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JPH10324986A - 高Crステンレス鋼の脱スケール用アルカリ溶融塩浴 - Google Patents

高Crステンレス鋼の脱スケール用アルカリ溶融塩浴

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JPH10324986A
JPH10324986A JP13526597A JP13526597A JPH10324986A JP H10324986 A JPH10324986 A JP H10324986A JP 13526597 A JP13526597 A JP 13526597A JP 13526597 A JP13526597 A JP 13526597A JP H10324986 A JPH10324986 A JP H10324986A
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JP
Japan
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molten salt
stainless steel
salt bath
nitrate
descaling
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JP13526597A
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Shigeru Kitani
滋 木谷
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高Crステンレス鋼帯をアルカリ溶融塩浸漬
法により脱スケールしても、光沢むらが発生しないアル
カリ溶融浴を提供する。 【解決手段】 硝酸塩含有率が硝酸ナトリウムに換算し
て、1〜8重量%であるアルカリ溶融塩浴を用いてCr
を19%以上含有するステンレス鋼を脱スケールする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高Crステンレス
鋼の表面に生成した酸化物(以下スケールと記す)を除
去するのに用いるアルカリ溶融塩浴に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板の製造工程に、焼鈍後の
鋼帯を機械的にあるいいは科学的に脱スケールする工程
がある。冷間圧延後の板厚が0.4〜2mm程度の薄い
鋼帯を焼鈍した場合には、ショットブラスト等の機械的
な脱スケール方法を適用すると、表面が非常に凹凸の大
きいものになる。
【0003】ステンレス鋼のスケールは酸化クロム(C
r23 )を主成分とし、化学的に安定で、緻密な構造を
有するため、酸洗のみでは脱スケールすることができな
い。したがって、ステンレス鋼にはアルカリ溶融塩浸漬
法のような化学的脱スケール方法が適用される。
【0004】アルカリ溶融塩は、水酸化ナトリウムや硝
酸ナトリウム等を主成分とするもので、古くは米国コー
リン社の特許(特公昭45−18001号公報)等が知
られている。溶融塩の脱スケール作用は以下の通りであ
る。
【0005】焼鈍後のステンレス鋼板をアルカリ溶融塩
に浸漬すると、下記(1)、(2)式で示されるように
スケール中の酸化クロム(Cr23 )がアルカリ溶融塩
(通常480℃程度)中の水酸化ナトリウムや硝酸ナト
リウムと反応して水溶性のクロム酸ナトリウム(Na2
r O4 )となるので、これを水洗して除去すれば、スケ
ールの緻密さは失われ、鉄を主成分とする酸洗の容易な
ものに変化する。
【0006】 Cr23 +2Na OH→2Na Cr O2 +H2 O (1) 2Na Cr O2 +3Na NO3 +2Na OH →2Na2Cr O4 +3Na NO2 +H2 O (2) アルカリ溶融塩の成分としてはNaOHおよびNaNO
3 が主要成分となっており、実際にはこの外に塩化物な
どの塩類を少量添加したものなども使用されている。ま
た、アルカリ溶融塩浴中には、通常、空気中の炭酸ガス
を吸収してできた炭酸塩が少量含まれる。
【0007】アルカリ溶融塩浴のNaNO3 濃度に関し
て、例えば米国特許No.2458661号公報には重
