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JPH10241689A - 非水系電池用電極活物質 - Google Patents

非水系電池用電極活物質

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Publication number
JPH10241689A
JPH10241689A JP9059903A JP5990397A JPH10241689A JP H10241689 A JPH10241689 A JP H10241689A JP 9059903 A JP9059903 A JP 9059903A JP 5990397 A JP5990397 A JP 5990397A JP H10241689 A JPH10241689 A JP H10241689A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
electrode active
active material
iron
discharge capacity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9059903A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiko Honma
隆彦 本間
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP9059903A priority Critical patent/JPH10241689A/ja
Publication of JPH10241689A publication Critical patent/JPH10241689A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電の可逆性を有するのみならず、高い放
電容量をも備えたリチウム鉄系の非水電池用電極活物質
を提供することにある。 【解決手段】 リチウム(Li)と鉄(Fe)とのモル
比x(Li/Fe)がx≦0.15、格子定数aがa>
8.339オングストロームの範囲にあり、かつ結晶構
造が空間群Fd3mであって化学式β−LiFe58
表されるリチウム鉄複合酸化物を電極活物質として含め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水系電池用電極
活物質に関し、さらに詳しくは、有機電解液のような非
水系電解液を用いるリチウム二次電池等の電極活物質と
して好適なリチウム・鉄複合酸化物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の非水系電池の正極活物質として
は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)が一般的な材
料として用いられてきたが、コスト・資源等の問題から
これに代わる材料として、資源的に豊富な鉄(Fe)が
正極活物質として注目されている。
【0003】鉄(Fe)を正極活物質として用いた例と
して、特開平8−78019号公報では、BET法によ
り作製された比表面積が0.5〜20.5m2 /gである
ことを特徴とするリチウム鉄複合酸化物LixFeO
y(0<x≦1.5,1.8<y<2.2)が開示されてい
る。このLixFeOy材料は、炭酸リチウム(Li2
3 )と酸化第二鉄(Fe23)とをモル比1:1で混
合して空気中で加熱処理して得られ、これを特定の粒径
(比表面積)になるように粉砕して用いると、放電容量
の大きな電池が得られるとするものである。
【0004】また特開平7−134986号公報にも、
正極活物質として同じくリチウム鉄複合酸化物Lix
eOy(1.25≦x≦5.05,1.8≦y≦4.02
5)が開示されている。これによれば、LixFeO
yは、リチウムと鉄のモル比(Li/Fe)を特定して
原料を混合し500〜900℃の温度で焼成することに
より得られ、これを正極活物質として用いることにより
放電容量の大きな電池が得られるとするものである。
