JPH1136035A - マグネシウム合金成形品とその製造方法 - Google Patents
マグネシウム合金成形品とその製造方法Info
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- JPH1136035A JPH1136035A JP9192261A JP19226197A JPH1136035A JP H1136035 A JPH1136035 A JP H1136035A JP 9192261 A JP9192261 A JP 9192261A JP 19226197 A JP19226197 A JP 19226197A JP H1136035 A JPH1136035 A JP H1136035A
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- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B22—CASTING; POWDER METALLURGY
- B22D—CASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
- B22D17/00—Pressure die casting or injection die casting, i.e. casting in which the metal is forced into a mould under high pressure
- B22D17/007—Semi-solid pressure die casting
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B22—CASTING; POWDER METALLURGY
- B22D—CASTING OF METALS; CASTING OF OTHER SUBSTANCES BY THE SAME PROCESSES OR DEVICES
- B22D21/00—Casting non-ferrous metals or metallic compounds so far as their metallurgical properties are of importance for the casting procedure; Selection of compositions therefor
- B22D21/002—Castings of light metals
- B22D21/007—Castings of light metals with low melting point, e.g. Al 659 degrees C, Mg 650 degrees C
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C1/00—Making non-ferrous alloys
- C22C1/12—Making non-ferrous alloys by processing in a semi-solid state, e.g. holding the alloy in the solid-liquid phase
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 家電製品などの外装ケース等に使用されるM
g−Al系合金を使用したマグネシウム合金成形品に関
して、処理に有害物質を伴わず、低コストの処理で充分
な耐食性と塗装膜密着性とを有するマグネシウム合金成
形品とその製造方法を提供しようとするものである。 【解決手段】 平均組成として4〜12%Alを含有
し、且つ、粒径200μm以下の平均組成よりもMg含
有量の高いAl低減領域とその周囲を囲んだ平均組成よ
りもAl含有量の高いAl富化領域とを有するマグネシ
ウム−アルミニウム合金の成形体を形成し、この成形体
に一層以上の塗装膜を被覆形成してマグネシウム合金成
形品とする。
g−Al系合金を使用したマグネシウム合金成形品に関
して、処理に有害物質を伴わず、低コストの処理で充分
な耐食性と塗装膜密着性とを有するマグネシウム合金成
形品とその製造方法を提供しようとするものである。 【解決手段】 平均組成として4〜12%Alを含有
し、且つ、粒径200μm以下の平均組成よりもMg含
有量の高いAl低減領域とその周囲を囲んだ平均組成よ
りもAl含有量の高いAl富化領域とを有するマグネシ
ウム−アルミニウム合金の成形体を形成し、この成形体
に一層以上の塗装膜を被覆形成してマグネシウム合金成
形品とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品などの外
装ケース等に使用されるMg−Al系合金を使用したマ
グネシウム合金成形品とその製造方法に関する。
装ケース等に使用されるMg−Al系合金を使用したマ
グネシウム合金成形品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護の観点から、従来広く利
用されてきたプラスティク製品に代えて、使用中ないし
廃棄焼却において無害であり、廃棄後に土中で容易に分
解するような材料が求められ、このような用途には、軽
量で土中分解容易なマグネシウム合金の成形部品の適用
が検討されている。金属Mgの融点は650℃であり、
多くのマグネシウム合金は600℃以下の低融点である
ことから、マグネシウム合金は、合成樹脂のように射出
成形による成形が可能になり、これにより複雑形状の射
出成形品を製造供給することができる。
用されてきたプラスティク製品に代えて、使用中ないし
廃棄焼却において無害であり、廃棄後に土中で容易に分
解するような材料が求められ、このような用途には、軽
量で土中分解容易なマグネシウム合金の成形部品の適用
が検討されている。金属Mgの融点は650℃であり、
多くのマグネシウム合金は600℃以下の低融点である
ことから、マグネシウム合金は、合成樹脂のように射出
