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JPH11320269A - 放電加工用電極線 - Google Patents

放電加工用電極線

Info

Publication number
JPH11320269A
JPH11320269A JP10131397A JP13139798A JPH11320269A JP H11320269 A JPH11320269 A JP H11320269A JP 10131397 A JP10131397 A JP 10131397A JP 13139798 A JP13139798 A JP 13139798A JP H11320269 A JPH11320269 A JP H11320269A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
discharge machining
electric discharge
wire
coating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10131397A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyoshi Shimojima
清志 下嶋
Masayoshi Aoyama
正義 青山
Hideo Kono
秀雄 河野
Koichi Tamura
幸一 田村
Takahiro Sato
隆裕 佐藤
Takamitsu Kimura
孝光 木村
Masahito Watabe
雅人 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Hitachi Cable Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Cable Ltd filed Critical Hitachi Cable Ltd
Priority to JP10131397A priority Critical patent/JPH11320269A/ja
Priority to US09/264,863 priority patent/US6362447B2/en
Priority to DE19911095A priority patent/DE19911095B4/de
Publication of JPH11320269A publication Critical patent/JPH11320269A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23HWORKING OF METAL BY THE ACTION OF A HIGH CONCENTRATION OF ELECTRIC CURRENT ON A WORKPIECE USING AN ELECTRODE WHICH TAKES THE PLACE OF A TOOL; SUCH WORKING COMBINED WITH OTHER FORMS OF WORKING OF METAL
    • B23H7/00Processes or apparatus applicable to both electrical discharge machining and electrochemical machining
    • B23H7/02Wire-cutting
    • B23H7/08Wire electrodes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】製造コストが安く、十分な導電率および高温強
度を有し、それにより放電加工速度の増加程度を向上さ
せることができる放電加工用電極線を提供するものであ
る。 【解決手段】Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu
−0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
金からなる芯線1の外周に、Cu−Zn合金の被覆層2
を形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電加工用電極線
に係り、特に、被覆型の放電加工用電極線に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に使用されている放電加工用電極線
として、Zn濃度が32〜36wt%であるCu−35
Zn合金単体からなるCu−35Zn合金線(65/3
5黄銅線)がある。
【0003】この他、高強度の放電加工用電極線とし
て、鋼線外周にCu−35Zn合金からなる被覆層を形
成したものが知られている。さらにCu−0.15S
n、Cu−0.15AgからなるCu合金線を芯線と
し、この芯線の外周にCu−35Zn合金からなる被覆
層を形成したものが知られている(特公平6−4713
0号公報)。
【0004】また、放電加工の加工速度を速め、高効率
の放電加工用電極線を得る方法として、Cu−ZnのZ
n濃度を高める方法、Cu−ZnにAlなどを添加して
耐熱性を向上させる方法などが知られている(古河電工
時報、第75号(昭和60年3月))。
【0005】近年、生産性の観点から、更なる放電加工
速度の向上(高効率化)が望まれており、例えば、Cu
−2.0Sn、Cu−0.3Sn、Cu−13Zn、C
u−0.6Ag、Cu−4.0Zn−0.3Snからな
るCu合金線を芯線とし、この芯線の外周に高Zn濃度
のCu−Zn合金被覆層を形成した被覆型の放電加工用
電極線が提案されている(特開平5−339664号公
報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この放
電加工用電極線は、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度が
38〜49wt%であるため、Cu−Zn合金被覆層は
α相とβ相の混合組織或いはβ相の単相組織となる。β
相の増加につれて冷間加工が困難となるため、この放電
加工用電極線は加工コストの高い熱間加工(熱間押出加
工)による方法でしか作製することができない。すなわ
ち、この放電加工用電極線の作製は、製造コストが高く
なるという問題があった。
【0007】また、芯線として、Cu−2.0Sn、C
u−0.3Sn、Cu−13Zn、Cu−0.6Ag、
Cu−4.0Zn−0.3SnからなるCu合金線を採
用しているため、伸線加工性に難があり(Cu−2.0
Snの場合)、耐熱性すなわち高温強度が著しく低く、
使用時において、断線或いは断線前の線伸びにより放電
不安定状態が発生(Cu−13Znの場合)、導電率が
十分でなく(Cu−4.0Zn−0.3Snの場合)、
或いは耐熱性が十分でないことにより、いずれも放電加
工速度の増加程度を十分に大きくすることができず、ま
た、Cu合金がAgを含有しているため原料コストが一
般に高くなるという問題があった。芯線に関していえ
ば、特公平6−47130号公報に示されているCu合
金線も、耐熱性が十分でないことから放電加工速度の増
加程度を十分に大きくすることができず(Cu−0.1
5Sn)、また、Cu合金がAgを含有しているため原
料コストが一般に高くなるという問題があった。
【0008】そこで本発明は、上記課題を解決し、製造
コストが安く、十分な導電率および高温強度を有し、そ
れにより放電加工速度を十分に増加させることができる
放電加工用電極線を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、Cu−0.02〜0.2Zr合金
又はCu−0.15〜0.25Sn−0.15〜0.2
5In合金からなる芯線の外周に、Cu−Zn合金の被
覆層を形成したものである。
【0010】請求項2の発明は、Cu−0.02〜0.
