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JPH10244363A - 高融点金属ろう接円筒形状部材及びその製造方法 - Google Patents

高融点金属ろう接円筒形状部材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10244363A
JPH10244363A JP4771897A JP4771897A JPH10244363A JP H10244363 A JPH10244363 A JP H10244363A JP 4771897 A JP4771897 A JP 4771897A JP 4771897 A JP4771897 A JP 4771897A JP H10244363 A JPH10244363 A JP H10244363A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
cylindrical member
melting point
metal
pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4771897A
Other languages
English (en)
Inventor
重彦 ▲高▼岡
Shigehiko Takaoka
Hidetoshi Maezato
英俊 前里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Tungsten Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Tungsten Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Tungsten Co Ltd filed Critical Tokyo Tungsten Co Ltd
Priority to JP4771897A priority Critical patent/JPH10244363A/ja
Publication of JPH10244363A publication Critical patent/JPH10244363A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実用上非常に施工が簡便となると共に,母材
の脆化の恐れの少なく,接合強度に優れ寸法精度の高い
電子部品用の高融点金属製ろう接円筒形状部材とその製
造方法とを提供すること。 【解決手段】 高融点金属ろう接円筒形状部材10は,
W,Moおよびそれぞれの合金の内の少なくとも1種か
らなる円筒状の板材である。高融点金属ろう接円筒形状
部材10は,曲げ加工を施した少なくとも一つの板材1
の端部をろう材2を介して接合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,電子部品用高融点
金属製パイプ及びリング等に用いられる高融点金属円筒
形状部材とその製造方法に関し,詳しくは,平板状の高
融点金属板材からろう接により円筒形状に形成された高
融点金属ろう接円筒形状部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年電子部品の分野において,高融点金
属製パイプ及びリング等の円筒形状部材が要求されてい
る。例えば,含浸型カソード部品用モリブデン(Mo)
パイプ,電力用サイリスタ用タングステン(W)および
Mo電極リング等の円筒形状部材が使用されている。一
般に含浸型カソード部品用Moパイプは,棒材をガンド
リル等により貫通穴を開け素管とし,管引き,切断加工
等により必要サイズのパイプを製造している。
【0003】さらに,電力用サイリスタ用W及びMo電
極リングでは,圧延あるいは鍛造等により加工した板材
からリング形状を切り出す,または粉末冶金法によりリ
ング状にプレスし焼結する等により製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,Wおよ
びMo等の高融点金属は,いずれも難加工性の金属であ
り,例えば,Wにおいては,棒材をガンドリル等により
貫通穴をあけ素管とすることが困難である。さらに,上
記棒材および板材からの加工では,製品の部分よりも加
工により取り除いた部分の方が多くなる場合も多い。す
なわち歩留が極度に悪く,資源やエネルギーの使用量も
大きくなり,コスト高の要因となっている。また,板材
から切り出す方法では,板材の厚みが長さの限界とな
り,長尺の製品の製造は困難である。
