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JPH11324896A - 形状記憶合金を使用した駆動機構 - Google Patents

形状記憶合金を使用した駆動機構

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Publication number
JPH11324896A
JPH11324896A JP11025282A JP2528299A JPH11324896A JP H11324896 A JPH11324896 A JP H11324896A JP 11025282 A JP11025282 A JP 11025282A JP 2528299 A JP2528299 A JP 2528299A JP H11324896 A JPH11324896 A JP H11324896A
Authority
JP
Japan
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temperature
memory alloy
shape memory
ambient temperature
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11025282A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiharu Tanaka
義治 田中
Akira Kosaka
明 小坂
Shoichi Minato
祥一 湊
Junichi Tanii
純一 谷井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP11025282A priority Critical patent/JPH11324896A/ja
Priority to US09/267,193 priority patent/US20010002226A1/en
Publication of JPH11324896A publication Critical patent/JPH11324896A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03BAPPARATUS OR ARRANGEMENTS FOR TAKING PHOTOGRAPHS OR FOR PROJECTING OR VIEWING THEM; APPARATUS OR ARRANGEMENTS EMPLOYING ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ACCESSORIES THEREFOR
    • G03B1/00Film strip handling
    • G03B1/42Guiding, framing, or constraining film in desired position relative to lens system
    • G03B1/48Gates or pressure devices, e.g. plate

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Details Of Cameras Including Film Mechanisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形状記憶合金を使用し、少ない部品点数で小
型で軽量な駆動機構を提供する。 【解決手段】 予め所定の形状を記憶させた形状記憶合
金で形成された機構部材であるワイヤ20に通電し加熱
すると、ワイヤ20はばね18bの付勢力に抗して記憶
形状に従い縮み、吸引レバー18を介して軸16を図1
で右に牽引する。圧板13とダイヤフラム14との間の
密閉空間が拡大して負圧が発生し、圧板13の前方のフ
イルムFを吸着して平面に保持する。温度センサで計測
された周囲温度に基づいてワイヤへ供給する電流値、電
圧値、或いはパルス電流又はパルス電圧のデューテイ比
を決定してワイヤに通電し加熱するから、オーバーヒー
トによる形状記憶合金で形成されたワイヤの記憶が消失
したり薄れることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、形状記憶合金を
使用した駆動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】形状記憶合金を使用した駆動機構は、構
成部品の数が少なく小型軽量に纏めることができる特徴
を有するから、以下説明するような従来電磁機構などで
構成されていた駆動機構に置換できる可能性がある。
【0003】例えば、従来の銀塩フイルムを使用するカ
メラでは、一般的にはロールフイルムが使用されてお
り、フイルムを1駒ずつ撮影位置に給送し、撮影レンズ
を通過した被写体光を露光するように構成されている。
撮影位置に給送されたフイルムは、フイルムの巻きぐせ
などにより僅かながら凹凸が生じるから、フイルムの平
面度を保つため、従来のカメラは図33、図34に示す
ような構成を採用している。
【0004】即ち、図33はカメラの光軸を含む断面図
で、図34は撮影位置附近にあるフイルムとフイルムア
パーチャー部及び圧板と関係を示した図である。カメラ
本体200を構成するフレームには、撮影レンズ201
の後側の位置に、フイルムアパーチャー部APが設けら
れており、アパーチャー部APにはフイルムFを案内す
るフイルムレール202と、フイルムの背面に位置する
圧板204が当接する圧板レール203が形成されてい
る。
【0005】圧板204はカメラ本体の裏蓋210の側
に、ばね205を介して取り付けられており、裏蓋21
0をカメラ本体200に閉じると、ばね205の付勢力
によつて圧板204は圧板レール203に向けて圧接さ
れる。
【0006】フイルムレール202と圧板レール203
との間にはフイルムの厚みよりもやや大きい段差が設け
られており、フイルムFの上下端部附近がこの段差によ
り形成された間隙の間に入つて保持されると共に、フイ
ルムFの背面は圧板204により押えられるので、一応
フイルムFの平面性が保持されている。
【0007】しかしながら、フイルムFは柔軟な材料に
より形成されており、また巻きぐせなどがあるため、フ
イルムアパーチャー部APの中央附近では、フイルムF
の面が圧板204からΔtだけ浮き上がつた部分が生じ
ることは避けられない。しかし、一般的にはΔtは撮影
レンズ201の焦点深度内にあると考えられ、特段の対
策は取られていなかつた。
【0008】もつとも、写真製版カメラなど特殊な用途
のカメラでは、高精細画像が求められ、且つ焦点深度の
浅い撮影条件での撮影となる場合が多く、またフイルム
面も広いので、真空吸引装置などによりフイルムを圧板
に吸引して平面性を厳密に確保するものが知られている
が、装置が大型になることは避けられない。
【0009】一般の携帯用カメラでも、最近の高性能レ
ンズの性能を十分に発揮するためにフイルムの平面性を
従来よりも厳密に確保することが求められるに至つた。
このため、圧板の後側にダイヤフラムで仕切つた密閉空
間を形成し、ダイヤフラムを電磁的に吸引して密閉空間
を負圧にし、フイルムを圧板に吸引する構成が提案され
ている(一例として、特開平3−279931号公報参
照)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たフイルムを圧板に吸引する構成は、電磁的な吸引機構
であるため、装置が大型になるほか重量も重くなり、部
品点数が多く製造コストが上昇するなどの不都合が指摘
されていた。
【0011】ここで、上述の通り、形状記憶合金を使用
すればフイルムの平面性を保持するための駆動機構が小
型軽量になると考えられる。しかしながら、このような
駆動機構に形状記憶合金を使用した場合、その形状記憶
合金に対する加熱の制御にさらなる工夫が必要である。
【0012】即ち、上記駆動機構は、使用される環境温
度が変化しても、それに関わらず動作が一定に保たれ
る、即ち正常に機能する必要がある。特に、カメラのよ
うに、携帯される機器、屋外でも使用される機器の場合
には寒冷地や高温地域でも使用されるため、幅広い温度
域において動作が一定に保たれる必要がある。そこで、
環境温度に応じて異なる制御を行う手法が採用される。
この手法は温度フィードバック制御と呼ばれるもので、
これにより上記駆動機構を環境温度に関わらず正常に機
能させることができる。
【0013】しかし、温度フィードバック制御において
も、形状記憶合金の特性であるところの加熱限界温度に
ついては考慮されていない。加熱限界温度とは、それ以
上形状記憶合金を加熱すると、温度変化特性が劣化し、
形状の記憶が薄れたり耐久性が低下する温度のことであ
る。従つて、温度フィードバック制御においても形状記
憶合金の過加熱は避けなければならない。
【0014】この発明は、上記の点に鑑み、環境温度に
関わらず正常に一定の動作を行い、且つ形状記憶合金の
過加熱による温度変化特性の劣化を招くことがない構成
を得ることを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は上記課題を解
決するもので、請求項1の発明は、予め所定の形状を記
憶させた形状記憶合金で形成された機構部材に電流を供
給して加熱し、記憶させた所定形状に復元するときに生
ずる変位に基づいて被駆動体を駆動する形状記憶合金を
使用した駆動機構において、周囲温度を計測する温度セ
ンサと、形状記憶合金で形成された機構部材を加熱する
ために電流を供給する制御手段とを備え、前記制御手段
は、前記温度センサで計測された周囲温度に基づいて前
記形状記憶合金で形成された機構部材へ供給する電流値
を、形状記憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上
で所定の加熱限界温度TS 以下となるように決定するこ
とを特徴とする。
【0016】そして、前記被駆動体は、前記形状記憶合
金を使用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2
の位置に設定されるように制御される。
【0017】また、前記制御手段は、前記温度センサで
計測された周囲温度が高い程供給する電流値を小さく設
定するとよい。
【0018】さらに、周囲温度の範囲を複数の温度領域
に分割し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形
状記憶合金で形成された機構部材へ供給する電流値を、
形状記憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所
定の加熱限界温度TS 以下となるように予め設定してお
き、前記温度センサにより周囲温度が計測されたとき
は、周囲温度が複数の温度領域のいずれに属するかを判
断し、該当する温度領域の電流値を前記形状記憶合金で
形成された機構部材へ供給する電流値として設定すると
よい。
【0019】また、周囲温度に対応して形状記憶合金で
形成された機構部材へ供給する電流値を、形状記憶合金
の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界
温度TS 以下となるように予め所定の関数式により設定
しておき、前記温度センサにより周囲温度が計測された
ときは、計測された周囲温度に基づいて対応する電流値
を前記関数式により演算し、演算された電流値を前記形
状記憶合金で形成された機構部材へ供給する電流値とし
て設定してもよい。
【0020】請求項6の発明は、予め所定の形状を記憶
させた形状記憶合金で形成された機構部材に電圧を印加
して加熱し、記憶させた所定形状に復元するときに生ず
る変位に基づいて被駆動体を駆動する形状記憶合金を使
用した駆動機構において、周囲温度を計測する温度セン
サと、形状記憶合金で形成された機構部材を加熱するた
めに電圧を印加する制御手段とを備え、前記制御手段
は、前記温度センサで計測された周囲温度に基づいて前
記形状記憶合金で形成された機構部材へ印加する電圧値
を、形状記憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上
で所定の加熱限界温度TS 以下となるように決定するこ
とを特徴とする。
【0021】そして、前記被駆動体は、前記形状記憶合
金を使用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2
の位置に設定されるように制御されることを特徴とす
る。
