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JPH1118778A - シアル酸転移酵素及びそれをコードするdna - Google Patents

シアル酸転移酵素及びそれをコードするdna

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Publication number
JPH1118778A
JPH1118778A JP9184184A JP18418497A JPH1118778A JP H1118778 A JPH1118778 A JP H1118778A JP 9184184 A JP9184184 A JP 9184184A JP 18418497 A JP18418497 A JP 18418497A JP H1118778 A JPH1118778 A JP H1118778A
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JP
Japan
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sialic acid
polypeptide
sequence
cells
amino acid
Prior art date
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Pending
Application number
JP9184184A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaki Saito
政樹 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP9184184A priority Critical patent/JPH1118778A/ja
Priority to EP98305422A priority patent/EP0890645A3/en
Publication of JPH1118778A publication Critical patent/JPH1118778A/ja
Priority to US09/425,488 priority patent/US6555371B1/en
Priority to US10/309,389 priority patent/US7256278B2/en
Priority to US11/771,606 priority patent/US20080227172A1/en
Priority to US12/841,909 priority patent/US8202705B2/en
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/1048Glycosyltransferases (2.4)
    • C12N9/1081Glycosyltransferases (2.4) transferring other glycosyl groups (2.4.99)

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクトシルセラミドのガラクトース残基にシ
アル酸を転移してガングリオシドGM3を合成する酵素
及びその酵素をコードするDNAを提供する。 【解決手段】 癌細胞を分化誘導剤で処理することによ
り分化させ、分化した癌細胞からcDNAライブラリー
を作成して宿主細胞に導入し、ガングリオシドを細胞膜
上に発現した宿主細胞を検出し、上記で検出された宿主
細胞をソーティングしてライブラリーを濃縮して、濃縮
したライブラリーから導入した遺伝子を切り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアル酸転移酵素
及びそれをコードするDNAに関する。より詳細にはラ
クトシルセラミドのガラクトース残基にシアル酸を転移
してガングリオシドGM3を合成する酵素及びその酵素
をコードするDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】ヒト骨髄性白血病細胞株HL−60は悪
性転換により無限増殖能を獲得した細胞株であり、白血
病細胞のモデルとして一般的に広く用いられている(Co
llins,S.J., Gallo, R.C., and Gallagher, R.E., Natu
re (London), 270, 347-349(1977); Collins, S.J., Bl
ood, 70, 1223(1987))。上記細胞株は、培養を続けた
際にも分化することはなく未分化な細胞のまま増殖を続
けるが、上記細胞株の培養培地に分化誘導剤として広く
用いられているホルボールエステルを添加して培養を続
けると、細胞増殖を停止し、単球或いはマクロファージ
と同様な形態を示すようになり、分化が誘導される。そ
の過程でガングリオシドの一種であるGM 3量が顕著に
増大すること(Nojiri, H., Takaku, F., Tetsuka, T.,
and Saito,M., Blood, 64, 534-541(1984))、及び上
記ガングリオシドGM3を外来性に添加した際もホルボ
ールエステルを添加した際と同様の変化、すなわち単球
系分化が細胞に起こることが報告されている(Saito,
M., Terui, Y., and Nojiri, H., Biochem. Biophys. R
es. Commun., 132, 223-231(1985))。また、この分化
の過程において、GM3そのものが分化誘導活性を有し
ていること(Nojiri, H., Takaku., F., Miura, Y., an
d Saito, M., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 83,782
-786(1986))、さらに化学合成GM3によっても分化が
誘導されることが証明されている(Sugimoto,M. and Og
awa,T., Glycoconj. J., 2, 5-9(1985); Saito, M., No
jiri, H., Ogino, H., Yuo, A., Ogura, H., Itoh, M.,
Tomita, K.,Ogawa, T., Nagai, Y., and Kitagawa,
S., FEBS Lett., 271, 85-88(1990))。
【0003】一方、シアル酸含有糖脂質、その中でも特
にガングリオシドが様々な生物現象において重要な機能
を担っていることが明らかとなり、その機能のみならず
生合成が解明されつつある。脊椎動物において、多くの
ガングリオシド(ガングリオ系ガングリオシド)は主要
ガングリオシドのうちで最も単純な構造を持つGM3
共通の前駆体としており、主要な機能を持つガングリオ
シドの生合成の根幹をGM3の合成がなしている。
【0004】上述のようにガングリオシドGM3はそれ
自体が細胞・組織の増殖・分化に関与するとともに脊椎
動物においては様々な機能を有するより高級なガングリ
オシド群の前駆体となっていることが示唆されている。
【0005】GM3は、CMP−シアル酸:ラクトシル
セラミドシアル酸転移酵素(CMP-NeuAc;Galβ1-4Glcβ1
-1'Cerα2,3-sialyltransferase:SAT-1)によってラク
トシルセラミド中のガラクトース残基にシアル酸が転移
することによってラクトシルセラミドから合成されると
考えられているが、当該酵素の単離、またその遺伝子も
特定されていない。
【0006】ガラクトシド構造にシアル酸をα2−3ケ
トシド結合を介して転移する酵素としては、Wienstein
et al.,J. Biol. Chem.,257, 13835(1982)、Gillespie
et al., Glycoconj.,7, 469(1990)、Gillespie,W., Kel
m,S. and Paulson,JC.,J. Biol. Chem., 267, p21001-2
1010(1992)、Lee,YC.,Kojima,N., Wada,E., Kurosawa,
N., Nakaoka,T., Hashimoto,T. and Tsuji,S., J. Bio
l. Chem., 269, p10028-10033(1994)、Kim,YJ., Kim,K
S., Kim,SH., Kim,CH.,Ko,JH.,Choe,IS.,Tsuji,S.and L
ee,YC.,Biochem. Biophys. Res. Commun., 228,p324-32
7(1996)、特開平5−336963号公報などが知られ
ているが、いずれの酵素もGM3の合成への関与は知ら
れておらず、ラクトシルセラミドにシアル酸をα2−3
ケトシド結合で転移する酵素活性を示してはいない。Sa
ndhoff,K.らは、α2−8シアル酸転移酵素(SAT
4)と、GM3を合成する酵素が同一であると推定して
いる(J. Biol. Chem., 268, 5341(1993))が、それは
間接的な方法に基づく推定であり、物質として同一であ
ることを裏付けているものではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ガングリオシドGM3
の重要性が明らかになるにつれてその生合成を解明、制
御する試みがなされてきたが、GM3の合成に深く関わ
る上記シアル酸転移酵素はその酵素タンパク質精製の困
難性のため未だ単離されておらず、遺伝子発現調節機構
はもとより、タンパク質化学的解析及び酵素学的解析で
さえ未だなされていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記シアル
酸転移酵素の遺伝子発現調節機構、タンパク質化学的解
析及び酵素学的解析を進めることにより、細胞分化の制
御を解明すべく鋭意検討を重ねた結果、発現クローニン
グ法により上記GM3合成に関与するシアル酸転移酵素
をコードする塩基配列を有するcDNAの単離に成功
し、当該cDNAの塩基配列をもとに上記シアル酸転移
酵素の構造を明らかにした。その結果、当該酵素が既知
のシアル酸転移酵素と比して相同性が低く、また前記Sa
ndhoff,K.らが同一と推定したα2−8シアル酸転移酵
素とも別の新規酵素であることが明らかとなった。
【0009】すなわち、本発明は以下の性質を有するシ
アル酸転移酵素及びそれをコードする塩基配列を有する
DNAを提供する。 作用:シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラ
クトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水
酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM
3を生成する。 至適反応pH:pH6.0〜7.0。 阻害及び活性化:10mMのMn2+により活性が1.