【0005】一方,焼結品では,加工量が大幅に減少す
る利点をもつが,強度面で不安がある。したがって,曲
げ加工を施した板の両端部を接合することにより,円筒
形状部材を形成する方法が強く要求されている。そのた
めには,W,Moの接合方法が問題となる。用途,サイ
ズ,精度によっては,接合加工後の状態で使用可能な場
合もあるが,電子部品などの分野では要求精度が高いた
め管引き等の後加工を施す場合がほとんどである。例え
ば,外径1.5〜2.0mm,肉厚0.1mmのMoパ
イプの場合,長さについては,±0.02mm,肉厚に
ついては,±0.05mmの精度がそれぞれ要求されて
いる。その場合に管引き等の後加工に耐えられる接合強
度を持つ必要がある。
【0006】また,W,Mo等の高融点金属に適用が考
えられる接合方法としては,アーク,ティグ溶接(TI
G),レーザー,電子ビーム等を用いた融接接合,ろう
接接合,拡散接合,リベット止めおよびボルト止め等の
機械接合などがある。
【0007】ここで,融接は母材の溶接しようとする部
位を加熱し,母材のみか,又は母材と溶加材とを融合さ
せて溶融金属を作り,これを凝固させ接合する方法で,
鉄系金属を中心に広く構造体の製作に使用されている。
しかし,融接法では,母材を溶解する必要があるため,
母材の融点以上の温度に加熱することが必須である。ま
た,母材の溶解,凝固を伴うため組織変化,すなわち再
結晶およびその粗大化が避けえないため残留応力および
組織変化により融接部近傍の脆化,強度低下が生じる。
そのため,特に溶解,凝固にともなう結晶粒粗大化によ
る脆化が顕著なW,Moなどの難溶接性金属に対して適
用が困難である。
【0008】一方,W同士,Mo同士の拡散接合では,
再結晶温度以上において初めて接合可能となるため結晶
粒の粗大化による脆化が生じる。そこで接合温度をさげ
るため,Ni箔等のインサート材を使用することも検討
されている。その場合,使用温度によっては金属間化合
物を生成し脆化が生じる。たとえば,Ni/Wでは,約
1000℃でNi−W金属問化合物を,Ni/Moでは
約800℃でNi−Mo金属問化合物を生成する。
【0009】また,リベット又はボルトによる機械的締
結は,古くから適用されており強度的にも安定している
が,小型部品には適用が難しく,また接合面の密着性に
問題がある。
【0010】さらに,ろう接は母材を溶融することな
く,母材よりも低い融点をもつ金属の溶加材(ろう材)
を溶融させ,毛細管現象を利用し接合面の隙間に行き渡
らせて接合を行う方法である。そのため,溶解,凝固に
ともなう結晶粒粗大化や金属間化合物の生成による脆化
が生じないほか,施工温度が低いため熱応力を抑えるこ
とができるとともに,母材の組織変化がない等の利点が
ある。さらに,高融点金属のように,母材溶解に対して
高エネルギーが必要な場合,あるいは凝固時に割れが生
じやすい材料に適している。
【0011】例えば,WおよびMo用ろう材としては,
低温域(800℃以下)では銀ろう,高温域ではRu−
Mo共晶合金ろう材が用いられている。これらのろう材
の内で,銀ろうでは,ろう接温度が低いため当然高温で
の使用は不可能であり,熱間温度にて行われる管引き加
工が不可能である。また,融点以下の使用においても軟
化温度がさらに低いため,強度低下の不安も大きい。
【0012】一方,Ru−Mo共晶合金ろう材において
は,高温での強度低下の不安が少ないが,ろう接温度が
2000℃と高いため,WおよびMo母材の脆化が問題
となり,ろう接後の管引き加工が不可能等という実用上
の大きな問題が有るため,できるだけろう接部材の使用
に問題のない範囲でろう接温度が低く,接合強度の高い
ろう材が望ましい。
【0013】そこで,本発明の技術的課題は,実用上非
常に施工が簡便となると共に,母材の脆化の恐れの少な
く,接合強度に優れ寸法精度の高い電子部品用の高融点
金属製ろう接円筒形状部材とその製造方法とを提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】WおよびMo高温用ろう
材としては,例えば,W,Moに対し優れた濡れ性を示
すRu−Mo共晶合金ろう材が知られているが,このろ
う材は融点が1955℃と高温であり,W,Mo母材の
脆化による強度低下や施工上の問題も多い。
【0015】本発明者らは,このRu−Mo共晶合金ろ
う材に,硼素(B)を添加することにより,濡れ性を損
なうことなく融点を調整できることを実験的に見い出
し,本発明をなすに至ったものである。
【0016】即ち,本発明によれば,W,Moおよびそ
れぞれの合金の内の少なくとも1種からなる円筒状の板