【0022】また、前記制御手段は、前記温度センサで
計測された周囲温度が高い程印加する電圧値を小さく設
定するとよい。
【0023】さらに、周囲温度の範囲を複数の温度領域
に分割し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形
状記憶合金で形成された機構部材へ印加する電圧値を、
形状記憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所
定の加熱限界温度TS 以下となるように予め設定してお
き、前記温度センサにより周囲温度が計測されたとき
は、周囲温度が複数の温度領域のいずれに属するかを判
断し、該当する温度領域の電圧値を前記形状記憶合金で
形成された機構部材へ印加する電圧値として設定すると
よい。
【0024】また、周囲温度に対応して形状記憶合金で
形成された機構部材へ印加する電圧値を、形状記憶合金
の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界
温度TS 以下となるように予め所定の関数式により設定
しておき、前記温度センサにより周囲温度が計測された
ときは、計測された周囲温度に基づいて対応する電圧値
を前記関数式により演算し、演算された電圧値を前記形
状記憶合金で形成された機構部材へ印加する電圧値とし
て設定するようにしてもよい。
【0025】請求項11の発明は、予め所定の形状を記
憶させた形状記憶合金で形成された機構部材に所定のデ
ューテイ比のパルス電流又はパルス電圧を供給して加熱
し、記憶させた所定形状に復元するときに生ずる変位に
基づいて被駆動体を駆動する形状記憶合金を使用した駆
動機構において、周囲温度を計測する温度センサと、形
状記憶合金で形成された機構部材を加熱するために電圧
を印加する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記温
度センサで計測された周囲温度に基づいて前記形状記憶
合金で形成された機構部材へ印加するパルス電流又はパ
ルス電圧の所定のデューテイ比を、形状記憶合金の温度
が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界温度T
S 以下となるように決定することを特徴とする。
【0026】そして、前記被駆動体は、前記形状記憶合
金を使用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2
の位置に設定されるように制御されることを特徴とす
る。また、前記制御手段は、前記温度センサで計測され
た周囲温度が高い程印加するパルス電流又はパルス電圧
の通電時間の短い所定のデューテイ比を設定するとよ
い。
【0027】さらに、周囲温度の範囲を複数の温度領域
に分割し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形
状記憶合金で形成された機構部材へ印加するパルス電流
又はパルス電圧のデューテイ比を、形状記憶合金の温度
が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界温度T
S 以下となるように予め設定しておき、前記温度センサ
により周囲温度が計測されたときは、周囲温度が複数の
温度領域のいずれに属するかを判断し、該当する温度領
域のパルス電流又はパルス電圧のデューテイ比を前記形
状記憶合金で形成された機構部材へ印加するパルス電流
又はパルス電圧の所定のデューテイ比として設定すると
よい。
【0028】また、周囲温度に対応して形状記憶合金で
形成された機構部材へ印加するパルス電流又はパルス電
圧のデューテイ比を、形状記憶合金の温度が高温相変態
終了温度TA1以上で所定の加熱限界温度TS 以下となる
ように予め所定の関数式により設定しておき、前記温度
センサにより周囲温度が計測されたときは計測された周
囲温度に基づいて対応する前記デューテイ比を前記関数
式により演算し、演算されたデューテイ比を前記形状記
憶合金で形成された機構部材へ印加するパルス電流又は
パルス電圧の所定のデューテイ比として設定するように
してもよい。
【0029】以上の構成において、前記した所定の加熱
限界温度TS は、形状記憶合金の高温相変態終了温度T
A1よりも略60℃高い温度である。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を説
明する。以下説明する実施の形態は、この発明の形状記
憶合金を使用した駆動機構を、カメラのフイルム平面保
持装置に適用したもので、フイルム平面保持装置が配置
されるカメラ本体におけるアパーチャー部の位置は、先
に図33及び図34を参照して従来技術として説明した
カメラのアパーチャー部APと同一の部分にある。以下
の説明では、カメラ本体におけるアパーチャー部の位置
等の説明は省略し、形状記憶合金を使用した駆動機構を
備えたカメラのフイルム平面保持装置について説明す
る。
【0031】[第1の実施の形態]図1乃至図3は、こ
の発明の第1の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図1はその初期状態、即ちフイルムを圧
板に吸着していない状態を示す断面図、図2は図1の背
面(図1の右側)から見た正面図、図3は動作状態、即
ちフイルムを圧板に吸着した状態を示す断面図である。
【0032】図1乃至図3において、10はカメラ本体
のアパーチャー部AP附近のフレーム部分を示す。カメ
ラ本体のアパーチャー部APにはフイルムレール11及
び圧板レール12が形成されている。13は図示しない
カメラの裏蓋側に設けられた圧板で、圧板13には開孔
13aが設けられている。開孔13aの数は1又はそれ
以上とするとよい。15は圧板13に取り付けられた支
持部材で、圧板13、支持部材15は、カメラの裏蓋を
閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板13
が圧板レール12に圧接するように構成されている。な
お、Fはフイルムを示している。
【0033】支持部材15は、その下側端部に軸受15
bが設けられ、軸受15bにより支持された軸17によ
り吸引レバー18を揺動自在に支持している。また、支
持部材15の中央部分には吸引軸16が貫通している。
【0034】吸引軸16は、その圧板13側の端部が軸
径よりも大きい円盤状の端部16aに形成されており、
吸引軸16の他の端部であるブロック16bにはピン1
8aが設けられ、吸引レバー18の上端附近に結合され
ている。
【0035】14はダイヤフラムで、ゴムその他の適当
な可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム14の周
辺は、圧板13とダイヤフラム14との間に開孔13a
を除いて密閉空間が形成されるように、圧板13と支持
部材15により密着挟持されている。また、ダイヤフラ
ムの中央部分には吸引軸16が貫通し、吸引軸16が図
1で右に移動するとダイヤフラムの中央部分が牽引さ
れ、圧板13とダイヤフラム14との間の密閉空間が拡
大するように構成されている。
【0036】吸引レバー18は、軸17の回りに揺動自
在に支持されており、図1で反時計方向に付勢するばね
18bにより付勢されている。また、吸引レバー18の
上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ20が貫
通して固定されており、ワイヤ20の下端部は支持部材
15に設けられた端子15aに固定されると共に、給電
可能に構成されている。ワイヤ20の吸引レバー18へ
の取り付け状態は、図2を参照すると明かであるが、ワ
イヤ20は支持部材15に設けられた一方の端子15a
から上方に伸び、吸引レバー18の上端を貫通してから
下方に伸び、支持部材15に設けられた他方の端子15
aに固定されている。
【0037】なお、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0には縮み方向の形状が記憶されており、加熱すると記
憶した形状に縮む。
【0038】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパーチャー部APに給送された状態では、吸引
レバー18はばね18bにより反時計方向に付勢されて
おり、吸引軸16は図1に示す位置にあつて、フイルム
を圧板に吸引していない状態にある。従つてフイルムF
は湾曲しているため圧板13との間に隙間が存在してい
る。
【0039】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0に通電すると、ワイヤ自体の抵抗により発熱し加熱さ
れる。ワイヤ20が加熱されると、ワイヤ20はばね1
8bの付勢力に抗して予め記憶された形状に縮むので、
ワイヤ20が固定されている吸引レバー18の上端は図
1で時計方向に回動し、吸引軸16を図1で右に牽引す
る。これによりダイヤフラム14の中央部分も右に牽引
されるので、圧板13とダイヤフラム14との間の密閉
空間が拡大して負圧が発生するから、圧板13の前方に
あるフイルムFが圧板13に吸着され、アパーチャー部
APのフイルムFを平面に保持することができる。図3
はワイヤ20が加熱された動作状態を示す断面図であ
る。
【0040】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が終了したならば形状記憶合金で形成さ
れたワイヤ20の加熱を停止する。ワイヤ20が周囲の
空気により冷却されると初期の形状に戻り、吸引レバー
18はばね18bにより図1に示す初期状態の位置に復
帰し、吸引軸16及びダイヤフラムも初期状態の位置に
復帰するから、フイルムFの圧板13への吸着が解除さ
れ、フイルムの巻き上げを実行することができる。
【0041】[第2の実施の形態]図4及び図5は、こ
の発明の第2の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図4はその初期状態を示す断面図、図5
は動作状態を示す断面図である。
【0042】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
のものと同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略し、相違点について説明する。
【0043】図4及び図5において、カメラ本体10の
アパーチャー部APにはフイルムレール11及び圧板レ
ール12が形成されている。カメラの裏蓋側に設けられ
た圧板13には開孔13aが設けられている。また、圧
板13に取り付けられた支持部材15は、カメラの裏蓋
を閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板1
3が圧板レール12に圧接するように構成されている。
なお、Fはフイルムを示している。
【0044】支持部材15の中央部分には吸引軸26が
貫通しており、吸引軸26の圧板13側の端部は軸径よ
りも大きい円盤状の端部26aに形成されており、吸引
軸26の他の端部は支持部材15の中央部分を貫通する
軸径よりも大きい大径部26b及び端部大径部26cに
形成されている。
【0045】吸引軸26の大径部26bの外側には形状
記憶合金で形成されたコイルばね27が嵌挿されてお
り、また、端部大径部26cの外側端面には、吸引軸2
6を圧板13の方向に付勢する板ばね28の先端が当接
するように配置され、板ばね28の他の端部は支持部材
15に固定されている。
【0046】形状記憶合金で形成されたコイルばね27
は、常温ではばねの長さは縮んだ状態にあるが、ばねの
長さが伸長した形状が記憶されているので(図5に示す
コイルばね27の形状参照)、加熱によりコイルばね2
7は伸長する。
【0047】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパーチャー部APに給送された状態では、吸引
軸26は板ばね28により圧板13の方向に付勢されて
いるから図1に示す位置にあつて、フイルムを圧板に吸
引していない状態にある。従つてフイルムFは湾曲して
いるため圧板13との間に隙間が存在している。
【0048】次に、形状記憶合金で形成されたコイルば
ね27に通電すると、コイルばね自体の抵抗により発熱
し、加熱される。コイルばね27が加熱されると、板ば
ね28の付勢力に抗して予め記憶された形状に伸長し、
吸引軸26を図4で右に牽引する。これによりダイヤフ
ラム14の中央部分も右に牽引されるので、圧板13と
ダイヤフラム14との間の密閉空間が拡大して負圧が発
生するから、圧板13の前方にあるフイルムFが圧板1
