で
上記のような処理を行えば、Siは0.2%以下まで
選択的に酸化される。
もし、固体金属原料の成分条件(特に〔C〕、
〔Si〕)が、酸化反応によつて発生する熱量が固体
を溶融するのに不十分である場合には、追加の熱
源としてコークスや石炭などの炭素質固体が炉内
に添加される。炭素質固体が粉状の場合には羽口
2を通して溶湯中に吹き込み、また塊状の場合に
は上方から投入する。溶湯に添加された炭素質固
体の大部分は一旦溶湯中にとけ〔C〕が酸化反応
によつて熱を発生する。また、COを含む高温排
ガスの顕熱および潜熱は炉に装入される固体金属
原料の予熱に用いられる。
炉体の耐火物としては中性あるいは塩基性のも
のが用いられ、例えばマグネシア、クロムマグネ
シアなどが適している。固体金属原料中のケイ素
が酸化して生成したSiO2や、炭素質固体中の脈
石中のSiO2分が、炉耐火物を侵食しないために
は、CaO/SiO2が1.0以上を維持することが必要
である。また、スラグの塩基度が低すぎるとスラ
グ中のCr2O3%が増し(Cr2O3の活量係数は塩基
度が低いほど小さくなる。)、後の還元工程での負
荷を増すので好ましくない。したがつて、少なく
とも酸化精錬末期のスラグの塩基度はCaO/
SiO2≧1.1であることが必要である。一方、石灰
添加量が多すぎるとスラグの融点が上昇して塊状
化し、後の還元精錬の所要時間を長くするので好
ましくない。Cr2O3を含むスラグが還元精錬時に
ゆつくりと溶け、スラグへのCr2O3の供給が続く
ことは高い脱硫能を得るという点からは不利だか
らである。したがつて、高炭素フエロクロム固体
を主とする固体金属原料の溶かし込みを主目的と
する酸化精錬期の末期のスラグは、流動状態を保
ち、かつCr2O3の絶対量((Cr2O3%)×スラグ量
によつてきまる)を極力少なくするという観点か
ら、塩基度はCaO/SiO2=1.1〜1.7の範囲に調整
することが最適である。
溶湯に酸素含有ガスを供給することは、溶湯中
のケイ素ばかりでなく炭素もあるレベルまで酸化
させるためである。炭素をあるレベルまで酸化す
ることは次の3つの目的をもつている。
(a) 〔C〕の酸化発熱を利用すること。
(b) 〔C〕を調整して溶湯の液相線温度を低下す
ること(耐火物への負荷を小さくするには、
〔C〕:1〜4%にすることが望ましい)。
(c) 後に述べる還元精錬時のカルシウムカーバイ
ド添加効率を高くできるような成分条件〔C〕
を調整すること。
このように〔C〕を調整する時に、酸素含有ガ
スを溶湯に供給する時に、クロム分の酸化を抑制
しつつ優先脱炭を行えるような条件を選ぶこと
が、後の還元精錬の効率を上げるためには重要で
ある。そのためには溶湯が十分に撹拌されている
状態で、〔Cr%〕/〔C%〕の比が50以下である
ことが必要である。溶湯の温度を上げること、あ
るいは稀釈ガスを用いてPcpを低下すれば優先脱
炭を促進することは可能であるが、温度を1700℃
以上に上げることは耐火物原単位を上げること、
また溶損した耐火物成分(MgOなど)がスラグ
の中に入り、後の還元精錬時に得られる(S)/
〔S〕の比に悪影響を及ぼすことから好ましくな
い。また、Pcp値をある値以下に低下することは
熱的に不利であり、限界がある。〔Cr%〕/〔C
%〕が50以下となるような中炭素域を利用すれ
ば、1650℃以下の耐火物への負荷の小さい状態で
優先脱炭を進めることができる。溶湯中のクロム
の一部は酸化されるが、スラグ中のCr2O3含有量
は10%以下に抑えることができ、スラグの流動性
にはあまり悪影響を及ぼさない。もし、酸化精錬
末期に〔Cr%〕/〔C%〕の比が50以上になつ
ていると、1650℃以下ではクロムの酸化が進んで
スラグが塊状化しやすく、さきに述べたと同一の
理由で後の還元精錬期の反応の進行に悪影響を及
ぼすので好ましくない。〔Cr%〕は装入物の調整
で、〔C%〕は固体金属原料、炭素質固体の装入
条件および酸素ガス供給条件を調整して制御する
ことができる。
以上のように酸化精錬の条件を設定することに
より、所定量の固体金属原料を溶かし込み酸化精
錬終了点での溶湯成分、スラグ状況を調整した
後、脱硫を主目的とする還元精錬に移行する。還
元精錬期に入ると、酸素含有ガスの供給は止めら
れる。上吹ランス3は引き上げられ、底吹羽口2
からはArなどの不活性ガスのみが供給される。
次いで、Si含有合金(カルシウムシリコンあるい
はフエロシリコンなど)が添加され、スラグ中の
Cr2O3分を還元する。Si分の一部は直接スラグと
反応するが、一部は一旦溶湯にとけた後、スラグ
と反応するので、スラグ中のCr2O3を還元するた
めに加えるSi合金量のSi純分として
3〔Si〕+2(Cr2O3)
→4〔Cr〕+3(SiO2) (6)
の反応式によりCr2O3と反応する当量の約1.5倍加
えるのが適当である。このSi合金による第1次の
還元を行わないでカルシウムカーバイドを直接添
加すると脱硫後得られる(S)/〔S〕の値のバ
ラツキが大きくなつて好ましくない。Si合金添加
後、カルシウムカーバイドの添加を行う。カルシ
