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JPH10168283A - 電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料 - Google Patents

電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料

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JPH10168283A
JPH10168283A JP33370196A JP33370196A JPH10168283A JP H10168283 A JPH10168283 A JP H10168283A JP 33370196 A JP33370196 A JP 33370196A JP 33370196 A JP33370196 A JP 33370196A JP H10168283 A JPH10168283 A JP H10168283A
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epoxy resin
molding material
compound
resin molding
resin
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茂雄 佐瀬
Shinsuke Hagiwara
伸介 萩原
Seiichi Akagi
清一 赤城
Fumio Furusawa
文夫 古沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のエポキシ樹脂成形材料の耐熱性を損な
うことなくICパッケージの吸湿性を改善し、はんだリ
フロー時にクラックが発生しない電子部品封止用エポキ
シ樹脂成形材料を提供する。 【解決手段】 1分子中に2個以上のエポキシ基を有す
るエポキシ樹脂、フェノール性水酸基を活性エステル化
した多価フェノール類化合物、硬化促進剤及び無機充填
剤を必須成分とする電子部品封止用エポキシ樹脂成形材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品、特に表
面実装用プラスチックパッケージICの封止用成形材料
として好適な耐リフロークラック性に優れた電子部品封
止用エポキシ樹脂成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりトランジスタ、IC等の電子部
品封止用成形材料には、電気特性、耐湿性、耐熱性、機
械特性及びインサート品との接着性等に優れるエポキシ
樹脂成形材料が用いられている。特に、IC封止用成形
材料では、高耐熱性が求められるため、多官能エポキシ
樹脂であるO−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を
多価フェノール類化合物であるフェノールノボラック樹
脂により硬化させるエポキシ樹脂成形材料が広く用いら
れている。
【0003】近年、プリント配線板の高密度実装化に伴
ない、電子部品のパッケージは従来のピン挿入型から表
面実装型が主流になってきている。更に表面実装型IC
では高密度化及び実装高さを低くするため、パッケージ
が年々小型及び薄型になってきており、パッケージ中の
素子の占有体積は相対的に大きくなり、パッケージの肉
厚は非常に薄くなってきている。
【0004】また、従来のピン挿入型パッケージでは、
配線板に挿入後配線板裏面からはんだ付けを行なうた
め、パッケージが直接高温に曝されることはなかった
が、表面実装型ICでは配線板表面に仮止めされた後
に、はんだバスやはんだリフロー装置等で処理されるた
め、パッケージが高温のはんだ付け温度に直接曝される
ことになる。この結果、表面実装型ではICパッケージ
が吸湿している場合、吸湿水分がはんだ付けの時に急激
に膨脹してパッケージにクラックを生じさせるという不
良が起こり、表面実装型ICの大きな問題点になってい
る。
【0005】これまでに、はんだリフロー時のパッケー
ジクラックを防ぐ目的で、ICを防湿梱包で保護した
り、配線板に実装する前にICを予め十分に乾燥する等
の方法が提案されているが、これらはいずれもコストア
ップになるという問題点があり、低吸湿性で耐クラック
性が良好な表面実装型IC封止用エポキシ樹脂成形材料
の開発が要望されていた。
【0006】この要望に答えるため、電子部品封止用エ
ポキシ樹脂成形材料の吸湿性と耐クラック性を改善する
ものとして以下の提案がなされている。
【0007】すなわち、高吸水性樹脂を配合したエポキ
シ樹脂成形材料(特開昭62−100522号公報参
照)、含フッ素フェノール類を用いるもの(特開平1−
118524号公報参照)、高アルキル化されたエポキ
シ樹脂及びノボラック樹脂を用いるもの(特開平3−1
28918号公報参照)、特定の3官能フェノール樹脂
を用いるもの(特開平3−243616号公報参照)、
シクロペンタジエニル変性ノボラック樹脂等の疎水性の
高い硬化剤を用いるもの(特開平4−139210号公
報参照)等である。
【0008】また、ナフタレン変性のエポキシ樹脂及び
ノボラック樹脂を用いるもの(特開平3−43412号
公報参照)、ナフトール類ポリマを原料とするエポキシ
樹脂を用いるもの(特開平4−337314号公報参
照)、ビスナフチルメタン型多価エポキシ樹脂(特開平
4−337316号公報参照)のように樹脂骨格にナフ
タレン構造を導入した樹脂組成物を用いるものも提案さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−100522号公報に示されているように、エポ
キシ樹脂成形材料に高吸水性樹脂を配合すると、エポキ
シ樹脂成形材料の耐熱性を低下させるという問題点があ
る。
