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JPH10153245A - ボールねじ - Google Patents

ボールねじ

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Publication number
JPH10153245A
JPH10153245A JP25891197A JP25891197A JPH10153245A JP H10153245 A JPH10153245 A JP H10153245A JP 25891197 A JP25891197 A JP 25891197A JP 25891197 A JP25891197 A JP 25891197A JP H10153245 A JPH10153245 A JP H10153245A
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JP
Japan
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ball
ball screw
circuit
circuits
nut
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Application number
JP25891197A
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English (en)
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JP3675129B2 (ja
Inventor
Takayuki Yabe
孝之 矢部
Nobuhide Kurachi
信秀 倉知
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10153245A publication Critical patent/JPH10153245A/ja
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Publication of JP3675129B2 publication Critical patent/JP3675129B2/ja
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H25/00Gearings comprising primarily only cams, cam-followers and screw-and-nut mechanisms
    • F16H25/18Gearings comprising primarily only cams, cam-followers and screw-and-nut mechanisms for conveying or interconverting oscillating or reciprocating motions
    • F16H25/20Screw mechanisms
    • F16H25/22Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members
    • F16H25/2204Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members with balls
    • F16H25/2214Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members with balls with elements for guiding the circulating balls
    • F16H25/2223Cross over deflectors between adjacent thread turns, e.g. S-form deflectors connecting neighbouring threads

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ボールねじの負荷分布のバラツキを均一化し、
特定位置のボールに発生する応力集中を低減することに
より、ボールねじのサイズを大きくせずにコンパクトで
高い負荷容量を実現するボールねじを提供することを課
題とする。 【解決手段】外面にボールねじ溝2aを有するねじ軸2
と、そのボールねじ溝2aに対向するボールねじ溝を内
面に有する少なくとも1つのボールナット3と、ボール
ナット3のボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝2
aとにより形成された螺旋状通路と該通路内を循環する
多数のボールと、そのボールの戻り路5,6,7とを備