【0005】さらに特開平5−62679号公報には、
正極活物質としてリチウム鉄複合酸化物β−LiFeO
2 を用いることにより、放電容量が大きい電池を得る技
術が開示されている。これによれば、β−LiFeO2
を主成分とする焼成物は、リチウムと鉄のモル比(Li
/Fe)を0.8〜1.2として原料を混合し350〜5
00℃の特定温度で焼成することにより得られ、高い放
電容量が得られるとするものである。
【0006】また特開平8−124600号公報には、
正極活物質としてX線回折において面間隔4.8±0.3
オングストロームのピークを有する組成式LiFeO2
で与えられる複合酸化物を用いることにより、放電容量
が大きい電池を得る技術が開示されている。これによれ
ば、元素M(M:リチウム以外の1価あるいは2価の陽
イオンとなりうる元素)は、層状構造を有するMFeO
2 型の化合物をリチウム溶融塩中でイオン交換反応させ
ることによりリチウムに置換され、これにより得られる
複合酸化物LiFeO2 を用いることにより高い放電容
量が得られるとするものである。
【0007】さらに、特開平5−275079号公報に
は、有機リチウム化合物の溶液中に浸漬して処理した酸
化鉄、特にα−Fe23を負極活物質として用いる技術
が開示されている。この公報には、特開平3−1120
70号公報に開示された酸化第二鉄(Fe23)を負極
活物質として用いるよりもサイクル特性に優れた電池を
得る技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開平8−78019号公報、あるいは特開平7−13
4986号公報に開示されたものは、出発原料でのモル
比(Li/Fe)は特定されているものの、どのような
結晶構造をもった焼成物のもとに放電容量が増大するの
かは、明らかにされていなかった。また特開平8−78
019号公報で開示された電極でも放電容量は必ずしも
満足のいくものではなかった。
【0009】また、特開平5−62679号公報、特開
平8−124600号公報、特開平5−275079号
公報に示されるリチウム鉄複合酸化物も高い放電容量が
得られたとはしているが、リチウム鉄複合酸化物には種
々の結晶構造を持つものがあり、リチウム(Li)と鉄
(Fe)とのモル比(Li/Fe)のみならずその合成
手段によって形成されたリチウム鉄複合酸化物の結晶構
造は異なり、その結晶構造によって電極活物質としての
放電容量に強く関係していると推測される。
【0010】そしてリチウム鉄複合酸化物の合成手段と
しては、通常の固相反応の他、溶融塩中でのイオン交換
反応や有機リチウム化合物の溶液中でのリチウム挿入反
応など種々の方法が提案されているが、採られる合成手
段によって形成される結晶構造が異なることから、どの
ような合成手段を採るかも重要な鍵になるものと推察さ
れる。
【0011】本発明の解決しようとする課題は、リチウ
ム二次電池等の非水系電池に用いられる電極活物質とし
て充放電の可逆性を有するのみならず、高い放電容量も
備えたリチウム鉄複合酸化物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の非水系電池用電極活物質は、リチウム(L
i)と鉄(Fe)とのモル比x(Li/Fe)が x≦
0.15、格子定数aがa>8.339 オングストロー
ムの範囲にあり、かつ結晶構造が空間群Fd3mのリチ
ウム鉄複合酸化物を主体として用いることを要旨とする
ものである。
【0013】ここで「Fd3m」とは、ヘルマン−モー
ガンの記号に基づく国際記号で表示された空間群を示す
ものである。この構造を有するリチウム鉄複合酸化物
は、スピネル型構造をとり、通常、β−LiFe5
8(JCPDS Powder Diffraction File, 17-0114)と表示
される。
【0014】本発明に係る非水系電池用電極活物質、す
なわちβーLiFe58は、このスピネル型構造をとる
ものであるが、これは立方最密充填(c.c.p)した酸
素イオン格子間の4面体サイト(tet)あるいは8面体
サイト(oct)にリチウムイオン(Li+ )と鉄イオン