【0010】また、特開平3−128918号公報に示
されている高アルキル化されたエポキシ樹脂やノボラッ
ク樹脂を用いるもの、特開平1−118524号公報に
示されている含フッ素フェノール類を用いるもの、特開
平3−243616号公報に示されている特定の3官能
フェノール樹脂を用いるもの、及び特開平4−1392
10号公報に示されているシクロペンタジエニル変性ノ
ボラック樹脂等を硬化剤に用いるものは、エポキシ樹脂
に疎水性を持たせることによりパッケージの吸湿性は若
干改善されるものの、はんだリフロー時のクラックを防
止するには不十分であった。
【0011】更に、特開平3−43412号公報、特開
平4−337314号公報及び特開平4−337316
号公報に示されているように、組成物の樹脂骨格にナフ
タレン構造を導入するものにおいても、はんだリフロー
時のクラックを防止するには不十分であった。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、従来のエポキシ樹脂成形材料の耐熱性を損な
うことなく、ICパッケージの吸湿性を改善し、はんだ
リフロー時にクラックが発生しない電子部品封止用エポ
キシ樹脂成形材料を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意検討した結果、エポキシ樹脂の硬
化剤として活性エステル基を有する化合物を用いた場合
に、得られた樹脂硬化物の吸水率が著しく低下すること
を見出し、先に、分子中に2個以上のエポキシ基を有す
るエポキシ樹脂、フェノール性水酸基をアリールエステ
ル化した多価フェノール類化合物及び無機充填剤を必須
成分とする電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料を発明
した(特開平7−53675号公報)。
【0014】そして、本発明者らは、電子部品封止用エ
ポキシ樹脂成形材料に特定の活性エステル基を有する化
合物を配合することにより、更に吸水特性や耐熱性にも
優れた樹脂硬化物が得られることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0015】すなわち、本発明の電子部品封止用エポキ
シ樹脂成形材料は、主たる成分として、 (A)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ樹脂 (B)1分子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合
物(以下、単に活性エステル基化合物という) (C)硬化促進剤 (D)60〜85体積%の無機充填剤を含有することを
特徴とする電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料を提供
するものである。さらに、本発明は、前記(A)〜
(D)に加え(E)1分子中に2個以上のフェノール性
水酸基を持つ化合物を含有する電子部品封止用エポキシ
樹脂成形材料である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の電子部品封止用エポキシ
樹脂成形材料に用いられる(A)1分子中に2個以上の
エポキシ基を有するエポキシ樹脂は、電子部品封止用と
して一般に用いられるエポキシ樹脂をそのまま用いるこ
とができる。(A)のエポキシ樹脂の具体的例として
は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹
脂、ナフトール変性ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、、ジアミノジフェニルメタン等のポリアミンを原
料にしたグリシジルアミン型エポキシ樹脂、トリグリシ
ジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂及びそれらの混合
物が挙げられるが、電子部品封止用樹脂として良好な耐
熱性を得るため、エポキシ当量が230以下のフェノー
ルノボラック型、あるいはクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール変性
ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型
エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキ
シ樹脂から選ばれるエポキシ樹脂の単独又は二種以上の
混合物が好ましい。 本発明のエポキシ樹脂の純度に関
しては、IC等素子上のアルミ配線腐食の原因となる加
水分解性塩素量は少ない方が良く、耐湿性の良好な電子
部品封止用エポキシ樹脂成形材料を得るためには500
ppm以下であることが好ましいが、特に制限するもの
ではない。
【0017】本発明の特徴とするところは、(B)1分
子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合物をエポキ
シ樹脂の硬化剤として用いることにある。本発明の
(B)1分子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合
物は、フェノール性水酸基を有する化合物を塩基性触媒
下、酸触媒下、あるいは無触媒下で有機酸、酸塩化物、
酸無水物のいずれかを用いてアシル化することで得られ
る。例えば、多価フェノール類化合物を用いて、塩化ベ
ンゾイルによるベンゾイル化、又は無水酢酸によるアセ
チル化によって活性エステル基化合物を得ることができ
る。
【0018】活性エステル基化合物の原料となる化合物
には、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ピロ
ガロール、ビスフェノール類等の単量体化合物の他に、
フェノール類とアルデヒド類との縮合樹脂、フェノール