成形による成形が可能になり、これにより複雑形状の射
出成形品を製造供給することができる。
【0003】従来は、この種のマグネシウム合金は、一
般に耐食性が低く、通常の塗装を施しても長期にわたる
持続的な耐食性が得られないので、耐食性の保証のため
に、通常は、クロム酸処理を行い、成形品全面に化学的
に安定な酸化クロムの緻密な皮膜を形成していた。クロ
ム酸処理には、図6に示すように、弱アルカリ処理によ
る脱脂、温水洗浄、酸洗によるスケール除去、水洗、ク
ロム酸処理、及び水洗等の工程が必要であった。
般に耐食性が低く、通常の塗装を施しても長期にわたる
持続的な耐食性が得られないので、耐食性の保証のため
に、通常は、クロム酸処理を行い、成形品全面に化学的
に安定な酸化クロムの緻密な皮膜を形成していた。クロ
ム酸処理には、図6に示すように、弱アルカリ処理によ
る脱脂、温水洗浄、酸洗によるスケール除去、水洗、ク
ロム酸処理、及び水洗等の工程が必要であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、耐食性向
上のための上記のような表面処理は、クロム酸溶液に急
性毒性物質を含み、処理設備周辺の環境対策に多大なコ
ストを要するなどの問題があった。また、図11に示し
たように、塗装を複数層形成する等の工程数が多く、こ
の点でも表面処理がコスト高になっていた。
上のための上記のような表面処理は、クロム酸溶液に急
性毒性物質を含み、処理設備周辺の環境対策に多大なコ
ストを要するなどの問題があった。また、図11に示し
たように、塗装を複数層形成する等の工程数が多く、こ
の点でも表面処理がコスト高になっていた。
【0005】そこで、クロム酸処理に代える方法が検討
され、特公平5−88303号公報には、マグネシウム
合金の表面にピンホールのない金属層を設けて、耐食性
を確保する方法が開示されているが、この方法は、図7
(A)に示すように、先ずマグネシウム合金成形体の表
面に金属皮膜(例えば、Al皮膜)を形成し、次いで、
加熱と同時に静水圧加圧をすることにより、少なくとも
マグネシウム合金成形体と金属皮膜との界面近傍では、
耐食性低下の原因となるようなピンホールをなくするよ
うにするものであるが、このためには、400℃で70
0kgf/cm2 以上の高圧付加を行うために、大掛かりな高
温加圧設備を要し、工程に長時間を要し、コスト高にな
るのは避けられなかった。
され、特公平5−88303号公報には、マグネシウム
合金の表面にピンホールのない金属層を設けて、耐食性
を確保する方法が開示されているが、この方法は、図7
(A)に示すように、先ずマグネシウム合金成形体の表
面に金属皮膜(例えば、Al皮膜)を形成し、次いで、
加熱と同時に静水圧加圧をすることにより、少なくとも
マグネシウム合金成形体と金属皮膜との界面近傍では、
耐食性低下の原因となるようなピンホールをなくするよ
うにするものであるが、このためには、400℃で70
0kgf/cm2 以上の高圧付加を行うために、大掛かりな高
温加圧設備を要し、工程に長時間を要し、コスト高にな
るのは避けられなかった。
【0006】また、マグネシウム合金自体の耐食性を高
めることが検討されており、例えば、特開平5−787
75号公報には、図7(B)に示すように、α固溶体相
とβ相とを層状に形成させ、耐食性を改良する方法と、
図7(C)に示すように、マグネシウム合金中に粒径1
0μm以下のα固溶体の回りにβ相析出物(Mg17Al
12)を平衡状態で分散させる方法とが開示されている。
めることが検討されており、例えば、特開平5−787
75号公報には、図7(B)に示すように、α固溶体相
とβ相とを層状に形成させ、耐食性を改良する方法と、
図7(C)に示すように、マグネシウム合金中に粒径1
0μm以下のα固溶体の回りにβ相析出物(Mg17Al
12)を平衡状態で分散させる方法とが開示されている。
【0007】これらの方法は、いずれもα固溶体で発生
した腐食核が成長して腐食域Pが進行するのを、耐食性
の高い金属間化合物β相により阻止して、腐食域を局部
に止め、成形品全体としての耐食性を保証するものであ
るが、前者の方法は、成形後の溶体化処理と時効処理に
より層状のパーライト組織に調製するのであって、この
ために大掛かりな加熱処理設備を要し、溶体化処理が4
00℃以上で10時間もの長時間の加熱保持が必要であ
り、製造コストが高くなっていた。後者の方法は、射出
成形でβ相析出物を平衡状態で分散させるために成形体
の厚みが5mm以下の薄い場合には、射出成形での冷却
速度が104 ℃/sec 以上に大きくなると過飽和固溶体
になって、耐食性が低下するとされている。
した腐食核が成長して腐食域Pが進行するのを、耐食性
の高い金属間化合物β相により阻止して、腐食域を局部
に止め、成形品全体としての耐食性を保証するものであ
るが、前者の方法は、成形後の溶体化処理と時効処理に
より層状のパーライト組織に調製するのであって、この
ために大掛かりな加熱処理設備を要し、溶体化処理が4
00℃以上で10時間もの長時間の加熱保持が必要であ
り、製造コストが高くなっていた。後者の方法は、射出
成形でβ相析出物を平衡状態で分散させるために成形体
の厚みが5mm以下の薄い場合には、射出成形での冷却
速度が104 ℃/sec 以上に大きくなると過飽和固溶体
になって、耐食性が低下するとされている。
【0008】本発明は、上記の問題に鑑み、処理に有害
物質を伴わず、低コストの処理で充分な耐食性と塗装層
密着性とを有するマグネシウム合金成形品とその製造方
法を提供しようとするものである。
物質を伴わず、低コストの処理で充分な耐食性と塗装層
密着性とを有するマグネシウム合金成形品とその製造方
法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、マグネシウム
合金成形体を、平均組成として重量%(以下同じ)で4
〜12%Al含有のAl−Mg系合金から、粒径200
μm以下の平均組成よりもMg含有量の高いAl低減領
域とその周囲に平均組成よりもAl含有量の高いAl富