量%で、22.2〜38.5%の硝酸塩を含むアルカリ
溶融塩(硝酸塩:水酸化物:塩化物の重量比が1.0:
1.5〜3.0:0.1〜0.5)が開示されている。
【0008】また、特公昭45−18001号公報に
は、重量%で硝酸ナトリウム9〜15%、塩化ナトリウ
ム5〜15%、水酸化カリウム8〜20%、水酸化ナト
リウム50〜78%のアルカリ溶融塩浴が示されてい
る。
【0009】特公昭60−53755号公報には、同じ
く重量%で硝酸ナトリウム10〜40%、水酸化カリウ
ム5〜20%、残部水酸化ナトリウムのアルカリ溶融塩
浴が開示されている。
【0010】ステンレス鋼は一般にCrを11%以上含
有する鋼であり、最も多く使用されるのが18%Cr−
8%Niオーステナイト系ステンレス鋼である。最近で
は、ステンレス鋼板を裸のままで使用する屋根材として
の需要が多くなっており、この用途にはCrを20〜3
0%含有する高Crフェライト系ステンレス鋼が多く用
いられる。
【0011】このような高Crのフェライト系ステンレ
スの鋼帯やフェライト−オーステナイト系ステンレス鋼
帯をアルカリ溶融塩浴で脱スケール処理をおこなうと、
光沢むらが発生するという問題がある。光沢むらのある
ステンレス鋼帯は、上記屋根材等の美観が要求される用
途には使用できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、Crを19%以上含む高Crステンレス鋼
帯をアルカリ溶融塩浸漬法により脱スケールしても、光
沢むらが発生しないアルカリ溶融塩浴を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高Crステ
ンレス鋼板を溶融塩浴に浸漬して脱スケールをおこなう
と鋼板表面に生じる光沢ムラの発生原因を調査し、その
対策について鋭意、実験検討を重ねた結果、次のような
知見を得るに至った。
【0014】1)ステンレス鋼帯をアルカリ溶融塩浸漬
法により脱スケールすると、Cr含有率が19%未満で
は光沢むらは、ほとんど発生しないが、19%以上にな
ると光沢むらが顕著に発生する。
【0015】2)光沢むらの発生する原因は、脱スケー
ル時にスケール直下の金属(母材)が不均一に溶融塩に
より侵食されるためである。
【0016】3)不均一侵食を防止するには、アルカリ
溶融塩浴の硝酸塩の含有率を硝酸ナトリウムに換算して
1〜8%とすればよい。
【0017】本発明は、このような知見に基づきなされ
たもので、その要旨は、「硝酸塩含有率が硝酸ナトリウ
ムに換算して、1〜8重量%であることを特徴とする重
量%でCrを19%以上含有するステンレス鋼の脱スケ
ール用アルカリ溶融塩浴」にある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のアルカリ溶融塩浴は、硝
酸塩含有率が硝酸ナトリウムに換算して、1〜8重量%
であり、その理由は以下の通りである。
【0019】1%未満では、アルカリ溶融塩浴の酸化力
が弱くなり脱スケールが充分できなくなる。一方8%を
超えると、逆に酸化力が強くなり過ぎ母材が浸食され光
沢むらが発生する。したがって、アルカリ溶融塩浴の硝
酸塩含有率を硝酸ナトリウムに換算して、1〜8%とし
た。
【0020】本発明のアルカリ溶融塩浴は、硝酸塩の含
有率が硝酸ナトリウムに換算して1〜8%と従来のアル
カリ溶融塩浴に比べて低いのが特徴である。
【0021】アルカリ溶融塩の酸化力は、硝酸塩の濃度
で決まり、この濃度が高いほど酸化力が強くなる。
【0022】従来のアルカリ溶融塩のように硝酸塩を1
0〜40%含有する場合には、酸化力が強いため酸化ス
ケールの溶解速度は速くなるが、反面Cr含有量が19
以上のステンレス鋼になると、スケール直下の地金まで
も不均一に侵食されるのである。これは高Crステンレ
ス鋼は、16〜18%の比較的低いCr含有率のステン
レス鋼に比べて化学的に活性が強いためと推測される。
また、高Crステンレス鋼の酸化スケールはCrの濃度
が高いので、アルカリ溶融塩の酸化力はそれほど強い必
要はなく、硝酸ナトリウム濃度が1〜8%で脱スケール
は充分可能である。そして、酸化力を弱めることにより
高Crステンレス鋼の母材の不均一侵食が防止され、光
沢ムラが解消するのである。好ましくは、硝酸ナトリウ
ムに換算して2〜6%である。
【0023】本発明の溶融塩浴は、上記のような理由に