・アラルキル樹脂及びヒドロキシフェニル基を持つ重合
体等を用いることができる。
【0019】活性エステル基化合物の原料に用いられる
フェノールとアルデヒド類との縮合樹脂としては、フェ
ノール、クレゾール、キシレノール、カテコール、レゾ
ルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフエ
ノール類、又はα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒ
ドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズ
アルデヒド、サルチルアルデヒド等のアルデヒド類とを
酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂が挙げ
られる。また、フェノール・アラルキル樹脂としては、
フェノール樹脂とジメトキシ化パラキシレンの縮合樹
脂、ジシクロペンタジン変性フェノール樹脂、テトラヒ
ドロインデン変性フェノール樹脂等が挙げられる。更
に、フェノール性水酸基を持つ重合体としては、パラビ
ニルフェノール重合体、フェノール付加ポリブタジエン
樹脂等が挙げられる。
【0020】(B)の活性エステル基化合物としては、
フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹
脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂及びフェ
ノール付加ポリブタジエン樹脂などの多価フェノール類
化合物をエステル化した化合物が好ましい。(B)の1
分子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合物の具体
例としては、
【0021】
【化1】
【0022】(化1)(式中、R1及びR2は水素、ハロ
ゲンまたは低級アルキル基を示し、それぞれ同じであっ
ても異なっていても良い。R3は、炭素数1〜4のアルキ
ル基を示す。また、n及びmは、正の整数を表わす)で
表わされる脂肪酸エステル化フェノール類ノボラック樹
脂等が挙げられる。具体的には、アセチル化フェノール
ノボラック樹脂、プロピオニル化フェノールノボラック
樹脂、ブチリル化フェノールノボラック樹脂、アセチル
化クレゾールノボラック樹脂、プロピオニル化クレゾー
ルノボラック樹脂、ブチリル化クレゾールノボラック樹
脂などが挙げられる。(化1)に示すように、フェノー
ル性水酸基の全部をエステル化せずに残存させても良
く、エステル化しない多価フェノール類化合物が残存し
ていても良い。これらの活性エステル基化合物は単独
で、又は混合物として用いられる。
【0023】活性エステル基化合物の配合量は、エステ
ル基の含有量やエステル化せずに残存しているフェノー
ル性水酸基の含有量によって異なる。すなわち、活性エ
ステル基化合物は、アリレート基と残存するフェノール
性水酸基の両者において、エポキシ樹脂のエポキシ基と
反応すると考えられ、両者の含有量から導かれる当量が
硬化剤としての当量に相当する。従って、活性エステル
基化合物の配合量は、エステル化しない多価フェノール
類化合物と同様に、エポキシ樹脂のエポキシ当量に対し
て、0.6から1.4当量比が望ましく、通常は、エポ
キシ樹脂100重量部に対して活性エステル基化合物の
配合量が50〜200重量部の範囲で配合するのが望ま
しい。活性エステル基化合物の配合量が50重量部以下
でも、200重量部以上でも、十分な強度や耐熱性をも
った硬化物を得ることが困難である。
【0024】活性エステル基化合物とともに、必要に応
じて従来からエポキシ樹脂用硬化剤として用いられてい
るフェノールノボラック等のフェノール系硬化剤、ジエ
チレントリアミンやジアミノジフェニルメタン等のアミ
ン系硬化剤、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系
硬化剤、ジシアンジアミド等のグアニジン系硬化剤、ベ
ンゾグアナミン等のグアナミン系硬化剤を用いることが
できる。しかしながら、樹脂の吸水性を低く抑えるため
には活性エステル基化合物以外の硬化剤はエポキシ樹脂
100重量部に対して50重量部以下にすることが望ま
しい。
【0025】本発明のエポキシ樹脂成形材料では、活性
エステル基化合物とエポキシ樹脂との硬化反応を促進
し、樹脂の吸水性を低下させるため、(C)の硬化促進
剤が用いられる。従来からエポキシ樹脂と各種硬化剤と
の硬化反応に用いられている硬化促進剤は、そのほとん
どの化合物が本発明のエポキシ樹脂成形材料の活性エス
テル基化合物とエポキシ樹脂との硬化反応も促進するこ
とが確認されている。このような硬化促進剤の具体例と
しては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデ
セン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5
−ノネン等の塩基性触媒、ピリジン、N−ジメチルアミ
ノピリジン、4−ベンジルピリジン、2,5−ジメチル
ピラジン、4−メチルピリミジン等のピリジン同族体、
トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミンやトリ
ス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミ
ン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾー
ル、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メ
チルイミダゾール等のイミダゾール及びその誘導体、ト
リブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ト
