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JPH10316959A - 硬化型粘接着剤組成物及び硬化型粘接着シート - Google Patents

硬化型粘接着剤組成物及び硬化型粘接着シート

Info

Publication number
JPH10316959A
JPH10316959A JP23849197A JP23849197A JPH10316959A JP H10316959 A JPH10316959 A JP H10316959A JP 23849197 A JP23849197 A JP 23849197A JP 23849197 A JP23849197 A JP 23849197A JP H10316959 A JPH10316959 A JP H10316959A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive
curable
rubber
light
curing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23849197A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Miura
誠 三浦
Kazuhiro Shimomura
和弘 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP23849197A priority Critical patent/JPH10316959A/ja
Publication of JPH10316959A publication Critical patent/JPH10316959A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期粘着性に優れ、光の照射により硬化させ
ることができ、照射後、初期粘着力が失われるまでの時
間が十分な長さを有し、さらに接着強度及び接着硬化物
の耐熱性において優れている硬化型粘接着剤組成物及び
これを用いた硬化型粘接着シートを得る。 【解決手段】 アクリル系ポリマーなどの粘着性ポリマ
ー、光カチオン重合性化合物、架橋ゴム及び光カチオン
重合開始剤を含み、粘着性ポリマー及び光カチオン重合
性化合物の合計100重量部に対し、該粘着性ポリマー
が40〜90重量部の割合で含まれており、粘着性ポリ
マー及び光カチオン重合性化合物の合計100重量部に
対し上記架橋ゴムが0.1〜50重量部の割合で配合さ
れている硬化型粘接着剤組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常態では粘着性即
ち感圧接着性を示し、光を照射することにより硬化され
得る硬化型粘接着剤組成物及び硬化型粘接着シートに関
し、より詳細には、粘着性を発揮させるための粘着性ポ
リマーと、硬化成分としてのエポキシ樹脂とを含み、様
々な被着体や接着部分に適用することができ、かつ光照
射後の可使時間が長い硬化型粘接着剤組成物及び硬化型
粘接着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】フレキシブルプリント回路(FPC)基
板は、ポリイミド等の合成樹脂からなるフィルムの少な
くとも片面に導体パターンを形成することにより構成さ
れており、可撓性を有するため種々の電子機器や光学機
器に幅広く用いられている。
【0003】例えば、FPC基板はその端部において電
子機器等の接続部分に接合される。従って、FPC基板
の接続部分である端部は、十分な強度を有するように補
強されている必要がある。そこで、従来のFPC基板で
は、この端部近傍において合成樹脂等からなる補強板を
接着したり、端部に接着剤を塗布し硬化させることによ
り補強する構造が採用されている。
【0004】従来、補強板の接着には、操作が簡便であ
るためアクリル系粘着剤が用いられていた。しかし、ア
クリル系粘着剤のような感圧性接着剤を用いた場合に
は、FPC基板の補強面等に補強板を容易に接着し得る
ものの、感圧性接着剤を用いた場合には十分な接着強度
が得られず、製品使用時に補強板が剥離したりすること
があった。
【0005】特開昭61−211016号公報には、補
強板にレゾール型フェノール樹脂及びノボラック型エポ
キシ樹脂を主成分とする接着剤を塗布し、加熱乾燥した
後、FPC基板の補強すべき部分に接着する方法が開示
されている。この方法によれば、上記特定の接着剤を用
いているため、補強板のFPC基板への接合に際し、加
熱を伴ったプレス工程を実施する必要がないとされてい
る。
【0006】しかしながら、特開昭61−211016
号公報に開示されている方法では、接合に際しての熱プ
レスは必要でないものの、接合に先立ち、接着剤が塗布
された補強板を100℃程度に加熱しなければならなか
った。従って、耐熱性に優れた材料でしか補強板を構成
することができず、補強板の材料選択に制限があった。
加えて、加熱乾燥された接着剤は経時により強固な接着
硬化物を与えるが、接合に際して十分な初期粘着力を有
するものではなかった。
【0007】特公平2−25275号公報には、FPC
基板の補強すべき部分にビスマレイミドトリアジンに光
硬化剤を混合してなる光硬化性樹脂組成物を塗布し、硬
化させることにより補強層を形成する方法が開示されて
いる。
【0008】特公平2−25275号公報に記載の光硬
化性樹脂組成物は、初期粘着力を有するものではないた
め、上記のようにFPC基板自体に塗布し、硬化させね
ばならない。従って、FPC基板に塗布するに際し、塗
布作業を高精度に行わねばならず、場合によっては、補
強すべき部分を超えて光硬化性樹脂液が流延することが
あった。
【0009】他方、特開平7−179572号公報に
は、エポキシ樹脂に特定の光カチオン重合開始剤と特定
