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JPH1187327A - 液体原料気化装置 - Google Patents

液体原料気化装置

Info

Publication number
JPH1187327A
JPH1187327A JP19501398A JP19501398A JPH1187327A JP H1187327 A JPH1187327 A JP H1187327A JP 19501398 A JP19501398 A JP 19501398A JP 19501398 A JP19501398 A JP 19501398A JP H1187327 A JPH1187327 A JP H1187327A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flow path
raw material
liquid
vaporization
liquid raw
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19501398A
Other languages
English (en)
Inventor
Kuniaki Horie
邦明 堀江
Hidenao Suzuki
秀直 鈴木
Tsutomu Nakada
勉 中田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from TW086117253A external-priority patent/TW565626B/zh
Application filed by Ebara Corp filed Critical Ebara Corp
Priority to JP19501398A priority Critical patent/JPH1187327A/ja
Publication of JPH1187327A publication Critical patent/JPH1187327A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高誘電体あるいは強誘電体の素材となる複雑
な気化特性を持つような液体原料を効率良く気化すると
ともに、微少量を精度良く制御し、気化装置内や配管内
の詰まりを防止できるようなコンパクトな気化装置を提
供する。 【解決手段】 液体原料Lを気化させて処理室28に供
給するための液体原料気化装置において、液体原料Lを
流通させる液体原料流路14と、液体原料流路の下流側
の気化流路14aと、該気化流路を加熱するための加熱
機構38,40とを備え、該気化流路はその単位流量当
たりの受熱面積が2(mm2/mm3)以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液体を原料
とする薄膜気相成長装置に用いる気化装置に係り、特
に、チタン酸バリウム/ストロンチウム等の高誘電体あ
るいは強誘電体薄膜材料を気化させるのに好適な液体原
料気化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体産業における集積回路の集
積度の向上はめざましく、現状のメガビットオーダか
ら、将来のギガビットオーダを睨んだDRAMの研究開
発が行われている。かかるDRAMの製造のために必要
な大容量素子の製造に用いる誘電体薄膜として、誘電率
が10以下であるシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、誘
電率が20程度である五酸化タンタル(Ta25)薄膜
に代わって、誘電率が300程度であるチタン酸バリウ
ム(BaTiO3)、あるいはチタン酸ストロンチウム
(SrTiO3)又はチタン酸バリウムストロンチウム
(BST)等の金属酸化物薄膜材料が有望視されてい
る。また、更に誘電率が高いPZT、PLZT、Y1等
の強誘電体の薄膜材料も有望視されている。
【0003】このような素材の成膜を行なう方法とし
て、化学気相成長(CVD)が有望とされており、この
場合、成膜反応槽内において原料ガスを被成膜基板に安
定的に供給する必要がある。原料ガスは、常温で固体の
Ba(DPM)2 ,Sr(DPM)2 などを溶解し、さ
らに気化特性を安定化するために有機溶剤(例えば、T
HFなど)を混合させたものを加熱して気化するように
している。このような気化を行なう装置として、液体原
料をスプレーノズルや超音波振動子によって一旦霧化
し、これを高温度領域に送ってガス化する技術が知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な高誘電体あるいは強誘電体の原料ガスを安定的に気化
させるのは非常に困難である。これは、これらの原料
の気化温度と分解温度が接近している、気化温度と有
機溶剤の気化温度に差がある、蒸気圧が非常に低い、
原料が微量の酸素や水蒸気等の存在により変質しやす
い、などの理由による。
【0005】例えば、Ba(DPM)2 ,Sr(DP
M)2 をTHF中に溶解した液体原料では、溶剤の液相
範囲は図23の(a)の領域であり、原料の固相あるい
は液相範囲は(a+c)である。従って、領域(a)の
原料を気化させるために領域(c)を通過する際に、溶
媒のみが気化して原料が析出し、通路を塞いだり、濃度
変化による品質悪化を招くので、気化の際は液体原料を
一気に高温領域に持っていく必要があると考えられる。
【0006】また、成膜する対象や成膜条件により、微
少量の原料を供給しなければならない場合がある。この
とき、気化がうまく行われず、気化ガスが不安定に成膜
室に送られると成膜に重大な悪影響を及ぼす。従って、
気化装置においては微少量までの制御を行なう必要があ
る。
【0007】前記の従来の技術においては、スプレーノ
ズルを用いて霧化する場合は、かなりの高圧でキャリア
ガスを送るので微少量を制御しながら霧化するのが困難
である。また、超音波振動子を用いる場合、気化温度に
近い高温に耐える素材を見つけることが困難であり、安
定した気化を行なうことができない。さらに、原料ガス
の気化はできるだけ反応槽の直前で行って気相での搬送
経路を短くするのが好ましいが、霧化してから気化する
ようにして、前記装置はコンパクトな構成とするのが困
