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JPH11315206A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

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Publication number
JPH11315206A
JPH11315206A JP4208499A JP4208499A JPH11315206A JP H11315206 A JPH11315206 A JP H11315206A JP 4208499 A JP4208499 A JP 4208499A JP 4208499 A JP4208499 A JP 4208499A JP H11315206 A JPH11315206 A JP H11315206A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamide resin
liquid crystalline
acid
parts
resin composition
Prior art date
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Pending
Application number
JP4208499A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Umetsu
秀之 梅津
Norio Kitajima
教雄 北島
Yoshiki Makabe
芳樹 真壁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP4208499A priority Critical patent/JPH11315206A/ja
Publication of JPH11315206A publication Critical patent/JPH11315206A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高湿下での剛性、靭性、寸法精度、耐薬品性、
得られた成形物の良表面外観などの特性をポリアミド樹
脂に付加したポリアミド樹脂組成物の取得を課題とす
る。 【解決手段】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し
て(B)カルボキシル末端基濃度75×10-6当量/g
以上の液晶性樹脂0.01〜10重量部添加してなるポ
リアミド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械特性、表面外
観、耐湿性、耐薬品性に優れ、とりわけ高湿度の環境に
置かれた際の剛性および寸法安定性に優れたポリアミド
樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、ポリアミド樹脂
の特徴である優れた靭性を維持し、かつ高湿度環境下に
長期間さらされた後でも剛性の低下が極めて小さい高耐
湿度、高寸法安定性を有するポリアミド樹脂組成物に関
し、成形品、フィルム、繊維用途にその特性を生かして
用い、特に自動車用、電気・電子機器回路接続用樹脂コ
ネクター用途に好適に使用されるポリアミド樹脂組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規特性を有するポリマー
が数多く開発され、市場に供されているが、なかでも分
子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶性ポリ
マーが優れた流動性と機械的性質を有する点で注目さ
れ、特に高い強度、剛性を有することから電気・電子分
野や事務機器分野などで小型成形品としての需要が大き
くなってきている。
【0003】また、ナイロン6、ナイロン66に代表さ
れるポリアミド樹脂はエンジニアリングプラスチックと
しての優れた特性を利用して、自動車分野、電気・電子
分野、その他建築・雑貨分野などで幅広く使用されてい
る。しかしながら、液晶性ポリマーは、剛性が高いもの
の、靭性がポリアミド樹脂などに比べ十分とはいえず、
さらに価格がポリアミドやポリブチレンテレフタレート
などに比べ高いなどの理由で高耐熱性、寸法精度を要求
される用途に制限されているのが現状である。
【0004】一方、ポリアミド樹脂は、靭性は高いもの
の、高湿下での使用において剛性が低下して例えばコネ
クターなどに使用した場合、使用環境によっては接続機
能が損なわれたり、寸法変化が大きく寸法安定性が劣る
などの問題があり改善が望まれていた。
【0005】両者のもつ欠点を解決するために液晶性樹
脂と熱可塑性樹脂のブレンドが注目されており、特開昭
56−115357号公報、特開平3−54222号公
報、特開平9−12875号公報などが開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、両ポリ
マーを単純にブレンドしても相溶性が十分でないことか
ら、大きな物性向上が見られず、特に高湿下の剛性改善
がなされず、逆にポリアミドの特性である靭性を損なう
欠点を有している。また、相溶性が悪いことから異物が
発生しやすく成形品では衝撃強度の低下、フィルムでは
破れあるいは糸では糸切れなどが頻繁に起きることがわ
かった。
【0007】よって本発明は、上述の問題を解消し、従
来のポリアミド樹脂の加工温度で加工可能であり、かつ
ポリアミド樹脂の従来の特性を損なうことなく、新規に
高湿下での剛性、靭性、耐薬品性、寸法精度、得られた
成形物の良表面外観などの特性をポリアミド樹脂に付加
したポリアミド樹脂組成物の取得を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は(1)(A)ポリアミド樹脂100重量
部に対して(B)カルボキシル末端基濃度75×10-6
当量/g以上の液晶性樹脂0.01〜10重量部を添加
してなるポリアミド樹脂組成物、(2)(A)および
(B)の合計100重量部に対し、充填材を0.5〜3
00重量部を添加してなる上記(1)記載のポリアミド
樹脂組成物、(3)ポリアミド樹脂組成物が、40℃、
10日間水中浸漬処理後にASTM法D790(厚み1/
8インチ)にて測定した曲げ弾性率が、液晶性樹脂(B)を
含まない以外は同じポリアミド樹脂(組成物)を用いて
同様に測定した曲げ弾性率に比較して10%以上向上す
ることを特徴とする上記(1)または(2)記載の液晶
性樹脂組成物、(4)液晶性樹脂(B)がエチレンジオ
キシ単位を含有する上記(1)〜(3)のいずれか記載
のポリアミド樹脂組成物、(5)上記(1)〜(4)い
ずれか記載のポリアミド樹脂組成物で構成してなる成形
品、(6)上記(1)〜(4)いずれか記載のポリアミ
ド樹脂組成物で構成してなるフィルム、(7)上記
(1)〜(4)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物で
構成してなる繊維を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において「重量」とは「質量」を意味す
る。
【0010】本発明で用いられるポリアミド樹脂(A)
とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボ
ン酸を主たる原料とするナイロンである。その原料の代
表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウ
ンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチ
ル安息香酸などのアミノ酸、ε−アミノカプロラクタ
ム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペン
タメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、ウンデ
カメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,
2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシレン
ジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(ア
ミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル
−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−
アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4
−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−
アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピ
ル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪
族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル
酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪
族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明
においては、これらの原料から誘導されるナイロンホモ
ポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形
で用いることができる。
【0011】本発明において、とくに有用なナイロン樹
脂は、200℃以上の融点を有する耐熱性や強度に優れ
たナイロン樹脂であり、具体的な例としてはポリカプロ
アミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド
(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナ
イロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロ
ン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン
612)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(ナイ
ロン9T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキ
サメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66
/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ
カプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘ
キサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタ
ルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリドデ
カミド/ポリヘキサメチレンテレフタラミドコポリマー
(ナイロン12/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミ
ド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサ
メチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/
6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/
ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイ
ロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミ
ド/ポリ(2−メチルペンタメチレンテレフタルアミ
ド)コポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリキシレ
ンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物
ないし共重合体などが挙げられる。
【0012】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン46、ナ
イロン9T、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6
/12コポリマー、ナイロン6T/6コポリマー、ナイ
ロン66/6Tコポリマー、ナイロン6T/6Iコポリ
マー、ナイロン66/6T/6I、ナイロン12/6
T、ナイロン6T/M5Tコポリマーなどの例を挙げる
ことができ、更にこれらのポリアミド樹脂を成形性、耐
熱性、低吸水性などの必要特性に応じて混合物として用
いることも実用上好適である。
【0013】これらポリアミド樹脂(A)の重合度には
とくに制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定
した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜
4.0の範囲のものが好ましい。
【0014】本発明に用いるポリアミド樹脂(A)のア
ミノ末端基濃度は、特に限定しないが、30×10-6
量/g以上が好ましく、35×10-6当量/g以上がよ
り好ましくは、45×10-6当量/g以上が特に好まし
い。また、上限については特に規定しないがポリアミド
樹脂の熱安定性から1000×10-6当量/g以下が好
ましい。
【0015】本発明のポリアミド樹脂(A)のアミノ末
端基濃度の測定方法は特に限定されないが、例えば、試
料20mgをNMR試料管にはかりとり、溶媒(ヘキサ
フロロイソプロパノール-d2)を0.6ml加え溶解
し、観測周波数599.9MHzのNMR装置を用いて
測定を行う。
【0016】本発明の液晶性樹脂(B)は、異方性溶融
相を形成し得る樹脂であり、例えば芳香族オキシカルボ
ニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単
位、エチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位か
らなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステ
ル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル
単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位な
どから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を
形成する液晶性ポリエステルアミドなどで、かつカルボ
キシル末端基濃度が75×10-6当量/g以上のもので
ある。
【0017】芳香族オキシカルボニル単位としては、例
えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族ジオキシ
単位としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェ
ニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメ
チル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチル
ハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
および4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなど
から生成した構造単位、芳香族ジカルボニル単位として
は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボ
ン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−
ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)
エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸などから生成した構造単位、
芳香族イミノオキシ単位としては、例えば、4−アミノ
フェノールなどから生成した構造単位が挙げられる。
【0018】液晶性ポリエステルの具体例としては、p
−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒド
ロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族
ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸
から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p
