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JPH11353564A - 差動式火災警報装置 - Google Patents

差動式火災警報装置

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Publication number
JPH11353564A
JPH11353564A JP17228698A JP17228698A JPH11353564A JP H11353564 A JPH11353564 A JP H11353564A JP 17228698 A JP17228698 A JP 17228698A JP 17228698 A JP17228698 A JP 17228698A JP H11353564 A JPH11353564 A JP H11353564A
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JP
Japan
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temperature
fire
difference
reference temperature
setting
Prior art date
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JP17228698A
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JP3859360B2 (ja
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Takashi Ito
尚 伊藤
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Nohmi Bosai Ltd
Original Assignee
Nohmi Bosai Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感熱素子が検出した温度の上昇率が小さくて
も、火災であることを確実に判別することができる差動
式火災警報装置を提供することを目的とするものであ
る。 【解決手段】 信号線に複数の熱センサが配置されてい
る差動式火災警報装置であって、熱センサが検出した温
度を熱センサ毎に取り込み、上記取り込まれた温度を格
納し、所定時間前に取り込まれた温度を基準温度として
設定し、また、時間の経過に伴って上記基準温度を更新
し、上記温度取込手段が取り込んだ温度と上記基準温度
との差温を演算し、この演算された差温に基づいて火災
を判別するものであり、差温警戒閾値設定手段が所定の
差温警戒閾値を設定し、上記演算された差温が上記設定
された差温警戒閾値を越えると、上記基準温度設定手段
に対して、上記基準温度の更新を停止させる差動式火災
警報装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、差動式の火災警報
装置に係り、特に、大空間や高天井であっても迅速に火
災を警報することができる差動式火災警報装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の差動式火災警報装置において、サ
ーミスタ等の感熱素子を用いて周囲温度を検出し、この
検出された温度を、所定時間前の検出温度または応答性
の遅い素子の出力値と比較することによって、温度の上
昇率を検出し、この検出された温度の上昇率を火災判別
の基準値と比較することによって、火災警報を行うよう
にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の差
動式火災判別アルゴリズムでは、周囲の温度を検出する
感熱素子の熱応答性が迅速であることが要求され、ま
た、火災の発生場所から遠ざかるにつれて温度上昇を捕
らえにくくなるという性質がある。したがって、近年の
建築物で増加しているアトリウムやホールのような大空
間または高天井の空間においては、火災に基づく温度上
昇を感熱素子が捕らえようとしても、熱気流が放散した
り、他の部材(天井等)に熱が伝達することによって、
火災を検出するまでの時間が長くなるという問題があ
る。
【0004】本発明は、感熱素子が検出した温度の上昇
率が小さくても、火災であることを確実に判別すること
ができる差動式火災警報装置を提供することを目的とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、信号線に複数
の熱センサが配置されている差動式火災警報装置であっ
