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JPH11140626A - トリアジンジチオ−ル誘導体の被膜生成方法ならびに被膜成分の重合方法 - Google Patents

トリアジンジチオ−ル誘導体の被膜生成方法ならびに被膜成分の重合方法

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Publication number
JPH11140626A
JPH11140626A JP10230026A JP23002698A JPH11140626A JP H11140626 A JPH11140626 A JP H11140626A JP 10230026 A JP10230026 A JP 10230026A JP 23002698 A JP23002698 A JP 23002698A JP H11140626 A JPH11140626 A JP H11140626A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
triazinedithiol
property
coo
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10230026A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Mori
邦夫 森
忠行 ▲濱▼田
Tadayuki Hamada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
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Publication date
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Priority to JP10230026A priority Critical patent/JPH11140626A/ja
Publication of JPH11140626A publication Critical patent/JPH11140626A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属表面のみならず、ガラスなどのセラミッ
クスやプラスチックスなどの固体表面にトリアジンジチ
オ−ルにもとづく薄膜を効果的に生成させ、かかる固体
表面の非汚染性、非粘着性、離型性、防曇性、潤滑性、
接着性、塗装性および氷結防止性等の性能向上をはか
る。 【解決手段】 トリアジンジチオ−ル誘導体の1種また
は2種以上のそれぞれからなる各層の薄膜を蒸着あるい
はスパッタ−法により固体表面に生成させ、さらに、得
られたトリアジンジチオ−ル誘導体の被膜の成分を熱重
合法、紫外線照射法および電解重合法のいずれかにより
単独または共重合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は真空蒸着法やスパッ
タ−法により固体表面にトリアジンジチオ−ル誘導体の
被膜を生成させる方法、ならびにその被膜成分を重合す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らはさきに本発明で使用される
ごときトリアジンチオ−ル誘導体を合成し、金属表面上
に浸漬法や電解重合法およびトライボ重合法により、そ
の重合体からなる機能性薄膜を生成させることに成功し
ているが〔実務表面処理技術:35、595(198
8)、化学工業:42、1005(1991)、特開平
6−322595号など〕、これらはいずれも湿式法に
よる薄膜生成技術であり、これにともなう排水処理や対
象となる固体の種類に限界があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は金属表面のみ
ならず、ガラスなどのセラミックスやプラスチックスな
どの固体表面にトリアジンジチオ−ルにもとづく薄膜を
効果的に生成させ、かかる固体表面の非汚染性、非粘着
性、離型性、防曇性、潤滑性、接着性、塗装性および氷
結防止性等の性能向上をはかることを目的とするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】ここにおいて本発明者ら
は、一般式
