JPH10307123A - 光イオン化検出方法及び光イオン化検出器 - Google Patents
光イオン化検出方法及び光イオン化検出器Info
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- JPH10307123A JPH10307123A JP11717797A JP11717797A JPH10307123A JP H10307123 A JPH10307123 A JP H10307123A JP 11717797 A JP11717797 A JP 11717797A JP 11717797 A JP11717797 A JP 11717797A JP H10307123 A JPH10307123 A JP H10307123A
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Landscapes
- Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 無機及び有機物に高感度であり、同時に有機
物専用の高感度検出器としても利用できる光イオン化検
出器を提供する。 【解決手段】 放電電極2,3を有する光源部1に流す
放電ガスの種類を切替バルブ15で切り換えることによ
り、光源部の気体放電によって発生される光エネルギー
レベルを変更する。
物専用の高感度検出器としても利用できる光イオン化検
出器を提供する。 【解決手段】 放電電極2,3を有する光源部1に流す
放電ガスの種類を切替バルブ15で切り換えることによ
り、光源部の気体放電によって発生される光エネルギー
レベルを変更する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質を分離して定
量あるいは定性分析を行うガスクロマトグラフにおける
検出器及びその検出器を設置してなるガスクロマトグラ
フ装置に関し、特に被検出ガスに電離放射線すなわち真
空紫外光あるいは紫外光を照射して、イオン化し、その
イオン電流を測定する光イオン化検出器及びその検出器
を設置してなるガスクロマトグラフ装置に関する。
量あるいは定性分析を行うガスクロマトグラフにおける
検出器及びその検出器を設置してなるガスクロマトグラ
フ装置に関し、特に被検出ガスに電離放射線すなわち真
空紫外光あるいは紫外光を照射して、イオン化し、その
イオン電流を測定する光イオン化検出器及びその検出器
を設置してなるガスクロマトグラフ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスクロマトグラフの構成、原理、検出
器及び利用範囲については、例えば舟阪、池川著「最新
ガスクロマトグラフィー」広川書店(1967年)に詳
述されている。ガスクロマトグラフ装置の性能向上を図
るためには、可能な限り低濃度で微量な試料を用いて、
成分を分離し検出することが要求される。したがって、
従来から高感度検出器の研究開発が継続して行われてき
た。これまで開発され利用されている検出器の代表例と
しては、熱伝導度検出器、水素炎イオン化検出器、電子
捕獲検出器及び光イオン化検出器などがある。これらの
検出器の開発によってガスクロマトグラフ装置は著しく
発達し、分離分析に必須な装置となっている。
器及び利用範囲については、例えば舟阪、池川著「最新
ガスクロマトグラフィー」広川書店(1967年)に詳
述されている。ガスクロマトグラフ装置の性能向上を図
るためには、可能な限り低濃度で微量な試料を用いて、
成分を分離し検出することが要求される。したがって、
従来から高感度検出器の研究開発が継続して行われてき
た。これまで開発され利用されている検出器の代表例と
しては、熱伝導度検出器、水素炎イオン化検出器、電子
捕獲検出器及び光イオン化検出器などがある。これらの
検出器の開発によってガスクロマトグラフ装置は著しく
発達し、分離分析に必須な装置となっている。
【0003】特に、光イオン化検出器(Photoionizatio
n Detector、以下PIDと記す)で、光源としてHe気
体放電を利用したPID(以下、He−PIDと記す)
は、無機物及び有機物にも高感度であり、万能形の検出
器として利用されている。しかし、He−PIDは無機
ガスに高感度であるがゆえに、窒素(N2 )ガス中、酸
素(O2 )ガス中あるいは空気中の微量有機物の分析に
は不適切である。その理由は、無機ガスの出力ピークが
有機物の微量成分の出力ピークを覆ってしまい、分析精
度が低減するためである。したがって、無機ガス中の有
機微量成分の分析には、無機ガスに応答せず有機物にの
み高感度である水素炎イオン化検出器(FID)が使用
されている。しかし、FIDは水素を使用するため常に
安全性に注意する必要がある。
n Detector、以下PIDと記す)で、光源としてHe気
体放電を利用したPID(以下、He−PIDと記す)
は、無機物及び有機物にも高感度であり、万能形の検出
器として利用されている。しかし、He−PIDは無機
ガスに高感度であるがゆえに、窒素(N2 )ガス中、酸
素(O2 )ガス中あるいは空気中の微量有機物の分析に
は不適切である。その理由は、無機ガスの出力ピークが
有機物の微量成分の出力ピークを覆ってしまい、分析精
度が低減するためである。したがって、無機ガス中の有
機微量成分の分析には、無機ガスに応答せず有機物にの
み高感度である水素炎イオン化検出器(FID)が使用
されている。しかし、FIDは水素を使用するため常に
安全性に注意する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】PIDの検出原理は
J. E. Lovelock: Nature 188, 401(1960)に論じられて
おり、この説を用いて以下に説明する。He放電によっ
て発生する最大エネルギーでの波長は58.4nmで、
約20eVのエネルギーである。H2 ,N2 ,O2など
の無機ガスの一次イオン化ポテンシャルはそれぞれ順に
15.45eV、15.59eV及び12.07eVで