ウムカーバイドは溶湯がArなどの不活性ガスで
撹拌されていると上から添加(上層)してもよい
が、特に溶湯中にArなどをキヤリヤガスとして
吹込まれることが望ましい。このようにして吹込
みを行うと第2図に示すようにカーバイドの原単
位を大幅に低下することができる。また、第2図
にはカルシウムカーバイド添加前のスラグの
CaO/SiO2比と、脱硫処理後(Ar吹込みを行つ
て7分間撹拌後)の硫黄分配比:(S)/〔S〕
の関係を示す。第2図の条件はカーバイド添加前
Cr/C=20,1570℃であり、曲線Aはカルシウム添
加量10Kg/t(上おき)、曲線Bはカルシウムカ
ーバイド添加量3Kg/t(吹込)、曲線Cはカル
シウムカーバイド添加量3Kg/t(上おき)であ
る。第2図から明らかな如く、CaO/SiO2が1.2
以下では、(S)/〔S〕到達値が低い。これは
CaO/SiO2が低いために平衡的に不利だからで
ある。一方CaO/SiO22.0以上では同様に
(S)/〔S〕到達値が低い。これはカーバイド
添加前のスラグの流動性が劣るからである。した
がつて、カルシウムカーバイド添加前のCaO/
SiO2は1.2〜2.0、特に1.4〜1.8であることが望ま
しい。
第3図はカルシウムカーバイド添加前の〔Cr
(%)〕/〔C(%)〕の比と脱硫後の(S)/
〔S〕の関係を示す。第3図の条件は、カルシウ
ムカーバイド添加量3Kg/t(吹込)、Cr=18
%,1570℃,CaO/SiO2=1.5(カーバイド添加
前)である。第3図から判るように〔Cr〕/
〔C〕が5〜50、特に15〜38の範囲で高い
(S)/〔S〕が得られている。
この発明にあつては、先に説明したように
〔Cr%〕/〔C%〕は50以下であることが必要で
ある。これは、同時に、第3図に示す(S)/
〔S〕と〔Cr%〕/〔C%〕の関係から、〔Cr
%〕/〔C%〕が5以上である必要があることを
示している。
本発明の要点は、このように、炭素不飽和で
〔Cr〕/〔C〕の比が5〜50の範囲の溶湯に
CaO/SiO2=1.2〜2.0のスラグ存在下でカルシウ
ムカーバイドを添加することにより、スラグの脱
硫能を高め、著しく高い(S)/〔S〕を得るこ
とができることである。特にカルシウムカーバイ
ド添加後により硫黄分配比が高くなつた場合につ
いて調べてみると、溶湯のC%が0.1〜0.5%上昇
していることからカルシウムカーバイド添加によ
るスラグ脱硫能上昇の機構としては、カルシウム
カーバイドの添加により(2)式より生成した金属
Caが強力な脱酸力を発揮したためと考えられ
る。溶湯への炭素溶解度はCr%とともに大きく
なるが、本発明が対象とする成分範囲(Cr:12
〜50%)では〔Cr〕/(C)の比は炭素不飽和
度の一つの目やすとなる。第3図において
〔Cr〕/〔C〕が5以下では不飽和の程度が小さ
く(2)式の反応がおこりにくかつたため、一方
〔Cr〕/〔C〕50では(2)式によるCaC2分解反応速
度が早すぎ、蒸発したCaが多すぎて、ある時間
後の脱酸力が弱くなつたため、いずれも(S)/
〔S〕の到達値が〔Cr〕/〔C〕:5〜50の場合
に比べて低くなつたものと思われる。このように
炭素不飽和度として適当な値をえらぶことによつ
てCaC2の分解速度を調整することによつてカー
バイドの原単位を低くして大きな脱硫促進効果を
得ることができる。なお、炉内に外気が侵入する
とCaやCaC2の酸化反応がおこり、得られる
(S)/〔S〕が不安定になる場合がある(特に
小型炉)。これを防ぐには、還元期には、第1図
の炉蓋9を動かして炉口開口部の面積を小さくす
ることが望ましい。
以上のような工程により所定の〔S〕レベルま
で脱硫を行つた中炭素高クロム溶湯が得られる。
そのクロム含有量(さらにはニツケル含有量)は
酸化精錬期に炉内に供給される原料によつて任意
に変えることができる。この中炭素高クロム溶湯
を用いてステンレス鋼のような高クロム鋼を溶湯
する方法としては次のような方法がある。
(a) ステンレス粗溶鋼(目的とする最終成品が18
%Cr鋼である時はFe:Crの比がほぼ最終成品
のそれに近いが、特にC%は最終成品のそれよ
りも高いもの)を作り、これを取鍋に出鋼して
排滓し、従来の仕上げ脱炭工程(例えば減圧下
で溶鋼に吹酸したり、あるいはAr,H2Oなど
を稀釈ガスとして溶鋼中に酸素を吹込み、いず
れの場合にも雰囲気のPcpを低下した状態で優
先脱炭する)により所定のC%まで脱炭し、微
量成分調整、脱酸を行つた後、鋳造する。この
場合、溶湯の硫黄含有量は本発明の対象とする
脱硫処理後の排滓の程度により若干の復硫の可
能性があるが、脱硫処理後の硫黄含有量をほぼ
そのまま高クロム鋼成品にまで結びつけること
ができる。ニツケル系ステンレス鋼溶製の場合
には、溶解原料としてフエロニツケルや金属ニ
ツケルなどを用いてステンレス粗溶鋼のFe:
Cr:Niの比を成品のそれに近づけておけば、
前述の方法と同様の方法で溶製できる。
(b) 本発明の方法により、目的とする最終成品よ
りもCr/Fe,Ni/Fe比が大きい溶湯を作り、
これに、製鋼工場で容易に得られる低炭素溶鋼