【0005】
【化1】
【0006】〔式中、R1 、R2 はH、CH3 、C2
5 、C4 9 、C6 13、C8 17、C1021、C12
25、C1837、C2041、C2245、C2449、CH2
=CHCH2 、CH2 =CH(CH2 8 、CH2 =C
H(CH2 9 、C8 17CH2 =CHC8 16、C6
11、C6 5 、C6 5 CH2 、C6 5 CH2 CH
2 、CH2 =CH(CH2 4 COOCH2 CH2 、C
2 =CH(CH2 8COOCH2 CH2 、CH2
CH(CH2 9 COOCH2 CH2 、CF3
6 4 、C4 9 6 4 、C6 136 4 、C8
176 4 、C10216 4 、C6 11OC6 4
9 17OC6 4 、C4 9 CH2 、C6 13
2 、C8 17CH2 、C1021CH2 、C4 FCH2
CH2 、C6 13CH2 CH2 、C8 1 CH2
2 、C1021CH2 CH2 、C4 9 CH2 =CHC
2 、C6 13CH2 =CHCH2 、C8 1 CH2
CHCH2 、C1021CH2 =CHCH2 、C4 9
2 CH(OH)CH2 、C6 13CH2 CH(OH)
CH2 、C8 1 CH2 CH(OH)CH2 、C1021
CH2 CH(OH)CH2 、CH2 =CH(CH2 4
COO(CH2 CH2 2 、CH2 =CH(CH2 8
COO(CH2 CH2 2 、CH2 =CH(CH2 9
COO(CH2 CH2 2 、C4 9 COO(CH2
2 2 、C6 13COO(CH2 CH2 2 、C8
17COO(CH2 CH2 2 、C1021COO(CH2
CH2 2 をさすが、R2 はこの中でC6 11OC6
4 とC9 17OC6 4を含まない。またMはHおよび
Li、Na、K、Ceなどのアルカリ金属をさす。〕で
示されるトリアジンジチオ−ル誘導体の1種または2種
以上のそれぞれからなる各層の薄膜を蒸着あるいはスパ
ッタ−法により固体表面に生成させることを見出し、さ
らに、この方法により生成したトリアジンジチオ−ル誘
導体の被膜の成分を熱重合法、紫外線照射法および電解
重合法のいずれかにより単独または共重合させる方法を
見出すにいたった。
【0007】
【発明の実施の形態】機能性トリアジンジチオ−ル誘導
体は前記報告の方法で合成することができる。これらを
用い、真空蒸着法あるいはスパッタ−法により、固体表
面に低分子薄膜を形成させ、さらに、これを酸素存在
下、熱または紫外線照射下で、線状または三次元重合反
応を起こさせ、高分子薄膜に変化させる。
【0008】〔固体表面〕固体表面とは、鉄、鋳鉄、お
よびステンレス、パ−マロイ、銅、黄銅、リン青銅、ニ
ッケル、キュプロニッケル、錫、鉛、コバルト、半田、
チタン、アルミニウム、クロム、金、銀、白金、パラジ
ウム、亜鉛などの金属表面とこれらの酸化物表面、リン
酸塩処理金属表面、クロム酸塩処理金属表面、シリコン
表面、カ−ボン表面、化合物半導体表面、酸化アルミナ
セラミックス表面、陶器表面、ガラス表面、石英ガラス
表面、超電導体セラミックス表面、木材表面、紙表面、
プラスチックス表面、エンジニアリングプラスチックス
表面、熱硬化性樹脂表面など何でも可能である。
【0009】〔真空蒸着法〕真空蒸着法に用いる装置
は、例えば、図1に示されるようなモノマ−4であるト
リアジンジチオ−ル誘導体の入ったボックスとヒ−タ−
1、蒸着する固体および蒸着した被膜の厚さを計る膜厚
計2からなり、これに真空ポンプ(図示省略)が連結し
ている。真空蒸着法は真空中で薄膜にしようとする物質
を加熱蒸発させ、これをある面に付着させるという過程
である。したがって、この方法に必要な基本的な装置は
真空装置、加熱装置(蒸発源)および付着面(基板面)
である。電離真空計を用いて装置内を一定の真空度に調
整後、蒸発源のヒ−タ−1を加熱してモノマ−4を気化
させる。このとき、蒸発源と基板3との間にあるシャッ
タ−5は閉じておく。モノマ−4が気化していることを
水晶振動子膜厚計2により確認したならば、蒸発速度を
予定の値に調整し、整ったところでシャッタ−5を開
き、蒸発を開始する。目的の膜厚になったならば、シャ
ッタ−5を閉じて、蒸発源の加熱をやめる。そして、ヒ
−タ−1が充分に冷えたところで、大気ベントをおこな
い、基板3を取り出す。真空度は一般に1.0〜1.0
×10-6〔Pa〕、望ましくは、1.0×10-1〜1.