の光ラジカル重合開始剤とを配合し、光と熱の双方を併
用して硬化させ得る接着剤組成物を用いて電子デバイス
及びモジュールを接着する方法が開示されている。
【0010】特開平7−179572号公報では、上記
光硬化系及び熱硬化系の双方を併用しているため、光が
行き渡らない部分においても加熱により硬化させること
ができる。しかしながら、この方法で用いられている上
記接着剤は、光及び熱により硬化され得るものである
が、やはり初期タックを有しないため、例えばFPC基
板の補強部分に簡便に補強板を貼付することはできなか
った。
【0011】また、FPC基板には絶縁用のカバーフィ
ルムとして、ポリイミドやポリエステルフィルムを基板
上に接着したり、基板同士或いはリジッドのプリント基
板、筐体の積層接着等に多様な接着剤、特に接着フィル
ムが使用されている。更に、LSI等の集積回路では回
路の蓄熱を防止するために、放熱板と呼ばれるアルミ等
の金属板を接合するが、この場合も耐熱性の観点から高
耐熱性、高伝熱性の接着シートが用いられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、前述し
た特開昭61−211016号公報、特公平2−252
75号公報及び特開平7−179572号公報に記載の
各先行技術では、硬化された後には強固な接着硬化物を
与えるが、いずれも初期タックを有しないため、FPC
基板等の補強対象部分に簡便に付与することが困難であ
った。更に、耐熱性や高度の接着信頼性が必要な用途に
は一般に熱硬化型接着シートが採用されるが、これは通
常タックのないBステージと呼ばれる半硬化状態のた
め、実装時には熱プレスを要したり、加熱養生による後
硬化が必要であった。このため、熱による基板の歪や他
の部材への熱の影響が懸念されたり、プレスや後硬化工
程が生産性を低下させるといった不具合が避けられなか
った。
【0013】他方、特公表5−506465号公報に
は、アクリル系粘着剤の問題点を解消するものとして、
(メタ)アクリル酸モノマーと、エポキシモノマーと、
光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤を含有
してなる感圧性接着剤が開示されている。ここでは、上
記感圧性接着剤に光を照射することにより粘着性のアク
リル系ポリマーの形成と、エポキシモノマーの重合とが
行われ、粘着性(初期タック)が発現されるだけでな
く、光カチオン重合により硬化が進行する。
【0014】しかしながら、この感圧性接着剤では、初
期粘着性を発揮するアクリル系ポリマーの形成と上記エ
ポキシ樹脂モノマーの重合による硬化が同時に進行する
ため、光を照射して短時間で被着体に貼付しようとする
と初期タックが十分でないことがあり、光を照射後1時
間経過してから貼付しようとすると既に硬化しているた
め、被着体に確実に粘着することができなかったり、硬
化後の接着強度が十分に発現されないことがあった。即
ち、光照射後、粘着力を保持でき、且つ接着硬化後の接
着強度が実用レベルで維持できる時間(可使時間)が比
較的短く、作業性の点で問題があった。
【0015】また、光ラジカル重合に際して酸素による
反応阻害があるので、製造方法が制約される。加えて、
接着後に光照射するので、シャドーゾーンでの接着には
用いることができなかった。
【0016】本発明の目的は、常態では被着体に対する
粘着性に優れており、光を照射することにより確実に硬
化させることができ、しかも光照射後、シャドーゾーン
における接着にも用いることができ、初期粘着力が失わ
れるまでの時間を十分な長さとし得る硬化型粘接着剤組
成物並びに硬化型粘接着シートを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために成されたものであり、粘着性ポリマー、光
カチオン重合性化合物、架橋ゴム及び光カチオン重合開
始剤を含み、粘着性ポリマー及び光カチオン重合性化合
物の合計100重量部において粘着性ポリマーが40〜
90重量部の割合で配合されており、粘着性ポリマー及
び光カチオン重合性化合物の合計100重量部に対し、
架橋ゴムが0.1〜50重量部の割合で配合されてなる
硬化型粘接着剤組成物である。また、上記組成物からな
る層が、基材の少なくとも片面に形成され、或いは基材
を用いることなく形成されてなる硬化型粘接着シートで
ある。以下、本発明の詳細を説明するが、本発明におい
てはシートは厚みの薄いフィルムをも包含するものと
し、形態においてテープをも包含するものとする。
【0018】(粘着性ポリマー)本発明において、上記
粘着性ポリマーは、本発明に係る硬化型粘接着剤組成物
に感圧接着性を与えるために用いられている。この場
合、感圧接着性を与えるために、本発明に係る硬化型粘
接着剤組成物は、好ましくは120℃の雰囲気下でボー
ルタックが1以上あるように構成され、より好ましくは
室温で3以上となるように構成される。
【0019】感圧接着性を得るには、被着体に対する濡
れ性と凝集力とのバランスが適切であることが必要であ
る。そこで、凝集力を得るために、上記粘着性ポリマー
としては、従来の感圧性接着剤の主成分として幅広く用
いられているゴム系樹脂やアクリル系ポリマーが用いら
れる。
【0020】もっとも、粘着性ポリマーとしては、ポリ
ジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等のシ
リコーンゴムとトリメチルシリル基もしくはトリフェニ
ルシリル基を有するポリシロキサン等のシリコーン樹脂
との混合物のようなシリコーン類、ポリエステル類、ポ
リウレタン類、ポリエーテル類、ポリビニルエーテル
類、ポリイソブチレン類等の他のポリマーやアクリルゴ
ム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ランダム型ス
チレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチ
レン−プロピレン−ジエンゴム、ウレタンゴム、スチレ
ン−イソプレン−スチレンブロックゴム、スチレン−エ
チレン−ブチレン−スチレンブロックゴム、スチレン−
ブタジエンブロックゴム等の合成ゴム系ポリマーを用い
てもよい。また、粘着性ポリマーは、単独重合体であっ
てもよく、共重合体であってもよい。
【0021】特に、本発明においては、ガラス転移点の
低い単独重合体を与えるアルキルアクリレートを主成分
とするアクリル系ポリマーが、該ポリマー単体で適度な
感圧接着性を発揮し得るため好適に用いられる。
【0022】好ましいアクリル系ポリマーとしては、例
えば、アルキル基の炭素数が1〜14であるアルキル
(メタ)アクリレートモノマーの単独重合体又は共重合
体を挙げることができ、より好ましくは、上記アルキル
(メタ)アクリレートモノマーと、該アルキル(メタ)
アクリレートモノマーと共重合可能な不飽和結合を有す
る他のビニルモノマーとの共重合体を挙げることができ
る。
【0023】上記アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーとしては、メチルアクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メ
タ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレー
ト、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル
(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0024】上記ビニルモノマーとしては、上記アルキ
ル(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能な不飽和
結合を有する化合物であれば特に限定されず、上記アル
キル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸エ
ステル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、エチレ
ン、プロピレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ε−カプロラクトン(メタ)アクリレート、2−アクリ
ロイルオキシエチル琥珀酸、2−アクリロイルオキシプ
ロピル琥珀酸、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニル
ピロリドン、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−
アクリロイルモルフォリン、ベンジル(メタ)アクリレ
ート、グリシジル(メタ)アクリレート、N−ビニルカ
プロラクトン、N−ビニルピペリジン、(メタ)アクリ
ル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙
げることができる。
【0025】(光カチオン重合性化合物)本発明では、
硬化型粘接着剤組成物に光を照射して硬化させるため
に、光カチオン重合性化合物が配合されている。この光
カチオン重合性化合物については、分子内に光カチオン
重合性の官能基、例えば、水酸基、ビニルエーテル基、
エピスルフィド基、エチレンイミン基又はエポキシ基を
有する種々のモノマー、オリゴマー又はポリマーを用い
ることができる。また、これらの官能基を有するポリマ
ーについても限定されず、アクリル系、ウレタン系、ポ
リエステル系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、天
然ゴム、ブロック共重合体ゴム、シリコーン系等の各種
ポリマーを用いることができる。
【0026】上記光カチオン重合性化合物は、単独で用
いられてもよく、2種以上併用されてもよい。上記光カ
チオン重合性化合物としては、好ましくはエポキシ基を
有する化合物が用いられる。エポキシ基の開環重合は反
応性が高く、かつ硬化時間が短いため、接着工程の短縮
を図ることができる。更に、凝集力及び弾性率も高いた
め、耐熱性及び接着強度に優れた接着硬化物を得ること
ができ、例えばプリント回路板やFPC基板の製造過程
における半田付け等の高熱にさらされる工程において、
剥離やズレ等の接着異常を効果的に防止することができ
る。
【0027】上記エポキシ基を有する化合物としては、
エポキシ樹脂が好適に用いられる。このエポキシ樹脂と
しては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フ
ェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、グリ
シジルエーテル型、グリシジルアミン型等のエポキシ樹
脂を挙げることができる。
【0028】また、エポキシ基含有オリゴマー(例え
ば、油化シェルエポキシ社製、商品名:エピコート10
01、エピコート1002等)を挙げることができる。
更に、上記エポキシ基含有モノマーやオリゴマーの付加
重合体を用いてもよく、例えば、グリシジル化ポリエス
テル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化ポリア
クリレート等を挙げることができる。
【0029】更に、光カチオン重合性化合物に他の樹脂
成分等を配合したり、付加したりして可撓性を高めた
り、接着力や屈曲力の向上は図ってもよく、このような
変性体としては、CTBN(末端カルボキシル基含有ブ
タジエン−アクリロニトリルゴム)変性エポキシ樹脂;
アクリルゴム、NBR、SBR、ブチルゴム、もしくは
イソプレンゴム等の各種ゴムを樹脂分散させたエポキシ
樹脂;上記のような液状ゴムで変性されたエポキシ樹
脂;アクリル、ウレタン、尿素、ポリエステル、スチレ