て、熱センサが検出した温度を熱センサ毎に取り込み、
上記取り込まれた温度を格納し、所定時間前に取り込ま
れた温度を基準温度として設定し、また、時間の経過に
伴って上記基準温度を更新し、上記温度取込手段が取り
込んだ温度と上記基準温度との差温を演算し、この演算
された差温に基づいて火災を判別するものであり、差温
警戒閾値設定手段が所定の差温警戒閾値を設定し、上記
演算された差温が上記設定された差温警戒閾値を越える
と、上記基準温度設定手段に対して、上記基準温度の更
新を停止させる差動式火災警報装置である。
【0006】
【発明の実施の形態および実施例】図1は、本発明の一
実施例である差動式火災警報装置FA1を示すブロック
図である。
【0007】火災警報装置FA1は、火災受信機RE
と、熱センサSE1〜SE100とを有する。熱センサ
SE1〜SE100は、ホールのような大空間Hの天井
等に点在して配置され、信号線Lを介して火災受信機R
Eと接続されている。
【0008】図2は、火災警報装置FA1に使用されて
いる火災受信機REと、熱センサSE1との構成を概略
的に示すブロック図である。
【0009】熱センサSE1は、サーミスタ等の感熱素
子11と、マイクロコンピュータ等による検出部12
と、伝送回路等による出力部13とを有し、詳細に示さ
ないプログラムに基づいて、感熱素子11の出力値に基
づいて検出部12が周囲温度を判別し、出力部13を介
して、コード化された信号等を火災受信機REへ出力す
るものである。なお、熱センサSE2〜SE100の構
成も、熱センサSE1の構成と同様である。
【0010】火災受信機REは、伝送回路等の入力部1
と、マイクロコンピュータ等による判別部2と、EEP
ROMやRAM等による格納部3と、ブザーや表示灯等
を使用する警報部4とを有し、詳細に示さないプログラ
ムに基づいて、熱センサSE1〜SE100から周囲温
度を示す信号を収集し、格納部3に格納した過去の周囲
温度を利用して上昇温度を演算するとともに、格納部3
に格納されている基準値と比較し、火災の有無を判別す
るものである。また、火災受信機REは、火災と判別さ
れたときに、警報部4に出力し、ブザー鳴動や表示灯の
点灯、火災の通報等の処理を行うものである。
【0011】なお、入力部1は、温度センサが検出した
温度を温度センサ毎に取り込む温度取込手段の例であ
る。
【0012】次に、上記実施例における火災判断動作に
ついて説明する。
【0013】火災警報装置FA1の火災判断は、熱セン
サSE1〜SE100のそれぞれが2種類の火災判断を
同時に行う。つまり、ある一定時間内における温度差
(上昇温度)と所定の温度差が生じた空間的な範囲とに
よって火災判断を行う差動式分布型火災判断と、一定温
度の閾値を設け、この閾値に基づいて火災判断する定温
式火災判断とを行う機能を有する。
【0014】火災警報装置FA1において上記差動式分
布型火災判断を行う場合、熱センサSE1〜SE100
のそれぞれが温度上昇率(単位時間に温度が上昇した割
合)を算出し、この算出された温度上昇率が所定の閾値
を越えると、閾値を越える温度上昇率を発生した熱セン
サにおける温度評価がONになる。そして、複数の熱セ
ンサにおける温度上昇率が所定の閾値を越えたときに火
災が発生していると判断する。上記実施例において、複
数位置における温度上昇率を、熱センサSE1〜SE1
00の全てにわたって総合的に火災判断するので、火災
検知結果の信頼性が高い。なお、上記実施例において
は、約60秒前に測定された温度と現在測定された温度
との差(差温)によって上昇温度率を演算する。
【0015】また、1つのグループ内における複数の熱
センサで上昇温度が閾値(上昇温度閾値)を越えた場
合、火災信号を出力する。「グループ」は、信号線L上
に点在する複数の熱センサの集合である。
【0016】火災警報装置FA1において、複数位置の
上昇温度を総合した分布型の火災判断を行うことによっ
て、火災警報装置FA1が、空気管式感知器と同等以上
の火災検出性能を持つ。よって、空気管式と同様の設置
基準によって敷設された天井高15mの環境で、空気管
の火災検出性能以上の性能を、火災警報装置FA1が有
する。
【0017】火災警報装置FA1において熱アナログ式
火災判断を行う場合、警戒区域毎に定温点の閾値を設定
し、ある警戒区域における測定温度がその警戒区域にお
ける閾値を越えた場合、火災信号を出力する。この定温
点の閾値の設定範囲は、公称感知温度範囲(40°C〜
85°Cの範囲)で任意に設定することができる。な
お、定温式火災判断において、実際には、各熱センサに
おける測定温度が、連続して2回閾値を越えた場合に、
火災信号を受信機REへ出力する。
【0018】火災判断を行う場合や、火災信号を受信機