化領域とを分布させて形成するものである。Al富化領
域がAl含有量が高くその耐食性が高いことを利用し
て、粒状に分布したAl低減領域での腐食が生じてもそ
の間に存在するAl富化領域が、腐食がより内部に進展
するのを阻止して、Al低減領域だけの局部的な腐食に
止め、合金全体としての耐食性を保証するものである。
合金成形体を、平均組成として重量%(以下同じ)で4
〜12%Al含有のAl−Mg系合金から、粒径200
μm以下の平均組成よりもMg含有量の高いAl低減領
域とその周囲に平均組成よりもAl含有量の高いAl富
化領域とを分布させて形成するものである。Al富化領
域がAl含有量が高くその耐食性が高いことを利用し
て、粒状に分布したAl低減領域での腐食が生じてもそ
の間に存在するAl富化領域が、腐食がより内部に進展
するのを阻止して、Al低減領域だけの局部的な腐食に
止め、合金全体としての耐食性を保証するものである。
【0010】本発明においては、マグネシウム合金成形
体は、合金中の上記Mgの多い領域とAlの多い領域と
が溶融合金から凝固する過程での著しい非平衡状態で形
成されるものが利用され、このようなマグネシウム合金
成形体は、溶融合金が凝固過程で流動中に急速冷却され
た鋳造品により実現でき、特に、溶融合金の金型の比較
的狭い間隙への射出注型が冷却速度が大きいことから好
ましく利用される。こうして、本発明のマグネシウム合
金成形品には、上記合金組成の薄肉の射出成形品が含ま
れる。
体は、合金中の上記Mgの多い領域とAlの多い領域と
が溶融合金から凝固する過程での著しい非平衡状態で形
成されるものが利用され、このようなマグネシウム合金
成形体は、溶融合金が凝固過程で流動中に急速冷却され
た鋳造品により実現でき、特に、溶融合金の金型の比較
的狭い間隙への射出注型が冷却速度が大きいことから好
ましく利用される。こうして、本発明のマグネシウム合
金成形品には、上記合金組成の薄肉の射出成形品が含ま
れる。
【0011】本発明のマグネシウム合金成形品の製造方
法は、4〜12%Alを含有したマグネシウム−アルミ
ニウム合金の全部または一部を溶融する工程と、該合金
融液を金型内に射出して成形する工程とを含むもので、
これにより、その鋳造合金中に上記Mgの多いAl低減
領域とAlの多いAl富化領域とを、非平衡状態で形成
し、Al富化領域の耐食性が高いことを利用した耐食性
の高いマグネシウム合金の射出成形品とする。
法は、4〜12%Alを含有したマグネシウム−アルミ
ニウム合金の全部または一部を溶融する工程と、該合金
融液を金型内に射出して成形する工程とを含むもので、
これにより、その鋳造合金中に上記Mgの多いAl低減
領域とAlの多いAl富化領域とを、非平衡状態で形成
し、Al富化領域の耐食性が高いことを利用した耐食性
の高いマグネシウム合金の射出成形品とする。
【0012】本発明のマグネシウム合金成形品は、上記
成形体に、表面保護層が形成されて、合金表面の耐食性
を一層高める。このような表面保護層は、一層以上の塗
装膜を被覆形成して、塗装膜により綺麗な表面仕上げを
するとと共に水分のマグネシウム合金表面への浸入を阻
止して、この合金の成形体表面の耐食性を一層高め、腐
食に対する持続的抵抗性の高いマグネシウム成形品を得
る。
成形体に、表面保護層が形成されて、合金表面の耐食性
を一層高める。このような表面保護層は、一層以上の塗
装膜を被覆形成して、塗装膜により綺麗な表面仕上げを
するとと共に水分のマグネシウム合金表面への浸入を阻
止して、この合金の成形体表面の耐食性を一層高め、腐
食に対する持続的抵抗性の高いマグネシウム成形品を得
る。
【0013】本発明の製造方法は、さらに、射出成形後
金型から取り出した該成形体の表面に塗料を塗着して塗
装膜を形成する工程と、塗装後の成形品を300℃以下
で1時間以内で加熱して塗料を焼き付ける工程と、を含
んで、表面に塗装膜を被覆形成して、表面の耐食性を高
める。
金型から取り出した該成形体の表面に塗料を塗着して塗
装膜を形成する工程と、塗装後の成形品を300℃以下
で1時間以内で加熱して塗料を焼き付ける工程と、を含
んで、表面に塗装膜を被覆形成して、表面の耐食性を高
める。
【0014】表面保護層は、上記成形体表面に耐食性の
高い金属層を形成し、この金属層に上記塗装膜を形成し
たものが好ましく、これにより、長期的に耐食性の高い
マグネシウム成形品を得る。
高い金属層を形成し、この金属層に上記塗装膜を形成し
たものが好ましく、これにより、長期的に耐食性の高い
マグネシウム成形品を得る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、平均組成としてMg
−4〜12%Al系合金が使用されるが、合金中Al含
有量が4%未満では、充分な耐食性が得られず、Al含
有量12%を越えると、金属間化合物が粒界に析出し易
く、脆化の原因となるので、好ましくない。このような
組成の合金の常温での平衡組織は、図8に示す平衡状態
図で見ると、常温近傍では、Mg固溶体のα固溶体と、
α−β共晶とから成るものである。
−4〜12%Al系合金が使用されるが、合金中Al含
有量が4%未満では、充分な耐食性が得られず、Al含
有量12%を越えると、金属間化合物が粒界に析出し易
く、脆化の原因となるので、好ましくない。このような
組成の合金の常温での平衡組織は、図8に示す平衡状態
図で見ると、常温近傍では、Mg固溶体のα固溶体と、
α−β共晶とから成るものである。
【0016】この組成範囲の溶湯を鋳型内で流動しない
状態で小さい冷却速度で徐々に凝固させた場合には、鋳
型表面に垂直方向に熱流が生じて温度勾配を生じるの
で、鋳型表面から温度勾配の方向に合金融液からα相が
優先的に晶出して多数の柱状晶が成長する。凝固過程で
は、さらに図2(C)に概念的に金属組織を示すよう
に、柱状晶11aの間には、柱状晶の成長とともに排出
されたAlが濃縮富化した融液が占め、凝固の最終段階
では、柱状晶間にAl富化相12aに凝固して、得られ
た鋳造組織は、一般的な柱状組織となる。