ある。有機物のイオン化ポテンシャルは無機ガスより低
く、最も高いメタン(CH4 )で約13eVである。し
たがって、He放電によって発生する光を被検出試料の
無機ガスあるいは有機ガスに照射することによって、被
検出試料はイオン化される。この現象は次の〔数1〕の
ように表現できる。
J. E. Lovelock: Nature 188, 401(1960)に論じられて
おり、この説を用いて以下に説明する。He放電によっ
て発生する最大エネルギーでの波長は58.4nmで、
約20eVのエネルギーである。H2 ,N2 ,O2など
の無機ガスの一次イオン化ポテンシャルはそれぞれ順に
15.45eV、15.59eV及び12.07eVで
ある。有機物のイオン化ポテンシャルは無機ガスより低
く、最も高いメタン(CH4 )で約13eVである。し
たがって、He放電によって発生する光を被検出試料の
無機ガスあるいは有機ガスに照射することによって、被
検出試料はイオン化される。この現象は次の〔数1〕の
ように表現できる。
【0005】
【数1】M+hν→M++e- ここでMは被検出物の分子、hはプランクの定数、νは
光の振動数を表し、eは電子を表す。すなわち、被検試
料は光の照射を受けてイオン化され、そのイオン電流を
測定することで検出される。
光の振動数を表し、eは電子を表す。すなわち、被検試
料は光の照射を受けてイオン化され、そのイオン電流を
測定することで検出される。
【0006】しかし、He−PIDは光源のエネルギー
準位が約20eVと高く、無機ガスも有機ガスも共にイ
オン化されるため、無機ガス中の微量有機成分の分析は
困難になる。本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、無機ガス中の微量有機成分の検
出も可能なPIDを提供することを目的とする。また、
本発明は、無機ガス中の微量有機成分の検出が可能なP
IDを組み込んだガスクロマトグラフ装置を提供するこ
とを目的とする。
準位が約20eVと高く、無機ガスも有機ガスも共にイ
オン化されるため、無機ガス中の微量有機成分の分析は
困難になる。本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたもので、無機ガス中の微量有機成分の検
出も可能なPIDを提供することを目的とする。また、
本発明は、無機ガス中の微量有機成分の検出が可能なP
IDを組み込んだガスクロマトグラフ装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するに
は、PIDに被検出試料に応じて光源の光エネルギーを
変化させ得る機能があればよい。PIDにおける光源の
エネルギーは、PIDの光源である放電部に供給される
気体によって決定される。例えば、PIDの放電部にH
eが供給されれば約20eVのエネルギーの光が発生す
るが、Arが供給されれば約12eVのエネルギーの光
が発生する。
は、PIDに被検出試料に応じて光源の光エネルギーを
変化させ得る機能があればよい。PIDにおける光源の
エネルギーは、PIDの光源である放電部に供給される
気体によって決定される。例えば、PIDの放電部にH
eが供給されれば約20eVのエネルギーの光が発生す
るが、Arが供給されれば約12eVのエネルギーの光
が発生する。
【0008】Ar放電によって発生する光のエネルギー
レベルでは、O2 ,N2 ,CO,CO2 などの無機ガス
をイオン化することはできないが、有機化合物のイオン
化ポテンシャルは9〜11eVであるので、たいていの
有機物には高感度を有する。しかし、ArによるPID
は、有機物でもメタン、エタン及びアセトニトリルなど
のようにイオン化ポテンシャルの高いものに対しては感
度を示さないか低感度である。
レベルでは、O2 ,N2 ,CO,CO2 などの無機ガス
をイオン化することはできないが、有機化合物のイオン
化ポテンシャルは9〜11eVであるので、たいていの
有機物には高感度を有する。しかし、ArによるPID
は、有機物でもメタン、エタン及びアセトニトリルなど
のようにイオン化ポテンシャルの高いものに対しては感
度を示さないか低感度である。
【0009】イオン化ポテンシャルの高い有機化合物
は、Ne放電によって発生する約16eVのエネルギー
の光を光源にすることにより高感度で検出できる。Ne
放電を光源とした場合は、無機ガスは中程度の感度で検
出できる。このように、PIDの放電部に供給するガス
を変えることによって光源の光のエネルギーを変えるこ
とができる。したがって、無機ガス中の微量有機不純物
を測定する場合はAr放電を光源としたPID(以下、
Ar−PIDと記す)を使用することにより、無機ガス
を検出することなく有機微量成分のみを検出することが
可能となる。
は、Ne放電によって発生する約16eVのエネルギー
の光を光源にすることにより高感度で検出できる。Ne
放電を光源とした場合は、無機ガスは中程度の感度で検
出できる。このように、PIDの放電部に供給するガス
を変えることによって光源の光のエネルギーを変えるこ
とができる。したがって、無機ガス中の微量有機不純物
を測定する場合はAr放電を光源としたPID(以下、
Ar−PIDと記す)を使用することにより、無機ガス
を検出することなく有機微量成分のみを検出することが
可能となる。
【0010】従来技術では、FIDを用いて無機ガス中
の微量有機不純物を測定してきたが水素を使用するため
安全に対して常に留意する必要があった。本発明よって
提供されるAr−PIDは可燃性ガスを使用しないた
め、安全性の点で従来のFIDに比較して優れた検出器
である。PIDの光源の光エネルギーレベルの制御は、
放電ガスとして混合ガスを使用することでも可能であ
る。例えば、He中にArを混入した放電ガスを使用す
ると、Arに由来した共鳴線である約11.6eVのエ
ネルギーの光が得られる。同様にHe中にH2 を混入し
た放電ガスでは、H2 に由来した約10eV前後のエネ
ルギーからなる光が得られる。このように、He中に低
