JPS5817890B2 - 機械式デイスクブレ−キ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はディスクブレーキに関し、より詳細には回転入
力を直線出力に変換する力変換機構を有している自動間
隙調整機能を具備した機械式ディスクブレーキに関する
。

本件出願人はこれまで種々のディスクブレーキを提案し
てきた（例えば特開昭４９−９５０８３号及び特開昭５
０−５５７６５号など）。

しかしこれらのディスクブレーキは、いずれも回転入力
を直線方向に変換するカム機構において、入力を直接的
に受けてディスクへ摩擦パッドを押圧するブツシュロッ
ド族りに回転し同時に傾斜したカム面を移動するボール
即ち鋼球め作用によって該ロッドの軸線に沿って該ロッ
ドと共に直線運動するナツト部材が、キャリパハウジン
グ又は該キャリパハウジングへ取付けられた固定部材に
よって嵌合支持されかつまた該鋼球を受入れる溝を有す
るランププレーナがナツト部材に一体的に設けられてお
り、従ってナツト部材は、全体的には、キャリパハウジ
ング又はそこに取付けられた固定部材によって嵌合支持
されると同時に、鋼球保持面によって保持されていた。

このため部品製作上の寸法誤差や組付誤差などにより、
ナツト部材のキャリパハウジング嵌合支持面と、鋼球の
回転中心との間の誤差、即ち複数個の鋼球によって画定
される鋼球回転中心と、前記支持面によつ゛て定まる回
転中心との間に不整合即ち偏心が生じ、この不整合によ
りブレーキ装置にガタ付きや走行時の不整振動、更には
ナツト部材の偏心作動に起因する偏摩耗などが発生して
いた。

また一方の脚部に一端を保持されたレバー戻しばねの他
端が１輪を介して直接ナツトの端部によって支承され、
また該ナツトの他端部が直線方向出力発生部材に係合し
ている形態のディスクブレーキではレバー回転力をナツ
トと直線方向出力発生部ｉとの間及びレバー戻しばねと
１輪との間に発生する回転抗力（Ｔｎ）より大きくなけ
ればなかった。

更にまた制動を解く場合におけるナツトの回動を防止す
るためのフリクションリングの回転抗力（ＴＲ）は当然
Ｔｎより大きい値を必要とする。

一方調整時には板ばねのラチェツト爪がナツトを回転さ
せるが、この爪の回転力は戻しばねによる回転抗力とフ
リクションリングによる回転抗力との和に打勝たねばな
らず、該爪の耐久性が大きい問題となっていた。

本発明はかかる欠点を解消するために、キャリパハウジ
ング嵌合支持面に対しナツト部材を浮上係合させること
によりナツト部材を実質的にボール即ち鋼球によっての
み保持し、これによってディスクブレーキのガタつき、
カット部材の偏心回転をなくし、もってナツト部材９偏
摩耗を解消しナツト部材及びキャリパハウジング嵌合支
持面の加工部分を少なくし、同時に走行時の不整振動等
を完全に防止し、かつまた小さい回転入力によって所望
の制動作業を得かつ板ばねの爪部の耐久性の向上を図る
ことを目的としており、そのために、この発明では特に
内部にナツトを収納しているスリーブを設けこのスリー
ブが直線方向出力発生部材をキャリパに対して引寄せ、
ナツトに生ずる軸方向荷重を少なくしたのである。

以下実施例について述べる。

第１図に示すように本発明のディスクブレーキにボルト
３によって締結されたキャリパ−ハウジング１とキャリ
パ−とハウジング２とを有する。

該ボルト３はブラケット４の案内孔６に嵌合して、この
ブラケット４上を摺動出来る。

該ブラケット４のボルト案内孔両側部はブーツ５，５に
よって保護されている。

ディスクＤの両側部には摩擦パッド７．１０が配置しで
ある。

パッド７はキャリパ−ハウジング１の脚部１ａへ適当な
手段によって固定されており、パッド１０はブラケット
４に設けられた中央孔３０に嵌合している。

パッド１０の裏側にはブツシュロッド１７の先端の大径
部３９が衝接し、パッド１０をディスク面に対し垂直方
向より作動させることが出来、これによって該パッドの
偏摩耗を防止している。

キャリパ−ハウジング２の脚部２ａで縮径中央孔５１を
形成してい２段付部３７の両側に伸びるブツシュロッド
１７は大径部３９の後方に段付拡犬部３１を有し、その
後部に４又は６角形等の多角形断面の回転保持部３２を
有し、更にその後部には調整ねじ部３３を有し、最後端
部にはスリット３４を有している。