リフェニルホスフィン等の有機ホスフィン、メチルジフ
ェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチ
ル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、
N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート、テトラ
フェニルホスホニウムエチルトリフェニルボレート、テ
トラブチルホスホニウムテトラブチルボレート等のテト
ラフェニルボロン塩やホスホニウムボロン塩が挙げられ
る。これらのうち1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]ウンデセン7、1−メチルイミダゾール、2−メチ
ルイミダゾール及びN−ジメチルアミノピリジンから選
ばれる硬化促進剤の単独または二種以上の混合物は、硬
化促進効果が高く好ましい。硬化促進剤の配合量はエポ
キシ樹脂と活性エステル化フェノール基を持つ化合物及
びその他の硬化剤の総重量部の100重量部に対して
0.1〜10.0重量部用いられる。
【0026】(E)の1分子中に2個以上のフェノール
性水酸基を持つ化合物は、フェノールノボラック樹脂、
クレゾールノボラック樹脂、フェノールまたはクレゾー
ルベースの3官能型樹脂硬化剤、フェノールとアラルキ
ルエーテル重縮合物による樹脂硬化剤、ナフタレン骨格
またはジシクロペンタジエン骨格を有するフェノール樹
脂硬化剤などの多価フェノール類が好ましい。この配合
は、(A)の1分子中に2個以上のエポキシ基を有する
エポキシ樹脂のエポキシ基に対し、(B)との合計量で
0.6〜1.4当量が望ましい。配合量がエポキシ基に
対して0.6当量未満であると、エポキシ樹脂の硬化が
完全に行われないため、耐熱性、耐湿性、電気特性に劣
り、1.4当量を越えると逆に硬化剤の有する水酸基が
存在するようになり、電気特性、耐湿性が低下する。
【0027】本発明の電子部品封止用エポキシ樹脂成形
材料では、吸湿性の低減と強度向上のため(D)60〜
85体積%の無機充填剤が用いられる。無機充填剤とし
ては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、
珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化珪
素、窒化ホウ素、マグネシア、ジルコニア、ジルコン等
の粉体で、又は、球形化ビーズとしたもの等が挙げら
れ、1種類又は複数種類混合して用いられる。充填剤の
配合量は、吸湿性の低減と強度向上のため60〜85体
積%が必要であり、好ましくは68体積%以上〜85体
積%が望ましい。充填剤の配合量が85体積%を越える
と流動性が失われてしまうので成形材料として好ましく
ない。
【0028】その他の添加剤として、液状又は固形のシ
リコーン化合物、テレケリックゴム及び熱可塑性エラス
トマ等の可撓化剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩及び
エステル系ワックス等の離型剤、カーボンブラック等の
着色剤、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラ
ン、ビニルシラン、アルキルシラン、有機チタネート、
アルミニウムアルコレート等のカップリング剤並びに難
燃剤等を用いることができる。
【0029】以上のような原材料を用いて本発明の電子
部品封止用エポキシ樹脂成形材料を作製する際の一般的
な方法としては、所定配合量の原材料をミキサ等で十分
に混合した後、ミキシングロールや押出機等を用いて混
練りし、冷却、粉砕することによって成形材料とする方
法が挙げられる。
【0030】本発明のエポキシ樹脂成形材料を用いて電
子部品を封止する方法としては、低圧トランスファー成
形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法や
圧縮成形法によっても可能である。
【0031】通常の多価フェノール類化合物とエポキシ
樹脂との反応の場合、エポキシ基の開環に伴なって親水
性の水酸基が副生するが、活性エステル基化合物がエポ
キシ樹脂と反応する場合には、エポキシ基の開環ととも
に活性エステル基化合物のアシル基が水酸基と反応して
親水性の低いエステルが生成すると考えられる。すなわ
ち、活性エステル基化合物を硬化剤に用いることでエポ
キシ樹脂硬化物の吸水特性が良好となる理由は、通常の
エポキシ樹脂と多価フェノールとの硬化反応と異なり、
水酸基を生成しないので、樹脂硬化物の親水性を低く抑
えることができるためと推定される。
【0032】以下、具体例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】
<合成例1>温度計、冷却管、窒素導入管、撹拌棒を備
えた5リットルの4つ口フラスコにHP−850N(フ
ェノールノボラック樹脂、日立化成工業株式会社製商品
名)370gを投入し、メチルイソブチルケトン(MI
BK)2リットルを加え窒素気流下で撹拌して溶解させ
た。次いで、無水酢酸429gを加え均一になるまで撹
拌した後、無水酢酸ナトリウム5.7gを加え完全に溶
解させた。その後油浴にて昇温し、還流温度で4時間反
応させた。
【0034】冷却後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液1
リットルを投入し、更に水層が中性になるまで炭酸水素
ナトリウムを加え中和した。水層を分離後、蒸溜水で十
分に水洗し、減圧下で濃縮して生成物を得た。
【0035】得られた生成物の1H−NMRスペクトル
(機種:ブルカー製AC300P、溶媒:CDC13、
濃度:10重量%)を図1に示す。図1より、2.0〜
2.1ppmにアセチル基のメチルプロトンのシグナル
が見られた。また、その積分値と芳香環プロトン(6.