0×10-4〔Pa〕である。ヒ−タ−1の温度は室温か
ら250°C、望ましくは、50〜200°Cである
が、トリアジンジチオ−ルの分子量および真空度とヒ−
タ−温度との兼ね合いで最適な蒸着条件が決まり、一義
的に定めることはできない。一般に緻密な被膜を形成さ
せるためには低速で蒸着することが必要である。被膜の
成長速度は真空度が高いほど、ヒ−タ−温度が高いほ
ど、また分子量や凝集力が低いほど高くなる。被膜の成
長速度や被膜密度は目的に応じて決めることができる。
【0010】〔スパッタ−法〕スパッタ−法とは、例え
ば図2に示されるようなスパッタ−装置(RE RMC
−Eiko Corp.)を用いて、真空下で固体表面
にトリアジンジチオ−ル薄膜を形成させる方法である。
スパッタ−装置は真空ポンプ(図示省略)、タ−ゲット
6(陰極)および試料台7(陽極)上の基板3からな
る。トリアジンジチオ−ルとエタノ−ルなどの有機溶剤
を混合して、適当な流動性のときタ−ゲット6上に保持
する。室温で溶剤を自然蒸発により蒸発させて、トリア
ジンジチオ−ルのタ−ゲット6を作成する。10-1
1.0×10-3〔Torr〕の真空下、望ましくは5×
10-1〜5×10-2〔Torr〕で直流電流を0.1m
A〜10mA流しておこなう。このとき放電が起こり、
タ−ゲット6の分子が飛び、基板3に積層する。陰極の
タ−ゲット温度を調整するために、タ−ゲット6に冷却
水を流すこともできる。トリアジンジチオ−ルの分子量
や凝集力が低いほど、電流値が高いほど被膜成長速度が
高い。電流値を高くしすぎると、トリアジンジチオ−ル
の分解が起こり、均一な被膜成長が起こらない。
【0011】〔トリアジンジチオ−ル被膜成分の重合〕
真空蒸着法やスパッタ−法により形成されたトリアジン
ジチオ−ル被膜の成分は熱重合法、紫外線照射法および
電解重合法により、線状または三次元重合体の被膜に変
化させることができる。
【0012】〔熱重合法〕熱重合法は一般にトリアジン
ジチオ−ル誘導体が積層された固体を空気中または酸素
中で加熱することによっておこなわれる。加熱温度は5
0°C〜250°Cである。50°C以下では重合しな
いか、または重合に時間がかかりすぎて実用的でない。
また250°C以上ではトリアジンジチオ−ル誘導体が
輝散したり、分解して目的の重合被膜が生成しない場合
がある。望ましくは80°C〜200°Cである。加熱
時間は1秒〜120分間である。1秒以下では重合が不
充分であり、120分以上では実用上生産性が劣るとい
う問題がある。望ましくは5分から60分間である。重
合雰囲気は一般に空気中でおこなうが、重合しにくい場
合は酸素中でおこない、さらに重合しにくく揮発しやす
い場合には、加圧酸素中での重合も有効である。また、
フッ素化合物は揮発しやすいので、重合時には空気加圧
下または酸素加圧下でおこなうと熱重合する場合もあ
る。このときの圧力は大気圧の1気圧以上である必要が
あるが、容器の耐圧性の問題もあり、1〜20気圧程度
が望ましい。
【0013】〔紫外線照射法〕紫外線重合はトリアジン
ジチオ−ル誘導体が積層された固体表面に空気中で、2
00nm〜450nmの波長を有する光を照射して比較
的高速でおこなう。雰囲気の温度は0°C〜100°C
である。0°C以下では重合速度が遅すぎて実用的でな
く、また100°C以上では分解などの副反応を併発す
る。望ましくは20°C〜60°Cである。照射時間は
0.01秒〜60分間である。0.01秒以下では重合
が不充分であり、また60分間以上では重合速度が遅す
ぎて実用的でない。光源はキセノンランプや水銀灯を使
用することができる。
【0014】〔電解重合法〕電解重合法については本発
明者らによる特許第1,840,482号にも示してい
るが、電解重合法は、電解質を含むトリアジンジチオ−
ル誘導体の水または有機溶液に処理金属を陽極とし、白
金やステンレス板を陰極として、サイクリック法、定電
流法、定電位法、パルス定電位法およびパルス定電流法
(以下、二者をパルス法という)等の電解法によって、
金属または導電体表面に三次元化されたパ−フロロ基含
有トリアジンジチオ−ルポリマ−の被膜を生成させる方
法である。ここで云う金属とは、導電性ある金属であれ
ば何でもよく、鉄および鉄合金(ステンレス、パ−マロ
イなど)、銅および銅合金、ニッケル、金、銀、プラチ
ナ、白金、コバルト、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫およ
び錫合金、チタン、クロムなどをあげることができる。
導電体とは導電性被膜、ITO、カ−ボン、導電性ゴ
ム、有機導電体等である。電解質は溶剤に溶解し、通電
性を発揮し、かつ安定であれば何でもよいが、一般にN
aOH、Na2 CO3 、Na2 SO4 、K2SO3 、N