を混合してステンレス粗溶鋼を作り、以後(a)と
同様の工程によりステンレス鋼を得る。この場
合、ステンレス鋼成品の硫黄含有量は本発明に
よる脱硫処理後の硫黄含有量と、混合する低炭
素溶鋼の硫黄含有量によつてきまる。したがつ
て目標とする成品の硫黄含有量に応じてそれぞ
れの脱硫程度を決定すればよい。
実施例
1 第1図に示すような形状の転炉状容器(最終
溶湯量約50t)を用いた。3重管羽口が側面底
部に5ケつけられている。
The present invention relates to a method for efficiently obtaining low sulfur, high chromium steel. Sulfur is known to have various adverse effects on various steel materials, and various methods have been developed to reduce sulfurization. In particular, high chromium steels such as stainless steel and heat-resistant steel are disadvantageous in desulfurization of molten metals compared to ordinary steels due to the coexistence of chromium (chromium reduces the activity coefficient of sulfur in molten metals). For). On the other hand, in terms of steel materials, high chromium steels are used under harsh conditions, so there is a strong demand for lower sulfur content in terms of corrosion resistance and hot workability, and in many cases the effect of ultra-low sulfidation is significant. . Desulfurization of stainless steel has conventionally been carried out using the following method. (i) After melting raw materials such as scrap, ferrochrome, and ferronickel in an arc furnace and then blowing oxygen to reduce the carbon content to below the level of the specified product carbon content, Si-based alloy (ferrosilicon) is melted. , calcium silicon, etc.) and lime. In this case, calcium carbide (hereinafter referred to as carbide) may be sprinkled in order to reduce the atmosphere in the furnace and increase the desulfurization ability of the slag. In an arc furnace, the molten metal is weakly stirred, so carburization of the molten metal by carbide is relatively difficult to occur, but desulfurization does not proceed sufficiently to an equilibrium value. On the other hand, if large amounts of carbide are added, recarburization becomes a problem. (ii) In the arc furnace, only the raw materials are melted, and the resulting crude molten stainless steel (Cr:Ni:Fe ratio is almost close to that of stainless steel products, but the carbon content is several times that of stainless steel products) or more expensive) to equipment more suitable for decarburization, e.g.