(Fe3+)が組成式(Fe3+tet[Li+ 0.5
3+ 1.5oct4 で表される割合で分布したものであ
り、8面体サイト(oct)のリチウムイオン(Li+
と鉄イオン(Fe3+)は不規則配列している。これらの
ことから不規則配列逆スピネル構造(disordered inver
se spinel) とも称されるものである。
【0015】一方、8面体サイトのリチウムイオンと鉄
イオンが規則配列すると、これは通常α-LiFe58
(空間群P4132,JCPDS Powder Diffraction File,
17-0115あるいは38-0259) と表示される。この場合、
後述するように、電池用電極活物質として十分な効果が
得られない。
【0016】本発明のβーLiFe58では、リチウム
(Li)と鉄(Fe)とのモル比x(Li/Fe)はx
≦0.15の範囲にあることを特徴としている。後述す
るようにこれは化学量論組成(X=0.2)よりも小さ
くすることによって、上述の不規則配列逆スピネル構造
中の8面体サイトに、空のサイト(空孔)の形成やリチ
ウムイオン、鉄イオンと空孔の配列の不規則性等の結晶
格子の乱れを導入するためである。モル比xが0.15
よりも大きくなり、化学量論組成(X=0.2)に近づ
くと、結晶格子の乱れが少なくなり、電池用電極活物質
として十分な効果が得られない。
【0017】一方、リチウム(Li)と鉄(Fe)との
モル比xがどの程度小さくなるまで空間群Fd3mの結
晶構造をもつリチウム鉄複合酸化物を得られるかは明ら
かではないが、仮にモル比x(Li/Fe)をx=0と
した場合、酸素イオン格子をもつγ-Fe23(空間群
P4132,JCPDS Powder Diffraction File, 39-134
6)が存在する。その組成式は(Fe3+)tet[Fe3+
5/31/3]octO4であり、規則配列欠陥スピネル構造で
あることから、少なくともモル比(Li/Fe)xは0
よりも大きい(x>0)と思われる。
【0018】この場合に本発明に係る非水系電池用電極
活物質、すなわちβーLiFe58の酸素量については
特定できていないが、その組成式は、Li+ xFe3+
8/5(1/ 5-x)/2、あるいはLi+ 1/5-yFe3+ 1+y/3
8/5(x=(1/5−y)/(1+y/3)≦0.1
5)に近いものと推測される。すなわち、リチウムイオ
ン(Li+)の不足分が鉄イオン(Fe3+)の増加によ
って電荷補償されていることから、リチウムイオン(L
+ )が拡散可能な空のサイト(空孔)が形成されてい
るものと推察される。
【0019】そこで、「□」を空の8面サイトとする
と、上述の組成式は(Fe3+tet [Li+ 8x/3(1+x/3)
Fe3+ 5(1ーx/5)/3(1+x/3)5(1/5-x)/3(1+x/3)oct4
あるいは(Fe3+tet[Li+ 1/2ー5y/2Fe3+ 3/2+5y/6
5y/3oct4と表すことができ、この場合空の8面サ
イトは、5(1/5−x)/3(1+x/3)あるいは
5y/3の割合で形成されているものと推察される。
【0020】このことから、本発明に係るβーLiFe
58には本発明の特徴であるリチウムと鉄のモル比X
(x≦0.15)に応じて、上記の組成式あたり、5
(1/5−x)/3(1+x/3)、あるいは5y/3
の割合で空の8面体サイトが不規則的に配列して形成さ
れることになる。そしてこのような空のサイトが形成さ
れることにより、格子定数aがa>8.339オングス
トロームの範囲にあるという特徴を有することになる。
すなわち、格子定数はJCPDS Powder Diffraction File,
17-0114で示される値(a=8.333)よりも大きく
なって、結晶格子が膨張するものと推察される。
【0021】上記構成を有する非水系電池用電極活物質
によれば、結晶構造内に格子の膨張、空孔の形成、リチ
ウムイオン(Li+ )、鉄イオン(Fe3+)及び空孔の
配列の不規則性といった結晶格子の乱れが導入され、リ
チウムイオン(Li+ )の拡散パスが形成される。その
ため、Fe3+→Fe2+またはFe2+→Fe3+という価数
変化を伴い、リチウムイオン(Li+ )の挿入・脱離が