難であった。また、両者とも霧化、スプレー部分に広い
空間が必要なため原料の滞留が起こり、その部分での原
料の変質の抑止や原料供給の制御性に劣るという問題が
あった。
【0008】この発明は、高誘電体あるいは強誘電体の
素材となる複雑な気化特性を持つような液体原料を効率
良く気化するとともに、微少量を精度良く制御し、気化
装置内や配管内の詰まりを防止できるようなコンパクト
な気化装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の問題点
に鑑みてなされたもので、請求項1に記載の発明は、液
体原料を気化させて処理室に供給するための液体原料気
化装置において、液体原料を流通させる液体原料流路
と、前記液体原料流路の下流側の気化流路と、該気化流
路を加熱するための加熱機構とを備え、該気化流路はそ
の単位液体量当たりの受熱面積が2(mm2/mm3)以
上であることを特徴とする液体原料気化装置である。
【0010】このような構成においては、単位液体量当
たりの受熱面積が充分大きく設定されているので内部の
液体原料を一気にかつ均一に加熱し、原料を分解又は変
質させるような温度・圧力領域を瞬時に通過させて安定
した気化工程が行われる。流路断面形状は、円形、楕
円、矩形、任意の多角形、任意の曲線図形が適宜に用い
られる。
【0011】好ましくは、前記気化流路を細管の内部に
形成する。これにより、簡単な構造でありながら前記の
効果を得ることができ、また、詰まり等を起こしにく
く、製造コストも安価でメンテナンスの際の交換も容易
である。
【0012】請求項2に記載の発明は、前記気化流路は
断面が環状に形成された環状流路を有し、前記環状流路
の内側部材が流れ方向に沿った切欠部と加熱機構とを有
していることを特徴とする請求項1に記載の液体原料気
化装置である。これにより、単位液体量当たりの受熱面
積を充分大きく設定すること、加熱壁面から被加熱液の
最遠部までの距離を短くすることができ、流路での流れ
が層流であっても熱伝導で伝わる最大距離を短くして気
化特性を向上させること及び流路断面積を充分稼ぐこと
の3点を達成し、しかも、構成が比較的簡単で製造やメ
ンテナンスコストも安価である。内側部材が流れ方向に
沿った切欠部を有しているので、気化部全体に亘って圧
力を下げることができ、かつ加熱機構を有しているので
内側部材にも熱を加えることができ、液体原料流路を内
外から加熱して、気化効率を上げることができる。
【0013】好ましくは、前記気化流路は、単位液体量
当たりの受熱面積が大きい気化促進領域と、単位液体量
当たりの受熱面積が前記気化促進領域より小さい圧力吸
収領域とを有することを特徴とする。
【0014】好ましくは、前記加熱機構が前記環状流路
を内外から加熱するように形成する。これにより、単位
液体量当たりの受熱面積をさらに大きくすることがで
き、かつ被加熱液の最遠部までの距離を短くすることが
できる。
【0015】請求項3に記載の発明は、液体原料を気化
させて処理室に供給するための液体原料気化装置におい
て、液体原料を流通させる液体原料流路と、前記液体原
料流路の下流側の気化流路と、該気化流路を加熱するた
めの加熱機構とを有し、前記気化流路は、その断面にお
ける各点の最短の壁面からの距離の最大寸法が2mm以
下であることを特徴とする液体原料気化装置である。
【0016】この場合も、流路断面形状は、円形、楕
円、矩形、任意の多角形、任意の曲線図形が適宜に用い
られる。これにより、気化流路内の液体原料の加熱面か
らの距離が最大で2mm以下であるから、流路内の流れ
が層流であっても、瞬時に熱伝導による気化を行なうこ
とができる。好ましくは、前記気化流路を細管の内部に
形成する。
【0017】請求項4に記載の発明は、前記気化流路は
断面が環状に形成された環状流路を有し、前記環状流路
の内側部材が流れ方向に沿った切欠部と加熱機構とを有
していることを特徴とする請求項3に記載の液体原料気
化装置である。これにより、気化部全体に亘って圧力を
下げることができ、かつ内側部材にも熱を加えることが
できるので、液体原料流路を内外加熱でき、気化効率を
上げることができる。好ましくは、前記加熱機構が前記
環状流路を内外から加熱するように形成する。また、好
ましくは、前記気化流路を、単位液体量当たりの受熱面
積が大きい気化促進領域と、単位液体量当たりの受熱面
積が前記気化促進領域より小さい圧力吸収領域とを有す
るようにする。
【0018】請求項5に記載の発明は、液体原料を気化
させて処理室に供給するための液体原料気化装置におい
て、液体原料を流通させる液体原料流路と、前記液体原
料流路の下流側の気化流路と、該気化流路を加熱するた
めの加熱機構とを備え、該気化流路は下流に向けて断面
積が拡大する拡大部を有することを特徴とする液体原料
気化装置である。これにより、各気化点の2次側の配管
抵抗を下げることで気化部の圧力を低下させ、気化に伴
う圧力上昇を回避して、効率の良い気化を行なうことが
できる。
【0019】好ましくは、前記拡大部の始点から終点ま
での平均広がり角を相当円直径に換算して14度以下と
する。これにより、気化に伴う圧力上昇を回避しつつ、
気化部における熱伝達を維持して効率のよい気化を行な
うことができる。
【0020】好ましくは、前記拡大部が2段以上構成さ
れ、初段の平均広がり角が相当円直径に換算して5度以
下であり、2段目の平均広がり角が14度以下とする。
好ましくは、前記拡大部の形状はその断面が拡大部の起
点P0と終点P1を通る2次曲線と10次曲線の間の領域
にあり、基点における広がり角度0度から5度の間にあ
るようにする。
【0021】好ましくは、前記拡大部の断面形状が、L
を前記拡大部の起点からの任意の点までの長さ、rをL
の点での断面での相当円半径、Cを任意の定数、L0
拡大部の起点、bを拡大部の起点の断面での相当円半径
として、 r≧C1×(L+L010+b1 かつ、 r≦C2×(L+L02+b2 で定義できる領域にあり、L0での接線とr=bの線と
のなす角度が0度以上5度以下であるようにする。これ
により、この領域内でスムーズに線先を繋いでできる形
状として最も効率のよい気化を行なうことができる。な
お、ここで、相当円半径とは、1つのループ内に囲まれ
た断面積と同一の断面積を持つ円の半径を言う。
【0022】請求項6に記載の発明は、液体原料を気化