材であって,平板に曲げ加工を施した少なくとも一つの
素材の端部同士をろう材を介して接合してなることを特
徴とする高融点金属ろう接円筒形状部材が得られる。
【0017】また,本発明によれば,前記高融点金属ろ
う接円筒形状部材において,前記ろう材は,ルテニウム
・モリブデン(Ru−Mo)共晶合金に硼素(B)を
1.4重量%から3.5重量%添加したものから実質的
になることを特徴とする高融点金属ろう接円筒形状部材
が得られる。
【0018】また,本発明によれば,W,Moおよびそ
れぞれの合金の内の少なくとも1種からなる板材に曲げ
加工を施し,少なくとも一つの前記板材の端部同士をろ
う材を介してろう接後,管引き加工を施すことを特徴と
する高融点金属ろう接円筒形状部材の製造方法が得られ
る。
【0019】さらに,本発明によれば,W,Moおよび
それぞれの合金の内の少なくとも1種からなる板材に,
曲げ加工を施し,少なくとも一つの前記板材の端部同士
をろう材を介してろう接後,機械加工を施すことを特徴
とする高融点金属ろう接円筒形状部材の製造方法が得ら
れる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0021】図1乃至図3は,本発明の実施の形態によ
る高融点金属ろう接円筒形状部材の種々の例を示す図で
ある。
【0022】図1の例による高融点金属ろう接円筒形状
部材10は,W,Mo,及びそれぞれの合金の内の少な
くとも1種の高融点金属からなる板材1を円状になるよ
うに曲げ加工を施し,直線部端面3a,3b同士をRu
−Moからなるろう材2を介して突き合わせて接合した
ものである。さらに,管引き等の後加工や研磨等の機械
加工を施しても良い。
【0023】図2の例による高融点金属ろう接円筒形状
部材11は,W,Mo,及びそれぞれの合金の内の少な
くとも1種の高融点金属からなる2枚の板材1,1´を
半円状に曲げ加工を施し,夫々の板材1,1´の直線部
端面3a,3b及び3b´,3a´を夫々Ru−Moか
らなるろう材2,2´を介して突き合わせて接合したも
のである。この例による高融点金属ろう接円筒形状部材
は,図1の例と同様に,管引き等の後加工や研磨等の機
械加工を施しても良い。
【0024】図3の例による高融点金属ろう接円筒形状
部材12は,W,Mo,及びそれぞれの合金の内の少な
くとも1種の高融点金属からなる板材1を円状になるよ
うに曲げ加工を施し,両端部を重ね合わせて,Ru−M
oからろう材2を介して接合したものである。さらに,
図1及び図2の例と同様に,管引き等の後加工や研磨等
の機械加工を施しても良い。
【0025】図4は図1乃至図3の高融点金属ろう接円
筒形状部材の作製に用いるろう材の特性を示す図であ
る。図4に示すように,Ru,Moろう材は,硼素
(B)の添加量を増大させることによって,融点を低下
させることができる。
【0026】ベースとなるRu,Moろう材の組成範囲
はRu量で33.5から49.5重量%が使用できる。
ここで,Ru−Moろう材は,この範囲においてRu,
Mo共晶組織を有し,さらには共晶点である43重量%
Ru−57重量%Moが望ましい。
【0027】さらに,Ru,Mo共晶合金ろう材に硼素
(B)をろう材の融点が1420℃から1900℃の温
度範囲において,希望温度となる量添加することにより
ろう接温度を調整可能となる。
【0028】例えば,Bの添加量が3.5重量%で融点
が約1420℃,2.5重量%で融点が約1650℃,
1.4重量%で融点が約1900℃と融点を選択でき
る。
【0029】ろう接温度は融点より約30℃から50℃
高く設定すればよいが,ワークサイズや加熱方法により
変更してもよい。
【0030】ろう材は有機溶剤によりペースト状にして
塗布する方法が簡便であるが,プレスあるいは押出し法
により薄板あるいは棒状に成形してもよい。成形時必要
に応じて,パラフィン等のバインダーを混合してもよ
い。バインダーは通常のW,Moあるいは超硬合金の成
形に用いられるものでよく,脱バインダー条件なども同
様である。
【0031】上記のろう材を用いて,曲げ加工を施した
素材の突き合わせ部,あるいは重ね合わせ部を接合する
ことにより,接合強度の優れた円筒形状部材が製作でき
る。曲げ形状は,熱間曲げ,プレスあるいは成形ロール
などにより,樋状,C型形状などに成形すればよい。用
途,サイズ,精度によっては,接合加工後の状態で使用
可能であるが管引き等の後加工を施すしてもよい。上記
のろう材においては融点を選択できるため,ろう接温度
を低く抑えることができ,かつ,ろう接時の加熱時間が