ン等の各種樹脂を添加してなるエポキシ樹脂;キレート
変性エポキシ樹脂;ポリオール変性エポキシ樹脂等を用
いることができる。
【0030】上記光カチオン重合性化合物は、必要に応
じて異種の樹脂で変性されていてもよく、官能基が変性
されていてもよく、ラジカル重合性不飽和結合を導入し
たもの等の反応性官能基を有するものであってもよい。
【0031】また、光カチオン重合性化合物では、官能
基当量として硬化型粘接着剤組成物中150〜5000
g−regin/mol程度存在することが好ましい。
官能基当量がこれより少ないと、反応性が高まり、照射
後に被着体に貼付するまでの作業時間が制約されること
があり、多すぎると、反応速度が遅くなり、硬化までに
長時間を要することがある。もっとも、上記官能基の量
は、目的とする反応速度及び硬化物性によって定められ
るため、一義的には決定され得ない。
【0032】(粘着性ポリマー及び光カチオン重合性化
合物の配合割合)本発明では、上記粘着性ポリマー及び
光カチオン重合性化合物の合計100重量部中、該粘着
性ポリマーが40〜90重量部配合されていることが必
要である。40重量部未満では初期粘着性が低くなり、
90重量部を超えると硬化後の接着剤の弾性率及び接着
強度が低くなる。
【0033】(架橋ゴム)本発明に係る硬化型粘接着剤
組成物では、接着硬化物の可撓性を高め、かつ接着性や
屈曲性を高めるために架橋ゴムが配合されている。架橋
ゴムが組成物中に均一に分散されていると、被着体の変
形等の応力が加わった場合には、接着剤中においてその
応力を架橋ゴムにより緩和することができ、接着力が効
果的に高められる。架橋ゴムは、ゴム自体の有するゴム
弾性により変形に追従し易く、かつ分子内に架橋を有す
るため他の組成物に相溶し難く、安定な海島構造を保持
するので、接着硬化物の物性の安定性も高められる。
【0034】本発明においては、上記架橋ゴムは、上記
粘着性ポリマー及び光カチオン重合性化合物の合計10
0重量部に対し、0.1〜50重量部の割合で配合され
る。0.1重量部未満では、接着性を高める効果が十分
に得られず、或いは接着硬化物の屈曲性が低くなる。5
0重量部を超えると、架橋ゴムの配合割合が相対的に高
くなりすぎ、十分な初期粘着力を得ることができなくな
ったり、耐熱性が低下することがある。
【0035】架橋ゴムは粒子状であることが好ましく、
その一次粒子の平均粒径は1μm以下であることが好ま
しい。平均粒径が1μmを超えると、自重による沈降や
合着により均一に分散することができないことがあった
り、塗布面が荒れ、密着性が低下することがある。
【0036】架橋ゴムとして使用できるゴムポリマーに
は、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム、ランダム型スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロ
ピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ウレ
タンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロックゴ
ム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック
ゴム、スチレン−ブタジエンブロックゴム等の合成ゴム
系ポリマーが挙げられ、これらは単独で用いられてもよ
く、或いは2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0037】また、上記架橋ゴムとその他の成分とが形
成する海島構造を安定化させるために、分子末端或いは
分子側鎖に反応性官能基を導入してなる変性ゴムも好適
に用いることができる。例えば、カルボキシル基を有す
る架橋NBR(日本合成ゴム社製、商品名:XER−9
1等)、グリシジル基を有する架橋NBR(日本合成ゴ
ム社製、商品名:XER−71等)、カルボキシル基を
有するアクリルゴム(日本合成ゴム社製、商品名:DH
S−2等)等を例示することができる。架橋ゴム中のこ
れらの反応性官能基と、架橋ゴムを除く粘接着剤組成物
中の上記反応性官能基と反応性を有する官能基との架橋
反応により、架橋ゴムが粘接着剤組成物中において固定
されるので、海島構造が安定化し、粘接着剤の硬化強度
が均一化される。
【0038】上記架橋ゴムは形状安定性に優れており、
かつ系全体の凝集性を高めるように作用するものである
ため、溶剤不溶のゲル状態であることが好ましい。ゴム
の架橋方法については、特に制限されるものではなく、
例えばアクリルゴム等のOH基やカルボキシル基といっ
た反応性官能基を有するモノマーを共重合し、イソシア
ネートやエポキシ等の架橋剤で架橋させる方法を挙げる
ことができる。また、ラジカル重合性多官能オリゴマー
とブタジエン、アクリロニトリル、スチレン、イソプレ
ン等とを懸濁重合することによっても微粒子の架橋ゴム
が得られる。本発明では、接着性を更に高めるために、
架橋ゴム以外の液状ゴムや未架橋ゴム粉末等の他のゴム
成分を添加してもよい。
【0039】(光カチオン重合開始剤)本発明におい
て、上記光カチオン重合開始剤は、光を照射されること
により活性化され、光カチオン重合開始物質を発生する
ものであり、光の照射により重合を開始し得るので、比
較的低エネルギーで重合を開始することができる。
【0040】上記光としては、マイクロ波、赤外線、可
視光、紫外線、X線、γ線等を用いることができるが、
一般的に取扱いが容易かつ簡便であり、比較的高エネル
ギーを得ることができる紫外線が好適に用いられる。よ
り好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用い
られる。上記紫外線は、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケ
ミカルランプ等の適宜の光源を用いて照射することがで
きる。
【0041】光カチオン重合開始剤は、イオン性光酸発
生タイプ及び非イオン性光酸発生タイプの何れでもよ
い。上記イオン性光酸発生タイプとしては、芳香族ジア
ゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム
塩等のオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯
体、アリールシラノール−アルミニウム錯体等の有機金
属錯体類等を挙げることができる。より具体的には、例
えば、旭電化社製、商品名:オプトマーSP−150、
オプトマーSP−170、ゼネラルエレクトロニクス社
製、商品名:UVE−1014、サートマー社製、商品
名:CD−1012等の市販品を用いることができる。
【0042】また、非イオン性光酸発生タイプとして
は、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン
酸エステル、スルホン酸誘導体、フェノールスルホン酸
エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミド
スルホナート等を用いることができる。
【0043】上記光カチオン重合開始剤については、単
独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよく、更
に、有効活性波長の異なる複数の光カチオン重合開始剤
を用いて複数段階で硬化させてもよい。
【0044】更に、他の光重合開始剤、例えば光ラジカ
ル重合開始剤又は光アニオン重合開始剤を併用してもよ
い。この場合、光ラジカル重合開始剤や光アニオン重合
開始剤を活性化する光の波長は、必ずしも光カチオン重
合開始剤を活性化する波長と同等である必要はない。
【0045】上記光カチオン重合開始剤は、本発明に係
る硬化型粘接着剤組成物において、上記光重合性化合物
の官能基1molに対し、0.0001〜10mol%
の範囲で配合することが好ましい。0.001mol%
よりも少ない場合には、十分に光カチオン重合が進行し
なかったり、硬化速度が遅くなることがあり、10mo
l%よりも多いと、光照射による硬化が速く進みすぎ、
被着体に貼付するまでの作業時間が制約されることがあ
る。
【0046】また、本発明に係る硬化型粘接着剤組成物
では、上記粘着性ポリマー、光カチオン重合性化合物及
び光カチオン重合開始剤の他に、本発明の目的を阻害し
ない範囲で公知の粘着付与樹脂や増量剤等を適宜配合し
てもよい。例えば、本発明により得られる硬化型粘接着
剤の粘着性を向上させる目的で、ロジン系樹脂、変性ロ
ジン系樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、
芳香族変性テルペン樹脂、C5系又はC9系の石油樹
脂、クロマン樹脂等の粘着付与樹脂を添加してもよい。
特に、被着体がポリオレフィン類の場合には、強い接着
力を発現させることができる点でロジン系樹脂及び石油
樹脂が好ましい。
【0047】架橋 本発明に係る硬化型粘接着剤組成物は、被着体との濡れ
性及び凝集力のバランスをとるために、光照射前の状態
で適度に架橋されていてもよい(これを初期架橋という
ものとする。)。初期架橋の方法は特に限定されるもの
ではないが、硬化型粘接着剤組成物中の官能基と、多官
能オリゴマー(例えば、ポリイソシアネート、ポリエポ
キシ、ポリオール、多官能アクリルオリゴマー等)によ
る分子架橋や、金属酸化物もしくは金属キレートによる
イオン性架橋等が一般的である。
【0048】初期架橋は、硬化型粘接着剤組成物の溶剤
不溶解分(ゲル分)で70重量%以下であることが好ま
しい。初期架橋度がこれより高いと、被着体に対する濡
れ性が低下し、十分な初期粘着力を得られないことがあ
る。
【0049】形態 本発明に係る硬化型粘接着剤組成物は、使用場所に応じ
て適宜の形態で用いることができ、例えば、シート状に
加工され、基材レス両面粘着テープと同様にして用いる
ことができる。また、基材の片面(又は両面)に組成物
層を形成して片面(両面)粘着テープとしてもよい。こ
の場合、使用状況に応じて基材の光の透過性に留意すれ
ばよい。シートの厚みは1〜500μmが好ましく、よ
り好ましくは10〜200μmである。シート厚みが1
μmより薄いと、光照射後に硬化が急速に進み、作業時
間が制約されたり、接着力が不足して接着の信頼性が確
保できない場合がある。逆に、500μmを超えると硬
化に長時間を要することになる。
【0050】製造方法 本発明に係る硬化型粘接着剤組成物は、上述した各成分
を混練することにより得られる適宜の形態に加工するこ
とができるが、その場合の具体的な方法については特に
限定されるものではない。例えば、シート状に加工する
場合には、ロールコート法、グラビアコート法、押出法
等の各種成形方法を用いることができる。組成物が固形
であったり、或いは液状であっても粘性が高く、塗布で
きない場合等においては、適当な溶剤によって組成物を
希釈したり、加熱より溶融させたりすることにより、粘
性を低下させてもよい。
【0051】希釈する場合、溶剤としては、沸点が40
〜200℃程度の有機溶剤を用いることが好ましい。こ
のような有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、蟻酸エチル、蟻酸
ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエ
ン、p−キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ク
ロロホルム、四塩化炭素等の一般的な溶剤を用いること
ができる。これらの一般的な溶剤は、講談社発行「溶剤
ハンドブック」に詳述されている。なお、これらの有機
溶剤の使用にあたっては、組成物と相溶性の高いものを