2 SO3 、K2 CO3 、NaNO2 、KNO2 、Na
NO3 、NaClO4 、CH3 COONa、Na2 2
7 、 NaH2 PO2 、(NaPO36 、Na2 Mo
4 、Na3 SiO3 等をあげることができる。これら
の濃度は一般に0.001M〜1M、望ましくは0.0
1M〜0.1Mの範囲である。溶剤は電解質とパ−フロ
ロ基含有トリアジンジチオ−ル誘導体を同時に溶解する
ものが望ましく、その組合わせは限定できないので、溶
剤を特定できないが、たとえば、水、メタノ−ル、エタ
ノ−ル、カルビト−ル、セルソルブ、ジメチルホルムア
ミド、メチルピロリドン、アクリルニトリル、エチレン
カ−ボナイトなどをあげることができる。不飽和基とパ
−フロロ基含有トリアジンジチオ−ル誘導体の濃度は
0.01mmol/L〜100mmol/L、望ましく
は0.1mmol/L〜10mmol/Lである。電解
液の温度は溶剤の凝固点や沸点と関係するので一義的に
特定できないが、たとえば、水溶液では1°C〜99°
C、好ましくは20°C〜80°Cである。対極(陰
極)材料は電解溶液と反応したり、導電性の著しく低い
ものでない限り、何でもよいが、一般にステンレス、白
金、カ−ボン等の不導電体が使用される。
【0015】〔サイクリック法〕サイクリック法は電位
幅が溶剤の分解しない範囲でおこなわれる。この範囲は
溶剤や電解質の種類等の影響を受けるので一義的に限定
できない。
【0016】〔定電位法、定電流法、パルス法〕定電位
法は−0.5〜2VvsCES、好ましくは自然電位か
ら酸化電位の範囲である。自然電位以下では全く重合し
ないし、酸化電位以上では溶剤の分解が起こる危険性が
ある。定電流法において電流密度は0.005〜50m
A/cm2 、好ましくは0.05〜5mA/cm2 が適
当である。0.05mA/cm2より少ないと、被膜成
長に時間がかかりすぎる。また5mA/cm2 より大き
いと、被膜に亀裂が生成したり、金属の溶出がみられ好
ましくない。パルス法における電解電位および電解電流
密度は上記の定電位法および定電流法におけるそれぞれ
と同じであるが、時間幅は0.01〜10分間、好まし
くは0.1〜2分間である。0.1分間より短くても、
また2分間より長くても、パルス法の効果が充分に発揮
されなくなる。金属に有機物などの異物が付着している
場合は、前処理として、これを除去しなければならない
が、酸化物等は表面の導電性を著しく低下させない限り
問題ない。もちろん活性化処理等も同様である。上記の
範囲はいずれも一つの目安であり、それぞれの条件因子
およびその組合わせが変化すると変わることは当然であ
る。
【0017】
【実施例】以下,実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 〔実施例1〜12、被膜の生成方法〕図1に示されるU
LBAC製真空蒸着装置を用い、トリアジンジチオ−ル
誘導体をボックスに入れ、ステンレス板(0.2×3×
5cm、アセトンで脱脂)を取付ける。真空ポンプを作
動させ、電離真空計により真空度が10-2Paに達した
ら、蒸発源のヒ−タ−温度を110°C〜160°Cま
であげて、蒸着速度と被膜厚さを測定した。
【0018】また、図2に示されるスパッタ−装置(R
E RMC−Eiko Corp.)を用いて、真空下
でステンレス板(0.2×3×5cm、アセトンで脱
脂)表面にトリアジンジチオ−ル被膜を形成させた。ト
リアジンジチオ−ルとエタノ−ルを体積比1/1に混合
して、適当な流動性のときタ−ゲット上に保持する。室
温で溶剤を自然蒸発により蒸発させて、トリアジンジチ
オ−ル・タ−ゲットを作成する。室温で5.0×10-2
〔Torr〕の真空に保持し、直流電流を5Ma流すと
放電が起こり、タ−ゲットのトリアジンジチオ−ル分子
が飛び、基板に積層する。陰極のタ−ゲット温度を調整
するために、タ−ゲットに冷却水を流しながらおこな
う。いずれの場合も、分光エリプソメ−タ〔日本分光
(株)製 M−150i型〕により被膜成長開始10分
後の膜厚を測定した。
【0019】表1に示されるように、真空蒸着法および
スパッタ−法のいずれにおいても、ステンレス上にトリ
アジンジチオ−ルの被膜が生成することがわかった。昇
華温度を最低にしてあるので、被膜の生成速度は60Å
/min程度と低いが、昇華温度を高くすれば生成速度
を高くすることができる。
【0020】
【表1】
【0021】〔実施例13〜15、被膜成分の熱重合方
法〕トリアジンジチオ−ルとして6−ジブチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル(表1、
No.3)をスチ−ル板(0.2×3×5cm、アセト