短いため,母材の再結晶による脆化を軽減することがで
き,後加工に耐えられる接合強度を持つ。そのため,管
引き等の後加工が可能となる。
【0032】また,一般にはMo母材として,純モリブ
デンがその加工性,コストなどの点から選択されるが,
その再結晶温度は約1000℃と低い。さらに高温で使
用されるモリブデン材として,例えば,Ti,Zr,お
よびCを含むTZMが知られているが,TZMにおいて
もその再結晶温度は1300〜1500℃に過ぎない
が,本発明のろう材を用いることにより,ろう材の融点
を選択できるためろう接温度を低く抑えることができ,
かつ,ろう接時の加熱時間が短いため,モリブデンある
いはTZM母材の接合時の再結晶による脆化を軽減する
ことができる。
【0033】さらに,再結晶温度後においても加工性お
よび耐高温変形性に優れたモリブデン材として,ラン夕
ン含有モリブデン(特公平2−38659号公報,参
照)がある。このランタン含有モリブデンは,0.l〜
1.0重量%未満のランタンまたはランタン酸化物と,
残部がモリブデンとからなり,実質的に一定方向に伸長
して再結晶化しているインターロッキング構造を呈する
結晶粒子を有する加工性および耐高温変形性に優れたモ
リブデン合金である。このランタン含有モリブデンを素
材として使用することにより,融点がより高温のろう材
を用いても脆化を生じることがなく,かつ純モリブデン
を素材として用いた場合よりも高温使用時での変形量を
小さくできる。
【0034】前記のろう材,すなわちろう接部材の使用
温度に適した融点のろう材,によりろう接処理を行うこ
とにより従来から実績のあるRu−Mo共晶合金ろう材
を使用した場合に比べろう接温度を下げることができる
ため,高融点金属のろう接に関し,2000℃以上加熱
可能な高価な加熟炉を使用する必要もなくなり,炉構
造,加熱方法の自由度が高くなり,実用上非常に施工が
簡便となると共に,母材の脆化の恐れの少ないろう接円
筒形状部材を提供することができる。さらに管引き加工
が可能な強度を持つため適正サイズのダイスおよび芯金
を用いることにより,寸法精度の高い円筒状部材を得る
ことができる。
【0035】以下,本発明の高融点金属ろう接円筒形状
部材の製造の具体例を示す。
【0036】(第1の実施の形態)板厚1mm,幅1
2.5mm,長さ200mmのMo板を熱間プレス加工
により外周半径4mmの樋状に加工したものを2本準備
し母材1,及び2とした。母材1の長手直線部端面に融
点が約1420℃である41.重量%Ru−55.0重
量%Mo−3.5重量%Bからなるろう材粉末をバイン
ダーによりペースト状にしたろう材を塗布した後,母材
2をセットし,端面同士をろう材を介して突き合わせ,
治具にて位置ずれをふせぎAr雰囲気炉中で毎分15℃
の昇温速度で1450℃まで昇温し,この温度で5分保
持後徐冷を行い外径約8mm,長さ200mmのパイプ
の接合を完了した。
【0037】この接合処理後,目視外観検査にて母材隙
間部にろう材が充分流れ,空隙が存在せず,非常に良好
な接合状態が得られていることを確認し,熱間管引き用
素管とした。熱間管引きは芯金およびダイスを順次小さ
くし最終サイズ外径1.6mm,肉厚0.10mmに管
引きした後,長さ3.4mmに切断し,パイプ状とし切
断バリ除去のためバレル研磨を施し,さらに管引き加工
の歪み取りのため950℃にて10分間保持し,図2示
すような形状を備えたパイプ状部材を製作した。20倍
の光学顕微鏡にて外観検査を行い,割れなどの加工不良
がないことを確認した後,寸法測定を測定数10本にて
行った。その結果,要求精度長さ3.4±0.02mm
に対し+0.015mm,0.010mm,肉厚0.1
0±0.005mmに対し+0.003,−0.004
mmの範囲内にあり,要求精度を満たしていた。
【0038】さらに,本パイプ状部材の圧環強度試験を
JIS Z2507に基ずいて調べた。接合位置を荷重
方向に対し0度および90度の位置に合わせ,試験本数
各5本計10本の平均圧環強度は971.9MPa,最
大強度1049.0MPa,最小強度949.4MPa
であった。また接合位置の方向による差はなかった。
【0039】次に,本パイプ状部材を電子部品用Moパ
イプとして実用に供されている通常の管引き工程にて製
作した同サイズのパイプと比較した。すなわち,外径8
mm,長さ200mmのMo捧にガンドリルにて内径6
mmの穴を空け素管とし,上記1と同様に熱問管引きを
施し外径1.6mm,肉厚0.1mm,長さ3.4mm
のパイプ状部材を製作した。本部材の圧環強度を上記試
験法にて試験した結果は平均圧環強度983.7MP
