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JPH117667A - 記録再生装置及び記録再生方法 - Google Patents

記録再生装置及び記録再生方法

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Publication number
JPH117667A
JPH117667A JP17632197A JP17632197A JPH117667A JP H117667 A JPH117667 A JP H117667A JP 17632197 A JP17632197 A JP 17632197A JP 17632197 A JP17632197 A JP 17632197A JP H117667 A JPH117667 A JP H117667A
Authority
JP
Japan
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probe
recording
reproducing
recording medium
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Prior art date
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Pending
Application number
JP17632197A
Other languages
English (en)
Inventor
Masabumi Kiyougaku
正文 教學
Kyoji Yano
亨治 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
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Publication of JPH117667A publication Critical patent/JPH117667A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、探針先端の状態を判断し、探針先端
の状態に応じて再生条件を帰還制御し、常に最適の再生
条件で記録情報を再生することができる記録再生装置及
び記録再生方法を提供することを目的としている。 【解決手段】本発明は、記録媒体表面に対向して近接配
置された探針を、該記録媒体の表面に対して走査させ、
該探針により記録媒体の状態変化を起こさせて情報を記
録し、該記録媒体に記録された状態変化を該探針の再生
走査により検出する記録再生装置または方法であって、
前記探針の再生走査時に、該探針が記録ドット部で検出
する信号を基にして探針先端の状態を判断し、該判断さ
れた探針先端の状態に基づいて再生条件を帰還制御する
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録再生装置及び
記録再生方法に関し、特に、走査型プローブを用い、電
圧印加により情報記録再生を行う記録再生装置におい
て、探針状態に応じて再生条件を最適化する制御手段に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】試料表面を原子的スケールの空間分解能
で観察することのできる走査型トンネル顕微鏡(以下S
TMと略す)や走査型原子間力顕微鏡(以下AFMと略
す)などの走査型プローブ顕微鏡(以下SPMと略す)
が開発されている。STMは、探針と試料との距離を数
nm以下に接近させたときに流れるトンネル電流を検出
し、電子状態の分布を含む表面像を構成する。また、A
FMは、弾性体に保持された探針を試料に数nm以下に
接近させたときに探針と試料表面との間に働く原子間力
を検出し、凹凸情報を含む表面像を構成する。さらに、
SPMに新たな機能を加えた複合機が開発されている。
例えば、AFM/STMは、AFM構成を基にしてお
り、探針を導電性にすることによって試料に電圧を印加
し、試料表面の凹凸と同時に導電性分布像を得ることが
できる(特開平3−277903号公報)。また、探針
に磁性材料を用い、試料表面のミクロな磁気分布を測定
する機能や、探針を静電容量センサーとして用いて、試
料表面の静電容量分布を測定する機能などが複合された