5倍以上に上昇する。
【0010】また、上記作用を有し、アミノ酸配列のC
末端に配列番号5のアミノ酸配列を有するシアル酸転移
酵素及びそれをコードするDNA、並びに、上記作用を
有し、配列番号6のアミノ酸配列を有するシアル酸転移
酵素及びそれをコードするDNAを提供する。
【0011】シアル酸供与体は、好ましくは、シチジン
−5−モノリン酸−シアル酸(CMP−シアル酸)であ
る。上記酵素及びDNAは哺乳類由来が好ましく、ヒト
由来が最も好ましい。
【0012】また、本発明は以下の(a)又は(b)の
ポリペプチドからなるシアル酸転移酵素及びそれをコー
ドするDNAも提供する。 (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチ
ド。 (b)アミノ酸配列(a)において1もしくは数個のア
ミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配
列からなり、かつシアル酸供与体からシアル酸受容体で
あるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の
3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシ
ドGM3を生成する酵素活性を有するポリペプチド。
【0013】本発明のDNAとして具体的には、配列番
号2のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はそ
の部分配列を有するDNAが挙げられ、例えば配列番号
1の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
【0014】さらに本発明は、上記DNAの塩基配列に
よってコードされるシアル酸転移酵素のポリペプチドの
全部又は部分からなるポリペプチドを提供する。本ポリ
ペプチドは膜貫通領域を欠失していてもよい。
【0015】なお、本明細書において「酵素をコードす
る」とは、当該酵素のポリペプチドをコードすることを
意味する。また、本明細書中では、以下、シアル酸供与
体からシアル酸受容体であるラクトシルセラミドに含ま
れるガラクトース残基の3位水酸基へ選択的にシアル酸
を転移してガングリオシドGM3を生成する活性を有す
る本発明のシアル酸転移酵素を便宜的にシアル酸転移酵
素−1又はSAT−1とも記載する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。 <1>本発明のシアル酸転移酵素−1をコードするDN
A(本発明DNA) 本発明DNAには、それが有する塩基配列によってコー
ドされるポリペプチドを含むシアル酸転移酵素が以下の
ような理化学的性質を有するものが包含される。 作用:シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラ
クトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水
酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM
3を生成する。すなわち、上記シアル酸受容体のガラク
トース残基の3位の水酸基以外には実質的にシアル酸を
転移しない。シアル酸供与体としてはCMP−シアル酸
が好適には挙げられる。 至適反応pH:本酵素は、実施例中に記載の酵素活性
測定方法において、酵素反応液のpH6.0〜7.0の
範囲、特にpH6.5付近で高いシアル酸転移活性を有
する。 阻害及び活性化:10mM Mn2+存在下で、非存在
下と比して1.5倍以上に活性が上がる。
【0017】また、本発明DNAには、それが有する塩
基配列によってコードされるポリペプチドを含むシアル
酸転移酵素が、上記の作用を有し、アミノ酸配列のC
末端に配列番号5のアミノ酸配列を有するもの、並び
に、上記の作用を有し、配列番号6のアミノ酸配列を
有するものも包含される。配列番号6のアミノ酸配列は
シアル酸転位酵素に存在するいわゆるシアリルモチーフ
に相当する配列であり、通常には、シアル酸転移酵素の
ポリペプチドのアミノ酸配列において、配列番号2のア
ミノ酸配列におけるアミノ酸番号136〜183の部分
に相当する部分に存在する。
【0018】本発明DNAには、以下の(a)又は
(b)のポリペプチドをコードしているものが包含さ
れ、これらのポリペプチドをコードしているのであれば
その塩基配列は特に限定されない。 (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチ
ド。 (b)アミノ酸配列(a)において1もしくは数個のア
ミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミノ酸配
列からなり、かつシアル酸供与体からシアル酸受容体で
あるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の
3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシ
ドGM3を生成する酵素活性を有するポリペプチド。
【0019】すなわち、配列番号2のアミノ酸配列は、
シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラクトシル
セラミドに含まれるガラクトース残基の3位水酸基へ選
択的にシアル酸を転移する活性を実質的に害さない1も
しくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位
を有していてもよく、そのようなアミノ酸配列の置換、
欠失、挿入又は転位を有するポリペプチドをコードす
る、塩基配列の置換、欠失、挿入及び転位を有するDN
Aのいずれもが本発明DNAに包含される。本明細書に
おける「アミノ酸の数個」とは当該酵素の活性が失われ
ない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数を示し、
例えば360アミノ酸残基からなるポリペプチドの場
合、20程度以下の数を示す。当該酵素の活性の測定法
は公知の方法(特開平7−327678号公報)におい
て宿主細胞に導入するcDNAと酵素の基質を変更する
ことによって容易に行うことが可能であり、例えば本明
細書中において具体的に示した方法により当業者であれ
ば容易に実施可能であるため、目的とする酵素活性の有
無を指標として、該活性を実質的に害さない1つ以上の
アミノ酸残基の置換、欠失、挿入又は転位を容易に選択
することができる。DNAの塩基配列の置換、欠失、挿
入又は転位は、両末端に制限酵素切断末端を持ち、変異
点の両側を含む配列を合成し、未変異DNAが有する塩
基配列の相当する部分と入れ換えることにより、DNA
に導入することができる。また、部位特異的変異法(Kr
amer,W. and Frits, H. J., Meth. in Enzymol., 154,
350(1987);Kunkel,T.A. et al., Meth. in Enzymol.,15
4,367(1987))などの方法によっても、DNAに置換、
欠失、挿入又は転位を導入することができる。
【0020】本発明DNAとして具体的には配列番号2
のアミノ酸配列の全てをコードする塩基配列又はその部
分塩基配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましいが
これに限定はされない。上記の「部分塩基配列を有する
DNA」とは、例えばシアル酸転移酵素−1のポリペプ
チドをコードするDNAとハイブリダイズしシアル酸転
移酵素−1のDNAを検出するためのプローブとして使
用することができる又はそれによってコードされるポリ
ペプチドがシアル酸転移酵素−1活性を有するあるいは
シアル酸転移酵素−1と同様の抗原性を有するDNAを
示す。上記ハイブリダイズは、一般にスクリーニング等
のDNA又はRNAとDNAをハイブリダイズさせる際
に用いられている方法によって行えばよく、例えば、D
NAのスクリーニングなどに使用される条件としては、
50%ホルムアミド、5×SSPE(塩化ナトリウム/
リン酸ナトリウム/EDTA緩衝液)、5×デンハルト
溶液(Denhaedt's solution)、0.5%SDSと50
μg/mlの変性させたサケ精子DNAを含む溶液中で
目的DNAをプレハイブリダイズし、32Pラベルした本
発明DNA(例えば配列番号1記載の塩基配列を有する
DNA)を添加し、42℃で16時間ハイブリダイズさ
せた後、55℃で1×SSPE、1%SDS、さらに
0.1×SSPE、0.1%SDSにより洗浄すること
が挙げられる。一般的なハイブリダイズは上述のような
条件下で行われることが多いが、当業者であれば同様の
ハイブリダイズを目的として各溶液の組成や詳細な条件
を変更することにより同様のハイブリダイズを行うこと
が可能であるため、同様な効果を得ることが可能な条件
であれば上述の条件に特に限定はされない。
【0021】本発明DNAが有する塩基配列としてより
具体的には、配列番号1に示す全塩基配列又はその部分
配列を有するDNAが挙げられ、かつ好ましい。このよ
うなDNAとして具体的には、配列番号1における塩基
番号202〜1278の塩基配列からなるDNAが挙げ
られる。
【0022】配列番号1に示す塩基配列においては、シ
アル酸転移酵素−1のcDNAのオープンリーディング
フレームの5’末端部に3つのイン・フレームのATG
コドンが含まれている。3つのATGコドンの周囲の塩