3に吸着され、アパーチャー部APのフイルムFを平面
に保持することができる。図5はコイルばね27が加熱
された動作状態を示す断面図である。
【0049】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が終了したならば形状記憶合金で形成さ
れたコイルばね27への給電を遮断し、加熱を停止す
る。コイルばね27が冷却されて初期の形状に戻ると、
吸引軸26は板ばね28により図4に示す初期状態の位
置に復帰し、フイルムFの圧板13への吸着が解除され
るので、フイルムの巻き上げを実行することができる。
【0050】[第3の実施の形態]図6は、この発明の
第3の実施の形態のフイルム平面保持装置の構成を示す
図で、図6はその初期状態を示す断面図である。
【0051】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
に類似した構成であるから、同一部材には同一符号を付
して詳細な説明は省略し、相違点について説明する。
【0052】図1に示した構成では、吸引軸16を牽引
する吸引レバー18には、その上端附近に形状記憶合金
で形成されたワイヤ20が固定されており、形状記憶合
金で形成されたワイヤ20に直接通電することで、ワイ
ヤ自体の抵抗によりワイヤ20を加熱し、ワイヤ20に
縮み変形を生ずるように構成している。
【0053】これに対し、第3の実施の形態では、吸引
レバー18に固定された形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ20に直接通電せず、ワイヤ20の外側にニクロム線
などで構成したヒ−タ31を配置し、ヒ−タ31に通電
することでワイヤ20を加熱し、ワイヤ20に縮み変形
を生ずるように構成したものである。
【0054】その他の部分の構成及び動作は第1の実施
の形態のものと同じであるから、説明を省く。
【0055】[第4の実施の形態]図7及び図8は、こ
の発明の第4の実施の形態のフイルム平面保持装置の構
成を示す図で、図7の(a)はその初期状態を示す断面
図、図7の(b)は初期状態における係止部分の構成と
動作を説明する図、図8の(a)はその吸引状態を示す
断面図、図8の(b)は動作状態における係止部分の構
成と動作を説明する図である。
【0056】第4の実施の形態は、第1の実施の形態の
ものにおいて、形状記憶合金で形成されたワイヤ20へ
通電して吸引レバー18により吸引軸16の牽引した後
は、ワイヤ20への通電を遮断、即ち加熱を停止して
も、吸引軸16の牽引状態を維持するようにしたもので
ある。これによれば、例えば長時間の露光のような場合
に、フイルムを圧板に吸引した後はワイヤ20への通電
を遮断することができ、消費電力を節約することができ
る。
【0057】第4の実施の形態は、図1乃至図3で説明
した第1の実施の形態に類似した構成であるから、同一
部材には同一符号を付して詳細な説明は省略し、相違点
について説明する。
【0058】図7の(a)に示すように、支持部材15
には吸引軸16が貫通しているが、その貫通している吸
引軸16の上側に係止レバー36が配置されている。
【0059】係止レバー36は、図7の(b)に示すよ
うに、その一端が軸37により回動自在に支持されてお
り、ばね38により矢印a方向に付勢されている。ま
た、係止レバー36の先端36a附近には形状記憶合金
で形成されたワイヤ35が固定されており、ワイヤ35
には縮む方向の形状が記憶されている。係止レバー36
の先端36aは、吸引軸16が図7の(a)で右に移動
したときに支持部材15と吸引軸16のブロック16b
との間に形成される隙間に相当する寸法に形成されてお
り、吸引軸16が図7(a)で右に移動したとき、ばね
38の付勢力によりこの隙間に落下するように構成され
ている。
【0060】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパーチャー部APに給送された状態では、形状
記憶合金で形成されたワイヤ20へ通電されておらず、
吸引レバー18により吸引軸16が牽引されていないか
ら、図7の(a)に示す位置にあつて、フイルムを圧板
に吸引していない状態にある。従つてフイルムFは湾曲
しているため圧板13との間に隙間が存在している。ま
た、係止レバー36の先端36aは、図7の(a)及び
(b)に示すように、吸引軸16のブロック16bの上
に乗つている。
【0061】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ2
0に通電して加熱し、ワイヤ20の縮み変位により吸引
軸16が牽引されると、図8の(a)に示す状態とな
り、ダイヤフラム14の中央部分も右に牽引されるの
で、圧板13とダイヤフラム14との間の密閉空間が拡
大して負圧が発生するから、圧板13の前方にあるフイ
ルムFが圧板13に吸着され、アパーチャー部APのフ
イルムFを平面に保持することができる。
【0062】このとき、支持部材15と吸引軸16のブ
ロック16bとの間に形成される隙間に係止レバー36
の先端36aがばね38の付勢力により落下して図8の
(a)及び(b)に示す状態となるから、ワイヤ20へ
の通電が遮断されても吸引軸16が初期位置に復帰する
ことはない。
【0063】係止レバー36を支持部材15と吸引軸1
6のブロック16bとの間の隙間から引き上げるには、
係止レバー36の先端36a附近に固定された形状記憶
合金で形成されたワイヤ35に通電して加熱し、ばね3
8の付勢力に抗してワイヤ35に縮み変位を発生させる
と、係止レバー36は図7の(b)に示す初期位置に引
き上げられ、復帰させることができる。係止レバー36
が初期位置に復帰した後はワイヤ35への通電を遮断す
ることができる。
【0064】以上の構成において、係止レバー36を初
期位置に復帰させるときは、ワイヤ35に通電する前に
ワイヤ20へ通電加熱し、吸引軸16を再度牽引した上
でワイヤ35に通電加熱すると、支持部材15と吸引軸
16の大径部16bとの間の隙間が僅かに拡がるから、
係止レバー36を初期位置に復帰させ易くなる。
【0065】[第5の実施の形態]第5の実施の形態
は、ダイヤフラム及びダイヤフラムを移動させる駆動源
を密閉室内に配置したフイルム平面保持装置の構成を示
す図で、図9はフイルム平面保持装置の初期状態を示す
断面図、図10は動作状態を示す断面図である。
【0066】図1乃至図3で説明した第1の実施の形態
のものと同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略し、相違点について説明する。
【0067】図9及び図10において、図示しないカメ
ラの裏蓋側に設けられた圧板13と圧板13に取り付け
られた支持部材15とで、開孔13aを除いて密閉室が
形成される。
【0068】支持部材15の中央部分には吸引軸46が
貫通しており、吸引軸46の中間には軸径よりも大きい
円盤状部材46dが形成されている。そして、円盤状部
材46dよりも圧板13側の吸引軸46上に形状記憶合
金で形成されたコイルばね41が嵌挿されており、円盤
状部材46dよりも支持部材15側の吸引軸46上にダ
イヤフラム14とコイルばね42が嵌挿されている。コ
イルばね42は、鋼その他の弾性材料で作成された通常
のコイルばねである。
【0069】形状記憶合金で形成されたコイルばね41
は、常温ではばねの長さは縮んだ状態にあるが、ばねの
長さが伸長した形状が記憶されているので(図10に示
すコイルばね41の形状参照)、加熱によりコイルばね
41は伸長する。
【0070】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、撮影する駒がカメラ
本体のアパーチャー部APに給送された状態では、吸引
軸46の円盤状部材46dはコイルばね42により圧板
13の方向に付勢されているから、図9に示す位置にあ
つて、フイルムを圧板に吸引していない状態にあり、湾
曲したフイルムFと圧板13との間には隙間が存在して
いる。
【0071】次に、形状記憶合金で形成されたコイルば
ね41に通電すると、コイルばね自体の抵抗により発熱
し、コイルばね41が加熱される。コイルばね41が加
熱されると、コイルばね42の付勢力に抗して予め記憶
された形状に伸長し、吸引軸46の円盤状部材46dを
図9で右に押出して図10に示す状態になる。これによ
りダイヤフラム14の中央部分も右に牽引されるので、
圧板13とダイヤフラム14との間の密閉空間が拡大し
て負圧が発生するから、圧板13の前方にあるフイルム
Fが圧板13に吸着され、アパーチャー部APのフイル
ムFを平面に保持することができる。
【0072】フイルムFが平面に保持されたときは撮影
を実行し、撮影が終了したならば形状記憶合金で形成さ
れたコイルばね41の加熱を停止する。コイルばね41
が冷却されて初期の形状に戻ると、吸引軸46はコイル
ばね41の付勢力により図9に示す初期状態の位置に復
帰し、フイルムFの圧板13への吸着が解除されるの
で、フイルムの巻き上げを実行することができる。
【0073】以上の構成によれば、ダイヤフラム14
と、ダイヤフラム14を移動させる吸引軸46、形状記
憶合金で形成されたコイルばね41、及び通常の弾性材
料で作成されたコイルばね42などダイヤフラムを移動
させる駆動源を圧板13と支持部材15で構成された密
閉室の内部に配置することができ、装置を小型化するこ
とができる。
【0074】[第6の実施の形態]第6の実施の形態も
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、ダイヤフラム
及びダイヤフラムを移動させる駆動源を密閉室の内部に
配置したものである。図11及び図12は、この発明の
第6の実施の形態のカメラのアパーチャー部APの構成
を示す図で、図11はその初期状態を示す断面図、図1
2は背面(図1の右側)から見た内側要部の正面図であ
る。
【0075】図11乃至図12において、図示しないカ
メラの裏蓋側に設けられた圧板53と圧板53に取り付
けられた支持部材55とで、後述する開孔53aを除い
て密閉室が形成される。
【0076】図11及び図12において、50はカメラ
本体を示し、カメラ本体のアパーチャー部APにはフイ
ルムレール51及び圧板レール52が形成されている。
図示しないカメラの裏蓋側に設けられた圧板53には、
フイルムFを圧板53に吸引する開孔53aが設けられ
ている。
【0077】圧板53の裏側(フイルムFと反対側)に
は、その上部に軸受53aが設けられ、軸受53aによ
り支持された軸57により吸引レバー58の上端が揺動
自在に支持されている。
【0078】また、支持部材55の中央部分には吸引軸
56が貫通しており、吸引軸56にはその中央部分にブ
ロック56aが形成され、ブロック56aに固定されて
いるピン56bに、吸引レバー58の下端が結合されて
いる。
【0079】54はダイヤフラムで、ゴムその他の適当
な可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム54の周
辺は、圧板53とダイヤフラム54との間に開孔53a
を除いて密閉空間が形成されるように、圧板53と支持
部材55により密着挟持されている。また、ダイヤフラ
ムの中央部分には吸引軸56が貫通し、吸引軸56が図
11で右に移動すると、圧板53とダイヤフラム54と
の間の密閉空間が拡大するように構成されている。
【0080】吸引レバー58は、軸57の回りに揺動自
在に支持されており、図11で時計方向に付勢するばね
58bにより付勢されている。また、吸引レバー58の
下端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ60が貫
通固定されており、ワイヤ60の上端部は支持部材55
に設けられた端子55aに固定されると共に、給電可能
に構成されている。なお、形状記憶合金で形成されたワ
イヤ60には縮み方向の形状が記憶されており、加熱す
ると記憶した形状に縮む。
【0081】また、圧板53の裏側(フイルムFと反対
側)には、図11に示すように、吸引軸56の下側に係
止レバー61が配置されている。係止レバー61は、図
12に示すように、その一端が圧板53上に取り付けら
れた軸62により回動自在に支持されており、ばね63
により時計方向に付勢されている。また、係止レバー6
1の先端61a附近には形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ64が固定されており、ワイヤ64には縮む方向の形
状が記憶されている。
【0082】係止レバー61の先端61aは、吸引軸5
6が図11に示すように右に移動したとき、圧板53と