9〜7.2ppm)及びメチレンプロトン(3.7〜
3.9ppm)の積分値の和との比が3:5であった。
以上のことから、生成物がフェノール性水酸基がアセチ
ル化されたフェノールノボラック樹脂であることが確認
できた。得られたアセチル化フェノールノボラック樹脂
(以下APNという)は270gであった。
【0036】<合成例2>合成例1において、HP−8
50Nの代わりにクレゾールノボラック樹脂(数平均分
子量=1010)420gを用いた以外、合成例1と同
様に合成反応を行ない、アセチル化クレゾールノボラッ
ク樹脂(以下ACNという)515gを得た。
【0037】<合成例3>合成例1において、無水酢酸
の代わりに無水プロピオン酸550gを用いた以外、合
成例1と同様に合成反応を行ない、プロピオニル化フェ
ノールノボラック樹脂(以下PPNという)505gを
得た。
【0038】<合成例4>合成例1において、HP−8
50Nの代わりにPP−700−300(フェノール付
加ポリブダジエン樹脂、日本石油化学株式会社製商品
名)475gを用い、無水酢酸及び無水酢酸ナトリウム
の配合量をそれぞれ185g及び2.5gとした以外
は、合成例1と同様に合成反応を行ない、アセチル化フ
ェノール付加ポリブタジエン樹脂(以下APPという)
455gを得た。
【0039】<合成例5>合成例1においてHP−85
0Nの代わりにDPP−600(ジシクロペンタジエン
変性フェノール樹脂、日本石油化学株式会社製商品名)
425gを用い、無水酢酸及び無水酢酸ナトリウムの配
合量をそれぞれ305g及び4.1gとした以外は、合
成例1と同様に合成反応を行ない、アセチル化ジシクロ
ペンタジエン変性フェノール樹脂(ADPという)45
0gを得た。
【0040】<実施例1>1分子中に2個以上のエポキ
シ樹脂として、ESCN195(クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、エポキシ当量=200、住友化学工業
株式会社製商品名)80部(重量部、以下同じ)及びE
SB−400(臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、エポキシ当量=395、住友化学工業株式会社製商
品名)20部に、本発明の活性エステル基を持つ化合物
であるAPN 65部及び硬化促進剤としてN−メチル
イミダゾール1.3部を配合し、無機充填剤として石英
ガラス粉60体積%を加え、更にカルナバワックス2
部、カーボンブラック1部、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン2部を配合して、直径254mm
(10インチ)の加熱ロールを用いて温度80〜90
℃、時間7〜10分の条件で混練し、エポキシ樹脂成形
材料を作製した。
【0041】<実施例2>エポキシ樹脂として、ESC
N195 80部及びESB−400 20部、本発明
の活性エステル基を持つ化合物であるACN 75部、
硬化促進剤としてジメチルアミノピリジンを1.2部、
石英ガラス粉60体積%を加え、その他は実施例1と同
様に配合して同じ条件でエポキシ樹脂成形材料を作製し
た。
【0042】<実施例3>エポキシ樹脂として、ESC
N195 80部及びBREN−S(臭素化フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量=285、日
本化薬株式会社製商品名)20部、本発明の活性エステ
ル基を持つ化合物であるPPN 85部、硬化促進剤と
して1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン
−7、1.5部、石英ガラス粉60体積%を加え、その
他は実施例1と同様に配合して同じ条件でエポキシ樹脂
成形材料を作製した。
【0043】<実施例4>エポキシ樹脂として、YX−
4000H(ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量
=195、油化シェルエポキシ株式会社製商品名)80
部及びBREN−S 20部、本発明の活性エステル基
を持つ化合物であるAPP 170部、硬化促進剤とし
てジメチルアミノピリジンを1.2部、石英ガラス粉6
8体積%を加え、その他は実施例1と同様に配合して同
じ条件でエポキシ樹脂成形材料を作製した。
【0044】<実施例5>エポキシ樹脂として、YX−
4000H 80部及びESB−400 20部、本発
明の活性エステル基を持つ化合物であるADP 95
部、硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを1.5
部、石英ガラス粉68体積%を加え、その他は実施例1
と同様に配合して同じ条件でエポキシ樹脂成形材料を作
製した。
【0045】<実施例6>硬化剤として本発明の活性エ
ステル基を持つ化合物であるAPN44部とフェノール
ノボラック樹脂HP−850N16部を併用した以外は
実施例1と同様に配合して同じ条件でエポキシ樹脂成形
材料を作製した。
【0046】<比較例>実施例1において本発明の活性
エステル基を持つ化合物であるAPNに代えて通常のフ
ェノールノボラック樹脂であるHP−850Nを48
部、硬化促進剤としてN−メチルイミダゾールに代えて