エネルギーの共鳴線を持ったガスを数%以上混入して放
電させることにより、PIDの光源の光エネルギーレベ
ルを変化させることができる。
の微量有機不純物を測定してきたが水素を使用するため
安全に対して常に留意する必要があった。本発明よって
提供されるAr−PIDは可燃性ガスを使用しないた
め、安全性の点で従来のFIDに比較して優れた検出器
である。PIDの光源の光エネルギーレベルの制御は、
放電ガスとして混合ガスを使用することでも可能であ
る。例えば、He中にArを混入した放電ガスを使用す
ると、Arに由来した共鳴線である約11.6eVのエ
ネルギーの光が得られる。同様にHe中にH2 を混入し
た放電ガスでは、H2 に由来した約10eV前後のエネ
ルギーからなる光が得られる。このように、He中に低
エネルギーの共鳴線を持ったガスを数%以上混入して放
電させることにより、PIDの光源の光エネルギーレベ
ルを変化させることができる。
【0011】放電ガスとして混合ガスを使用すると、低
エネルギーの共鳴線を持ったガスに由来するエネルギー
の光が得られる理由は、次のように説明することができ
る。He中に他のガスを混入した状態での放電では、
(1)Heから発生する光により混合ガス成分がイオン
化あるいは励起される現象と、(2)Heの励起成分に
よるクェンチング作用により混合ガス成分がイオン化あ
るいは励起される現象の二通の現象が生じていると考え
られる。上記(1)及び(2)との作用で発生した混入
ガス成分の励起成分が基底状態に戻る時に光を発生す
る。ここで、Heに混合したガス成分から発生する光の
エネルギーはHeの励起エネルギ−及びイオン化エネル
ギ−より遥かに低いので、Heによって吸収される現象
は起きない。したがって、Heに混合したガス成分から
の発光が得られ、光イオン化検出器の光源として利用す
ることができる。
エネルギーの共鳴線を持ったガスに由来するエネルギー
の光が得られる理由は、次のように説明することができ
る。He中に他のガスを混入した状態での放電では、
(1)Heから発生する光により混合ガス成分がイオン
化あるいは励起される現象と、(2)Heの励起成分に
よるクェンチング作用により混合ガス成分がイオン化あ
るいは励起される現象の二通の現象が生じていると考え
られる。上記(1)及び(2)との作用で発生した混入
ガス成分の励起成分が基底状態に戻る時に光を発生す
る。ここで、Heに混合したガス成分から発生する光の
エネルギーはHeの励起エネルギ−及びイオン化エネル
ギ−より遥かに低いので、Heによって吸収される現象
は起きない。したがって、Heに混合したガス成分から
の発光が得られ、光イオン化検出器の光源として利用す
ることができる。
【0012】次の表1に、比較的イオン化ポテンシャル
の高い有機物及び無機物のイオン化ポテンシャルの例を
示す。
の高い有機物及び無機物のイオン化ポテンシャルの例を
示す。
【0013】
【表1】
【0014】前述のように、検出すべき物質のイオン化
ポテンシャル、検出したくない物質(妨害物質)のイオ
ン化ポテンシャル、及び気体放電によって発生する光の
エネルギー相互の関係を勘案し、気体放電によって発生
する光のエネルギーが検出すべき物質のイオン化ポテン
シャルより大きく、検出したくない物質のイオン化ポテ
ンシャルより小さくなるように、PIDの気体放電に用
いる気体の種類を選択することにより、妨害物質に対す
る感度を下げ、かつ検出すべき物質に対する感度を上げ
ることができる。
ポテンシャル、検出したくない物質(妨害物質)のイオ
ン化ポテンシャル、及び気体放電によって発生する光の
エネルギー相互の関係を勘案し、気体放電によって発生
する光のエネルギーが検出すべき物質のイオン化ポテン
シャルより大きく、検出したくない物質のイオン化ポテ
ンシャルより小さくなるように、PIDの気体放電に用
いる気体の種類を選択することにより、妨害物質に対す
る感度を下げ、かつ検出すべき物質に対する感度を上げ
ることができる。
【0015】PIDの気体放電に用いられる気体の種類
と、その放電によって発生する光エネルギー、及び検出
に適した物質の一例を表2に示す。
と、その放電によって発生する光エネルギー、及び検出
に適した物質の一例を表2に示す。
【0016】
【表2】
【0017】PIDの光源としてNe,ArあるいはH
eとの混合ガスの気体放電を利用する場合には、放電極
の構成として電気抵抗の設置を工夫しないと放電が安定
しない。Ne,ArあるいはHeとの混合ガスの気体放
電を安定化させるためには、放電陰極と供給電源との間
に電気抵抗を設置するだけでなく、放電陽極と接地との
間にもある一定以上の電気抵抗を設置する必要がある。
これは、放電によって発生する放電ガスにおけるプラズ
マのなだれ現象を防止するためである。
eとの混合ガスの気体放電を利用する場合には、放電極
の構成として電気抵抗の設置を工夫しないと放電が安定
しない。Ne,ArあるいはHeとの混合ガスの気体放
電を安定化させるためには、放電陰極と供給電源との間
に電気抵抗を設置するだけでなく、放電陽極と接地との
間にもある一定以上の電気抵抗を設置する必要がある。
これは、放電によって発生する放電ガスにおけるプラズ
マのなだれ現象を防止するためである。
【0018】一般に、グロー放電に基づいた気体放電で
の電圧電流特性は、定電圧特性を示す。すなわち、印加
電圧を変化させても放電電極間の電圧はほとんど変化せ
ずに放電電流のみが変化する。しかし、放電開始電圧は
放電ガスの組成によって異なる。例えば、Heガスでの
放電開始電圧は600〜750Vであり、Arガスでの
放電開始電圧は700〜900Vである。放電ガスの種
類にかかわらず、一旦放電が開始すると、この放電を維
持するための電圧(放電維持電圧)は放電開始電圧より
100〜200V低い。放電維持電圧が放電開始電圧よ
り低いという現象は、放電が定電圧特性であることを裏
付けている。
の電圧電流特性は、定電圧特性を示す。すなわち、印加
電圧を変化させても放電電極間の電圧はほとんど変化せ
ずに放電電流のみが変化する。しかし、放電開始電圧は
