JPH11279624A - 高窒素ステンレス鋼の溶製方法 - Google Patents
高窒素ステンレス鋼の溶製方法Info
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Abstract
も、高窒素濃度で、且つ低酸素濃度の溶鋼を従来より安
定して製造できる高窒素ステンレス溶鋼の溶製方法を提
供することを目的としている。 【解決手段】VOD減圧精錬装置内の精錬容器に収容し
たステンレス溶鋼に、減圧下で脱炭した後、Si又はS
i含有合金を添加して脱酸するに際して、まず、前記減
圧精錬装置内を、真空度が30〜100torrになる
よう減圧すると共に、前記保持容器の上方及び底部から
該溶鋼へ、窒素ガス又は窒素ガスと他の不活性ガスとの
混合ガスを吹き込み、溶鋼の加窒及び脱酸を同時に行
う。
Description
溶鋼の溶製方法に係わり、より詳しくは、溶鋼の減圧精
錬処理(例えば、VOD法による)において、溶鋼の窒
素濃度を低下させることなく、脱酸するというステンレ
ス溶鋼の加窒及び脱酸を同時に行う技術である。
耐食性や強度等の向上、あるいは高価なNi源の低減の
目的で、鋼中に積極的に窒素を含有させた鋼種が開発さ
れている。ところで、ステンレス鋼を溶製する精錬段階
では、高価なCrの酸化損失を極力低減しつつ鋼中の炭
素濃度を低減すること、及び非金属介在物を形成する鋼
中の酸素濃度を低減することを目的として、減圧精錬を
行うのが一般的である。
の塩基度(CaO/SiO2 )を高くすると、スラグ−
メタル反応によるSi−O平衡で決まる鋼中酸素濃度
が、真空下(30〜100torr)でのC−O反応で
決まる酸素濃度よりも低くなるので、溶鋼中の酸素濃度
をより低下させることができる。しかしながら、スラグ
の塩基度が高くなると、スラグの滓化が悪化するため
に、CaF2 あるいはAl 2 O3 を添加しなければなら
ず、取鍋耐火物の溶損量が増大したり、スラグ中のAl
2 O3 がSiで還元され、溶鋼中にAl2 O3 介在物が
生成し、Siキルド鋼であるにもかかわらず、後工程の
連続鋳造時にAl2 O3 介在物によるノズル詰まりや製
品の欠陥を多発させる。そのため、高塩基度スラグを形
成させるような脱酸処理は、難かしいものであった。
は、ステンレス鋼の脱炭及び脱窒に関しては優れたもの
である。従って、それを前述したような高窒素ステンレ
ス鋼の溶製に採用すると、窒素濃度が低下し過ぎてしま
い、脱酸処理後に、窒素含有合金を添加して加窒を実施
する必要があった。そのため、全体の精錬時間が延長し
てしまうという問題がある。また、この窒素濃度の低下
を抑えるには、図3に示すVOD真空装置1内の真空度
を下げ、窒素分圧を高くすることが考えられるが、真空
度を低下するとCO分圧も上昇するので、Fe−Si合
金の添加後に期待するCO反応による脱酸反応が停滞
し、VOD処理後の溶鋼中の酸素濃度が増加してしまう
という問題もあった。つまり、酸素濃度の低い高窒素ス
テンレス鋼を安定して溶製する適切な方法が存在しない
のが現状である。
状況に鑑み、VOD法のような減圧精錬装置を用いて
も、高窒素濃度で、且つ低酸素濃度の溶鋼を従来より安
定して製造できる高窒素ステンレス溶鋼の溶製方法を提
供することを目的としている。
成するため、VOD装置を用いた真空下での加窒及び脱
酸について鋭意研究を重ね、その成果を本発明として完
成させた。すなわち、本発明は、減圧精錬装置内の精錬
容器に収容したステンレス溶鋼を、減圧下で脱炭した
後、Si又はSi含有合金を添加して脱酸するステンレ
ス鋼の溶製方法において、Si又はSi含有合金を添加
後に、前記減圧精錬装置内を、真空度が30〜100t
orrになるよう減圧すると共に、前記保持容器の上方
及び底部から該溶鋼へ不活性ガスを供給し、該上方又は
該底部の少なくとも一方から供給される不活性ガスは、
窒素ガス又は窒素ガスと窒素以外の不活性ガスとの混合
ガスとして供給し、溶鋼の加窒及び脱酸を同時に行うこ
とを特徴とする高窒素ステンレス鋼の溶製方法である。
スをアルゴン・ガスとすることを特徴とする高窒素ステ
ンレス鋼の溶製方法でもある。本発明によれば、溶鋼中
へ窒素ガス又は窒素と他の不活性ガスの混合ガスを吹き
込むことで窒素濃度をあるレベルに維持したまま、脱酸
できるようになるので、高窒素で且つ低酸素のステンレ
ス溶鋼が製造できるようになる。
発明の実施の形態を説明する。本発明が対象とする高窒
素ステンレス鋼は、窒素を400ppm以上含有するス
テンレス鋼であり、フェライト系、オーステナイト系の
いずれでも良い。転炉等の精錬炉で所定炭素濃度にて出
鋼された含クロム溶鋼2を、精錬容器としての取鍋3に
移し、これを図3に示したVOD真空処理装置1に設置
する。そして、減圧下にて、さらに目標炭素濃度まで脱