吸引軸56のブロック56aとの間に形成される隙間に
押し上げられて挟み込まれる寸法に形成されている。
【0083】次に、その動作を説明する。初期状態で
は、形状記憶合金で形成されたワイヤ60へも、また、
形状記憶合金で形成されたワイヤ64にも通電されてい
ない。吸引レバー58は、ばね58bにより軸57の回
りに時計方向に付勢されており、また、係止レバー61
の先端61aは、支持部材55と吸引軸56のブロック
56aとの間から離脱した状態にあるから、ブロック5
6aは圧板53の裏側(フイルムFと反対側)に接して
おり、図11に示す位置にあつて、フイルムを圧板に吸
引していない状態にある。このとき、フイルムFの中央
附近は図11で点線で示すように、圧板53の表面から
浮き上がつた状態にある。
【0084】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ6
0に通電して加熱すると、吸引レバー58はばね58b
の付勢力に抗して軸57の回りに反時計方向に回動し、
吸引レバー58に結合している吸引軸56を図11で右
方向に移動させる。これにより、吸引軸56のブロック
56aに係合しているダイヤフラム54の中央部分も右
方向に移動するから、圧板53とダイヤフラム54との
間の密閉空間が拡大して負圧が生じ、フイルムFは圧板
53に吸着され、平面性が保持される。
【0085】吸引レバー58に結合している吸引軸56
が図11で右方向に移動すると、吸引軸56の下に位置
している係止レバー61の先端61aが、ばね63の時
計方向の付勢力によつて、圧板53と吸引軸56のブロ
ック56aとの間の隙間に押し上げられて挟み込まれ
る。これにより、形状記憶合金で形成されたワイヤ60
への通電が遮断されて冷却し、ワイヤ60が初期の形状
に戻つても、吸引軸56は初期位置に復帰することがな
い。
【0086】係止レバー61を圧板53と吸引軸56の
ブロック56aとの間から離脱させ、初期状態に戻すに
は、係止レバー61の先端61a附近に固定されている
ワイヤ64に通電加熱すると、ワイヤ64は記憶されて
いる形状が復元して、ばね63の時計方向の付勢力に抗
して係止レバー61を図12で下方向に牽引する。
【0087】これにより、係止レバー61は圧板53と
ブロック56aとの間から離脱し、初期位置に復帰す
る。このとき、ワイヤ64に通電する前にワイヤ60へ
通電加熱して吸引軸16を再度右方向に移動させた上で
ワイヤ64に通電加熱すると、圧板53とブロック56
aとの間が僅かに拡がるから、係止レバー61初期位置
に復帰させ易くなる。
【0088】[形状記憶合金で形成された部材の加熱]
次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ、コイルばね
(以下、ワイヤという)の部材の加熱について説明す
る。上記した実施の形態では、形状記憶合金で形成され
たワイヤに直接電流を流し、或いは形状記憶合金で形成
されたワイヤの周囲に配置した発熱体に電流を流して発
生するジュール熱と、周囲温度との平衡状態により形状
記憶合金で形成されたワイヤの温度が決定される。従つ
て周囲温度に応じて印加する電流値を調整する必要があ
り、また、形状記憶合金を変態温度よりも高温に加熱し
過ぎると(一般的には60℃以上)、記憶が薄れたり耐
久性が劣化するため望ましくない。
【0089】図13は、所定の縮み形状を記憶させた形
状記憶合金のワイヤSMAの温度と変位量の関係を説明
する図である。形状記憶合金のワイヤSMAにはスプリ
ングSによつて一定の張力の負荷を与えられているもの
とする。ワイヤSMAが非加熱(温度TM1 以下)の状
態では、スプリングSによりワイヤSMAは伸長され、
図13の(a)に示す状態にある。ワイヤSMAが加熱
された状態では記憶された形状にまで縮み、スプリング
Sは伸長されるので、図13の(b)に示す状態にな
る。
【0090】以下、図13の(c)を参照して、形状記
憶合金のワイヤSMAの温度と変位量の関係を説明す
る。ワイヤSMAの温度が低温相変態終了温度TM1 以
下では、スプリングSによりワイヤSMAは伸長されて
いる。ワイヤSMAへの通電を開始してワイヤSMAの
温度が上昇し、高温相変態開始温度TA0 を越えると、
高温相への変態が開始され、ワイヤSMAはスプリング
Sの張力に抗して縮み始める。更にワイヤSMAの温度
が上昇して高温相変態終了温度TA1 に達すると高温相
への変態が終了し、ワイヤSMAの変位は終了する。
【0091】次に、ワイヤSMAへの通電を遮断し、ワ
イヤSMAの温度が低温相変態開始温度TM0 以下に下
がると、低温相への変態が開始され、ワイヤSMAはス
プリングSの張力により伸び始める。更にワイヤSMA
の温度が下がり低温相変態終了温度TM1 に達すると低
温相への変態が終了し、ワイヤSMAの変位は終了す
る。
【0092】形状記憶合金で構成されたワイヤSMA等
の機構部材の温度−変位特性は、図13の(c)に示さ
れるように温度に対する変位がヒステリシス特性を有す
る。従つて、形状記憶合金で構成されたワイヤSMAか
ら変位を得るには、低温相変態終了温度TM1 以下の温
度のワイヤSMAに通電して加熱を開始し、高温相変態
終了温度TA1 以上まで加熱することで、十分な変位量
を得ることができる。しかし、温度を所定の加熱限界温
度TS (一般的にはTS =TA1 +60℃)以上に加熱
すると、記憶が薄れたり耐久性が劣化するため望ましく
ない。
【0093】図14は、図13に示す所定の縮み形状を
記憶させた形状記憶合金のワイヤについて、周囲温度を
T1 及びT2 の条件の下で、ワイヤSMAを加熱する電
流値と形状記憶合金に記憶された形状の復元状態の関係
を説明する図である。
【0094】即ち、周囲温度T1 の環境では、電流を流
さない非加熱状態ではスプリングの張力によりワイヤS
MAは長さaだけ引き伸ばされているが、電流を増加す
るにつれスプリングの張力に抗してワイヤSMAは縮
み、電流値I10においてワイヤSMAの温度は高温相変
態終了温度TA1 に達し、記憶された形状に復元するこ
とを示している。
【0095】また、周囲温度T2 の環境でも同様で、電
流を流さない非加熱状態では、スプリングの張力により
ワイヤSMAは長さaだけ引き伸ばされているが、電流
を増加するにつれスプリングの張力に抗してワイヤは縮
み、電流値I20においてワイヤSMAの温度は高温相変
態終了温度TA1 に達し、記憶された形状に復元するこ
とを示している。
【0096】先に図13により説明したように、ワイヤ
SMAの温度は高温相変態終了温度TA1 以上で、所定
の加熱限界温度TS (一般的にはTS =TA1 +60
℃)以下であればよいのであるから、加熱のための電流
値も加熱限界温度TS を越えない範囲で多めの電流値I
11又はI21を設定することができる。
【0097】即ち、形状記憶合金のワイヤに記憶された
形状に確実に復元させ、必要な変位を得るには、周囲温
度T1 の環境では電流値はI10からI11の範囲に、周囲
温度T2 の環境では電流値はI20からI21の範囲に設定
すればよい。
【0098】使用される環境により形状記憶合金の周囲
温度範囲が広く変動する場合には、予め使用される環境
に応じて周囲温度Tn を2以上設定し、それぞれの周囲
温度Tn に対して加熱する電流値In を決定しておき、
検出された周囲温度Tn に応じて加熱する電流値In を
選択決定するようにすればよい。この他、周囲温度Tn
と加熱する電流値In とを、例えば一次の関数式で予め
決定しておき、検出された周囲温度Tn から電流値In
を算出決定するようにしてもよい。
【0099】以上の説明では、形状記憶合金のワイヤの
加熱の制御において、印加する電流を調整するようにし
ているが、これに代えて印加する電圧値を調整するよう
にしても、電流値を調整する場合と全く同様に加熱制御
することができる。
【0100】図15は、周囲温度T1 及びT2 の条件の
下で、ワイヤに印加する電圧と形状記憶合金に記憶され
た形状の復元状態の関係を示すもので、周囲温度T1 の
場合は印加電圧値V1 で記憶形状が復元し、周囲温度T
2 の場合は印加電圧値V2 で記憶形状が復元することを
示している。
【0101】以上の説明では、形状記憶合金のワイヤの
加熱の制御において、印加する電流又は電圧を調整して
いる。これに代えて、電流又は電圧が一定のパルスを印
加するようにし、パルス幅、即ちデューテイ比を変更し
て形状記憶合金の加熱を制御することもできる。周囲温
度Tn が高いときは通電時間の短いデューテイ比Dnを
選択し、周囲温度Tn が低いときは通電時間の長いデュ
ーテイ比Dn を選択すればよい。この場合、周囲温度T
n とデューテイ比の関係を、例えば一次の関数式で予め
決定しておき、検出された周囲温度Tn からデューテイ
比Dn を算出決定するようにすることもできる。
【0102】この場合も、先に図13により説明したよ
うに、ワイヤSMAの温度は高温相変態終了温度TA1
以上で、所定の加熱限界温度TS (一般的にはTS =T
A1+60℃)以下であればよいのであるから、加熱の
ための印加電圧値、或いはデューテイ比として、ワイヤ
SMAの加熱限界温度TS を越えない範囲で高めの印加
電圧値、或いは通電時間が長めのデューテイ比を設定す
ることができる。
【0103】[カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構及び
カメラ制御回路]上記した実施の形態におけるフイルム
平面保持装置は、カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構、
及びカメラの制御動作と関連するので、フイルム巻上げ
巻戻し機構とカメラの制御回路について説明する。
【0104】図16は、カメラのフイルム巻上げ巻戻し
機構を説明する図である。図16において、71はモー
タで、そのロータ軸には歯車72が固定されており、モ
ータ71の回転は歯車列73を経て遊星歯車機構の太陽
歯車74に伝達される。
【0105】歯車74及び76で構成される遊星歯車機
構の太陽歯車74の軸P1に回動自在に装着されたレバ
ー75の先端には遊星歯車76が取り付けられ、太陽歯
車74と噛合している。太陽歯車74とレバー75との
間にはフリクシヨン機構が設けられており、太陽歯車7
4の回転方向によりレバー75が軸P1の回りに時計方
向に或いは反時計方向に回転し、遊星歯車76と巻戻し
歯車列79の歯車79aとが噛合し、或いは遊星歯車7
6と巻上げ歯車列81の歯車81aとが噛合する。
【0106】歯車78は増速歯車列77を経て歯車72
に接続される歯車で、モータ71の回転が増速されて伝
達される。歯車78にはエンコーダのデイスク78aが
一体に固定されており、デイスク78aが図示しないフ
ォトカプラの間で回転することによりパルス信号が出力
されるように構成されている。
【0107】モータ71が所定の第1方向に回転し、太
陽歯車74が図16において時計方向に回転すると、レ
バー75が軸P1の回りに時計方向に回転し、遊星歯車
76が巻戻し歯車列79の歯車79aに噛合して図16
に示す状態となる。この状態では、モータ71の第1方
向の回転は、巻戻し歯車列79を経てフォークが一体的
に設けられている歯車80に伝達されるので、フォーク
がフイルムパトローネのスプール軸を回転してフイルム
を巻き戻すことができる。
【0108】モータ71が先と逆の第2方向に回転し、
太陽歯車74が図16において反時計方向に回転する
と、レバー75が軸P1の回りに反時計方向に回転し、
遊星歯車76が巻上げ歯車列81の歯車81aに噛合す
る。この状態では、モータ71の第2方向の回転は、巻
上げ歯車列81を経てスプール83が一体的に設けられ
ている歯車82に伝達される。歯車82の回転はスプー
ル83を回転し、スプールにはフイルムのパーフォレー
ションに係合する爪83aが設けられているのでフイル
ムを巻上げることができる。
【0109】図17はフイルム巻上げ巻戻し機構のフイ
ルム給送経路を示す図である。86はカメラ本体(構造
体)で、画枠86a、スプール室86b、パトローネ室
86cが形成されている。スプール室86bにはスプー
ル83が設けられており、スプール83に巻上げられた
フイルムはスプール室86b内に収納される。
【0110】パトローネ室86cにはフォーク87が設
けられており、パトローネ室86c内にフイルムパトロ
ーネが装填された後、パトローネのスプール軸がフォー
ク87に係合し、フォーク87の回転によりスプール軸
が回転する。
【0111】84は従動スプロケットで、従動スプロケ
ット84にはフイルムのパーフォレーションに係合する