基配列は、全て−3の位置のプリンが保存されている。
このことは効率的な翻訳に関するKozakの知見(Ko
zak, M. (1986)Cell, 44,283-292)を満足しており、い
ずれのATGコドンも開始コドンとして機能する可能性
がある。
【0023】ところで、β−1,4−ガラクトシルトラ
ンスフェラーゼは、フレーム内に2つのATGコドンを
含むことが知られている(Nakazawa, K. et al. (1988)
J.Biochem, 104, 165-168、Shaper, N. et al. (1988)
J. Biol. Chem., 263, 10420-10428)。また、Shaper
らは、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ
は、2箇所からの翻訳開始の結果、長いものと短いもの
との両方の形態が合成されることを示している。さら
に、Lopezらは、長い形態のものは原形質膜を優先的に
標的とし、短い形態のものは主としてゴルジ体内に存在
することを示唆する証拠を示している(Lopez, L. et a
l. (1991) J. Biol. Chem., 266, 15984-15591)。同様
に、シアル酸転移酵素−1についても、複数のATGコ
ドンが開始コドンとして機能する可能性はあるが、定か
ではない。しかし、いずれのATGコドンが開始コドン
であっても、上記のシアル酸転移酵素−1のポリペプチ
ドをコードする点では同じであり、第2番目、第3番目
のATGコドンから始まる塩基配列を有するDNAも本
発明に包含されるものである。
【0024】配列番号1の最初のATGコドンで始まる
単一のオープンリーディングフレームからは、359ア
ミノ酸残基からなり、分子量41,244Da、N−結
合グリコシレーション部位である可能性がある2カ所の
部位を有するタンパク質が予測される。このアミノ酸配
列から作成したハイドロパシープロット(図1)から、
N末端から16〜29番目のアミノ酸残基に渡る長さ1
4残基の連続した1つの顕著な疎水性部分が認められ、
トランスメンブレンドメイン(膜貫通領域)を有するこ
とが予想される。
【0025】尚、遺伝暗号の縮重による異なった塩基配
列を有するDNAも本発明DNAに包含されることは、
当業者であれば容易に理解されるところである。また、
本発明DNAには、本発明DNAに相補的なDNA又は
RNAも包含される。さらに本発明DNAは、SAT−
1をコードするコード鎖のみの一本鎖であってもよく、
この一本鎖およびこれと相補的な配列を有するDNA鎖
又はRNA鎖からなる二本鎖であってもよい。
【0026】また、本発明DNAは、SAT−1のポリ
ペプチド全体をコードするコード領域全長の塩基配列を
有していてもよく、またSAT−1のポリペプチドの一
部分をコードする塩基配列を有するものであってもよ
い。
【0027】ところで、一般に哺乳動物のシアル酸転移
酵素では、アミノ酸配列に高い相同性を有することが知
られており、本発明DNAがコードするポリペプチド
も、種間におけるアミノ酸配列の相同性は約65%以上
と想定される。従って、本発明で具体的に開示している
DNAがコードするポリペプチドと高い相同性を有する
ポリペプチド及びそれをコードするDNAも本発明に包
含される。上述のようにSAT−1のポリペプチドは膜
貫通領域を有するが、膜内の末端にあたるN末端部から
当該膜貫通領域を含む領域を欠失したSAT−1のポリ
ペプチドの部分もまた本発明に包含される。このような
ポリペプチドを具体的に例示すると、例えば配列番号2
に示すアミノ酸配列におけるアミノ酸番号38〜359
などが挙げられる。
【0028】<2>本発明DNAの製造方法 以下、本発明DNAを得る方法について説明する。本発
明によりSAT−1のポリペプチドのアミノ酸配列が明
らかにされたので、その配列に基づいて作成したオリゴ
ヌクレオチドプライマーを用いるPCR法(ポリメラー
ゼ・チェイン・リアクション法)によって染色体DNA
あるいはmRNAから本発明DNAを増幅することによ
って取得することも可能であり、また、特に以下の各工
程からなる発現クローニング法により製造することも可
能である。 (1)癌細胞を分化誘導剤で処理することにより分化さ
せる。 (2)分化した癌細胞からcDNAライブラリーを作成
し、宿主細胞に導入する。 (3)ガングリオシドを細胞膜上に発現した宿主細胞を
検出する。 (4)上記で検出された宿主細胞をソーティングして、
ライブラリーを濃縮する。 (5)濃縮したライブラリーから導入した遺伝子を切り
出す。
【0029】スクリーニングによって、通常には上記S
AT−1の完全長cDNAを選択する。以下に、本発明
DNAを製造する方法の一例を具体的に説明する。 (1)癌細胞の分化誘導 癌細胞としては、浮遊系細胞が好ましく、そのような癌
細胞として血球系のリンパ種及び白血病の細胞が挙げら
れ好ましい。そのような細胞として、例えばヒト由来の
HL−60(ATCC CCL240)、MOLT−4
(ATCC CRL1582)、U937(ATCC
CRL1593)、マウス由来のM1(ATCC TI
B192)等の哺乳類由来の細胞が好ましく、新鮮骨髄
性白血病細胞なども用いることが可能である。そのよう
な癌細胞の中でもヒト由来の細胞が最も好ましく、特に
HL−60が分化誘導を行いやすいため好ましい。培養
したこの癌細胞株に分化誘導剤を添加して20時間以
上、好ましくは24〜48時間程度培養することによっ
て分化を誘導する。培養法としては使用する細胞によっ
て適した条件下で行えばよいが、通常、一般的な細胞培
養条件として5〜7vol%CO2、95〜93vol%空気条
件下で37〜38℃が挙げられる。分化誘導剤としては
例えばホルボールエステル(12-O-テトラデカノイルホ
ルボールエステル(TPA)など)、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、レチノイン酸(RA)及び1α,25-ジヒ
ドロキシビタミンD3(1α,25(OH2D3))等が挙げられ、
特に限定はされないが、その中でもTPAが多くの白血
病細胞株に対して比較的同様な分化誘導活性を有するた
め好ましい。例えば癌細胞としてHL−60、分化誘導
剤としてTPAを使用する場合は、24nM程度のTP
A存在下で48時間培養することにより、HL−60は
単球・マクロファージ様に分化し、形態の変化が観察さ
れる。
【0030】(2)分化した癌細胞からのcDNAの構
築 分化した癌細胞からのRNAの調製 上記(1)で分化を誘導した癌細胞を好ましくは500
〜2000×gで遠心処理により回収し、細胞から例え
ばグアニジンチオシアネート/CsCl法(Kingston,
R. E.,(1991) in Current Protocols in Molecular Bio
logy, Suppl. 14, Unit 4.2, Green Publishing Associ
ates and Wiley Interscience, New York)等の公知の
方法により全RNAを調製する。このようにして得られ
る全RNAから、オリゴdT(oligo-(dT))セルロース
カラムクロマトグラフィー等によってポリ(A)+RNAを
精製する。
【0031】ポリ(A)+RNAからのcDNAの構築 上記ポリ(A)+RNAを鋳型とし、オリゴヌクレオチドプ
ライマーを用いた逆転写PCRにより、癌細胞由来のc
DNAを増幅することができる。PCRは、通常の方法
と同様にして行えばよいが、具体的方法を示すならば以
下の通りである。1μlのポリ(A)+RNA、それぞれ1
00pmolのオリゴdTとランダムオリゴヌクレオチ
ドプライマー、それぞれ500μMの4種類のデオキシ
ヌクレオシド三リン酸、200単位のM−MLV逆転写
酵素(ギブコBRL(Gibco BRL))、1mMジチオスレ
イトール(DTT)、120単位のRNase(リボヌ
クレアーゼ)インヒビター(宝酒造(株)製)を含む緩
衝液(終体積20μl)を50℃で60分間インキュベ
ートし、cDNA一次鎖を合成する。次に、上記の逆転
写反応混合液5μl、各100pmolのランダムオリ
ゴヌクレオチドプライマー、それぞれ250μMの4種
類のデオキシヌクレオシド三リン酸、1.25単位のT
aqポリメラーゼを含む反応液(終体積50μl)に対
し、95℃1分、46〜62℃1分、72℃2分を35
サイクル繰り返して行う。
【0032】このようにして得られた癌細胞のcDNA
は、発現ベクターに保持させた後、宿主細胞に導入して
宿主細胞をスクリーニングするために使用される。宿主
細胞としては、哺乳類由来の細胞株で、ラクトシルセラ
ミド陽性である細胞であれば用いることができる。その
ような細胞株としては例えばヒトナマルバ(Namalwa)
細胞(細井ら:Cytotechnology,1,151(1988))、チャイ
ニーズハムスター由来のCHO細胞(ATCC CCL
61等)、サル由来のCOS細胞(ATCCCRL16
50等)、マウス由来の3LL細胞(Taniguchi,S.,
(信州大学加齢適応研究センター))などが挙げられ
る。しかし、本発明においてSAT−1の酵素活性の検
出をより容易にすることが可能であるため、更にGM3
陰性の培養細胞が好ましい。そのような細胞としては3
LL細胞の突然変異株である3LL−HK46細胞(In
okuchi,J.,(生化学工業(株)))が挙げられ、好まし
い。発現ベクターとしてはpCEV18(Maruyama,K.
