Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPH10330847A - 熱間圧延線材の直接軟化方法 - Google Patents

熱間圧延線材の直接軟化方法

Info

Publication number
JPH10330847A
JPH10330847A JP14879897A JP14879897A JPH10330847A JP H10330847 A JPH10330847 A JP H10330847A JP 14879897 A JP14879897 A JP 14879897A JP 14879897 A JP14879897 A JP 14879897A JP H10330847 A JPH10330847 A JP H10330847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
temperature
wire rod
rolling
rolled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14879897A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3355999B2 (ja
Inventor
Yutaka Neishi
豊 根石
Koichi Kuroda
浩一 黒田
Shoichi Shibata
昌一 柴田
Kenichi Kawazoe
健一 河添
Hitoshi Matsumoto
斉 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP14879897A priority Critical patent/JP3355999B2/ja
Publication of JPH10330847A publication Critical patent/JPH10330847A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3355999B2 publication Critical patent/JP3355999B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】線材の先頭部から後尾部までを均一且つ75k
gf/mm2 以下の引張強度にまで軟化できるととも
に、スケール性状を均一にすることができる熱間圧延線
材の直接軟化方法の提供。 【解決手段】温度が700〜1000℃の被圧延線材を
仕上げ圧延して、圧延直後の温度を1100℃以下とし
た後、その線材の長手方向温度分布が先頭部及び後尾部
で50℃以上高温になるように調整し、次いで、レーイ
ング式巻取機で巻取ってリング密度を150〜500本
/mにしてコンベア上に展開し、550〜850℃の温
度域の温度T1になるまで放冷した後、0.05〜2℃
/秒の冷却速度で500〜640℃の温度域の温度T2
まで冷却し、その後放冷する。但し、T1>T2であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延線材の直
接軟化方法に関する。より詳しくは熱間圧延後リング状
に展開した線材の直接軟化方法であって、鋼線材の連続
熱間圧延において所定の形状に仕上げる仕上げ圧延の前
後の温度条件、仕上げ圧延後レーイング式巻取機(以
下、レーイングヘッドという)でリング状に展開する
(以下、本発明に関して「リング状に展開する」ことを
単に「巻取る」ともいう)前の条件及びその後の冷却条
件を調整することにより、線材の先頭部から後尾部まで
を均一に軟化する熱間圧延線材の直接軟化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延で製造されたJIS G 3502のピア
ノ線材、JIS G 3507の冷間圧造用炭素鋼線材、更にはJI
S G 4051、JIS G 4104やJIS G 4105などに記載の機械構
造用炭素鋼・合金鋼、JIS G 4805に記載の軸受鋼、JIS
G 4801に記載のばね鋼及びJISG 4401やJIS G 4401に記