装置などが開発されている。
【0003】これらのSPMを応用すれば、数十nm以
下の局所領域に記録情報を書き込むことができるように
した超高密度の記録再生装置が構成できる。例えば、A
FM/STMの応用として、記録媒体上を探針にならわ
せ、電圧を印加することによって局所的に記録媒体の物
理状態を変化させて記録ドットを形成する記録再生装置
がある。一例として、記録時には記録媒体に電圧印加
し、記録媒体の導電性を変化させることによって記録ド
ットを形成し、再生時には弱い電圧を印加して、導電性
の変化を検出することによって記録ドットを検出する記
録再生装置を上げることができる(J.Vac.Sc
i.Technol.B14(2)1353,Mar/
Apr1996)。上記記録再生装置において、記録媒
体の導電性の変化を用いて記録再生する記録再生に際し
て、探針に一定の電圧を印加し、記録媒体を流れる電流
を検出し、周囲よりも高い導電性を有する部分を記録ド
ットとして認識し、情報を再生する方法が用いられる。
または、電流の変化率を検出して、周囲よりも高い導電
性を有する部分が存在する場合は記録ドットとして認識
する方法が用いられることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】走査型プローブ顕微鏡
を応用した前記記録再生装置では、探針が検出する物理
量は、探針先端の状態に著しく影響を受ける。上記記録
再生装置では、走査時に、記録媒体上の非導電性のごみ
などが探針先端に付着してしまうことにより、探針先端
の状態が変化することがある。また、記録と再生を同じ
探針を用いて行う記録再生装置においては、電圧の印加
などの記録動作を、記録媒体の欠陥部で行った場合は、
先端曲率半径の変化や、記録媒体の一部の探針への付着
によって、探針先端の状態が変化することがある。絶縁
性の物資を流れる電流はトンネル電流で支配されてお
り、トンネル電流は指数関数的な距離依存性を示すこと
から、探針先端に絶縁性の付着物がある場合、探針を流
れる電流は付着物の厚さや物性の影響を敏感に受けるよ
うになる。
【0005】従って、記録媒体の導電性の変化を用いて
記録を行う記録再生装置では、探針先端に絶縁性物質が
付着した場合、記録媒体に印加される実効電圧が低下
し、探針が検出する電流信号が著しく減少してしまうと
いう問題があった。このとき、検出電流がしきい電流値
と比較して、高い場合は記録ドットが形成されていると
認識するシステムを用いる場合、電流レベルの低下か
ら、記録ドットを認識できなくなるという問題があっ
た。或いは、再生信号が顕著に増大して、適正範囲を超
えた信号が検出されてしまう場合、或いはノイズレベル
が増大した場合、良好なS/Nが得られなくなり、再生
が困難になるという問題があった。同様の問題は、静電
容量の変化をもって記録を行う記録再生装置の場合でも
存在する。静電容量は、探針と記録媒体の距離に反比例
して減少することから、探針先端の変化に敏感に影響を
受け、探針の曲率半径が変化した場合や、探針先端に絶
縁性の物資がわずかに付着した場合でも、検出感度が低
下してしまうという問題があった。また、磁気記録型の
記録再生装置においても、磁気力は距離の3乗に比例し
て減少することから、探針先端の状態に敏感に影響を受
け、やはり、探針先端に絶縁性の物質が付着すると、検
出信号強度が減少するという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、上記従来のものにおけ
る課題を解決し、探針先端の状態を判断し、探針先端の
状態に応じて再生条件を帰還制御し、常に最適の再生条
件で記録情報を再生することができる記録再生装置及び
記録再生方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、記録再生装置及び記録再生方法をつぎのよ
うに構成したことを特徴とするものである。すなわち、
本発明の記録再生装置は、記録媒体表面に対向して近接
配置された探針を、該記録媒体の表面に対して走査さ
せ、該探針により記録媒体の状態変化を起こさせて情報
を記録し、該記録媒体に記録された状態変化を該探針の
再生走査により検出する記録再生装置であって、前記探
針の再生走査時に、該探針が記録ドット部で検出する信
号を基に探針先端の状態を判断する探針先端評価機構
と、該探針先端評価機構の判断結果を基に再生条件を帰