2Zr合金又はCu−0.15〜0.25Sn−0.1
5〜0.25In合金からなる芯線の外周に、α相の単
相組織からなるCu−Zn合金の被覆層を形成したもの
である。
【0011】請求項3の発明は、上記Cu−Zn合金の
Zn濃度が32〜38wt%である請求項2記載の放電
加工用電極線である。
【0012】請求項4の発明は、上記被覆層の層厚が3
0〜40μmである請求項1乃至請求項3記載の放電加
工用電極線である。
【0013】請求項5の発明は、Cu−0.02〜0.
2Zr合金又はCu−0.15〜0.25Sn−0.1
5〜0.25In合金からなる芯線の外周に、α相とβ
相の混合組織からなるCu−Zn合金の被覆層を形成し
たものである。
【0014】請求項6の発明は、上記Cu−Zn合金の
被覆層は、その表層部のZn濃度が、その内部のZn濃
度よりも低くなっている請求項5記載の放電加工用電極
線である。
【0015】本発明は、芯線の外周にCu−Zn合金被
覆層を形成した被覆型の放電加工用電極線の芯線材料に
着目したものである。
【0016】ここで、芯線の選定範囲をCu合金線に限
定したのは、鋼線だと真直性に難があり(巻きほぐした
時に巻き癖が生じる)、加工機に対する取り扱い易さの
点で問題があるからであり、一方、引張強度(特に、使
用時を想定した高温引張強度)と共に導電率について
は、高い方が望ましいとの観点からである。なお、Cu
線は高温時の引張強度が不足するので、範囲外とした。
【0017】上記数値範囲の限定理由を以下に説明す
る。
【0018】Cu−0.02〜0.2Zr合金のZr濃
度については、Zr濃度が0.02wt%未満の場合、
耐熱性が不足して放電不安定状態が発生し、Zr濃度が
0.2wt%を超えると、Zrの固溶限度を超えると共
に、Cu3 Zrの晶出物が形成されて断線し易くなるこ
とから、0.02〜0.2wt%の範囲に限定した。こ
の中で、Zr濃度が0.05〜0.16wt%であるC
u−0.05〜0.16Zr合金は、汎用品のCu−
0.16Zr合金として使用されているため、Cu−Z
r合金の中では最も経済的である。
【0019】また、Cu−0.15〜0.25Sn−
0.15〜0.25In合金のSn濃度およびIn濃度
については、SnおよびInはいずれも合金強度を向上
させるために添加されるものであるが、Inに比べてS
nの方が導電率低下に及ぼす影響が大きい。放電特性向
上のためには導電率低下が少ない方が望ましいため、S
nの添加量よりもInの添加量を大幅に多くすることが
望ましい。しかし、Inは高価であるため、添加量を
0.25wt%以下と低く抑えている。このため、Sn
の添加量を多くする必要があるが、Sn量が0.25w
t%よりも多いと導電率低下が著しくなるので、放電特
性の向上と経済性のバランスを考え、本組成の範囲とし
た。
【0020】Cu−Zn合金の被覆層のZn濃度につい
ては、Zn濃度32〜38wt%の範囲では、α相の単
相組織とすることができ、このα相の範囲内では引張強
さおよび硬さはZn濃度の増加につれて増大するが十分
硬くないために冷間加工ができる。したがって、伸線加
工等による製造が容易である。この中で、Zn濃度32
〜36wt%は、汎用品として知られているCu−35
Zn合金(65/35黄銅)のZn濃度範囲を示したも
のである。このCu−35Zn合金は、勿論α相の単相
組織からなり、冷間加工が容易に可能であると共に、汎
用品であるため、市場での入手性および経済性の点でも
優れている。
【0021】また、Cu−Zn合金の被覆層の層厚につ
いては、高効率の放電加工によって被覆層は約30μm
消耗するため、断線が生じないようにすべくCu−Zn
合金被覆層の層厚を少なくとも30μm以上とし、ま
た、層厚は40μmよりも厚いと放電加工用電極線とし
て必要な導電率を満たすことができなくなるため40μ
m以下とした。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0023】本発明の放電加工用電極線の横断面図を図
1に示す。
【0024】図1に示すように、本発明の放電加工用電
極線3は、Cu−0.02〜0.2Zr合金(又はCu
−0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
金)からなる芯線1の外周に、α相の単相組織又はα相
とβ相の混合組織からなるCu−Zn合金被覆層2を形
成したものである。
【0025】Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu
−0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
金からなる芯線の外周に、α相の単相組織からなるCu
−Zn合金の被覆層を形成した本発明の放電加工用電極
線によれば、冷間加工による形成が容易に可能な高効率
の放電加工用電極線を得ることができる。すなわち、C
u−Zn合金被覆層がα相の単相組織であるため、Cu
−Zn合金被覆層の機械的性質は、α相とβ相との混合
組織或いはβ相の単相組織からなる黄銅合金よりも引張
強さが小さく、常温又は低温で絞り率が大きく、したが
って変形性が良好である。Cu−Zn合金被覆層がα相
の単相組織の場合は、α相とβ相の混合組織或いはβ相
の単相組織の場合と比較して、Zn濃度が低下する分だ
け放電加工用電極線の放電加工速度の増加の程度は小さ
いが、Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu−0.