可能になる。それにより可逆的な放電・充電が可能にな
り、良好なサイクル特性及び高い放電容量の実現に寄与
することになる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により具体
的に説明する。初めに本実施例及び比較例として非水系
電池用電極活物質を溶融塩処理法、固相反応法等により
作製した。表1は、本発明品である実施例1〜2及び比
較品である比較例1〜4の作製条件及び反応生成物をま
とめて示したものである。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例1)硝酸リチウム(LiNO3
とγ型オキシ水酸化鉄(γ-FeOOH)とをリチウム
(Li)と鉄(Fe)とのモル比(Li/Fe)が30
となるように混合した。各原料粉末としては全て市販の
試薬を用いた。この混合粉末をパイレックスガラスビー
カーに入れ、窒素ガスが充填された電気炉内において3
00℃で8時間加熱処理した。冷却後、ビーカー中に
は、溶融により塊状となった試料が得られた。試料の下
部には、褐色の反応生成物(リチウム鉄複合酸化物)が
観察された。この塊状試料の大部分は溶融固化したリチ
ウム(Li)塩であるので、これを多量のイオン交換水
で洗浄し濾過して褐色の反応生成物のみを分離した。こ
れを120℃の乾燥機中で一昼夜乾燥し解砕して、褐色
の粉末状反応生成物を得た。
【0025】(実施例2)硝酸リチウム(LiNO3
とγ型オキシ水酸化鉄(γ-FeOOH)との混合粉末
の加熱温度を360℃としたこと以外は、同じ条件で実
施例1と同様にして試料を作製し、粉末状の反応生成物
を得た。
【0026】(比較例1)炭酸リチウム(Li2CO3
とα型三二酸化鉄(α−Fe23)とを、モル比が1:
5になるように混合し、径がφ25mmの金型を用いて
200kgf/cm2 の圧力で一軸加圧成形して、厚さ
約10mmの成形体を作製した。管状雰囲気炉を用い、
100cc/minの空気気流中、900℃の温度で2
4時間熱分解・焼成した後解砕し、粉末状の反応生成物
を得た。
【0027】(比較例2〜4)比較例2〜4は、市販試
薬であるα型三二酸化鉄(α−Fe23)、γ型三二酸
化鉄(γ−Fe23)、及び四三酸化鉄(Fe34)を
それぞれ正極活物質としたものである。
【0028】次に、本発明品及び比較品の反応生成物に
ついて粉末X線回折装置(理学電機RAD-B, CuKα線使
用)を使用してその生成相の粉末X線回折パターンを得
た。また、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法によ
り、各反応生成物の組成を調べた。この結果に基づいて
反応生成物の結晶系、空間群、格子定数、Li/Feモ
ル比等、反応生成物の特徴を同定したので、これらをま
とめて表2に示して説明する。
【0029】
【表2】
【0030】表2に示したもののうち実施例1の粉末X
線回折パターンを図1に示す。このX線回折パターン
は、横軸に回折角をとり、縦軸に各回折線の強度をとっ
たものである。この図によれば、回折ピークが認められ
る回折角は、10〜70°の間に拡がっており、ややブ
ロードな粉末X線回折パターンが確認された。約30°
付近に面指数(220)の回折ピークが、約35°付近
に(311)の回折ピークが、約43°付近に(40
0)の回折ピークが、約54°付近に(422)の回折
ピークが、約57°付近に(511)の回折ピークが、
約63°付近に(440)の回折ピークが認められる。
【0031】この図に示す粉末X線回折パターンは、JC
PDS Powder Diffraction Fileの17-0114のものと一致し
ており、生成相は、空間群Fd3mの結晶構造をもつβ
−LiFe58であることが確かめられた。また、格子
定数aを求めたところ、a=8.353オングストロー
ムであり、同ファイルのa=8.333オングストロー
ムよりもかなり大きくなっていることが判明した。
【0032】さらにこの実施例1の反応生成物につい
て、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法により、リ