還制御する再生条件制御機構とを有することを特徴とし
ている。また、本発明の記録再生装置は、前記探針先端
の状態の判断が、電流検出回路の検出した検出信号と、
予め設定された基準信号との比較によることを特徴とし
ている。また、本発明の記録再生装置は、前記信号の比
較が、前記検出信号の時間平均を基にして行われること
を特徴としている。また、本発明の記録再生装置は、前
記検出信号が、記録ドット部を流れる電流信号または記
録ドット部における静電容量であることを特徴としてい
る。また、本発明の記録再生装置は、前記帰還制御され
る再生条件が、記録媒体に印加される電圧条件または探
針を記録媒体に接触させるときの接触力であることを特
徴としている。さらに、本発明の記録再生方法は、記録
媒体表面に対向して近接配置された探針を、該記録媒体
の表面に対して走査させ、該探針により記録媒体の状態
変化を起こさせて情報を記録し、該記録媒体に記録され
た状態変化を該探針の再生走査により検出する記録再生
方法であって、前記探針の再生走査時に、該探針が記録
ドット部で検出する信号を基にして探針先端の状態を評
価し、該評価された探針先端の状態に基づいて再生条件
を帰還制御することを特徴としている。また、本発明の
記録再生方法は、前記探針先端の状態の評価が、電流検
出回路の検出した検出信号と予め設定された基準信号と
の比較によることを特徴としている。また、本発明の記
録再生方法は、前記の比較が、前記検出信号の時間平均
を基にして行われることを特徴としている。また、本発
明の記録再生方法は、前記検出信号が、記録ドット部を
流れる電流信号または記録ドット部における静電容量で
あることを特徴としている。また、本発明の記録再生方
法は、前記再生条件が、記録媒体に印加される電圧条件
または探針を記録媒体に接触させるときの接触力である
ことを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、上記したとおり、記録
媒体表面に対向して近接配置された探針を、前記記録媒
体の表面に対して走査させて、前記探針を用いて、記録
媒体の状態変化を起こさせることによって情報を記録
し、前記探針を用いて、前記記録媒体の状態変化を検出
することによって情報を再生する記録再生装置に対して
適用されるものであり、再生走査時に、探針が記録ドッ
ト部で検出する信号を基に、再生条件を帰還制御するこ
とによって、探針先端の状態を反映させた最適な再生条
件を保ち、再生信号強度を安定化する。個々の記録ドッ
トからの信号は、記録状態に応じて、信号強度や信号検
出時間がある標準値を中心にして分布することがある。
この場合、直前に検出される記録ドットからの信号を基
に、再生条件を帰還制御すると、必ずしも次に記録ドッ
トでの最適条件にならないことがある。また、再生条件
の変動が大きくなって再生が不安定になる。このような
場合は、再生条件を与える記録ドットの直前に検出され
た連続した複数の記録ドットからの検出信号の時間平均
をとり、その結果を基に、再生条件を帰還制御する。こ
の結果、記録ドットの記録状態の分布を平均化して、突
発的な事象に依存せずに、平均としての探針先端の変化
を、帰還制御に反映させることができ、滑らかな制御を
行うことができるようになる。特に、記録媒体の導電性
の変化を用いて記録再生を行う記録再生装置において
は、帰還制御を行うための基となる信号は、記録ドット
を流れる電流とすることができる。
【0009】記録ドットを流れる電流は、記録ドット部
にかかる電圧に対して敏感に変化し、探針先端に絶縁性
の付着物がある場合は、記録ドット部にかかる実効電圧
は減少する。その結果、記録ドット部での再生電流信号
は減少する。このとき電流信号を増大するためには、探
針先端に印加する電圧を増加させる必要がある。そこで
前記信号として記録ドットを流れる電流をとり、前記帰
還制御する再生条件として、探針と基板電極に加える電
圧をとることによって、記録ドットからの信号を安定化
することができる。また、記録媒体の静電容量の変化を
用いて記録再生を行う記録再生装置においても、再生時
に探針に電圧を印加して容量検出を行うことによって信
号検出を行う場合は、印加電圧によって出力信号が敏感
に変化する。従って、この場合、記録ドット部での容量
である検出信号を基に、帰還制御される再生条件には、
記録媒体に印加される電圧条件をとることによって、記