ンで脱脂)上に表1の条件で真空蒸着し、厚さの異なる
被膜を作成した。これを空気中で加熱して重合し、アル
コ−ルに対する不溶率、すなわち重合率(W)と、熱重
合処理板をTHF(テトラヒドロフラン)に浸漬して得
られた重合体の数平均分子量(Mn)をゲルパ−ミエ−
ションクロマトグラフィ−(GPC)により測定した。
結果を表2に示す。これより、被膜の厚さの増大と共に
重合率および数平均分子量が減少し、重合温度の増大と
共に重合率および数平均分子量が増加することがわか
る。
【0022】
【表2】
【0023】〔実施例16〜20、被膜成分の光重合方
法〕トリアジンジチオ−ルとして6−ジアリルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル(表1、
No.1、2)、6−ジデセニルカルボキシエチルアミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル(表
1、No.5)、およびアリルデシルパ−フロロエチル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル
(表1、No.11、13)を石英板(0.2×3×5
cm、アセトンで脱脂)上に表1の条件で真空蒸着また
はスパッタリングし、厚さの異なる被膜を作成した。こ
れにワコム製作所製万能型ランプハウス(HX−500
W)を用い、光源から30cmのところに試料をおき、
20°Cで光重合し、THFに対する不溶率、すなわち
三次元化率(G)を測定した。結果を表3に示す。
【0024】これによれば、置換基の長さが短いほど重
合しやすい傾向がある。とくに被膜が結晶性または異方
性を有している場合は、重合速度が低くなることが推察
される。表3のデ−タは20°Cにおける光重合の場合
であるが、重合温度を40°Cにすると重合速度(表3
中カッコで示される)が著しく上昇する。
【0025】
【表3】
【0026】〔実施例21〜22、被膜成分の共重合方
法〕アルミニウム板(0.2×3×5cm、アセトンで
脱脂)にまずトリアジンジチオ−ルとして6−ジアリル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル
膜250Å、つぎに6−ジブチルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオ−ル膜250Åを蒸着して
二層膜(DA/DB膜)を、また6−ジブチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ−ル膜250
Å、つぎに6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジ
ン−2,4−ジチオ−ル膜250Åを蒸着して二層膜
(DB/DA膜)をそれぞれ形成した。これを空気中、
160°Cで加熱して重合率(アルコ−ル不溶率)と三
次元化率(THF不溶率)を求め、共重合性を検討し、
結果を表4に示す。重合率はアルコ−ルに20°Cで2
4時間浸漬し乾燥後、また三次元化率はTHFに20°
Cで24時間浸漬し乾燥後、膜厚をエリプソメ−タによ
り測定し、それぞれを求めた。
【0027】
【表4】
【0028】重合率はDAまたはDBの混合物がどの程
度重合したかを示す。三次元化率はDAとDBが共重合
しているかどうかの目安となる。DA/DB膜およびD
B/DA膜は時間とともに重合率、三次元化率が高くな
り、重合していることがわかる。この場合、不飽和基を
上層にしたほうが共重合性が高くなることもわかる。
【0029】〔実施例23〜24、被膜成分の電解重合
方法〕表1で示されるように、トリアジンジチオ−ル誘
導体を2000Å真空蒸着またはスパッタ−してトリア
ジンジチオ−ルの薄膜を金属の両面に生成させた試料を
作成した。つぎに、0.3MのNaNO2 水溶液を電解
溶液として、陰極に白金(参照極)、陽極(作用極)に
上記試料を用い、0.1mA/cm2 の電流密度で電解
重合を40°Cで20分間おこなった。重合率、数平均
分子量、三次元化率は前記のようにして測定した。結果
を表5に示す。
【0030】
【表5】
【0031】以上のように、導電体の表面のトリアジン
ジチオ−ル薄膜の成分は電解重合によっても重合させる
ことが可能であり、この方法により、従来の電解重合に
みられた浴槽の汚染や高価なモノマ−の損失を防ぐこと
ができる。
【0032】
【発明の効果】トリアジンジチオ−ル誘導体に対し真空
蒸着法やスパッタ−法を用いることにより、固体表面に
その薄膜を形成させることができ、さらに、その薄膜の
成分は熱、紫外線および電気化学的エネルギ−を用いて
重合させることができる。これはドライシステムにより
固体表面に機能を付与する新しい方法として注目され