チウム(Li)と鉄(Fe)の含有量を調べたところ、
それぞれ0.47%と64.4%の重量割合であることが
わかった。リチウム(Li)と鉄(Fe)とのモル比
(Li/Fe)は 0.059(約0.06)であり、化
学量論組成(Li/Fe=0.2)から大きくずれてリ
チウム(Li)が不足していることがわかった。
【0033】実施例2の粉末X線回折パターンは、実施
例1の結果と同様であり、空間群Fd3mの結晶構造を
もつβ−LiFe58が反応生成物として得られたこと
が確認された。また、格子定数a=8.340 であり、
リチウム(Li)と鉄(Fe)のモル比(Li/Fe)
は0.14であった。
【0034】比較例1の粉末X線回折パターンは、生成
相が空間群P4132の結晶構造を持つα−LiFe5
8であった。格子定数はa=8.331 であり、JCPDS
Powder Diffraction File, 38-0259に示されたα−L
iFe58の値に一致した。またリチウム(Li)と鉄
(Fe)とのモル比(Li/Fe)は0.20であっ
た。 比較例2の試薬の粉末X線回折パターンは空間群
Rー3Cの結晶構造をもつα−Fe23であった。格子
定数はa=5.037、c=13.76であった。比較例
3の試薬の粉末X線回折パターンは空間群P4132の
結晶構造をもつγ−Fe23であった。格子定数はa=
8.348であった。比較例4の試薬の粉末X線回折パ
ターンは空間群Fd3mの結晶構造をもつFe34であ
った。格子定数はa=8.396であった。
【0035】(リチウム二次電池の試作)次に上記した
実施例1,2及び比較例1〜4の反応生成物及び試薬を
正極活物質としてリチウム二次電池の試験用セルを組み
立てたので、図2を参照して説明する。初めに、試験用
セル10に用いた正極合材12について説明するとこの
正極合材12は、反応生成物(β−LiFe58等)に
導電材としてアセチレンブラックと結着材としてポリフ
ッ化ビニリデンとを、反応生成物:アセチレンブラッ
ク:ポリフッ化ビニリデン=90:5:5の重量比で混
合し、さらにこの混合粉末に対してNメチル2ピロリド
ンを、混合粉末:Nメチル2ピロリドン=100:45
の重量比で加え混練してペースト状にしたものからなる
ものである。
【0036】そしてφ20mmの穴径を持つ厚さ0.1
mm のステンシルを用いて、厚さ50μmのアルミニ
ウム箔(正極集電板14)上にこのペーストを塗布し、
充分乾燥した後このアルミニウム箔上の正極合材を18
0℃の温度下で1500kgf/cm2 の圧力で加熱加
圧して密着させた。そして、φ15mmのポンチで打ち
抜いて正極とした。その結果、正極には正極活物質とし
ての反応生成物あるいは試薬が約10mg塗布できた。
【0037】次に、負極16には、φ15mmのポンチ
で打ち抜いた厚さ1mmの金属リチウム(Li)が用い
られている。セパレータ18としては、ポリエチレン製
の微多孔膜を用い、電解液としては、1:1の体積比で
混合したプロピレンカーボネート(PC)とジメトキシ
エタン(DME)の有機溶媒1リットル中に、1モルの
LiPF6の電解質が溶解したもの(1M−LiPF6
PC+DME)を用いた。尚、符号20は正極端子、2
2は負極端子、24は絶縁物である。
【0038】次に、そのリチウム二次電池の特性を評価
したのでそれについて説明する。この特性評価は、電池
セル10を充放電試験装置に取り付け4.2〜1.5Vの
電圧範囲で0.1mA/cm2の定電流充放電を行って、
正極活物質1gあたりの放電容量を調べたものである。
上述した表2には、実施例1,2及び比較例1〜4の主
たる反応生成物の特徴の他、それぞれについての電池特
性が併せて示されている。
【0039】実施例1を用いた電池特性については、図
3に充放電曲線が示され、図4にサイクル特性が示され
ている。図3に示す充放電曲線は、横軸に容量を、縦軸
に電圧をとったものであり、1.5〜4.2Vの範囲で充
電と放電が交互に繰り返しなされていることが示され、
充放電の可逆性が充分であることが判明した。
【0040】また図4に示すサイクル特性は、横軸にサ
イクル数を、縦軸に放電容量をとったものであり、1.
