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JPH092907A - 有害微生物撲滅剤 - Google Patents

有害微生物撲滅剤

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JPH092907A
JPH092907A JP15054295A JP15054295A JPH092907A JP H092907 A JPH092907 A JP H092907A JP 15054295 A JP15054295 A JP 15054295A JP 15054295 A JP15054295 A JP 15054295A JP H092907 A JPH092907 A JP H092907A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)ハロゲノ酢酸エステルと、(B)3,
3,4,4‐テトラクロロテトラヒドロチオフェン‐
1,1‐ジオキシドとを含有した有害微生物撲滅剤であ
る。 【効果】 広範囲にわたる有害微生物を効果的に殺菌、
防菌、滅菌、繁殖抑制することができる上に非常に安定
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な有害微生物撲滅
剤、さらに詳しくは、広範囲の抗菌スペクトルを有し、
かつ優れた防菌、防カビ効果を発揮するとともに、各種
微生物の繁殖抑制効果に優れ、しかも安定性が高く、紙
パルプ工業分野における用水系をはじめ、種々の産業分
野において好適に使用される有害微生物撲滅剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、紙パルプ工業分野における用水
系、例えば抄紙工程の白水や各種産業分野における循環
冷却水などの種々の用水系の他、工業用水を使用して調
製される水性塗料、紙用塗工液、ラテックス、高分子エ
マルション、捺染糊、接着剤、切削油などの金属加工油
剤、皮革、木材などの分野においては、有害な微生物が
増繁殖しやすく、これが生産性や品質の低下の原因とな
っている。特に紙パルプ工業分野における用水系では、
細菌、糸状菌、酵母類の増繁殖によりスライムが発生
し、パルプスラリーが流れる水路、とりわけスラリーが
接する壁面の粗い場所やチェスト、フローボックス、輸
送パイプ、その他パイプスラリーの流速が低下して淀み
を生じる場所においてはスライムの付着形成が認められ
るようになる。
【0003】そして、このスライムは、しばしば脱離
し、紙切れや紙パルプ製品の汚染の原因となるほか、微
生物の繁殖による種々の障害をもたらす。
【0004】このような障害の発生は、特に高速マシン
を使用する場合には重大な欠点となり、著しい生産性低
下、経済的損失を招来する。
【0005】また、金属加工油剤などの冷却用循環用水
系における微生物の増繁殖は、冷却性能や乳化性を阻害
したり、また悪臭を発生させ作業環境を悪化させるなど
公衆衛生上好ましくない現象を引き起こす。
【0006】その他、有害微生物の増繁殖による障害
は、水性塗料、紙用塗工液、高分子ラテックス、製紙用
パルプ、糊、皮革、金属加工油剤などの工業製品にも見
られる。
【0007】ところで、前記用水系や前記工業用製品に
おける有害微生物の発生を抑制あるいは防除する薬剤と
しては、これまで有機金属化合物類、有機硫黄化合物
類、第四級アンモニウム塩化合物などが使用されてきた
が、これらの化合物類は人体に対して有毒である上に、
悪臭や異臭の原因となり、さらには発泡などの好ましく
ない現象を生じる。しかも、これらの防除剤含有水系
は、これを一般河川や海などに投流した場合には、魚介
類に対し悪影響を与え環境保全上問題を生じる。
【0008】このような欠点を回避しうるために、ハロ
ゲノ酢酸エステルを有効成分として含有する非農業用防
黴防腐剤(特公昭52−12247号公報)、3,3,
4,4‐テトラクロロテトラヒドロチオフェン‐1,1
‐ジオキシドから成る殺菌剤(米国特許第295788
7号明細書)などが提案されているが、これらは有効微
生物が限られ、広範囲の抗菌スペクトルが得られないた
め、適用範囲が制限されるのを免れず、有害微生物撲滅
剤として必ずしも満足しうるものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、広範囲の抗菌スペクトルを有し、多くの
微生物に対し優れた防菌、防カビ効果を示して各種微生
物の繁殖を効果的に抑制でき、しかも安定性が高い有害
微生物撲滅剤を提供することを目的としてなされたもの
である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、広い適
用範囲をもつ有害微生物撲滅剤を開発すべく種々研究を
重ねた結果、従来の工業用殺菌剤として用いられていた
