JPH0354853Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は螺子の締付時において発生する締付ト
ルクによる反力の防止機構を具備した回転締付工
具に関するものである。

（従来技術とその問題点） ボルト、ナツト等の螺子を締付ける電動ドライ
バー等の締付工具においては、締付トルクが所定
値に達した際に反力が工具機体に伝達し、機体を
把持している作業員に適度の疲労を与えて長時間
の作業が困難となり、作業能率が著しく低下する
ものである。又、機体をロボツト等のアームに支
持させている場合においては、該アームが変形し
たり作業に支障をきたすものである。

このため、従来から、例えば実公昭56−6296号
公報に記載されているように、機体の先端部外周
に爪片を水平方向に突設し、この爪片を隣接する
ボルト、ナツト等の固定物に当接させて反力を受
止させるように構成した締付工具が開発されてい
る。

しかしながら、このような構造の締付工具によ
れば、爪片が機体から突出しているために、作業
時や携行時等の取扱い時に邪魔になつて円滑な締
付作業が行えなくなる虞れがあるばかりでなく、
爪片を当接させる固定物が存在しない場合には反
力を受止することができないものであり、又、爪
片が固定物に当接した時には、その当接点を支点
として機体に曲げモーメントが作用し、精度の良
い締付けが困難となる等の問題点があつた。

（考案の目的） 本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
ので、締付作業が円滑に行えると共に他物に反力
を受止させることなく機体内において反力と回転
力とが打ち消し合つて精度の良い締付作業を長時
間に亘り行えるようにした回転締付工具を提供す
るものである。

（考案の構成） 上記目的を達成するために、本考案の回転締付
工具は、実施例に対応する図面に示すように、機
体１内に配設したモータ２の回転により機体１の
先端から突出した出力軸３を回転させて螺子の締
付けを行うようにした回転締付工具において、前
記モータ２に出力軸３と同心上に一体回転する回
転軸４を突設し、該回転軸４の回転を適宜な噛合
歯車機構８を介して前記機体１の基端側に配設し
たフライホイール６に伝達し、該フライホイール
６を出力軸３と反対方向に回転させるように構成
したものである。

（作用） 出力軸３を回転させて螺子を締付けると、出力
軸３と同軸の回転軸４の回転が噛合歯車機構８を
介してフライホイール６に逆方向の回転として伝
達し、このフライホイール６の回転によつて出力
軸３に作用する締付トルクの反力を打ち消すもの
である。

（実施例の説明） 本考案の実施例を図面について説明すると、１
は筒状のドライバー機体で、その中空内部にモー
タ２を配設、固定してあり、該モータ２には同軸
の出力軸３と回転軸４とを有して出力軸３を機体
１の先端から下方に突出させる一方、回転軸４を
機体１の基端側に向けて突出させてある。

５は出力軸３の先端部に形成した螺子嵌合端部
である。

６は機体１の基端内部に配設したフライホイー
ルで、その中心軸７を機体１に回転自在に支持さ
れ、該中心軸７の下端と前記モータ回転軸４の上
端間を噛合歯車機構８によつて連結してある。

この噛合歯車機構８は、回転軸４と中心軸７と
に固着した傘歯車８ａ，８ｂに、機体１の内周壁
に回転自在に軸支された傘歯車８ｃを噛合させて
なるものであり、回転軸４の回転方向と逆方向の
回転をフライホイール６に伝達するものである。

なお、噛合歯車機構８は、このような傘歯車列
によることなく、適宜な歯車の組合せにより構成
してもよい。

このように構成したので、部材Ａ，Ｂに穿設し
た螺孔ＣにビスＤを螺締する場合、機体１の出力
軸３の先端嵌合部５をビス頭の溝に係合させた状
態にしてモータ２を駆動すると、ビスＤが螺孔Ｃ
に螺合して部材Ａ，Ｂに対する締付トルクが増大
し、ビスＤが完全に螺締した時にモータ２の出力
軸３に逆回方向の反力が作用する。

一方、出力軸３と同軸である回転軸４の回転に
よつて噛合歯車機構８を介し、フライホイール６
は出力軸３と反対方向に回転し、締付トルクが増
大した時には出力軸３に同一方向の回転力を付与
する作用を行つて出力軸３に作用する前記反力を
打ち消すものである。

（考案の効果） 以上のように本考案の回転締付工具によれば、
モータ２によつて同軸である出力軸３と回転軸４
とを一体回転させ、回転軸４に噛合歯車機構８を
介してフライホイール６を連結して該フライホイ
ール６を出力軸３と反対方向に回転させるように
構成したので、従来の締付工具のように、機体の
外部に反力受止用の爪片などを突設していないか
ら、作業が円滑に行えると共に反力を受止する固
定物を必要とすることなく、フライホイール６に
よつて出力軸３にかかる反力を打ち消すことがで
きるので、固定物の存在しない部分においても締
付作業が行えるものであり、さらに、出力軸３と
回転軸４とを同軸上にして反力の打ち消し作用を
行わせるものであるから、機体１に曲げモーメン
ト等を作用させることなく、且つ作業員に過度の
疲労感を与えることなく精度の良い締付けが確実
に行えるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す一部縦断正面図で
ある。 １……機体、２……モータ、３……出力軸、４
……回転軸、６……フライホイール、８……噛合
歯車機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体１内に配設したモータ２の回転により機体
   １の先端から突出した出力軸３を回転させて螺子
   の締付けを行うようにした回転締付工具におい
   て、前記モータ２に出力軸３と同心上に一体回転
   する回転軸４を突設し、該回転軸４の回転を適宜
   な噛合歯車機械８を介して前記機体１の基端側に
   配設したフライホイール６に伝達し、該フライホ
   イール６を出力軸３と反対方向に回転させるよう
   に構成したことを特徴とする回転締付工具。