状態で小さい冷却速度で徐々に凝固させた場合には、鋳
型表面に垂直方向に熱流が生じて温度勾配を生じるの
で、鋳型表面から温度勾配の方向に合金融液からα相が
優先的に晶出して多数の柱状晶が成長する。凝固過程で
は、さらに図2(C)に概念的に金属組織を示すよう
に、柱状晶11aの間には、柱状晶の成長とともに排出
されたAlが濃縮富化した融液が占め、凝固の最終段階
では、柱状晶間にAl富化相12aに凝固して、得られ
た鋳造組織は、一般的な柱状組織となる。
【0017】然しながら、本発明のマグネシウム合金成
形体の組織は、図2(A)に示すように、溶湯10を狭
い金型5、5の間隙50において流動状態で相対的に大
きな冷却速度で凝固させて得られるるもので、この場合
金型5に接触した溶湯10の界面で多数のα相11aが
晶出するが、α相の結晶は、柱状に成長するまでに溶湯
の急速な流れの力により折れたり破壊されて、一部は、
溶湯内にばら蒔かれ、急速冷却の過程でこれら多数のα
相結晶からさらに粒状結晶に成長し、その周囲には、A
lが濃化した領域が形成され、急速に凝固が終了し、さ
らに冷却される。このようにした得られた成形体1の鋳
造組織は、図1(A)に示すようにそのままα相を中心
とする多数の粒状ないし概して粒状のAl低減領域11
と、これら各Al低減領域11を取り巻くようにとその
周囲に平均組成よりもAlの多いAl富化領域12とが
形成されて、網目状組織が得られる。
形体の組織は、図2(A)に示すように、溶湯10を狭
い金型5、5の間隙50において流動状態で相対的に大
きな冷却速度で凝固させて得られるるもので、この場合
金型5に接触した溶湯10の界面で多数のα相11aが
晶出するが、α相の結晶は、柱状に成長するまでに溶湯
の急速な流れの力により折れたり破壊されて、一部は、
溶湯内にばら蒔かれ、急速冷却の過程でこれら多数のα
相結晶からさらに粒状結晶に成長し、その周囲には、A
lが濃化した領域が形成され、急速に凝固が終了し、さ
らに冷却される。このようにした得られた成形体1の鋳
造組織は、図1(A)に示すようにそのままα相を中心
とする多数の粒状ないし概して粒状のAl低減領域11
と、これら各Al低減領域11を取り巻くようにとその
周囲に平均組成よりもAlの多いAl富化領域12とが
形成されて、網目状組織が得られる。
【0018】Al低減領域は、前述のように耐食性が良
くないので、腐食環境の下では、Al富化領域に取り囲
まれたAl低減領域だけが先に腐食され、Al富化領域
はその腐食の進展拡大を阻止して、全体の耐食性が保証
されている。そこでAl低減領域11は小さいのがよ
く、この点から、Al低減領域の粒径200μm以下と
する必要がある。特に、この粒径は50μm以下に調整
するのがよい。
くないので、腐食環境の下では、Al富化領域に取り囲
まれたAl低減領域だけが先に腐食され、Al富化領域
はその腐食の進展拡大を阻止して、全体の耐食性が保証
されている。そこでAl低減領域11は小さいのがよ
く、この点から、Al低減領域の粒径200μm以下と
する必要がある。特に、この粒径は50μm以下に調整
するのがよい。
【0019】このような網目状組織のマグネシウム合金
成形品は、上記組成のマグネシウム合金溶湯からの鋳造
の際の溶湯の流動と急冷との併用により得られ、このた
めの製造方法には、溶湯からのプレス成形法や溶湯から
の直接鋳造圧延法なども利用できるが、本発明では、特
に、狭い金型間隙中へ射出し注型する射出成形法による
のが好ましく、以下に、射出成形による製造方法を述べ
る。
成形品は、上記組成のマグネシウム合金溶湯からの鋳造
の際の溶湯の流動と急冷との併用により得られ、このた
めの製造方法には、溶湯からのプレス成形法や溶湯から
の直接鋳造圧延法なども利用できるが、本発明では、特
に、狭い金型間隙中へ射出し注型する射出成形法による
のが好ましく、以下に、射出成形による製造方法を述べ
る。
【0020】本発明のマグネシウム合金成形品の製造方
法は、図4に工程図を示すように、上述の4〜12%A
lを含有したマグネシウム−アルミニウム合金の全部ま
たは一部を溶融する工程と、該合金の融液、即ち、溶湯
を金型間隙に射出して成形体にする工程と、金型より取
り出した該成形体の表面に塗料を塗着して塗装膜を形成
する工程と、塗着後の成形体を300℃以下で1時間以
内で加熱して塗料を焼き付ける工程とから成っている。
法は、図4に工程図を示すように、上述の4〜12%A
lを含有したマグネシウム−アルミニウム合金の全部ま
たは一部を溶融する工程と、該合金の融液、即ち、溶湯
を金型間隙に射出して成形体にする工程と、金型より取
り出した該成形体の表面に塗料を塗着して塗装膜を形成
する工程と、塗着後の成形体を300℃以下で1時間以
内で加熱して塗料を焼き付ける工程とから成っている。
【0021】射出成形は、溶融工程と射出による注型工
程とからなるが、これには、射出成形装置として、従来
の装置が使用できる。射出成形装置は、例えば、図3
(A)に示すように、合金の出発材料を溶融混合して高
圧で吐出する押出機8(この例は、スクリュー押出機)
と、押出機の吐出端部80に連通して内面に所望形状の
間隙50が賦形されて成形品取出可能な分割金型5(5
a、5b)とからなるものである。
程とからなるが、これには、射出成形装置として、従来
の装置が使用できる。射出成形装置は、例えば、図3
(A)に示すように、合金の出発材料を溶融混合して高
圧で吐出する押出機8(この例は、スクリュー押出機)
と、押出機の吐出端部80に連通して内面に所望形状の
間隙50が賦形されて成形品取出可能な分割金型5(5
a、5b)とからなるものである。
【0022】射出成形は、より具体的には、以下の要領
でなされる。即ち、合金としては、例えば、9%(重量
%、以下同じ)のAlと他の不純物約1%と残部Mgと
からなる合金(液相線温度約530℃)を選んで、説明
すると、この組成の合金チップを、押出機8のホッパー
86に装入して、スクリュー83で押出機のシリンダ8
1内に移送して、シリンダのヒータ84の加熱によりシ