(東京大学医科学研究所、現東京医科歯科大学)より恵
与)、pCXN2(Niwa, H., Yamamura, K. and Miyaz
aki, J. (Gene, 108, p193-200(1991))、pFLAG−
CMV−2(EastmanKodak製)、pAGE107(Miya
jiら, Cytotechnology, 3, 133(1990))、pAS3−3
(特開平2−227075号公報)、pAMoERC3
Sc(特開平5−336963号公報)、pcD2(Ch
en,C.ら, Mol. Cell. Biol., 7, 2745-2452(1987))な
どが挙げられ、使用する宿主細胞に合わせて適宜選択さ
れる。例えば宿主細胞として3LL−HK46を使用し
た場合は、pCEV18を発現ベクターとして使用する
ことが好ましい。ベクターへの上記で癌細胞のポリ(A)+
RNAを基に調製されたPCR産物の導入は、公知の方
法から使用するベクターに適した方法が選択される。
【0033】cDNAライブラリーの宿主細胞への導
入 上記の方法により構築したcDNAライブラリーを公知
の手法を用いて宿主細胞へトランスフェクションする。
具体的には、例えばエレクトロポレーション法(Miyaji
ら,Cytotechnology, 3, 133(1990))、リン酸カルシウ
ム法(特開平2−227075号公報)及びリポフェク
ション法(Philip, L.F. et al., Proc.Natl. Acad. Sc
i.USA, 84, 7413(1987))などが挙げられ適宜選択され
るが、エレクトロポレーション法が好ましい。また、S
AT−1をコードするcDNAを検出する際に、より正
確な酵素活性の検出を行うため、GM3から合成される
ことが知られており、細胞膜上に発現し、容易に検出が
可能であるGD3をGM3から直接合成する酵素である、
ヒトα2−8シアル酸転移酵素をコードするDNA(特
開平7−327678号公報など)を宿主細胞に前もっ
てトランスフェクションしておくこと、及び、同時にト
ランスフェクションすることも可能であり、また、好ま
しい。従って、例えばベクターとしてpCEV18を使
用して構築したcDNAライブラリーを、宿主細胞とし
てのGD3合成経路を持たない3LL−HK46細胞に
導入する際には、ライブラリーのcDNAを保持したp
CEV18を、通常の3LL−HK46細胞に直接トラ
ンスフェクションしてもよいし、予め3LL−HK46
細胞にα2−8シアル酸転移酵素のcDNAを、pCE
V18等の真核生物発現ベクターを用いて導入して作成
した遺伝子組み換え体3LL−ST28にトランスフェ
クションしてもよいし、また、α2−8シアル酸転移酵
素のcDNA導入したベクターと同時に3LL−HK4
6細胞にトランスフェクションしてもよい。
【0034】(3)ガングリオシドを発現した宿主細胞
の検出 cDNAライブラリーを導入した宿主細胞は、一般的な
細胞培養条件下で培養される。cDNAを導入した24
時間以降、好ましくは36〜48時間後に宿主細胞を抗
ガングリオシド抗体あるいはガングリオシドに結合する
レクチンを用いた免疫染色により染色するが、抗体を用
いる染色法がより正確であり好ましい。例えば、宿主細
胞として3LL−HK46を用いた場合には、細胞膜上
に発現したGM3を認識する例えば抗GM3モノクローナ
ル抗体 M2590(L612(ATCC CRL10724)が産生
するモノクローナル抗体:J. Biol. Chem., 260, 13328
-13333(1985))を用いて検出する。免疫染色は一般的な
方法に従って行えばよい。また、宿主細胞として例えば
上記の3LL−ST28を用いた場合には、本発明DN
Aが導入された際に生成されるGM3から合成されるG
3を検出する。GD 3を検出するための免疫染色法とし
ては通常用いられる一般的な方法(特開平2−3276
78号公報)によって行うことができる。その際は、使
用する一次抗体としてはGD3を認識する抗体であれば
特に限定はされないが、モノクローナル抗体が好まし
く、そのような抗体としては例えば抗GD3モノクロー
ナル抗体R24(ハイブリドーマ(ATCC HB8445)が産生
するモノクローナル抗体:Cancer Res., 49, p191-196
(1989))などが挙げられ、好ましい。上記の一般的な抗
体を用いる免疫染色法として具体的には、上記培養後の
宿主細胞(1×105個)をBSA溶液(0.1%BS
A PBS(+))で2〜3回程度遠心洗浄し、一次抗
体を含む100μlの前記BSA溶液に懸濁する。30
分間氷冷下で反応させた後、上記BSA溶液で2回程度
洗浄する。さらに一次抗体に対するFITC標識二次抗
体1μlを含むBSA溶液100μl中で、氷冷条件下
で30分間反応させる。BSA溶液で1回洗浄し、フロ
ーサイトメーター(FACScalibur:ベクトン
・デッキンソン(Becton Dickinson)製)で、蛍光が強い
細胞を検出する。蛍光の強い、例えば全体の5%の細胞
をセルソーターで選別し、これからプラスミドDNAを
抽出する。プラスミドDNAの宿主細胞からの抽出は一
般的な公知の方法によって行われる。
【0035】(4)SAT−1のcDNAのソーティン
グとcDNAの取得 上記の操作により得られたプラスミドDNAを、適当な
宿主細胞株にトランスフェクションし、上記抗GM3
体を用いる免疫染色と例えばフローサイトメーターによ
る全体の5%の強い蛍光を発する細胞の回収を2回以上
繰り返し、目的のcDNAをソーティングにより濃縮す
る。前記ソーティングに用いる宿主細胞としては、哺乳
類の培養細胞が好ましく、特に3LL−HK46が好ま
しい。また、使用するベクターとしては哺乳類細胞用の
発現ベクターであれば特に限定はされないが、pCEV
18が好ましい。ソーティングによって濃縮した目的の
cDNAを保持した前記ベクターを、pBKCMV(ス
トラタジーン社製)などの哺乳類細胞用の発現ベクター
に公知の方法により前記のヒトα2−8シアル酸転移酵
素のcDNAを導入した発現ベクターと同時に3KK−
HK46細胞等のGD3合成経路を有さない哺乳類由来
の培養細胞にトランスフェクションし、上記と同様に免
疫染色及びフローサイトメーターによる検出を行い、強
蛍光を発する全体の5%の細胞を得る。この細胞から公
知の方法によりプラスミドDNAを抽出する。このプラ
スミドDNAから一般的な方法によって切り出すことで
得られるcDNAにより、大腸菌DH10B(E. coli
DH10B:ギブコ社製)を形質転換し、これらを一穴あた
り100コロニーを形成するよう植菌し、シブセレクシ
ョンを行うことにより、最終的に約2.1Kbpのイン
サート(4C7)を含む単一のクローン、pCEV4C
7を得ることができる。
【0036】(5)SAT−1をコードするcDNA
4C7の塩基配列の決定 上記のようにして得られたcDNAはそのままあるいは
pCRIIなどの適当なプラスミドにサブクレーニングし
て、既知の一般的な方法により塩基配列を決定すること
ができる。
【0037】上記のようにして決定されたSAT−1を
コードするcDNAの塩基配列及びこの塩基配列から予
想されるアミノ酸配列を配列番号1に、アミノ酸配列の
みを配列番号2に示す。
【0038】また、膜貫通領域を欠失した、すなわち可
溶化タンパク質形態のSAT−1のポリペプチドをコー
ドするDNAは以下のようにして取得することが可能で
ある。すなわち、まず配列番号1に示す塩基配列に基づ
き、当該酵素のポリペプチドのN−末端側で適当な短縮
化形態となるように選択したプライマーを合成し、クロ
ーン化したSAT−1のcDNAを鋳型としてPCR法
により増幅する。例えば、N−末端の37アミノ酸残基
が欠失した短縮化形態のポリペプチドをコードするDN
Aを得る場合には、例えば目的とする塩基配列の3’及
び5’末端部に存在する塩基配列を基にオリゴヌクレオ
チドプライマーを合成する。例えば配列番号3及び4に
示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを
それぞれ5’プライマー及び3’プライマーとして用い
てPCRを行えばよい。次いで、増幅して得られたPC
R産物を必要により精製して目的DNAを得ることが可
能である。
【0039】<3>本発明DNAの塩基配列によってコ
ードされるSAT−1のポリペプチドの全部又は部分か
らなるポリペプチド 本発明は、上記の本発明DNAによってコードされるS
AT−1のポリペプチドの全部又は部分からなるポリペ
プチドも提供する。本明細書において、上記のポリペプ
チドの「部分」とは、シアル酸転移酵素−1活性を有す
る、抗原性を有するなどの何らかの活性ないし機能を有
する部分を意味する。本ポリペプチドは単独であっても
よいし、他のポリペプチドと融合していてもよい。ま
た、膜貫通領域を欠失していてもよい。
【0040】本ポリペプチドは、糖鎖を有していても有
していなくてもよい。また、糖鎖の種類にも特に限定は
ない。このようなポリペプチドは、例えば、後記のポリ