より、Crを19%以上含有するステンレスを対象とす
る。ステンレスでCr含有が最も多い場合で30%程度
であるが、そのようなステンレスでも本発明の溶融塩浴
は効果を発揮する。
【0024】本発明のアルカリ溶融塩浴の硝酸塩以外の
成分は、溶融塩の酸化力には直接影響を及ぼさないの
で、特に限定するものでなく従来と同様の成分でよい。
より具体的には、水酸化ナトリウムを85〜90%、硝
酸ナトリウムや硝酸カリウム等の硝酸塩が硝酸ナトリウ
ムに換算して1〜8%、必要により9〜13%の水酸化
カリウムや6%以下の塩化ナトリウムを含むアルカリ溶
融塩浴でよい。
【0025】本発明のアルカリ溶融塩浴の使用時の浴温
は、温度が高いほど酸化力が強くなって不均一侵食が起
きやすくなるので、500℃以下が好ましい。しかし、
450℃以下では脱スケール能力が低下すると同時に鋼
帯の連続処理における溶融塩の持ち出し量が多くなると
いう不都合が生じる。したがって、通常は450〜50
0℃が適当である。
【0026】また、アルカリ溶融塩へのステンレス鋼帯
の浸漬処理時間は、長いほど地金の不均一侵食が起きや
すいので、2〜10秒間で十分に脱スケールが可能であ
るのでそれ以上長くする必要はない。アルカリ溶融塩に
浸漬の後、酸洗と水洗とを施すことにより、表面が清浄
な鋼帯が得られる。
【0027】
【実施例】表1に示す、3種類の板厚0.5mmのステ
ンレス冷延鋼帯から、幅50mm、長さ100mmの試
験片を切り出し、電気炉で表1に示す温度で試験片を9
0秒間焼鈍した。焼鈍後、試験片を表2に示す硝酸塩濃
度の異なる5種類のアルカリ溶融塩浴に5秒間浸漬し、
試験片を水洗して付着したアルカリ溶融塩を溶解除去し
た。なお、溶融塩浴の温度は表2に示した温度とした。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】次いで、表面に残存するFeを主成分とす
る酸化物を60℃、30%HNO3に10分間浸漬する
ことによって除去した後、水洗、乾燥した。このように
して得られた試験片の表面の光沢ムラの程度を目視観察
で5段階に評価した。
【0031】また、アルカリ溶融塩浸漬処理前の試験片
重量から硝酸浸漬、水洗、乾燥後の試験片重量を差し引
いて、アルカリ溶融塩浸漬処理による溶解減量を求め
た。
【0032】これらの結果を表2に示す。同表から、比
較例、記号Aのアルカリ溶融塩浴中のNaNO3 濃度が
0.5%の場合には、著しい光沢ムラが発生しているこ
とが分かる。この原因はスケール直下の地金の不均一溶
解ではなく、むしろ脱スケール不足のために生じたもの
であった。従って、この記号Aの場合はすべて溶解減量
が20g/m2 以下と非常に少ない。
【0033】記号B〜Dの硝酸塩濃度がNaNO3 換算
で1〜8%の範囲にあるアルカリ溶融塩の場合には、供
試材各aおよびbには全く光沢ムラは発生せず、溶解減
量は95〜122g/m2 の範囲であった。しかし、C
r含有率が18.25%と低い供試材cには脱スケール
不足による光沢ムラがかなり発生した。
【0034】記号Eのアルカリ溶融塩浴中のNaNO3
濃度が8.0%、KNO3 濃度が2.0%の場合には、
硝酸塩が硝酸ナトリウム換算値で8%を超えるため供試
材aおよびbの試験片に著しい光沢ムラが発生した。こ
の原因は、スケール直下の地金の不均一溶解によるもの
であった。また、溶解減量も250g/m2 以上と非常
に大きかった。
【0035】しかし、Cr含有率が低い供試材cには光
沢ムラは発生せず、溶解減量も100g/m2 程度であ
った。以上のように、ステンレス鋼のCr含有率に応じ
てアルカリ溶融塩浴中の硝酸塩濃度を調整すれば光沢ム
ラの発生しない脱スケールが可能である。
【0036】
【発明の効果】本発明によって、高Crステンレス鋼板の
製造過程での光沢ムラの発生を防止することが可能とな
り、製品の表面品質向上や歩留まり向上に役立つ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硝酸塩含有率が硝酸ナトリウムに換算し
    て、1〜8重量%であることを特徴とするCrを重量%
    で19%以上含有するステンレス鋼の脱スケール用アル
    カリ溶融塩浴。
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