REへ出力する場合には、グループ毎に出力し、差動式
分布型火災判断機能、定温式スポット型火災判断機能の
少なくとも一方が作動したときに、火災信号を受信機R
Eへ出力する。上記実施例は、差動式分布型と定温式と
の火災判断機能を併せ持っているので、失報の可能性が
少なく、しかも信頼性が高い。
【0019】次に、上記実施例における格納データの構
成について説明する図3は、上記実施例における格納デ
ータの構成の説明図である。
【0020】温度測定データA1〜A100は、熱セン
サSE1〜SE100のそれぞれにおいて測定された温
度データであり、温度測定データAnは、温度測定デー
タA1〜A100のうちの1つの温度測定データであ
る。
【0021】測定温度データ格納部Dは、測定温度デー
タ群Dn(=n,A1〜100)を格納する領域であ
る。平均温度演算用格納部M1は、測定温度格納部Dに
格納されている測定温度データ群を格納する領域であ
る。平均温度演算用格納部M2は、平均温度演算用格納
部M1に格納されている測定温度データ群を格納する領
域である。つまり、測定温度データ群Dn(=n,A1
〜100)は、測定温度データ格納部D、平均温度演算
用格納部M1、平均温度演算用格納部M2の順で、温度
測定タイミング毎に、順次、格納領域を移動し、3回分
の測定温度データ群が格納される領域を有する。
【0022】基準温度格納部Rは、基準温度格納部R1
〜R16を有し、基準温度格納部R1〜R16は、所定
の時間毎の平均温度を順次格納する領域であり、この中
の特定の位置、たとえば格納部R8の平均温度が基準温
度として用いられ、温度上昇率を検出する場合に必要な
温度である。
【0023】上昇温度閾値設定値Sは、上昇温度閾値の
設定値であり、各グループ毎に設定するものであり、
0.1≦S≦25.0の範囲で0.1℃ピッチで変更が
可能であり、上昇温度閾値設定値Sのデフォルト値は
「5」である。なお、「デフォルト値」は、電源立ち上
げ時等に自動的に設定される値である。
【0024】火災判定熱センサ数Bは、所定の閾値を越
えた熱センサの数(火災判定ポイント数)として設定さ
れた数であり、ここではグループ毎に設定される値であ
り、0≦B≦30の範囲であり、火災判定熱センサ数B
のデフォルト値は、「5」である。所定の閾値を越えた
熱センサの数が5以上であれば火災が発生していると判
断する。
【0025】通常時基準位置Eは、基準温度格納部R1
〜R16のうちで、通常監視時に基準温度として使用す
る温度データが格納されている領域を指定するものであ
り、R1≦E≦R15であり、ここでの通常時基準位置
Eのデフォルト値は、R8である。
【0026】基準温度格納位置Iは、基準温度格納部R
1〜R16のうちで、基準温度として現在使用する温度
データが格納されている領域を示す値であり、R1≦I
≦R16であり、基準温度格納位置Iのデフォルト値は
「8」である。
【0027】基準温度準備用格納位置Iaは、警戒時に
基準温度を書き換えるまでの間に、更新された基準温度
格納位置を保持する領域であり、また、基準温度位置準
備用位置データIaの初期値は、基準位置Iである。
【0028】定温の閾値Lは、各熱センサ毎に設定さ
れ、0≦L≦300℃の範囲で1℃ピッチで変更可能で
あり、定温の閾値Lのデフォルト値は「60」である。
【0029】マスク位置設定データKは、火災監視を行
わない熱センサを指定するデータである。
【0030】閾値オーバーフラグQは、測定温度が定温
の閾値Lを1回目に越えたときに「1」になるフラグで
あり、閾値オーバーフラグQの初期値は「0」である。
【0031】グループ設定データGは、火災信号を火災
受信機REに出力する場合の接点を指定するデータであ
り、火災判断がグループ単位で火災受信機REに出力さ
れ、1≦G≦10であり、グループ設定データGのデフ
ォルト値は「1」である。
【0032】平均値Avgは、基準温度格納部R1に格
納される基準温度データである。
【0033】データを格納する領域として、基準温度格
納部R(100個の熱センサ×16回分の格納領域)
と、測定温度データ格納部Dと、平均温度演算用格納部
M1、M2と、その他諸設定を格納する領域とが必要で
ある。
【0034】温度測定周期を3.0秒とするとき、3回
測定した平均値を基準温度格納部R1に格納することが
でき、格納データをシフトする基準温度格納部がR1〜
R16の16個あるので、3.0秒×3回×16個=1
44秒前に測定した温度データを基準とした温度上昇率
を測定することができ、格納されるデータが平均値であ
るので、特異な数値となることを防止することができ、
領域を縮小することができることになる。
【0035】次に、上記実施例における具体的な動作に