After finishing decarburization with low P cp by blowing oxygen diluted with Ar, N 2 or water vapor into the molten steel, a Si-based alloy is added to recover some of the oxidized chromium, and then A method in which desulfurization is also performed by adding lime to adjust the CaO/SiO 2 of the slag produced. This method has the advantage of increasing the refining reaction rate because the molten metal is strongly stirred, but if carbide is added, carburization tends to occur and there is a risk that the carbon content requirements of stainless steel products cannot be met. Therefore, it is practically impossible to use carbide. Normally, workable slag basicity and metal Si%
(approximately 0.5%), the ratio of the sulfur content in the slag at the end of treatment (expressed as (S)) to the sulfur content in the metal (expressed as [S]): (S)/
[S] (sulfur distribution ratio) can only obtain a value of 30 to 50 at most. Therefore, if you want to obtain ultra-low sulfur steel, you have no choice but to increase the amount of slag (to lower (S)), but increasing the amount of slag beyond a certain value requires work (for example, temperature drop). ), there are economic problems, and there is a limit to the production of ultra-low sulfur steel (e.g. 20ppm). (iii) One method of making stainless steel is to use high carbon ferrochrome molten metal as the chromium source and hot metal as the iron source. In this case, all of the molten metals contain carbon close to the saturated value. A method of treating this with carbide is in practical use. In this case, none of the carbides are melted, and desulfurization is performed by a solid-liquid reaction. In order to increase the desulfurization utilization efficiency of carbide, carbide is added after removing as much of the existing slag as possible. This is a tendency seen when processing molten metal containing carbon close to the saturation value. (iv) A method is known in which a flux containing carbide is added to a carbon-unsaturated molten metal in order to reduce and dephosphorize the chromium-containing molten metal (Tetsu to Hagane, No. 65).
(No. 8 p1167). In order to perform the desired dephosphorization with this method, it is necessary that the molten metal before carbide addition be carbon unsaturated, and that SiO 2 ,
It is necessary that slag containing oxides such as MgO and Al 2 O 3 be sufficiently removed. In other words, in order to perform dephosphorization using 3(Ca) + 2[P](Ca 3 P 2 ) (1) (( ) indicates the component in the flux, and [ ] indicates the component in the metal), (CaC 2 ) A certain amount of Ca produced by the reaction (Ca) + 2[C] (2) (for which the molten metal must be carbon unsaturated) must be present in the flux. It is.
If there is slag containing SiO 2 , MgO, Al 2 O 3 etc., 2(Ca) + (SiO 2 ) → 2(CaO) + [Si] (3) (Ca) + (MgO) → (CaO) + Mg↑ (4) 3 (Ca) + Al 2 O 3 → 3 (CaO) + 2 [Al] (5) Since Ca once generated is consumed by the reaction, the dephosphorization rate is extremely low. decreases to On the other hand, Ca is added during flux to enable dephosphorization.
Under such conditions, Ca evaporates and equation (2) continues to move to the right, and the amount of residual slag decreases after a certain period of time. Although the presence of Ca is essential for dephosphorization, a high degree of reducing ability is not a necessary condition for desulfurization; rather, a decrease in the amount of residual flux has a negative effect on the resulting desulfurization rate. Therefore, the conditions for performing reductive dephosphorization cannot be said to be optimal conditions for desulfurization. As mentioned above, there are various methods for desulfurization, but no method has been established that is satisfactory for obtaining ultra-low sulfur steel (approximately 20 ppm or less) from high chromium steel such as stainless steel. I can't say that there is. In view of the above circumstances, the present invention has carried out various experimental studies from the viewpoint of finding an efficient method for desulfurizing high chromium steel (smelting extremely low sulfur steel or reducing the cost of melting low sulfur steel). This is the result obtained, and its gist is a process of desulfurization by adding calcium carbide to a medium-carbon chromium-containing molten metal with Cr/C = 5 to 50 in the presence of slag with CaO/SiO 2 ≧1.2. A method for producing low sulfur high chromium steel, the method comprising: Hereinafter, a detailed explanation will be given along with specific examples. FIG. 1 shows an example of an apparatus for carrying out the invention. A converter-shaped reaction vessel 1 is lined with a refractory material, and a tuyere 2 is provided at the bottom of the furnace. A lance 3 for blowing acid that can be raised and lowered is provided at the furnace mouth of the reaction vessel 1, and a filling tank 5 is connected to the charging tank 5 for preheating the charging raw material 6 mainly consisting of high-carbon ferrochrome lumps with high-temperature exhaust gas. A rotary kiln 4 is provided. Further, a movable furnace lid 9 is provided at the furnace mouth, and the area of the furnace mouth opening can be reduced during the reduction refining period to suppress the intrusion of air. In the first step, this equipment is used to melt chromium-containing raw materials, mainly high-carbon ferrochrome lumps, to produce medium-carbon ferrochrome molten metal and SiO 2 -containing slag. To do this, oxygen is added to the hot metal as a seed metal or to the hot metal left over from the previous heat using a top-blowing lance 3.