ハロゲノ酢酸エステルと3,3,4,4‐テトラクロロ
テトラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシド、あるい
はさらにイソチアゾロン系化合物や特定のハロゲン含有
有機化合物とを組み合わせることにより、その目的を達
成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をな
すに至った。
【0011】すなわち、本発明は、(A)ハロゲノ酢酸
エステル、(B)3,3,4,4‐テトラクロロテトラ
ヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシド及び場合により
(C)イソチアゾロン系化合物及び(ロ)一般式
【化2】 (式中のX1はハロゲン原子、Yはニトロ基又はシアノ
基、R1及びR2はそれぞれハロゲン原子、ニトロ基、シ
アノ基、ヒドロキシル基、アミノカルボニル基又は置換
若しくは無置換のアルキル基であり、それらはたがいに
同一であってもよいし、異なっていてもよい)で表わさ
れる化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする有害微生物撲滅剤を提供するものであ
る。
【0012】本発明有害微生物撲滅剤における(A)成
分のハロゲノ酢酸エステルとしては、通常一般式
【化3】 (式中のX2及びX3はそれぞれハロゲン原子であり、そ
れらはたがいに同一であってもよいし、異なっていても
よく、Lはアルキレン基又はアルケニレン基である)で
表わされる構造を有するものが用いられる。
【0013】前記一般式(II)におけるX2及びX3
ハロゲン原子としてはCl、Brなどが挙げられる。こ
のX2及びX3はたがいに同一であってもよいし、異なっ
ていてもよい。また、Lのうちのアルキレン基として
は、例えばエチレン基、プロピレン基、トリメチレン
基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基
などが、アルケニレン基としては、例えばプロペニレン
基、ブテニレン基、ヘキセニレン基などが挙げられる。
この(A)成分として、特にX2及びX3が共にBrで、
Lが−CH2−CH2−であるビスブロモアセトキシエタ
ンがバクテリア及びカビに対する殺菌性に優れるので好
ましい。その他、(A)成分としては、例えば1,2‐
ビスブロモアセトキシブテン、1,2‐ビスブロモアセ
トキシプロパン、1,2‐ビスクロロアセトキシエタン
などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】本発明有害微生物撲滅剤において、(B)
成分として用いられる3,3,4,4‐テトラクロロテ
トラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシドは、式
【化4】 で表わされるものである。
【0015】本発明有害微生物撲滅剤においては、前記
(A)成分と(B)成分との配合割合は、重量基準で
1:100ないし100:1の範囲が好ましい。両成分
の配合割合がこの範囲にあれば、バクテリア及びカビの
両方に対して優れた相乗効果を発揮する。(A)成分の
割合が前記範囲より少ない場合[(B)成分の割合が前
記範囲より多い場合]、バクテリアに対する効力が十分
に発揮されないし、(A)成分の割合が前記範囲より多
い場合[(B)成分の割合が前記範囲より少ない場
合]、カビに対する効力が低下する。優れた相乗効果を
発揮し、バクテリア及びカビの両方に対して高い効力を
示す点から、特に好ましい(A)成分と(B)成分との
配合割合は1:50ないし50:1の範囲である。
【0016】本発明有害微生物撲滅剤においては、前記
(A)成分及び(B)成分と共に、所望に応じ、(C)
成分として、(イ)イソチアゾロン系化合物や(ロ)一
般式
【化5】 (式中のX1、Y、R1及びR2は前記と同じ意味をも
つ)で表わされる化合物を含有させることができる。
【0017】前記(イ)成分のイソチアゾロン系化合物
としては、通常一般式
【化6】 (式中のR3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、
アルキニル基又はアラルキル基、R4及びR5はそれぞれ
水素原子又はハロゲン原子であって、それらはたがいに
同一であってもよいし、異なっていてもよく、あるいは
たがいに結合してベンゼン縮合環を形成していてもよ
い)で表わされる構造を有するものが用いられる。
【0018】前記一般式(III)において、R3で示
される基のうち、アルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐
ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert
‐ブチル基、オクチル基などが、アルケニル基として
は、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプ
ロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基などが、アル
キニル基としては、例えばエチニル(アセチレニル)
基、プロピニル基、プロパルギル基などが、アラルキル
基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙
げられる。また、R4及びR5で示される基のうち、ハロ
ゲン原子としては、例えばF、Cl、Brなどが挙げら
れる。
【0019】このような化合物としては、例えば5‐ク
ロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、2
‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、2‐オクチ
ル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、4,5‐ジクロロ
‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン、1,2‐ベンゾイソ
チアゾリン‐3‐オンなどが挙げられ、中でも特に5‐
クロロ‐2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オン及
びが高い殺菌性を示すので好ましい。これらのイソチア
ゾロン系化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用い
る場合2‐メチル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンとの
混合物が殺バクテリア性及び殺カビ性に優れるので好ま
しい。
【0020】また、本発明有害微生物撲滅剤に用いられ
るイソチアゾロン系化合物は安定性を向上させるために
硝酸銅、硝酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜
鉛、臭素酸カリウムなどの金属塩でコンプレックスを形
成させてもよい。例えば5‐クロロ‐2‐メチル‐3‐
イソチアゾロンマグネシウムナイトレート、2‐メチル
‐3‐イソチアゾロンマグネシウムナイトレート、2‐
オクチル‐4‐クロロ‐3‐イソチアゾロンカルシウム
クロリドなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよい
し、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも5‐
クロロ‐2‐メチル‐3‐イソチアゾロンマグネシウム
ナイトレート、2‐メチル‐3‐イソチアゾロンマグネ
シウムナイトレートの組み合わせは、貯蔵時の安定性及
び紙パルプ工業の抄造系におけるバクテリアに対し優れ
た殺菌効果があるので好ましい。
【0021】一方、前記(ロ)成分の一般式(I)で表
わされる化合物において、X1はCl、Brなどのハロ
ゲン原子、Yはニトロ基又はシアノ基である。またR1
及びR2はそれぞれCl、Brなどのハロゲン原子、ニ
トロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノカルボニル
基又は置換若しくは無置換のアルキル基である。ここ
で、置換アルキル基としては、例えばヒドロキシアルキ
ル基、アシルオキシアルキル基、ブロモアルキル基、シ
アノアルキル基などが挙げられる。このR1及びR2はた
がいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0022】このような一般式(I)で表わされる化合
物としては、例えば2,2‐ジブロモ‐2‐ニトロエタ
ノール、1,2‐ジブロモ‐1‐ニトロプロパノール、
2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオンアミド、2
‐ブロモ‐2‐ニトロプロパン‐1,3‐ジオール、
1,1‐ジブロモ‐1‐ニトロ‐2‐アセトキシエタ
ン、1,1‐ジブロモ‐1‐ニトロ‐2‐アセトキシプ
ロパン、2‐ブロモ‐2‐ニトロ‐1,3‐ジアセトキ
シプロパン、1,2‐ジブロモ‐2,4‐ジシアノブタ
ン、2‐ブロモ‐2‐ニトロ‐1,3‐ジアセトキシプ
ロパンなどが挙げられる。これらの(ロ)成分化合物は
単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよい。
【0023】本発明有害微生物撲滅剤においては、
(C)成分として、前記(イ)成分のイソチアゾロン系
化合物を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせて用