載の工具鋼などを母材とする線材は、2次加工、3次加
工と称される伸線、引抜き、切断、鍛造や切削などの冷
間での加工工程を経て所要の製品に仕上げられる。
【0003】しかし、通常熱間圧延されたままの上記線
材の多くはその組織に、パーライト、ベイナイトあるい
はマルテンサイトといった硬質相を有するものである。
したがって、前記冷間での2次加工や3次加工を行うた
めに、一般に熱間圧延した線材に焼鈍や球状化などの軟
化熱処理を施し、強度を下げて延性を高めることが行わ
れてきた。
【0004】ところが、上記の軟化熱処理には10〜2
0時間もの長時間を必要とすることが多い。このため、
生産性の向上あるいは省エネルギーの観点から、圧延ま
まで軟化熱処理を施した場合と同等の軟質組織を得るこ
とができる、所謂「直接軟化」技術に対する要望が大き
くなってきた。
【0005】そこで、線材の連続熱間圧延における圧延
条件や冷却条件を種々調整して線材の冷却速度を調整
し、軟化組織を得る技術が種々検討されてきた。
【0006】例えば、特公昭60−56208号公報、
特開昭62−180023号公報、特開昭62−199
718号公報、特開昭63−293122号公報、特開
平3−64420号公報や特開平4−268028号公
報などに、焼鈍や球状化などの軟化熱処理を省略して熱
間圧延ままで軟質組織を得ることができる技術が提案さ
れている。
【0007】しかし、特公昭60−56208号公報で
提案された「熱間圧延線材の徐冷方法およびその装
置」、特開昭62−180023号公報で提案された
「熱間圧延線材の熱処理方法」、特開昭63−2931
22号公報で提案された「軟質化した中炭素鋼線材ある
いは低合金強靭鋼線材の製造方法」及び特開平4−26
8028号公報で提案された「線材の徐冷方法」は、そ
のいずれもがコイル状に巻取った後に徐冷する技術であ
る。このため、コイル状に巻かれた線材の外周部あるい
は内周部と、線材どうしが極めて密に接触する(つま
り、線材密度の高い)内部で、処理後の線材の表面性
状、特にスケール性状が不均一になることを避け難く、
このため脱スケール工程が複雑になるという問題があ
る。
【0008】特開昭62−199718号公報で提案さ
れている「機械構造用鋼の圧延材直接軟質化法」は「熱
間圧延後、パーライト変態終了までの温度範囲を15
℃/分以下の冷却速度で徐冷するか、又は、直ちに6
80〜730℃の範囲の温度にパーライト変態が終了す
るまで保定した後放冷する」ことにより軟質組織を得る
技術である。この方法によれば、確かに熱間圧延鋼材を
軟化させることは可能である。しかし、上記の方法によ
っても圧延鋼材の長手方向全長に亘って均一な軟化が行
えるというものではない。つまり、被圧延鋼材の長手方
向において最初に圧延を受けた鋼材先頭部と最後に圧延
を受けた鋼材後尾部の、所謂「非定常部」は硬く、先頭
部から後尾部まで長手方向全長に亘って均一に軟化する
ことが行えない場合が生ずる。
【0009】特開平3−64420号公報で提案されて
いる「軟化線材の製造方法および製造装置」は「レーイ
ングヘッドから吐出された線材をステルモアタイプのコ
ンベアで運搬しつつ冷却するに当たり、線材が650±
10℃の温度に少なくとも3分間保持される条件下に冷
却を行って、実質上ベイナイトを含まないフェライト+
パーライトの組織」にして線材を軟化させる技術であ
る。この方法によれば確かに線材を軟化させることがで
きる。しかし、特にCr、Mo、NiやMnなどを多く
含む焼入れ性の高い合金鋼においては、たとえSCM4
30やSCM440であっても、650±10℃の温度
域に少なくとも3分以上保持しただけでは、炭素が濃縮
したオーステナイトが未変態で残り、これがその後の冷
却でベイナイトに変態し、このために線材の全長に亘っ
て均一な軟質組織が得られず、機械特性が大きくばらつ
いて、その後の2、3次加工時に断線や割れなどの不具
合を生じることがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、線材の先頭
部から後尾部までを均一且つ75kgf/mm2 以下の
引張強度にまで軟化できるとともに、スケール性状を均