爪84aが設けられており、フイルムの巻上げ巻戻しに
連動して従動スプロケット84が回転する。従動スプロ
ケット84の回転はスイッチS1(図18参照)をオン
/オフし、出力されるパルス信号によりフイルムの1駒
分の給送や撮影駒数など、フイルム給送状態が検出され
る。
【0112】また、85はフイルム検知ピンで、図示し
ないばねにより図17で下方向に付勢されている。フイ
ルムが装填され、フイルム検知ピン85の下に来るとピ
ン85は押し上げられて、スイッチS2(図18参照)
をオンとし、フイルム検知信号を出力する。88は圧板
である。この圧板部分は、先に図1乃至図12で説明し
た構成を備えている。
【0113】図18は、カメラの制御回路のブロック図
で、制御回路はCPU90を中心に構成される。CPU
90には図示しない電池から給電され、図示しない定電
圧回路で所定の一定電圧に制御された定電圧Vccが供給
される。CPU90のリセット端子には抵抗R1 により
定電圧Vccが接続され、例えば電池が交換されるなどし
てLレベルからHレベルに変化したときCPU90はリ
セットされる。このほか、CPU90には水晶発振器X
が接続され、CPUの動作に不可欠なクロック信号が供
給される。
【0114】CPU90の入出力ポートには、フイルム
給送状態を検出するスイッチS1、フイルム検知信号を
出力するスイッチS2、レリーズスイッチS3、フイル
ムの途中巻戻しを指示するスイッチS4、モータ71に
より駆動されるエンコーダのデイスク78aの回転を検
知してパルス信号を出力するフォトカプラ91、形状記
憶合金で構成されたワイヤ等の部材を加熱するヒータS
MA1 、SMA2 が接続される。
【0115】ここで、ヒータSMA1 、SMA2 は先に
説明したとおり、形状記憶合金で構成されたワイヤ等の
部材に直接電流を流す場合は、形状記憶合金自体がヒー
タSMA1 、SMA2 として示してあり、別体のヒータ
を使用する場合は別体のヒータをSMA1 、SMA2 と
して示してある。
【0116】このほか、CPU90の入出力ポートには
形状記憶合金で構成されたワイヤ等の部材の周囲温度を
検出する温度センサTX、露出制御のためのAE回路9
2、焦点検出のためのAF回路93、フイルム給送のた
めのモータ71などが接続されている。
【0117】[圧板へのフイルムの吸引の制御]次に、
CPU90で実行される制御回路の制御動作のうち、撮
影の際の圧板へのフイルムの吸引に関する制御動作を説
明する。
【0118】図19に示すフローチヤートは、先に説明
した第1の実施の形態の構成の場合の制御動作を示すも
のである。以下、図19及び図1、図2、図3を参照し
つつ制御動作を説明する。
【0119】まず、カメラのシャッタ釦(レリーズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP11)。オン
の場合は温度センサTXにより周囲温度を検出し(ステ
ツプP12)、周囲温度に基づいて電流値を決定し(ス
テツプP13)、決定された電流値をヒータSMA(図
1のワイヤ20)に流す(ステツプP14)。
【0120】これにより、形状記憶合金で形成されたワ
イヤ20は加熱され、ワイヤ20が固定された吸引レバ
ー18の上端は図1で時計方向に回動し、吸引軸16を
右に牽引する。これにより図3に示す状態となり、圧板
13とダイヤフラム14との間の密閉空間が拡大して負
圧が発生し、フイルムFが圧板13に吸着されて平面に
保持される。
【0121】AF回路による焦点制御及びAE回路によ
る露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP1
5)。ヒータSMAへの電流の供給を遮断してフイルム
Fの圧板13への吸着状態を解除し(ステツプP1
6)、フイルムを1駒巻上げ(ステツプP17)、次の
撮影のために待機状態に入る(ステツプP18)。
【0122】上記フローチヤートでは、温度センサTX
による周囲温度の検出をシャッタ釦のオンの後に行つて
いるが、必ずしもこのタイミングで行う必要はなく、ま
た連続して複数駒の撮影が行われる場合は、必ずしも撮
影の都度周囲温度を検出しなくともよい。
【0123】第2の実施の形態、第3の実施の形態及び
第5の実施の形態の構成における制御動作も上記した制
御動作と同じであり、第2の実施の形態(図4、図5参
照)ではヒータSMAは形状記憶合金で形成されたコイ
ルばね27、第3の実施の形態(図6参照)ではヒータ
SMAはニクロム線のヒータ31、第5の実施の形態
(図9、図10参照)ではヒータSMAは形状記憶合金
で形成されたコイルばね41に対応する。
【0124】図20は、図19に示すフローチヤートで
ステツプP13で示した電流値の決定の詳細を示すフロ
ーチヤートである。ここでは、形状記憶合金を使用した
駆動機構を組み込んだ機器が使用される周囲温度(環境
温度)の範囲Tmin 〜Tmaxを3分割し、具体的には、
温度範囲を温度T1 よりも低い領域A、温度T1 と温度
T2 との間の領域B、温度T2 よりも高い領域Cの3つ
の領域に分割した場合を示している。即ち、検出された
周囲温度Tと温度T1 とを比較し(ステツプP21、P
22)、Tmin ≦T<T1 の場合、即ち検出された周囲
温度Tが領域Aにある場合は電流値IをI1 (I←I1
)に設定し(ステツプP25)、Tmax≧T>T2 の場
合、即ち検出された周囲温度Tが領域Cにある場合は電
流値IをI3 (I←I3 )に設定し(ステツプP2
4)、T1 ≦T≦T2 、即ち検出された周囲温度Tが領
域Bにある場合は電流値IをI2 (I←I2 )に設定す
る(ステツプP23)。
【0125】このとき、Tmin ≦T<T1 の場合には電
流I1 を、Tmax ≧T>T2 の場合には電流I3 を、ま
たT1 ≦T≦T2 の場合には電流I2 を流すと、加熱後
のヒータSMAの温度は、図13の高温変態終了温度T
A1と加熱限界温度TS との間になる。
【0126】なお、先に形状記憶合金で形成されたワイ
ヤ等の加熱に関して、周囲温度に応じて電流値を決定す
る代わりに周囲温度に応じて電圧値を決定してもよく、
また、電流または電圧が一定のパルスを印加する場合は
周囲温度に応じてデューテイ比を決定してもよいことを
説明したが、この場合は、上記した図20のフローチヤ
ートにおいて電流値Iを電圧値Vに、或いは電流値Iを
デューテイ比Dに置き換えることで全く同様に説明する
ことができる。
【0127】図21に示すフローチヤートは、先に説明
した第4の実施の形態の構成の場合の制御動作を示すも
のである。以下、図21及び図7を参照しつつ制御動作
を説明する。
【0128】まず、カメラのシャッタ釦(レリーズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP31)。オン
の場合は温度センサTXにより周囲温度を検出し(ステ
ツプP32)、周囲温度に基づいて電流値を決定し(ス
テツプP33)、決定された電流値を所定時間だけヒー
タSMA1 (図7のワイヤ20)に流す(ステツプP3
4)。
【0129】このとき、係止レバー36は支持部材15
と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間に落下する
ので、ヒータSMA1 (図7のワイヤ20)への通電を
遮断しても、吸引軸16は初期位置に戻らない。
【0130】ヒータSMA1 への通電により形状記憶合
金で形成されたワイヤ20は加熱されて記憶された形状
に縮むから、ワイヤ20が固定された吸引レバー18の
上端は図7で時計方向に回動し、吸引軸16を図7で右
に牽引するから、圧板13とダイヤフラム14との間の
密閉空間が拡大して負圧が発生し、フイルムFが圧板1
3に吸着されて平面に保持される。
【0131】AF回路による焦点制御及びAE回路によ
る露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP3
5)。
【0132】次に、係止レバー36及び吸引軸16を初
期位置に復帰させるため、周囲温度に基づいて電流値を
決定し(ステツプP36)、決定された電流値を所定時
間だけヒータSMA2 (図7のワイヤ35)に流す(ス
テツプP37)。ヒータSMA2 への通電により形状記
憶合金で形成されたワイヤ35は加熱されて記憶された
形状に縮むから、ワイヤ35が固定された係止レバー3
6を引上げる。これにより、係止レバー36は支持部材
15と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間から離
脱し、吸引軸16は初期位置に復帰する。ヒータSMA
2 への通電を遮断しても吸引軸16は初期位置に復帰し
ているので、係止レバー36は吸引軸16は初期位置に
復帰する。
【0133】このとき、ヒータSMA1 は電流の供給が
停止されて冷却されているから、フイルムFの圧板13
への吸着状態は解除されているので、フイルムを1駒巻
上げ(ステツプP38)、次の撮影のために待機状態に
入る(ステツプP39)。
【0134】上記フローチヤートでは、温度センサTX
による周囲温度の検出をシャッタ釦のオンの後に行つて
いるが、必ずしもこのタイミングで行う必要はなく、ま
た連続して複数駒の撮影が行われる場合は、必ずしも撮
影の都度周囲温度を検出しなくともよい。
【0135】第6の実施の形態の構成における制御動作
も上記した制御動作と同じである。即ち、第6の実施の
形態(図11、図12参照)では、ヒータSMA1 はワ
イヤ60に、ヒータSMA2 はワイヤ64に対応する。
【0136】ヒータSMA1 、ヒータSMA2 に供給す
る電流値の決定は、先に図20に示すフローチヤートで
説明した方法と変わらない。また、電流値を決定する代
わりに周囲温度に応じて電圧値を決定してもよいこと、
パルスを印加する場合は周囲温度に応じてデューテイ比
を決定することも、先に説明したとおりである。
【0137】また、ヒータSMA1 、ヒータSMA2 へ
通電する「所定時間」とは、形状記憶合金で形成された
ワイヤ等が所定の温度に到達するに必要な時間であり、
係止レバーが所定の作動を完了するに十分な時間であつ
て、予め実験により決定されている時間である。
【0138】図22に示すフローチヤートは、先に説明
した第4の実施の形態の構成の場合の制御動作の他の例
を示すものである。以下、図22及び図7を参照しつつ
制御動作を説明する。
【0139】まず、カメラのシャッタ釦(レリーズスイ
ッチS3 )のオンを検出する(ステツプP41)。オン
の場合は温度センサTXにより周囲温度を検出し、周囲
温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP42)、決
定された電流値を所定時間だけヒータSMA1 (図7の
ワイヤ20)に流す(ステツプP43)。
【0140】このとき、係止レバー36は支持部材15
と吸引軸16のブロック16bとの間の隙間に落下する
ので、ヒータSMA1 への通電を遮断しても、吸引軸1
6は初期位置に戻らない。
【0141】ヒータSMA1 への通電により形状記憶合
金で形成されたワイヤ20は加熱されて記憶された形状
に縮むから、ワイヤ20が固定された吸引レバー18の
上端は図7で時計方向に回動し、吸引軸16を図7で右
に牽引するから、圧板13とダイヤフラム14との間の
密閉空間が拡大して負圧が発生し、フイルムFが圧板1
3に吸着されて平面に保持される。AF回路による焦点
制御及びAE回路による露出制御を行ない露光を実行す
る(ステツプP44)。
【0142】次に、係止レバー36及び吸引軸16を初
期位置に復帰させるのであるが、まず周囲温度に基づい
て電流値を決定し(ステツプP45)、決定された電流
値をヒータSMA1 (図7のワイヤ20)に流す(ステ
ツプP46)。これにより、支持部材15と吸引軸16
のブロック16bとの間の隙間が拡げられるので、係止
レバー36を引上げ易くなる。
【0143】次に、周囲温度に基づいて電流値を決定し
(ステツプP47)、決定された電流値をヒータSMA
2 (図7のワイヤ35)に流す(ステツプP48)。ヒ
ータSMA2 への通電により形状記憶合金で形成された
ワイヤ35は加熱されて記憶された形状に縮み、ワイヤ
35が固定された係止レバー36は引上げられる。これ
により、係止レバー36は支持部材15と吸引軸16の
ブロック16bとの間の隙間から離脱し、吸引軸16は
初期位置に復帰する。ヒータSMA2 への通電を遮断し
ても吸引軸16は初期位置に復帰しているので、係止レ
バー36は吸引軸16は初期位置に復帰する。
【0144】この後、ヒータSMA1 、SMA2 への電
流の供給を遮断する(ステツプP49)。これによりフ