させて処理室に供給するための液体原料気化装置におい
て、液体原料を流通させる液体原料流路と、前記液体原
料流路の下流側の気化流路と、該気化流路を加熱するた
めの加熱機構とを備え、前記気化流路は断面が環状に形
成されている環状流路を有することを特徴とする液体原
料気化装置である。
【0023】請求項7に記載の発明は、前記環状流路
は、円管あるいは矩形管等の流路断面が単一ループ状に
なっている外管と、これの中央部近傍に沿って設けた単
数あるいは複数の芯部材とから構成され、前記芯部材は
流れ方向に沿った切欠部と加熱機構とを有していること
を特徴とする請求項6に記載の液体原料気化装置であ
る。芯部材の外径を適宜に選択することにより、外管と
の間に適宜の隙間の環状流路が形成される。これによ
り、気化部全体に亘って圧力を下げることができ、かつ
内側部材にも熱を加えることができるので、液体原料流
路を内外加熱でき、気化効率を上げることができる。
【0024】好ましくは、前記芯部材は前記外管の軸方
向に移動可能とする。芯部材を移動させることにより付
着物の剥離等を促し、洗浄剤等と共用すれば真空系を破
壊せずに気化部等の洗浄を行なうことができる。
【0025】好ましくは、前記芯部材が外部との気密を
保持したまま軸方向に流れの上流方向に移動することに
より気化部からほぼ取り除くことができ、移動した先の
芯部材格納部から、溶媒、溶剤、洗浄液、キャリアガス
等を流すことができるようにする。これにより、気化部
のクリアランスが狭いため過大な圧力をかけて洗浄液を
流しても大量の洗浄液を流すことは困難である気化流路
の中央の芯部材を取り除くことにより、容易に洗浄液を
大量に流すことができ、洗浄を短時間で完全に実施する
ことが容易となる。
【0026】好ましくは、前記芯部材が外部との気密を
保持したまま軸方向に移動することにより気化部での気
化部外側管と芯部材のクリアランスを広げ、溶媒、溶
剤、洗浄液、キャリアガス等を流す圧力損失を低減し容
易に大量の溶媒、溶剤、洗浄液、キャリアガス等を流す
ことができるようにする。芯部材を軸方向に上流側に移
動させることにより、気化部クリアランスを拡大させる
ことができる。また、気化部のテーパが逆の場合は、下
流側に移動させることで同様の効果が得られる。
【0027】好ましくは、前記芯部材を加熱する内側加
熱手段を有する。これは、熱媒体の流路を形成してもよ
いが、電気ヒータ等を埋め込む簡易型としてもよい。
【0028】好ましくは、前記芯部材に、前記気化部又
は前記気化防止部に所定の流体を導入するための内部流
路及びノズル孔を形成する。これにより、気化の促進や
詰まりの防止、管内の洗浄等の目的のために、定常的に
あるいは必要に応じて溶媒、溶剤やキャリアガス、洗浄
液等を噴射する。
【0029】請求項8に記載の発明は、液体原料を気化
させて処理室に供給するための液体原料気化装置におい
て、液体原料を流通させる液体原料流路と、前記液体原
料流路の下流側の気化流路と、該気化流路を加熱するた
めの加熱機構とを備え、前記加熱機構は前記液体原料流
路を囲んで形成されたジャケット及び該ジャケット内に
収容された熱媒体を有することを特徴とする液体原料気
化装置である。これにより、充分な熱容量を有する流動
性熱媒体によって、その熱媒体の対流効果によりジャケ
ット内全体を均一温度にすることができ、局所的な高温
・低温を防ぐことができるため、瞬時の気化を促進する
ことができ、且つ原料の局所的高温による変質を防止で
きる。
【0030】好ましくは、前記ジャケットに前記熱媒体
を加熱するヒータを設ける。また好ましくは、前記ジャ
ケットに前記熱媒体を供給する熱媒体循環経路を設け
る。これにより、ジャケット内は強制対流となり、より
均一な加熱が実施できる。
【0031】請求項9に記載の発明は、液体原料を気化
させて処理室に供給するための液体原料気化装置におい
て、液体原料を流通させる液体原料流路と、前記液体原
料流路の下流側の気化流路と、該気化流路を加熱するた
めの加熱機構と、前記加熱機構の上流における前記液体
原料流路中の液体原料の気化を防止するための気化防止
機構を有する気化防止部を有することを特徴とする液体
原料気化装置である。これにより、加熱機構の上流側に
ある液体原料が気化流路の影響を受けて分解したり変質
するのを防止して、円滑で高品質の気化を行なうことが
できる。
【0032】好ましくは、前記加熱機構は、前記気化流
路を囲んで形成されたジャケット及び該ジャケット内に
収容された熱媒体を有する。好ましくは、前記加熱機構
は、前記気化流路の近傍に配置した発熱体を有する。
【0033】好ましくは、前記気化防止機構は、前記気
化機構の熱の影響が前記気化防止部の液体原料に及ばな
いようにするものである。好ましくは、前記気化防止機
構は前記気化機構の圧力の影響が前記気化防止部の液体
原料に及ばないようにするものである。
【0034】好ましくは、前記気化防止機構は、絞り
部、オリフィス、逆止弁、又は開閉弁の少なくとも1つ
を有する。好ましくは、前記気化防止機構は逆止弁を有
し、該逆止弁においては、弁体を弁座側に押し付ける駆
動機構が流れの一次側に配置されている。
【0035】請求項10に記載の発明は、液体原料を気
化させて処理室に供給するための液体原料気化装置にお
いて、液体原料を流通させる液体流路あるいは気化ガス
流路に、キャリアガス、溶媒、溶剤、洗浄液の少なくと
も1つを流すための媒体導入流路が合流していることを
特徴とする液体原料気化装置である。
【0036】好ましくは、さらに、前記液体原料を加熱
する加熱機構の上流における前記液体原料流路中の液体
原料の気化を防止するための気化防止機構を有し、前記
媒体導入流路が気化防止機構の手前で液体流路あるいは
気化ガス流路と合流するようにする。好ましくは、前記
媒体導入流路が気化防止機構と加熱機構の間で原料流路
あるいは気化流路と合流する。
【0037】好ましくは、前記媒体導入流路が気化流路
の出口で合流する。キャリアガスを気化部入口から流す
場合は流路断面積が小さいので絶対量に限度がある。流
路断面積の拡大された部位において、キャリアガスを大
量に流すことにより、気化部で気化されなかった未気化
分を気化させることができ気化効率を改善させることが
できる。また、洗浄の場合には、上からのみ洗浄液等を
流すと流路断面積が拡大されたところで偏流がおこり、
未気化分の完全クリーニングが困難となるが、この発明