放電ガスの組成によって異なる。例えば、Heガスでの
放電開始電圧は600〜750Vであり、Arガスでの
放電開始電圧は700〜900Vである。放電ガスの種
類にかかわらず、一旦放電が開始すると、この放電を維
持するための電圧(放電維持電圧)は放電開始電圧より
100〜200V低い。放電維持電圧が放電開始電圧よ
り低いという現象は、放電が定電圧特性であることを裏
付けている。
【0019】ところで、放電電流は印加電圧、電極間
隔、放電ガスの種類及び放電ガスの圧力などの因子によ
って定められるが、電源と陰電極との間にバラスト抵抗
が設置されないと放電は間欠放電になり放電電流は安定
しない。つまり、ある気体雰囲気中に設置された放電電
極間で放電が開始すると、放電に伴って、気体分子の陽
イオンと陰電極との衝突、気体分子と電子との衝突等に
よって発生する二次電子の増殖によって放電電極間に流
れる電流は次第に増大し、最終的には放電はアークに達
し、電源容量を超えた電流が流れることになり、間欠放
電につながる。
隔、放電ガスの種類及び放電ガスの圧力などの因子によ
って定められるが、電源と陰電極との間にバラスト抵抗
が設置されないと放電は間欠放電になり放電電流は安定
しない。つまり、ある気体雰囲気中に設置された放電電
極間で放電が開始すると、放電に伴って、気体分子の陽
イオンと陰電極との衝突、気体分子と電子との衝突等に
よって発生する二次電子の増殖によって放電電極間に流
れる電流は次第に増大し、最終的には放電はアークに達
し、電源容量を超えた電流が流れることになり、間欠放
電につながる。
【0020】このような放電の不安定現象を防止するた
めに、供給電源と放電陰極との間に電流制限抵抗を設置
するのが一般的である。しかし、放電ガスの種類によっ
ては、電流制限抵抗(バラスト抵抗)の設置だけでは必
ずしも放電は安定しない。気体放電を理想的に安定化す
るためには、放電陽極と接地との間に抵抗(以下、この
抵抗を放電安定化抵抗という)を設置することが必要で
ある。放電安定化抵抗値は放電気体によって異なる。放
電電流の安定領域は数十μA〜150μAである。
めに、供給電源と放電陰極との間に電流制限抵抗を設置
するのが一般的である。しかし、放電ガスの種類によっ
ては、電流制限抵抗(バラスト抵抗)の設置だけでは必
ずしも放電は安定しない。気体放電を理想的に安定化す
るためには、放電陽極と接地との間に抵抗(以下、この
抵抗を放電安定化抵抗という)を設置することが必要で
ある。放電安定化抵抗値は放電気体によって異なる。放
電電流の安定領域は数十μA〜150μAである。
【0021】本発明は、以上のような検討のもとになさ
れたものであり、気体放電によって発生した紫外線ある
いは真空紫外線からなる電離放射線を被検出試料に照射
し、被検出試料のイオン化電流を測定することにより試
料成分の検出を行う光イオン化検出方法において、気体
放電の放電ガスをHe,Ne,Ar,Xe又はH2 から
選択して電離放射線のエネルギーを変えることにより、
検出成分に対して選択性をもたせることを特徴とする。
れたものであり、気体放電によって発生した紫外線ある
いは真空紫外線からなる電離放射線を被検出試料に照射
し、被検出試料のイオン化電流を測定することにより試
料成分の検出を行う光イオン化検出方法において、気体
放電の放電ガスをHe,Ne,Ar,Xe又はH2 から
選択して電離放射線のエネルギーを変えることにより、
検出成分に対して選択性をもたせることを特徴とする。
【0022】また、本発明は、気体放電によって発生し
た電離放射線を被検出試料に照射し、被検出試料のイオ
ン化電流を測定することにより試料成分の検出を行う光
イオン化検出方法において、気体放電の放電ガスをHe
とNeの混合気体、HeとArの混合気体、HeとXe
の混合気体、HeとH2 の混合気体、NeとArの混合
気体、NeとXeの混合気体、HeとN2 の混合気体、
又はHeとCO2 の混合気体から選択して電離放射線の
エネルギーを変えることにより、検出成分に対して選択
性をもたせることを特徴とする。
た電離放射線を被検出試料に照射し、被検出試料のイオ
ン化電流を測定することにより試料成分の検出を行う光
イオン化検出方法において、気体放電の放電ガスをHe
とNeの混合気体、HeとArの混合気体、HeとXe
の混合気体、HeとH2 の混合気体、NeとArの混合
気体、NeとXeの混合気体、HeとN2 の混合気体、
又はHeとCO2 の混合気体から選択して電離放射線の
エネルギーを変えることにより、検出成分に対して選択
性をもたせることを特徴とする。
【0023】また、本発明は、気体放電によって発生し
た電離放射線を被検出試料に照射し、被検出試料のイオ
ン化電流を測定することにより試料成分の検出を行う光
イオン化検出方法において、気体放電の放電ガスをAr
又はArとHeとの混合ガスとすることにより、無機ガ
スを含む被検出試料中の有機物成分を検出することを特
徴とする。
た電離放射線を被検出試料に照射し、被検出試料のイオ
ン化電流を測定することにより試料成分の検出を行う光
イオン化検出方法において、気体放電の放電ガスをAr
又はArとHeとの混合ガスとすることにより、無機ガ
スを含む被検出試料中の有機物成分を検出することを特
徴とする。
【0024】また、本発明は、気体放電によって電離放
射線を発生する放電電極と、電離放射線にさらされる被
検出試料流路と、電離放射線の照射を受けてイオン化し
た被検出試料のイオン電流を測定する測定電極とを備え
る光イオン化検出器において、気体放電の放電ガスを切
り換えることによって電離放射線のエネルギーを変化さ
せる手段を備えることを特徴とする。
射線を発生する放電電極と、電離放射線にさらされる被
検出試料流路と、電離放射線の照射を受けてイオン化し
た被検出試料のイオン電流を測定する測定電極とを備え
る光イオン化検出器において、気体放電の放電ガスを切
り換えることによって電離放射線のエネルギーを変化さ
せる手段を備えることを特徴とする。
【0025】この光イオン化検出器においては、放電陰