15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合金を芯
線とした被覆型の構造を採用することで、放電加工速度
の増加の程度の低減を最低限にとどめている。これによ
って、本発明の放電加工用電極線の放電加工速度は、C
u−Zn合金被覆層がα相の単一組織の場合でも、Cu
−35Zn合金単体からなる放電加工用電極線の放電加
工速度よりは大幅に速くすることができる。
【0026】また、冷間加工による電極線の作製が可能
であるため、加工コストを低く抑えることができ、延い
ては、放電加工用電極線の製造コストを低く抑えること
ができる。
【0027】さらに、Cu−Zn合金として、市販され
ている黄銅合金の中でも、入手が容易で、かつ、安価で
あり、最もポピュラーなCu−35Zn合金を用いれ
ば、放電加工用電極線の製造コストを更に低く抑えるこ
とができる。
【0028】一方、Cu−Zn合金被覆層がα相とβ相
の混合組織からなるものは、Zn濃度が高い分、放電加
工速度の増加の程度が大きいが、β相の割合が多くなる
につれて冷間加工が困難となる。この時、熱処理によ
り、Cu−Zn合金被覆層の表層部のZn濃度を低くし
てやれば、全体として高Zn濃度のものでも、冷間加工
が非常に容易となる。なお、Cu−Zn合金被覆層がβ
相の単相組織からなるものは、冷間加工が著しく困難で
あり、本発明の範囲外とした。
【0029】
【実施例】(実施例1)Cu−0.16Zrからなり、
外径が7.1mmである芯線を、Cu−35Znからな
り、外径が10mm、管厚が1.2mmであるCu−3
5Zn合金管内に挿入して複合管を形成する。なお、C
u−35Zn合金管としては、通常の押出を利用して作
製したものを用いる。
【0030】この複合管に伸線加工を施してφ0.9m
mに形成した後、軟化のための熱処理を施す。
【0031】最後に、φ0.9mmの複合線にφ0.2
5mmまで伸線加工を施して、Cu−Zn合金被覆層の
Zn濃度が35wt%、層厚が31μmの放電加工用電
極線を作製する。
【0032】また、Cu−0.16Zrからなり、外径
が7.1mmである芯線を、Cu−40Znからなり、
外径が10mm、管厚が1.2mmであるCu−40Z
n合金管内に挿入して複合管を形成する。なお、Cu−
40Zn合金管としては、通常の押出を利用して作製し
たものを用いる。
【0033】この複合管に伸線加工を施してφ7.9m
mに形成した後、軟化のための熱処理を施す。次に、φ
7.9mmの複合線に伸線加工を施してφ1.2mmに
形成した後、再度、軟化のための熱処理を施す。
【0034】最後に、φ1.2mmの複合線にφ0.2
5mmまで伸線加工を施して、Cu−Zn合金被覆層の
Zn濃度が40wt%、層厚が31μmの放電加工用電
極線を作製する。
【0035】(実施例2)Cu−0.19Sn−0.2
Inからなり、外径が7.1mmである芯線を用いる以
外は、実施例1と同様にして、Cu−Zn合金被覆層の
Zn濃度がそれぞれ35wt%、40wt%であり、層
厚が31μmの2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0036】(比較例1)Cu−2.0Snからなり、
外径が7.1mmである芯線を用いる以外は、基本的に
実施例1と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃
度がそれぞれ35wt%、40wt%であり、層厚が3
1μmの2種類の放電加工用電極線を作製する。なお、
この時、Cu−2.0Snの芯線は、伸線性が良好でな
いことがわかり、放電加工用電極線の製造作業は困難な
ものであった。
【0037】(比較例2)Cu−0.3Snからなり、
外径が7.1mmである芯線を用いる以外は、実施例1
と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度がそれ
ぞれ35wt%、40wt%であり、層厚が31μmの
2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0038】(比較例3)Cu−0.15Snからな
り、外径が7.1mmである芯線を用いる以外は、実施
例1と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度が
それぞれ35wt%、40wt%であり、層厚が31μ
mの2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0039】(比較例4)Cu−13Znからなり、外
径が7.1mmである芯線を用いる以外は、実施例1と
同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度がそれぞ
れ35wt%、40wt%であり、層厚が31μmの2
種類の放電加工用電極線を作製する。
【0040】(比較例5)Cu−4.0Zn−0.3S