一にすることができる熱間圧延線材の直接軟化方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の熱間圧延線材の直接軟化方法にある。
【0012】(1)熱間圧延後リング状に展開した線材
の直接軟化方法であって、温度が700〜1000℃の
被圧延線材を仕上げ圧延して、圧延直後の温度を110
0℃以下とした後、その線材の長手方向温度分布が先頭
部及び後尾部で50℃以上高温になるように調整し、次
いで、レーイング式巻取機で巻取ってリング密度を15
0〜500本/mにしてコンベア上に展開し、550〜
850℃の温度域の温度T1になるまで放冷した後、
0.05〜2℃/秒の冷却速度で500〜640℃の温
度域の温度T2まで冷却し、その後放冷することを特徴
とする熱間圧延線材の直接軟化方法。但し、T1>T2
である。
【0013】ここで、「仕上げ圧延」とは、所謂「仕上
げ圧延機列」における圧延のことを意味する。但し、通
常の2ロール圧延機を用いた仕上げ圧延機列による圧延
を行った後で、更に、3ロールや4ロールなどの圧延機
を用いた圧延が行われる場合には、この3ロールや4ロ
ールなどの圧延機を用いた圧延のことを指す。
【0014】「温度」は線材の表面の温度を指し、「冷
却速度」は線材表面の所定の温度域における平均冷却速
度を指す。「放冷」とは大気中での自然冷却のことを指
す。
【0015】「550〜850℃の温度域の温度T1に
なるまで放冷した後、0.05〜2℃/秒の冷却速度で
500〜640℃の温度域の温度T2まで冷却し、その
後放冷する」とは、コンベア上にリング状に展開された
線材の特定の部分に着目したとき、その特定部分の温度
と冷却の条件を指すものである。コンベア上にリング状
に展開された線材全体は、上記特定の部分の総和であ
る。このため、線材全体から見れば、550〜850℃
の温度域の温度T1及び500〜640℃の温度域の温
度T2はそれぞれ特定の一温度を指すものではない。
【0016】線材の「先頭部」とは、線材の最先端位置
から重量割合で少なくとも4%までの部分のことをい
う。又、線材の「後尾部」とは、線材の最後端位置から
重量割合で少なくとも4%までの部分のことをいう。
【0017】「リング密度」とは、仕上げ圧延後レーイ
ングヘッドでコンベア上にリング状に展開された線材に
おいて、「リング中心部を通ってコンベア移動方向に平
行な長さ1mのラインを横切るリングの数」をいう。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは、種々の鋼種を用い
て線材の先頭部から後尾部までを均一に軟化できるとと
もにスケール性状を均一にすることができる熱間圧延線
材の直接軟化方法に関して実験を行った結果、下記の知
見を得た。
【0019】線材のスケール性状が不均一になること
を防止して、脱スケール処理を容易にするためには線材
のリング密度を適正化する必要がある。このためには巻
取り方法を仕上げ圧延後にレーイングヘッドでコンベア
上にリング状に展開する(巻取る)所謂「載荷型」とす
れば良い。
【0020】所定の形状に仕上げる仕上げ圧延の前後
の温度条件、仕上げ圧延後にレーイングヘッドでリング
状に巻取る前の線材の温度条件、巻取った線材のリング
密度及び巻取り後の冷却条件を調整すれば、上記の巻
取り方法で線材の先頭部から後尾部までを均一に軟化す
ることができる。
【0021】軟化後の線材の引張強度が75kgf/
mm2 以下であれば、後工程としての2、3次加工時に
断線や割れなどの不具合を生じることはない。
【0022】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0023】なお、本発明の方法が対象とする線材の化
学組成については、特別な限定を加える必要はない。最
終の製品に要求される特性(例えば、強度や靭性)を確
保できるような成分組成でありさえすれば良い。
【0024】具体的には、例えば重量%で、C:0.0
1〜1.2%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.
01〜2.0%、Cr:0〜2.0%、Mo:0〜0.