(or in combination with the bottom blowing tuyere 2), the components in the molten metal, especially [C] and [Si], are oxidized to generate heat, and the high-carbon ferrochrome mass is preheated with high-temperature exhaust gas containing CO. A chromium-containing raw material is added to the molten metal and melted. When high-carbon ferrochrome is added, the carbon and silicon contained therein enter the molten metal, where it is oxidized and becomes a new heat source. If the above treatment is performed while the molten metal is sufficiently stirred, Si will be selectively oxidized to 0.2% or less. If the component conditions of the solid metal raw material (especially [C],
If the amount of heat generated by the oxidation reaction is insufficient to melt the solid, carbonaceous solids such as coke or coal are added to the furnace as an additional heat source. If the carbonaceous solid is in the form of a powder, it is blown into the molten metal through the tuyere 2, and if it is in the form of a lump, it is charged from above. Most of the carbonaceous solids added to the molten metal are once dissolved in the molten metal and [C] generates heat through an oxidation reaction. In addition, the sensible heat and latent heat of the high-temperature exhaust gas containing CO are used to preheat the solid metal raw material charged into the furnace. A neutral or basic refractory is used as the refractory for the furnace body, and suitable examples include magnesia and chromium magnesia. CaO/SiO 2 must be maintained at 1.0 or higher in order to prevent SiO 2 produced by oxidation of silicon in solid metal raw materials and SiO 2 in gangue in carbonaceous solids from corroding the furnace refractories. It is necessary. Additionally, if the basicity of the slag is too low, the Cr 2 O 3 % in the slag will increase (the activity coefficient of Cr 2 O 3 decreases as the basicity decreases), increasing the load in the subsequent reduction process. Undesirable. Therefore, at least the basicity of slag at the final stage of oxidation refining is CaO/
It is necessary that SiO 2 ≧1.1. On the other hand, if the amount of lime added is too large, the melting point of the slag will rise and the slag will become lumpy, which will lengthen the time required for subsequent reduction refining, which is not preferable. This is because the slag containing Cr 2 O 3 melts slowly during reduction refining and the continuous supply of Cr 2 O 3 to the slag is disadvantageous in terms of obtaining high desulfurization ability. Therefore, the slag at the end of the oxidation refining stage, whose main purpose is to dissolve solid metal raw materials mainly consisting of high-carbon ferrochrome solids, maintains a fluid state and contains an absolute amount of Cr 2 O 3 ((Cr 2 O From the viewpoint of minimizing 3 %)×depending on the amount of slag), it is optimal to adjust the basicity to a range of CaO/SiO 2 =1.1 to 1.7. The purpose of supplying oxygen-containing gas to the molten metal is to oxidize not only silicon but also carbon in the molten metal to a certain level. Oxidizing carbon to a certain level has three purposes: (a) Utilizing the oxidation heat of [C]. (b) Lower the liquidus temperature of the molten metal by adjusting [C] (to reduce the load on the refractories,
[C]: Desirably 1 to 4%). (c) Component conditions that can increase the efficiency of calcium carbide addition during reduction refining described later [C]
to adjust. When adjusting [C] in this way, selecting conditions that allow preferential decarburization while suppressing the oxidation of chromium when supplying oxygen-containing gas to the molten metal increases the efficiency of subsequent reduction refining. It is important for For this purpose, it is necessary that the ratio of [Cr%]/[C%] be 50 or less while the molten metal is sufficiently stirred. Although it is possible to promote preferential decarburization by increasing the temperature of the molten metal or by lowering P cp using diluting gas, it is possible to promote preferential decarburization by increasing the temperature
Increasing the value above means increasing the refractory unit consumption.