5〜4.2Vの範囲で充電と放電を繰り返したときのそ
の放電容量を示したものである。これによれば、放電容
量は、サイクル数が1回目の時は100mAh/gとか
なり高い値を示したが、サイクル数が2,3回目になる
と70mAh/g程度の値となる。そしてサイクル数が
3回目以降10回目に至るまでは、67mAh/g〜6
4mAh/g程度の値でほぼ安定しており、従来のもの
(20mAh/g程度)に較べて遥かに大きな放電容量
が得られた他、図3に示すように充放電の可逆性も十分
であることが判明した。
【0041】実施例2を用いた電池特性については、放
電容量は42mAh/gであり、従来のものよりもかな
り大きな放電容量を示すことが判明した。
【0042】比較例1を用いた電池特性については、そ
の放電容量が16mAh/gであり、従来のものと同程
度の放電容量しか得られないことがわかった。また、比
較例2〜4を用いた電池特性については、その放電容量
は、α−Fe23が26mAh/g、γ−Fe23が2
6mAh/g、Fe34が13mAh/gという結果に
なり、やはり、従来のものと同程度の容量しか得られな
いことがわかった。
【0043】以上の結果から、本実施例の電極活物質は
比較例(従来のもの)に較べてかなり大きな放電容量を
達成していることが明らかである。この場合に、リチウ
ム(Li)と鉄(Fe)とのモル比は、本発明品と比較
品との比較からモル比(Li/Fe)がx≦0.15の
範囲内にあることが望ましいといえるが、結晶構造に空
孔の形成やリチウムイオン、鉄イオン及び空孔の配列の
不規則性といった結晶格子の乱れ十分に導入され、大き
な放電容量が得られるためには、X=0.06程度のも
のが特に望ましいといえる。この場合にβ−LiFe5
8の格子定数aはa>8.339オングストロームの範
囲内にあることが望ましいものである。
【0044】また反応生成物である正極活物質は、空間
群Fd3mの結晶構造が維持され得る様に、リチウム
(Li)の鉄(Fe)に対するモル比(Li/Fe)を
0.15以下にしたことから、結晶格子の乱れが導入さ
れ、リチウムイオン(Li+ )の拡散パスが形成され得
る。これにより、Fe3+/Fe2+の価数変化を伴って容
易にリチウムイオン(Li+ )が挿入、あるいは脱離で
きることになり、可逆的な充放電がなされ得る。
【0045】また本実施例によれば反応生成物は、30
0〜400°という比較的低温の温度範囲で加熱処理が
施された後得られるものであるから、反応容器や電気炉
の腐食を低減することができるため、製造設備を長期に
渡って使用することが可能になり、生産コストを抑える
ことも可能になる。
【0046】本発明は、上記した実施例に何ら限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の電池に適用することが可能である。例えば上記実施例
では、本実施例に係る電極活物質をリチウム二次電池の
正極活物質とした場合のみを例として説明したが、本実
施例に係る電極活物質は、一次電池、二次電池あるいは
正極負極を問わず、非水系電池に適用可能なものであ
る。
【0047】
【発明の効果】本発明の非水系電池用電極活物質は、リ
チウム(Li)と鉄(Fe)とのモル比x(Li/F
e)がx≦0.15、格子定数aがa>8.339オング
ストロームの範囲にあり、かつ結晶構造が空間群Fd3
mであって化学式β−LiFe58 で表されるリチウ
ム鉄複合酸化物を主体とするものである。そして結晶構
造内に導入した結晶格子の乱れを介して、リチウムイオ
ンの挿入・脱離反応が起こることにより充放電の可逆性
を有すると同時に高い放電容量も備えた電極活物質が得
られるものである。
【0048】そしてこのように充放電の可逆性を有する
ほかに、高い充放電容量が確保されるものであるから、
パソコンや携帯電話などの通信事務機器用、あるいは近
い将来の需要が期待される電気自動車電源用への適用な
どが期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品である実施例1の反応生成物について
の結晶構造を解析するためX線回折パターンを示した図
である。
【図2】本発明品の電池特性を試験するためのリチウム
二次電池の電池セルの構成を示す断面図である。
【図3】実施例1の反応生成物を正極活物質として用い
たリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。
【図4】実施例1の反応生成物を正極活物質として用い
たリチウム二次電池のサイクル特性を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム(Li)と鉄(Fe)とのモル
    比x(Li/Fe)がx≦0.15、格子定数aがa>
    8.339オングストロームであり、かつ結晶構造が空
    間群Fd3mであって、化学式β−LiFe58で表さ
    れるリチウム鉄複合酸化物を含むことを特徴とする非水
    系電池用電極活物質。
JP9059903A 1997-02-26 1997-02-26 非水系電池用電極活物質 Pending JPH10241689A (ja)

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