JPS6058643B2 - 自動車座席用クツシヨン体及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はエアランバーサポートを内蔵してなる自動車
座席用クッション体の改良及びその改良されたクッショ
ン体の製造方法に関する。

一般に自動車の座席に座ると腰が沈み、長時間座り続
けると著しく疲労する。

この点を解決するため座席の背もたれ部にエアランバー
サポートを内蔵させ、腰部を押圧して姿勢を正させるこ
とによつて疲労を防止するようにした自動車座席用クッ
ション体が提案されている。しかしながら、従来のこの
種クッション体においては、エアランバーサポートの押
圧作用が強過ぎて異和感、異物感を惑じるという欠点が
あつた。一方、表面フィーリング及びセット性を良好な
らしめるため柔軟な表面材を用い、この表面材を型内面
に載置し、ウレタンフォーム用原液を注入発泡させて両
者を接着一体化せしめてなるクッション体が知られてお
り、これにエアランバーサポートを内蔵させるこ’とも
考えられているが、表面材とウレタンフォームとの間に
硬い含浸層が形成されるためにエアランバーサポートの
押圧効果が充分に発揮されず実用に供し得ないという難
点があつた。 本発明は叙上の欠点を解消した自動車座
席用クッション体を提供することを目的とする。

更に本発明の目的はそのように改良されたクッション体
の製造方法を提供することにある。即ち、本発明は、所
定の形状に成形された表面材と、この表面材に接着一体
化されたウレタンフォームとからなる自動車座席用クッ
ション体において、表面材とウレタンフォームとの間に
おける任意の箇所に液体不透過性被膜と剛性でたわみ性
を有するシート状の圧力緩和部材を積層して設け、表面
材の設けられていないウレタンフォームの裏面であつて
且つ前記圧力緩和部材と対応する面に凹部を設け、該凹
部にエアランパーサポートを設けてなることを特徴とす
る自動車座席用クッション体を要旨とする。

更に本発明は、蓋型および下型を用いる自動車座席用ク
ッション体の製造方法において、前記下型の内面に、所
定の形状を有し、且つ片面の任意箇所に液体不透過性被
膜と液体含浸性を有するシート部材とを積層して設けた
表面材を該表面材が型内面と接触するようにして載置し
、該表面材にウレタンフォーム用原液を注入し、次いで
、前記液体含浸性を有するシート部材と対応する位置に
凸部を有する蓋型を用いて下型上に閉蓋し、前記ウレタ
ンフォーム用原液の発泡圧で前記表面材を型通りに成形
させると共に液体含浸性を有するシート部材にウレタン
フォーム用原液を含浸硬化させ、且つ表面材とウレタン
フォームとを接着一体化し、次いで前記蓋型の凸部によ
り生じたウレタンフォームの凹部にエアランパーサポー
トを挿入することを特徴とする自動車座席用クッション
体の製造方法を要旨とする。本発明に使用する型として
はクッション体を形成する型面を有する割り型を用いる
ことができ、クッション体の表面および側面を形成する
ための型面を下型に、裏面を形成するための型面を上型
に有するものが一般的である。液体不透過性被膜は表面
材とウレタンフォームとの間に硬い含浸層が形成される
のを防止するた．めのもので、表面材の片面の任意箇所
に設けられる。

例えば背もたれ部の主部は柔軟さが必要なのでこの主部
に該当する箇所には前記被膜を設けるが、側部はむしろ
硬さが必要なのでこの側部に該当する箇所には前記被膜
は設けない。通常、前記一被膜は表面材に接着剤等によ
つて接着するが、非接着状態で設けてもよい。前記被膜
として、例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成
樹脂フィルムを用いることができ、またその厚さは１０
〜５００μが好ましい。本発明に使用する表面材は柔軟
性、可撓性に優れ且つ表面フィーリングの良いものが適
しており、例えば可撓性発泡体が使用できる。

可撓性発泡体としては軟質ウレタンフォーム、半硬質ウ
レタンフォーム、ポリエチレンフォーム等が例示される
。表面材の厚さは５〜３０ＴｎＩｎが好ましい。表面材
は通常平坦な形状に裁断される。本発明におけるウレタ
ンフォーム用原液としてノは、軟質ウレタンフォーム、
半硬質ウレタンフォーム等の汎用フォーム原液を使用す
ることができ、特に軟質ウレタンフォームが好ましい。
尚、汎用フォーム原液以外に特殊な処方のフォーム原液
も当然使用できる。本発明において、エアランパーサポ
ート挿入用凹部はクッション体成形後にエアランパーサ
ポートをクッション体内部に取付けるために必要なもの
であつて、蓋型の凸部によつて形成される。