ねじ部３３にはナツト部材２γの内ねじ部３５が螺合し
ている。

ロッド１７とキャリパ−ハウジング２との間にあって、
該キャリパ−ハウジング２の段付部３７の両側に伸びて
いるナツト部材２７は先端に拡大フランジ３６を有して
いる。

該フランジ３６にはその前面の半径方向周辺にラチェツ
）歯４”７が刻設されている。

該フランジの外径より若干大きな内径を有する孔４８を
有するブレーキレバー１４が、該孔４８内にフランジ３
６を収容した形で配置されている。

該レバー１４はケーブル等により制動力を回転入力とし
てディスクブレーキへ導入するものである。

ナツト部材２７はスリーブ５２に収納されている。

該スリーブ５２の後方（第１図で右方）には１輪２１が
装嵌され、該１輪２１には環状板〉０が支持されている
。

環状板２０とキャリパ−ハウジング２の段付部３Ｔの後
面との間にはばね１９が装架されている。

該ばね１９はスリーブ５２を常時後方へ付勢している。

このためスリーブ５２の前端のフランジ５３に係合する
直線方向出力発生部材１２が常時後方へ付勢されている
。

なお図においては、部材１２がスリーブ５２から独立し
た部品として構成されているが、該部材１２をスリーブ
５２のフランジ５３と一体的に形成することも可能であ
る。

該ナツト部材２７の後端部はキャリパ−ハウジング２の
後側部にねじ止めされた蓋２２内に収容されたフリクシ
ョンリング２８に摩擦係合している。

フリクションリング２８は望ましくはゴム製であって、
ナツト部材２７に対し回転抵抗を提供している。

ナツト部材２７の左端にあるフランジ部３６の後壁面と
、そのフランジ部の半径方向外方にあるレバー１４の後
壁面とは整合面をなし、直線方向出力発生部材１２の前
壁面が該両整合面に接して、該部材１２がフランジ３６
とレバー１４との後壁を同時に支持している。

該部材１２の後壁面にはそれ自体公知の望ましくは３つ
の傾斜溝が設けられている。

同様な溝は止具３８によってキャリパ−ハウジング２の
段付部３７へ装着されているランプ１１の前壁面にも同
数だけ設けられている。

両部材に設けられた複数対の溝間内には各１個のボール
１３が収容されている。

ロッド１フ周辺のレバ−１４前面には円形をなすばね材
で構成されたつめ部材即ち板ばね部材１６が設けられて
いる。

該つめ部材１６は、第１図に示すように、レバー１４、
部材１２と共に、等角度に配置された例えば３ケのリベ
ット１５によって一体的に固着されている。

部材１６はその拡大図を示す第２，３図から明らかなよ
うに、円板の中央部に概ねＨ形の切抜部分４０がある。

該切抜部分４０の上下中央部の両板ばね部即ち係合片４
１，４２は前方へ傾斜しその先端部が互いに折曲部分４
３，４４から反対方向に向って巻き上げられている。

この折曲部分４３．４４はロッド１７の望ましくは正多
角形状断面をなす回転保持部３２の夫々対向する平面部
分に接してこれを挾持し、該ロッド１７の回転を規制し
ている。

また部材１６は中心から半径方向に同一距離だけはなれ
て等角度に配置された３ケの孔５４を有している。

この孔には前述の始くリベット１５が嵌合される。

部材１６の外周部分には前記両係合片４１．４２の傾斜
方向と同一方向に突出屈曲した段付部を形成している。

この段付部には第１図に明らかなようにダストブーツ１
８の外縁が保持されている。

ダストブーツ１８の内縁はロッド１７の段付拡犬部３１
に支承され、こうして該ダストブーツ１８は部材１６を
完全に外部から分離し、部材１６へ泥や土などが入り込
むのを防止している。

第２，３図において、切抜部分４０の左右縁には同心を
なす弧状部分４９．５０が設けられている。

両部会４９．５０の先端は突出片４１．４２の傾斜方向
と反対の方向に折曲げられ、それにより該弧状部分の先
端にラチェット爪４５．４６が構成されている。

この爪４５．４６は、リベット１５にてレバー１４、部
材１２へ該部材１６を固定したときに、ナツト部材２７
の左端のフランジ３６に設けたラチェツト歯４７へ係合
する位置に設けられている。