極と電源との間に電気抵抗を設置し、さらに放電陽極と
接地との間にも電気抵抗を設置するのが好ましい。本発
明による光イオン化検出器は、光源の光エネルギーを変
化することができるため、万能形検出器としてあるいは
有機化合物専用検出器として利用することができ、応用
範囲が広い。
極と電源との間に電気抵抗を設置し、さらに放電陽極と
接地との間にも電気抵抗を設置するのが好ましい。本発
明による光イオン化検出器は、光源の光エネルギーを変
化することができるため、万能形検出器としてあるいは
有機化合物専用検出器として利用することができ、応用
範囲が広い。
【0026】また、本発明は、試料注入部と、注入され
た試料成分を分離する分離カラムと、分離された試料成
分を検出する検出器とを備えるガスクロマトグラフ装置
において、検出器として前述の光イオン化検出器を備え
ることを特徴とする。
た試料成分を分離する分離カラムと、分離された試料成
分を検出する検出器とを備えるガスクロマトグラフ装置
において、検出器として前述の光イオン化検出器を備え
ることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明による光イオン化
検出器の一例を示す構成図である。光イオン化検出器
は、光源部1と検出部8とからなる。光源部1は放電陰
極2と放電陽極3とを備え、放電ガス供給口4にボンベ
14a,14b等から放電ガスが供給される。電源5と
放電陰極2との間には電流制限抵抗6が設置され、放電
陽極3と接地との間には放電安定化抵抗7が設置されて
いる。検出部8には、コレクター電極9と中空のコレク
ター対極10とが設けられている。コレクター対極10
の一端には、被検出試料流入口11が設けられており、
被検出試料流入口11から供給された試料ガスはコレク
ター対極10の中を通って検出部8に導かれ、被検出試
料流出口16から排出される。
施の形態を説明する。図1は、本発明による光イオン化
検出器の一例を示す構成図である。光イオン化検出器
は、光源部1と検出部8とからなる。光源部1は放電陰
極2と放電陽極3とを備え、放電ガス供給口4にボンベ
14a,14b等から放電ガスが供給される。電源5と
放電陰極2との間には電流制限抵抗6が設置され、放電
陽極3と接地との間には放電安定化抵抗7が設置されて
いる。検出部8には、コレクター電極9と中空のコレク
ター対極10とが設けられている。コレクター対極10
の一端には、被検出試料流入口11が設けられており、
被検出試料流入口11から供給された試料ガスはコレク
ター対極10の中を通って検出部8に導かれ、被検出試
料流出口16から排出される。
【0028】光源部1と検出部8とは、光源部1からの
光を検出部8に導びく光路13で接続されている。光路
13は、放電ガス供給口4から供給された放電ガスが検
出部8に流れ込む流路を兼ねている。被検出試料流入口
11からコレクター対極10の内部を通って検出部8に
流入した試料は、光源部1の放電陰極2及び放電陽極3
の間の気体放電によって発生され、光路13から検出部
8に照射される光にさらされる。そして、光源部1から
の光照射を受けてイオン化された試料成分は、試料の流
れに対向して設置されたコレクター電極9にイオン電流
が流れることで測定が行われる。光源部1の発光波長を
変えるための放電ガスの切り替えは、流路切替バルブ1
5の操作によって行われる。
光を検出部8に導びく光路13で接続されている。光路
13は、放電ガス供給口4から供給された放電ガスが検
出部8に流れ込む流路を兼ねている。被検出試料流入口
11からコレクター対極10の内部を通って検出部8に
流入した試料は、光源部1の放電陰極2及び放電陽極3
の間の気体放電によって発生され、光路13から検出部
8に照射される光にさらされる。そして、光源部1から
の光照射を受けてイオン化された試料成分は、試料の流
れに対向して設置されたコレクター電極9にイオン電流
が流れることで測定が行われる。光源部1の発光波長を
変えるための放電ガスの切り替えは、流路切替バルブ1
5の操作によって行われる。
【0029】図2は、Arの気体放電を用いた場合の放
電安定化抵抗7の抵抗値と放電の安定領域との関係を示
す。図2から、Arの気体放電の安定領域は放電電流1
00μA以上であり、放電安定化抵抗7の抵抗値として
50kΩ以上が必要であることが分かる。この放電の安
定領域は放電ガスの種類によって異なり、例えばヘリウ
ムを放電ガスとする場合には15kΩ〜90kΩの放電
安定化抵抗が必要である。
電安定化抵抗7の抵抗値と放電の安定領域との関係を示
す。図2から、Arの気体放電の安定領域は放電電流1
00μA以上であり、放電安定化抵抗7の抵抗値として
50kΩ以上が必要であることが分かる。この放電の安
定領域は放電ガスの種類によって異なり、例えばヘリウ
ムを放電ガスとする場合には15kΩ〜90kΩの放電
安定化抵抗が必要である。
【0030】図3は、検出部に前記した光イオン化検出
器を備えたガスクロマトグラフ装置の概略構成図であ
り、検出器を除くガスクロマトグラフ装置の本体は周知
の構成のものである。キャリアガス供給源21から供給
されたキャリアガスは、キャリアガス流量調節部22で
流量が調節され、試料注入部23を介して分離カラム2
5に導入される。分離カラム25は恒温槽部24内で一
定温度に保持されている。試料注入部23からキャリア
ガス中に注入された試料ガスは、分離カラム25を通過
する間に分離され、図1に示した光イオン化検出器26
に導入されて検出される。キャリアガス流量調節部2
2、試料注入部23、恒温槽部24、及び光イオン化検
出部26は、制御装置27に設定された内容に従って動
作する。
器を備えたガスクロマトグラフ装置の概略構成図であ
り、検出器を除くガスクロマトグラフ装置の本体は周知
の構成のものである。キャリアガス供給源21から供給
されたキャリアガスは、キャリアガス流量調節部22で
流量が調節され、試料注入部23を介して分離カラム2
5に導入される。分離カラム25は恒温槽部24内で一
定温度に保持されている。試料注入部23からキャリア