いてもよく、また、(ロ)成分の一般式(I)で表わさ
れる化合物を1種用いてもよいし、2種以上組み合わせ
て用いてもよい。さらには、(イ)成分1種以上と
(ロ)成分1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
【0024】本発明有害微生物撲滅剤においては、この
所望に応じて用いられる(C)成分の含有量は、前記
(A)成分と(B)成分との合計量に対し、1〜100
重量%の範囲が好ましい。(C)成分の含有量が前記範
囲内であれば優れた相乗効果が得られる。この含有量が
前記範囲を逸脱するとバクテリア及びカビに対する効力
の向上効果が十分に発揮されない。優れた相乗効果を発
揮し、バクテリア及びカビの両方に対して高い効力を示
す点から、(C)成分の特に好ましい含有量は、(A)
成分と(B)成分との合計量に対して1〜50重量%の
範囲である。
【0025】本発明有害微生物撲滅剤の好ましいもの
は、(A)成分として、1,2‐ビスブロモアセトキシ
エタン、1,2‐ビスブロモアセトキシブテン及び1,
2‐ビスブロモアセトキシプロパンの中から選ばれた少
なくとも1種を、(B)成分として、3,3,4,4‐
テトラクロロテトラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキ
シドを、(C)成分として、2,2‐ジブロモ‐2‐ニ
トロエタノール、2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロ
ピオンアミド、2‐ブロモ‐2‐ニトロプロパン‐1,
3‐ジオール、1,1‐ジブロモ‐1‐ニトロ‐2‐ア
セトキシエタン及び2‐ブロモ‐2‐ニトロ‐1,3‐
ジアセトキシプロパンの中から選ばれた少なくとも1種
を含有するものであり、特に好ましいものは、(A)成
分として、1,2‐ビスブロモアセトキシエタンを、
(B)成分として、3,3,4,4‐テトラクロロテト
ラヒドロチオフェン‐1,1‐ジオキシドを、(C)成
分として、2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオン
アミドを含有するものである。
【0026】本発明有害微生物撲滅剤は、基本的には前
記の(A)成分、(B)成分及び必要に応じて用いられ
る(C)成分を均一に混合することにより調製される
が、一般的には溶剤溶液として使用に供される。
【0027】ここで使用することのできる溶剤として
は、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶
剤、炭化水素系溶剤などが挙げられ、中でもアルキレン
グリコール、ジアルキレングリコール、ジアルキレング
リコールモノアルキルエーテルなどのグリコール系溶剤
が好ましく、特にエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル
エーテル及びジプロピレングリコールが好ましい。ま
た、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
γ‐ブチロラクトン、N‐メチルピロリドン、テトラヒ
ドロフルフリルアルコールなどを使用してもよい。これ
らの溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
【0028】本発明有害微生物撲滅剤の使用態様につい
ては特に制限はなく、種々の方法を採用することがで
き、例えば任意の担体に担持して使用してもよい。
【0029】本発明有害微生物撲滅剤の使用に際しての
添加量は、微生物濃度により異なるが、(A)成分と
(B)成分の2成分系の防菌剤では、一般的に紙パルプ
工業などの分野における用水系の場合、両成分の合計量
に基づき1〜50ppm程度、水性塗料、糊、皮革など
の分野の場合、20〜400ppm程度である。また、
(A)成分と(B)成分と(C)成分の3成分系の防菌
剤では、3成分の合計量に基づき、紙パルプ工業分野に
おける用水系の場合、1〜30ppm程度、水性塗料、
糊、皮革などの分野の場合、15〜300ppm程度で
あり、この範囲で良好な防菌効果が得られる。
【0030】本発明有害微生物撲滅剤には、この発明の
目的を阻害しない範囲で、所望に応じ安定剤、界面活性
剤などを添加することができる。界面活性剤は溶解度を
高める効果がある。
【0031】
【発明の効果】本発明の有害微生物撲滅剤は、抗菌力を
有する特定の薬剤2種又は3種を組み合わせることによ
り、それぞれの個々の成分からは予想することのできな
い特有の相乗効果が発揮され、殺菌しうる微生物の範囲
が大幅に拡大されて極めて広範囲の抗菌スペクトルを有
するとともに、優れた防菌、防カビ効果を発揮し、かつ
各種微生物の繁殖を効果的に抑制することができ、しか
も安定性が高い。
【0032】本発明の有害微生物撲滅剤は、特に紙パル