によれば、流路断面積の拡大されたところで大量に洗浄
液等を流すことにより、クリーニングがより完全とな
る。
【0038】さらに好ましくは、前記媒体導入流路が気
化流路の出口において気化流路に対向して合流する。こ
れにより、流路断面の拡大された所から配管を設置でき
るので、配管径を大きくでき、流量を大きくとることが
できる。また、配管を気化部の中心に設置できるため等
分配流れにできる。
【0039】請求項11に記載の発明は、液体原料を気
化させて成膜室に供給するための液体原料気化装置にお
いて、気化ガスが成膜室に送られるラインの気化部出口
からのポートが上り勾配部を有していることを特徴とし
た液体原料気化装置である。これにより、気化部で完全
に気化されなかった未気化原料や、一旦気化したが再凝
縮して液化した原料が処理室側へ流れ込むのを防止する
ことができる。
【0040】請求項12に記載の発明は、請求項1ない
し11のいずれかに記載の液体原料気化装置と、該液体
原料気化装置の下流に配置された成膜室とを具備するこ
とを特徴とする成膜装置である。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。本発明の気化装置は、例えばチタ
ン、バリウム、ストロンチウム、鉛、ジルコニウム、ビ
スマス、タンタル、ニオブ、ランタン等の有機金属化合
物を有機溶剤に溶解させた液体原料を気化させるときに
効果が著しい装置である。
【0042】図1は、本発明の気化装置を含む薄膜気相
成長装置の全体の概要を示す図である。図1において、
10は液体原料ソースであり、液体原料Lを収容する原
料容器12と、これに接続された原料輸送管14を有
し、これには液体原料を圧送する原料ポンプ16と精密
な流量制御及び脈動の平坦化を行なう流量制御器18が
設けられている。
【0043】原料輸送管14に沿った流量制御器18の
下流側には気化防止部20が設けられ、そのすぐ下流側
に、液体原料Lを高温・低圧にさらすことによって瞬時
に気化させる気化部22が設けられている。気化部22
は保温ヒータ24で加熱されたガス輸送管26により処
理室28内の原料ガス噴射装置30に接続されている。
また、ガス噴射装置30には、ヒータ及び流量調整器を
有する反応ガス(酸化ガス)用配管32が接続されてい
る。
【0044】この実施の形態の気化部22は、安定的に
多くの加熱熱量を供給できるように、高温の熱媒体を収
容するジャケット構造の加熱部36を有する。そして、
この加熱部36では、図2(a)に示すように、単位液
体量当たりの受熱面積(受熱面積比)を大きく設定する
ために、ジャケット38の中に原料輸送用の細管14a
を挿通する構成としている。熱媒体としては、熱容量の
大きいオイル等を用い、図1に示すようにジャケット3
8内に配置された高温熱交換器40でこれを加熱してい
る。また、気化部22では、薄膜気相成長装置の下流に
配置した真空ポンプ34によって低圧雰囲気が保たれて
いる。
【0045】なお、加熱部36の構成としては、図3
(a)に示すように、ジャケット構造を用いずに直接細
管14aをヒータ42で加熱するもの、図3(b)に示
すようにジャケット38内の熱媒体を外部のヒータ42
で加熱するものでもよい。さらに、図4に示すように外
部に熱媒体の加熱を行なうタンク44を設け、これとジ
ャケット38とをポンプ46及び循環経路48を介して
接続し、熱媒体を循環させるようにしてもよい。これに
より、気化防止部20に与える熱影響を最小限としつつ
気化部22に対する充分な加熱を行なうことができる。
【0046】この構成では、単位液体量当たりの受熱面
積である受熱面積比H1は、細管14aの内径をdとす
ると、単位長さ当たりの受熱面積S=πdと液体の体積
V=πd2/4の比に比例するから、 H1∝S/V=4/d となって、径dに反比例して大きくなる。この径を2m
m以下に設定すれば充分に迅速な気化が行われ、良好な
結果を得ることができる。
【0047】気化防止部20は、液体原料Lを、その分
解や変質を抑制しつつ気化部22において瞬時に気化す
ることができるような気化準備状態に置くものである。
気化防止部20は、恒温槽50から温度が制御された流
体が供給される低温熱交換器52を備えている。これに
より、低温熱交換器52内の原料輸送管14、逆止弁5
4、液体原料Lは、周辺部の温度変化にかかわらず、例
えば、図23に示す点Yの温度Tyに保たれている。ま
た、逆止弁54により気化部側の負圧の影響を受けない
ような値Pyになっている。
【0048】このような構成の気化装置においては、原
料容器12に収納されている液体原料Lは、原料ポンプ
16により原料輸送管14に沿って流量制御器18に送
られ、精密に流量制御されると同時に、脈動が平坦化さ
れた後、気化防止部20に送られる。気化防止部20で
は、分解や変質等をせず、かつ、気化温度に移行しやす
いような温度Ty及び圧力Pyに維持され、さらに気化
部22に流入する。
【0049】気化部22に流入した液体原料Lは、細管
(キャピラリーチューブ)14aと外側管(ジャケッ
ト)38からなる二重円筒構造の熱交換器40に流入す
る。ここではジャケット38内の高温熱媒により、単位
液体量当たり大きな受熱面積を持つ細管壁を介して多量
の熱が流れ、温度が瞬時に上昇するとともに、下流側の
真空ポンプ34の作用で圧力も急激に下がり、図23の
気化領域の点Zに達する過程で気化する。
【0050】気化防止部20の低温熱交換器52と気化
部22の高温熱交換器40は非常に小さい間隔を置いて
隣接しており、この間の原料輸送路14では温度勾配が
急になっている。従って、液体原料Lは領域(c)を瞬
時に通過し、原料が変質することもなく、また溶媒が先
に気化することにより溶質が析出することもなく完全に
気化し、処理室28の中の被処理体Wに送られる。
【0051】この実施の形態では、原料輸送路を細管1
4a1により構成したが、図2(b)に示すように、扁
平な矩形管14a2として形成してもよく、これによっ
て、同様の加熱効果を得ながら処理流量の増大を図るこ
とができる。また、前記では液体原料Lおよび原料容器
12が一種類の場合を取り扱っているが、これに限るこ
とはない。複数の原料容器から複数の原料を導いて混合
容器(図示せず)にて混合し、その混合溶液を気化防止
部20および気化部22に通して気化し、処理室28に