イルムFの圧板13への吸着状態は解除されるので、フ
イルムを1駒巻上げ(ステツプP50)、次の撮影のた
めに待機状態に入る(ステツプP51)。
【0145】[第7の実施の形態]先に説明した第1乃
至第6の実施の形態のフイルム平面保持装置は、アパー
チャー部にフイルムが給送された後、形状記憶合金で形
成されたワイヤ等を加熱して吸引機構を作動させてフイ
ルムを圧板に吸引してフイルムを平面に保持するように
構成されている。
【0146】しかし、この構成ではフイルムの途中まで
撮影したままの状態で長時間放置したような場合には、
フイルムが僅かに移動して駒の位置がずれる駒ずれのお
それがある。
【0147】以下説明する実施の形態では、カメラ内部
でフイルムが給送される期間だけフイルムの圧板への吸
引を中止し、フイルムの給送が行われない期間は、カメ
ラの電源が遮断された状態においてもフイルムが圧板に
吸引されているように構成したもので、撮影途中で長時
間放置したような場合でも駒ずれの生ずるおそれがな
い。
【0148】図23及び図24は、第7の実施の形態の
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、図23はフイ
ルムを圧板へ吸引した状態を示す断面図、図24はその
吸引解除状態を示す断面図である。
【0149】図23及び図24において、100はカメ
ラ本体を示し、カメラ本体のアパーチャー部APにはフ
イルムレール101及び圧板レール102が形成されて
いる。103は図示しないカメラの裏蓋側に設けられた
圧板で、圧板103には開孔103aが設けられてい
る。また、105は圧板103に取り付けられた支持部
材で、圧板103、及び支持部材105は、カメラの裏
蓋を閉じると、図示しないばね等の弾性部材により圧板
103が圧板レール102に圧接するように構成されて
いる。Fはフイルムを示している。
【0150】支持部材105には、その下側端部に軸受
が設けられ、軸受により支持された軸107により吸引
レバー108を揺動自在に支持している。また、支持部
材105の中央部分には吸引軸106が貫通している。
【0151】吸引軸106は、その圧板103側の端部
が軸径よりも大きい円盤状の端部106aに形成されて
おり、吸引軸106の他の端部のブロック106bには
ピン108aが設けられ、吸引レバー108の上端附近
が結合されている。
【0152】ダイヤフラム104はゴムその他の適当な
可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム104の周
辺は、圧板103とダイヤフラム104との間に、開孔
103aを除いて密閉空間が形成されるように、圧板1
03と支持部材105により密着挟持されている。ま
た、ダイヤフラム104の中央部分には吸引軸106が
貫通し、吸引軸106が図23で右に移動すると、圧板
103とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大す
るように構成されている。
【0153】吸引レバー108は、軸107の回りに揺
動自在に支持されており、図23で時計方向に付勢する
ばね108bにより付勢されている。また、吸引レバー
108の上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ
120が固定されており、ワイヤ120の端部は支持部
材105に設けられた端子105aに固定されると共
に、給電可能に構成されている。なお、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120には縮み方向の形状が記憶され
ており、加熱すると記憶した形状に縮む。
【0154】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパーチャー部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませる。吸引レバー108は、ばね
108bの付勢に抗して図24に示す位置に移動し、吸
引軸106を図23で左に移動させる。このとき、ダイ
ヤフラム104には吸引軸106による牽引力が加わら
ないから、圧板103とダイヤフラム104との間の密
閉空間の負圧が減少し、吸引解除の状態となる。フイル
ムFは圧板103に吸引されないから、圧板の表面に沿
つて自由に給送することができる。
【0155】次に、形状記憶合金で形成されたワイヤ1
20への通電を遮断すると、ワイヤ120は冷却されて
初期の形状に復元する。吸引レバー108はばね108
bにより時計方向に付勢されているので図23に示す位
置に移動し、吸引軸16を右に牽引する。これによりダ
イヤフラム104の中央部分も右に牽引されるので、圧
板103とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大
して負圧が発生するから、圧板103の前方にあるフイ
ルムFは圧板103に吸着されて吸引状態となり、アパ
ーチャー部APのフイルムFは平面に保持されると共に
移動しない。この状態では、撮影を行うことも撮影を行
なわないでおくこともできる。
【0156】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ120に通電し、吸引レバー
108を図24に示す位置に移動させ、フイルムFの圧
板103への吸引を解除する。
【0157】[第8の実施の形態]第8の実施の形態
は、第7の実施の形態の構成において、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120へ通電加熱してフイルムの圧板
への吸引状態を解除した後は、ワイヤ120への通電を
遮断しても吸引解除状態を保持できるように構成したも
のである。
【0158】図25及び図26は、この発明の第8の実
施の形態のフイルム平面保持装置の構成を示す図で、図
25の(a)はフイルムを圧板へ吸引した状態を示す断
面図、図25の(b)はその係止部分の構成と動作を説
明する図、図26の(a)はその吸引解除状態を示す断
面図、図26の(b)はその係止部分の構成と動作を説
明する図である。図23及び図24に示す第7の実施の
形態のものと類似した構成であるから、同一部材には同
一符号を付して説明を省き、相違点を説明する。
【0159】図25の(a)に示すように、支持部材1
05には吸引軸106が貫通しているが、その貫通して
いる吸引軸106の上側に係止レバー130が配置され
ている。
【0160】吸引軸106は、その圧板103側の端部
が軸径よりも大きい円盤状の端部106aに形成されて
ダイヤフラム104を係止しており、端部106aより
内側は支持部材105を貫通する部分の軸径よりも太径
106cに構成されている。また、吸引軸106の他の
端部のブロック106bにはピン108aが設けられ、
吸引レバー108の上端附近が結合されている。
【0161】ダイヤフラム104はゴムその他の適当な
可撓性材料で形成されており、ダイヤフラム104の周
辺は、圧板103とダイヤフラム104との間に開孔1
03aを除いて密閉空間が形成されるように、圧板10
3と支持部材105により密着挟持されている。また、
ダイヤフラム104の中央部分には吸引軸106が貫通
し、吸引軸106が図23で右に移動すると、圧板10
3とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大するよ
うに構成されている。
【0162】吸引レバー108は、軸107の回りに揺
動自在に支持されており、図25で時計方向に付勢する
ばね108bにより付勢されている。また、吸引レバー
108の上端附近には形状記憶合金で形成されたワイヤ
120が固定されており、ワイヤ120の端部は支持部
材105に設けられた端子105aに固定されると共
に、給電可能に構成されている。なお、形状記憶合金で
形成されたワイヤ120には縮み方向の形状が記憶され
ており、加熱すると記憶した形状に縮む。
【0163】係止レバー130は、図25の(b)に示
すように、その一端が軸131により回動自在に支持さ
れており、ばね132により矢印a方向に付勢されてい
る。また、係止レバー130の先端130a附近には形
状記憶合金で形成されたワイヤ135が固定されてお
り、ワイヤ135には縮む方向の形状が記憶されてい
る。係止レバー130の先端130aは、吸引軸106
が図25の(a)で左に移動したとき、支持部材105
と吸引軸106の太径部106cとの間の隙間に落下で
きる寸法に形成されている。
【0164】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパーチャー部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませると、吸引レバー108は、ば
ね108bの付勢に抗して図26の(a)に示す位置に
移動する。ダイヤフラム104には吸引軸106による
牽引力が加わらないから、圧板103とダイヤフラム1
04との間の密閉空間の負圧が減少し、吸引解除の状態
となる。フイルムFは圧板103に吸引されないから、
圧板の表面に沿つて自由に給送することができる。
【0165】このとき、係止レバー130の先端130
aは、図26の(a)に示すように、支持部材105と
吸引軸106の太径部106cとの間の隙間に落下し、
吸引軸106が吸引状態の位置に復帰することを妨げ
る。
【0166】次に、吸引状態に復帰させるときは、係止
レバー130の先端130a附近に固定された形状記憶
合金で形成されたワイヤ135に通電して加熱する。ワ
イヤ135は記憶されている形状に縮み、係止レバー1
30を図25の(b)に示す位置に引き上げ、形状記憶
合金で形成されたワイヤ120への通電を遮断すると、
ワイヤ120は冷却されたときの形状に復元するととも
に、吸引レバー108はばね108bにより時計方向に
付勢されているので図25の(a)に示す位置に移動
し、吸引軸106を右に牽引する。これによりダイヤフ
ラム104の中央部分も右に牽引されるので、圧板10
3とダイヤフラム104との間の密閉空間が拡大して負
圧が発生するから、圧板103の前方にあるフイルムF
は圧板103に吸着されて吸引状態となり、アパーチャ
ー部APのフイルムFは平面に保持されると共に移動し
ない。この状態では、撮影を行うことも撮影を行なわな
いでおくこともできる。
【0167】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ120に通電し、吸引レバー
108を図26の(a)に示す位置に移動させ、フイル
ムFの圧板103への吸引を解除する。
【0168】[第9の実施の形態]第9の実施の形態
も、フイルムの圧板への吸引状態を解除した後は、形状
記憶合金のワイヤへの通電を遮断しても、吸引解除状態
を保持できる機構を備え、これ等の駆動源を密閉室内に
配置したものである。
【0169】図27及び図28は、第9の実施の形態の
フイルム平面保持装置の構成を示す図で、図27はフイ
ルムの圧板への吸引状態を示す断面図、図28は背面
(図27の右側)から見た内側要部の正面図である。
【0170】100はカメラ本体を示し、カメラ本体の
アパーチャー部APにはフイルムレール101及び圧板
レール102が形成されている。103は図示しないカ
メラの裏蓋側に設けられた圧板で、圧板103には開孔
103aが設けられている。また、140は圧板103
に取り付けられた支持部材で、圧板103、及び支持部
材140は、カメラの裏蓋を閉じると、図示しないばね
等の弾性部材により圧板103が圧板レール102に圧
接するように構成されている。Fはフイルムを示してい
る。
【0171】図27に示すように、支持部材140には
吸引軸141が貫通しているが、その貫通している吸引
軸141の下側に係止レバー144が配置されている。
【0172】吸引レバー142は、圧板103に設けら
れた軸143の回りに揺動自在に支持されており、図2
7で反時計方向に付勢するばね142bにより付勢され
ている。また、吸引レバー142の下端附近には形状記
憶合金で形成されたワイヤ145が固定されており、ワ
イヤ145の端部は圧板103に設けられた端子103
aに固定されると共に、給電可能に構成されている。な
お、形状記憶合金で形成されたワイヤ145には縮み方
向の形状が記憶されており、加熱すると記憶した形状に
縮む。
【0173】係止レバー144は、図28に示すよう
に、その一端が軸146により回動自在に支持されてお
り、ばね146aにより矢印a方向に付勢されている。
また、係止レバー144には形状記憶合金で形成された
ワイヤ147が固定されており、ワイヤ147には縮む