ペプチドの製造方法によって得ることができ、また、上
記の活性ないし機能の有無を判定することは、特開平7
−327678号公報記載の酵素活性測定法において、
宿主細胞に導入するcDNAと酵素の基質を変更するこ
とにより実施することが可能であり、例えば本明細書中
に具体的に記載されている方法により、当業者であれば
容易に行うことができる。
【0041】<4>本発明DNAを利用したSAT−1
のポリペプチドの製造方法 上記本発明DNAで形質転換された細胞を、好適な培地
で培養し、本発明DNAがコードするポリペプチドを培
養物中に生成蓄積させ、その培養物からSAT−1のポ
リペプチドを採取することによって、SAT−1のポリ
ペプチドを製造することができる。
【0042】本発明DNAで形質転換された細胞は、公
知の発現ベクターに本発明DNAの断片を挿入して組換
えプラスミドを構築し、この組換えプラスミドを用いて
形質転換を行うことによって得ることができる。細胞と
しては大腸菌等の原核細胞や、哺乳類細胞等の真核細胞
が例示される。大腸菌などの原核細胞を用いた際は、本
発明DNAの発現によって生じるSAT−1のポリペプ
チドに糖鎖の付加が起こらないため、純粋にSAT−1
のポリペプチドのみを得ることが可能であり、また、哺
乳類細胞等の真核細胞を用いた際は、本発明DNAの発
現によって生じるSAT−1のポリペプチドに糖鎖の付
加がなされる。そのため、糖鎖も含む通常のSAT−1
と同様の形態で得ることが可能である。
【0043】本製造方法においては、タンパク質の製造
に通常用いられる宿主−ベクター系を使用することがで
きる。3LL−HK46細胞、3LL−ST28細胞又
はCOS−1細胞等の哺乳類由来の培養細胞とpCEV
18、pME18S(丸山ら,Med. Immunol., 20, 27(1
990))等の哺乳類細胞用発現ベクターとの組み合わせを
採用することが好ましいが、特に限定はされない。培地
や培養条件は、用いる宿主すなわち細胞に合わせて適宜
選択される。
【0044】本発明DNAは全長を直接発現させてもよ
いが、他のポリペプチドとの融合ポリペプチドとして発
現させてもよい。また、本発明DNAの一部を部分ペプ
チドとして発現させてもよい。
【0045】上記融合ポリペプチドを発現する組み換え
プラスミドの構築の具体例としては以下の方法が挙げら
れる。すなわち、本発明のDNAをpGIR201pr
otA(Kitagawa,H. and Paulson,J.C., J. Biol. Che
m.. 269, 1394-1401(1994))等のプラスミドに導入した
遺伝子を融合タンパクとして発現させるように構築され
たベクターに通常の方法により組み込み、複数のタンパ
ク質をの遺伝子を同一読み出し領域に有するベクターを
構築する。ついで、このベクターから融合タンパク質を
コードするNheI断片を切り出し、上記と同様の操作
によりpCEV18等の適当なベクターに連結させる。
【0046】培養物からの本発明ポリペプチドの採取
は、公知のポリペプチドの精製方法によって行うことが
できる。具体的には例えば、ラクトシルセラミドあるい
はCMP−シアル酸などを結合したセファロースカラム
を用いたアフィニティ−クロマトグラフィーが挙げられ
る。融合ポリペプチドとして発現させた場合は、宿主細
胞の培養物を上記アフィニティーカラムのほか、SAT
−1と融合したポリペプチドに対し親和性の高い物質
(例えば抗体など)を結合したアフィニティークロマト
グラフィーなどによって精製することが可能である。さ
らに、融合ポリペプチド中のSAT−1と他のタンパク
質のポリペプチドとの間に、例えば特定のタンパク分解
酵素が認識して切断するアミノ酸配列を有するリンカー
を予め組み込んでおくことにより、融合ポリペプチドを
精製した後にリンカー部位で融合ポリペプチドを切断す
ることにより、従来精製が困難であったSAT−1を得
ることが可能である。上記特定のタンパク質分解酵素と
それが認識する特定の配列の組合せとしては例えばプロ
インスリンの合成時に働くシグナルペプチダーゼとイン
スリンのシグナルペプチドの組合せが挙げられる。なお
上記の培養物には、培地および当該培地中の細胞が包含
される。
【0047】シアル酸転移酵素の活性の測定方法として
は、一般的なガングリオシド合成の測定法(特開平7−
327678号公報など)において酵素の基質を変更す
ることにより実施することが可能である。例えば上記培
養物又は上記方法によって精製した酵素適量を、100
mM カコジル酸ナトリウム、10mM 塩化マンガ
ン、0.2mM CMP−放射性物質標識シアル酸、
0.4mM ラクトシルセラミド、0.3%Trito
n CF−54を含む反応液をpH6.5に調整し、3
7℃で2時間保温した後、一般的な薄層クロマトグラフ
ィーにより反応産物を展開し、フジックスBAS200
0バイオ・イメージング・アナライザー(富士写真フィ
ルム(株)製)により活性の測定を行うことができる。
【0048】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳説する
が、本発明の目的を超えない限りこれに限定されるもの
ではない。 (1)HL−60細胞の分化誘導とcDNAの構築 HL−60をTPA 24nMを含むRPMI−164
0(ニッスイ製)中で5vol%CO2、95vol%空気、3
7℃の条件下で48時間培養し、分化を誘導した。上記
細胞を1000×gの遠心処理により回収し、グアニジ
ンチオシアネート−酸−フェノール−クロロホルム法
(AGPC法)により全RNAを調製した。5×106
個の分化した細胞から約40μgのRNAが得られた。
このRNAからオリゴdTセルロースカラムクロマトグ
ラフィーによりポリ(A)+RNAを精製した。
【0049】このポリ(A)+RNAを逆転写反応の鋳型と
し、DNAの一次鎖を構築し、更にこのDNAを用いて
2本鎖cDNAを合成した(Gubber, V. and Hoffman,
B.J., Gene, 25, 283(1983))。
【0050】このようにして得られた2本鎖cDNA
に、制限酵素BSTX1アダプターを連結し、pCEV
18のBSTX1部位に導入してcDNAライブラリー
を構築した。
【0051】(2)cDNAの3LL−HK46細胞へ
のトランスフェクション 上記のcDNAライブラリーを3LL−HK46細胞に
エレクトロポレーション法を用いて導入し、48時間、
5vol%CO2、95vol%空気、37℃条件下で培養をし
た。
【0052】(3)ガングリオシドを発現した宿主細胞
の検出とcDNAの調製 培養後の3LL−HK46細胞を抗GM3抗体であるM
2590とFITC標識ウサギ抗マウスIgG抗体によ
り免疫染色を行った。この染色した細胞をフローサイト
メーター(FACScalibur)で蛍光が陽性の細
胞を検出した。陽性側の5%の細胞を回収し、プラスミ
ドDNAを調製した後、さらに2回、3LL−HK46
細胞へのエレクトロポレーション法による導入と48時
間培養、免疫染色及びフローサイトメーターによる検
出、回収を繰り返した。
【0053】この方法で最終的に得られたプラスミド
を、pBKCMVGD3(ストラタジーン社製のpBK
CMVプラスミドベクターにヒトα2−8シアル酸転移
酵素(GD3合成酵素)を導入したプラスミド)と共に
3LL−HK46細胞に導入した。この細胞を48時間
培養した後、抗GD3抗体であるR24とFITC標識
ウサギ抗マウスIgG抗体で免疫染色して、フローサイ
トメータにより蛍光の強い細胞の5%を検出し、回収し
た。
【0054】この細胞から、プラスミドDNAを調製
し、エレクトロポレーション法により大腸菌DH10B
(ギブコ社製)を形質転換した。トランスフェクション
とアンピシリンによる選別とを2回繰り返した後、陽性
コロニー群を96穴マイクロプレート1穴あたり100
コロニーの割合で小分けした。9枚のマイクロプレート
に植菌し、シブセレクション法を行い1穴に絞り込み、
この1穴に由来する2,400コロニーを1穴あたり1
コロニーの割合で、96穴マルチプレート25枚に広
げ、更にシブセレクションを行い陽性クローン(pCE
V4C7)を得た。このpCEV4C7を3LL−HK
46細胞に一過性に発現させて上記と同様に抗GM3
体(M2590)によるフローサイトメトリー解析を行
った。対照としてpCEV18を一過性に発現させた3
LL−HK46細胞は細胞膜上にGM 3を発現していな
かったが、pCEV4C7を一過性に発現させた3LL
−HK46細胞は細胞膜上にGM3を発現し、蛍光が検
出された。
【0055】(4)塩基配列の決定 pCEV4C7の二本鎖DNAの塩基配列を、オートサ
イクルシークエンシングキット(ファルマシア社製)
と、ファルマシア A.L.F. DNAシークエンサー(フ
ァルマシア社製)を用いたデオキシチェーンターミネー
ション法により決定した。このように決定された塩基配
列とその塩基配列から予測されるアミノ酸配列を配列番
号1に、アミノ酸配列のみを配列番号2に示す。pCE
V4C7が有するcDNAインサート4C7は約2.1