選択することが望ましい。
【0052】また、シート状に加工した場合には、表面
が剥離性を有するように構成された剥離性支持体によっ
て保護されていることが好ましい。より好ましくは、両
面が剥離性を有するように構成された表面剥離性支持体
に硬化型粘接着剤組成物を塗布し、ロール状に巻回して
おくことが望ましい。
【0053】なお、本発明に係る硬化型粘接着剤組成物
を用いて硬化型粘接着シートを構成する場合、前述した
ように基材は必ずしも設けられずともよい。即ち、基材
に支持された硬化型粘接着シートとしてもよく、基材を
有しない両面接着型の硬化型粘接着シートとしてもよ
い。基材が必要な場合には、基材に硬化型粘接着剤組成
物を塗布することにより、或いは剥離性支持体に塗布さ
れた硬化型粘接着剤を転写することによって粘接着シー
トを形成し得る。
【0054】なお、加熱時の熱膨張係数或いは収縮の観
点から、上記基材としては、実使用条件下における耐久
性に優れているものが好ましく、一般的には、ポリエス
テル、ポリイミド、ポリプロピレン、紙、不織布、金属
箔等の耐熱性基材を好適に用いることができる。もっと
も、基材を構成する材料は、特に限定されるものではな
い。
【0055】硬化反応及び感圧接着性 本発明に係る硬化型粘接着剤組成物では、光照射後系内
で光カチオン重合反応が進行するため、徐々に硬化す
る。光カチオン重合反応は、活性種が酸素等の反応阻害
を受け難く、長期に渡り存在するため、光照射後の硬化
型粘接着剤組成物は暗反応にて硬化させることができ
る。従って、光を照射し続けずとも硬化反応が進行する
ため、光を照射した後被着体に貼付するにあたり、貼付
場所がシャドーゾーンであっても、確実に接着強度に優
れた接着硬化物を得ることができる。
【0056】なお、光を照射しても、硬化型粘接着剤組
成物層の感圧接着性は直ちに喪失しないので、被着体貼
付時には、十分な感圧接着性を保持し得る。上記光カチ
オン重合反応の阻害因子としては、水や塩基性物質が挙
げられる。もっとも、阻害の程度は、阻害物質の種類や
接着剤の組成によって異なるため、被着体中或いは接着
面上及び組成物中のこれらの阻害物質が重合硬化反応を
著しく阻害しないように、接着剤組成及び被着体を設計
・選択することが望ましい。
【0057】硬化した硬化型粘接着剤組成物では、光カ
チオン重合性官能基の3次元架橋により凝集力が高めら
れ、硬度及び耐熱性に優れた接着硬化物を与える。よっ
て、最終的には、上記感圧接着性を喪失するように硬度
及び耐熱性が高められることが望ましい。
【0058】(応用) FPC基板と補強板との接着方法 本発明の硬化型粘接着剤組成物は、FPC基板と補強板
とを接着するのに好適に用いられる。ここでは、先ずF
PC基板の補強をすべき部分に接合する補強板に硬化型
粘接着剤層を積層する。この積層は、硬化型粘接着剤組
成物を塗布し必要に応じて乾燥することにより行っても
よく、上記硬化型粘接着剤組成物からなるシートを成形
してから該シートを積層してもよいが、予めシート成形
する方が積層が容易であり、好ましい。このシートの成
形方法については前述した通り、特に限定されるもので
はなく、公知のシート成形方法を用いて行うことができ
る。次に、積層された粘接着剤層に光を照射した後に、
FPC基板を貼付する。
【0059】硬化型粘接着シートの形態で積層する場合
には、感圧接着性を利用し、指圧、ラミネート、プレス
等により加圧しつつ貼付すればよい。これによって、硬
化型粘接着シートが補強板に確実に密着される。貼り合
わせ温度は、常温から120℃程度の適宜の温度で行う
ことができる。120℃より高い温度で貼付すると、シ
ワが入ったり、ズレ等を生じることがある。また、貼付
時の温度が低すぎると、硬化型粘接着剤の弾性率が上昇
して感圧接着性が低下し、接着不良を起こすことがあ
る。
【0060】また、光の照射は、上述した光カチオン重
合開始剤を活性化し得る波長の光を上述した適宜の方法
で照射することにより行う。光照射された硬化型粘接着
剤では重合開始種が発生するため、重合が開始し、経時
的に硬化が進行する。そして、この硬化反応が進行し感
圧接着性が喪失する前に、補強板をFPC基板の補強す
べき部位に圧着する。従って、必ずしも熱プレスを要す
ることなく、硬化型粘接着層に粘着させることができ、
かつ経時により上記硬化反応が進行するため補強板をF
PC基板に強固に接着することができる。
【0061】なお、硬化型粘接着剤層に光を照射してか
ら、該層が感圧接着性を保持したまま、硬化後の接着強
度も維持し得る時間を可使時間というものとする。可使
時間が長い方が作業性がよいが、硬化速度が遅くなるた
め、目的とする硬化物性が得られるまでに時間を要す
る。従って、可使時間は10分〜半日程度とすることが
好ましい。また、上記感圧接着性の喪失については、貼
付温度における初期接着力の変化で確認することができ
る。目安としては、光照射後、貼付する時点の接着力が
照射前の0〜50%まで低下するとき、感圧接着性が喪
失したと判断し得ることが多い。何れにせよ、必要な初
期粘着力と硬化後の接着強度とのバランスにより工程を
定めるべきである。
【0062】なお、上記FPC基板としては、従来より
公知の適宜のFPC基板を用いることができ、例えば、
ポリエステルやポリイミド等の絶縁性樹脂からなるフィ
ルムに金属箔、金属の蒸着又は導電性樹脂等により回路
を形成してなるものを用いることができる。
【0063】また、上記補強板としては、従来よりFP
C基板を補強するために用いられている適宜の材料から
なるものを用いることができ、例えばガラス−エポキシ
樹脂複合材料、紙−フェノール複合材料、紙−ポリエス
テル複合材料、ポリエステル、ポリイミド等からなるも
のを用いることができる。
【0064】なお、FPC基板を含む機器の製造工程に
おいては、様々な他の部品や部材を接合することがあ
り、本発明に係る硬化型粘接着剤組成物は、このような
部分の接着にも好適に用い得る。例えば、熱可塑性樹脂