この挿入用凹部は圧力緩和部材と対応する位置に設けら
れ、貫通していてもいなくてもよい。すなわち、エアラ
ンパーサポートが挿入されたとき、圧力緩和部材に直接
接触してもあるいはその間にウレタンフォームが介在し
てもどちらでもよい。圧力緩和部材はエアランパーサポ
ートによる押圧力を緩和して異物感のない適度な押圧力
を人体に及ぼさせるためのものであり、表面材と液体不
透過性被膜との間、または表面材に設けられた液体不透
過性被膜上に形成される。この圧力緩和部材はシート状
を有し、たわみ変形性と比較的剛性を有するものあるが
表面材とウレタンフォームとの間に形成される含浸層よ
りは柔軟なものである必要がある。この圧力緩和部材と
しては、例えばパームボード、粗毛布等を使用でき、ウ
レタンフォーム原液が含浸硬化することによつて比較的
剛性となり、たわみ変形性も有するようになる。以下、
本発明の実施例を図面に基き説明する。第１図乃至第７
図は本発明の１実施例を示すもので、まず、所定厚みの
平坦な形状に裁断してなる表面材１の片面に液体不透過
性被膜２を接着剤（図示せず）により固定し、さらにそ
の上に液体含浸性を有するシート部材１フを接着剤（図
示せず）により固定する（第１図）。該被膜２は背もた
れ部の主部４（背中が当該する部分、第７図参照）に該
当する部分４″にのみ設けられ、背もたれ部の側部５（
第７図）に該当する部分５″には設けられない。表面材
１に前記被膜２を固定する手段およびシート部材１７を
被膜２に固定する手段としては接着剤による接着に限ら
れず、他の一般的な固定手段を用いてもよい。前記被膜
２および前記シート部材１７を固定してなる表面材１を
、クッション体を形成する下型６の内面に表面材１が該
型内面と接触し、前記被膜２およびシート部材１７が上
側に位置するように載置してセットする。

下型６はクッション体の表面及び側面を形成するための
型面６ａを有している。通常、表面材１の下型６へのセ
ットに当つては、表面材１を型内面６ａに押し付けるよ
うに載置させる（第２図）。次に第２図に示すように前
記被膜２および前記シート部材１７側にウレタンフォー
ム用原液７が接するように該ウレタンフォーム用原液７
を注入する。

前記シート部材１７に対向する位置に凸部８を有する蓋
型９を用いてこれを下型６上に閉蓋し、ウレタンフォー
ム用原液７の発泡圧により表面材１を型通りに成形させ
る（第３図）。前記原液７の発泡時に生じる接着力によ
つて表面材１、被膜２、シート部材１７とウレタンフォ
ーム１０がそれぞれ相互に接着一体化されると共に、シ
ート部材１７にウレタンフォーム原液が含浸硬化するこ
とによつてシート部材１７が剛性とたわみ変形性を有す
る圧力緩和部材３となる。このとき、前記被膜２を設け
た背もたれ部の主部４においてはウレタンフォーム１０
と表面材１との接触が避けられているので硬い含浸層が
形成されることがなく、他方、前記被膜２を設けない背
もたれ部の側部５には硬い含浸層１１が形成される。し
かして第４図に示す如きクッション体１２が得られ、該
クッション体１２の裏面に蓋型９の凸部８により形成さ
れた凹部１３にエアランパーサポート１４を挿入して接
着等の手段により固定（第５図）し、エア給排管１５を
装着し、また必要に応じて寒令沙、ヘツシヤン等の裏当
て材１６を装着する（第６図）。

而してエアランパーサポートを内蔵した自動車座席用ク
ッション体が製造される。前記実施例によつて得られた
クッション体（背もたれ部）の全体形状の一例を第７図
に示す。

前記クッション体１２の構成において、エア給排管１５
よりエアランパーサポート１４内にエアを供給し、該エ
アランパーサポート１４を膨張させると、圧力緩和部材
３によつて適度な強さに調整された押圧力が表面材１に
及ぼされ、第６図に示すように表面材１が膨出し（膨出
部ｂ）、これによつて例えば腰部が適度に押圧されて腰
部の座席への沈み込みを防止でき、疲労を防ぐことがで
きる。通常、エアランパーサポート１４は腰部当接位置
に内蔵されるが、本発明はこれに限定されるものではな
く、腰部当接位置に代えて、或いは腰部当接位置と共に
背中上部当接位置等他の任意の位置に内蔵してもよい。