え、上記螺旋状通路とボールナット3に設けたボールの
戻り路5,6,7とにより形成される循環路X,Y,Z
が3回路以上であるボールねじにおいて、前記循環路
X,Y,Zのうち少なくとも2回路を円周方向に同一位
相とし、残りの回路を他の回路に対して円周方向に18
0度反転させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転運動を直線運
動に変換するボールねじに係り、特に、高負荷用途に使
用されるボールねじの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のボールねじにおいては、加工性,
作動性,負荷容量などのバランスからねじ軸やボールナ
ットに形成するボールねじ溝の形状について、初期接触
角を45度程度、最大接触角65度程度とする仕様が通
常であった。
【0003】また、複数回路のボール循環路を有するボ
ールねじにあっては、加工工程を少なくするため、例え
ば図7に示すようなチューブ循環方式の場合、各回路の
循環チューブ50取付け位置を1平面に寄せる、つまり
複数の循環チューブ50a,50b,50cの取付け位
置を円周方向同位相位置で軸方向に配列させる設計が通
常であった。なお、図7は、循環路が3回路のものを図
示している。
【0004】そして、ボールねじを設計する場合、大き
めの安全率を設定し、使用条件に十分耐え得る軸径のボ
ールねじを選定していた。このとき、ボールねじの軸径
を大きくできない場合は、ボールナット51の回路数を
増やしてボールの数を増やしたり、ボールねじ溝のリー
ドを大きくしボール径を大きくしたりして対処してい
た。
【0005】一方、従来においては、ボールねじ選定時
の荷重条件の検討に際し、ねじ軸52とボールナット5
1との間を転動している各ボールには全て均等に荷重が
掛かると仮定して、荷重をボールナット51内の有効ボ
ール数で割った平均荷重で接触面圧を算出し、これと実
験等により得られたボールねじの機能,寿命等のデータ
ベースとを比較することにより、適切なボールねじを選
定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
は、ねじ軸52とボールナット51との間を転動してい
る,いわゆる有効ボールの全てに対し均等に荷重が掛か
るのではなく、負荷を受けたときのねじ軸52及びボー
ルナット51の弾性変形によって、ボールナット51内
における軸方向の負荷分布にばらつきが生じる。例え
ば、ボールねじで支持される加工テーブルで重切削する
ときなどのように、当該ボールねじのボールナット51
に軸方向のアキシアル荷重Faが、またねじ軸52にア
キシアル荷重Fa’が図8に示すような方向に負荷され
た場合、ボールナット51及びねじ軸52の各ボールね
じ溝51a,52a位置における軸方向に沿った弾性変
位量の分布は、それぞれ上記図8に矢符号で表されるよ
うになり、このねじ軸52の弾性変位量とボールナット
51の弾性変位量とに応じて、ボールナット51の両端
部のボールとの接触点に応力集中が起きることが分か
る。
【0007】また、各循環路のボールは、順次、ボール
ねじ溝51a,52aから循環チューブ50に掬い上げ
られてチューブ50内を通って循環するので、ボールナ
ット51と対向するねじ軸52の軌道上にはボールがな
い部分が存在する。このため、円周方向にも負荷分布の
ばらつきが発生し、有効ボールの一部に高負荷が掛かる
ことになる。即ち、ボールナット51内の各回路でのボ
ールの循環は、図9に示すように表されるが、ボールね
じ溝から循環チューブ50へのボール1の掬い上げによ
り、軸方向からみると、図10に示すような、円周方向
でのβ角度の範囲部分のボール数が相対的に少なくな
り、そのβ角度の範囲内のボールに加わる負荷が相対的
に大きくなる。
【0008】以上のような、ボールナット51の両端部
のボールとの接触部位への応力集中及びボール循環路の
特定範囲内のボールへの負荷増大という事実から、従来
のボールねじにおいては、設計時の安全率が小さいと、
ねじ軸52又はボールナット51の各ボールねじ溝51
a,52a表面の早期剥離、または、異常摩耗を引き起
こすという問題があった。
【0009】また、高負荷用途では、安全率を大きくと
ると、ボールねじのサイズが大きくなって目的の仕様に
合わなくなったりコスト高になってしまうという問題が
あった。
【0010】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、ボールねじの負荷分布のバラツキを均
一化し、特定位置のボールに発生する応力集中を低減す
ることにより、ボールねじのサイズを大きくせずにコン
パクトで高い負荷容量を実現するボールねじを提供する
ことを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係るボールねじは、外面にボールねじ溝