−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’
−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレ
フタル酸およびアジピン酸から生成した構造単位からな
る液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生
成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造
単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構
造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安
息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから
生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル
から生成した構造単位、テレフタル酸および/またはセ
バシン酸から生成した構造単位から生成した構造単位か
らなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸か
ら生成した構造単位、エチレングリコールから生成した
構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造
単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸の一種以上か
ら生成した液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香
酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成
した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位から
からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0019】異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステ
ルの好ましい例としては、下記(I)、(II)、(III)
および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、
または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からな
る液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0020】
【化1】
【0021】(ただし式中のR1
【0022】
【化2】
【0023】から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0024】
【化3】
【0025】から選ばれた1種以上の基を示す。ただし
式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
【0026】上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香
酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−
テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハ
イドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハ
イドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒド
ロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよ
び4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ば
れた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位
を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した
構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタ
ン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロ
ルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および
4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれ
た芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示
す。
【0027】これらのうちR1としては
【0028】
【化4】
【0029】が好ましい。また、R2としては
【0030】
【化5】
【0031】であるものが特に好ましい。
【0032】本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエ
ステルは、上記構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重
合体および/または上記構造単位(I)、(II)、(III)、(I
V)からなる共重合体であり、上記構造単位(I)、(II)、
(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本
発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であるこ
とが好ましい。
【0033】すなわち、上記構造単位(I)、(III)、(IV)
からなる共重合体の場合は上記構造単位(I)が(I)、(II
I)、(IV)の合計に対して30〜80モル%が好ましく、
45〜75モル%がより好ましい。
【0034】また、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(I
V)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および
(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対
して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%が
より好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(I
I)および(III)の合計に対して70〜10モル%が好ま
しく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単
位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/
25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜9
3/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)およ
び(III)の合計と実質的に等モルであることが好まし
い。
【0035】ここで実質的に等モルとは、末端を除くポ
リマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端
を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らな
いことを意味する。これは、ポリエステルのカルボキシ
末端基を特定範囲にする場合、ジカルボン酸由来の単位
がポリマー末端である割合とジヒドロキシ化合物由来の
単位がポリマー末端である割合が完全に等しくはならな
いためである。
【0036】また液晶性ポリエステルアミドとしては、
上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールか
ら生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性
溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0037】上記好ましく用いることができる液晶性ポ
リエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単