kbpであり、202番目の塩基を翻訳開始点とする3
59アミノ酸残基を有するタンパク質(分子量41,2
44Da)をコードすることが明かとなった。アミノ酸
配列から予測される構造の模式図を図1に示す。ハイド
ロパシープロットによる解析の結果、N末端部16番目
から29番目のアミノ酸残基の領域に膜貫通領域(図1
中のTM)が存在する2型膜タンパク質であることが判
明した。この配列をGenBankに登録されている遺伝子デ
ータベースで検索した結果、高度に相同性を示す配列は
認められなかった。しかし、シアル酸転移酵素の配列の
中央部及びC末端側領域に存在するシアル酸転移酵素相
同領域のシアリルモチーフ(L及びS)については、多
少の置換が見られたものの、比較的高い相同性が認めら
れた(図2)。比較に用いたシアル酸転移酵素は、h2,3
ST; 特開平5−336963号公報、rSTX; J. Biol. C
hem., 268, 11504-11507(1993)、rST3N-1; J. Biol. Ch
em., 267, 21011-21019(1992)、hST3N-2; J. Biol. Che
m., 268, 22782-22787(1993)、pST30-1; J. Biol.Che
m., 267, 21004-21010(1992)、mST30-2; Eur. J. Bioch
em.,216, 377-385(1993)、mST4'; NCBI Seq. ID 55853
2、hSAT4(a); Gycbiology, 5, 319-325(1995)、hST6N;
Nuc. Acids Res., 18, 667(1990)、rST6N; J. biol. Ch
em., 262, 17735-17743(1987)、h2,8ST; 特開平7−3
27678号公報のそれぞれに記載の11種である。こ
の結果から、pCEV4C7のインサート4C7がコー
ドするSAT−1はシアル酸転移酵素ファミリーに属す
ると考えられる。更にアミノ酸配列からN−グリコシレ
ーションサイトにコンセンサスな配列が4つ存在するこ
とが示された(図1中、△で示す)が、N末端側の二つ
の部位は、膜貫通領域の近傍及びシアリルモチーフ内に
存在するので、C末端側の二つの部位よりもN−グリコ
シル化されている可能性が低い。
【0056】(5)SAT−1のcDNAを発現した細
胞のGM3合成 上記SAT−1をコードするcDNA(4C7)を発現
ベクターpCEV18に導入したpCEV4C7を、エ
レクトロポレーション法により3LL−HK46に導入
し、48時間培養後のこの細胞のGM3合成活性を以下
の方法により測定した。0.1mM CMP−[14C]−
シアル酸(2×103CPM)、0.4mMラクトシル
セラミド、0.3%(W/V) Triton CF−5
4、10mMMgCl2、100mM カコジル酸ナト
リウム、150μgのpCEV4C7を導入した3LL
−HK46のホモジナイズ液及び1mMのシアリダーゼ
阻害剤(2,3−デヒドロ-2-デオキシ-N-アセチルシアル
酸(2,3-dehydro-2-deoxy-NeuAc):ベーリンガー・マン
ハイム社製)を含むpH6.5の20μlの反応液を、
37℃で2時間インキュベートした後、10μlのメタ
ノールを添加して反応を停止した。反応液8μlをC1
8逆相系薄層クロマトグラフィープレート(RP−18
W HPTLCプレート)(メルク社製)にかけ、水で
10分間展開した。放射性物質標識反応産物を原点から
掻き取り、GM3をクロロホルム−メタノール(1:
1、V/V)300μlにて抽出回収した。抽出物を乾固
後、シリカゲル薄層クロマトグラフィー 60HPTL
Cプレート(メルク社製)に共した。クロロホルム−メ
タノール−0.5%CaCl2水溶液(55:45:10,V/V/
V)にて展開後、オルシノール硫酸により発色すると共
に、ガングリオシドに取り込まれた放射活性をフジック
スBAS2000バイオ・イメージング・アナライザー
(富士写真フィルム(株)製)で測定した。その結果、
14CのガングリオシドGM 3への取り込みが起こってい
ることが明らかとなり、SAT−1によるGM3合成が
SAT−1cDNA導入細胞で検出された。
【0057】GM3合成活性は、pH6.0〜7.0、
特にpH6.5付近で高く、また、10mM Mn2+
在下で1.5倍以上上昇した。
【0058】
【発明の効果】本発明によりラクトシルセラミドから細
胞分化を誘導するガングリオシドGM 3を合成するα2
−3シアル酸転移酵素(SAT−1)のDNAが提供さ
れる。また、本発明により、GM3合成酵素であるα2
−3シアル酸転移酵素が、上記DNAを使用することで
容易に得られる。
【0059】本発明により、SAT−1をコードするD
NAが得られたので、その発現機構を解明することによ
る細胞分化のメカニズムの解明が期待される。
【0060】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:2121 配列の型:核酸 鎖の数:両形態 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 起源 生物名:ヒト セルライン:骨髄性白血病細胞株HL−60 配列の特徴 特徴を示す記号:CDS 存在位置:202..1278 特徴を決定した方法:P 配列の特徴 特徴を表す記号:transmembrane domain 存在位置:247..288 特徴を決定した方法:P 配列の特徴 特徴を示す記号:potential N-glycosylation site 存在位置:871..879 特徴を決定した方法:S 配列の特徴 特徴を示す記号:potential N-glycosylation site 存在位置:1201..1209 特徴を決定した方法:S 配列の特徴 特徴を示す記号:sialyl-motif 存在位置:616..750 特徴を決定した方法:S 配列の特徴 特徴を示す記号:sialyl-motif 存在位置:1048..1116 特徴を決定した方法:S 配列 CCCGGGCTGG CGGCTTGCCA GCGCTCCCTC CCTAGCATGC ACACAGAGGC GGTGGGCGGC 60 GCGGCGCGGA GGCCCCAGAA GCTGCGAAGC CAAGCAGCGG CACCTGCCTG CCGAGCAATG 120 CCAAGTGAGT TCACCTCTGC AAAGCTGAGA AGTGATTGCT CAAGGACCTC CCTGCAATGG 180 TACACCCGAA CCCAGCACAA G ATG AGA AGA CCC AGC TTG TTA ATA AAA GAC 231 Met Arg Arg Pro Ser Leu Leu Ile Lys Asp 1 5 10 ATC TGC AAG TGC ACG TTG GTT GCA TTT GGA GTC TGG CTC CTG TAC ATC 279 Ile Cys Lys Cys Thr Leu Val Ala Phe Gly Val Trp Leu Leu Tyr Ile 15 20 25 CTC ATT TTG AAT TAC ACC GCT GAA GAA TGT GAC ATG AAA AGA ATG CAC 327 Leu Ile Leu Asn Tyr Thr Ala Glu Glu Cys Asp Met Lys Arg Met His 30 35 40 TAT GTG GAC CCT GAC CGG ATA AAG AGA GCT CAG AGC TAT GCT CAG GAA 375 Tyr Val Asp Pro Asp Arg Ile Lys Arg Ala Gln Ser Tyr Ala Gln Glu 45 50 55 GTC TTG CAG AAG GAA TGT CGG CCC AGG TAC GCG AAG ACG GCT ATG GCT 423 Val Leu Gln Lys Glu Cys Arg Pro Arg Tyr Ala Lys Thr Ala Met Ala 60 65 70 CTG TTA TTT GAG GAC AGG TAC AGC ATC AAC TTG GAG CCT TTT GTG CAG 471 Leu Leu Phe Glu Asp Arg Tyr Ser Ile Asn Leu Glu Pro Phe Val Gln 75 80 85 90 AAG GTC CCC ACG GCC AGT GAA GCT GAG CTC AAG TAT GAC CCG CCT TTT 519 Lys Val Pro Thr Ala Ser Glu Ala Glu Leu Lys Tyr Asp Pro Pro Phe 95 100 105 GGA TTC CGG AAG TTC TCC AGT AAA GTC CAG AGC CTC TTG GAT ATG CTG 567 Gly Phe Arg Lys Phe Ser Ser Lys Val Gln Ser Leu Leu Asp Met Leu 110 