を有するねじ軸と、該ねじ軸のボールねじ溝に対向する
ボールねじ溝を内面に有する少なくとも1つのボールナ
ットと、該ボールナットのボールねじ溝と上記ねじ軸の
ボールねじ溝とにより形成された螺旋状通路と該螺旋状
通路内を循環する多数のボールと、該多数のボールの戻
り路とを備え、上記螺旋状通路とボールナットに設けた
ボールの戻り路とにより形成される循環路が3回路以上
であるボールねじにおいて、前記循環路のうち少なくと
も2回路を円周方向に同一位相とし、残りの回路を他の
回路に対して円周方向に180反転させたことを特徴と
している。
【0012】ここで、前記循環路は偶数の回路数であっ
て、そのうちの半数の循環路は円周方向に同一位相とさ
れ、残りの循環路は他の循環路に対して円周方向に18
0度反転させたものとすることができる。
【0013】また、前記循環路は奇数の回路数であっ
て、そのうちの(n/2)+0.5回路の循環路(但し
nは循環路の回路数)は円周方向に同一位相とされ、残
りの循環路は他の循環路に対して円周方向に180度反
転させたものとすることができる。
【0014】更に、請求項2に係るボールねじは、外面
にボールねじ溝を有するねじ軸と、該ねじ軸のボールね
じ溝に対向するボールねじ溝を内面に有する少なくとも
1つのボールナットと、該ボールナットのボールねじ溝
と上記ねじ軸のボールねじ溝とにより形成された螺旋状
通路と該螺旋状通路内を循環する多数のボールと、該1
数のボールの戻り路とを備え、上記螺旋状通路とボール
ナットに設けたボールの戻り路とにより形成される循環
路が3回路以上であるボールねじにおいて、前記循環路
のうち少なくとも2回路を円周方向に同一位相とし、残
りの回路を他の回路に対して円周方向に180度反転さ
せ、且つ全循環路のうち少なくとも1回路を他の回路に
対して軸方向にオフセットさせたことを特徴としてい
る。
【0015】本発明によれば、円周方向の負荷分布のば
らつきについては、3回路以上の循環路のうちの少なく
とも2回路を円周方向に同一位相とし、残りの回路を他
の回路に対し円周方向に180度反転させることで、1
回路の円周方向でのボールの少ない部分(負荷が大きい
部分)と他の回路の円周方向でのボールの少ない部分
(負荷が大きい部分)とが円周方向に180度反転す
る。この結果、円周方向におけるボールの少ない部分が
分散平均化されて円周方向での負荷分布のバラツキが低
減する。
【0016】なお、各回路でのボールの少ない部分の範
囲は、180度よりも小さい角度範囲に収まるので、1
80度反転することで、少なくとも2回路の円周方向で
のボールの少ない部分と残りの回路の円周方向でのボー
ルの少ない部分とが円周方向で重なることはない。
【0017】また、軸方向の負荷のばらつきに対して
は、循環路が3回路以上であるボールねじにおける全循
環路のうち少なくとも1回路を、ボールナットに加わる
アキシャル荷重の負荷方向に応じて軸方向にオフセット
させる。このようにオフセットさせることで、ボールナ
ット側における当該オフセットさせたボールねじ溝回路
内のボールに予圧が付与されることとなり当該ボールね
じ溝の弾性変位量は、オフセットさせない場合に比べて
大きくなる。そして当該オフセットさせた回路内のボー
ルによる負荷分担量が増大し、且つオフセットしない状
態で応力集中が生じるナット端部側の回路位置での負荷
分担量が減少するから、ボールナットにおける軸方向の
負荷分布が平均化されてばらつきが低減する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
しつつ説明する。まず構成について説明すると、図1に
示すように、ねじ軸2の外周に複数のボールを介してボ
ールナット3が螺合し、当該ねじ軸2又はボールナット
3の一方が相対回転することで、ボールナット3がねじ
軸2に対し直線移動をする。
【0019】即ち、概略構成図である図2に示すよう
に、ねじ軸2の外周面には、雌ねじ状のボールねじ溝2
aが設けられ、また、ボールナット3の内周面にも、上
記ねじ軸2のボールねじ溝2aと径方向で対向する位置
に雌ねじ状のボールねじ溝9が設けられ、その両ボール
ねじ溝2a,9間に複数のボール1(図2では斜線で表
している)が介装され、当該ボール1はボールねじ溝2
aに沿って転動し且つ循環する。
【0020】また、本実施の形態のボールねじは、3回
路のボール循環路を有するチューブ方式のボールねじで
ある。即ち、上記ボールナット3のボールねじ溝9は、
上記図2のように、軸方向に沿って3つの区画に分けら
れ、各区画におけるボールねじ溝9の両端部が、それぞ
れ戻り路を形成する循環チューブ5,6,7によって連
結されることで、3回路のボール循環路が形成される。
なお、説明の便宜上,図1及び図2における左側から第
1回路X,第2回路Y,第3回路Zとする。
【0021】但し、本実施の形態では、第1及び第3回
路X,Zの循環チューブ5,7取付け位置に対し、上記