位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニ
ルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸な
どの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン
酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビ
フェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジ
ヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安
息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液
晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめるこ
とができる。
【0038】本発明において使用する上記液晶性樹脂の
基本的な製造方法は、特に制限がなく、基本的には公知
のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0039】例えば、上記液晶ポリエステルの製造にお
いて、次の製造方法が好ましく挙げられる。 (1)p−ヒドロキシ安息香酸を除く成分のみから得ら
れたポリエステルとp−アセトキシ安息香酸とを乾燥窒
素気流下で加熱溶融し、アシドリシス反応によって共重
合ポリエステルフラグメントを生成させ、次いで減圧し
増粘させて液晶ポリエステルを製造する方法 (2)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセ
トキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族
ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶ポ
リエステルを製造する方法。 (3)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒド
ロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒド
ロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無
水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化し
た後、脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステルを製
造する方法。 (4)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよ
び4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン
などの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香
族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール
重縮合反応により液晶ポリエステルを製造する方法。 (5)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを
反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重
縮合反応により液晶ポリエステルを製造する方法。 (6)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル
のポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエ
チル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス
(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(2)ま
たは(3)の方法により液晶ポリエステルを製造する方
法。
【0040】液晶性樹脂の重縮合反応は無触媒でも進行
するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カ
リウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属
マグネシウムなどの金属化合物を使用することもでき
る。
【0041】本発明で用いる液晶性樹脂(B)は、カル
ボキシル末端基濃度が75×10-6当量/g以上となる
ことが必須であり、好ましくは100×10-6当量/g
以上、より好ましくは120×10-6当量/g以上であ
る。カルボキシル末端基濃度が低すぎると、ポリアミド
との相溶性が悪く改良剤としての効果が発揮されない。
また、上限については特に規定しないが液晶性樹脂の熱
安定性から1000×10-6当量/g以下が好ましい。
【0042】本発明で用いる液晶性樹脂(B)のカルボ
キシル基末端基量を75×10-6当量/g以上にコント
ロールするために好ましい方法としては(1)〜(6)
の方法で酸成分を0.01〜1モル%の範囲で過剰に添加す
るかあるいは(1)〜(6)の方法で目的の重合度より
高めの重合度としておき、得られた重合体に水あるいは
グリコール成分を0.01〜5重量部添加し、ニーダ
ー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180〜38
0℃の温度で溶融ペレット化する方法が挙げられる。
【0043】本発明の液晶性樹脂(B)のカルボキシル
末端基濃度の測定方法は特に限定されないが、例えば、
試料をジオキサンなどの溶媒に溶解し、クレゾールレッ
ドを指示薬として水酸化カリウム溶液で滴定するかある
いはペンタフルオロイソプロパノール、ペンタフロロフ
ェノール/クロロホルム=35/65(重量比)などの
溶媒に溶解し、NMRで測定を行うが、後者の方が好ま
しい。
【0044】本発明の液晶性樹脂(B)は、数平均分子
量は特に限定されないが、15000以下が好ましく、
400〜10000がより好ましく、特に500〜50
00がさらに好ましい。分子量は、液晶性樹脂が可溶な
溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ
−光散乱)法により測定することが可能である。
【0045】本発明で用いる液晶性樹脂(B)は、ペン
タフルオロフェノール中で対数粘度を測定することが可
能なものもあり、その際には0.1g/dlの濃度で6
0℃で測定した値で0.03dl/g以上が好ましく、
0.05〜10.0dl/gが特に好ましい。
【0046】本発明で用いる液晶性樹脂(B)の融点
は、特に限定されないが、ポリアミド樹脂(A)の靭性
を損ねないために混合するポリアミド樹脂の融点以下が
好ましく、ポリアミド樹脂の融点−10℃以下がより好
ましい。ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定におい
て、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温
条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1
)の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した
後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、
再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸
熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0047】本発明の液晶性樹脂(B)のポリアミド樹
脂(A)への配合量は、ポリアミド樹脂の本来有する特
性を損なわず、かつ新規に耐薬品性、高湿度の環境に置
かれた際の剛性および寸法安定性、得られた成形物の良
表面外観などの特性を付与する点からポリアミド樹脂
(A)100重量部に対して0.01〜10重量部、好
ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1
〜5重量部である。
【0048】本発明のポリアミド樹脂(A)と液晶性樹
脂(B)の配合方法は特に限定されないが、通常溶融混
練することが好ましく、溶融混練には公知の方法を用い
ることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴム
ロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用
い、180〜380℃の温度で溶融混練して組成物とす
ることができる。
【0049】本発明においてポリアミド樹脂組成物の機
械強度その他の特性を付与するために充填剤を使用する
ことが可能であり、特に限定されるものではないが、繊
維状、板状、粉末状、粒状などの充填剤を使用すること
ができる。具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系や
ピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊
維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維な
どの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト
繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸
化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン
酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、
ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー
などの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、
カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガ
ラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫
化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜
鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどの粉状、
粒状あるいは板状の充填剤が挙げられる。上記充填剤
中、ガラス繊維が好ましく使用される。ガラス繊維の種
類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定は
なく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップド
ストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いる
ことができる。また、上記の充填剤は2種以上を併用し
て使用することもできる。なお、本発明に使用する上記
の充填剤はその表面を公知のカップリング剤(例えば、
シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤
など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもで
きる。
【0050】また、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル
共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬
化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0051】上記の充填剤の添加量は、ポリアミド樹脂
(A)に液晶性樹脂(B)を添加したポリアミド樹脂組
成物(すなわち(A)と(B)の合計)100重量部に
対し0.5〜300重量部が好ましく、より好ましくは
10〜250重量部、特に好ましくは20〜150重量
部である。
【0052】さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物に
は、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフ
ェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれら
の置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノー
ル、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノ
ンなど)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止
剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその塩、その
エステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコー
ル、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、
染料(たとえばニグロシンなど)および顔料(たとえば
硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、
導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核
剤、可塑剤、難燃剤(例えばブロム化ポリスチレン、臭
素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネー
ト、赤燐、水酸化マグネシウム、メラミンおよびシアヌ
ール酸またはその塩など)、難燃助剤(アンチモン化合
物、フッ素樹脂、シリコーン樹脂など)、帯電防止剤な
どの通常の添加剤を添加して、所定の特性をさらに付与
することができる。
【0053】また、更なる特性改良の必要性に応じてポ
リプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレ
フィン系重合体および無水マレイン酸などによる酸変性
オレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、
エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン
/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル
共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共
重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン
酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリ
エステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリ
エステルエラストマー等のエラストマーから選ばれる1
種または2種以上の混合物を添加して所定の特性をさら
に付与することができる。
【0054】これらを添加する方法は溶融混練すること
が好ましく、溶融混練には公知の方法を用いることがで
きる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、
ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、180
〜380℃の温度で溶融混練して組成物とすることがで
きる。その際、ポリアミド樹脂(A)と液晶性樹脂
(B)、充填材との一括混練法でも一度ポリアミド樹脂
(A)と液晶性樹脂(B)とを混練した後に充填材およ
びその他の添加剤を混練する方法のどちらでもかまわな
い。
【0055】かくして得られるポリアミド樹脂組成物は
多くの場合、40℃、10日間水中浸漬により吸水さ
せ、ASTM法D790(厚み1/8インチ)にて測定した曲
げ弾性率が液晶性樹脂(B)を含まない以外は同じポリ
アミド樹脂(組成物)を用いて同様に測定した曲げ弾性
率に比較して10%以上向上することができる。
【0056】また、成形品を成形するにあたっての成形
方法は通常の成形方法(射出成形、押出成形、ブロー成
形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)に
より、三次元成形品、シート、容器パイプなどに加工す
ることができ、特に射出成形あるいはインジェクション
プレスにより厚みが1.5mm以下の部分を有する成形
品、より好ましくは1.2mm以下の部分を有する成形
品に、さらに好ましくは1.0mm以下の部分を有する
成形品に有効である。また、フィルムとしてはTダイ
法、リングダイ法などの既存の方法により製膜でき、未