リンダ内に液相線温度より僅かに高い温度(上例の9%
Al合金では、約550℃)で溶融状態に保持してお
く。
でなされる。即ち、合金としては、例えば、9%(重量
%、以下同じ)のAlと他の不純物約1%と残部Mgと
からなる合金(液相線温度約530℃)を選んで、説明
すると、この組成の合金チップを、押出機8のホッパー
86に装入して、スクリュー83で押出機のシリンダ8
1内に移送して、シリンダのヒータ84の加熱によりシ
リンダ内に液相線温度より僅かに高い温度(上例の9%
Al合金では、約550℃)で溶融状態に保持してお
く。
【0023】射出成形用の金型5は、通常は鋼製であ
り、その間隙50の内面51に所望の成形品形状を賦形
した割型5a、5bが利用される。
り、その間隙50の内面51に所望の成形品形状を賦形
した割型5a、5bが利用される。
【0024】射出による鋳造過程の冷却速度は、金型間
隙の幅とともに、射出前の金型温度によっても調整する
ことができ、加温することにより、冷却速度を適当に低
減することが可能である。金型は、通常、50〜300
℃の範囲に予熱するのが融液の流動性向上に好ましい。
隙の幅とともに、射出前の金型温度によっても調整する
ことができ、加温することにより、冷却速度を適当に低
減することが可能である。金型は、通常、50〜300
℃の範囲に予熱するのが融液の流動性向上に好ましい。
【0025】射出成形の操作の例を示すと、割型を金型
にセットし、スクリュー押出機の吐出口を金型の注入口
に押圧接続し、シリンダー内でスクリュー83を後退さ
せながら回転して上記保温された溶湯10をシリンダー
81の前部に移送して湯溜まり82を形成し、次いで、
押圧手段85によりスクリューを押圧前進させて、溶湯
を金型の鋳造間隙50内に高速で射出する。射出により
鋳造間隙50内に供給しつつある溶湯10は、順次間隙
内面に接触しながら冷却されて、流動状態のまま上述の
過程で凝固が進行する。完全凝固まで、押圧手段85に
よりスクリュー83を押圧して、溶湯10は加圧され
て、凝固収縮を補充しながら、溶湯を間隙内面に押圧し
て冷却速度を確保するようにされる。次いで、完全凝固
後には、金型を分割して成形体1を取出し放冷する。
にセットし、スクリュー押出機の吐出口を金型の注入口
に押圧接続し、シリンダー内でスクリュー83を後退さ
せながら回転して上記保温された溶湯10をシリンダー
81の前部に移送して湯溜まり82を形成し、次いで、
押圧手段85によりスクリューを押圧前進させて、溶湯
を金型の鋳造間隙50内に高速で射出する。射出により
鋳造間隙50内に供給しつつある溶湯10は、順次間隙
内面に接触しながら冷却されて、流動状態のまま上述の
過程で凝固が進行する。完全凝固まで、押圧手段85に
よりスクリュー83を押圧して、溶湯10は加圧され
て、凝固収縮を補充しながら、溶湯を間隙内面に押圧し
て冷却速度を確保するようにされる。次いで、完全凝固
後には、金型を分割して成形体1を取出し放冷する。
【0026】金型の間隙内面には、予め、離型材7を塗
布することもなされる。離型材には、例えば脂肪酸エス
テルのワックス質の混合材料が使用され、離型材7の塗
布は、通常は、図3(B)に示すように、液状の離型材
7 をスプレーノズル6を用いて開放した金型の間隙5
0内面51上に噴霧して、乾燥後100μm程度の離型
材皮膜7を形成しておく。離型材の使用により、成形体
の鋳型への焼き付きを防止して、型離れを容易にするこ
とができる。離型材の使用の場合には、後述の塗装膜形
成のために、脱脂液による洗浄、化成処理やブラスティ
ング、表面研削により、射出成形体から離型材を除去す
るのが好ましい。
布することもなされる。離型材には、例えば脂肪酸エス
テルのワックス質の混合材料が使用され、離型材7の塗
布は、通常は、図3(B)に示すように、液状の離型材
7 をスプレーノズル6を用いて開放した金型の間隙5
0内面51上に噴霧して、乾燥後100μm程度の離型
材皮膜7を形成しておく。離型材の使用により、成形体
の鋳型への焼き付きを防止して、型離れを容易にするこ
とができる。離型材の使用の場合には、後述の塗装膜形
成のために、脱脂液による洗浄、化成処理やブラスティ
ング、表面研削により、射出成形体から離型材を除去す
るのが好ましい。
【0027】得られた射出成形品は、その厚みが2mm
程度の場合には、Al低減領域が直径数μm〜20μm
程度の粒状が多数分布し、各Al低減域をAl富化の帯
域が取り囲む網目状組織が得られる。この場合には、凝
固過程の冷却速度は、104℃/sec 以上であり、
Al低減領域とAl富化の帯域とは、非平衡状態であっ
て、組成は一定でなく、両領域の境界も必ずしも明確で
はない。
程度の場合には、Al低減領域が直径数μm〜20μm
程度の粒状が多数分布し、各Al低減域をAl富化の帯
域が取り囲む網目状組織が得られる。この場合には、凝
固過程の冷却速度は、104℃/sec 以上であり、
Al低減領域とAl富化の帯域とは、非平衡状態であっ
て、組成は一定でなく、両領域の境界も必ずしも明確で
はない。
【0028】射出整形後のマグネシウム成形体1は、図
1(B)に示すように、その表面に塗装膜2が形成され
るが、塗装膜は、着色装飾のためと防水性付与するため
のものである。
1(B)に示すように、その表面に塗装膜2が形成され
るが、塗装膜は、着色装飾のためと防水性付与するため
のものである。
【0029】塗装膜の形成は、金型より取り出した該成
形体の表面に上記の塗料を塗着する工程と、さらに、塗
着後の成形体を300℃以下で1時間以内で加熱して塗
料を焼き付けてる工程とからなっている。塗料はマグネ
シウム成形体に塗着して乾燥し、その後に焼き付けを行
う。この焼き付けは、300℃以下で1時間以内の加熱
によるのであり、この程度の低温短時間の加熱条件で
は、上記のAl低減領域とAl富化領域からなる非平衡
組織は実質的には熱的影響を受けることはない。
形体の表面に上記の塗料を塗着する工程と、さらに、塗
着後の成形体を300℃以下で1時間以内で加熱して塗
料を焼き付けてる工程とからなっている。塗料はマグネ