In addition, the melted refractory components (MgO, etc.) enter the slag, and the (S)/
This is not preferable because it has an adverse effect on the ratio of [S]. Further, reducing the P cp value below a certain value is thermally disadvantageous and has a limit. [Cr%]/[C
%] is 50 or less, preferential decarburization can be carried out with less load on refractories at temperatures below 1650℃. Although some of the chromium in the molten metal is oxidized, the Cr 2 O 3 content in the slag can be suppressed to 10% or less, and the fluidity of the slag is not significantly affected. If the ratio of [Cr%]/[C%] is more than 50 at the final stage of oxidation refining, oxidation of chromium will proceed at temperatures below 1650°C and slag will easily form into lumps, for the same reason as mentioned earlier. This is not preferable because it has an adverse effect on the progress of the reaction in the subsequent reduction and refining stage. [Cr%] can be controlled by adjusting the charge, and [C%] can be controlled by adjusting the solid metal raw material, the charging conditions of the carbonaceous solid, and the oxygen gas supply conditions. By setting the conditions for oxidation refining as described above, after melting a predetermined amount of solid metal raw materials and adjusting the molten metal composition and slag condition at the end of oxidation refining, the process shifts to reduction refining whose main purpose is desulfurization. . When the reduction refining period begins, the supply of oxygen-containing gas is stopped. The top blowing lance 3 is pulled up and the bottom blowing tuyere 2
Only inert gas such as Ar is supplied from the
Next, a Si-containing alloy (such as calcium silicon or ferrosilicon) is added to
Reduce Cr2O 3 min. Part of the Si content reacts directly with the slag, but part of it reacts with the slag once it has been dissolved in the molten metal, so the amount of Si in the amount of Si alloy added to reduce Cr 2 O 3 in the slag is According to the reaction formula: 3[Si]+2(Cr 2 O 3 ) → 4[Cr]+3(SiO 2 ) (6), it is appropriate to add about 1.5 times the equivalent to react with Cr 2 O 3 . If calcium carbide is added directly without performing the first reduction using this Si alloy, the variation in the value of (S)/[S] obtained after desulfurization will increase, which is not preferable. After adding Si alloy, calcium carbide is added. Calcium carbide may be added from above (upper layer) when the molten metal is stirred with an inert gas such as Ar, but it is particularly preferable to blow Ar into the molten metal as a carrier gas. When blowing is performed in this manner, the basic unit of carbide can be significantly reduced as shown in FIG. Figure 2 also shows the slag before adding calcium carbide.
CaO/SiO 2 ratio and sulfur distribution ratio after desulfurization treatment (after 7 minutes of stirring with Ar injection): (S)/[S]
shows the relationship between The conditions in Fig. 2 are Cr/C = 20, 1570°C before adding carbide, curve A is calcium addition amount of 10 kg/t (overlay), curve B is calcium carbide addition amount of 3 kg/t (blowing), curve C The amount of calcium carbide added is 3 kg/t (top layer). As is clear from Figure 2, CaO/SiO 2 is 1.2
Below, the (S)/[S] attained value is low. this is
This is because it is disadvantageous in terms of equilibrium due to the low CaO/SiO 2 content. On the other hand, when CaO/SiO 2 is 2.0 or more, the attained value of (S)/[S] is similarly low. This is because the fluidity of the slag before adding carbide is poor. Therefore, CaO/ before addition of calcium carbide
SiO2 is preferably 1.2 to 2.0, particularly 1.4 to 1.8. Figure 3 shows [Cr
(%)]/[C(%)] ratio and (S)/ after desulfurization
The relationship between [S] is shown. The conditions in Figure 3 are: calcium carbide addition amount 3Kg/t (injection), Cr=18
%, 1570°C, CaO/SiO 2 = 1.5 (before carbide addition). As can be seen from Figure 3, [Cr]/
A high (S)/[S] is obtained when [C] is in the range of 5 to 50, particularly 15 to 38. In this invention, as explained above, [Cr%]/[C%] needs to be 50 or less. At the same time, (S)/
From the relationship between [S] and [Cr%]/[C%], [Cr
%]/[C%] must be 5 or more. The key point of the present invention is thus that the molten metal is carbon unsaturated and has a [Cr]/[C] ratio in the range of 5 to 50.
By adding calcium carbide in the presence of slag with CaO/SiO 2 =1.2 to 2.0, it is possible to increase the desulfurization ability of the slag and obtain a significantly high (S)/[S]. In particular, when we investigate the case where the sulfur distribution ratio becomes higher after adding calcium carbide, we find that the C% of the molten metal increases by 0.1 to 0.5%. Therefore, the mechanism of increase in slag desulfurization ability due to the addition of calcium carbide is due to calcium carbide. The metal produced from equation (2) by adding
This is thought to be because Ca exerted a strong deoxidizing ability. Carbon solubility in molten metal increases with Cr%, but within the component range targeted by the present invention (Cr: 12
~50%), the [Cr]/(C) ratio is a measure of carbon unsaturation. In Fig. 3, when [Cr]/[C] is 5 or less, the degree of unsaturation is small and the reaction of equation (2) is difficult to occur; on the other hand, when [Cr]/[C] is 50, CaC 2 The decomposition reaction rate was too fast and too much Ca was evaporated, and the deoxidizing power after a certain period of time became weak, so both (S)/
It seems that the achieved value of [S] was lower than that in the case of [Cr]/[C]: 5 to 50. In this way, by selecting an appropriate value for the degree of carbon unsaturation and adjusting the decomposition rate of CaC 2 , it is possible to lower the basic unit of carbide and obtain a large effect of promoting desulfurization. Note that when outside air enters the furnace, oxidation reactions of Ca and CaC 2 occur, and the obtained (S)/[S] may become unstable (especially in small furnaces). To prevent this, it is desirable to reduce the area of the furnace opening by moving the furnace lid 9 shown in FIG. 1 during the reduction period. Through the steps described above, a medium-carbon, high-chromium molten metal that has been desulfurized to a predetermined [S] level can be obtained.