1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7
を1.5部用いた以外は、実施例1と同様にしてエポキ
シ樹脂成形材料を作製した。
【0047】得られたエポキシ樹脂成形材料の特性は以
下に示す方法で評価した。
【0048】スパイラルフロー;EMMI 1−66に
準拠した金型を使用し、180℃、90秒、6.9MP
aの条件で測定した。
【0049】ガラス転移温度(Tg);理学電機株式会
社製熱機械分析装置(TMA)で線膨張曲線を得、その
屈曲点から求めた。
【0050】高温強度;JIS K6911に準拠した
3点支持型曲げ試験方法で215℃で測定した。
【0051】吸水率;JIS K6911に準拠して、
直径50mm、厚さ3mmの円板を作製し、85℃、8
5%RHの条件で加湿を行ない、重量変化を求めた。
【0052】表1に測定結果を示した。表1から、本発
明になる成形材料(実施例)は、従来の成形材料(比較
例)と同等な流動性(スパイラルフロー)及び耐熱性
(ガラス転移温度、高温強度)を示し、吸水率は比較例
の成形材料よりも大幅に低いことがわかる。
【0053】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− A B C a b c 実施例1 43 148 12 0.13 0.15 0.20 実施例2 45 150 12 0.12 0.14 0.19 実施例3 40 145 12 0.12 0.16 0.21 実施例4 39 140 11 0.10 0.12 0.15 実施例5 43 142 11 0.10 0.12 0.16 実施例6 40 150 12 0.15 0.19 0.25 比較例 39 150 12 0.18 0.23 0.33 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 注)A:スパイラルフロー(in)、B:ガラス転移温度(℃) C:高温強度(MPa) a〜c:吸水率(%)(a:48時間、b:72時間、c:168時間)
【0054】また、180℃、90秒、6.9MPaの
条件でICパッケージを成形し、成形後、180℃で5
時間の後硬化を行ない、以下に示す方法ではんだリフロ
ー時の耐クラック性及びはんだリフロー後の耐湿性の評
価を行なった。
【0055】耐クラック性;8×10×0.4mmの素
子を搭載した80ピン、42アロイリードのフラットパ
ッケージ(外形寸法;19×14×2.0mm)を評価
用ICとして用い、このパッケージを85℃、85%R
Hで所定時間加湿した後、215℃のベーパフェーズリ
フロー炉で90秒加熱し、パッケージクラック発生の有
無を顕微鏡観察で判定した。
【0056】はんだリフロー後の耐湿性;10μm幅の
アルミ配線を施した5×10×0.4mmのテスト素子
を搭載し、25μmの金線でワイヤボンディングした3
50mil、28ピンのアウトラインパッケージを評価
用ICとして用い、このパッケージを85℃、85%R
Hで72時間加湿し、215℃のベーパフェーズリフロ
ー炉で90秒加熱した後、更に2気圧、121℃、10
0%RHの条件で所定時間加湿し、アルミ配線腐食によ
る断線不良の発生状況を調べた。
【0057】表2にこれらの試験結果を示す。表2か
ら、本発明になる成形材料(実施例)は、従来の成形材
料(比較例)に比し、はんだリフロー時の耐クラック性
及びはんだリフロー後の耐湿性が大幅に改善されている
ことが判る。
【0058】
【表2】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− リフロー時の耐クラック性 リフロー後の耐湿性 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 18h 24h 36h 48h 200h 400h 600h 800h 1000h −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 0/5 0/5 0/5 1/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 実施例2 0/5 0/5 0/5 1/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 実施例3 0/5 0/5 0/5 1/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 実施例4 0/5 0/5 0/5 0/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 実施例5 0/5 0/5 0/5 0/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 実施例6 0/5 0/5 0/5 1/5 0/14 0/14 0/14 0/14 0/14 比較例 0/5 1/5 3/5 5/5 0/14 0/14 3/14 6/14 7/14 ----------------------------------------------------------------------- 注)リフロー時の耐クラック性:85℃、85%RHにて加湿、表に示した時間 保持後の(不良数/試験数)を表示。 リフロー後の耐湿性:PCT(0.2MPa、121℃、100%RH)、表に 示した時間保持後の(不良数/試験数)を表示。