ガス中に注入された試料ガスは、分離カラム25を通過
する間に分離され、図1に示した光イオン化検出器26
に導入されて検出される。キャリアガス流量調節部2
2、試料注入部23、恒温槽部24、及び光イオン化検
出部26は、制御装置27に設定された内容に従って動
作する。
【0031】制御装置27はキーボード等の入力手段2
8及びCRT等の表示装置29を有するパーソナルコン
ピュータによって構成することができ、入力手段28を
操作することにより、検出器26の測定条件を測定成分
に応じて自動的に設定することができる。たとえば空気
中の微量有機成分を測定する場合、測定成分を制御装置
27に指定すると、ガスクロマトグラフの測定条件と同
時に検出器26の設定条件が表示装置29の画面に表示
され、測定者の指示に従って自動的に測定条件が設定さ
れる。
8及びCRT等の表示装置29を有するパーソナルコン
ピュータによって構成することができ、入力手段28を
操作することにより、検出器26の測定条件を測定成分
に応じて自動的に設定することができる。たとえば空気
中の微量有機成分を測定する場合、測定成分を制御装置
27に指定すると、ガスクロマトグラフの測定条件と同
時に検出器26の設定条件が表示装置29の画面に表示
され、測定者の指示に従って自動的に測定条件が設定さ
れる。
【0032】図4に、表示装置の画面表示の例を示す。
図4(a)は測定条件設定の初期画面の例を示し、図4
(b)は検出器の詳細条件設定画面の例を示す。図4
(a)に示すように、表示装置29の表示画面上で、分
析対象成分、成分濃度、分離カラム、検出器、温度(注
入口温度、検出器温度)等をキー入力、あるいは表示さ
れた候補から選択して入力することで測定条件の設定を
行う。分析対象成分を入力すると、分離カラムの箇所に
はその分析対象成分に適した各種分離カラムが表示され
るので、表示された分離カラムから最も適当と考えられ
るものを選択し、選択したカラムを装置に装着する。ま
た、検出器の箇所には、分析対象成分及び成分濃度から
それに対応した各種検出器が表示されるので、その中か
ら最も適当と考えられる検出器を選択し、キャリアガス
流路配管を選択された検出器に接続する。
図4(a)は測定条件設定の初期画面の例を示し、図4
(b)は検出器の詳細条件設定画面の例を示す。図4
(a)に示すように、表示装置29の表示画面上で、分
析対象成分、成分濃度、分離カラム、検出器、温度(注
入口温度、検出器温度)等をキー入力、あるいは表示さ
れた候補から選択して入力することで測定条件の設定を
行う。分析対象成分を入力すると、分離カラムの箇所に
はその分析対象成分に適した各種分離カラムが表示され
るので、表示された分離カラムから最も適当と考えられ
るものを選択し、選択したカラムを装置に装着する。ま
た、検出器の箇所には、分析対象成分及び成分濃度から
それに対応した各種検出器が表示されるので、その中か
ら最も適当と考えられる検出器を選択し、キャリアガス
流路配管を選択された検出器に接続する。
【0033】検出器の選択で、例えばHeガスを放電ガ
スに使用したヘリウム光イオン化検出器(He−PI
D)を選択したとする。その後、表示装置29の表示画
面を詳細設定画面に切り換えることで、例えば図4
(b)に示すように、放電ガスの流量、放電電流、印加
電圧など、He−PIDの詳細を設定することができ
る。He−PIDは、ここで設定された条件に従って自
動的に運転される。
スに使用したヘリウム光イオン化検出器(He−PI
D)を選択したとする。その後、表示装置29の表示画
面を詳細設定画面に切り換えることで、例えば図4
(b)に示すように、放電ガスの流量、放電電流、印加
電圧など、He−PIDの詳細を設定することができ
る。He−PIDは、ここで設定された条件に従って自
動的に運転される。
【0034】図5は、本発明のガスクロマトグラフ装置
による分析の一例を示す図である。このガスクロマトグ
ラフ装置は、放電ガスとしてアルゴンガスを使用した本
発明のAr−PIDを検出器として備える。試料は、無
鉛レギュラーガソリンである。カラムには内径0.25
mm、長さ60mの液相OV−1(日立製作所製)を用
いた。カラム温度は30〜45℃までは1℃/min、
45〜200℃までは7.5℃/minで昇温を行い分
離した例である。試料注入温度は230℃、Ar−PI
Dの温度は250℃とした。PIDの光源部の放電電極
間隙は1.5mm、電流制限抵抗6は3MΩとし、放電
安定化抵抗7は100kΩとした。放電ガスとしてAr
を50ml/minの割合で供給し、放電電流は100
μAとした。図5から、安定したベースラインで多成分
からなる有機化合物の検出が十分可能であることが分か
る。
による分析の一例を示す図である。このガスクロマトグ
ラフ装置は、放電ガスとしてアルゴンガスを使用した本
発明のAr−PIDを検出器として備える。試料は、無
鉛レギュラーガソリンである。カラムには内径0.25
mm、長さ60mの液相OV−1(日立製作所製)を用
いた。カラム温度は30〜45℃までは1℃/min、
45〜200℃までは7.5℃/minで昇温を行い分
離した例である。試料注入温度は230℃、Ar−PI
Dの温度は250℃とした。PIDの光源部の放電電極
間隙は1.5mm、電流制限抵抗6は3MΩとし、放電
安定化抵抗7は100kΩとした。放電ガスとしてAr
を50ml/minの割合で供給し、放電電流は100
μAとした。図5から、安定したベースラインで多成分
からなる有機化合物の検出が十分可能であることが分か
る。
【0035】図6は、本発明によるAr−PIDを検出
器としたガスクロマトグラフ装置による分析の他の例を
示す図である。試料は、窒素ガスで濃度調整した低級炭
化水素である。カラムには、アルミナにスクアランを2
%コーティングした充填剤を充填した直径3mm、長さ
2mのカラムを用いた。カラム温度は40℃とした。キ
ャリアガスには窒素(N2)を使用し、流速40ml/
minで測定した。
器としたガスクロマトグラフ装置による分析の他の例を