115 120 CCC GAA CAT GAC TTT CCT GAA CAC TTG AGA GCC AAG GCC TGC AAG CGC 615 Pro Glu His Asp Phe Pro Glu His Leu Arg Ala Lys Ala Cys Lys Arg 125 130 135 TGT GTG GTT GTT GGG AAC GGG GGC ATC CTG CAC GGA CTA GAG CTG GGT 663 Cys Val Val Val Gly Asn Gly Gly Ile Leu His Gly Leu Glu Leu Gly 140 145 150 CAC GCC CTC AAC CAG TTC GAT GTG GTA ATA AGG TTG AAC AGT GCG CCA 711 His Ala Leu Asn Gln Phe Asp Val Val Ile Arg Leu Asn Ser Ala Pro 155 160 165 170 GTT GAG GGT TAC TCT GAA CAC GTT GGG AAT AAA ACT ACT ATA AGG ATG 759 Val Glu Gly Tyr Ser Glu His Val Gly Asn Lys Thr Thr Ile Arg Met 175 180 185 ACT TAC CCA GAG GGT GCG CCA CTG TCG GAC GTT GAA TAC TAC GCC AAT 807 Thr Tyr Pro Glu Gly Ala Pro Leu Ser Asp Val Glu Tyr Tyr Ala Asn 190 195 200 GAT TTG TTC GTT ACT GTT TTA TTT AAG AGT GTT GAT TTC AAG TGG CTT 855 Asp Leu Phe Val Thr Val Leu Phe Lys Ser Val Asp Phe Lys Trp Leu 205 210 215 CAA GCA ATG GTA AAA AAT GAA AGC CTG CCC TTT TGG GTT CGC CTC TTC 903 Gln Ala Met Val Lys Asn Glu Ser Leu Pro Phe Trp Val Arg Leu Phe 220 225 230 TTT TGG AAG CAA GTG GCA GAA AAA GTC CCA CTC CAG CCA AAG CAC TTC 951 Phe Trp Lys Gln Val Ala Glu Lys Val Pro Leu Gln Pro Lys His Phe 235 240 245 250 AGG ATT TTG AAC CCA GTT ATC ATC AAA GAA ACT GCC TTC GAC ATC CTT 999 Arg Ile Leu Asn Pro Val Ile Ile Lys Glu Thr Ala Phe Asp Ile Leu 255 260 265 CAG TAC TCA GAG CCT CAG TCA AGA TTC TGG GGC CAT GAT AAG AAC ATC 1047 Gln Tyr Ser Glu Pro Gln Ser Arg Phe Trp Gly His Asp Lys Asn Ile 270 275 280 CCC ACG ATC GGC GTC ATT GCC GTT GTC TTG GCT ACA CAT CTG TGT GAT 1095 Pro Thr Ile Gly Val Ile Ala Val Val Leu Ala Thr His Leu Cys Asp 285 290 295 GAA GTC AGC CTG GCA GGC TTT GGC TAC GAC CTC AGT CAA CCC AGG ACC 1143 Glu Val Ser Leu Ala Gly Phe Gly Tyr Asp Leu Ser Gln Pro Arg Thr 300 305 310 CCT CTG CAC TAC TTT GAC AGT CAG TGC ATG GGC GCC ATG CAC TGG CAG 1191 Pro Leu His Tyr Phe Asp Ser Gln Cys Met Gly Ala Met His Trp Gln 315 320 325 330 GTC ATG CAC AAT GTG ACC ACA GAG ACC AAG TTC CTC CTG AAG CTC CTC 1239 Val Met His Asn Val Thr Thr Glu Thr Lys Phe Leu Leu Lys Leu Leu 335 340 345 AAG GAG GGC GTG GTG GAG GAC CTC AGC GGC GGC ATC CAC TGAGAACTCG 1288 Lys Glu Gly Val Val Glu Asp Leu Ser Gly Gly Ile His 350 355 GAACACGGCA AACCTCACCC AGCACCGCAG CTGAGAGCGT GGTGAGCAGC CTCCACAGGG 1348 ACTTCACCCT GCAGCTGCTT CGATGTGCAG CTAGTGTTTT CAAACTCCAC ATTTTTTTTA 1408 AAAAAGGAAA AGAAAGAACA ACAGCAACAA CAAAAGCTCT GCTCTGTGCA CCTCTTCGTC 1468 CTATTTATTT GAAGTCAGTG TTGGATTTTG CACAGTTTTG TAAGTTAATC TTAAGAATGG 1528 GATTGGAAGG ACTTTTCAAA GAGAATTGTA TAGTTTATTG TTTTTTAAGG AAGTAATTTA 1588 ATTTGCAGAA ACTGTACACA CGTACTCTGC TCAGGTGTTG AGGTGGGAGG AGAGGGGCTT 1648 CTGGCCCCTG GATGATGGCT GTGATGCCCG ATACTGGGGT CTGCTGCTCT GTTTGGTAGA 1708 ACTGATGGCA GAGAAACTTC CTGCCTCCAG GATAAAGGGC TTACTCATCA CCTCTGGCAG 1768 CTGCTAGACA AGTTCATAAC CCCTTTCTGC TAGTCCATCT GCCAGCTGGC TCGCAGGACT 1828 CAGGCAGGGC AGCTGTCCCG GAGGCTGCTG GTTGGTGAGC CACTGTCAGC TGAGCGCCGT 1888 GATGTTGCCC CAGGGTGGAA GAAGCCACAC TTCCTACACT GTCAGGGCAC TTTTAAACTT 1948 CTGGAGGGGT GTGTGTGTGT GTGTGTGTGT GTGTGTGTGT GTGTGTGTGT GTGTGTGTGT 2008 GTTCATTCTG CCCTTCCAAA TCATCTAAGT GTTATTTAAG GCACTCTGCT GTTTGTATGA 2068 GATGGTTCAT AGAAATTATG ACAAAGCCTT TGTTATCCAG GCCATGGGAA GAG 2121
【0061】配列番号:2 配列の長さ:359 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Met Arg Arg Pro Ser Leu Leu Ile Lys Asp Ile Cys Lys Cys Thr Leu 1 5 10 15 Val Ala Phe Gly Val Trp Leu Leu Tyr Ile Leu Ile Leu Asn Tyr Thr 20 25 30 Ala Glu Glu Cys Asp Met Lys Arg Met His Tyr Val Asp Pro Asp Arg 35 40 45 Ile Lys Arg Ala Gln Ser Tyr Ala Gln Glu Val Leu Gln Lys Glu Cys 50 55 60 Arg Pro Arg Tyr Ala Lys Thr Ala Met Ala Leu Leu Phe Glu Asp Arg 65 70 75 80 Tyr Ser Ile Asn Leu Glu Pro Phe Val Gln Lys Val Pro Thr Ala Ser 85 90 95 Glu Ala Glu Leu Lys Tyr Asp Pro Pro Phe Gly Phe Arg Lys Phe Ser 100 105 110 Ser Lys Val Gln Ser Leu Leu Asp Met Leu Pro Glu His Asp Phe Pro 115 120 125 Glu His Leu Arg Ala Lys Ala Cys Lys Arg Cys Val Val Val Gly Asn 130 135 140 Gly Gly Ile Leu His Gly Leu Glu Leu Gly His Ala Leu Asn Gln Phe 145 150 155 160 Asp Val Val