【0059】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の電子部品封
止用エポキシ樹脂成形材料は、従来の成形材料に比べ吸
水性が低く、はんだリフロー時の耐クラック性及びはん
だリフロー後の耐湿性が良好であり、表面実装用プラス
チックパッケージICの封止用成形材料として好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の活性エステル基を持つ化合物の一実施
形態を示す活性エステル化フェノールノボラック樹脂
(APN)の1H−NMRスペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古沢 文夫 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる成分として、(A)1分子中に2
    個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分
    子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合物、(C)
    硬化促進剤、(D)60〜85体積%の無機充填剤、 を含有することを特徴とする電子部品封止用エポキシ樹
    脂成形材料。
  2. 【請求項2】 主たる成分として、(A)1分子中に2
    個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、(B)1分
    子中に1個以上の活性エステル基を持つ化合物、(C)
    硬化促進剤、(D)60〜85体積%の無機充填剤、
    (E)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を持つ
    化合物を含有することを特徴とする電子部品封止用エポ
    キシ樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】 (B)の化合物がフェノール性水酸基を
    脂肪酸エステル化した多価フェノール類化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部
    品封止用エポキシ樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 (B)の化合物がフェノール性水酸基を
    アセチル化した多価フェノール類化合物であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品封止
    用エポキシ樹脂成形材料。
  5. 【請求項5】 多価フェノール類化合物がフェノールノ
    ボラック樹脂であることを特徴とする請求項3または請
    求項4に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料。
  6. 【請求項6】 多価フェノール類化合物がクレゾールノ
    ボラック樹脂であることを特徴とする請求項3または請
    求項4に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料。
  7. 【請求項7】 多価フェノール類化合物がフェノール付
    加ポリブタジエン樹脂であることを特徴とする請求項3
    または請求項4に記載の電子部品封止用エポキシ樹脂成
    形材料。
  8. 【請求項8】 多価フェノール類化合物がジシクロペン
    タジエン変性フェノール樹脂であることを特徴とする請
    求項3または請求項4に記載の電子部品封止用エポキシ
    樹脂成形材料。
  9. 【請求項9】 (A)の1分子中に2個以上のエポキシ
    基を有するエポキシ樹脂がクレゾールノボラック型エポ
    キシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフトール変性
    ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型
    エポキシ樹脂及び臭素化フェノールノボラック型エポキ
    シ樹脂の単独又は二種以上の混合物であることを特徴と
    する請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の電子部
    品封止用エポキシ樹脂成形材料。
  10. 【請求項10】 (C)の硬化促進剤が1,8−ジアザ
    ビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1−メチルイ
    ミダゾール、2−メチルイミダゾール及びN−ジメチル
    アミノピリジンから選ばれる単独又は二種以上の混合物
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいず
    れかに記載の電子部品封止用エポキシ樹脂成形材料。
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