この爪４５．４６は該爪に対置するラチェツト歯４７に
対して一方向への運動時には噛合作用をするが他方向へ
の運動時には弾性的に逃げて噛合作用をしない一方向作
用のみを行なうのである。

部材１２の外周部とキャリパ−ハウジング２の所定部所
との間には公知の方法でダストカバー２６が配設され、
ラップ１１、部材１２及び鋼球１３ヘデイスク等から泥
や異物が入り込むのを防止している。

本発明のディスクブレーキにおいて、今、摩擦パッド７
．１０が摩耗した状態、あるいは、調整前の状態で、本
ディスクブレーキ装置を作動させる。

初期位置からケーブル等によってレバー１４を回転させ
ると、その回転入力はランプ及びボールによって直線方
向出力に変換され、該出力によってロッド１７がパッド
１０をディスクへ押圧すると共に、該ロッド１７の作動
反力によりパッド７がディスクの他面を押圧する。

即ちレバー１４の回動により部材１２とつめ部材１６と
が該レバー１４の回動に従動すると共に該部材１６の係
合片４１，４２が回転保持部３２を介してロッド１７を
同様に同方向に回転させる。

このとき、ナツト２７はフリクションリング２８にて回
転を阻止されているため、該ナツト２７は回転せず、該
ナツト２７の前面にあるラチェツト歯４７は静止してお
り、部材１６上の爪４５．４６は該歯４７を乗越えて移
動する。

これとともに、部材１２はボール１３及びランプ部材１
１との間に生じるはね１９に抗する力に伴なって前方（
第１図の左方）に変位する。

これに伴なってナツト２７のフランジ３６が前方への推
力゛を受け、ナツト２１はフリクションリング２８内を
滑動して全体として前方へ移行する。

該ナツト２７の移行により、ナツトのねじ部３５に螺合
する調整ねじ部３３を介してロッド１７が左方へ従動し
てパッド１０がディスクＤの右面に対して押圧されると
同時に、部材１２を前方へ変位したランプ部材の反力に
より、ランプ１１、キャリパ−ハウジング２、ボルト３
キャリパ−ハウジング１を介してパッド７がディスクＤ
の左面を押圧し、ディスクＤはその両面をパッド７．１
０でもって挟圧制動される。

レバー１４を開放すると、該レバーはばね１９などの作
用によって迅速に初期位置へ逆転復帰する。

この際該レバー１４はつめ部材１６を同時に逆転する。

つめ部材１６のこの逆転は、該部材１６の爪４５，４６
が今や該爪と噛合関係にあるナツト２７のラチェツト歯
４１を介しかつフリクションリング２８の摩擦力に打勝
ってナツト２７を同方向に同時に回転させる。

然して本発明ではばね１９がスリーブ５２を介して部材
１２を常に後方へ偏倚しているので爪４５，４６はナツ
ト２１と部＠１２との間の回転抗力を受けずに容易に該
ナツト２７を回動出来る。

このためレバー１４とナツト２７との間には相対的な回
転運動が生じる１しかしながらレバー１４とロッド１７
との間はつめ部材１．６Ｖ設けられた係合片４３．４４
によって連結されており相対的な回転運動を生じない。

従ってナツト２７はロッド１７に対して回転したことに
なり、この回転に相部する分だけロッド１７がねじ３３
，３５によってパッド１０の方へ送られこれによってパ
ッド１０とディスクＤとの間の隙間が小さくなる。

この隙間が充分小さい場合すなわち、摩擦パッド７．１
０の摩耗量が補償された場合には制動時にレバー１４を
回転しても該レバー゛１４に伴なって移動する部材１６
の爪４５，４６がナツト２７のラチェツト歯４７を乗越
えずレバー１゛４を戻しても該爪４５，４６がナツト２
７を回転させることはない。

従って調整は行なわれない。またレバー１４を回転した
時にロッドが左方に動いてパッド７．１０がディスクＤ
を挾持すると、その後のレバー回転はロッド１７に大き
な軸方向推力を生じる。

したがって、ナツト２７には該推力の反力によりそのフ
ランジ部３６の後面が部材１２に強く圧着され、該ナツ
ト２７はフリクションリング２８の保持抵抗に打ち勝っ
てレバー１４と共に回転する。

従ってこの場合にはレバー１４を回転しても爪４５，４
６がナツト２７のラチェツト歯４７を乗り越ることはな
い。

これかられかるように、ラチェツト歯４７と爪４５．４
６とによる調整作業は、パッドがディスクに圧着ぎれる
以前であってパッドとディスクとの間の隙間が予かしめ
定められた量以上になった場合にのみ行なわれる。