シウム成形体に塗着して乾燥し、その後に焼き付けを行
う。この焼き付けは、300℃以下で1時間以内の加熱
によるのであり、この程度の低温短時間の加熱条件で
は、上記のAl低減領域とAl富化領域からなる非平衡
組織は実質的には熱的影響を受けることはない。
【0030】上記9%Al含有マグネシウム合金から、
上記要領により、射出成形して2mm厚みの成形品に
し、塗装剤として、エポキシとポリエステルの混合物を
塗布焼き付けした成形品について、耐食性を評価する試
験を行った。試験は、塩水噴霧試験により、35℃の5
%塩水により8時間の噴霧して16時間休止するサイク
ルを3サイクル行う方法で行った。塗料の剥離試験によ
り密着力の良否と表面の腐食状況を調べた。塗膜は一層
だけであるが、塗膜の密着性と合金生地の耐食制は良好
であった。
上記要領により、射出成形して2mm厚みの成形品に
し、塗装剤として、エポキシとポリエステルの混合物を
塗布焼き付けした成形品について、耐食性を評価する試
験を行った。試験は、塩水噴霧試験により、35℃の5
%塩水により8時間の噴霧して16時間休止するサイク
ルを3サイクル行う方法で行った。塗料の剥離試験によ
り密着力の良否と表面の腐食状況を調べた。塗膜は一層
だけであるが、塗膜の密着性と合金生地の耐食制は良好
であった。
【0031】さらに本発明においては、マグネシウム合
金の溶湯を金型に射出する際に、溶湯を完全融液としな
いで、一部固相が共存する半凝固状態で金型に射出する
こともできる。上例の9%Al含有マグネシウム合金の
例では、液相線温度600℃に対して、射出直前の溶湯
温度を530〜570℃程度の温度に調整して、シリン
ダー前部で予め溶湯中にMgに富む結晶粒子を予め晶出
させて分散させておくもので、金型の間隙内では、溶湯
中の分散粒子がAl低減領域となり、さらに間隙内の移
動過程で上記の原理によりAl低減領域とそれに続くA
l富化領域が形成されることになる。図2(B)に射出
成形後の成形品について断面組織を示すように、溶湯中
の分散粒子に起因したAl低減領域111は、一般に、
粗大化するが、Al低減領域111の粒径は200μm
以下とするのが、耐食性の点から好ましい。
金の溶湯を金型に射出する際に、溶湯を完全融液としな
いで、一部固相が共存する半凝固状態で金型に射出する
こともできる。上例の9%Al含有マグネシウム合金の
例では、液相線温度600℃に対して、射出直前の溶湯
温度を530〜570℃程度の温度に調整して、シリン
ダー前部で予め溶湯中にMgに富む結晶粒子を予め晶出
させて分散させておくもので、金型の間隙内では、溶湯
中の分散粒子がAl低減領域となり、さらに間隙内の移
動過程で上記の原理によりAl低減領域とそれに続くA
l富化領域が形成されることになる。図2(B)に射出
成形後の成形品について断面組織を示すように、溶湯中
の分散粒子に起因したAl低減領域111は、一般に、
粗大化するが、Al低減領域111の粒径は200μm
以下とするのが、耐食性の点から好ましい。
【0032】本発明においては、図1(C)に示す如
く、射出成形体1に金属層3を形成し、金属層3上に塗
装膜2を形成したマグネシウム合金成形品が好ましい。
射出成形後であって、塗装膜2の塗料を塗着するに先立
って、射出成形後の成形体1に金属層3が形成される。
この金属層3としては、本発明の上記組成のマグネシウ
ム合金よりも耐食性の良い金属の使用が好ましく、特
に、Al又はその合金が好ましい。Al以外の金属層に
は、ZnなどのMgと電位差の小さいもの(電気化学系
列上でMgに近いもの或いはより貴である金属の単体又
はその合金)が使用できる。
く、射出成形体1に金属層3を形成し、金属層3上に塗
装膜2を形成したマグネシウム合金成形品が好ましい。
射出成形後であって、塗装膜2の塗料を塗着するに先立
って、射出成形後の成形体1に金属層3が形成される。
この金属層3としては、本発明の上記組成のマグネシウ
ム合金よりも耐食性の良い金属の使用が好ましく、特
に、Al又はその合金が好ましい。Al以外の金属層に
は、ZnなどのMgと電位差の小さいもの(電気化学系
列上でMgに近いもの或いはより貴である金属の単体又
はその合金)が使用できる。
【0033】金属層3としてのAlまたはその合金の皮
膜の形成には、好ましくは、図5に示したように、射出
成形したあとの成形体に、塗料の塗着に先立って、Al
を溶射する方法が利用される。溶射法は、溶融金属粒を
吹きつけるので、成形品表面に油脂等の異物が残ってい
ても、それらを破壊してマグネシウム合金表面に強固に
溶着するので、金属層の接着力が大きいという特徴があ
る。金属層にAlを使用すると、マグネシウム合金成形
品中には、Al成分が含まれるので、塗装後の焼き付け
時には、Al金属層に拡散接合が生じて、接合強度が高
くすることができる。金属層としてのAl層は、他の方
法によって形成されてもよい。
膜の形成には、好ましくは、図5に示したように、射出
成形したあとの成形体に、塗料の塗着に先立って、Al
を溶射する方法が利用される。溶射法は、溶融金属粒を
吹きつけるので、成形品表面に油脂等の異物が残ってい
ても、それらを破壊してマグネシウム合金表面に強固に
溶着するので、金属層の接着力が大きいという特徴があ
る。金属層にAlを使用すると、マグネシウム合金成形
品中には、Al成分が含まれるので、塗装後の焼き付け
時には、Al金属層に拡散接合が生じて、接合強度が高
くすることができる。金属層としてのAl層は、他の方
法によって形成されてもよい。
【0034】金属層の形成後には、前述の要領で、塗装
膜が形成される。金属層としてのAl溶射膜にはピンホ
ールが多いのであるが、その表面に塗装膜を形成してピ
ンホールを埋めるから、塗装膜は、そのによる封孔効果
により水分の浸入を防止することができる。さらに、溶
射によるAl層の表面を研削・研磨や装飾を施し後に、
その表面に塗装膜として透明な樹脂層を形成することが
でき、これにより、金属感のある装飾が容易に得られ
る。
膜が形成される。金属層としてのAl溶射膜にはピンホ