炭した後、加窒及び脱酸が行われる。この脱炭処理は、
多くの場合、上吹きランスから酸素又は酸素含有ガスを
吹き付けて行われるが、脱炭量が少なくて良い場合に
は、不活性ガスのみの吹き付けか、あるいは上吹ガスの
吹き付けを行うことなく、専ら減圧による所謂「C−O
脱炭」によって行われることもある。
Fe−Si添加して脱酸する際に、窒素ガスを吹き込む
場合、吹き込まない場合(従来法)、あるいは単に高真
空下に保持する場合について、溶鋼中の窒素及び酸素の
濃度を調査した。まず、図1に、減圧精錬処理終了後の
溶鋼中の窒素濃度と酸素濃度を、上記各場合につき比較
して示す。図1より明らかなように、窒素ガスを上吹き
した場合及び低真空下に維持して窒素ガスの上吹きがな
い場合では、30〜40torrの低真空度下で前記還
元処理を行うため、該処理後の溶鋼中窒素濃度は高く、
目標窒素濃度範囲内を維持することができた。一方、窒
素ガスを吹き込まない従来法では、還元処理を2〜3t
orrの高真空度下で行い、溶鋼の平衡の窒素濃度が低
いので、目標窒素濃度よりもかなり低下してしまう。
e−Si合金添加後の酸素濃度を、前記同様に3つの場
合で比較して示す。図2によれば、窒素ガスを上吹きし
た場合と上吹しなかった従来法の場合は、同じような脱
酸挙動を示しており、前記還元処理終了後の酸素濃度
は、目標の50ppm以下を達成していた。一方、低真
空度下で上吹きガス吹き付けが無い場合では、脱酸速度
が低下し、還元処理後の酸素濃度が他の2つの場合に比
較して高く、目標の50ppmよりも高くなっていた。
き、低真空度下(30〜100torr)で、窒素ガス
や不活性ガスを吹込むことにより、鋼中の窒素濃度を高
位に維持したまま、鋼中の酸素濃度を所定の目標濃度ま
で低下させることができると考え、その具体的な実施方
法を本発明としたのである。その実現にあたっては、ま
ず、前述のVODのような減圧精錬装置において、減圧
下での脱炭処理後に、SiまたはSi含有物質(好まし
くは、Fe−Si)を添加し、前記減圧精錬装置の溶鋼
容器の上方及び底部から溶鋼に不活性ガスを供給する。
この不活性ガスの供給は、溶鋼の脱酸促進と、溶鋼中へ
の窒素の添加の2つの役割を果たす。
加されたSiが溶鋼に速やかに溶解し、脱酸反応によっ
て生成した非金属介在物が浮上するのを促進すること、
またスラグをも撹拌して、スラグの脱酸をも促進し、処
理後の溶鋼にスラグから酸素が供給されて非金属酸化物
を生成するのを防止する。この溶鋼の撹拌には、容器底
部から溶鋼中に吹き込まれた不活性ガスが主に寄与す
る。撹拌を十分に行わせる観点から、底部からの吹込み
ガス流量は、2ノルマル・リットル/分/トン以上とす
るのが好ましい。また、Siによる脱酸のみでは、溶鋼
中の溶解酸素は、十分に低下し切らないので、減圧によ
るC−O脱酸も促進する必要がある。後述するように、
溶鋼中に窒素を添加する観点から、減圧装置内真空度
は、目標酸素レベルまで到達できる程度に高真空とする
ことができない。
上吹することで、溶鋼浴面上のCO分圧を低下させるこ
とで、高真空処理に匹敵する前記「C−O脱酸」を可能
とした。この「C−O脱酸」促進の観点から、上吹き不
活性ガス流量は、多いほど好ましいが、あまり多くなる
と、溶鋼のスプラッシュが激しくなって、操業を阻害す
る恐れがあるので、0.2Nm3 /分・トン以下にとど
めるのが好ましい。なお、この上吹き不活性ガスのガス
種は、CO分圧を低減できるものであれば、特にガス種
を問うものではない。最も安価で取り扱いが容易なガス
として窒素が好ましく使用できる。
観点から、不活性ガスを容器底部からと容器上方からの
両方から供給することが必須である。次に、溶鋼中への
窒素の添加の観点からは、上述した容器底部からと容器
上方からの不活性ガスのうち少なくとも一方に、窒素ガ
ス又は窒素以外の不活性ガスを使用することによって達
成する。窒素以外の不活性ガスとしては、価格面や取り
扱いの容易さからアルゴンが好適である。
底部から溶鋼中に供給するガスに窒素ガス又は窒素ガス
と窒素以外の不活性ガスを使用すると、ガスと溶鋼の反
応界面積が大きく、且つガスと溶鋼との接触時間を長く
することができるので、有利である。溶鋼中への窒素の
添加は、本発明が減圧精錬装置においてなされる以上、
減圧による気相中への脱窒と、吹き込まれた窒素ガスか
ら溶鋼中への加窒とが競合の上に成り立つ。所定の処理
時間内に十分な加窒を可能とするためには、減圧精錬装
置内の真空度30〜100torrとすることが必要で
ある。これより高真空(すなわち、より低い圧力)で
は、脱窒速度が勝って所定時間内に加窒することが困難
になるためである。一方、上記より低真空(すなわちよ
り高い圧力)では、上述したC−C脱酸が不利になり、
溶鋼中の酸素濃度の低減が困難となるからである。
いはパイプなどを介して溶鋼の浴面上に吹き付けるが、