延伸、未配向フィルムでもよいが、公知の一軸あるいは
二軸延伸、熱処理した配向フィルムである方が高弾性
率、強靱性、耐熱性等の点で好ましい。これらフィルム
は単膜でもよいが、これに他のポリマー層、例えばポリ
エステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニ
リデン、アクリル系ポリマーなどを積層してもよい。さ
らに繊維を紡糸するにあたっての製糸方法は通常公知の
方法すなわち紡糸−延伸の2工程法やそれを連続して行
なうスピンドロー法や、高速紡糸して延伸工程を省略す
るドロースピン法などいずれの方法を用いてもよく、紡
糸、延伸工程での配向度の配分方法や弛緩処理の有無、
温度の工程なども特に限定を必要としない。またいうま
でもなく、トータル繊度、フィラメント数、断面形状も
限定されるものではない。
【0057】本発明のポリアミド樹脂組成物はポリアミ
ド樹脂(A)の本来有する特性を損なわず、かつ新規に
耐薬品性、高湿度の環境に置かれた際の剛性および寸法
安定性、得られた成形物の良表面外観などの特性を生か
し、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDラン
プ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、ス
イッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケー
ス、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プ
ラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイ
クロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッド
ベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶
ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャー
シ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボ
ラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される
電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、
ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響
部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディ
スクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エア
コン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部
品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィス
コンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミ
リ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス
軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター
部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械
関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表さ
れる光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターター
ミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレータ
ー、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気
系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノー
ケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン
冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャ
ブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサ
ー、油温センサー、イグニッションコイル用部品、スロ
ットルポジションセンサー、クランクシャフトポジショ
ンセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨
耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温
風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用
ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タ
ービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリ
ビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、ト
ランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッ
シャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係
電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンター
ミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、
ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジン
グ、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオ
イルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関
連部品、その他各種用途に有用であり、特に吸水時の剛
性が必要とされるコネクターなどに有用であり、フィル
ムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用
フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィル
ム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィル
ムに有用であり、繊維として用いる場合にはタイヤコー
ド、コンベアーベルト、ホース等のゴム補強材、ロー
プ、ケーブル、スピーカーコーン、テンションメンバ
ー、安全着、防弾チョッキ、宇宙服、海底作業服等幅広
い分野に有用である。
【0058】
【実施例】参考例1 以下のポリアミドを重合し、実施例に用いた。なお、ポ
リアミドのアミノ末端基濃度の測定は、試料20mgを
NMR試料管にはかりとり、溶媒(ヘキサフロロイソプ
ロパノール-d2)を0.6ml加え溶解し、観測周波数
599.9MHzのNMR装置を用いて行った。
【0059】A−1:ε−カプロラクタムを常法により
重合して、ナイロン6のペレットを得た。このポリアミ
ドの相対粘度を測定したところ2.70、アミノ末端基
濃度6.0×10-6当量/gであった。
【0060】A−2:ヘキサメチレンジアミン−アジピ
ン酸の等モル塩を常法により重合して、ナイロン66の
ペレットを得た。このポリアミドの相対粘度を測定した
ところ2.75、アミノ末端基濃度5.5×10-6当量
/gであった。
【0061】A−3:ヘキサメチレンテレフタルアミド
単位60モル%、ドデカアミド単位40モル%となるよ
うに調整したヘキサメチレンジアンモニウムテレフタレ
ート(6T塩)およびアミノドデカン酸の混合水溶液
(固形原料濃度60重量%)を加圧重合缶に仕込み、攪
拌下に昇温し、水蒸気圧19kg/cm2 で1.5時間反応
させた後約2時間かけて徐々に放圧し、更に常圧窒素気
流下で約30分反応し、相対粘度2.45、アミノ末端
基濃度7.5×10-6当量/gのポリアミド樹脂を得
た。
【0062】参考例2(B−1) アセトキシ安息香酸1135重量部、固有粘度が約0.