録ドット部における検出信号を安定化することができ
る。また、記録媒体が弾性変形する材料でできている場
合、探針の試料への接触力を大きくすることによって、
探針と記録材料との接触面積を大きくすることができ、
その結果として再生信号を増大させることができる。探
針先端の曲率半径が変化した場合には、検出信号が減少
するが、接触力を増大させ、接触面積を増大させること
によって、検出信号を増大させることができる。従っ
て、この場合、帰還制御される再生条件として、探針を
記録媒体に接触させるときの接触力をとることによっ
て、探針の記録媒体への密着性を制御することができ、
探針が検出する信号を一定のレベルに保つことができ
る。
【0010】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。 [実施例1]図1に本発明の実施例1における記録再生
装置の構成図を示す。記録ドットを形成及び検出するた
めのプローブは、探針1及びカンチレバー2で構成され
る。カンチレバー2及びその一端に保持される探針1
は、Siで一体に形成した。カンチレバーは薄膜であ
り、ばねとしての性質をもつ。探針1及びカンチレバー
2は高い導電性を持たせるために、表面を厚さ約500
nmのPtで被覆した。カンチレバーのばね定数は約
0.01N/m、探針先端の曲率半径は100nm以下
であった。カンチレバー2は探針1が記録媒体に対向す
るように本体に固定した。記録媒体3を積載した基板4
はホルダー5に固定した。記録媒体3を積載する基板4
は導電性とし、記録媒体3に電圧を印加するための一方
の電極とした。ホルダー5の底部は変位機構6に固定し
た。変位機構6は粗動機構7を介して本体に固定した。
変位機構6は円筒型圧電素子からなり、変位素子駆動回
路12によって駆動され、基板を基板面に平行及び垂直
な方向へ精密に変位させることができる。変位機構6を
XY変位させ、これに固定された記録媒体3をXY変位
させることによって、探針1を記録媒体3に対して相対
的に走査することができる。粗動機構6は記録媒体3を
探針1に接近させるために駆動する。
【0011】本実施例で用いた記録媒体3は、特開昭6
3−161553号公報に開示されているような電流電
圧特性のスウィッチングにメモリー効果を有する有機化
合物の累積膜であるポリイミド薄膜である。このポリイ
ミド薄膜は、例えば、数Vの電圧を数十μs以下の時
間、パルス的に印加することによって電気伝導特性を高
抵抗状態から低抵抗状態に遷移させることができる。曲
率半径が、数十nmの探針を用いて記録媒体に電圧を印
加すれば、記録媒体の導電性を局所的に変化させて、約
10nmの大きさの記録ドットを形成することができ
る。基板4は、真空蒸着法によってTiを石英ガラス基
板の上に約5nm堆積させ、その上に同法によってAu
を30nm蒸着したものを用いた。この基板上に、LB
法によってポリアミド酸を10層累積し、次に加熱処理
をしてポリイミド薄膜を形成し記録媒体とした。ポリイ
ミド薄膜の膜厚は約5nmであった。
【0012】制御部11は、探針の走査及び信号の検出
という動作を協調して制御する部分であり、記録時には
探針の走査及び記録を制御し、また再生時には探針の位
置と検出された信号を関連付けて再生を行うという機能
を有する。まず、記録時の動作について説明する。制御
部11は変位機構駆動回路12に対して粗動機構7を駆
動し、記録媒体3を探針1に接触させる。次に、変位機
構6を駆動し、探針1を記録媒体3に対して相対的に走
査させる。ここでは、記録点は格子状に設定されおり、
探針はこの格子点を結ぶようにラスター走査を行うよう
にした。探針1が記録点に到達すると、制御部11はそ
れに同期して、電圧印加機構8に対して探針1と基板の
間に記録用パルス電圧を印加するように命令を出し、記
録を行う。記録用パルス電圧は、波高値10V、幅1μ
sの矩形波に設定した。この条件で電圧を印加すると、
最大電流値が1μA以上の電流が流れる様子が観測さ
れ、記録ドットが形成される。図3は、本実施例で用い
た記録媒体の、記録ドット形成前後における印加電圧と
記録ドット部を流れる電流の関係を表したものである。
点線は、後で示されるように、再生電圧を表す。再生バ
イアス近傍の数Vの電圧の領域では、記録ドット形成の
前後のいずれの場合でも電圧の上昇に対して、電流は単