図1に示すように、2回路目Yの循環チューブ6取付け
位置を、円周方向180度反転した位置に設けている。
【0022】また、第2回路Y目の循環路を、図2に示
すように、第3回路Z側に数十μmだけ近づけるように
軸方向にオフセットしている。即ち、ボールナット3に
おける第1回路Xのボールねじ溝9aと第2回路Yのボ
ールねじ溝9bとの間のリードLaを、各ボールねじ溝
9a,9b,9cのリードLより数十μm(α)だけ多
くする(La=L+α)と同時に、第2回路Yのボール
ねじ溝9bと第3回路Zのボールねじ溝9cとの間のリ
ードLbを前記リードLより数十μm(α)だけ小さく
設定(Lb=L−α)している。なお、当然にねじ軸2
側のボールねじ溝2aのリードは等間隔である。
【0023】ここで、ボールねじの負荷容量を大きくす
るには、ボール1の接触角の大きさ、ボールねじ溝2
a,9の曲率半径をできる限り大きくしたいが、図4に
示すように接触角を過大に大きくした状態で軸方向の負
荷を掛けると、接触楕円Fの端部がボールねじ溝2a,
9の溝端からはみ出して切れてしまう。接触楕円Fの一
部が切れると負荷される応力が大きくなり、ボールねじ
の寿命が極端に悪くなる。このため、本実施の形態で
は、図3に示すように、初期接触角Dを50〜55度,
最大接触角Eを75度としている。
【0024】また、各ボール1については、ボールねじ
溝9のリードLに対して、下式のような関係となるボー
ル径Daのものを使用している。 0.7≦(Da/L) 因みに、従来においては、Da/Lを0.7以上に設定
すると、循環チューブの外径が隣のボールねじ溝に干渉
する可能性があるために、Da/Lを0.7未満に設定
している。これに対して、本実施の形態では、ボールね
じ溝からチューブへのボール1の掬い上げ部分の軸方向
の角度を従来より大きい方向に変更することで、Da/
Lを0.7以上に設定できるようにしている。
【0025】次に、上記構成のボールねじの作用効果等
について説明する。第2回路Y目の循環路位置を第3回
路Z側にオフセットすることで、第2回路Y部分のボー
ルねじ溝9b内のボールに予圧が付与されることとな
り、そのためボールナット3にアキシャル荷重Faが負
荷されたときの当該ボールねじ溝9bの弾性変位量は、
オフセットさせない場合に比べて大きくなりボールとの
接触面積が増大する。そして当該オフセットさせた回路
Y内のボールによる負荷分担量が増大し、且つオフセッ
トしない状態で応力集中が生じるナット端部側の回路で
ある第1回路X及び第3回路Zでの負荷分担量が減少す
るから、ボールナット3における軸方向の負荷分布が平
均化されてばらつきが低減する。
【0026】また、第1回路X及び第3回路Zの循環チ
ューブ5及び7の取付け位置に対し、第2回路Yの循環
チューブ6の取付け位置を円周方向180度反転させる
ことで、円周方向における第1回路X及び第3回路Zで
の有効ボール数が少ない部分と、第2回路Yでの有効ボ
ール数が少ない部分とが円周方向で重なることが回避さ
れる。つまり、円周方向における無負荷圏(ボール1が
存在しない部分)が分散することで、円周方向での各有
効ボール1に対する負荷分布のバラツキが抑えられる。
【0027】以上のように、有効ボール(ねじ軸2とボ
ールナット3間を転動しているボール1)に対する軸方
向及び円周方向の負荷分布が従来よりも均一化して、各
有効ボールに対する負荷分布、さらにはそのボールに接
触するねじ軸2とボールナット3の各ボールねじ溝2
a,9に対する負荷分布が平均化し負荷容量が増大す
る。
【0028】さらに、本実施の形態では、ボール1の初
期接触角E及び最大接触角Fを従来よりも大きくすると
共にDa/Lを0.7以上に設定することで、さらに負
荷容量の増大が図られている。
【0029】なお、上記実施の形態では、第1回路Xの
循環チューブ5の取付け位置に対して、第2回路Yの循
環チューブ6の取付け位置だけを180度反転している
が、第3回路Zの循環チューブ7の取付け位置も第1回
路Xの循環チューブ5の取付け位置に対して180度反
転させてもよい。また、第1回路Xと第2回路Yを円周
方向に同一位相とし、第3回路Zのみを180度反転さ
せてもよい。
【0030】また、上記実施の形態では、ボールナット
3へのアキシャル荷重Faが、第1回路X側に負荷され
る場合に、第2回路Yの循環路におけるボールねじ溝9
bを第3回路Z側にオフセットさせた例で説明している
が、ボールナット3へのアキシャル荷重が、第3回路Z
側に負荷されるような使用態様の場合は、第2回路Yの
循環路におけるボールねじ溝9bを第1回路X側にオフ
セットさせる。
【0031】また、本発明にあっては、このようにアキ
シャル荷重の負荷される方向に応じて、複数の循環路の
一部を軸方向にオフセットさせることによりボールナッ
トの軸方向弾性変位量のばらつきを平均化させて、ボー
ルに対する軸方向負荷分布を平均化し全体としての負荷