The chromium content (and nickel content) can be arbitrarily changed depending on the raw material fed into the furnace during the oxidation refining period. The following methods are available for melting high chromium steel such as stainless steel using this medium carbon high chromium molten metal. (a) Stainless crude molten steel (targeted final product is 18
%Cr steel, the Fe:Cr ratio is close to that of the final product, but especially the C% is higher than that of the final product), which is tapped into a ladle and scraped. Conventional finish decarburization process (for example, blowing acid into molten steel under reduced pressure, or blowing oxygen into molten steel using Ar, H 2 O, etc. as a diluent gas, in both cases, the atmosphere P cp is lowered) After decarburizing to a predetermined C% by preferential decarburization (preferential decarburization), adjusting trace components, and deoxidizing, it is cast. In this case, the sulfur content of the molten metal may be slightly resulfurized depending on the degree of slag after the desulfurization treatment, which is the subject of the present invention, but the sulfur content after the desulfurization treatment is almost unchanged in the high chromium steel product. You can connect up to In the case of nickel-based stainless steel melting, Fe:
If the Cr:Ni ratio is kept close to that of the finished product,
It can be produced by a method similar to the method described above. (b) By the method of the present invention, a molten metal with a higher Cr/Fe, Ni/Fe ratio than the desired final product is produced,
This is mixed with low-carbon molten steel that can be easily obtained at a steel factory to produce crude molten stainless steel, and then the same process as in (a) is performed to obtain stainless steel. In this case, the sulfur content of the stainless steel product depends on the sulfur content after the desulfurization treatment according to the present invention and the sulfur content of the low carbon molten steel to be mixed. Therefore, the degree of desulfurization may be determined depending on the target sulfur content of the product. Example 1 A converter-like container (final molten metal amount: approximately 50 tons) having a shape as shown in FIG. 1 was used. Five triple-pipe tuyeres are attached to the bottom of the sides.
【表】
前ヒートの溶湯(Cr40%、C3%、温度1570
℃)を15t残留させ、その溶湯中に3重管羽口
の内管よりN2(30Nm3/hr)で搬送して、コー
クス粉を吹込む。コークス成分はC:89.0%、
SiO2:5.5%、Al2O3:2.5%である。また粒度
は0.5mm以上が3.6重量%、残りが0.5mm未満であ
る。コークスの平均供給速度は0.5t/hrであ
る。酸素は3重管羽口の中間管から800Nm3/
hrで供給する。また、上吹ランスからも供給す
る。後者は炉況(溶湯C%と温度)に応じて0
〜1000Nm3/hrの間に変化させる。
炉上方からは予熱した高炭素フエロクロム
(10〜50mm)をロータリーキルンより投入す
る。投入速度は炉況に応じて8−18t/hrの範
囲に変化させる(平均17t/hr)。高炭素フエロ
クロムの成分はCr:55%,Si:2.5%,C:8.0
%,P:0.033%,S:0.03%である。平均予
熱温度は800℃である。生石灰は15分おきに8
回、炉上方より370Kgづつ投入する。10分おき
にサブランスで溶湯温度を測定する。そして
C:3.0〜3.3%、温度1550〜1580℃となるよう
に装入亡物の量を調整して130分の操業を行
い、高炭素フエロクロム36tを溶融して中炭素
高クロム溶湯(Cr:51%,C:2.8%、Si:0.3
%,S:0.042%,〔Cr〕/〔C〕=18.2,1580
℃)を得た。ついで、上吹酸素供給をとめ、底
吹酸素をArに切換えてから、フエロシリコン
(75%Si)を250Kg添加してから3分間撹拌を行
い、スラグ組成を下記表のとおりとした
(CaO/SiO2=1.4)。[Table] Molten metal from previous heat (Cr40%, C3%, temperature 1570
℃) remains, and coke powder is blown into the molten metal by conveying N 2 (30Nm 3 /hr) through the inner tube of the triple-tube tuyere. Coke component is C: 89.0%,
SiO2 : 5.5% , Al2O3 : 2.5%. In addition, the particle size is 3.6% by weight of 0.5mm or more, and the rest is less than 0.5mm. The average coke feed rate is 0.5t/hr. Oxygen is 800Nm 3 / from the middle tube of the triple tube tuyere.