供給することができる。
【0052】図5(a)は、本発明の他の実施の形態の
気化装置を示す図であり、後半部において気化部22の
細管14aの内径が拡大する拡大部56を有している。
このような拡大部56は、液体原料Lが加熱されて部分
的に気化するに従い、同径であると圧力が上昇して気化
しにくくなるので、それを回避するために設けられてい
る。また、気化ガスをガス搬送管まで圧力損失を抑え
て、断熱膨張による温度変化を最小限にするためにスム
ーズに拡大する機構も兼ねている。従って、拡大部56
は、直線部において気化温度までの顕熱を得た後、気化
のための潜熱を得はじめる位置、すなわち、気化が始ま
る位置に設けるのがよい。あまりに急に拡径すると細管
壁からの熱の供給が不充分となって却って気化効率が下
がるので、拡大部56の角度θを14度以下、好ましく
は5度以下に設定する。図5(b)は、2段階の拡大部
56a,56bを形成したもので、1段目θ1は5度以
下、2段目θ2を14度以下とするとよい。
【0053】さらに、図6(a)は、拡大部56cを連
続的に拡径する曲線断面形状を有するように構成したも
のである。このように、段階的あるいは連続的に拡径す
ることにより、圧力の急激な変化を防止して効率の高い
気化を行なわせることができる。この実施の形態では、
拡大部の断面形状は、拡大部の起点P0と終点P1を通る
2次曲線と10次曲線の間の領域(図6(a)において
斜線を施した領域)にある。すなわち、図6(a)にお
いて、曲線C1は、 (r−r0)/(r1−r0)=[(L−L0)/(L1−L
0)]2 であり、曲線C2は、 (r−r0)/(r1−r0)=[(L−L0)/(L1−L
0)]10 である。また、起点P0における広がり角度θ0が、図6
(b)に示すように、0<θ0<5度の間に入るように
なっており、拡大部が滑らかに連続するようになってい
る。なお、この実施の形態では断面円形としたが、楕
円、長方形等の場合も同様に設定することができる。そ
の場合は、rとして実際の半径の代わりに相当円半径を
用いる。これは、その部分の断面積をAとすると、 r = (A/π)1/2 で与えられる。
【0054】図7は、この発明の他の実施の形態を示す
もので、気化防止部20において気化部22の圧力の影
響が及ぶのを防止するための構成を説明するものであ
る。図7(a)では、気化部22と気化防止部20の間
に径をさらに小さくした絞り細管58aを設けており、
また、図7(b)では、絞り細管の代わりにオリフィス
58bを設けている。このような絞り部58a,58b
が気化部22により気化防止部20に作用する圧力の影
響を抑制するように作用することは説明を要しないであ
ろう。なお、いずれの実施の形態においても、気化防止
部20の上流側に逆止弁60を設けており、これを適当
な値に設定しておくことによっても同様の作用を得るこ
とができる。
【0055】図8(a)は、この発明の他の実施の形態
を示すもので、気化防止部20において、低温熱交換器
52内の細管14a中に逆止弁62を設けたものであ
る。この逆止弁62は、図8(b)に示すように弁体6
4を付勢する手段であるバネ66を流量の上流側に設
け、伸張したバネ66の引っ張り力を用いて弁体64を
弁座68に押し付けている。これは、図8(c)に示す
実施の形態のように圧縮されたバネの押しつけ力を用い
る逆止弁62aでは、バネが弁体64の下流側に位置
し、この部分に液体原料Lが溜まり、気化部22の熱
的、圧力的な影響を受けやすい箇所に滞流を生じやすい
点を改良したもので、図8(a)又は(b)の構成では
そのような滞流を防止して液体原料Lの変質等を防止す
ることができる。
【0056】図9(a)は、この発明のさらに他の実施
の形態を示すもので、原料輸送路14は、外側の管70
と、その内側に微小な隙間をもって配置された芯部材7
2から構成され、断面が図10に示すように環状に形成
されている。この場合、芯部材72の外径をd1、外側
管70の内径をd2とすると、単位液体量当たりの受熱
面積である受熱面積比H2は、受熱面積S=πd2と体積
V=π(d2 2−d1 2)/4の比に比例するから、 H2∝S/V=4d2/(d2 2−d1 2) となる。ここで、d2≒d1であるので、 H2∝S/V≒2/(d2−d1) となって、径の差(d2−d1)にほぼ反比例して大きく
なる。これは、流路断面積を維持して気化量を維持しつ
つ、図1の単なる細管14aよりも気化効率を高めるこ
とができることを意味する。図9(b)は、拡大部を2
段階に設けた図5(b)に対応するものである。
【0057】図11は、芯部材を気化部22のみに設け
たもので、(a)はストレートな芯部材72aの例を、
(b)は円錐部を持つ芯部材72bを用いた例を示して
いる。図11の(b)の構成においては、流路の幅を大
きくすることなく、従って、受熱面積比を大きくするこ
となく円滑に熱を供給しながら流路断面積を拡大し、圧
力増加を抑制して効率の良い気化を行わせている。
【0058】図12(a)は、芯部材の形状を変えた変
形例を示すもので、芯部材が流れ方向に沿った切欠部を
有している。図12(b)の芯部材72hは、断面にお
いて所定中心角の扇形の切欠73aが形成されており、
図12(c)では、内側に開口する切欠73bが形成さ
れた管状の芯部材72iの例を示す。これにより、気化
部22の各断面において加熱面との間に狭い間隙を形成
する部分(気化促進領域)Aと、これより広い流路を形
成する部分(圧力吸収領域)Bとができ、気化促進領域
Aで急激な気化が起こっても、その圧力上昇は圧力吸収
領域Bで吸収され、気化部全体に亘って圧力を下げるこ
とができるので、気化効率を向上させることができる。
【0059】図13は、さらに芯部材72cの内部にチ
ューブ74を挿入してこれにより加熱媒体流路を形成
し、環状流路を流れる液体原料Lを内外から加熱するよ
うにしたものである。この例では、芯部材72cの熱媒
体流路との干渉を防ぐために、気化防止部20から気化
部22に至る原料輸送路14を90度曲げて構成してい
る。この場合の受熱面積比H3は、図14(a)に示す
ように、受熱面積S=π(d2+d1)と体積V=π(d
2 2−d1 2)/4の比に比例するから、 H3∝S/V=4(d2+d1)/(d2 2−d1 2) =4/(d2−d1) となって、図10の場合よりも気化効率が2倍になるこ