容量を増大させるという作用効果を得る代わりに、例え
ば、実施形態において第2回路Yに使用するボール1の
径を、第1回路X及び第3回路Zで使用するボール1の
径よりも相対的に大きくするというように、一部の循環
路内に装填するボール径を変えることによっても、上述
と同様な作用効果を得ることができる。即ち、第2回路
Yのボール1の径を大きくすることで、第2回路Y部分
のボールねじ溝9b内のボールに予圧が付与されること
となり、そのためボールナット3にアキシャル荷重Fa
が負荷されたときの当該ボールねじ溝9bの弾性変位量
は、ボールの径を大きくしない場合に比べて大きくなり
ボールとの接触面積が増大する。そして当該ボールの径
を大きくした回路Y内のボールによる負荷分担量が増大
し、且つボールの径を大きくしない状態で応力集中が生
じるナット端部側の回路である第1回路X及び第3回路
Zでの負荷分担量が減少するから、ボールナット3にお
ける軸方向の負荷分布が平均化されてばらつきが低減す
る。これにより、当該第2回路Yのボール1が分担する
軸方向荷重が従来よりも増大して上述同様の作用効果を
発揮する。
【0032】勿論、第2回路Yのボールねじ溝9を第1
回路X又は第3回路Z側にオフセットさせると共に、第
2回路Yのボール1の径を第1回路X及び第3回路Zの
ボール1の径よりも大きくするように設定してもよい。
【0033】以上、上記実施の形態においては、循環路
を180度反転することと、オフセットすることの両方
を採用しているが、循環路を180度反転することだけ
でも負荷分布のバラツキが低減し、従来よりも負荷容量
が増大する。
【0034】
【実施例】上記構成の本発明に基づくボールねじと、3
つの循環チューブ5,6,7取付け位置を円周方向同位
相に設定すると共に第2回路Yの循環路をオフセットさ
せない従来と同じ仕様のボールねじ(比較例)とに対し
て、負荷分布の状態について解析してみたところ、図5
及び図6のような結果が得られた。
【0035】図5は、円周方向での負荷分布のばらつき
を無視し軸方向のばらつきのみを考慮したときの有効ボ
ール1に負荷される軸方向の荷重の分布を示したもので
あり、Aが本発明のボールねじのものであり、Bが比較
例のボールねじのものである。この図5から分かるよう
に、本発明に基づくボールねじでは、第2回路Yでの負
荷が増大すると共に第1回路X及び第3回路Zでの負荷
が減少して、軸方向の負荷分布が平均化している。
【0036】また、図6は、軸方向のばらつき及び円周
方向での負荷分布を考慮したときのボールねじ溝9に沿
った各有効ボール1に負荷される軸方向の荷重を示した
ものであり、A(実線)が本発明のボールねじのもので
あり、B(破線)が比較例のボールねじのものである。
この図6から分かるように、本発明に基づくボールねじ
の方がボールねじ溝9に沿った負荷の振幅が小さくな
り、円周方向での負荷分布状態が平均化している。
【0037】実際に、本発明に基づくボールねじAで
は、外径寸法を変更することなく、比較例のボールねじ
Bの負荷容量より20%程度も負荷容量が増大している
ことを確認した。
【0038】なお、本発明を適用できるボールねじは、
実施形態に示したようなチューブ循環方式のものに限ら
ない。例えば、実公平5−35228号公報の第1図に
記載されているようないわゆるデフレクタ循環方式(複
数組のボール連通路を互いに連通するボール戻し溝を有
してボールナットの外周部に取付けられるガイドプレー
トと、各ボール連通路の内方側に配設されてボールねじ
軸及びボールナットのねじ溝間に介装されたボール群を
ボール連通路側へ順次導くボール掬上げ部材とで循環路
が構成されている)のものにも適用できる。また、同公
報の第15図に従来技術として記載されているガイドプ
レート循環方式(ボール連通路を互いに連通するボール
戻し溝を有してボールナットの外周部に取付けられるガ
イドプレートに、前記ボール連通路内に嵌挿される案内
片を突設し、この案内片の内面側に外側ボール案内面を
形成し、該外側ボール案内面でボール戻し溝の両端と各
ボール連通路との間での実質的なボールの方向転換を行
うように構成されている。)のものに対しても適用可能
である。
【0039】また、上記実施形態では循環回路を第1
(X),第2(Y),第3(Z)の3回路にしたボール
ねじについて説明したが、本発明のボールねじは3回路
に限定されるものではなく、3回路以上の循環路を有す
るものにも適用できる。また、一個のボールナットに3
回路以上設けたものに限らず、後述のダブルナットタイ
プのように2個以上のボールナットを使用して全ナット
で合計3回路以上の循環路としたものでもよい。
【0040】また、実施形態ではボールナットの数が一
個のいわゆるシングルナットタイプのものについて述べ
たが、その他、例えば図11に示す2個のボールナット
3A,3Bを使用したいわゆるダブルナットタイプある
いは2個以上のボールナットを使用したものにも適用可