示す図である。試料は、窒素ガスで濃度調整した低級炭
化水素である。カラムには、アルミナにスクアランを2
%コーティングした充填剤を充填した直径3mm、長さ
2mのカラムを用いた。カラム温度は40℃とした。キ
ャリアガスには窒素(N2)を使用し、流速40ml/
minで測定した。
【0036】図中、1はエタンのピーク(1ppm)、
2はエチレンのピーク(1ppm)である。このよう
に、無機ガス中の微量有機成分でも、無機ガスの影響を
全く受けずに分離分析が可能である。図7は、本発明に
よるHe−PIDを検出器としたガスクロマトグラフ装
置により、空気中の微量成分分析を行った例を示す図で
ある。He−PIDの検出部は、放電ガス流量50ml
/min、放電電流100μAとした。分離カラムには
MS5A(GLサイエンス社製)を用い、カラム温度は
50℃とした。キャリアガスにとしてはHeを流量25
ml/minで流した。ここで用いた試料空気はH2を
0.5ppm、CH4を0.8ppm含有している。図
示するように、空気成分であるO2とN2とのピークが空
気中の微量成分であるCH4のピークにオーバーラップ
しており、定量精度に影響を与えていることが明らかで
ある。
2はエチレンのピーク(1ppm)である。このよう
に、無機ガス中の微量有機成分でも、無機ガスの影響を
全く受けずに分離分析が可能である。図7は、本発明に
よるHe−PIDを検出器としたガスクロマトグラフ装
置により、空気中の微量成分分析を行った例を示す図で
ある。He−PIDの検出部は、放電ガス流量50ml
/min、放電電流100μAとした。分離カラムには
MS5A(GLサイエンス社製)を用い、カラム温度は
50℃とした。キャリアガスにとしてはHeを流量25
ml/minで流した。ここで用いた試料空気はH2を
0.5ppm、CH4を0.8ppm含有している。図
示するように、空気成分であるO2とN2とのピークが空
気中の微量成分であるCH4のピークにオーバーラップ
しており、定量精度に影響を与えていることが明らかで
ある。
【0037】図8は、本発明による光イオン化検出器の
他の例の説明図である。図1に示した光イオン化検出器
と同じ機能部分には図1と同じ番号を付し、詳細な説明
を省略する。図8の光イオン化検出器が図1に示した光
イオン化検出器と異なるのは、光源部1における放電電
極の構造だけである。すなわち、放電陽極33として白
金製平板状で中心に光路となる穴を設けたものを使用す
る。放電陽極を、このように中心に穴を設けた板状の構
造とすることにより、放電部で発生した光が効率的に検
出部へ入射される。
他の例の説明図である。図1に示した光イオン化検出器
と同じ機能部分には図1と同じ番号を付し、詳細な説明
を省略する。図8の光イオン化検出器が図1に示した光
イオン化検出器と異なるのは、光源部1における放電電
極の構造だけである。すなわち、放電陽極33として白
金製平板状で中心に光路となる穴を設けたものを使用す
る。放電陽極を、このように中心に穴を設けた板状の構
造とすることにより、放電部で発生した光が効率的に検
出部へ入射される。
【0038】
【発明の効果】本発明によると、光イオン化検出器の検
出成分に対する感度を変えることができ、無機ガス中の
微量有機成分の検出なども可能となる。また、このよう
な光イオン化検出器を組み込むことにガスクロマトグラ
フ装置の性能向上を図ることができる。
出成分に対する感度を変えることができ、無機ガス中の
微量有機成分の検出なども可能となる。また、このよう
な光イオン化検出器を組み込むことにガスクロマトグラ
フ装置の性能向上を図ることができる。
【図1】本発明による光イオン化検出器の一例を示す構
成図。
成図。
【図2】放電安定化抵抗の抵抗値と放電の安定領域との
関係を示す図。
関係を示す図。
【図3】ガスクロマトグラフ装置の概略構成図。
【図4】表示装置の画面表示の例を示す図。
【図5】本発明のガスクロマトグラフ装置による分析の
一例を示す図。
一例を示す図。
【図6】本発明のガスクロマトグラフ装置による分析の
他の例を示す図。
他の例を示す図。
【図7】本発明のガスクロマトグラフ装置による分析の
他の例を示す図。
他の例を示す図。
【図8】本発明による光イオン化検出器の他の例の説明
図。
図。
1…光源部、2…放電陰極、3…放電陽極、4…放電ガ
ス供給口、5…電源、6…電流制限抵抗、7…放電安定
化抵抗、8…検出部、9…コレクター電極、10…コレ
クター対極、11…被検出試料流入口、13…光路、1
4a,14b…ボンベ、15…流路切替バルブ、16…
被検出試料流出口、21…キャリアガス供給源、22…
キャリアガス流量調節部、23…試料注入部、24…恒
温槽、25…分離カラム、26…光イオン化検出器、2
7…制御装置、28…入力手段、29…表示装置、33
…放電陽極
ス供給口、5…電源、6…電流制限抵抗、7…放電安定
化抵抗、8…検出部、9…コレクター電極、10…コレ
クター対極、11…被検出試料流入口、13…光路、1
4a,14b…ボンベ、15…流路切替バルブ、16…
被検出試料流出口、21…キャリアガス供給源、22…
キャリアガス流量調節部、23…試料注入部、24…恒
温槽、25…分離カラム、26…光イオン化検出器、2
7…制御装置、28…入力手段、29…表示装置、33
…放電陽極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗田 信二 茨城県ひたちなか市大字市毛1040番地 株 式会社日立サイエンスシステムズ内 (72)発明者 飯田 圭一 茨城県ひたちなか市大字市毛1040番地 株 式会社日立サイエンスシステムズ内 (72)発明者 千葉 英康 茨城県ひたちなか市大字市毛1040番地 株 式会社日立サイエンスシステムズ内
Claims (6)
- 【請求項1】 気体放電によって発生した電離放射線を
被検出試料に照射し、被検出試料のイオン化電流を測定
することにより試料成分の検出を行う光イオン化検出方
法において、 前記気体放電の放電ガスをHe,Ne,Ar,Xe又は