そのためキャリパ−ハウジングの変形、パッド自体の変
形などは上記調整作業に関係せず従って部材変形による
過調整の不安がないのである。

パッドの変換は蓋２２を取外し、ブツシュロッド１７の
後端のスリット３４ヘトライバーなどを当てて該ロッド
をキャリパ−ハウジング２内へ引戻すことによって容易
に行なうことが出来る。

この発明は土述のように、つめ部材がナツトを回転させ
てこれに螺合しているブツシュロッドを送り出し、パッ
ドとディスクの隙間を自動的に一定範囲に調整するとい
う自動調整機能を備え、更にはブツシュロッドの回転防
止機能をも有することが出来従ってむだなスペースをと
ることがなく、小型化できると同時に、部材１２がスリ
ーブ５２によってナツト２１の拡大フランジ３６から引
はなされる方向の力を受けているので該ナツトには軸方
向の荷動がかかつておらずつめ部材１６の爪４５．４６
は単にフリクションリング２８の回転抗力に打勝つだけ
で所望・の調整が可能となり、また爪の耐久性について
の問題が容易に解消出来、更にばね１９は、これまでの
ような、爪４５゜４６の強度からフリクションリング２
８の回転抗力を引いた値より小さい回転抗力を部材１２
とナツト部材２７との間に生じるようなものに限定され
ず、即ち爪部の耐久性と無関係に車側の要求に応じて選
択できることが可能となった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を具体化した装置の断面図、第２図はつ
め部材の平面ス、第３図はつめ部材の断面図である。 符号の説明、１，２；キャリパ−ハウジング、３：ボル
ト、４；ブラケット、７；パッド、１０；パッド、１１
；ランプ、１２；直線方向出力発生部材、１３；鋼球、
１４；レバー、１６；つめ部材、１７；ブツシュロッド
、１９；ばね、２７；ナツト部材、２８；フリクション
リング、３６；拡大フランジ、４５，４６；爪、４７；
ラチェツト歯、５２；スリーブ、５３；フランジ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ディスクをはさんで対置する一対の脚部を有、し、
   一方の脚部にはディスクの一面に対置して第１の摩擦パ
   ッドを保持し、他方の脚部にはディスクの軸線方向に延
   びる貫通孔を備えているキャリディスクの他面側で車輛
   に固定されキャリパハウジングの両脚部間に延在し、か
   つディスクの他面に対置する第２の摩擦パッドを支持し
   ているサポートと、 キャリパハウジングの両脚部間に延び中間部分がサポー
   トに滑動可能に受入れられたボルトと、他方の脚部の内
   壁に回転不能に設けられ傾斜みぞが形成されたランプ部
   材と、 該ランプ部材に対向して前記他方の脚部の貫通孔に浮遊
   状態にて配置され、ランプ部材との対向面に傾斜みぞが
   形成された直線方向出力発生部材と、 該直線方向出力発生部材に回転入力を与えるための回転
   受入レバーと、 前記ランプ部材と直線方向出力発生部材との両傾斜みぞ
   内に収容され直線方向出力発生部材に直線方向出力を発
   生するためのボールと、 前記直線方向出力発生部材に対し軸線方向に間隙をおい
   て当該部材へ設けられ、該直線方向出力発生部材側に突
   出する一方向ラチェット爪と中心部に縮径方向のばね力
   が付与されている板ばね部とを有する板はね部材と、 一端に設けたフランジが直線方向出力発生部材と板はね
   部材とによって挾持されかつ該板はね部材が接触するフ
   ランジの面にはラチェツト歯か形成され、該ラチェツト
   歯に板はね部材のラチェツト爪が咬合い、軸線方向に貫
   通するねじ孔を有するナツトと、 該ナツトの後端部に摩擦係合し該ナツトに対して、キャ
   リパハウジングに対する回動抵抗を与えているフリクシ
   ョンリングと、 一端が該ナツトのねじ孔に螺合し、他端が第２の摩擦パ
   ッドに当接し、中央部外周が前記板ばね部材の板ばね部
   と有段的に係合する多角形状に形成されているブツシュ
   ロッドと１ 、一方の端部が前記他方の脚部のり壁に支承されている
   ばねの他端を一端に支承しそれによって他端が直線方向
   出力発生部材を常に前記ランプ部材に偏倚し、かつ内部
   に前記ナツトが遊嵌する軸線方向孔を有しているスリー
   ブと、 を具備している機械式ディスクブレーキ。