能である。こうしたマルチナットタイプの場合、例えば
図11に示すダブルナットタイプの場合で説明すると、
2個のボールナット3A,3Bのうちの1個(例えば3
A)を180度反転させてもよいし、各ボールナット3
A,3Bに設けられたそれぞれ2回路10,11及び1
2,13の循環路のうちの1回路づつ(例えば回路10
と回路12)を180度反転させてもよい。更に、オフ
セットについては、1個のボールナット内の回路をオフ
セットするのではなく、2個のボールナット3A,3B
の間に間座14を介装して各ボールナットに設けられた
それぞれの回路(例えば回路10,11の組と回路1
2,13の組)をオフセットしてもよい。
【0041】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のボー
ルねじを採用すると、簡単な手段によって、ねじ軸とボ
ールナットとの間を転動している複数のボールに対する
負荷分布が平均化し、つまり一部のボールに発生する集
中荷重が小さくなる。従って、ボールねじの外径を大き
くすることなく、従来よりも負荷容量が大きくなるとい
う効果がある。
【0042】即ち、ボールねじのサイズを大きくするこ
となく負荷容量が増大して、対応可能な高負荷用途(例
えば,射出成形機、モールディング,パワーシリンダ)
の幅が大きくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るボールねじを示す側
面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るボールねじの構成を
説明するための概略図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るボールねじ溝の形状
を示す断面図である。
【図4】接触角と接触楕円との関係を示す図である。
【図5】本発明の循環路のオフセット効果を、円周方向
の負荷分布のばらつきを無視した軸方向の荷重の分布の
比較で表した図である。
【図6】本発明の循環路の反転効果を、軸方向のばらつ
き及び円周方向の負荷分布のばらつきを考慮した軸方向
の荷重の分布の比較で表した図である。
【図7】従来のボールねじを示す図である。
【図8】軸方向の負荷のばらつきの原因となる弾性変位
量を示す図である。
【図9】一循環路でのボールの循環を表した図である。
【図10】円周方向におけるボールの少ない部分を示
す、軸方向からみた図9でのX−X矢視図である。
【図11】本発明をダブルナットタイプのボールねじに
適用した場合を説明する平面図である。
【符号の説明】
X 第1回路 Y 第2回路 Z 第3回路 1 ボール 2 ねじ軸 2a ボールねじ溝(ねじ軸の) 3 ボールナット 5 第1回路の循環路 6 第2回路の循環路 7 第3回路の循環路 9 ボールねじ溝(ボールナットの) 9a 第1回路のボールねじ溝 9b 第2回路のボールねじ溝 9c 第3回路のボールねじ溝

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、
    該ねじ軸のボールねじ溝に対向するボールねじ溝を内面
    に有する少なくとも1つのボールナットと、該ボールナ
    ットのボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝とによ
    り形成された螺旋状通路と該螺旋状通路内を循環する多
    数のボールと、該多数のボールの戻り路とを備え、上記
    螺旋状通路とボールナットに設けたボールの戻り路とに
    より形成される循環路が3回路以上であるボールねじに
    おいて、 前記循環路のうち少なくとも2回路を円周方向に同一位
    相とし、残りの回路を他の回路に対して円周方向に18
    0度反転させたことを特徴とするボールねじ。
  2. 【請求項2】 外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、
    該ねじ軸のボールねじ溝に対向するボールねじ溝を内面
    に有する少なくとも1つのボールナットと、該ボールナ
    ットのボールねじ溝と上記ねじ軸のボールねじ溝とによ
    り形成された螺旋状通路と該螺旋状通路内を循環する多
    数のボールと、該多数のボールの戻り路とを備え、上記
    螺旋状通路とボールナットに設けたボールの戻り路とに
    より形成される循環路が3回路以上であるボールねじに
    おいて、 前記循環路のうち少なくとも2回路を円周方向に同一位
    相とし、残りの回路を他の回路に対して円周方向に18
    0度反転させ、且つ全循環路のうち少なくとも1回路を
    他の回路に対して軸方向にオフセットさせたことを特徴
    とするボールねじ。
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