とが分かる。なお、図14(b)は、外側の管70及び
芯部材72dを矩形に形成したものである。これによっ
て、同様の加熱効果を得ながら処理流量の増大を図るこ
とができる。
【0060】図15は、環状流路を流れる液体原料Lを
内外から加熱する他の実施の形態であり、ここでは気化
部22の芯部材72dの内部にヒータ76及び温度セン
サ78を埋設している。この例では、芯部材72dは気
化防止部20をも挿通しているが、芯部材72dの気化
部22と気化防止部20の間には断熱材80が配されて
相互の熱移動を防止している。この実施の形態では、配
管の代わりに電気配線を施せばよいので、構成が簡略化
されるとともに、センサ78による検出値をもとに細か
い温度制御を行なうことができる。
【0061】図16(a)は、図15の実施の形態のヒ
ータを内蔵する芯部材の形状を変えた変形例を示すもの
で、芯部材が流れ方向に沿った切欠部を有している。図
16(b)の芯部材72jは、断面において所定中心角
の扇形の切欠73aが形成されている場合、図16
(c)は、内側が開口する切欠73bを有する管状の芯
部材72kの例を示す。これにより、気化促進領域Aと
圧力吸収領域Bとができ、液体原料流路を内外から加熱
することにより気化促進領域Aで気化が起こっても、そ
の圧力上昇は圧力吸収領域Bで吸収され、気化部全体に
亘って圧力を下げることができるので、気化効率を向上
させることができる。
【0062】図17は、この発明のさらに他の実施の形
態を示すもので、芯部材を原料輸送管から出し入れ自在
な構成としたものである。図17(a)の実施の形態で
は、気化防止部20と気化部22の原料輸送管14は直
交して接続され、気化部22を構成する外管82は上部
に開口しており、これに嵌合する大きさの大径部84を
有する芯部材72eが挿入されている。大径部84の外
周面には、外管82との間の気密を維持するシール用O
リング86が配置され、外管82の頂部には芯部材72
eを昇降駆動する駆動装置88が設けられている。
【0063】この実施の形態では、外管82と芯部材7
2eの間の微小な環状流路に詰まり等が生じた場合、あ
るいはそのおそれがある場合には、以下のような洗浄工
程を行なう。すなわち、所定の弁の切替により、例えば
原料輸送管14には洗浄剤(溶剤)を流し、気化装置の
下流をドレンに接続する。そして、洗浄剤を流しながら
駆動装置88を作動させて芯部材72eを昇降させる。
これにより、装置全体の真空系の破壊を伴うことなく、
詰まりの予防あるいは詰まりの解消を図ることができ
る。
【0064】図17(b)は、気化防止部20と気化部
22とが直列している場合の例である。この場合、気化
防止部と気化部の間の絞り部58aに対応する部分の芯
部材72fの太さを変えておき、芯部材を昇降させるこ
とにより絞り部の隙間を調整するように用いることもで
きる。前記いずれの場合においても、先の場合と同様に
芯部材を加熱する構造にしてもよい。
【0065】図18は、この発明のさらに他の実施の形
態を示すもので、図17(a)の実施の形態において、
気化部22から芯部材72mを完全に引き抜き可能とす
るための抜き出し領域90を外部とは気密に設けたもの
である。この抜き出し領域90の上部には芯部材72m
をシャフト91を介して昇降させる駆動装置88が設け
られ、この駆動装置88は抜き出し領域90とはベロー
ズ89により区画されている。芯部材72mの大径部8
4にはこれが下降位置にあるときに抜き出し領域90と
気化部22を区画するOリング86が設けられている。
引き抜き領域90の上部には、洗浄液を供給するための
洗浄液配管93が設けられている。
【0066】このような構成の実施の形態では、気化工
程は、図18(a)に示すように芯部材72mを下降さ
せて気化管82に芯部材72mを挿入し、環状の気化流
路を形成した状態で行う。洗浄を行なう場合には、図1
8(b)に示すように、芯部材72mを気化部22から
完全に引き抜いて、引き抜き領域90の洗浄液配管93
から洗浄液Clを供給する。この洗浄液は、まず芯部材
72mを洗浄し、次に気化管82の内面を洗浄して気化
部下方のドレンに排出される。
【0067】ここにおいて、芯部材72mが気化管82
から引き抜かれているので、芯部材72mと気化管82
の内面の双方が広い空間に露出しており、従って、ここ
に大量の洗浄液Clを高圧で供給することができる。従
って、狭い隙間を維持したままで洗浄を行なう場合に比
較して格段に高い洗浄効果と洗浄効率を得ることができ
る。
【0068】図19(a)は、図18の実施の形態の変
形例を示すものであり、芯部材72mが直列に配置され
た気化防止部20と気化部22の双方に出入り可能にな
っている。この例では、芯部材72mは先端に向かうに
従い狭まるテーパ部75cを介して連絡された異なる径
の部分75a,75bを有している。気化防止部20及
び気化部22の内部流路82a,82b,82cは、芯
部材72mの上記のような形状に対応する断面形状を有
して形成されている。同様に、気化防止部20の頂部に
設けられた抜き出し領域90の上部には駆動装置88が
設けられている。
【0069】この実施の形態において、洗浄工程は、同
様に図19(b)に示すように芯部材72mを気化部2
2から引き抜き、図18(b)と同じ工程を行なうこと
によりなされる。洗浄液配管93から洗浄液Clを流す
ことにより、気化防止部20及び気化部22の内部流路
82a,82b,82cが同時に洗浄される。芯部材7
2mに異なる径の部分を設けることにより、洗浄液を流
すための適当な幅を有する洗浄空間を形成するために芯
部材の全てを気化防止部20から引き抜く必要がなくな
る。従って、このように直列配置形式の気化装置におい
て芯部材72mの所要ストロークを短縮化でき、装置の
寸法を小さくすることができる。
【0070】図20もまた図18の実施の形態と関連す
るものであり、図20(a)は、気化管82aとこれに
挿入される芯部材72pの双方に同じテーパを有するテ
ーパ部94a,94bをそれぞれ形成したものである。
この実施の形態では、下流に向かうに従い縮径するよう
になっているが、逆の構成でもよい。この実施の形態で
は、気化部22から芯部材72pを全て引き抜かなくて
も、ある程度引き出せば、芯部材72pと気化管82a
の間にある程度の隙間が形成され、ある程度の流量の洗
