JPS647822B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、湿式微粉砕機に関する。

湿式微粉砕機としては従来より各種の型式のも
のがあるが、その中でも第１図に示す媒体撹拌型
粉砕機が粉砕能率が高いとして広く多用されてい
る。

第１図に示される媒体撹拌型粉砕機１は、固定
槽２内に一定間隙３を存して中空回転軸４に取付
けた回転胴５を嵌入して成るもので、高速回転し
ている中空回転軸４内に水と被粉砕物粒子とを一
定割合に混合したスラリーと粉砕媒体であるボー
ルを投入し、下端開口４ａより固定槽２内に入
れ、高速回転する回転胴５の下面の羽根６のポン
プ作用によりスラリーとボールを間隙３に送り込
み、ここで高速回転する回転胴５により撹拌して
被粉砕部粒子を微粉砕し乍ら矢印の如く間隙３を
上昇させ、上端外周の排出口７より固定槽２外に
スラリー及びボールを排出するもので、この排出
されたスラリーとボールはその後分離され、スラ
リーは図示せぬとスラリータンクに貯留され、ボ
ールは水洗、水切り後再び中空回転軸４内に新規
な原料であるスラリーと共に投入される。

ところで、斯かる媒体撹拌型粉砕機１では、粉
砕媒体であるボールの動きが鈍く、相対運動が小
さいので、スラリー中の粒子との摩摺が不充分
で、粉砕効率が低いものである。また前記媒体撹
拌型粉砕機１では固定槽２内に於いてスラリー及
びボールの循環回路が明確に確保されていないの
で、スラリー中の被粉砕物粒子の微粉砕の進行が
固定槽２内の部位によつて差が生じる。その結
果、製品スラリー中の粒子に飛び込みが生じ、し
かも粒子の粒度幅が広くなるものである。この為
機外に循環回路を設ける必要が生じ、それの付帯
設備と運転に多額の費用を要するようになる。

本発明は、斯かる問題を解消すべくなされたも
のであり、製品スラリー中の粒子の粒度幅を狭く
できると共に、粉砕媒体であるボールの相対運動
を大きくできて粉砕効率を向上でき、さらには処
理量の増大を図ることのできる湿式微粉砕機を提
供することを目的とするものである。

以下本発明による湿式微粉砕機の一実施例を第
２図乃至第４図によつて説明すると、１０は架台
１１上に支持された固定槽で、その下半部内周面
に母線に沿つた多数の凸部１２が設られて凹凸面
が形成され、下端部の接線方向に排出口１３が設
けられ、その基端にメツシユ１３ａが張設され、
先端にバルブ１が設けられている。１５は固定槽
１０内の下半部に一定の間隙１６を存して嵌装さ
れた回転槽で、軸受１７，１８によつて架台１１
に回転可能に支持され固定槽１０の底板を貫通し
た垂直回転軸１９の上端に支持されている。この
回転槽１５の外周面には母線に沿つて多数の凸部
２０が設けられて凹凸面が形成され、内周面２１
が円錐状に形成されて周壁が中空状に成されてい
る。またこの回転槽１５の下端部外周に等角度間
隙に複数の本例では４個の開口２２が設けられ、
この開口２２の内側に回転槽１５の回転によりポ
ンプ作用をするインペラー２３が設けられてお
り、回転槽１５の底板２４の下面には撹拌羽根２
５が複数枚、本例では４枚設けられている。２６
は前記固定槽１０内の上部空間、２７は固定槽１
０の上端に設けられた上部ケーシングで、中央に
粉砕媒体ならびに水と一定割合に被粉砕物粒子が
混合された原料スラリーを供給する投入口２８が
設けられ、その側方にガス通路２９が設けられて
いる。前記固定槽１０と回転槽１５内には粉砕媒
体としてスチール又はセラミツクの小径（約0.5
〜２mm程度）のボールが予め前記投入口２８より
投入充填されている。３０は垂直回転軸１９の下
端に固着されたプーリ、３１は駆動ベルトであ
り、この駆動ベルト３１は電動機の回転軸上のプ
ーリ（図示省略）と前記プーリ３０に掛け渡され
ている。