a,最大強度1003.8MPa,最小強度961.8
MPaであった。
【0040】すなわち,ろう接後熱間管引き加工を施し
たパイプ状部材は電子部品用Moパイプとして実用に耐
える寸法精度および強度を持つ。
【0041】(第2の実施の形態)第1の実施の形態と
同様に板厚1mm,幅12.5,長さ200mmのラン
タン含有モリブデン(特公平2−38659号公報参
照)板を熱間プレス加工により外周半径4mmの樋状に
加工したものを2本準備し母材1,および2とした。母
材1の長手直線部端面に融点が約1900℃である4
2.4重量%Ru−56.2重量%Mo−1.4重量%
Bのろう材粉末をバインダーによりペースト状にしたろ
う材を塗布した後,母材2をセットし,端面同士をろう
材を介して突き合わせ治具にて位置ずれをふせぎ,真空
炉中で毎分15℃の速度で1950℃まで昇温し,この
温度で5分保持後徐冷を行い外径約8mm,長さ200
mmのパイプの接合を完了した。
【0042】この接合処理後,目視外観検査にて母材隙
間部にろう材が充分流れ,空隙が存在せず,非常に良好
な接合状態が得られていることを確認し,熱間管引き用
素管とした。熱間管引きは芯金およびダイスを順次小さ
くし最終サイズ外径1.6mm,肉厚0.1mmに管引
きした後,長さ3.4mmに切断し,バレル研磨を施
し,さらに管引き加工の歪み取りのため950℃にて1
0分間保持し,図2に示す形状を備えたパイプ状部材を
製作した。20倍の光学顕微鏡にて外観検査を行い,割
れなどの加工不良がないことを確認した後,寸法測定を
測定数10本にて行った。その結果,要求精度長さ3.
4±0.02mmに対し+0.013mm,−0.01
1mm,肉厚0.10±0.005mmに対し±0.0
03mmの範囲内にあり,要求精度を満たしていた。さ
らに本パイプ状部材の圧環強度試験をJIS Z250
7に基ずいて調べた。試験本数10本の平均圧環強度は
1109.9MPa,最大強度1130.0MPa,最
小強度1091.4MPaであり,第1の実施の形態と
同様,電子部品用Moパイプとして実用に耐える寸法精
度および強度を持つことが判明した。
【0043】(第3の実施の形態)第1の実施の形態と
同様に板厚1mm,幅12.5mm,長さ200mmの
W板を熱間プレス加工により外周半径4mmの樋上に加
工したものを2本準備し母材1,および2とした。母材
1の長手直線部端面に融点が約1600℃である41.
8重量%Ru−55.4重量%Mo−2.8重量%Bか
らなるろう材粉末をバインダーによりペースト状にした
ろう材を塗布した後,母材2をセットしろう材を介して
端面同士を夫々突き合わせ,治具にて位置ずれをふせ
ぎ,真空炉中で毎分15℃の速度で1650℃まで昇温
し,この温度で5分保持後徐冷を行い外径約8mm,長
さ200mmのパイプの接合を完了した。
【0044】この接合処理後,目視外観検査にて母材隙
問部にろう材が充分流れ,空隙が存在せず,非常に良好
な接合状態が得られていることを確認し,熱間管引き用
素管とした。熱間管引きは芯金およびダイスを順次小さ
くし最終サイズ外径2.0mm,肉厚0.2mmに管引
きした後,長さ5mmに切断し,バレル研磨を施し,さ
らに管引き加工の歪み取りのため1200℃にて10分
問保持し,図2に示す形状を備えたパイプ状部材を製作
した。20倍の光学顕微鏡にて外観検査を行い,割れな
どの加工不良がないことを確認した。
【0045】比較のため,W丸棒から管引き加工により
同サイズのパイプ状部材の製作を試みた。外径8mm,
長さ200mmのW棒にガンドリルにて内径6mmの穴
加工を切削条件を変え実施したが,加工不能であった。
Wは難加工材料であり,深穴加工の困難さが確認され
た。よって,管引き加工用W素管の製作,すなわち管引
き法によるWパイプの製作は不可能であった。
【0046】(第4の実施の形態)板厚6.5mm,幅
12mm,長さ270mmのMo板を金型に素材を巻き
付ける熱間曲げ加工によりC型形状に成形し,さらに直
線部端面が平行になるように研磨補正加工した。母材の
直線部端面に融点が約1600℃である41.8重量%
Ru−55.4重量%Mo−2.8重量%Bからなるろ
う材粉末をバインダーによりペースト状にしたろう材を
塗布した後,端面同士をろう材を介して突き合わせ,治
具にて位置ずれおよび変形をふせぎ,真空炉中で毎分1
5℃の速度で1650℃まで昇温し,この温度で5分保
持後徐冷を行い接合を完了した。その後,旋盤加工によ
り,図1に示す形状を備えた外径90mm,内径80m
m,高さ10mmのリングを完成させた。旋盤加工にお
いても破損などの加工性に問題もなく,また目視外観検