H2 から選択して電離放射線のエネルギーを変えること
により、検出成分に対して選択性をもたせることを特徴
とする光イオン化検出方法。 - 【請求項2】 気体放電によって発生した電離放射線を
被検出試料に照射し、被検出試料のイオン化電流を測定
することにより試料成分の検出を行う光イオン化検出方
法において、 前記気体放電の放電ガスをHeとNeの混合気体、He
とArの混合気体、HeとXeの混合気体、HeとH2
の混合気体、NeとArの混合気体、NeとXeの混合
気体、HeとN2 の混合気体、又はHeとCO2 の混合
気体から選択して電離放射線のエネルギーを変えること
により、検出成分に対して選択性をもたせることを特徴
とする光イオン化検出方法。 - 【請求項3】 気体放電によって発生した電離放射線を
被検出試料に照射し、被検出試料のイオン化電流を測定
することにより試料成分の検出を行う光イオン化検出方
法において、 前記気体放電の放電ガスをAr又はHeとArとの混合
ガスとすることにより、無機ガスを含む被検出試料中の
有機物成分を検出することを特徴とする光イオン化検出
方法。 - 【請求項4】 気体放電によって電離放射線を発生する
放電電極と、前記電離放射線にさらされる被検出試料流
路と、前記電離放射線の照射を受けてイオン化した被検
出試料のイオン電流を測定する測定電極とを備える光イ
オン化検出器において、 前記気体放電の放電ガスを切り換えることによって前記
電離放射線のエネルギーを変化させる手段を備えること
を特徴とする光イオン化検出器。 - 【請求項5】 請求項4記載の光イオン化検出器におい
て、放電陰極と電源との間に電気抵抗を設置し、さらに
放電陽極と接地との間にも電気抵抗を設置したことを特
徴とする光イオン化検出器。 - 【請求項6】 試料注入部と、注入された試料成分を分
離する分離カラムと、分離された試料成分を検出する検
出器とを備えるガスクロマトグラフ装置において、 前記検出器として請求項4又は5記載の光イオン化検出
器を備えることを特徴とするガスクロマトグラフ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11717797A JPH10307123A (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 光イオン化検出方法及び光イオン化検出器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11717797A JPH10307123A (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 光イオン化検出方法及び光イオン化検出器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10307123A true JPH10307123A (ja) | 1998-11-17 |
Family
ID=14705339
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11717797A Pending JPH10307123A (ja) | 1997-05-07 | 1997-05-07 | 光イオン化検出方法及び光イオン化検出器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10307123A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001096852A1 (fr) * | 2000-06-14 | 2001-12-20 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd | Dispositif de detection d'une substance chimique et procede de mesure de la concentration de cette substance chimique |
CN103163256A (zh) * | 2011-12-16 | 2013-06-19 | 株式会社岛津制作所 | 放电离子化电流检测器 |
JP2018040721A (ja) * | 2016-09-08 | 2018-03-15 | 株式会社島津製作所 | 誘電体バリア放電イオン化検出器 |
-
1997
- 1997-05-07 JP JP11717797A patent/JPH10307123A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001096852A1 (fr) * | 2000-06-14 | 2001-12-20 | Mitsubishi Heavy Industries, Ltd | Dispositif de detection d'une substance chimique et procede de mesure de la concentration de cette substance chimique |
EP1291651A4 (en) * | 2000-06-14 | 2009-03-25 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | DEVICE FOR DETECTING CHEMICAL SUBSTANCE AND METHOD FOR MEASURING THE CONCENTRATION OF THIS CHEMICAL SUBSTANCE |
CN103163256A (zh) * | 2011-12-16 | 2013-06-19 | 株式会社岛津制作所 | 放电离子化电流检测器 |
JP2018040721A (ja) * | 2016-09-08 | 2018-03-15 | 株式会社島津製作所 | 誘電体バリア放電イオン化検出器 |
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