ついて説明する。
【0036】図4は、上記実施例における具体的な動作
を示すフローチャートである。
【0037】まず、通常監視時における動作について説
明する。
【0038】測定温度データ群Dn=(n,A1〜A1
00)を収集し、格納部Dに格納する(S1)。つま
り、温度測定周期を3秒とし、熱センサSE1〜SE1
00のそれぞれにおける温度上昇率を測定する。最初に
測定された測定温度データ群(データA1〜A100)
を、測定温度データ群D1=(1,A1〜A100)と
表現すると、測定温度データ群D1が、測定温度格納部
Dに格納される。なお、測定温度データ群D1が測定さ
れた後、順次、測定温度データ群D2=(2,A1〜A
100)、測定温度データ群D3=(3,A1〜A10
0)、……、測定温度データ群Dn=(n,A1〜A1
00)が測定される。
【0039】そして、次の温度測定時には、測定温度格
納部Dに書き込まれていた測定温度データ群D1が、平
均温度演算用格納部M1に送られ、測定温度データ群D
2が測定温度格納部Dに新たに書き込まれる。さらに、
3回目の温度測定時に、測定温度データ群D1は、平均
温度演算用格納部M2に送られ、平均温度演算用格納部
M1に書き込まれていた測定温度データ群D2は、測定
平均温度格納部Dに順次送られ、測定温度データ群D3
が測定温度格納部Dに書き込まれる。測定温度格納部
D、平均温度演算用格納部M1、M2が、温度測定デー
タ群D1、D2、D3で満たされると、これら測定温度
データ群D1、D2、D3の平均値を求める。つまり、
(D+M1+M2)/3を演算する。この演算された測
定温度データ群の平均値が基準温度データとして、基準
温度格納部Rの最前部領域R1に格納され、格納部D、
M1、M2に格納されている内容をクリアする。
【0040】ここで、温度データの収集回数nが1であ
れば(S2)、基準温度格納部R1〜R15の全てに、
格納部Dに格納されているデータを格納する(S3)。
【0041】その後、上昇温度データ群Snが演算され
る(S4)。つまり、測定温度格納部Dに最新に格納さ
れた測定温度データ群Dnから、そのときに基準温度格
納位置Iによって指定された位置に格納されている基準
温度R(I)を減算する(S4)。なお、通常時は、基
準温度格納位置I=通常時基準位置Eであり、通常時基
準位置Eがたとえば基準温度格納部R8であれば、測定
温度データ群Dnから格納部R8のデータを減算するこ
とになる。
【0042】そして、定温式の火災判定を行う。すなわ
ち、基準温度格納部Dに格納されている測定温度データ
群Dnと各熱センサ毎の定温式の温度閾値Lとを比較し
(S5)、通常監視時であれば、D<Lである。また、
上昇温度データ群Snと各熱センサ毎の上昇温度閾値S
とを比較することによって、差動式の火災判定をする
(S6)。この場合、通常監視時は、Sn<Sであり、
さらに上昇温度データ群Snと各熱センサ毎の警戒上昇
温度閾値Pとを比較することによって、警戒上昇温度を
判定する(S7)。ここで、通常監視時は、Sn<Pで
あり、基準温度格納位置Iを通常時基準位置Eに設定す
る(S8)。
【0043】次に、温度データの平均値を計算する。つ
まり、格納部M1、M2の状態を判断し(S9)、格納
部M1、M2がクリアされていなければ、Iの内容をI
aに書き換え(S10)、各熱センサ毎に平均温度av
g=(D+M1+M2)/3を計算し、この計算結果を
格納部R1に格納し、基準温度格納部R1〜R15に格
納されているデータをR16に向ってシフトする(S1
1)。
【0044】ここで、平均温度avgが、基準温度格納
部R1〜R16に格納されているデータの中で最も低い
温度である場合、基準温度格納部R1〜R16の内容を
全て、平均温度avgの値に変える(S12)。また、
基準値が一番低い値になればよいので、基準温度格納部
Iに示された位置まで書き換えれば足り、また、基準温
度位置Iの位置のデータのみと比較して平均温度avg
に書き換えてもよく、この場合、全てのデータと個別に
比較しなくてもよい。
【0045】また、格納部M1、M2がクリアされてい
る場合(S9)、格納部M1にデータが存在していれ
ば、格納部M1のデータを格納部M2に移し、格納部D
のデータを格納部M1に移し、一方、格納部M1、M2
にデータが格納されていなければ、格納部Dのデータを
格納部M1に移す(S13)。
【0046】次に、上記実施例において、急激な温度上
昇であるが高温ではない場合の動作について説明する。
【0047】まず、温度測定、平均値の作成、基準温度
の書き換え、上昇温度の算出を行う(S1〜S4)。そ
して、定温式の火災判定を行い(S5)、高温でないの
で、Dn<Lになり、通常監視状態を継続し、差動式の