浄液Clを流入させて効率的な洗浄を行なうことができ
る。
【0071】図20(b)は、テーパ部94a,94b
が気化防止部20から気化部22に亘って形成されてい
るものである。芯部材72qは気化部22に対応する箇
所でヒータを内蔵した構成になっている。この実施の形
態では、芯部材72qが気化防止部20を含めてテーパ
を有しているので、芯部材72qの引き出しのための距
離がさらに小さくて済む。
【0072】図21は、芯部材72gの内部に流路90
を形成するとともに、芯部材72gの表面にノズル孔9
2を形成するようにしたものである。従って、この内部
流路90及びノズル孔92を介して、定常的にあるいは
必要に応じて所定の流体を主に気化部22に供給するこ
とができる。このような処理の目的は、通常、気化の促
進及び詰まりの防止であり、いずれの場合も、キャリア
ガス、原料と同一の溶媒あるいは適当な溶剤、洗浄剤等
を供給する。
【0073】例えば、この装置においてキャリアガスを
注入して気化を促進する処理を説明する。これは、液体
原料Lの全量が気化する条件である以下の式に基づいて
行われる。 PVM/PT≧QM/(QM+QSV+QCG) ここで、PVMは原料のその温度での蒸気圧、PTは気化
部の全圧、QMは金属原料の量、QSVは溶剤の量、QCG
はキャリアガスの量を示す。PVMは温度の関数であり、
温度が一定であれば一定である。従って、気化部22の
温度を変化させることなく溶媒やキャリアガスを芯部材
72gのノズル孔92から供給することができれば、気
化を促進させることができる。
【0074】キャリアガス、溶媒、溶剤、洗浄液は気化
防止部20の上流側や気化部の入口、気化防止機構と気
化部の間から注入してもよく、気化器2次側の洗浄を主
目的とするのであれば気化器の出口で注入すると洗浄液
を多量に流せるので効果が大きい。
【0075】図22はそのような実施の形態を示すもの
で、やはり全体が熱媒体を導入するジャケット構造を有
する二重管として形成され、気化部22を構成する細管
70の下流側にテーパ状の拡径部70aが形成され、さ
らにその下流側の大径部70bには拡径部70aの下部
から細管70の出口に対向するように開口する媒体導入
管95が設けられている。この媒体導入管95は開閉弁
96を介して、キャリアガス、溶媒、溶剤、洗浄液等の
ソースに接続されている。気化原料を導出する導出管9
7は媒体導入管95の開口部よりさらに下流側の大径部
70bに開口しており、これは水平より上に向かって延
びる上がり勾配部98を介して下流の成膜室等に接続さ
れている。なお、大径部70bの下方には開閉弁99a
を介してバイパス管99が設けられている。
【0076】この装置においては、気化工程中は、媒体
導入管95より導入された原料の量に応じた量のキャリ
アガスを、原料とは対向する側から気化領域に流すよう
にする。これにより、キャリアガスを気化部入口側から
流す場合に比較して流路断面積に拘束されることなく、
適切な所定の気化領域あるいはその下流部分に大量に流
すことができ、気化部22での未気化分を気化させるこ
とができるので、気化効率を改善させることができる。
【0077】また、気化工程の間の洗浄工程において
は、媒体導入管95より、溶媒、溶剤、洗浄液等を導入
し、これをバイパス管99等から導出して効率的に気化
部22の洗浄を行なう。勿論、同時に上流側からこれら
を導入してもよい。これにより、上流からのみ洗浄液等
を流しただけでは偏流が起きて洗浄しにくい流路断面積
の拡径部70aも、大量に洗浄液等を流すことによっ
て、より完全な洗浄を行なうことができる。
【0078】なお、この実施の形態では、導出管97に
上がり勾配部98が設けられているので、未気化原料
や、一旦気化したが再凝縮して液化した原料が上がり勾
配部98でトラップされる。従って、これらの液体状態
の原料が下流の成膜室等に流入するのが防止される。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、単位液体量当たりの受熱面積が充分大きく設定され
ているので内部の液体原料を一気にかつ均一に加熱し、
原料を分解又は変質させるような温度・圧力領域を瞬時
に通過させて安定した気化工程が行われる。従って、高
誘電体あるいは強誘電体の素材となる複雑な気化特性を
持つような液体原料を効率良く気化するとともに、微少
量を精度良く制御し、気化装置内や配管内の詰まりを防
止できるようなコンパクトな気化装置を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく気化装置を用いた薄膜気相成長
装置の全体の概要図である。
【図2】(a)は、図1の装置の気化部の加熱機構の断
面図であり、(b)は同様の部分の他の実施の形態であ
る。
【図3】(a)及び(b)は、気化部の加熱機構のさら
に他の実施の形態の概要図である。
【図4】気化部の加熱機構のさらに他の実施の形態の概
要図である。
【図5】(a)及び(b)は、それぞれこの発明の気化
装置の他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれこの発明の気化
装置の他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図7】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の他
の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図8】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の他
の実施の形態を模式的に示す断面図、(c)さらに他の
実施の形態の図である。
【図9】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の他
の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図10】図9(a)のA−A線断面図である。
【図11】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の
他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図12】(a)及び(b)又は(c)は、この発明の