調増加の関係がある。また、電圧と電流の関係は非線型
であり、電圧の上昇とともに電流が急激に上昇する性質
がある。
【0013】次に記録した情報の再生方法について説明
する。上記のように記録情報は記録媒体の局所的な導電
性の変化として記録されており、導電性の変化を検出す
ることによって情報を再生する。制御部11は粗動機構
7を駆動させて、探針1を記録媒体3に接触させる。次
に制御部11は電圧印加機構8に対して、探針1と基板
間にDC電圧を印加させる。或いは、AC電圧を印加
し、検出電流を位相検波することによって抵抗値の変化
を検出する方法をとることもできる。制御部11は変位
機構駆動回路12に対して、変位機構6を駆動して探針
1を走査させる。探針1を流れる電流は電流検出回路9
で検出され、電圧に変換及び増幅された後、信号として
制御部11に送られる。制御部11では前記信号と探針
位置と照合し、記録媒体3上での記録ドットの配列パタ
ーンを構築し、情報を再生する。ここで、記録ドットの
配列の構築について説明する。図2に示すように、記録
ドット列上を探針1が走査すると電流信号が検出され
る。図2では、横軸には時間軸をとった。時間軸は、走
査速度を媒介パラメーターとして走査方向ヘの位置座標
と対応するように表されている。走査方向に沿って、前
後より高い電流値が検出される部分の信号のみ抽出す
る。更に、記録ドット部の信号のピーク強度を検出し、
このピーク信号強度を基準値と比較して、しきい値より
も高ければ、ONビットとして認識するようにした。ま
たは、信号として電流信号の微分をとり、この信号があ
る一定のしきい値を超えた部分のみ信号を抽出する方法
を用いることもできる。この方法では、検出電流が小さ
い場合でも、強い信号を得ることができる。また、微分
値をとることによって、電流値の低周波変化は除かれ、
バックグランドの緩やかな変化を除くことができるとい
う長所がある。しかし、ノイズの多い場合は信号とノイ
ズとの区別が困難になる場合もある。
【0014】次に、探針先端状態検出について説明す
る。電流検出回路9が検出したONビット信号は、探針
先端状態評価機構10に入力される。探針先端状態評価
機構10には、内包するテーブルに従って予め基準信号
が設定されている。探針先端状態評価機構10では、O
Nビット信号のピーク強度が基準信号と比較され、ON
ビット信号と基準信号値とのずれ量が得られる。電流値
が基準値よりも減少すれば、探針先端の状態は電流検出
しにくい状態にあると判断される。このような場合とし
て、探針先端に低導電性物質が付着した場合、或いは、
探針の先端部ではなく、周囲に付着物が有り、探針と記
録媒体との間に空隙を形成している場合が挙げられる。
また、基準値よりも電流が多く流れるときは、探針先端
の状態は電流を流しやすい常態にあると判断される。こ
のような場合として、探針先端が非常に清浄になってい
るか、探針先端の曲率半径が、当初と比べて変化してい
る場合が挙げられる。ところが、本実施例における電流
検出回路9は、1μA以下の電流を検出すると、出力が
飽和してしまうので、記録ドットからの電流は、1μA
以下に抑えることが望ましい。また、電流が検出しやす
い探針先端の状態では、ノイズレベル(通常、記録ドッ
トからの信号よりも低い値である)が上昇するため、信
号検出のS/Nが低下してしまう。従って、適切な再生
を行うためには、再生バイアスを低下させて電流レベル
を下げる必要がある。ところで、個々の記録点における
信号から探針先端の状態を判断した場合、個々の記録点
の記録状態によって導電性のばらつきがある場合には、
一つの記録点からの信号だけでは適正な状態を判断でき
るとは限らない。そこで、より的確に探針先端状態を判
断するために、再生対象となる記録点に対して、その記
録点の手前の20記録点に対応する信号に関して、ON
ビット信号についてのみその信号のピーク強度の平均値
を求め、この平均値を基準値と比較して、平均値の基準
値からのずれ量を求め、ずれ量から探針先端状態を判断
することにした。この処理を行うことで、個々の記録ド
ットに導電性のばらつきの影響を緩和し、探針の状態の
変化を的確に抽出できるようになった。
【0015】本実施例では、上記の再生機構に加えて、
探針先端評価機構10が行った探針先端状態に従って再
生条件を決定し、再生条件を帰還制御を行う再生条件制
御機構13が加えられている。ここでは、再生条件は、