火災判定を行い(S6)、Sn>Sになれば、この熱セ
ンサで「火災」が発生していると仮に判定され、各熱セ
ンサにおける判定を行う(S21)。そして各熱センサ
における火災判定結果を参照し、火災であると仮に判定
された点在する熱センサの数Bnが、火災判定ポイント
数B以上であれば、火災信号を受信機REへ出力する
(S22)。
【0048】ここでは、火災と判別された熱センサが点
在する数を求めているが、このように、温度が上昇して
いる熱センサが連続して所定数存在しているときに火災
信号を出力させることによって、暖房機器の電源投入時
等のように一部で急峻な温度上昇が生じた場合に、誤っ
た火災信号の出力を防止することができる。つまり、こ
のときの熱センサの求め方を、連続して存在する熱セン
サの数とすることによって、火災の発生および拡がりに
対応した適正な火災判別を実行することができる。ま
た、各熱センサを監視区域毎にグループ分けし、設置場
所によっては、信号線Lを折り返すことも考えられ、こ
の場合には、連続して存在する数を求める代わりに、同
一グループ内において、所定の条件を満している熱セン
サの数を求めることによって、適正な火災判別を実行す
ることができる。
【0049】このような分布型の火災判別では、各熱セ
ンサでの火災と判定する温度上昇率は、差動式スポット
型の火災判別における温度上昇率よりも低いレベルであ
り、たとえばスポット型では一般的に約10度/分であ
り、この実施例では約5度/分程度となる。
【0050】さらに、連続して存在する熱センサの数と
グループ内での熱センサの数とのいずれを採用するかを
設定する設定領域を設け、連続して存在する熱センサの
数とグループ内での熱センサの数とを切り換えることが
できるようにすることが好ましい。
【0051】次に、上記実施例において、差動式の閾値
付近を継続的に緩慢に温度上昇し、定温式の閾値を越え
る場合の動作について説明する。
【0052】次に、上記実施例において、差動式の閾値
付近を温度が緩慢に上昇変化する場合の動作について説
明する。
【0053】まず、温度測定、平均値の作成、基準温度
の書き換え、上昇温度の算出を行う(S1〜S4)。そ
して、定温式の火災判定を行い(S5)、高温でないの
で、Dn<Lになり、通常監視状態を継続し、差動式の
火災判定を行い(S6)、差動式の閾値付近を上昇温度
が緩慢に変化するので、Sn<Sであり、通常監視状態
を継続する。
【0054】そして、上昇温度データ群Snと各熱セン
サ毎の警戒上昇温度閾値Pとを比較することによって、
警戒上昇温度判定を行い(S7)、差動式の閾値付近を
上昇温度が緩慢に変化するので、P≦Snになり、上昇
温度データ算出のための基準値を維持する動作を行う
(S31)。つまり、基準位置準備用データIaの値を
基準位置データI+1にし、次回の基準温度書き換え時
に、基準位置準備用データIaを基準温度格納位置Iに
移動し、基準温度データ格納部Rにおける基準温度位置
R(I)を1つ後方の位置へ移動する。つまり、基準温
度格納部R(I+1)へ移動する。このようにすること
によって、上昇温度測定時の基準時間を延長したことに
なり、同じ基準値との間で温度上昇率を演算することに
なるので、火災の早期検出につながる。すなわち、基準
値が移動すると温度が高くなる傾向があるので、同じ基
準値で上昇温度を演算することによって、本来の基準値
よりも低い基準値で演算することになり、大きな上昇率
となり、積極的に火災と判別することができる。
【0055】まず、温度測定、平均値の作成、基準温度
の書き換え、上昇温度の算出を行う(S1〜S4)。そ
して、定温式の火災判定を行い(S5)、高温なので、
Dn>Lになり、警戒時の判定が繰り返される間に、最
初にDn≧Lになった場合(S5)、閾値オーバーフラ
グQがまだ「0」であるので(S41)、閾値オーバー
フラグQを「1」にセットし(S42)、差動式の火災
判別に入っていく。そして、温度測定をもう一度実行し
(S1)、再びDn≧Lになれば(S5)、このときに
は閾値オーバーフラグQが「1」であるので(S4
1)、火災信号を受信機REへ送信する(S22)。
【0056】定温式の火災判定を行う場合、1つの熱セ
ンサにおいて定温式の温度閾値Lを2回連続して越える
と、火災信号を出力するようにしており、これによっ
て、突発的な異常データによる火災信号の誤発報を防止
するようにしている。また、グループ内の1つのセンサ
でも温度閾値Lを越えると、火災信号を出力するので、
火災の早期検出が可能である。
【0057】なお、マスクの有無、グループ番号、上昇
温度閾値S、定温の閾値L、通常時基準位置Eを、熱セ
ンサ毎に、予め設定する。データベースが設定されてい
ない場合、火災警報装置FA1は起動しないので、何ら
かのエラー信号を出力し、これを防止するために、上記
値を予め設定する。設定値を変更する場合、RS232
Cを介して、外部パソコンによって設定値を変更する。
RS232Cを介して、パソコンによって、温度、測定
時刻、上昇温度、データ格納状況を確認することができ
る。
【0058】また、図4に示すフローチャートに対応す
るプログラムが格納部3に格納されている。格納部3C
の代わりに、不揮発性半導体メモリ、バックアップ付き
RAM、FD、CD、ハードディスク、磁気テープ等の
他の記録媒体を使用してもよい。
【0059】ところで、差動式の火災判別アルゴリズム
として、従来例では、所定時間前のレベルとの差温を演
算し、その差温が基準温度を上回ると、火災であるとす
る方式が採用されている。この場合、現在の検出値から
所定時間前の検出値を全て格納して比較する必要があ
る。通常、火災発生時に室温が徐々に上昇し、差温が徐
々に大きくなれば、火災の可能性が高い。そこで、差温
を演算するための基準閾値として、所定時間に測定した
温度データを固定して使用すれば、差温が大きくなる傾
向になる。したがって、上記実施例においては、差温が
基準温度を上回らなくても、閾値よりも僅かに低い予備
値を差温が越えると、差温を演算するための基準閾値を
固定する(所定時間前に測定された温度データを固定す
る)。この結果、上記実施例では、火災が積極的に判断
される。つまり、一般的には、火災と判別されるレベル
を低く設定したとしても、火災を判別することが困難で
あるが、特に広い空間において領域的な判別要素を持っ
ている場合、上記実施例では、基準閾値を上昇させない
ことによって、素早い火災検出を実行することができ
る。
【0060】また、上記実施例において、格納しようと
する検出値が、既に格納されている全ての検出値よりも
低いときに、その全ての検出値を、格納しようとする検
出値によって書き換えるので、室温が徐々に低下してい
るような環境下で火災が発生しても、気温が一定(不
変)であるときに火災が発生した場合に火災判別するの
と同等の時期に、火災を検出することができる。
【0061】上記実施例によれば、スポット的に火災を
判別する場合には、所定の温度または所定の温度上昇を
検出することによって、火災を判別することになるが、
信号線L上に熱センサがライン状に配設されるので、温
度上昇の広がりを同時に検出することができる。また、
上記実施例において、信号線Lにおける点在する熱セン
サのうちで所定数の熱センサが所定の温度上昇を検出し
たときに火災であると判別するので、領域的に火災判別
することができ、したがって、火災が緩慢に(ゆっくり
と)広がった場合でも、火災を早期に検出することがで
きる。
【0062】また、上記実施例において、室等の監視区
画毎に対応して、信号線L上の熱センサをグループ分け
し、その1つのグループ内における所定数の熱センサに
おいて所定の温度上昇を検出したときに火災であると判
別するので、領域的に火災判別することができ、したが
って、火災が緩慢に広がった場合でも、火災を早期に検
出することができ、しかも、監視区画内の特定位置にお
いて火災以外の原因で温度が急上昇しても、火災である
と誤って判断されることがない。
【0063】さらに、上記実施例において、火災が急速
に広がった場合には、スポット的な判別との組み合わせ
によって火災判別するので、遅れのない火災判別を行う
ことができる。
【0064】また、上記実施例においては、信号線Lに
複数の熱センサを設定し、各熱センサ毎に上昇温度を演
算することによって火災を判別し、その火災とされる熱
センサの数を求めているが、火災判別のアルゴリズムと
して、差動式の代わりに定温式を採用してもよく、同様
に、平均値に一定値を加算した定温式や時間的要素含む
判別等、その他の火災判別アルゴリズムを採用するよう
にしてもよい。
【0065】上記実施例において、100個の熱センサ
SE1〜SE100が設けられているが、熱センサの数
を任意に設定するようにしてもよい。
【0066】上記実施例における火災判別において、熱
センサSE自体で判別し、火災受信機REに火災信号を
出力するようにしてもよく、また、火災受信機REにお
いて、同一空間に設置されている複数の熱センサSEの
うちで、上昇温度が基準値を越える熱センサSEの数が
所定数になったときに、火災警報を行うようにしてもよ
い。この場合、1つの熱センサが出力するデータのみに
基づいて火災警報を行う従来例と比較すると、上記基準
値として低い値を設定しても、拡散された熱気流から検
出した温度に基づいて、信頼性のある火災警報を行うこ
とが可能であり、大空間Hや高天井の空間において確実
に火災警報を行おうとする場合に非常に有効である。
【0067】さらに、同一空間に設置されている熱セン
サSEが、赤外線通信のように無線で情報を伝達し、熱
センサSE自体が、所定の条件を満たす熱センサSEの
数を計数し、この計数した値が所定の値を越えたとき
に、当該熱センサSEが火災受信機REに火災信号を出
力するようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、感熱素子が検出した温
度の上昇率が小さくても、火災であることを確実に判別
することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である差動式火災警報装置F
A1を示す図である。
【図2】火災警報装置FA1に使用されている火災受信
機REと、熱センサSE1との構成を概略的に示すブロ
ック図である。
【図3】上記実施例における格納データの構成の説明図
である。
【図4】上記実施例における具体的な動作を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
RE…火災受信機、 SE1〜SE100…熱センサ、 A1〜A100…温度測定データ、 D…測定温度データ格納部、 M1、M2…平均温度演算用格納部、 R、R1〜R16…基準温度格納部、 S…上昇温度閾値設定値、 Sn…上昇温度、 B…火災判定温度センサ数の閾値、 Bn…温度センサ数、 I…基準温度格納位置、 Ia…基準温度準備用格納位置、 E…通常時基準位置、 avg…平均値、 L…定温の閾値、 Q…閾値オーバーフラグ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信号線を介して熱センサが配置されてい
    る差動式火災警報装置であって、 上記熱センサが検出した温度を上記熱センサ毎に取り込
    む温度取込手段と;上記温度取込手段が取り込んだ温度
    を格納し、所定時間前に上記温度取込手段が取り込んだ
    温度を基準温度として設定し、また、時間の経過に伴っ
    て、上記基準温度を更新する基準温度設定手段と;上記
    温度取込手段が取り込んだ温度と上記基準温度との差温
    を演算する差温演算手段と;上記差温に基づいて火災を
    判別する火災判別手段と;所定の差温警戒閾値を設定す
    る差温警戒閾値設定手段と;上記差温演算手段によって
    演算された差温が上記設定された差温警戒閾値を越える
    と、上記基準温度設定手段に対して、上記基準温度の更
    新を停止させる基準温度更新停止手段と;を有すること
    を特徴とする差動式火災警報装置。
  2. 【請求項2】 信号線を介して熱センサが配置されてい
    る差動式火災警報装置であって、 上記熱センサが検出した温度を上記熱センサ毎に取り込
    む温度取込手段と;上記温度取込手段が取り込んだ温度
    を格納し、所定時間前に上記温度取込手段が取り込んだ
    温度を基準温度として設定し、また、時間の経過に伴っ
    て、上記基準温度を更新する基準温度設定手段と;上記
    温度取込手段が取り込んだ温度と上記基準温度との差温
    を演算する差温演算手段と;上記差温に基づいて火災を
    判別する火災判別手段と;上記温度取込手段が取り込ん
    だ温度が上記基準温度よりも低いと、上記基準温度設定
    手段に格納されている上記基準温度を、上記温度取込手
    段が取り込んだ温度に書き換える基準温度書換手段と;
    を有することを特徴とする差動式火災警報装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 上記基準温度設定手段は、上記温度取込手段が取り込ん
    だ複数個の温度の平均値を上記基準温度として設定する
    手段であることを特徴とする差動式火災警報装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のうちの少なくとも
    1項において、 上記火災判別手段は、上記取り込まれた温度と所定時間
    前に検出された温度との差が所定の閾値以上であるとき
    に、火災が発生したと判断する手段であることを特徴と
    する差動式火災警報装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3のうちの少なくとも
    1項において、 上記火災判別手段は、上記取り込まれた温度が所定の閾
    値以上であるときにも火災が発生したと判断する手段で
    あることを特徴とする差動式火災警報装置。
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