ールが多いのであるが、その表面に塗装膜を形成してピ
ンホールを埋めるから、塗装膜は、そのによる封孔効果
により水分の浸入を防止することができる。さらに、溶
射によるAl層の表面を研削・研磨や装飾を施し後に、
その表面に塗装膜として透明な樹脂層を形成することが
でき、これにより、金属感のある装飾が容易に得られ
る。
【0035】
【発明の効果】本発明のマグネシウム合金成形品は、合
金の成形体自体にAl低減層とAl富化層との網目組織
を形成して、その耐食性を高めることができる。さら
に、その成形体の表面に塗装膜を形成して表面の防水を
図り、成形品全体としての耐食性を発現するので、有害
物質を含む表面処理を施す必要もなく、実用上充分な塗
装膜の密着性と長期にわたる安定した耐食性を発現する
ことができる。
金の成形体自体にAl低減層とAl富化層との網目組織
を形成して、その耐食性を高めることができる。さら
に、その成形体の表面に塗装膜を形成して表面の防水を
図り、成形品全体としての耐食性を発現するので、有害
物質を含む表面処理を施す必要もなく、実用上充分な塗
装膜の密着性と長期にわたる安定した耐食性を発現する
ことができる。
【0036】本発明のマグネシウム合金成形品の製造方
法は、従来の射出成形法により鋳造され、その後に塗装
により塗装膜を形成するので、特段の大掛かりな装置設
備を必要とせずに、コスト高を招くことなく、実用上耐
食性に優れた薄肉の成形品を容易に得ることができる。
法は、従来の射出成形法により鋳造され、その後に塗装
により塗装膜を形成するので、特段の大掛かりな装置設
備を必要とせずに、コスト高を招くことなく、実用上耐
食性に優れた薄肉の成形品を容易に得ることができる。
【0037】さらに、本発明は、マグネシウム合金成形
体に、耐食性の金属層を形成し、その上に塗装膜を形成
することにより、マグネシウム合金成形体の耐食性を一
層高めることができる。さらに、本発明のその製造方法
においては、その金属層の形成が溶射により簡単且つ迅
速に成し得るので、コスト高を招くことなく高度の耐食
性を保証することができる。
体に、耐食性の金属層を形成し、その上に塗装膜を形成
することにより、マグネシウム合金成形体の耐食性を一
層高めることができる。さらに、本発明のその製造方法
においては、その金属層の形成が溶射により簡単且つ迅
速に成し得るので、コスト高を招くことなく高度の耐食
性を保証することができる。
【図1】本発明のマグネシウム合金成形体断面の金属組
織を模式的に示す図(A)とマグネシウム合金成形品の
断面を模式的に示す図(B、C)。
織を模式的に示す図(A)とマグネシウム合金成形品の
断面を模式的に示す図(B、C)。
【図2】マグネシウム合金成形体を射出成形により鋳造
する過程を示す型内断面での金属組織を模式的に示す図
(A)、マグネシウム合金成形品の断面を模式的に示す
図(B)、及び、従来の鋳造する過程での金属組織を模
式的に示す図(C)。
する過程を示す型内断面での金属組織を模式的に示す図
(A)、マグネシウム合金成形品の断面を模式的に示す
図(B)、及び、従来の鋳造する過程での金属組織を模
式的に示す図(C)。
【図3】射出成形機の射出過程を模式的に示す縦断面図
(A)と離型材塗布要領を示す金型の断面図(B)。
(A)と離型材塗布要領を示す金型の断面図(B)。
【図4】本発明のマグネシウム合金成形品の製造工程を
示す図。
示す図。
【図5】本発明のマグネシウム合金成形品の製造工程を
示す図。
示す図。
【図6】従来のマグネシウム合金成形品の製造工程を示
す図。
す図。
【図7】従来のAl皮膜を形成したマグネシウム合金成
形品の断面図(A)と、従来ののマグネシウム合金の金
属組織の概念図(B、C)。
形品の断面図(A)と、従来ののマグネシウム合金の金
属組織の概念図(B、C)。
【図8】Mg−Al系平衡状態図を示す。
1 マグネシウム合金成形体 10 溶湯 11 Al低減領域 12 Al富化領域 2 塗装膜 3 金属層 5 金型 50 間隙 7 離型材
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22F 1/00 673 C22F 1/00 673 680 680 681 681 682 682
Claims (13)
- 【請求項1】 平均組成として4〜12%Alを含有
し、且つ、粒径200μm以下の平均組成よりもMg含
有量の高いAl低減領域とその周囲を囲んだ平均組成よ
りもAl含有量の高いAl富化領域とを有するマグネシ
ウム−アルミニウム合金の成形体と、該成形体に一層以
上被覆形成された塗装膜と、から成ることを特徴とする
マグネシウム合金成形品。 - 【請求項2】 上記Mgの多い領域とAlの多い領域と
は、非平衡相である請求項1記載のマグネシウム合金成
形品。 - 【請求項3】 上記成形体が、射出注型による成形体で
ある請求項1記載のマグネシウム合金成形品。 - 【請求項4】 成形体の厚みが、5mm以下である請求
項1又は3記載のマグネシウム合金成形品。 - 【請求項5】 上記成形品には、当該成形体と塗装膜と
の間に金属層を形成したことを特徴とする請求項1記載
のマグネシウム合金成形品。 - 【請求項6】 該金属層が、Al又はその合金から成る
請求項5のマグネシウム合金成形品。 - 【請求項7】 該金属層が、Al又はその合金の溶射に
よる溶着層である請求項5記載のマグネシウム合金成形
品。 - 【請求項8】 4〜12%Alを含有したマグネシウム
−アルミニウム合金の全部または一部を溶融する工程
と、該合金の融液を金型間隙に射出して成形体にする工
程と、金型より取り出した該成形体の表面に塗料を塗着
して塗装膜を形成する工程と、塗着後の成形体を300
℃以下で1時間以内で加熱して塗料を焼き付ける工程
と、を含むマグネシウム合金成形品の製造方法。 - 【請求項9】 塗装する工程に先立って、上記の射出成
形体に脱脂又は化成処理を行う工程を設けた請求項8記
載の製造方法。 - 【請求項10】 4〜12%Alを含有したマグネシウ