バイアス電圧条件である。探針先端状態評価機構10
は、探針先端状態から適切な再生条件を決定し、再生条
件制御機構13に対して、再生条件を伝達する。再生条
件制御機構13は、再生条件を基準に、電圧印加機構8
を制御し、再生バイアス電圧を帰還制御するようにし
た。再生条件の制御においては、基準電流値近傍では、
図3における電圧と電流は概線形の関係があるとみな
し、ずれ量に比例した量だけ、電圧を帰還制御するよう
にした。即ち、基準値よりも電流信号が小さくなれば、
ずれ量に比例して再生バイアスを上昇させるようにし、
基準値よりも電流信号が大きくなれば、ずれ量に比例し
て再生バイアスを減少させる制御が行われるようにし
た。ここでは、基準電流として、〜1nAを設定した。
図3から、この電流値が得られるのは2Vであるので、
初期電圧を2Vに設定した。
【0016】以上のように、探針の検出する記録ドット
部での電流値の変化を検出して、印加バイアス電圧を帰
還制御することにより、適切な再生バイアス電圧で再生
を行うことができ、安定した再生を行うことが可能とな
った。また、本実施例では、記録ドットを記録媒体を流
れる電流の変化で検出したが、記録媒体の静電容量の変
化検出する方法で再生を行う場合でも、同様の制御を行
うことで、再生信号を安定化することができる。再生時
に探針に電圧を印加して容量検出を行うことによって信
号検出を行う場合は、印加電圧によって出力信号が敏感
に変化する。そこで、探針によって記録媒体に印加され
る電圧を再生条件として設定する。記録ドット部での容
量である検出信号を基にして、印加電圧を帰還制御すれ
ば、記録ドット部における検出信号を安定化することが
できる。
【0017】[実施例2]本実施例では、探針が検出す
る記録ドットからの信号を基に、探針の接触力を制御す
る。図4に、実施例2の記録再生装置の構成図を示す。
本実施例における再生装置は、実施例1における再生装
置に対して、探針の接触力を検出するためにカンチレバ
ー2の変位を検出する機構が加わった。なお、実施例1
と同様の働きをするものについては同じ番号で表した。
まず、変位検出について説明する。カンチレバー2の変
位検出には、レーザー光による光てこ方を用いた。これ
は、カンチレバー2の背面にレーザー光を照射し、反射
光の反射角の偏位を計測する方法である。即ち、レーザ
ー発光素子15及びレーザー受光素子16を本体に固定
し、レーザー発光素子15から射出されるレーザー光
は、探針1を保持するカンチレバー2の自由端近傍に照
射し、反射光がレーザー受光素子16に入射するように
した。レーザー受光素子16にはフォトダイオードから
なる4分割センサーを用いた。各センサーの受光する光
の強度を比較することにより、カンチレバー2のZ方向
へのたわみ、及び水平面からのねじれを検出することが
できる。探針1が記録媒体3との相互作用によって力を
受けると、弾性体であるカンチレバー2は探針1が受け
る力に応じて変位し、同時に反射レーザー光の反射角が
偏位する。レーザー受光素子16によって検出された信
号は、偏位検出機構15に送られ、カンチレバー2の変
位を計測する。
【0018】図4は、探針が記録媒体に接触した状態で
の、カンチレバー基部−媒体間距離と、そのとき探針に
かかる力の関係を示したものである。カンチレバー2の
基部が記録媒体に接近すると、探針の記録媒体への押し
付け力が増大する。探針1の変位が小さく、カンチレバ
ー2のたわみが小さい範囲では、探針の接触力とカンチ
レバー−媒体間距離は線形の関係にある。従って、曲線
の傾きと、カンチレバー2の基部の位置から、探針1の
接触力を検出することができる。本実施例において用い
られた記録媒体、及び記録ドットの形成、及び記録ドッ
トの検出は実施例1と同じである。記録ドットは記録媒
体上の微小領域での導電性の変化として形成されてお
り、記録ドットの検出は、記録ドットを流れる電流によ
って行われる。図5は、記録ドット部に印加する電圧を
一定にしたときの、探針の記録媒体との接触力と、探針
を流れる電流の関係を示した図である。図中実線で表さ
れるように、接触力が増大すると、探針を流れる電流は
増大することを示している。これは、接触力が増大する
と、探針が接触する部分の記録媒体が僅かに変形し、探
針が記録媒体と接触する面積が増大するためであると考
えられている。探針先端の状態が変化すると、図5にお
ける直線関係はシフトし、同じ接触力でも探針を流れる