ガスの底吹きには、溶鋼保持容器(例えば取鍋)の底部
にポーラス・プラグや、鋼製細管あるいはスリットを多
数設けたガス吹き込み用羽口が利用できる。また、本発
明では、上記窒素あるいは不活性ガスの吹込みを、溶鋼
の酸素濃度が50ppm以下まで継続するのが良い。そ
の理由は、例えば、本発明方法によって、溶鋼中の窒素
濃度が製品目標窒素濃度に満たなくても、窒素含有合金
の添加によって不足分の調整が可能であるのに対し、酸
素濃度が50ppmより高い場合には非金属介在物が多
くなり、製品の欠陥を引き起こす可能性が高くなるから
である。
0トンを取鍋3に出鋼し、その取鍋3をVOD真空装置
1内に装入し、真空度40torrの下で溶鋼2に酸素
を上吹きして、C:0.055重量%及びCr:18.
2重量%の含クロム溶鋼2とした。しかる後、Fe−S
i合金を950kgを添加し、装置1内の真空度を40
torrにすると共に、上吹き窒素ガスを30Nm3 /
分の流量でランス6の高さ1800mmで溶鋼面に吹き
付け、20分間還元処理を行った。また、その際、底吹
きガス5としては、アルゴン・ガス500Nリットル/
分、窒素ガス500Nリットル/分の混合ガスも同時に
使用した。
8.3重量%、Si:0.35重量%、O:45pp
m、N:520ppmのステンレス溶鋼を得ることがで
きた。 (実施例2)転炉で粗脱炭を行った溶鋼160tonを
取鍋3に出鋼し、その取鍋3をVOD真空装置に装入
し、真空度60torrの下で酸素吹錬を行い、C:
0.06重量%、Cr:18.1重量%の含クロム溶鋼
2を得た。しかる後、Fe−Si合金を1000kgを
添加し、装置1内の真空度を35torrにすると共
に、上吹きガスとして窒素ガス及びアルゴン・ガスをそ
れぞれ10Nm3 /分混合したものを、ランス6の高さ
1800mmで溶鋼2面に吹き付け、25分間還元処理
を行った。また、その際、底吹きガス5としては、実施
例1と同様に、アルゴン・ガスを500Nリットル/
分、窒素ガスを500Nリットル/分の混合ガスとし
た。
18.2重量%、Si:0.38重量%、O:47pp
m、N:500ppmのステンレス溶鋼を得ることがで
きた。
D真空装置を用いて、高窒素濃度で、且つ低酸素濃度の
溶鋼を従来より安定して製造できるようになった。
で還元処理した後の鋼中酸素濃度と窒素濃度との関係を
示す図である。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】 減圧精錬装置内の精錬容器に収容したス
テンレス溶鋼を、減圧下で脱炭した後、Si又はSi含
有合金を添加して脱酸するステンレス鋼の溶製方法にお
いて、 Si又はSi含有合金を添加後に、前記減圧精錬装置内
を、真空度が30〜100torrになるよう減圧する
と共に、前記保持容器の上方及び底部から該溶鋼へ不活
性ガスを供給し、該上方又は該底部の少なくとも一方か
ら供給される不活性ガスは、窒素ガス又は窒素ガスと窒
素以外の不活性ガスとの混合ガスとして供給し、溶鋼の
加窒及び脱酸を同時に行うことを特徴とする高窒素ステ
ンレス鋼の溶製方法。 - 【請求項2】 前記窒素以外の不活性ガスをアルゴン・
ガスとすることを特徴とする請求項1記載の高窒素ステ
ンレス鋼の溶製方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07972598A JP3843589B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 高窒素ステンレス鋼の溶製方法 |
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JPH11279624A true JPH11279624A (ja) | 1999-10-12 |
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Family
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JP07972598A Expired - Lifetime JP3843589B2 (ja) | 1998-03-26 | 1998-03-26 | 高窒素ステンレス鋼の溶製方法 |
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---|---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-03-26 JP JP07972598A patent/JP3843589B2/ja not_active Expired - Lifetime
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