JPH0110174Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、予め穿孔された下孔の孔壁適所に
下孔径より直径を大きくした拡径孔部、つまりア
ンダーカツトを削成する削成装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 固化せるコンクリートに対してアンカーボルト
を植設するような場合、コンクリートに所定深さ
の盲端孔を穿設し、アンカーボルトの基部をこの
孔に挿入して軸方向に切溝（スリツト）が加工さ
れた盲端円筒体を拡大し孔壁との間に摩擦抵抗を
生じせしめる。

このようにしてコンクリート面に植設したアン
カーボルトの引抜き強度は、盲端円筒体と孔壁と
の接合強度によつて大きく左右されるものである
が、ボルトの埋設基部に対応して孔内に孔壁を切
削して拡径孔部を予め形成しておくと、アンカー
ボルトの引抜き強度は格段に増強できる。しか
し、従来のコンクリートに対する穿孔工具、即
ち、ハンマードリル等の通常の穿孔装置を使用し
ては上記するようなドリル孔に対する拡径孔部の
削成は期待出来ない。

そこで、この考案と同一出願人によつて、本体
に、本体と同体回転し且つ軸方向にばねの付勢下
で相対移動可能にウエツジセンタを軸芯共通に挿
着し、本体に取付けた切刃をウエツジセンタ先端
部に設けた張出顎に沿わせて移動させて該張出顎
外方に突出するように構成し、下孔適所を切削し
て拡径孔部を削成する装置が提案されている。

この装置を以て、例えば盲端下孔の底部に拡径
部を削成する場合は、孔内に挿入したウエツジセ
ンタの下端を孔底に当て、この状態で装置を回転
させて、本体をばねに抗して孔中に押し込むよう
に押圧操作すると、それまではウエツジセンタの
張出顎基部に位置していた切刃が、本体の動きに
よつてウエツジセンタの張出顎に沿つて外方に張
り出すように移動しながら孔壁を切削し、終には
張出顎最大張出点に達して該張出顎より外に大き
く突出して孔壁に拡径孔部を削成するもので、こ
の後に本体に対する加圧力を抜くと、ばねの作用
によつて切刃は前記の動きとは逆順を踏まえてウ
エツジセンタの張出顎の基部の常態位置まで戻つ
て、装置は孔から引き抜かれるものである。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記構成の拡径部削成装置では、作
業後に装置を孔から引き抜くには、切刃を孔内の
切削作業位置で一旦常態位置に復帰させてからで
ないと、引抜きは出来ないもので、盲端孔内底部
に拡径部を削成するような場合は、孔壁切削によ
つて生じる切粉が排除されないままに残留し、こ
れに切刃が埋まつた状態になつて常態位置の張出
顎基部に戻るのを邪魔して切刃の復帰動を悪化さ
せ孔からの装置の引抜きを困難にし、また、引抜
き操作の際に、切刃がガイド溝に噛み込んで引抜
き不能になることがある。

この考案は上記の点に鑑がみなされたものであ
つて、コンクリート等の被穿孔物に予め穿設した
下孔孔壁に対して拡径孔部を削成後に、切刃が張
出顎のガイド溝に沿つて常態位置にばね力により
戻される際、切刃がガイド溝に噛み込む等によつ
て復帰不能になつた場合にも、装置の引抜きを可
能にするウエツジセンタの押出し機構を備えた拡
径部削成装置を提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） この考案の構成は、本体に、本体と軸芯共通に
同体回転し且つ軸方向にばねの付勢下で相対移動
可能にウエツジセンタを挿着し、該本体に取り付
けた切刃をウエツジセンタ先端部に設けた張出顎
のガイド溝に沿つて移動させて張出顎より外方に
突出させるよう構成し、予め削成した下孔に挿入
しその孔壁を切削して拡径する拡径孔部削成装置
において、上記本体下部外周に係合体を軸方向に
移動自在に配装し、本体の周壁に穿設した縦長孔
を挿通するピンを係合体とウエツジセンタに脱着
自在に取着して結合し、上記本体上端部のシヤン
クおよび本体の中実部を貫通し孔底側に上記ウエ
ツジセンタの打撃面を臨む押し棒挿入孔を穿設し
たことを要旨とするものである。

（作用） この考案の装置は、切刃がガイド溝に噛み込ん
で本体を押圧する力を抜いても切刃が自動的に基
部の常態位置まで復帰しない場合に、係合体とウ
エツジセンタを連結しているピンを抜き、押し棒
をシヤンクの上端の挿入孔から挿入してその下端
をウエツジセンタの打撃面に当て、ハンマーや金
槌等により押し棒をたたいて本体に対しウエツジ
センタを押し出すことによりその衝撃および反力
で切刃がガイド溝の基部側へ移動する。このよう
にして、切刃がガイド溝の基部に戻された状態
で、装置を孔から引き抜くことが出来るものであ
る。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面を参照しながら
詳細に説明する。

図において、１は本体で、その上端に形成した
中央孔内に駆動軸（図示せず）に連結されるシヤ
ンク２が回動自在に挿入され、上記本体１とシヤ
ンク２は横向きに周側から嵌入されたシヤピン３
により一体回転可能に結合される。４はウエツジ
センタで、このウエツジセンタ４の下端部は下方
へ向け漸次外向けに傾斜して張り出す張出顎５を
形成している。