査にて母材隙間部にろう材が充分流れ,ほとんど空隙が
存在せず,非常に良好な接合状態が得られ,さらに,断
面観察から,母材に損傷がないことも確認した。
【0047】(第5の実施の形態)板厚1.0mm,幅
8mm,長さ265mmW板を金型に素材を巻き付ける
熱間曲げ加工によりC型形状に成形し,さらに直線部端
面が平行になるように研磨補正加工した。母材の直線部
端面に融点が約1600℃である41.8重量%Ru−
55.4重量%Mo−2.8重量%Bからなるろう材粉
末をバインダーによりペースト状にしたろう材を塗布し
た後,端面同士を突き合わせて治具にて位置ずれおよび
変形をふせぎ,真空炉中で毎分15℃の速度で1650
℃まで昇温し,この温度で5分保持後徐冷を行い接合を
完了し,図1に示すような形状を備えた内径84mm,
板厚1.0mm,高さ8mmのリングを完成させた。目
視外観検査にて母材隙間部にろう材が充分流れ,ほとん
ど空隙が存在せず,非常に良好な接合状態が得られてい
ることを確認した。さらに,断面観察から,母材に損傷
がないことも確認した。
【0048】さらに,ヒートサイクル試験を行った。常
温から1500℃まで毎分15℃の速度で昇温し20分
保持後炉冷するサイクルを10回繰り返しリングの変形
を測定した。サンプル数5個の測定の結果,厚さ方向の
ソリおよび径方向の同軸度とも最大18μmであり,セ
ラミック焼成等の熱処理用スペーサの要求精度である±
20μm以下となり,本用途に使用することが可能であ
ることを確認した。
【0049】
【発明の効果】以上,説明したように,本発明によれ
ば,接合強度に優れ寸法精度の高い電子部品用高融点金
属製ろう接円筒形状部材が製作可能となる。即ち,高融
点金属のろう接に関し,2000℃以上加熱可能な高価
な加熱炉を使用する必要もなくなり,炉構造,加熱方法
の自由度が高くなり,実用上非常に施工が簡便となると
共に,母材の脆化の恐れの少ない高融点金属ろう接円筒
形状部材とその製造方法とを提供することができる。
【0050】さらに,本発明では,管引き加工が可能な
強度を持つため適正サイズのダイスおよび芯金を用いる
ことにより,寸法精度の高い高融点金属ろう接円筒状部
材とその製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による高融点金属ろう接円
筒形状部材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態による高融点金属ろう接円
筒形状部材の他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態による高融点金属ろう接円
筒形状部材の別の一例を示す断面図である。
【図4】Ru−Moろう材の硼素添加量に対する融点変
化を示す図である。
【符号の説明】
1,1´ 板材 2,2´ ろう材 3a,3b,3a´,3b´ 直線部端面 10,11,12 高融点金属ろう接円筒形状部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 W,Moおよびそれぞれの合金の内の少
    なくとも1種からなる円筒状の板材であって,平板に曲
    げ加工を施した少なくとも一つの素材の端部同士をろう
    材を介して接合してなることを特徴とする高融点金属ろ
    う接円筒形状部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高融点金属ろう接円筒形
    状部材において,前記ろう材は,ルテニウム・モリブデ
    ン(Ru−Mo)共晶合金に硼素(B)を1.4重量%
    から3.5重量%添加したものから実質的になることを
    特徴とする高融点金属ろう接円筒形状部材。
  3. 【請求項3】 W,Moおよびそれぞれの合金の内の少
    なくとも1種からなる板材に曲げ加工を施し,少なくと
    も一つの前記板材の端部同士をろう材を介してろう接
    後,管引き加工を施すことを特徴とする高融点金属ろう
    接円筒形状部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 W,Moおよびそれぞれの合金の内の少
    なくとも1種からなる板材に,曲げ加工を施し,少なく
    とも一つの前記板材の端部同士をろう材を介してろう接
    後,機械加工を施すことを特徴とする高融点金属ろう接
    円筒形状部材の製造方法。
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