ム−アルミニウム合金の全部または一部を溶融する工程
と、該合金融液を金型内に射出して成形する工程と、金
型より取り出した成形体の表面に金属層を形成する工程
と、金属層の表面に塗料を塗着して塗装膜を形成する工
程と、塗着後の成形体を300℃以下で1時間以内で加
熱して塗料を焼き付ける工程と、を含むマグネシウム合
金成形品の製造方法。 - 【請求項11】 上記金型間隙の厚みが5mm以下であ
る請求項8又は10に記載の製造方法。 - 【請求項12】 該金属層を形成する工程が、成形体の
表面にAl又はその合金を溶射する方法を含む請求項1
0記載の製造方法。 - 【請求項13】 上記の塗装する工程に先立って、上記
金属層の表面を機械的に研磨する工程を設け、当該塗装
する工程において塗料が透明塗料である請求項10記載
の製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9192261A JPH1136035A (ja) | 1997-07-17 | 1997-07-17 | マグネシウム合金成形品とその製造方法 |
EP98113061A EP0892074B1 (en) | 1997-07-17 | 1998-07-14 | Magnesium alloy molded product and method for producing the same |
DE69805140T DE69805140T2 (de) | 1997-07-17 | 1998-07-14 | Formteil aus Magnesiumlegierung und Verfahren zur Herstellung dieses Formteils |
CN98116332.7A CN1113106C (zh) | 1997-07-17 | 1998-07-17 | 镁合金成型制品及其制造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9192261A JPH1136035A (ja) | 1997-07-17 | 1997-07-17 | マグネシウム合金成形品とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1136035A true JPH1136035A (ja) | 1999-02-09 |
Family
ID=16288353
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9192261A Pending JPH1136035A (ja) | 1997-07-17 | 1997-07-17 | マグネシウム合金成形品とその製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP0892074B1 (ja) |
JP (1) | JPH1136035A (ja) |
CN (1) | CN1113106C (ja) |
DE (1) | DE69805140T2 (ja) |
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WO2012091112A1 (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-05 | 住友電気工業株式会社 | マグネシウム合金材 |
JP2012140655A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | マグネシウム合金板材 |
JP2012140656A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | マグネシウム合金材 |
JP2012140657A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | マグネシウム合金材 |
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CN101450543B (zh) * | 2007-12-06 | 2013-07-03 | 鸿富锦精密工业(深圳)有限公司 | 车辆油底壳及其制备方法 |
CN109986061B (zh) * | 2017-12-29 | 2021-05-04 | 南京理工大学 | 一种多尺度析出层片结构镁合金的制备方法 |
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JPH01166874A (ja) * | 1987-12-21 | 1989-06-30 | Akio Nakano | 複合金属製品の鋳造装置 |
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1997
- 1997-07-17 JP JP9192261A patent/JPH1136035A/ja active Pending
-
1998
- 1998-07-14 EP EP98113061A patent/EP0892074B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1998-07-14 DE DE69805140T patent/DE69805140T2/de not_active Expired - Fee Related
- 1998-07-17 CN CN98116332.7A patent/CN1113106C/zh not_active Expired - Fee Related
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JP2012140655A (ja) * | 2010-12-28 | 2012-07-26 | Sumitomo Electric Ind Ltd | マグネシウム合金板材 |
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