からなるケース、支持体又は電子部品(半導体チップや
コネクター等)等、熱が加えられる工程を施すことが好
ましくない部材や部品の接着に、本発明に係る硬化型粘
接着剤組成物を好適に用いることができ、これらの部材
の熱劣化を引き起こすことなく高い接着強度を得ること
ができる。
【0065】FPC基板の補強方法 本発明の硬化型粘接着剤組成物は、FPC基板自体を補
強するのに好適に用いられる。即ち、FPC基板の補強
すべき部分に、硬化型粘接着剤層を積層する前又は積層
後に光を照射することにより、積層された硬化型粘接着
剤を硬化させてFPC基板を補強する。この場合、FP
C基板としては、上述した適宜の材料からなるものを用
いることができる。
【0066】光照射についても、上述した適宜の光源を
用いて行うことができ、光照射により光カチオン重合反
応による硬化が進行することになる。硬化型粘接着剤層
の積層は、硬化型粘接着剤組成物を塗布し必要により乾
燥することにより行ってもよく、或いは表面が剥離性の
剥離性支持体で硬化型粘接着シートを支持してなるもの
を用意し、該硬化型粘接着シートをFPC基板の補強す
べき面に貼付することにより行う。このようにシート状
の硬化型粘接着剤を貼付する場合には、FPC基板に硬
化型粘接着剤組成物を直接塗布する場合に比べて作業性
を高めることができる。
【0067】光の照射は、硬化型粘接着剤層の初期タッ
クが失われないように、上記FPC基板に積層した後に
光照射を行うことが好ましい。もっとも、初期接着力が
喪失しない限り積層前に光を照射してもよい。積層に際
しての具体的な方法については、シートの場合には、手
貼り、或いは常温もしくは加熱してラミネートする方法
等を用いればよい。
【0068】作用 本発明に係る硬化型粘接着剤組成物では、上記粘着性ポ
リマーにより常態では十分な初期粘着力を有する。従っ
て、硬化型粘接着剤組成物を、例えばシート状に成形し
た場合、従来の粘着シートと同様に被着体に対して容易
に貼付することができる。また、光を照射して、光カチ
オン重合反応により光カチオン重合性化合物の硬化反応
を進行させたとしても、初期粘着力はすぐには失われ
ず、硬化後の接着強度が十分に確保できる可使時間が比
較的長いため、貼付が困難な場所でも容易に貼付するこ
とができる。
【0069】更に、硬化反応は、光照射を持続せずとも
進行するので、光ラジカル重合では硬化が不可能であっ
た、シャドーゾーンに接着物が配置された場合であって
も、硬化が確実に進行し、強固な接着硬化物を与える。
【0070】加えて、上記架橋ゴムが上記特定の割合で
配合されているので、接着剤に応力が加わった場合で
も、架橋ゴムにより応力が緩和される。従って、架橋ゴ
ムの上記応力緩和作用により、接着力が高められるとと
もに、架橋ゴムのゴム弾性により変形に対する接着部分
の追従性も高められる。更に、架橋ゴムが、硬化型粘接
着剤組成物の他の成分と相溶し難いので安定な海島構造
を保持する。よって、接着硬化物の硬化後の物性も安定
化される。
【0071】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例を説明する
ことにより、本発明を明らかにする。
【0072】(実施例1) A:ポリアクリル酸エチルの酢酸エチル50重量%溶液
・・・100重量部(ポリアクリル酸エチルに換算する
と50重量部) B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、商品名:エピコート♯828)・・・50重
量部 C:グリシジル基含有架橋NBR(日本合成ゴム社製、
商品名:XER−71、平均粒径70nm)・・・10
重量部 D:光カチオン重合開始剤(旭電化社製、商品名:アデ
カオプトマーSP170)・・・3重量部 上記各成分を万能ミキサーにて50℃の温度下で混合
し、硬化型粘接着剤溶液を得た。
【0073】上記のようにして得た硬化型粘接着剤溶液
をアプリケーターを用いて、表面がコロナ処理された厚
さ50μmのポリイミド(以下、PI)シート上に、乾
燥後の厚みが50μmとなるように塗布・乾燥して硬化
型粘接着剤層を形成し、該硬化型粘接着剤層上に表面が
シリコーンにより離型処理されたポリエチレンテレフタ
レートシート(以下、離型PETシート)をラミネート
し、硬化型粘接着シートサンプルを得た。
【0074】(実施例2) A:アクリル系ポリマー60重量%溶液(日本触媒社
製、商品名:アロセット5271)・・・100重量部
(アクリル系ポリマーに換算すると60重量部) B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、商品名:エピコート♯1001)・・・40
重量部 C:カルボキシル基含有架橋NBR(日本合成ゴム社
製、商品名:XER−91、平均粒径70nm)・・・
5重量部 D:光カチオン重合開始剤(旭電化社製、商品名:アデ
カオプトマーSP170)・・・3重量部
【0075】上記成分Bと酢酸エチル10重量部とを万
能ミキサーにて23℃の温度下で混合し、エポキシ樹脂
の酢酸エチル溶液を作製した。このエポキシ樹脂の酢酸
エチル溶液に、成分A、C及びDを万能ミキサーにて5
0℃の温度下で混合し、硬化型粘接着剤溶液を得た。上
記のようにして得た硬化型粘接着剤溶液を用いたことを
除いては、実施例1と同様にして、硬化型粘接着シート
サンプルを得た。
【0076】(実施例3) A:ポリアクリル酸ブチルの50重量%酢酸エチル溶液
・・・140重量部(ポリアクリル酸ブチルに換算する
と70重量部) B:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(旭電化社
製、商品名:アデカオプトマーKRM2610)・・・
30重量部 C:カルボキシル基含有架橋アクリルゴム(日本合成ゴ
ム社製、商品名:DHS−2、平均粒径70nm)・・