方向の形状が記憶されている。係止レバー144の先端
144aは、吸引軸141が図27で左に移動したと
き、吸引軸141のブロック141aに形成された係合
溝141bに係合し、吸引軸141の軸方向移動を係止
するように構成されている。
【0174】次に、以上の構成の動作を説明する。ま
ず、カメラにフイルムが装填され、フイルムFをカメラ
本体のアパーチャー部APに給送するときは、形状記憶
合金で形成されたワイヤ145に通電して加熱し、予め
記憶された形状に縮ませると、吸引レバー142は、ば
ね142bの付勢に抗して図27で左に移動し、吸引軸
141も図27で左に移動する。このとき、ダイヤフラ
ム104には吸引軸141による牽引力が加わらないか
ら、圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間
の負圧が減少して吸引解除状態となる。フイルムFは圧
板103に吸引されないので、フイルムFを圧板の表面
に沿つて自由に給送することができる。
【0175】このとき、係止レバー144の先端144
aは吸引軸141のブロック141aに形成された係合
溝141bに係合し、吸引軸141の軸方向移動を係止
するから、形状記憶合金で形成されたワイヤ145への
通電を遮断しても、吸引解除状態が維持される。
【0176】次に、吸引状態に復帰させるときは、係止
レバー144に固定された形状記憶合金で形成されたワ
イヤ147に通電して加熱し、ワイヤ147を予め記憶
された形状に縮ませて係止レバー144を図27、図2
8で下方に引き下げると、係止レバー144の先端14
4aと吸引軸141のブロック141aの係合溝141
bとの係合が外れるから、吸引軸141はばね142b
により反時計方向に付勢されている吸引レバー142に
より図27で右方向に移動し、ダイヤフラム104の中
央部分も右方向に移動する。
【0177】これにより圧板103とダイヤフラム10
4との間の密閉空間が拡大して負圧が発生するから、圧
板103の前方にあるフイルムFは圧板103に吸着さ
れて吸引状態となり、アパーチャー部APのフイルムF
は平面に保持されると共に移動しない。この状態では、
撮影を行うことも撮影を行なわないでおくこともでき
る。
【0178】フイルムを巻上げるときや巻戻すときは、
再び形状記憶合金のワイヤ145に通電し、吸引レバー
142を図27に示す位置に移動させ、フイルムFの圧
板103への吸引を解除する。
【0179】[圧板へのフイルムの吸引及び吸引解除の
制御]第7の実施の形態乃至第9の実施の形態で説明し
た、カメラ内部でフイルムが給送される期間だけフイル
ムの圧板への吸引を中止し、フイルムが給送されない期
間はカメラの電源が遮断された状態においてもフイルム
が圧板に吸引されている構成について、制御回路の制御
動作を説明する。
【0180】制御回路の構成は、図18で示した構成と
変わらないので説明を省略し、制御動作について説明す
る。
【0181】図29に示すフローチヤートは、先に説明
した第7の実施の形態の構成の場合の制御動作のうち、
カメラにフイルムを装填した時の初期処理を示す。以
下、図29及び図23、図24を参照しつつ初期処理の
制御動作を説明する。
【0182】まず、カメラにフイルムが装填され、裏蓋
が閉じられたことを検出し(ステップP61)、裏蓋が
閉じられたときは、温度センサTXにより周囲温度を検
出し(ステツプP62)、周囲温度に基づいて電流値を
決定し(ステツプP63)、決定された電流値をヒータ
SMA(図23のワイヤ120)に流す(ステツプP6
4)。これは、フイルムを圧板に吸引する準備処理であ
り、圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間
の容積を減少する処理である。即ち、形状記憶合金で形
成されたワイヤ120が通電加熱されると、ワイヤ12
0が固定された吸引レバー118の上端は図23で時計
方向に回動し、吸引軸16は図23で左に移動し、圧板
103とダイヤフラム104との間の密閉空間の容積が
減少して吸引解除状態となる。これにより、以降、フイ
ルムの給送動作を実行することができる。
【0183】カメラにフイルムを装填した時のイニシヤ
ル処理を開始し、イニシヤル処理の終了を待つ(ステツ
プP65、P66)。この間にはフイルムの第1駒を撮
影位置まで給送する動作が含まれるが、この時点では吸
引軸16は図23で左に移動して吸引動作は行われてい
ないので、フイルムの給送動作を容易に行うことができ
る。イニシヤル処理が終了したときはヒータSMAの加
熱を停止し、待機状態に入る(ステツプP67、P6
8)。このとき、ヒータSMAの加熱が停止され、吸引
軸16及びダイヤフラム104の中央部分は図23で右
に移動するから、吸引状態となり、フイルムは圧板に吸
引される。
【0184】図30に示すフローチヤートは、先に説明
した第7の実施の形態の構成の場合の制御動作のうち、
撮影後のフイルムの給送時、及び巻戻し時の処理を示
す。以下、図30及び図23、図24を参照しつつ制御
動作を説明する。
【0185】この時点では先に説明したイニシヤル処理
が終了し、フイルムの未撮影の駒が撮影位置に給送さ
れ、圧板に吸引されているものとする。シャッタ釦(レ
リーズスイツチS3 ) のオンを検出し(ステツプP7
1)、オンの場合はAF回路による焦点制御及びAE回
路による露出制御を行ない露光を実行する(ステツプP
72)。
【0186】温度センサTXにより周囲温度を検出し
(ステツプP73)、周囲温度に基づいて電流値を決定
し(ステツプP74)、決定された電流値をヒータSM
A(図23のワイヤ120)に流す(ステツプP7
5)。これにより、吸引軸16は図23で左に移動し、
圧板103とダイヤフラム104との間の密閉空間の容
積が減少し、フイルムの圧板への吸引状態が解除され
る。
【0187】フイルムを1駒巻上げ(ステツプP7
6)、ヒータSMAへの電流を遮断し(ステツプP7
7)、次の撮影のため待機状態に入る(ステツプP7
8)。ヒータSMAへの電流を遮断するから、吸引軸1
6は図23で右に移動し、圧板103とダイヤフラム1
04との間の密閉空間の容積が増大して、再びフイルム
は圧板へ吸引された状態となる。
【0188】図31及び図32に示すフローチヤート
は、先に説明した第8の実施の形態の構成の場合の制御
動作を示す。以下、図31及び図32、図25及び図2
6を参照しつつ制御動作を説明する。
【0189】まず、カメラにフイルムが装填され、裏蓋
が閉じられたことを検出し(ステップP81)、裏蓋が
閉じられたときは、カメラにフイルムを装填した時のイ
ニシヤル処理を開始し、イニシヤル処理の終了を待つ
(ステツプP82、P83)。この間にはフイルムの第
1駒を撮影位置まで給送する動作が含まれるが、この時
点ではフイルムの吸引動作は行われていないので、フイ
ルムの給送動作を容易に行うことができる。
【0190】温度センサTXにより周囲温度を検出し、
周囲温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP8
4)、決定された電流値を所定時間ヒータSMA2 (図
25のワイヤ135)に流し(ステツプP64)、待機
状態に入る(ステツプP85)。これは、係止レバー1
30の係止を外してフイルムの吸引動作を行う処理であ
り、図25に示す吸引状態になる。
【0191】フイルムの途中巻戻しか否か(巻戻しスイ
ッチのオン)を判定し(ステツプP87)、途中巻戻し
でない場合は、シャッタ釦(レリーズスイッチS3)のオ
ンを待ち(ステツプP88)、AF回路による焦点制御
及びAE回路による露出制御を行ない露光を実行する
(ステツプP89)。
【0192】温度センサTXにより周囲温度を検出して
周囲温度に基づいて電流値を決定し(ステツプP9
0)、決定された電流値をヒータSMA1 (図25のワ
イヤ120)に流す(ステツプP91)。これにより、
吸引軸16は図25で左に移動し、フイルムの圧板への
吸引状態が解除されるから、フイルムを1駒巻上げる
(ステツプP92)。
【0193】最終駒の撮影終了か否かを判定し(ステツ
プP93)、最終駒の撮影終了の場合はフイルムを巻戻
し、待機状態に入る(ステツプP110、P111)。
最終駒の撮影終了でない場合は、周囲温度に基づいて決
定された電流値の電流を所定時間ヒータSMA2 (図2
5のワイヤ135)に流し、待機状態に入る(ステツプ
P94、P95)。
【0194】フイルムの途中巻戻しか否かを判定し(ス
テツプP96)、途中巻戻しでない場合は、ステツプP
88以降の処理に移る。途中巻戻しの場合は周囲温度に
基づいて電流値を決定し(ステツプP97)、決定され
た電流値をヒータSMA1 (図25のワイヤ120)に
流す(ステツプP98)。これにより、吸引軸16は図
25で左に移動し、フイルムの圧板への吸引状態が解除
されるから、フイルムの巻戻しが可能となるから、フイ
ルムを巻戻し、待機状態に入る(ステツプP99、P1
00)。ステツプP87の判定でフイルムの途中巻戻し
の場合も、ステツプP97以降の処理に移る。
【0195】なお、上記した実施の形態はフイルムの平
面性を保持するための駆動機構であるが、この発明はこ
れに限られるものではない。また、カメラに限らずあら
ゆる駆動機構乃至は駆動機構を備えた機器にも適用でき
るものである。
【0196】
【発明の効果】以上説明したとおり、この発明は、予め
所定の形状を記憶させた形状記憶合金で形成された機構
部材に電流、電圧、或いは所定のデューテイ比のパルス
電流又はパルス電圧を供給して加熱し、記憶させた所定
形状に復元するときに生ずる変位に基づいて被駆動体を
駆動する形状記憶合金を使用した駆動機構において、周
囲温度を計測する温度センサと、形状記憶合金で形成さ
れた機構部材を加熱するために電流、電圧、或いは所定
のデューテイ比のパルス電流又はパルス電圧を供給する
制御手段とを備え、温度センサで計測された周囲温度に
基づいて、形状記憶合金の加熱限界温度を越えないよう
に、形状記憶合金で形成された機構部材へ供給する電流
値、電圧値、或いは所定のデューテイ比を決定するよう
制御手段により制御される形状記憶合金を使用した駆動
機構である。
【0197】この構成により、形状記憶合金で構成され
た機構部材の加熱温度が周囲温度により適切に制御さ
れ、オーバーヒートされることがないから、オーバーヒ
ートによる形状記憶合金で構成された駆動部材に記憶さ
れている所定形状の記憶が薄れたり消失したりすること
がなく、機構部材の加熱/加熱停止を繰り返しても被駆
動体を正確に駆動することができる。また、形状記憶合
金で構成された機構部材を変形させるのに必要な最低電
力で各温度において制御することができるので、消費電
力を最少限に抑えることができる。
【0198】そして、この駆動機構は少ない部材で小型
軽量に纏めることができるから、カメラその他の小型で
軽量な駆動機構が求められる機器に適した駆動機構を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の構成の初期状態を示す断面
図。
【図2】図1に示す構成の背面からみた正面図。
【図3】図1に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図4】第2の実施の形態の構成の初期状態を示す断面
図。
【図5】図4に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図6】第3の実施の形態の構成の初期状態を示す断面
図。
【図7】第4の実施の形態の構成の初期状態を示す断面
図。
【図8】図7に示す構成の吸引動作状態を示す断面図。
【図9】第5の実施の形態の構成の初期状態を示す断面
図。
【図10】図9に示す構成の吸引動作状態を示す断面
図。
【図11】第6の実施の形態の構成の初期状態を示す断
面図。
【図12】図11に示す構成の背面からみた内側要部の
正面図。
【図13】形状記憶合金のワイヤの温度と変位量の関係
を説明する図。
【図14】形状記憶合金に印加する電流と記憶形状の復
元状態を説明する図。
【図15】形状記憶合金に印加する電圧と記憶形状の復
元状態を説明する図。
【図16】カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構を説明す
る図。
【図17】カメラのフイルム巻上げ巻戻し機構のフイル
ム給送経路を説明する図。
【図18】カメラの制御回路のブロック図。
【図19】第1の実施の形態の制御動作を説明するフロ
ーチヤート。
【図20】形状記憶合金に印加する電流値の決定処理を
説明するフローチヤート。
【図21】第4の実施の形態の制御動作を説明するフロ