6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト519重量
部、テレフタル酸3重量部を撹拌翼、留出管を備えた反
応容器に仕込み、250〜300℃で2.0時間反応さ
せた後、280℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、
さらに1時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキ
シカルボニル単位70モル当量、エチレンジオキシ単位
30モル当量、芳香族ジカルボン酸単位30.2モル当
量からなる融点220℃、カルボキシル末端基濃度12
0×10-6当量/g、対数粘度0.70dl/g(ペン
タフロロフェノールを溶媒として測定した)、数平均分
子量が約4500の液晶性樹脂が得られた。
【0063】参考例3(B−2) アセトキシ安息香酸973重量部、テレフタル酸3重量
部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフ
タレ−ト692重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容
器に仕込み、250〜300℃で2.0時間反応させた
後、280℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さら
に1時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカ
ルボニル単位60モル当量、エチレンジオキシ単位40
モル当量、芳香族ジカルボン酸単位40.2モル当量か
らなる融点206℃、カルボキシル末端基濃度165×
10-6当量/g、対数粘度0.52dl/g(ペンタフ
ロロフェノールを溶媒として測定した)、数平均分子量
が約3500の液晶性樹脂が得られた。
【0064】参考例4(B−5) p−ヒドロキシ安息香酸901重量部、4,4´−ジヒ
ドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸115
重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテ
レフタレ−ト346重量部及び無水酢酸884重量部を
撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、100〜2
50℃で5時間、250〜300℃で1.5時間反応さ
せた後、280℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、
さらに1時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキ
シカルボニル単位72.5モル当量、芳香族ジオキシ単
位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位20モル当
量、芳香族ジカルボン酸単位27.7モル当量からなる
融点256℃、カルボキシル末端基濃度120×10-6
等量/g、対数粘度0.70dl/g(ペンタフロロフ
ェノールを溶媒として測定した)、数平均分子量が約4
500の液晶性樹脂が得られた。
【0065】参考例5 (B−3) p−ヒドロキシ安息香酸1297重量部、固有粘度が約
0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト346重
量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、25
0〜300℃で2.0時間反応させた後、280℃、
1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに0.5時間反
応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単
位80モル当量、エチレンジオキシ単位20モル当量、
芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点28
3℃、カルボキシル末端基濃度50×10-6当量/g以
下、対数粘度1.2dl/g(ペンタフロロフェノール
を溶媒として測定した)、数平均分子量が約12000
の液晶性樹脂が得られた。
【0066】参考例6 (B−4) アセトキシ安息香酸1135重量部、固有粘度が約0.
6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト519重量部
を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、250〜
300℃で2.0時間反応させた後、280℃、1.5
時間で0.5mmHgに減圧し、さらに1時間反応させ重縮
合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位70モル
当量、エチレンジオキシ単位30モル当量からなる融点
220℃、カルボキシル末端基濃度58×10-6当量/
g、対数粘度1.0dl/g(ペンタフロロフェノール
を溶媒として測定した)、数平均分子量が約8800の
液晶性樹脂が得られた。
【0067】なお、液晶性樹脂のカルボキシル末端基濃
度はペンタフロロフェノール/クロロホルム=35/6
5(重量比)に溶解し、NMRで測定し、数平均分子量
は、ペンタフロロフェノール/クロロホルム=35/6
5(重量比)を溶媒として使用してGPC−LS(ゲル
浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定した。
【0068】実施例1〜6、比較例1〜7 参考例で得たポリアミド樹脂(A-1〜A-3)および液晶性ポ
リエステル樹脂(B-1〜B-5)および充填材として9μm
径、3mm長のガラス繊維を表1に示すようにそれぞれ所