6%、Cu:0〜2.0%、Ni:0〜4.0%、T
i:0〜0.10%、Al:0.001〜0.10%、
N:0〜0.03%、V:0〜0.40%、Nb:0〜
0.15%、B:0〜0.005%、S:0〜0.10
%、Pb:0〜0.35%、Ca:0〜0.01%を含
有し、残部はFeと不可避不純物からなり、不純物とし
てのPが0.05%以下のものであれば良い。
【0025】以下に本発明の各要件について詳しく説明
する。
【0026】(A)仕上げ圧延前後の被圧延線材の温度 仕上げ圧延前の被圧延線材の温度が700℃未満では、
圧延機に対する負荷が大きくなるとともに圧延時に割れ
が発生することがある。加えて、被圧延線材の表層部に
マルテンサイトやベイナイトなど硬質の低温変態生成物
(過冷組織)が形成されることもあるためである。一
方、上記の温度が1000℃を超えると仕上げ圧延中も
しくは圧延後の結晶粒が粗大化して焼入れ性が高くな
り、冷却後にやはりベイナイトなどの硬質相が生成され
ることがあるし、更に、圧延後の冷却中に生成するスケ
ールが厚くなり、スケール除去の処理工程が複雑にな
る。したがって、仕上げ圧延前の被圧延線材の温度を7
00〜1000℃とした。
【0027】仕上げ圧延直後の被圧延線材の温度が11
00℃を超えると、結晶粒が粗大化して焼入れ性が高く
なり、冷却後にベイナイトなどの硬質相が生成されるこ
とがある。更に、圧延後の冷却中に生成するスケールが
厚くなり、スケール除去の処理工程が複雑になる。した
がって、圧延直後の被圧延線材の温度を1100℃以下
とした。この仕上げ圧延した直後の温度の下限値は70
0℃とすることが好ましい。前記温度のより好ましい下
限値は750℃である。
【0028】なお、仕上げ圧延前の温度が700〜10
00℃の被圧延線材を仕上げ圧延し、圧延直後の温度を
1100℃以下にするためには、例えば、粗圧延、中間
圧延での圧下量を調整し、仕上げ圧延における圧下量を
小さくして仕上げ圧延での加工発熱を小さく抑えるよう
な圧延パススケジュールとすれば良い。又、仕上げ圧延
と同時に、ロール接触による抜熱、ロール冷却水による
冷却、水冷などによって被圧延線材の表面を冷却しても
良い。
【0029】(B)巻取り前の線材長手方向の温度分布 被圧延線材を通常の方法で仕上げ圧延すると、レーイン
グヘッドでの巻取り時の線材温度は長手方向でほぼ同じ
である。このような線材をレーイングヘッドでコンベア
上にリング状に展開した場合、線材の先頭部と後尾部の
冷却速度が大きくなるので徐冷開始温度が線材長手方向
で一定にならない。このため、線材の先頭部から後尾部
までを均一に軟化させることが困難になる。
【0030】そこで、巻取り後の線材の先頭部と後尾部
の冷却速度を小さくして徐冷開始温度が線材長手方向で
一定になるようにするために、仕上げ圧延後、線材の先
頭部及び後尾部が50℃以上高温になるように調整し、
線材長手方向に温度分布を持たせる。
【0031】既に述べたように、本発明においては、所
謂「非定常部」としての線材の先頭部は線材の最先端位
置から重量割合で少なくとも4%までの部分、又、後尾
部は線材の最後端位置から重量割合で少なくとも4%ま
での部分のことをいうので、先頭部及び後尾部の温度は
50〜300℃程度高めておけば充分である。
【0032】上記の線材の先頭部と後尾部としてそれぞ
れ線材の最先端位置と線材の最後端位置から重量割合で
少なくとも5%までの部分を採ればより均一に線材を直
接軟化させることが可能である。更に、線材の先頭部と
後尾部としてそれぞれ線材の最先端位置と線材の最後端
位置から重量割合で少なくとも10%までの部分を採れ
ばより一層均一に線材を直接軟化させることができる。
【0033】なお、徐冷開始温度が線材長手方向でほぼ
一定でありさえすれば、線材の長手方向に温度分布を持
たせる方法に拘らずに軟化処理後に均一な組織が得られ
るので、線材を均一に軟化させることが可能となる。し
たがって、巻取り前の線材長手方向に上記の温度分布を
付与するためには、例えば、線材圧延時の加熱炉の炉
内温度を傾斜させて、線材圧延後の先頭部及び後尾部に
相当する素材部分を高温に加熱する、線材圧延時の冷
却制御によって、先頭部及び後尾部の温度を高温に保
つ、仕上げ圧延後に先頭部及び後尾部を再加熱して温
度を高温に保つ、などの方法を単独であるいは複合して
行えば良い。
【0034】(C)コンベア上に展開する線材のリング
密度 所謂「載荷型」によって仕上げ圧延後にレーイングヘッ
ドでコンベア上にリング状に展開される(巻取られる)
線材のリング密度は、通常100本/m以下である。し
かもコンベア上に展開された線材はコンベア側端部では
密に重なっているがコンベア中心部では重なりは疎な状
態である。このため、部位によって冷却速度に違いが生
じ均一な軟化が行えず、更に、スケール性状も不均一な
ものとなっていた。
【0035】線材のリング密度が500本/mを超える
場合には、スケール性状が不均一になり脱スケール処理