Ile Arg Leu Asn Ser Ala Pro Val Glu Gly Tyr Ser Glu 165 170 175 His Val Gly Asn Lys Thr Thr Ile Arg Met Thr Tyr Pro Glu Gly Ala 180 185 190 Pro Leu Ser Asp Val Glu Tyr Tyr Ala Asn Asp Leu Phe Val Thr Val 195 200 205 Leu Phe Lys Ser Val Asp Phe Lys Trp Leu Gln Ala Met Val Lys Asn 210 215 220 Glu Ser Leu Pro Phe Trp Val Arg Leu Phe Phe Trp Lys Gln Val Ala 225 230 235 240 Glu Lys Val Pro Leu Gln Pro Lys His Phe Arg Ile Leu Asn Pro Val 245 250 255 Ile Ile Lys Glu Thr Ala Phe Asp Ile Leu Gln Tyr Ser Glu Pro Gln 260 265 270 Ser Arg Phe Trp Gly His Asp Lys Asn Ile Pro Thr Ile Gly Val Ile 275 280 285 Ala Val Val Leu Ala Thr His Leu Cys Asp Glu Val Ser Leu Ala Gly 290 295 300 Phe Gly Tyr Asp Leu Ser Gln Pro Arg Thr Pro Leu His Tyr Phe Asp 305 310 315 320 Ser Gln Cys Met Gly Ala Met His Trp Gln Val Met His Asn Val Thr 325 330 335 Thr Glu Thr Lys Phe Leu Leu Lys Leu Leu Lys Glu Gly Val Val Glu 340 345 350 Asp Leu Ser Gly Gly Ile His 355
【0062】配列番号:3 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 ATGAAAAGAA TGCACTA 17
【0063】配列番号:4 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 合成DNA 配列 TCAGTGGATG CCGCTGA 17
【0064】配列番号:5 配列の長さ:18 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Leu Leu Lys Leu Leu Lys Glu Gly Val Val Glu Asp Leu Ser Gly Gly 1 5 10 15 Ile His
【0065】配列番号:6 配列の長さ:48 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 Cys Lys Arg Cys Val Val Val Gly Asn Gly Gly Ile Leu His Gly Leu 1 5 10 15 Glu Leu Gly His Ala Leu Asn Gln Phe Asp Val Val Ile Arg Leu Asn 20 25 30 Ser Ala Pro Val Glu Gly Tyr Ser Glu His Val Gly Asn Lys Thr Thr 35 40 45
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のα2−3シアル酸転移酵素(SAT
−1)の構造の模式図。△は、アミノ酸配列から推定さ
れるN−グリコシレーション部位である。TMはアミノ
酸配列から推定される膜貫通領域である。
【図2】 SAT−1のシアリルモチーフ(L及びS)
領域のアミノ酸配列と、他のシアル酸転移酵素のシアリ
ルモチーフ領域との対比を示す図。配列の下に付した*
は他のシアル酸転移酵素のシアリルモチーフに見られる
共通配列である。配列の上に付した*はSAT-1の、当該シ
アリルモチーフの共通配列とアミノ酸が同一の部分であ
り、-は異なる部分である。
【図3】 本発明DNAから推定したSAT−1のアミ
ノ酸配列のハイドロパシープロット。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するシアル酸転
    移酵素。 作用:シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラ
    クトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水
    酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM
    3を生成する。 至適反応pH:pH6.0〜7.0。 阻害及び活性化:10mMのMn2+により活性が1.
    5倍以上に上昇する。
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性質を有し、アミノ酸
    配列のC末端に配列番号5のアミノ酸配列を有するシア
    ル酸転移酵素。 作用:シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラ
    クトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水
    酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM
    3を生成する。
  3. 【請求項3】 下記の理化学的性質を有し、配列番号
    6のアミノ酸配列を有するシアル酸転移酵素。 作用:シアル酸供与体から、シアル酸受容体であるラ
    クトシルセラミドに含まれるガラクトース残基の3位水
    酸基へ選択的にシアル酸を転移してガングリオシドGM
    3を生成する。
  4. 【請求項4】 シアル酸供与体が、シチジン−5−モノ
    リン酸−シアル酸(CMP−シアル酸)である請求項1
    〜3のいずれか一項記載のシアル酸転移酵素。
  5. 【請求項5】 ヒト由来である請求項1〜4のいずれか
    一項記載のシアル酸転移酵素。
  6. 【請求項6】 以下の(a)又は(b)のポリペプチド
    を含むシアル酸転移酵素。 (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチ
    ド。 (b)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数
    個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミ
    ノ酸配列からなり、かつシアル酸供与体からシアル酸受
    容体であるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース
    残基の3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してガング
    リオシドGM3を生成する酵素活性を有するポリペプチ
    ド。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載のシアル酸転移酵素を
    形成するポリペプチド。
  8. 【請求項8】 以下の(a)もしくは(b)のポリペプ
    チド又はその部分からなるポリペプチド。 (a)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチ
    ド。 (b)配列番号2のアミノ酸配列において1もしくは数
    個のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは転位したアミ
    ノ酸配列からなり、かつシアル酸供与体からシアル酸受
    容体であるラクトシルセラミドに含まれるガラクトース
    残基の3位水酸基へ選択的にシアル酸を転移してガング
    リオシドGM3を生成する酵素活性を有するポリペプチ
    ド。
  9. 【請求項9】 少なくとも膜貫通領域を欠失し、かつシ
    アル酸供与体からシアル酸受容体であるラクトシルセラ
    ミドに含まれるガラクトース残基の3位水酸基へ選択的
    にシアル酸を転移してガングリオシドGM3を生成する
    酵素活性を有する請求項7又は8記載のポリペプチド。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のいずれか一項記載のポ
    リペプチドの全部又は部分をコードするDNA。
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