・10重量部 D:光カチオン重合開始剤(旭電化社製、商品名:アデ
カオプトマーSP150)・・・5重量部 成分A〜Dとして上記各成分を用いたことを除いては、
実施例1と同様にして硬化型粘接着シートサンプルを得
た。
【0077】(比較例1)実施例1において、成分Cを
用いなかったことを除いては、実施例1と同様にして硬
化型粘接着剤溶液を作製し、かつ硬化型粘接着シートサ
ンプルを得た。
【0078】(比較例2) A:ポリ酢酸ビニルの50重量%酢酸エチル溶液・・・
100重量部(ポリ酢酸ビニルに換算すると50重量
部) B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ社製、商品名:エピコート♯828)・・・50重
量部 C:グリシジル基含有架橋NBR(日本合成ゴム社製、
商品名:XER−71、平均粒径70nm)・・・10
重量部 D:光カチオン重合開始剤(旭電化社製、商品名:アデ
カオプトマーSP150)・・・5重量部 成分A〜Dとして上記各成分を用いたことを除いては、
実施例1と同様にして硬化型粘接着シートサンプルを得
た。
【0079】(評価)上記のようにして得た実施例1〜
3及び比較例1及び2の各粘接着シートについて、初
期粘着力、硬化後接着力A(光照射1分後貼付)、
硬化後接着力B(光照射10分後貼付)及び耐熱性を
以下の要領で評価した。
【0080】初期粘着力…JIS Z 0237に準
じて、23℃×相対湿度65%でSP粘着力を測定し
た。即ち、長さ120mm×幅50mm×厚さ2mmの
表面が研磨されたステンレス板(SUS304)に10
mm幅に裁断した粘接着シートサンプルの離型PETシ
ートを剥離して貼付し、背面のPIシート側から2kg
のローラーを300mm/分の速度で往復させ圧着し
た。しかる後、30分後に速度50mm/分で180°
方向に粘接着シートを低速剥離して剥離抵抗を測定し、
この剥離抵抗を初期粘着力とした。
【0081】硬化後接着力A…離型PETシート側か
ら、高圧水銀灯を用いて中心波長365nmの紫外線を
光強度が1.5J/cm2 となるように照射し、照射1
分後に上記同様にステンレス板に貼付した後、室温で
3日間放置して上記同様に接着力を測定した。 硬化後接着力B…光照射10分後に貼付したこと以外
は同様に測定した。 耐熱性…、で作製した硬化後のサンプルを250
℃に加熱し、表面状態が変化するまで、即ち、剥離や発
泡が生じるまでの時間を測定した。 結果を下記の表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】実施例1〜3の硬化型粘接着剤は感圧接着
性を示し、軽い圧着力で被着体に容易に接着することが
できるとともに可使時間も長く、また、硬化後は高い接
着力を示し、かつ耐熱性も硬化後に著しく向上した。こ
れに対して、架橋ゴムを含有していない比較例1では、
硬化後の剥離時にPIシートとの界面において接着剤層
がアンカー破壊したため、硬化後の接着力が低くなっ
た。これは、硬化後の接着剤の弾性率が高く、PIシー
トの屈曲に接着剤が追従しなかったためと考えられる。
また、比較例2は、粘着性ポリマーの代わりに非粘着性
のポリマーを使用したため、初期及び硬化後の接着性及
び耐熱性がいずれも低かった。
【0084】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば粘着性ポ
リマーにより十分な初期粘着力が発揮されており、かつ
光が照射されたとしても光カチオン重合性化合物の光カ
チオン重合による硬化が十分進行するまで上記初期粘着
力が喪失せず、しかも硬化後の接着強度が確保できる。
即ち、可使時間が十分な長さを有するので、作業が行い
難い接着部分の被着体に対しても、従来の粘着剤と同様
に容易に粘着させることができる。
【0085】また、硬化反応開始後には、硬化反応の進
行と架橋ゴムの可撓性付与作用により、接着強度が高い
だけでなく、応力緩和性に優れた接着硬化物を与える。
従って、熱プレス等の過酷な圧着条件を必要とすること
なく、被着体同士を極めて強固に接着することができ
る。
【0086】加えて、硬化反応が開始された後には、光
の照射をもはや必要としないので、光が遮られているシ
ャドーゾーンにおける接合にも、本発明に係る硬化型粘
接着剤組成物或いは硬化型粘接着シートを好適に用いる
ことができ、かつ光不透過性の被着体にも適用すること
ができる。
【0087】更に、硬化に際し光を照射するだけでよい
ため、耐熱性に難のある被着体にも本発明に係る組成物
或いはシートを用いることができる。即ち、本発明に係
る硬化型粘接着剤組成物或いは硬化型粘接着シートは、
耐熱性に難がある被着体や光不透過性の被着体等、様々
な被着体を接合するのに幅広く用いることができる。
【0088】よって、本発明に係る硬化型粘接着剤組成
物を用いることにより、例えばFPC基板の補強部分の
ように、接着領域が限られており、かつ非常に小さな部
位に対して補強板等を容易にかつ強固に接着することが
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着性ポリマー、光カチオン重合性化合
    物、架橋ゴム及び光カチオン重合開始剤を含み、粘着性
    ポリマー及び光カチオン重合性化合物の合計100重量
    部中に粘着性ポリマーが40〜90重量部配合されてお
    り、粘着性ポリマー及び光カチオン重合性化合物の合計
    100重量部に対し、架橋ゴムが0.1〜50重量部の
    割合で配合されてなる硬化型粘接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組成物からなる層が、基
    材の少なくとも片面に形成され、或いは基材を用いるこ
    となく形成されてなる硬化型粘接着シート。
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