プ工業における用水系、例えば抄紙工程の白水や各種産
業分野における循環冷却水などの種々の用水系の他、水
性塗料、紙用塗工液、ラテックス、高分子エマルショ
ン、捺染糊、切削油などの金属加工油剤、接着剤、皮
革、木材などの分野に好適に用いられる。
【0033】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。
【0034】実施例1〜5、比較例1、2 表1に示す配合組成の有害微生物撲滅剤を調製し、その
性能について、以下に示す試験を行った。
【0035】(1)抄紙工程の白水中における菌増殖防
止試験及びスライム発生防止試験 製紙工場の抄紙工程において各防菌剤を白水ピットに1
日のうちに2時間、3回にわたり溶剤を除く薬剤の水中
濃度が20ppmになるように7日間添加して、白水中
の微生物の菌数を測定した。試験方法は白水試料を滅菌
水で希釈し、この一定量をシャーレにとり、溶解したワ
ックスマン寒天培地に注入して、混和し、平板状に固化
させた。恒温器内(32℃)で2日間培養後発生する微
生物コロニーをコロニー計数器にて測定した。また、抄
造時の紙切れ回数も測定し、スライム発生防止効果を確
認した。その結果を表2に示す。
【0036】(2)製紙用塗工液における菌増殖防止試
験 製紙用デンプン系塗工液にブイヨン液体培地及び予め腐
敗させた塗工液を加えて撹拌し、溶剤を除く薬剤濃度が
300ppmになるように各防菌剤を添加した。これを
32℃の恒温器に5日間保存したのち、各塗工液中の生
菌数を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】(3)ラテックスにおける菌増殖防止試験 ラテックスにブイヨン液体培地及びあらかじめ腐敗させ
たラテックスを加えて撹拌し、溶剤をのぞく薬剤濃度が
300ppmになるように各防菌剤を添加した。これを
32℃の恒温器に5日間保存したのち、ラテックス中の
生菌数を測定した。その結果を表2に示す。
【0038】(4)切削油における菌増殖防止試験 切削油にブイヨン液体培地及びあらかじめ腐敗させた切
削油を加えて撹拌し、溶剤をのぞく薬剤濃度が300p
pmになるように各防菌剤を添加した。これを32℃の
恒温器に5日間保存したのち、切削油中の生菌数を測定
した。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】 (A):1,2‐ビスブロモアセトキシエタン (B):3,3,4,4‐テトラクロロテトラヒドロチ
オフェン‐1,1‐ジオキシド (C)−1:2,2‐ジブロモ‐3‐ニトリロプロピオ
ンアミド (C)−2:ケーソンLX PLUS(ロームアンドハ
ース社製、商品名)、5‐クロロ‐2‐メチル‐4‐イ
ソチアゾリン‐3‐オンを主成分とし、その他2‐メチ
ル‐4‐イソチアゾリン‐3‐オンを含有する水溶性殺
菌剤 (C)−3:2,2‐ジブロモ‐2‐ニトロエタノール 溶剤:エチレングリコール
【0041】
【表2】
【0042】(注)紙切れ回数:分速1000mの条件
における7日間の紙切れ回数を示す。 これらの結果から、本発明の有害微生物撲滅剤は防菌及
び防止カビ性に優れ、また抄紙工程における白水中に添
加した場合、紙切れ回数が少なくなり、作業効率の向上
をもたらす。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ハロゲノ酢酸エステルと、(B)
    3,3,4,4‐テトラクロロテトラヒドロチオフェン
    ‐1,1‐ジオキシドとを含有することを特徴とする有
    害微生物撲滅剤。
  2. 【請求項2】 (A)ハロゲノ酢酸エステルと、(B)
    3,3,4,4‐テトラクロロテトラヒドロチオフェン
    ‐1,1‐ジオキシドと、(C)(イ)イソチアゾロン
    系化合物及び(ロ)一般式 【化1】 (式中のX1はハロゲン原子、Yはニトロ基又はシアノ
    基、R1及びR2はそれぞれハロゲン原子、ニトロ基、シ
    アノ基、ヒドロキシル基、アミノカルボニル基又は置換
    若しくは無置換のアルキル基であり、それらはたがいに
    同一であってもよいし、異なっていてもよい)で表わさ
    れる化合物の中から選ばれた少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする有害微生物撲滅剤。
  3. 【請求項3】 (A)成分と(B)成分との配合割合が
    重量基準で100:1ないし1:100である請求項1
    又は2記載の有害微生物撲滅剤。
  4. 【請求項4】 (C)成分の含有量が、(A)成分と
    (B)成分との合計量に対し、1〜100重量%である
    請求項2又は3記載の有害微生物撲滅剤。
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