この場合、それに応じて当該位置にエアランパーサポー
ト挿入用凹部を設けることは当然である。尚、液体不透
過性被膜の大きさは、圧力緩和部材より大きく形成する
場合に限られないが、本発明の目的を達するためには少
なくとも圧力緩和部材と同じ大きさとする必要がある。
前記実施例では自動車座席の背もたれ部を製造する場合
について述べたが、本発明はこれに限定されず、必要に
応じて台座部にも本発明を適用することが可能である。

以上説明したように、本発明のクッション体は表面材と
エアランパーサポートとの間に剛性でたわみ変形性を有
する圧力緩和部材を設けたから、エアランパーサポート
による押圧力が圧力緩和部材によつて適度に緩和され、
クッション体の局部的な膨出が防止される結果、表面材
を通して人体“に及ぼされる押圧力は適度なものとなり
、従来のように異和感、異物感を感じたりする等の虞れ
はない。また、液体不透過性被膜の存在によつて表面材
とウレタンフォームとの間に硬い含浸層が形成されず、
その結果、クッション性、表面フィーリング性及びセッ
ト性を向上できる。更に、液体不透過性被膜と圧力緩和
部材とを積層して設けたから、エアランパーサポートの
設けられた位置と対応する表面材には含浸硬化層が形成
されておらず、硬い含浸層の影響を受けてエアランバー
サポノートの押圧効果が減殺されることがなく、圧力緩
和部材によるエアランパーサポートの押圧力の適度な緩
和作用と相まつて、良好なりツシヨン性を得ることがで
きる。更に、前記被膜の形成箇所を適宜選択することに
より次の如き利点を生む。

即ち、例えば背もたれ部の主部に前記被膜を形成し、背
もたれ部の側部には前記被覆を形成せずという如く、適
宜選択使用すれば、前記主部のように柔軟さが必要な箇
所には柔軟性を維持させることができ、また前記側部の
ように硬さが必要な箇所には含浸層による適度な硬さを
付与できるのである。本発明の製造方法によれば、型に
よる成形工程において同時にエアランパーサポート挿入
用の凹部が形成されるから、成形前又は成形後に前記凹
部を設けるための工程を別工程として設ける必要がなく
、製造工程の簡略化を図れる効果がある。

また表面材に前記凹部を設ける場合と異なり、エアラン
パーサポート装着後、該凹部を閉塞しなくても特に支障
はないという利点もあり、製造上有利となる（表面材に
凹部を設ける場合には該凹部を最終的に閉塞しないとゴ
ツゴツした感じとなる）。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図乃至第６図
は本発明の実施例における製造工程を示す説明図、第７
図は上記製造工程によつて得られたクッション体の斜視
図である。 １・・・・・・表面材、２・・・・・・液体不透過性被
膜、３・・・・・・圧力緩和部材、６・・・・・・下型
、８・・・・・・凸部、９・・・・・・上型、１０・・
・・・・ウレタンフォーム、１３・・・・・・凹部、１
４・・・・・・エアランパーサポート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 所定の形状に形成された表面材と、この表面材に接
   着一体化されたウレタンフォームとからなる自動車座席
   用クッション体において、表面材とウレタンフォームと
   の間における任意の箇所に液体不透過性被膜と剛性でた
   わみ変形性を有するシート状の圧力緩和部材とを積層し
   て設け、表面材の設けられていないウレタンフォームの
   裏面であつて且つ前記圧力緩和部材と対応する面に凹部
   を設け、該凹部にエアランバーサポートを設けてなるこ
   とを特徴とする自動車座席用クッション体。 ２ 蓋型および下型を用いる自動車座席用クッション体
   の製造方法において、前記下型の内面に、所定の形状を
   有し、且つ片面の任意箇所に液体不透過性被膜と液体含
   浸性を有するシート部材とを積層して設けた表面材を該
   表面材と型内面が接触するようにして載置し、該表面材
   にウレタンフォーム用原液を注入し、次いで前記液体含
   浸性を有するシート部材と対応する位置に凸部を有する
   蓋型を用いて下型上に閉蓋し、前記ウレタンフォーム用
   原液の発泡圧で前記表面材を型通りに成形させると共に
   表面材とウレタンフォームとの接着一体化および液体含
   浸性を有するシート部材にウレタンフォーム用原液を含
   浸硬化させ、次いで前記蓋型の凸部により生じたウレタ
   ンフォームの凹部にエアランバーサポートを挿入するこ
   とを特徴とする自動車座席用クッション体の製造方法。