次に上述の如く構成された本発明の湿式微粉砕
機の作用について説明する。固定槽１０の下端部
に設けられた排出口１３の先端のバルブ１４を閉
じ、投入口２８より水と一定割合に被粉砕物粒子
が混合された原料スラリーを、回転槽１５の上端
より若干上になる位置まで供給した後、図示せぬ
電動機を駆動し、回転槽１５を高速回転すると、
該回転槽１５内の粉砕媒体であるボールと原料ス
ラリーは遠心作用により円錐状の内周面２１に沿
つた下向き旋回流となつて下降し、下端部外周の
開口２２からポンプ作用をするインペラー２３に
より回転槽１５と固定槽１０との間の環状の間隙
１６内に入る。この間隙１６内に入つたボールと
原料スラリーは高速回転している回転槽１５の回
転力によつて上向き旋回流となつて上昇し、この
間に原料スラリー中の被粉砕物粒子は、ボール相
互、ボールと回転槽１５の外周の凹凸面、更には
ボールと固定槽１０の内面の凹凸面との間に於け
る衝突、滑り等によるボールの活溌な相対運動に
より充分摩砕されて効率良ふ微粉砕される。そし
てボール原料スラリーは環状の間隙１６内から出
て固定槽１０の上部空間２６に達し、ここから再
び回転槽１５内に入る。以後、前記の回転槽１５
→開口２２→環状間隙１６→上部空間２６→回転
槽１５の循環が一定時間繰返されて、原料スラリ
ー中の被粉砕物粒子が環状間隙１６の粉砕ゾーン
を通過する度毎に効率良く微粉砕されて、所定の
粒度となる。そしてこの製品スラリーは、排出口
１３の先端のバルブ１４を開けて、図示せぬ輸送
管を通してスラリータンクに貯留し、ボールは排
出口１３の基端のメツシユ１３ａにて機内にとど
める。

上記のボールとスラリーの循環に於いて、固定
槽１０の槽底に沈降するボールと被粉砕物粒子
は、固定槽１５と一体の高速回転する撹拌羽根２
５により撹拌され、皿形の槽底面に沿つて外向き
に旋回しながら環状間隙１６内に入り、被粉砕物
粒子が前記と同様に微粉砕作用を受ける。

尚、ボールとスラリーの循環に於いて、環状間
隙１６内から出たボールとスラリーを積極的に且
つ円滑に回転槽１５内に入れる為に、第５図及び
第６図に示す如く固定槽１０の上部内周面の対向
位置に、回転槽１５内に向けて断面「形の円弧状
のガイド３２を設けると、ボールとスラリーの循
環が一層良好に行われる。

以上の如く本発明の湿式微粉砕機は、粉砕媒体
であるボール及び水と一定割合に被粉砕物粒子を
混合した原料スラリーを、円錐状内周面の回転槽
→回転槽の下端部開口→固定槽の下半部内周面の
凹凸面と回転槽の外周面の凹凸面との間の環状間
隙→固定槽の上部空間→回転槽の順に一定時間繰
返し循環させるので、粉砕媒体であるボールには
環状間隙内でボール相互、ボールと回転槽の外周
の凹凸面、更にはボールと固定槽の内周面の凹凸
面との間に於ける衝突、滑り等により活溌に相対
運動する。その結果、原料スラリー中の被粉砕物
粒子は前記環状間隙の粉砕ゾーンを通過する度毎
に効率良く微粉砕されて、所定の粒度となる。ま
た循環する原料スラリー中の全ての被粉砕物粒子
は、前記環状間隙の粉砕ゾーンを同一回数通過す
るので、製品スラリー中の粒子に飛び込みが無
く、しかも粒度幅の狭いシヤープな粒度分布を持
つた所要粒度の粒子を含む製品スラリーを得るこ
とができる。さらに本発明の湿式微粉砕機は、そ
の運転時間、回転槽の回転数等を調整することに
より、容易に製品スラリー中の粒子の粒度を調整
することができる。また本発明の湿式微粉砕機
は、機内の全ての空間を利用してボールとスラリ
ーの自己循環路を形成した型式であるから、従来
の媒体撹拌型粉砕機のように機外に循環回路を設
ける必要がなく、その付帯設備の費用ならびに運
転費は解消され、保守、点検、整備等は本機のみ
で良いので至つて簡易で、多くの労力と時間を削
減できる等の数多くの優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の媒体撹拌型微粉砕機を示す概略
断面図、第２図は本発明の湿式微粉砕機の一実施
例を示す縦断面図、第３図は第２図のＡ―Ａ線断
面矢視図、第４図は第２図のＢ―Ｂ線断面矢視
図、第５図は本発明の湿式微粉砕機の他の実施例
の要部縦断面図、第６図は第５図のＣ―Ｃ線断面
矢視図である。 １０……固定槽、１２……凸部、１３……排出
口、１３ａ……メツシユ、１５……回転槽、１６
……間隙、１９……垂直回転軸、２０……凸部、
２２……開口、２３……インペラー、２４……底
板、２５……撹拌羽根、２７……上部ケーシン
グ、２８……投入口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内周面の下半部に母線に沿つて多数の凸部を
   有し下端部の接線方向にメツシユを備えた排出口
   を有する固定槽と、垂直回転軸の上端に支持され
   て前記固定槽内の下半部に一定間隙を存して嵌装
   され外周面に母線に沿つて多数の凸部を有し内周
   面が円錐状に形成されその下端部に等角度間隔に
   開口が設けられ且つ該開口の内側にインペラーが
   設けられ底板下面には撹拌羽根が設けられた回転
   槽と、前記固定槽と回転槽内に収容された粉砕媒
   体と、前記固定槽の上端に設けられ投入口を有す
   る上部ケーシングとより成る湿式微粉砕機。