電流は先端が変化する前とは異なる。しかし、探針の接
触力と電流値との間にある単調増加の関係は維持され
る。上記の関係を利用すると、探針が検出する記録ドッ
トからの電流信号を一定に保つためには、探針先端の状
態に応じて、探針の接触力を帰還制御すればよいことが
わかる。
【0019】次に、再生動作について説明する。まず、
制御部11は変位機構駆動回路12に対して、粗動機構
7を駆動して探針1を記録媒体3に接近させるように命
令を出す。次に、変位機構駆動回路12は変位機構7を
Z駆動し、探針1を記録媒体3に接触させる。このとき
の接触は変位検出機構15が検出したカンチレバーの変
位から判断される。次に、制御部11は変位機構駆動回
路12に対し駆動命令を出し、変位機構駆動回路12は
変位機構6を駆動し、基板4平面に水平に基板を変位さ
せて記録媒体3上の記録ドット列に沿って探針1を走査
させる。探針1と基板4との間には、電圧印加機構8に
よって一定のバイアス電圧(2V)が印加されており、
探針1を流れる電流信号は、電流検出回路9で検出され
る。更に、電流信号は、探針状態評価機構10、及び制
御部11へ送られる。制御部11では、電流検出回路9
からの信号を、信号が検出された位置と対応させて、記
録ドットの配列パターンを構築し、情報の再生が行われ
る。一方、探針状態評価機構10は、電流検出回路9か
ら送られた電流信号の値を、基準電流値と比較し、基準
電流値からのずれ量を検出し、そのずれ量から探針先端
の状態を判断するようにした。このときの、探針先端状
態の評価方法は、実施例1に記載した方法に準ずる。更
に、探針先端状態は再生条件制御機構13に伝達され、
再生条件制御機構13は、探針先端状態を基にして適切
な再生条件を決定する。
【0020】次に、再生条件の制御について説明する。
既に述べたように、本実施例では、制御される再生条件
は、探針の接触力であり、この接触力は変位検出機構1
5が計測する量である。探針の接触力を変化させるため
には、変位機構駆動回路12が変位機構6を駆動し、記
録媒体3とカンチレバー2の保持部との距離を変化させ
る。ここで、探針の接触力の基準値は電流信号が電流検
出回路の検出範囲内になるようにする必要がある。ま
た、探針の接触力は、記録媒体或いは探針先端を破壊し
ない程度に小さく設定する必要がある。本実施例では、
変位機構6は圧電素子で構成されているので、探針の記
録媒体との接触力を変化させるために、変位機構6を記
録媒体3表面に垂直な方向へ変位させるための電圧を変
化させた。即ち、記録ドットからの信号のピーク強度が
減少する方向に信号強度のずれが生じれば、再生条件制
御機構13は、変位機構駆動回路12を駆動して、探針
の接触力が高くなるようにカンチレバー2の基部と記録
媒体3の距離を接近させるようにし、一方、記録ドット
からの信号のピーク強度が強まる方向にずれが生じれ
ば、探針の接触力が低くなるように、カンチレバー2の
基部と記録媒体3の距離が離れる方向に変位機構を駆動
するようにした。以上のように、検出する信号強度に応
じて、探針の接触強度を帰還制御することによって、電
流信号を安定に検出することができた。
【0021】
【発明の効果】本発明は、以上のように探針の再生走査
時に、該探針が記録ドット部で検出する信号を基にして
付着物等による探針先端の状態を判断し、該探針先端の
状態に基づいて再生条件を帰還制御するように構成した
ことにより、常に最適の再生条件で記録ドットの検出を
おこなうことが可能となり、記録媒体に記録された情報
を安定して再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における記録再生装置の構成
図である。
【図2】記録ドット列を走査したときの検出信号を示す
図である。
【図3】記録媒体の記録前後の電圧電流特性を示す図で
ある。
【図4】本発明の実施例2における記録再生装置の構成
図である。
【図5】探針基部−記録媒体間距離と探針の接触力の関
係を示す図である。
【図6】探針の接触力と、検出電流の関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:探針 2:カンチレバー 3:記録媒体 4:基板 5:ホルダー 6:変位機構 7:粗動機構 15:レーザー発光素子 16:レーザー受光素子