Supply in hr. It is also supplied from the top blowing lance. The latter is 0 depending on the furnace conditions (molten metal C% and temperature)
-1000Nm 3 /hr. Preheated high carbon ferrochrome (10 to 50 mm) is introduced from the rotary kiln from above. The charging rate varies from 8 to 18 t/hr depending on the furnace conditions (average 17 t/hr). The components of high carbon ferrochrome are Cr: 55%, Si: 2.5%, C: 8.0
%, P: 0.033%, S: 0.03%. The average preheating temperature is 800℃. Quicklime every 15 minutes 8
Each time, 370 kg is charged from above the furnace. Measure the molten metal temperature with a sublance every 10 minutes. Then, the amount of charged waste was adjusted so that C: 3.0 to 3.3% and the temperature was 1,550 to 1,580℃, and the operation was performed for 130 minutes, and 36 tons of high carbon ferrochrome was melted to form a medium carbon, high chromium molten metal (Cr: 51%, C: 2.8%, Si: 0.3
%, S: 0.042%, [Cr] / [C] = 18.2, 1580
°C) was obtained. Next, the top-blown oxygen supply was stopped, the bottom-blown oxygen was switched to Ar, and 250 kg of ferrosilicon (75% Si) was added, followed by stirring for 3 minutes, and the slag composition was set as shown in the table below (CaO /SiO2=1.4 ).
【表】
これにカルシウムカーバイド(CaC2:75
%,CaO:16%,SiO2:2%)を500Kg上から
投入して5分間撹拌を行つた(炉蓋をしめて行
つた)。処理後の溶湯はCr:51%,C:3.3%,
Si:0.3%,S:0.001%,1560℃)であつた。
このようにして得られた極低硫中炭素高クロ
ム溶湯を、別の転炉で溶製した低炭素溶鋼
(C:0.03%,Si:0.05%,S:0.001%,
1650t)110tを混合してステンレス粗溶鋼
(Cr:16.5%,C:0.97%)を得、これらを真
空下で酸素吹錬してCr:16.2%,C:0.05%,
S:0.001%、残部Feのステンレス鋼を溶製し
た。
以上のように、本発明はステンレス鋼の溶製工
程において、エネルギー的に有利なクロム含有冷
材の溶解方法と組合せて用いる脱硫方法の検討に
おいて、特有の溶湯、スラグ条件とカルシウムカ
ーバイト使用を組合せることにより著しく効率的
に脱流が行われることを見出したことにもとづい
て得られたものである。この発明を実施すること
により、従来、経済的、作業的に溶製することが
困難であつた極低硫高クロム鋼を溶製すること、
また、低硫高クロム鋼の溶製コストを引き下げる
ことが可能になり、工業的な意味は大きい。[Table] Calcium carbide (CaC 2:75
%, CaO: 16%, SiO 2 : 2%) was added from above and stirred for 5 minutes (with the furnace lid closed). The molten metal after treatment has Cr: 51%, C: 3.3%,
Si: 0.3%, S: 0.001%, 1560°C). The ultra-low sulfur carbon, high chromium molten metal thus obtained was melted in a separate converter to produce low carbon molten steel (C: 0.03%, Si: 0.05%, S: 0.001%,
1650t) and 110t to obtain crude molten stainless steel (Cr: 16.5%, C: 0.97%), which was oxygen blown under vacuum to produce Cr: 16.2%, C: 0.05%,
Stainless steel with S: 0.001% and balance Fe was produced. As described above, the present invention was developed in the study of a desulfurization method to be used in combination with the energetically advantageous method of melting chromium-containing cold material in the stainless steel melting process. This was obtained based on the discovery that drainage can be carried out extremely efficiently by combining the two. By carrying out this invention, it is possible to melt extremely low sulfur high chromium steel, which has conventionally been difficult to melt economically and operationally.
It also makes it possible to reduce the cost of producing low-sulfur, high-chromium steel, which has great industrial significance.
【図面の簡単な説明】[Brief explanation of the drawing]
第1図は本発明を実施するために用いる装置の
1例を示す図、第2図はカルシウムカーバイド添
加前のスラグの塩基度(CaO/SiO2)、カルシウ
ムカーバイド添加量とカーバイド添加後の硫黄分
配比(S)/〔S〕の関係を示す図、第3図はカ
ルシウムカーバイド添加前の溶湯の〔Cr%〕/
〔C%〕の比と、カーバイド添加後の硫黄分配比
(S)/〔S〕の関係を示す図である。
Figure 1 shows an example of the equipment used to carry out the present invention. Figure 2 shows the basicity of slag (CaO/SiO 2 ) before adding calcium carbide, the amount of calcium carbide added, and the sulfur content after adding carbide. A diagram showing the relationship between distribution ratio (S)/[S], Figure 3 shows the relationship between [Cr%]/[Cr%] of the molten metal before addition of calcium carbide.
It is a figure showing the relationship between the ratio of [C%] and the sulfur distribution ratio (S)/[S] after carbide addition.