定量秤量し、ドライブレンドした。30mmφの単軸押出
機でシリンダー温度はポリアミド樹脂の融点+30℃に
設定し、スクリュー回転を30〜100r.p.mの条件で
溶融混練してペレットとした。真空乾燥後、このペレッ
トをIS55EPN(東芝機械(株)製)に供し、シリ
ンダ−温度をポリアミド樹脂の融点+30℃、金型温度
80℃に設定し、以下に示す測定用テストピースを射出
成形して得た。測定方法を以下に示す。 (1)吸水時剛性 127×12.7×3.2mmの曲げ試験片(1/8インチ
厚)を孵卵器で40℃×10日間水中浸漬し、ASTM
D790に従って曲げ弾性率を測定した。 (2)引張伸度 ASTM1号引張試験片を成形し、絶乾時の試験片をA
STM D638に従って測定し、引張伸度を求めた。 (3)寸法安定性 成形下限圧(金型最低充填圧)+3kgf/cm2 でフィル
ムゲート角板(70×70×2mm)成形し、孵卵器で4
0℃×10日間水中浸漬し、絶乾時に対する流れ方向の
寸法変化率を評価した。 (4)耐薬品性 (1)の吸水時剛性試験で使用した成形品(127×1
2.7×3.2mmの曲げ試験片を孵卵器で40℃×10
日間水中浸漬)表面に50%濃度塩化カルシウム水溶液
をスポイトで10点添加し、各温度(80、100、1
30℃)で30分処理した時のクラック発生を観察し
た。評価は、×:クラック発生、○:クラック発生無し
とした。
【0069】
【表1】
【0070】実施例7 実施例1のポリアミド樹脂組成物を255℃でプレス成
形し、100μmの未延伸フィルムをT.M.Long社製のフ
ィルムストレッチャーを用いて90℃で縦横とも3倍に
同時2軸延伸し、孵卵器で40℃×10日間水中浸漬し
た。得られたサンプルをテンシロン型引張試験機(オリ
エンテック社製)に幅10mm、チャック間長さ100mm
になるようにサンプルをセットし、引張速度200mm/m
inで破断強度を求めた結果、1MPaであった。 比較例8 実施例7と同様の条件で比較例1のポリアミド樹脂組成
物の破断強度を測定した結果、0.5MPaであった。 比較例9 比較例4のポリアミド樹脂組成物を255℃でプレス成
形し、100μmの未延伸フィルムをT.M.Long社製のフ
ィルムストレッチャーを用いて90℃で縦横とも3倍に
同時2軸延伸途中にフィルム破れが発生し、良好なフィ
ルムが得られなかった。 実施例8 実施例1のポリアミド樹脂組成物を40mmφ単軸押出機で
0.4mmφ、6ホールの口金を用いて紡糸温度255℃、
引き取り速度70m/minで溶融紡糸を行い、孵卵器で
40℃×10日間水中浸漬した。得られたサンプルをテ
ンシロン型引張試験機(オリエンテック社製)にチャッ
ク間長さ100mmになるようにサンプルをセットし、引
張速度200mm/minで引張強度を求めた結果、3g/dであ
った。 比較例10 実施例8と同様の条件で比較例1のポリアミド樹脂組成
物の引張強度を測定した結果、2.2d/gであった。 比較例11 比較例4のポリアミド樹脂組成物を40mmφ単軸押出機で
0.4mmφ、6ホールの口金を用いて紡糸温度255℃、
引き取り速度70m/minで溶融紡糸を行った結果、糸
切れが発生した。
【0071】表1および実施例7、8、比較例8〜11
の結果から本発明のポリアミド樹脂組成物は、機械特
性、表面外観、耐湿性、耐薬品性に優れ、とりわけ高湿
度の環境に置かれた際の剛性および寸法安定性の優れた
成形物(成形品、フィルム、繊維)を得ることができ
る。
【0072】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂組成物はポリア
ミド樹脂で課題であった吸水時の剛性、耐薬品性および
寸法安定性が改良されたた成形物(成形品、フィルム、
繊維)を得ることができ、なかでも成形品では電気・電
子関連機器部品、精密機械関連機器部品、事務用機器部
品、自動車・車両関連部品など、その他各種用途に好適
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 77/00 101:12)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアミド樹脂100重量部に対し
    て(B)カルボキシル末端基濃度75×10-6当量/g
    以上の液晶性樹脂0.01〜10重量部を添加してなる
    ポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)および(B)の合計100重量部に
    対し、充填材を0.5〜300重量部を添加してなる請
    求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリアミド樹脂組成物が、40℃、10日
    間水中浸漬処理後にASTM法D790(厚み1/8インチ)
    にて測定した曲げ弾性率が、液晶性樹脂(B)を含まな
    い以外は同じポリアミド樹脂(組成物)を用いて同様に
    測定した曲げ弾性率に比較して10%以上向上すること
    を特徴とする請求項1または2記載の液晶性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】液晶性樹脂(B)がエチレンジオキシ単位
    を含有する請求項1〜3のいずれか記載のポリアミド樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4いずれか記載のポリアミド樹
    脂組成物で構成してなる成形品。
  6. 【請求項6】請求項1〜4いずれか記載のポリアミド樹
    脂組成物で構成してなるフィルム。
  7. 【請求項7】請求項1〜4いずれか記載のポリアミド樹
    脂組成物で構成してなる繊維。
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