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録媒体表面に対向して近接配置された探
    針を、該記録媒体の表面に対して走査させ、該探針によ
    り記録媒体の状態変化を起こさせて情報を記録し、該記
    録媒体に記録された状態変化を該探針の再生走査により
    検出する記録再生装置であって、 前記探針の再生走査時に、該探針が記録ドット部で検出
    する信号を基に探針先端の状態を判断する探針先端評価
    機構と、該探針先端評価機構の判断結果を基に再生条件
    を帰還制御する再生条件制御機構とを有することを特徴
    とする記録再生装置。
  2. 【請求項2】前記探針先端の状態の判断が、電流検出回
    路の検出した検出信号と、予め設定された基準信号との
    比較によることを特徴とする請求項1に記載の記録再生
    装置。
  3. 【請求項3】前記信号の比較が、前記検出信号の時間平
    均を基にして行われることを特徴とする請求項2に記載
    の記録再生装置。
  4. 【請求項4】前記検出信号が、記録ドット部を流れる電
    流信号または記録ドット部における静電容量であること
    を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載
    の記録再生装置。
  5. 【請求項5】前記帰還制御される再生条件が、記録媒体
    に印加される電圧条件または探針を記録媒体に接触させ
    るときの接触力であることを特徴とする請求項1〜請求
    項4のいずれか1項に記載の記録再生装置。
  6. 【請求項6】記録媒体表面に対向して近接配置された探
    針を、該記録媒体の表面に対して走査させ、該探針によ
    り記録媒体の状態変化を起こさせて情報を記録し、該記
    録媒体に記録された状態変化を該探針の再生走査により
    検出する記録再生方法であって、 前記探針の再生走査時に、該探針が記録ドット部で検出
    する信号を基にして探針先端の状態を評価し、該評価さ
    れた探針先端の状態に基づいて再生条件を帰還制御する
    ことを特徴とする記録再生方法。
  7. 【請求項7】前記探針先端の状態の評価が、電流検出回
    路の検出した検出信号と予め設定された基準信号との比
    較によることを特徴とする請求項6に記載の記録再生方
    法。
  8. 【請求項8】前記の比較が、前記検出信号の時間平均を
    基にして行われることを特徴とする請求項7に記載の記
    録再生方法。
  9. 【請求項9】前記検出信号が、記録ドット部を流れる電
    流信号または記録ドット部における静電容量であること
    を特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載
    の記録再生方法。
  10. 【請求項10】前記再生条件が、記録媒体に印加される
    電圧条件または探針を記録媒体に接触させるときの接触
    力であることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれ
    か1項に記載の記録再生方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002323431A (ja) * 2001-02-26 2002-11-08 Seiko Instruments Inc 高次非線形誘電率を計測する走査型非線形誘電率顕微鏡
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JP2011075571A (ja) * 2001-02-26 2011-04-14 Sii Nanotechnology Inc 走査型非線形誘電率顕微鏡を応用した超高感度変位計測方式

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JP4693270B2 (ja) * 2001-02-26 2011-06-01 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 高次非線形誘電率を計測する走査型非線形誘電率顕微鏡

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