６は本体１に下端を開口して設けた中空部で、
ウエツジセンタ４はこの中空部６に軸芯を共通に
して挿着される。７は本体下部において、本体１
の削成加工によつて対向的に形成され、適宜の弾
力を有する板片で、各板片７の先端に切刃８が取
付けられ、該切刃８の内面は張出顎５に設けたガ
イド溝９に係合して張出顎５上を移動するように
構成されている。１０は本体１の中空部６周壁に
対向して形成された一対の縦長孔、１１は上端を
開口し且つ本体１の軸方向に移動自在に本体１外
周に配挿した円筒状の係合体で、この係合体１１
の下部とウエツジセンタ４の上端部に一連に穿設
した貫通孔に、縦長孔１０を挿通するピン１２を
着脱自在にかん挿して両者を結合する。なお、縦
長孔１０の長さは前記切刃８がガイド溝９に沿つ
て移動可能な最大移動長よりもやや長く設定す
る。また、係合体１１に対向して本体１外周にか
ん挿した下端開口の円筒状受け座１３を本体１の
上部外周に止めリング１４により係止して、受け
座１３と係合体１１間に圧縮ばね１５を張設して
ウエツジセンタ４を下向けに付勢しており、前記
切刃８は常態で張出顎５基部に位置する。

１６は押し棒１７の挿入孔で、この挿入孔１６
は前記シヤンク２および本体１中実部の中心部を
貫通して中空部６に至るよう穿設される。従つ
て、この挿入孔１６の底部側にはウエツジセンタ
４の上端面（打撃面）が臨むことになる。

次に、上記構成からなるこの考案の装置の使用
態様を第３図を参照しながら説明する。

図ａに示すように、予め穿孔された下孔Ｂの底
部に拡径孔部を削成するに当たつて、係合体１１
の下端は被穿孔体Ａの上面に当てられる。

この状態から本体１に回転を与えながら該本体
１を圧縮ばね１５に抗して孔中に押し込むように
押圧操作すると、それまではウエツジセンタ４の
張出顎５基部に位置していた切刃８は、張出顎５
のガイド溝９に沿つて外方に張り出すように移動
して孔壁の切削を開始し、図ｂに示すように張出
顎５の最大張出点に到達するまで、孔壁を切削し
て拡径孔部Ｃを削成する。

そして、削成作業終了後、本体１の回転を中止
して本体１を押圧する力を抜くと、通常は圧縮ば
ね１５の付勢力により切刃８はガイド溝９に沿つ
てその基部の常態位置まで自動的に戻される。し
かし、削成作業終了時点で或いは作業途上で、切
刃８がガイド溝９に噛み込んで本体１を押圧する
力を抜いても切刃８が自動的に基部の常態位置ま
で復帰しない場合は、図ｃに示すように、まず、
ウエツジセンタ４と係合体１１を連結しているピ
ン１２を抜き出した後、シヤンク２上端の挿入孔
１６から押し棒１７を挿入してその下端をウエツ
ジセンタ４の上端面（打撃面）に当て、ハンマー
や金槌等により押し棒１７をたたいて本体に対し
ウエツジセンタ４を押し出すことにより、その衝
撃および反力により、切刃８とガイド溝９との噛
み合いが解除され、切刃８はガイド溝９に沿つて
基部側へ移動する。このようにして、切刃８がガ
イド溝９の基部に戻された状態で、装置を孔から
引き抜くことが出来る。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案の拡径孔部削成
装置によれば、コンクリート等にアンカーボルト
を植設するような場合、予め穿孔された下孔に対
して簡単に孔壁に拡径部を削成できて、アンカー
ボルトの植設時の引抜き強度を格段に向上し得る
ものであり、また孔内において拡径孔部の削成後
或いは作業途上で切刃がガイド溝に噛み込み移動
不能になつた場合にも、簡単な操作、即ちウエツ
ジセンタ４と係合体１１を連結しているピン１２
を抜き出した後、押し棒を挿入孔内に挿入してた
たくだけで、切刃とガイド溝との噛み合いを解除
しガイド溝に沿つて張出顎の基部側へ移動させる
ことができ、孔内から装置を引き抜けるから、便
利で作業性に優れ、削成作業の開始から装置の引
抜きまで、一連の作業を円滑に遂行できる等の効
果を具備する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の構成を示す中心線
から左側のみ中央で断面した正面図、第２図は同
平面図、第３図は第１図の−線矢視図、第４
図ａ，ｂ，ｃは動作説明図である。 １……本体、４……ウエツジセンタ、５……張
出顎、８……切刃、９……ガイド溝、１１……係
合体、１２……ピン、１５……圧縮ばね、１６…
…挿入孔、１７……押し棒。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 本体に、本体と軸芯共通に同体回転し且つ軸方
   向にばねの付勢下で相対移動可能にウエツジセン
   タを挿着し、該本体に取り付けた切刃をウエツジ
   センタ先端部に設けた張出顎のガイド溝に沿つて
   移動させて張出顎より外方に突出させ、下孔に挿
   入し孔壁を切削する拡径孔部削成装置において、 上記本体下部外周に係合体を軸方向に移動自在
   に配装し、本体の周壁に穿設した縦長孔を挿通す
   るピンを係合体とウエツジセンタに脱着自在に取
   着して結合し、上記本体上端部のシヤンクおよび
   本体の中実部を貫通し孔底側に上記ウエツジセン
   タの打撃面を臨む押し棒挿入孔を穿設したことを
   特徴とする押出し機構付拡径孔部削成装置。