が困難になる。一方、線材のリング密度が150本/m
を下回る場合には、前記した部位による冷却速度の違い
から均一な軟化が行えない場合がある。したがって、線
材のリング密度を150〜500本/mとした。この場
合、下記(D)に記載の巻取り後の冷却条件を満たすこ
とによって、線材の先頭部から後尾部までを均一に軟化
することができる。
【0036】なお、仕上げ圧延後にレーイングヘッドで
コンベア上にリング状に展開される(巻取られる)線材
のリング密度とは、既に述べたように、「リング中心部
を通ってコンベア移動方向に平行な長さ1mのラインを
横切るリングの数」をいう。したがって、このリング密
度は仕上げ圧延速度、コンベア速度により一義的に決ま
り、1/{(コンベア速度/仕上げ圧延速度)×π×
(リング直径)}で表される。
【0037】なお、線材圧延設備毎にリング直径は決定
されているので、コンベア速度と仕上げ圧延速度を調整
することで、容易に上記の150〜500本/mの線材
のリング密度とすることができる。
【0038】(D)コンベア上に展開した線材 所謂「直接軟化処理」で線材の先頭部から後尾部までを
均一に軟化させるためには、上記(C)に記載したリン
グ密度でコンベア上に展開された線材を先ず、550〜
850℃の温度域の温度T1になるまで放冷する必要が
ある。T1が550℃未満の温度の場合、放冷すると、
表層部にベイナイトなどの硬質組織が発生して所望の軟
化が行えない。一方、放冷終了温度T1が850℃より
も高い場合には、軟化させるために次に0.05〜2℃
/秒の冷却速度で500〜640℃の温度域の温度T2
まで冷却するのに長時間を要するので生産性が低くなっ
てしまう。
【0039】「直接軟化処理」で線材の先頭部から後尾
部までを均一に軟化させるためには、上記の550〜8
50℃の温度域の温度T1になるまで放冷されたリング
状の線材を、更に、0.05〜2℃/秒の冷却速度で5
00〜640℃の温度域の温度T2まで冷却する必要が
ある。なお、T2は上記T1よりも低い温度である。
【0040】冷却速度が2℃/秒を超えると、特にC
r、Mo、NiやMnなどを多く含む焼入れ性の高い合
金鋼の場合にはベイナイトなど硬質の組織が生じて均一
な軟化を行えない場合がある。一方、冷却速度が0.0
5℃/秒未満の場合には長時間の処理が必要となって生
産性が低くなってしまう。このため、500〜640℃
の温度域の温度T2まで冷却する冷却速度を0.05〜
2℃/秒とした。なお、生産性をより高めるために上記
の冷却速度は0.1〜2℃/秒とすることが好ましい。
【0041】上記の冷却速度で冷却する温度T2が64
0℃を超える場合には、特にCr、Mo、NiやMnな
どを多く含む焼入れ性の高い合金鋼の場合にオーステナ
イトが未変態のまま存在して、これがその後の放冷でベ
イナイトに変態するため、線材の全長に亘って均一な軟
質組織が得られず、機械特性が大きくばらついて、その
後の2、3次加工時に断線や割れなどの不具合を生じる
ことがある。一方、上記の温度T2が500℃を下回る
場合には、長時間の処理が必要となって生産性が低くな
ってしまう。
【0042】550〜850℃の温度域の温度T1にな
るまで放冷されたリング状の線材を、更に、0.05〜
2℃/秒の冷却速度で500〜640℃の温度域の温度
T2まで冷却するためには、温度補償として、例えば、
コンベア上に保温カバーを設置する、温風や熱風を
吹き付ける、加熱する、などの方法を単独であるいは
複合して行えば良い。
【0043】なお、本発明の直接軟化方法の対象となる
線材は、その直径が20mm以下のものであることが好
ましい。
【0044】以下、本発明を実施例によって更に詳しく
説明する。
【0045】
【実施例】表1に示す化学組成を有する鋼A〜Cを通常
の方法で連続鋳造、分塊圧延して1トンビレットを作製
した。なお、表1における鋼AはSCM435相当鋼、
鋼BはS45C相当鋼、鋼CはSCr430相当鋼であ
る。このビレットを、表2に示す条件で圧延・冷却して
直径10mmの線材を得た。なお、粗圧延、中間圧延で
の圧下量を調整して仕上げ圧延時の加工発熱で仕上げ圧
延直後に1100℃を超えることがないようにし、仕上
げ圧延後の線材の長手方向の温度分布は圧延時の冷却制
御によって付与した。温度T1になるまで放冷した後
は、保温カバーをコンベア上に設置して温度T2まで冷
却した。したがって、表2に記載の温度T1とT2はそ
れぞれ「保温カバー入り口での温度」と「保温カバー出
口での温度」のことである。
【0046】このようにして得た線材の先端から50k
g(「先頭部」)、中央部50kg及び後端から50k
g(「後尾部」)から試験片を採取して引張試験を行
い、引張強度を調査した。又、線材の「先頭部」、「中
央部」及び「後尾部」における表面性状としてスケール
性状調査も行った。スケール性状はスケール厚みで評価