気化装置の他の実施の形態を模式的に示す断面図であ
る。
【図13】この発明の気化装置の他の実施の形態を模式
的に示す断面図である。
【図14】(a)は、図13のA−A線断面図であり、
(b)は他の実施の形態の同様箇所の断面図である。
【図15】この発明の気化装置の他の実施の形態を模式
的に示す断面図である。
【図16】(a)及び(b)又は(c)は、この発明の
気化装置の他の実施の形態を模式的に示す断面図であ
る。
【図17】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の
他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図18】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の
他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図19】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の
他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図20】(a)及び(b)は、この発明の気化装置の
他の実施の形態を模式的に示す断面図である。
【図21】この発明の気化装置の他の実施の形態を模式
的に示す断面図である。
【図22】この発明の気化装置の他の実施の形態を模式
的に示す断面図である。
【図23】気化すべき原料の特性を示すグラフである。
【符号の説明】
L 液体原料 14 液体原料流路 14a 細管 20 気化防止部 22 気化部 28 処理室 30 ガス噴射装置 36 加熱部 38 ジャケット 40 高温熱交換器 42 ヒータ 48 循環経路 50 恒温槽 52 低温熱交換器 54 逆止弁 56 拡大部 66 バネ 68 弁座 70 外側管 70a 拡径部 70b 大径部 72 芯部材 73a,73b 切欠

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 該気化流路はその単位液体量当たりの受熱面積が2(m
    2/mm3)以上であることを特徴とする液体原料気化
    装置。
  2. 【請求項2】 前記気化流路は断面が環状に形成された
    環状流路を有し、前記環状流路の内側部材が流れ方向に
    沿った切欠部を有し、かつ加熱機構を有していることを
    特徴とする請求項1に記載の液体原料気化装置。
  3. 【請求項3】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 前記気化流路は、その断面における各点の最短の壁面か
    らの距離の最大寸法が2mm以下であることを特徴とす
    る液体原料気化装置。
  4. 【請求項4】 前記気化流路は断面が環状に形成された
    環状流路を有し、前記環状流路の内側部材が流れ方向に
    沿った切欠部を有し、かつ加熱機構を有していることを
    特徴とする請求項3に記載の液体原料気化装置。
  5. 【請求項5】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 該気化流路は下流に向けて断面積が拡大する拡大部を有
    することを特徴とする液体原料気化装置。
  6. 【請求項6】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 前記気化流路は断面が環状に形成されている環状流路を
    有することを特徴とする液体原料気化装置。
  7. 【請求項7】 前記環状流路は、円管あるいは矩形管等
    の流路断面が単一ループ状になっている外管と、これの
    中央部近傍に沿って設けた単数あるいは複数の芯部材と
    から構成され、前記芯部材は流れ方向に沿った切欠部を
    有し、かつ加熱機構を有していることを特徴とする請求
    項6に記載の液体原料気化装置。
  8. 【請求項8】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 前記加熱機構は前記気化流路を囲んで形成されたジャケ
    ット及び該ジャケット内に収容された流動性の熱媒体を
    有することを特徴とする液体原料気化装置。
  9. 【請求項9】 液体原料を気化させて処理室に供給する
    ための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体原料流路と、 前記液体原料流路の下流側の気化流路と、 該気化流路を加熱するための加熱機構とを備え、 前記加熱機構の上流における前記液体原料流路中の液体
    原料の気化を防止するための気化防止機構を有する気化
    防止部を有することを特徴とする液体原料気化装置。
  10. 【請求項10】 液体原料を気化させて処理室に供給す
    るための液体原料気化装置において、 液体原料を流通させる液体流路あるいは気化ガス流路
    に、キャリアガス、溶媒、溶剤、洗浄液の少なくとも1
    つを流すための媒体導入流路が合流していることを特徴
    とする液体原料気化装置。
  11. 【請求項11】 液体原料を気化させて成膜室に供給す
    るための液体原料気化装置において、 気化ガスが成膜室に送られるラインの気化部出口からの
    ポートが上り勾配部を有していることを特徴とした液体
    原料気化装置。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の液体原料気化装置と、該液体原料気化装置の下流に配
    置された成膜室とを具備することを特徴とする成膜装
    置。
JP19501398A 1997-06-25 1998-06-25 液体原料気化装置 Pending JPH1187327A (ja)

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JP19501398A JPH1187327A (ja) 1997-06-25 1998-06-25 液体原料気化装置

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