ーチヤート。
【図22】第4の実施の形態の制御動作の他の例を説明
するフローチヤート。
【図23】第7の実施の形態の構成の吸引状態(初期状
態)を示す断面図。
【図24】図23に示す構成の吸引解除状態を示す断面
図。
【図25】第8の実施の形態の構成の吸引状態(初期状
態)を示す断面図。
【図26】図25に示す構成の吸引解除状態を示す断面
図。
【図27】第9の実施の形態の構成の吸引状態(初期状
態)を示す断面図。
【図28】図27に示す構成の背面からみた内側要部の
正面図。
【図29】第7の実施の形態の制御動作のうち初期処理
を説明するフローチヤート。
【図30】第7の実施の形態の制御動作のうちフイルム
給送処理を説明するフローチヤート。
【図31】第8の実施の形態の制御動作を説明するフロ
ーチヤート。
【図32】第8の実施の形態の制御動作を説明するフロ
ーチヤート(続き)。
【図33】従来のカメラの光軸を含む断面図。
【図34】図33に示す従来のカメラの圧板附近の構成
を示す断面図。
【符号の説明】
11、51、101 フイルムレール 12、52、102 圧板レール 13、53、103 圧板 14、54、104 ダイヤフラム 15、55、105 支持部材 16、26、46、56、106、141 吸引軸 18、58、108、142 吸引レバー 20、35、60、64 形状記憶合金で形成されたワ
イヤ 120、135、145、147 形状記憶合金で形成
されたワイヤ 27、41 形状記憶合金で形成されたコイルばね 28 板ばね 31 ヒ−タ(発熱体) 36、61、130、144 係止レバー 42 コイルばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湊 祥一 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 谷井 純一 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め所定の形状を記憶させた形状記憶合
    金で形成された機構部材に電流を供給して加熱し、記憶
    させた所定形状に復元するときに生ずる変位に基づいて
    被駆動体を駆動する形状記憶合金を使用した駆動機構に
    おいて、 周囲温度を計測する温度センサと、 形状記憶合金で形成された機構部材を加熱するために電
    流を供給する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記温度センサで計測された周囲温度
    に基づいて前記形状記憶合金で形成された機構部材へ供
    給する電流値を、形状記憶合金の温度が高温相変態終了
    温度TA1以上で所定の加熱限界温度TS 以下となるよう
    に決定することを特徴とする形状記憶合金を使用した駆
    動機構。
  2. 【請求項2】 前記被駆動体は、前記形状記憶合金を使
    用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2の位置
    に設定されるように制御されることを特徴とする請求項
    1に記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記温度センサで計測
    された周囲温度が高い程供給する電流値を小さく設定す
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の形状
    記憶合金を使用した駆動機構。
  4. 【請求項4】 周囲温度の範囲を複数の温度領域に分割
    し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形状記憶
    合金で形成された機構部材へ供給する電流値を、形状記
    憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加
    熱限界温度TS 以下となるように予め設定しておき、前
    記制御手段は、前記温度センサにより周囲温度が計測さ
    れたときは、周囲温度が複数の温度領域のいずれに属す
    るかを判断し、該当する温度領域の電流値を前記形状記
    憶合金で形成された機構部材へ供給する電流値として設
    定することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    かに記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  5. 【請求項5】 周囲温度に対応して形状記憶合金で形成
    された機構部材へ供給する電流値を、形状記憶合金の温
    度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界温度
    TS 以下となるように予め所定の関数式により設定して
    おき、前記制御手段は、前記温度センサにより周囲温度
    が計測されたときは、計測された周囲温度に基づいて対
    応する電流値を前記関数式により演算し、演算された電
    流値を前記形状記憶合金で形成された機構部材へ供給す
    る電流値として設定することを特徴とする請求項1乃至
    請求項3のいずれかに記載の形状記憶合金を使用した駆
    動機構。
  6. 【請求項6】 予め所定の形状を記憶させた形状記憶合
    金で形成された機構部材に電圧を印加して加熱し、記憶
    させた所定形状に復元するときに生ずる変位に基づいて
    被駆動体を駆動する形状記憶合金を使用した駆動機構に
    おいて、 周囲温度を計測する温度センサと、 形状記憶合金で形成された機構部材を加熱するために電
    圧を印加する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記温度センサで計測された周囲温度
    に基づいて前記形状記憶合金で形成された機構部材へ印
    加する電圧値を、形状記憶合金の温度が高温相変態終了
    温度TA1以上で所定の加熱限界温度TS 以下となるよう
    に決定することを特徴とする形状記憶合金を使用した駆
    動機構。
  7. 【請求項7】 前記被駆動体は、前記形状記憶合金を使
    用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2の位置
    に設定されるように制御されることを特徴とする請求項
    6に記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、前記温度センサで計測
    された周囲温度が高い程印加する電圧値を小さく設定す
    ることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の形状
    記憶合金を使用した駆動機構。
  9. 【請求項9】 周囲温度の範囲を複数の温度領域に分割
    し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形状記憶
    合金で形成された機構部材へ印加する電圧値を、形状記
    憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加
    熱限界温度TS 以下となるように予め設定しておき、前
    記制御手段は、前記温度センサにより周囲温度が計測さ
    れたときは、周囲温度が複数の温度領域のいずれに属す
    るかを判断し、該当する温度領域の電圧値を前記形状記
    憶合金で形成された機構部材へ印加する電圧値として設
    定することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれ
    かに記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  10. 【請求項10】 周囲温度に対応して形状記憶合金で形
    成された機構部材へ印加する電圧値を、形状記憶合金の
    温度が高温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界温
    度TS 以下となるように予め所定の関数式により設定し
    ておき、前記制御手段は、前記温度センサにより周囲温
    度が計測されたときは、計測された周囲温度に基づいて
    対応する電圧値を前記関数式により演算し、演算された
    電圧値を前記形状記憶合金で形成された機構部材へ印加
    する電圧値として設定することを特徴とする請求項6乃
    至請求項8のいずれかに記載の形状記憶合金を使用した
    駆動機構。
  11. 【請求項11】 予め所定の形状を記憶させた形状記憶
    合金で形成された機構部材に所定のデューテイ比のパル
    ス電流又はパルス電圧を供給して加熱し、記憶させた所
    定形状に復元するときに生ずる変位に基づいて被駆動体
    を駆動する形状記憶合金を使用した駆動機構において、 周囲温度を計測する温度センサと、 形状記憶合金で形成された機構部材を加熱するために電
    圧を印加する制御手段とを備え、 前記制御手段は、前記温度センサで計測された周囲温度
    に基づいて前記形状記憶合金で形成された機構部材へ印
    加するパルス電流又はパルス電圧の所定のデューテイ比
    を、形状記憶合金の温度が高温相変態終了温度TA1以上
    で所定の加熱限界温度TS 以下となるように決定するこ
    とを特徴とする形状記憶合金を使用した駆動機構。
  12. 【請求項12】 前記被駆動体は、前記形状記憶合金を
    使用した駆動機構により相互に異なる第1及び第2の位
    置に設定されるように制御されることを特徴とする請求
    項11に記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  13. 【請求項13】 前記制御手段は、前記温度センサで計
    測された周囲温度が高い程印加するパルス電流又はパル
    ス電圧の通電時間の短い所定のデューテイ比を設定する
    ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の形
    状記憶合金を使用した駆動機構。
  14. 【請求項14】 周囲温度の範囲を複数の温度領域に分
    割し、分割された周囲温度領域に対してそれぞれ形状記
    憶合金で形成された機構部材へ印加するパルス電流又は
    パルス電圧のデューテイ比を、形状記憶合金の温度が高
    温相変態終了温度TA1以上で所定の加熱限界温度TS 以
    下となるように予め設定しておき、前記制御手段は、前
    記温度センサにより周囲温度が計測されたときは、周囲
    温度が複数の温度領域のいずれに属するかを判断し、該
    当する温度領域のパルス電流又はパルス電圧のデューテ
    イ比を前記形状記憶合金で形成された機構部材へ印加す
    るパルス電流又はパルス電圧の所定のデューテイ比とし
    て設定することを特徴とする請求項11乃至請求項13
    のいずれかに記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  15. 【請求項15】 周囲温度に対応して形状記憶合金で形
    成された機構部材へ印加するパルス電流又はパルス電圧
    のデューテイ比を、形状記憶合金の温度が高温相変態終
    了温度TA1以上で所定の加熱限界温度TS 以下となるよ
    うに予め所定の関数式により設定しておき、前記制御手
    段は、前記温度センサにより周囲温度が計測されたとき
    は計測された周囲温度に基づいて対応する前記デューテ
    イ比を前記関数式により演算し、演算されたデューテイ
    比を前記形状記憶合金で形成された機構部材へ印加する
    パルス電流又はパルス電圧の所定のデューテイ比として
    設定することを特徴とする請求項11乃至請求項13の
    いずれかに記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
  16. 【請求項16】 前記所定の加熱限界温度TS は、形状
    記憶合金の高温相変態終了温度TA1よりも略60℃高い
    温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項15の
    いずれかに記載の形状記憶合金を使用した駆動機構。
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