した。表3に試験結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】表3から、本発明で規定する条件で処理す
れば、線材の先頭部から後尾部までを均一に引張強度7
5kgf/mm2 以下に軟化できるとともに、スケール
も均一で且つ厚みを薄くできることが明らかである。
【0051】
【発明の効果】本発明の熱間圧延線材の直接軟化処理方
法によれば、線材を圧延のままで均一に軟化できしかも
スケール性状も均一にすることができる。このため、焼
鈍や球状化などの軟化熱処理を必要とせず、更に、脱ス
ケールも容易に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河添 健一 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住友 金属工業株式会社小倉製鉄所内 (72)発明者 松本 斉 福岡県北九州市小倉北区許斐町1番地住友 金属工業株式会社小倉製鉄所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱間圧延後リング状に展開した線材の直接
    軟化方法であって、温度が700〜1000℃の被圧延
    線材を仕上げ圧延して、圧延直後の温度を1100℃以
    下とした後、その線材の長手方向温度分布が先頭部及び
    後尾部で50℃以上高温になるように調整し、次いで、
    レーイング式巻取機で巻取ってリング密度を150〜5
    00本/mにしてコンベア上に展開し、550〜850
    ℃の温度域の温度T1になるまで放冷した後、0.05
    〜2℃/秒の冷却速度で500〜640℃の温度域の温
    度T2まで冷却し、その後放冷することを特徴とする熱
    間圧延線材の直接軟化方法。但し、T1>T2である。
JP14879897A 1997-06-06 1997-06-06 熱間圧延線材の直接軟化方法 Expired - Fee Related JP3355999B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14879897A JP3355999B2 (ja) 1997-06-06 1997-06-06 熱間圧延線材の直接軟化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14879897A JP3355999B2 (ja) 1997-06-06 1997-06-06 熱間圧延線材の直接軟化方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10330847A true JPH10330847A (ja) 1998-12-15
JP3355999B2 JP3355999B2 (ja) 2002-12-09

Family

ID=15460950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14879897A Expired - Fee Related JP3355999B2 (ja) 1997-06-06 1997-06-06 熱間圧延線材の直接軟化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3355999B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100435483B1 (ko) * 1999-12-28 2004-06-10 주식회사 포스코 표면결함이 없고 표면탈탄이 우수한 철도레일크립용선재의 제조방법
JP2005164627A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Sumitomo Denko Steel Wire Kk 楽器弦用鋼線およびその製造方法
JP2008007853A (ja) * 2006-05-31 2008-01-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 圧延線材及びその製造方法
JP2015205305A (ja) * 2014-04-21 2015-11-19 大同特殊鋼株式会社 リングの製造方法
KR20160063554A (ko) * 2014-11-26 2016-06-07 주식회사 포스코 강도와 충격인성이 우수한 선재 및 그 제조방법
CN107695095A (zh) * 2017-11-12 2018-02-16 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 环保型高碳盘条氧化铁皮的生产方法