nからなり、外径が7.1mmである芯線を用いる以外
は、実施例1と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZ
n濃度がそれぞれ35wt%、40wt%であり、層厚
が31μmの2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0041】(比較例6)Cu−0.6Agからなり、
外径が7.1mmである芯線を用いる以外は、実施例1
と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度がそれ
ぞれ35wt%、40wt%であり、層厚が31μmの
2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0042】(比較例7)Cu−0.15Agからな
り、外径が7.1mmである芯線を用いる以外は、実施
例1と同様にして、Cu−Zn合金被覆層のZn濃度が
それぞれ35wt%、40wt%であり、層厚が31μ
mの2種類の放電加工用電極線を作製する。
【0043】(従来例1)Cu−35Zn合金単体から
なり、外径が0.25mmである放電加工用電極線を作
製する。
【0044】(従来例2)Cu−40Zn合金単体から
なり、外径が0.25mmである放電加工用電極線を作
製する。
【0045】尚、実施例1、2、比較例1〜7、および
従来例1、2における化学組成の単位は、すべてwt%
である。
【0046】実施例1、2、比較例1〜7、および従来
例1、2における芯線の諸元を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】次に、実施例1、2、比較例1〜7、およ
び従来例1、2における芯線の高温強度(MPa)、導
電率(%IACS)、および伸線加工性の評価を行っ
た。その評価結果を同じく表1に示す。
【0049】ここで、高温強度としては、それぞれ外径
7.1mmの芯線をφ0.2mmまで伸線した後、放電
加工時における使用温度を想定して300℃で10分間
保持したものについて、引張強さを測定したものであ
る。また、導電率の値も伸線加工後のものについて測定
したものである。伸線加工性については、実際にダイス
を用いて伸線加工を行い、必要により伸線加工中に熱処
理を挟んで伸線加工を続けた時の断線の発生状況、1パ
スで採れるリダクションの程度、加工限度などについて
評価したものであり、二重丸は伸線加工容易、○は伸線
加工可能、△は伸線加工に難ありを表している。
【0050】次に、実施例1、2、比較例1〜7、およ
び従来例1、2の各2種類の放電加工用電極線につい
て、放電加工評価を行った。その評価結果を同じく表1
に示す。
【0051】放電加工評価は、放電加工試験機(三菱電
機製、FX10)を用いて60mmの被加工物(JIS
SKD−11)を加工した時の放電加工速度を測定し
たものである。尚、加工速度は、従来例1の加工速度
(2.184mm/分)を1.00とした時の相対比で
ある。
【0052】この結果、実施例1、2および比較例1〜
7の放電加工用電極線は、いずれも従来例1、2と比較
して放電加工速度が増加していることがわかる。この増
加の要因については、放電加工用電極線が被覆型構造を
採用したことによるものと考えられる。すなわち、放電
加工用電極線の構造を合金単体型から被覆型とすること
は、技術的に意味があることであり、これによって、放
電加工速度が増加する。
【0053】一方、芯線の材質が異なる実施例1、2お
よび比較例1〜7の各放電加工用電極線について、芯線
の特性と共に放電加工速度の増加程度を総合評価した結
果を以下に示す。
【0054】実施例1、2の放電加工用電極線は、高温
強度および導電率が共に十分であり、また、放電加工速
度の増加程度も大きく、優れた効果を認めることができ
る。
【0055】これに対して、比較例1の放電加工用電極
線は、伸線加工性に難があるため、放電加工用電極線の
製造が困難である。
【0056】比較例2の放電加工用電極線は、導電率が
十分でなく、放電加工速度の増加程度が十分でない。
【0057】比較例3の放電加工用電極線は、高温強度
が十分でなく、放電加工速度の増加程度が十分でない。
【0058】比較例4の放電加工用電極線は、高温強度
が著しく低く、放電加工時に断線などの問題が生じる恐
れがある。
【0059】比較例5の放電加工用電極線は、導電率が
低く、放電加工速度の増加程度が小さい。
【0060】比較例6、7の放電加工用電極線は、芯線
材料のCu合金がAgを含有しているため、原料コスト
が一般に高くなる。
【0061】(実施例3)Cu−0.16Zrからな
り、外径が7.1mmである芯線を、Cu−40Znか
らなり、外径が10mm、管厚が1.2mmであるCu
−40Zn合金管内に挿入して複合管を形成する。
【0062】この複合管に伸線加工を施してφ7.9m
mに形成した後、450℃×1hrの熱処理を施す。次
に、φ7.9mmの複合線に伸線加工を施してφ1.2
mmに形成した後、450℃×1hr以上の熱処理を施
す。
【0063】最後に、φ1.2mmの複合線にφ0.2
5mmまで伸線加工を施して、熱処理の程度により、C
u−Zn合金被覆層のZn濃度が35〜45wt%の範
囲の濃度分布を示し、表層部(表面から約5μmの層)
のZn濃度が、表層部内部よりも低くなっており、Cu
−Zn合金被覆層の層厚が全体で約31μmの放電加工
用電極線を作製する。
【0064】(実施例4)Cu−0.19Sn−0.2
Inからなり、外径が7.1mmである芯線を用いる以
外は、実施例3と同様にして、Cu−Zn合金被覆層の
Zn濃度が35〜45wt%の範囲の濃度分布を示し、
表層部(表面から約5μmの層)のZn濃度が、表層部
内部よりも低くなっており、Cu−Zn合金被覆層の層
厚が全体で約31μmの放電加工用電極線を作製する。
【0065】実施例3、4の放電加工用電極線において
は、図2に示すように、Cu−Zn合金被覆層の表層部
(表面から約5μmの層)のZn濃度が30数wt%と
低くなっているため、被覆層の内部にZn濃度の高い層
が存在するにもかかわらず被覆層の冷間加工性が上昇
し、常温での伸線加工を容易に行うことができる。
【0066】なお、図2は、実施例4の放電加工用電極
線について示したものであるが、実施例3の放電加工用
電極線の場合についても同様の結果が観察されることは
言うまでもない。
【0067】
【発明の効果】以上要するに本発明の放電加工用電極線
によれば、Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu−
0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合金
からなる芯線の外周に、Cu−Zn合金被覆層を形成し
たことで、従来公知のCu合金線を芯線に用いた場合と
比較して、製造コストが安く、十分な導電率および高温
強度を有し、それにより放電加工速度の増加程度を向上
させることができる有利な構造で、かつ、高効率な放電
加工用電極線を得ることができるという優れた効果を発
揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放電加工用電極線の横断面図である。
【図2】実施例4の放電加工用電極線の横断面組織写真
である。図2(b)はCu−Zn合金被覆層のZn濃度
分布を示している。
【符号の説明】
1 芯線 2 Cu−Zn合金被覆層(被覆層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 631 C22F 1/00 631B 680 680 685 685Z 686 686A (72)発明者 田村 幸一 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内 (72)発明者 佐藤 隆裕 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 木村 孝光 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 渡部 雅人 茨城県日立市日高町5丁目1番1号 日立 電線株式会社パワーシステム研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu
    −0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
    金からなる芯線の外周に、Cu−Zn合金の被覆層を形
    成したことを特徴とする放電加工用電極線。
  2. 【請求項2】Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu
    −0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
    金からなる芯線の外周に、α相の単相組織からなるCu
    −Zn合金の被覆層を形成したことを特徴とする放電加
    工用電極線。
  3. 【請求項3】上記Cu−Zn合金のZn濃度が32〜3
    8wt%である請求項2記載の放電加工用電極線。
  4. 【請求項4】上記被覆層の層厚が30〜40μmである
    請求項1乃至請求項3記載の放電加工用電極線。
  5. 【請求項5】Cu−0.02〜0.2Zr合金又はCu
    −0.15〜0.25Sn−0.15〜0.25In合
    金からなる芯線の外周に、α相とβ相の混合組織からな
    るCu−Zn合金の被覆層を形成したことを特徴とする
    放電加工用電極線。
  6. 【請求項6】上記Cu−Zn合金の被覆層は、その表層
    部のZn濃度が、その内部のZn濃度よりも低くなって
    いる請求項5記載の放電加工用電極線。
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