る。すなわち、このようにして得られる被膜は耐蝕性、
潤滑性、非汚染性、接着性、密着性、非粘着性、防曇性
および氷結防止性、撥水性等が要求される種々の製品、
たとえばコネクタ−材料、金属ギア、装飾用金属製品、
金属鏡、金属金型、ハ−ドデスク、磁気テ−プ、時計の
針、金属食器などに応用可能である。さらに、この被膜
はトリアジンジチオ−ルの種類を選択することにより、
低自由エネルギ−から高自由エネルギ−表面に変化させ
ることができ、プラスチックスや窓ガラス等セラミック
スの表面改質にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 真空蒸着装置の説明図である。
【図2】 スパッタ−装置の説明図である。
【符号の説明】
1 ヒ−タ− 2 膜厚計 3 基板 4 モノマ− 5 シャッタ− 6 タ−ゲット 7 試料台
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【化2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 邦夫 岩手県盛岡市高松3丁目3−16 (72)発明者 ▲濱▼田 忠行 千葉県船橋市三咲二丁目11番1号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 〔式中、R1 、R2 はH、CH3 、C2 5 、C
    4 9 、C6 13、C8 17、C1021、C1225、C
    1837、C2041、C2245、C2449、CH2 =CH
    CH2 、CH2 =CH(CH2 8 、CH2 =CH(C
    2 9 、C8 17CH2 =CHC8 16、C6 11
    6 5 、C6 5 CH2 、C6 5 CH2 CH2 、C
    2 =CH(CH2 4 COOCH2 CH2 、CH2
    CH(CH2 8COOCH2 CH2 、CH2 =CH
    (CH2 9 COOCH2 CH2 、CF3 6 4 、C
    4 9 6 4 、C6 136 4 、C8 17
    6 4 、C10216 4 、C6 11OC6 4 、C9
    17OC6 4 、C4 9 CH2 、C6 13CH2 、C
    8 17CH2 、C1021CH2 、C4 FCH2 CH2
    6 13CH2 CH2 、C8 1 CH2 CH2 、C10
    21CH2 CH2 、C4 9 CH2 =CHCH2 、C6
    13CH2 =CHCH2 、C8 1 CH2 =CHCH2
    1021CH2 =CHCH2 、C4 9 CH2 CH(O
    H)CH2 、C6 13CH2 CH(OH)CH2 、C8
    1 CH2 CH(OH)CH2 、C1021CH2 CH
    (OH)CH2 、CH2 =CH(CH2 4 COO(C
    2 CH2 2 、CH2 =CH(CH2 8 COO(C
    2 CH2 2 、CH2 =CH(CH2 9 COO(C
    2 CH2 2 、C4 9 COO(CH2 CH2 2
    6 13COO(CH2 CH2 2 、C8 17COO
    (CH2 CH2 2 、C1021COO(CH2CH2
    2 をさすが、R2 はこの中でC6 11OC6 4 とC9
    17OC6 4を含まない。またMはHおよびアルカリ
    金属をさす。〕で示されるトリアジンジチオ−ル誘導体
    の薄膜を蒸着あるいはスパッタ−法により固体表面に生
    成させることからなるトリアジンジチオ−ル誘導体の被
    膜生成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1におけるトリアジンジチオ−ル
    誘導体2種以上のそれぞれからなる各層の薄膜を蒸着あ
    るいはスパッタ−法により段階的に固体表面に生成させ
    ることからなるトリアジンジチオ−ル誘導体の被膜生成
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1により生成したトリアジンジチ
    オ−ル誘導体の被膜の成分を熱重合法、紫外線照射法お
    よび電解重合法のいずれかにより重合させることからな
    るトリアジンジチオ−ル誘導体被膜成分の重合方法。
  4. 【請求項4】 請求項2により生成したトリアジンジチ
    オ−ル誘導体の被膜の成分を熱重合法、紫外線照射法お
    よび電解重合法のいずれかにより共重合させることから
    なるトリアジンジチオ−ル誘導体被膜成分の共重合方
    法。
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