CN116060440A (zh) * 2023-03-06 2023-05-05 太原科技大学 一种镍基合金线材及其制备方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100435483B1 (ko) * 1999-12-28 2004-06-10 주식회사 포스코 표면결함이 없고 표면탈탄이 우수한 철도레일크립용선재의 제조방법
JP2005164627A (ja) * 2003-11-28 2005-06-23 Sumitomo Denko Steel Wire Kk 楽器弦用鋼線およびその製造方法
JP2008007853A (ja) * 2006-05-31 2008-01-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 圧延線材及びその製造方法
JP2015205305A (ja) * 2014-04-21 2015-11-19 大同特殊鋼株式会社 リングの製造方法
KR20160063554A (ko) * 2014-11-26 2016-06-07 주식회사 포스코 강도와 충격인성이 우수한 선재 및 그 제조방법
CN107695095A (zh) * 2017-11-12 2018-02-16 湖南华菱湘潭钢铁有限公司 环保型高碳盘条氧化铁皮的生产方法
CN116060440A (zh) * 2023-03-06 2023-05-05 太原科技大学 一种镍基合金线材及其制备方法
CN116060440B (zh) * 2023-03-06 2023-06-20 太原科技大学 一种镍基合金线材及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3355999B2 (ja) 2002-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4123672B2 (ja) 靱性に優れた高強度継目無鋼管の製造方法
JP3598868B2 (ja) 熱間圧延線材の製造方法
US4604146A (en) Process for manufacturing high tensile steel wire
JP3506033B2 (ja) 熱間圧延棒鋼または線材の製造方法
WO2020184372A1 (ja) 熱延鋼板
JP3355999B2 (ja) 熱間圧延線材の直接軟化方法
JP2003183733A (ja) 線材の製造方法
JP4192857B2 (ja) 高強度冷延鋼板及びその製造方法
JP2756534B2 (ja) 高延性棒鋼の製造方法
JP3965708B2 (ja) 靱性に優れた高強度継目無鋼管の製造方法
JP3806173B2 (ja) 熱延連続化プロセスによる材質バラツキの小さい熱延鋼板の製造方法
JPH10128402A (ja) 鋼線の製造方法及び製造設備
US6682612B2 (en) Method of heat treatment of wire
WO2022234760A1 (ja) 冷間圧延用の鋼板の製造方法および冷間圧延鋼板の製造方法
JP3806176B2 (ja) 熱延連続化プロセスによる材質バラツキの小さい熱延鋼板の製造方法
JP3941748B2 (ja) 軟質化鋼材の製造方法
JP3806174B2 (ja) 熱延連続化プロセスによる材質バラツキの小さい熱延鋼板の製造方法
JP3872538B2 (ja) 表面性状と酸洗性の良好な熱延鋼板の製造方法
JPH04289126A (ja) 材質均一性に優れる高加工性高張力熱延鋼板の製造方法
JP3872537B2 (ja) 表面性状と酸洗性の良好な熱延鋼板の製造方法
JP2951411B2 (ja) 材質均一性に優れた高加工性熱延高張力鋼板の製造方法
JP3445993B2 (ja) 切断後の変形の小さい熱延鋼板の製造方法
JP3806175B2 (ja) 熱延連続化プロセスによる材質バラツキの小さい熱延鋼板の製造方法
JPH09287024A (ja) フェライト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造方法
JPS644568B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111004

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121004

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131004

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131004

Year of fee payment: 11

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131004

Year of fee payment: 11

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees