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JPH09262945A - プロピレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂積層フィルムおよびその製造方法

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Publication number
JPH09262945A
JPH09262945A JP7186296A JP7186296A JPH09262945A JP H09262945 A JPH09262945 A JP H09262945A JP 7186296 A JP7186296 A JP 7186296A JP 7186296 A JP7186296 A JP 7186296A JP H09262945 A JPH09262945 A JP H09262945A
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JP
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propylene
laminated film
based resin
resin
layer
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JP7186296A
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Hiroshi Omori
浩 大森
Hajime Mizuno
肇 水野
Mitsuaki Yamahara
三昭 山原
Koichi Ito
伊藤  公一
Fujio Kurose
富士夫 黒瀬
Motohiro Enokida
元博 榎田
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NIMURA KAGAKU KOGYO KK
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
NIMURA KAGAKU KOGYO KK
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム外観が良好で、手切れ性に優れたプ
ロピレン系樹脂積層フィルムを提供すること。 【解決手段】 プロピレン単独重合体またはプロピレン
共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層
(I)およびプロピレン共重合体を主成分とするプロピ
レン系樹脂Bからなる層(II)とが、(I)/(I
I)/(I)の順序に積層され、かつ、2軸延伸工程に
付して得られた積層フィルムであって、該プロピレン系
樹脂Bの135℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]
が1.5を越え3.5以下でありプロピレン系樹脂Aの
融解温度TmAとプロピレン系樹脂Bの融解温度TmBがΔ
m =TmA−TmB≧5℃の関係にあり、フィルムの長手
方向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下であり、長
手方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上10
00kg/cm2 以下であり、かつ該積層フィルムの厚
みムラが8%以下であるプロピレン系樹脂積層フィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外観が良好で、手
切れ性に優れたプロピレン系樹脂積層フィルムおよびそ
の製造方法に関する。詳しくは、従来セロファンが使用
されていたセロファンテープ、薬包装などの用途、二軸
延伸ポリプロピレンフィルムや二軸延伸ポリエステルフ
ィルムが使用されていた食品包装や繊維包装などの用途
に使用が可能な、外観が良好で、かつ手切れ性および易
開封性などに優れたプロピレン系樹脂積層フィルムおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、手切れ性に優れたポリオレフィン
フィルムとしては、二軸配向フィルム(BOフィルム)
の上に幅方向一軸配向フィルム(UOフィルム)を積層
する方法(例えば、実公昭50−44519、特公昭5
1−41154各号公報)や、二軸配向フィルムに電子
線などの放射線を照射する方法(例えば、特開昭53−
106779、特開平6−67599各号公報など)や
3層構成の中間層に比較的分子量の低い(比較的低強度
の)重合体を用いる方法(特開昭57−96858、同
58−18261各号公報など)が知られている。
【0003】しかしながら、従来の技術ではそれぞれ次
のような問題が存在していた。すなわち二軸配向フィル
ムの上に横一軸配向フィルムを積層する方法では手切れ
性が不十分であったり、フィルムがカールする問題があ
り、電子線照射法の場合、新たに装置が必要であった
り、手切れ性が不十分である問題があった。さらに3層
構成の中間層に比較的分子量の低い重合体を用いる方法
では、中間層の粘度が低すぎてシートの成形性、延伸適
性が劣り、安定的に満足なフィルムを生産することが難
しい問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
現状に鑑み、外観が良好で手切れ性の優れた延伸フィル
ムを開発するために鋭意検討した結果、ある特定のフィ
ルム構成からなり、特定のフィルム物性を有するプロピ
レン系樹脂積層フィルムが、外観が良好で、かつ手切れ
性に優れることを、また、工業的に安定して該積層フィ
ルムを製造できる方法を見いだし、本発明に至ったもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は第1
に、プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を
主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層(I)およ
びプロピレン共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂
Bからなる層(II)とが、(I)/(II)/(I)
の順序に積層され、かつ、2軸延伸工程に付して得られ
た積層フィルムであって、該プロピレン系樹脂Bの13
5℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越
え3.5以下であり、プロピレン系樹脂Aの融解温度T
mAとプロピレン系樹脂Bの融解温度TmBが、ΔTm =T
mA−TmB≧5℃の関係にあり、該積層フィルムの長手方
向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下であり、長手
方向の引張破断点強度が100kg/cm2 以上100
0kg/cm2 以下であり、かつ該積層フィルムの厚み
ムラが8%以下であるプロピレン系樹脂積層フィルムに
ある。
【0006】また、本発明は第2に、プロピレン単独重
合体またはプロピレン共重合体を主成分とするプロピレ
ン系樹脂Aからなる層(I)および該樹脂Aより低い融
解温度を有しかつ135℃、テトラリン溶媒での極限粘
度[η]が1.5を越え3.5以下のプロピレン共重合
体を主成分とするプロピレン系樹脂Bからなる層(I
I)とを、(I)/(II)/(I)の順序に積層した
シートを2軸延伸工程に付してプロピレン系樹脂積層フ
ィルムを製造する方法において、該シートを長手方向の
延伸工程に付したのち、幅方向の延伸工程に付す際に、
該幅方向の延伸工程をプロピレン系樹脂Aの融解温度以
上の雰囲気の温度で実施することを特徴とするプロピレ
ン系樹脂積層フィルムの製造方法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
詳述する。本発明で用いられるプロピレン系樹脂Aは、
プロピレン単独重合体またはプロピレン共重合体を主成
分とするプロピレン系樹脂であって、プロピレン単独重
合体の他、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテ
ン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、等の
4-10のα−オレフィンとのランダム共重合体、または
ブロック共重合体、およびそれらの混合物、更には、こ
れらとフィルム成形の際のリサイクル樹脂(再使用樹
脂)との混合物、等があげられるが、耐熱性、フィルム
の腰の観点からプロピレン系樹脂Aの融解温度が154
℃以上、特には156℃以上のものが好ましい。
【0008】プロピレン系樹脂Bは、プロピレン共重合
体を主成分とするプロピレン系樹脂であって、プロピレ
ンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、4−メチルペンテン−1、等のC4-10のα−オレフ
ィンとのランダム共重合体およびそれらの混合物があげ
られるが、プロピレンとエチレンおよび/またはブテン
−1とのランダム共重合体が好ましい。また、上記プロ
ピレン系樹脂Bは、フィルム成形の際のリサイクル樹脂
がブレンドされていてもよく、または50wt%までの
範囲でプロピレン単独重合体がブレンドされていてもよ
い。
【0009】プロピレン系樹脂Aは、JIS K675
8(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され
たメルトフローレート(MFR)が、各々、0.5〜3
0g/10分であるのが好ましく、0.8〜20g/1
0分がさらに好ましい。MFRが上記範囲を上回るとシ
ート成形性、延伸性に劣り、MFRが上記範囲を下回る
と押出成形時に押し出し負荷が高くなり、流動不良を招
きやすくなり好ましくない。また、プロピレン系樹脂B
は、135℃テロラリン溶媒での極限粘度[η]が1.
5を越え3.5以下、好ましくは1.6以上3.0以
下、特に好ましくは1.6以上2.8以下であることが
好ましい。極限粘度が上記範囲を低く外れると安定生産
が困難となり、高く外れると押出成形時の押し出し負荷
が高くなり、流動不良を招き易くなり、また得られる積
層フィルムの外観が悪化するので好ましくない。
【0010】本発明においては、プロピレン系樹脂Aの
融解温度TmA(詳細後記)とプロピレン系樹脂Bの融解
温度TmB(詳細後記)が、ΔTm =TmA−TmB≧5℃の
関係にあることが必要で、ΔTm が5〜40℃の範囲が
好ましく、10〜30℃の範囲がさらに好ましい。ΔT
m が40℃を越えると延伸成形性に劣り、5℃未満では
手切れ性が不十分となる。
【0011】プロピレン系樹脂Aからなる層(I)の合
計厚みは15μ以下がカット性の観点から好ましい。層
(I)の合計厚みが上記を越える場合、カット性が不十
分となる。本発明の積層フィルムの全層厚みに対する層
(I)の合計厚みの比率は、特に制限はないが、全層厚
みの50%以下、更に好ましくは30%以下、であるこ
とが、カット性の観点から好ましい。また、プロピレン
系樹脂Bからなる層(II)の厚みは5〜100μ、好
ましくは10〜80μ、特に好ましくは10〜60μで
ある。
【0012】層(I)の一層あたりの厚みは、必ずしも
それぞれ同じ厚みである必要はないが、積層フィルムの
カールなどを考慮するとほぼ等しいことが好ましい。本
発明の積層フィルムは、プロピレン系樹脂Aからなる層
(I)、およびプロピレン系樹脂Bからなる層(II)
とが、(I)/(II)/(I)の順序に積層されてい
る。
【0013】また、(I)/(II)/(I)の3層フ
ィルム以外に、(I)/(II)/(I)/(II)/
(I)の5層フィルムおよび、(I)/(II)/
(I)/(II)/(I)/(II)/(I)/・・・
・・(II)/(I)の多層フィルムであってもよい。
この場合、最終の多層フィルムの層(II)の合計厚み
は、5〜100μ、好ましくは10〜80μ、であり、
また層の(I)の合計厚みは15μ以下である。そし
て、最終の多層フィルムの厚みは、10〜115μ、好
ましくは15〜80μである。
【0014】さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で
(I)/(II)/(I)の各層の間に厚みが10μ以
下、好ましくは5μ以下の、接着剤層、接着用樹脂層、
リサイクル樹脂層(X)や、融点やMFRが(I)層の
樹脂と(II)層の樹脂の中間的な樹脂層(Y)や、全
く異なる樹脂の層(Z)を積層してあっても良い。
【0015】更に、本発明においては、使用目的に応じ
て、上記3層フィルム、5層フィルム、又は多層フィル
ムの表面層に、厚み10μ以下、好ましくは5μ以下の
ヒートシール層を最外層として積層してあってもよい。
該ヒートシール層を形成する樹脂としては、プロピレン
系樹脂Aの融点より10℃以上、好ましくは15℃以上
低い融点を有するプロピレンとエチレン、ブテン−1、
ヘキセン−1、等のC 4-10のα−オレフィンとのランダ
ム共重合体、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ヘキ
セン−1、オクテン−1、等のC3-10のα−オレフィン
とのランダム共重合体、等が使用できる。
【0016】もちろん(I)/(II)/(I)の各々
の層(I)のプロピレン系樹脂Aは必ずしも同一樹脂で
ある必要はなく、片一方の層(I)の樹脂をプロピレン
系樹脂Aとした場合、もう一方の層(I)としてプロピ
レン系樹脂Aの記載範囲に含まれるプロピレン系樹脂
A’を使用してもよい。この場合、上述の融解温度差Δ
mは、プロピレン系樹脂Aの融解温度TmA及びプロピ
レン系樹脂A’の融解温度TmA'について、それぞれΔ
m =TmA−TmB≧5℃又はΔTm =TmA' −Tm B≧5
℃の関係にあることが必要である。
【0017】本発明の積層フィルムは、長手方向と幅方
向の複屈折率が10×10-3以下であることが必要で、
8×10-3以下であることがカット性の観点からさらに
好ましい。複屈折率が上記範囲を越えては満足な手切れ
性が得られない。本発明の積層フィルムは、長手方向の
引張破断点強度が100kg/cm2 以上1000kg
/cm2 以下であることが必要で、200kg/cm2
以上900kg/cm2 以下が好ましく、300kg/
cm2 以上800kg/cm2 が特に好ましい。破断点
強度が上記範囲を越えては、長手方向の手切れ性が不十
分となり、上記範囲未満では強度が低くなり使用上問題
がある。
【0018】本発明の積層フィルムの幅方向の引張破断
点強度は特に制限がないが、幅方向にも手切れ性が必要
な場合、100kg/cm2 以上1200kg/cm2
以下であることが好ましく、200kg/cm2 以上1
000kg/cm2 以下であることが更に好ましく、3
00kg/cm2 以上800kg/cm2 以下であるこ
とが特に好ましい。この場合、本発明の積層フィルム
は、長手方向、幅方向、斜め方向のいずれの方向にも手
切れ性があるフィルムとなる。
【0019】本発明の積層フィルムのヤング率は特に制
限がないが7000kg/cm2 以上が好ましく、長手
方向のヤング率が7000kg/cm2 以上、幅方向の
ヤング率が10000kg/cm2 以上であることがさ
らに好ましい。ヤング率が上記範囲未満では、腰が不十
分でフィルムの取り扱い性が劣る。本発明の積層フィル
ムは、厚みムラ(測定法の詳細は後述する)が8%以下
であるが、好ましくは5%以下である。厚みムラが上記
範囲にあると外観が優れたものとなり、巻き取り性、2
次加工性が良好となる。
【0020】本発明で用いられるそれぞれの樹脂には、
ポリマー用の添加剤として公知の酸化防止剤、帯電防止
剤、熱安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸
収剤、充填剤、過酸化物、造核剤などを含有させても良
い。また、本発明の効果を阻害しない範囲で石油樹脂や
ゴムなどをブレンドしても良い。石油樹脂の例として
は、石油の熱分解により得られるモノマーを触媒重合す
ることにより得られる重合体、もしくはこの重合体の水
素添加物をいい、一般にシクロペンタジエン、スチレ
ン、メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチ
ルインデン、ブタジエン、イソプレン、ピペリジン、ペ
ンチレンのようなモノマーから構成される重合体が挙げ
られる。
【0021】次に、本発明の積層フィルムの製造方法に
ついて説明するが、必ずしもこれに限定されるものでは
ない。樹脂Aと樹脂Bとをそれぞれ2台または3台の押
出機に供給し、(I)/(II)/(I)からなる3層
のシートを作製する。ついで該シートを長手方向延伸機
で3〜8倍長手方向の延伸工程に付したのち、例えば、
好ましくはテンター方式で幅方向に5〜12倍の延伸工
程に付し、本発明の積層フィルムを得る。ここで、更に
熱セットの目的で熱処理を行うこともできる。
【0022】従来、高融点の樹脂と低融点の樹脂を積層
して長手方向に延伸後、テンター方式で幅方向に延伸す
る場合の幅方向の(テンターの)予熱・延伸温度は高融
点の樹脂の融点と、低融点の樹脂の融点の中間温度で行
われるのが一般的であったが、その場合、手切れ性が不
十分で、良好なフィルムが得られなかった。また、予熱
・延伸温度を低くして、幅方向の延伸を行った後、熱セ
ットで中間層の配向を消す方法も知られているが外観不
良を発生し易いため、良好なフィルムが得られ難い。
【0023】本発明の積層フィルムを製造する場合の2
軸延伸工程の最も好適な実施様態は、層(II)が融解
した状態で幅方向に所定の延伸処理を行って、層(I
I)の配向を抑制する方法である。そのためには幅方向
の延伸工程又は予熱・延伸工程の雰囲気の温度を高融点
の樹脂の融解温度か、さらに高い温度、通常高融点樹脂
の融解温度〜50℃高い温度、好ましくは、高融点樹脂
の融解温度より5〜30℃高い温度の範囲に設定する必
要がある。この様な幅方向の延伸処理条件を採ることに
より、幅方向延伸時に中間層が融解し融解熱を奪うた
め、表面層は融解しない状態で延伸されることにより、
外観が良好で表面層のみが配向し、中間層の配向が抑制
され、手切れ性をもったフィルムが得られる。中間層の
配向が抑制されていることは、逐次二軸延伸フィルムの
長手方向と幅方向の複屈折率は、通常10×10-3を越
える、例えば12×10-3以上であるのが一般的である
にもかかわらず、本発明の積層フィルムの複屈折率の値
が10×10-3以下と小さいことから知ることができ
る。
【0024】また、上記の方法で(I)/(II)/
(I)からなる3層のシートを長手方向に3〜8倍の延
伸工程に付したのち、得られた長手方向延伸シートの片
面又は両面に、例えば、樹脂Aを10〜100μ積層し
たのち幅方向に5〜12倍の延伸工程に付すことで、手
切れ性フィルムに方向性を付与することもできる。更
に、フィラーを含む熱可塑性樹脂を本発明の多層フィル
ムに積層して、筆記性を付与したり、プロピレン系ブロ
ック共重合体を積層して不透明化したり、ヒートシール
性樹脂を積層してヒートシール性を付与することも可能
である。以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説
明するが、本発明は以下実施例に制限されるものではな
い。
【0025】
【実施例】実施例で示した数値は、以下の測定法により
測定した。 (1)MFR JIS K6758(230℃、2.16kg荷重)に
準拠して測定した。 (2)融解温度 示差走査熱量計(DSCセイコ−電子工業(株)製RD
C220)を用い、サンプル5mgを窒素気流下、20
0℃で一度溶融し、10℃/minで40℃まで降温し
て固化させた後、10℃/minで昇温するときに得ら
れるDSC曲線において、80〜180℃の温度範囲で
ベースラインを引き、これから積分して得られる融解エ
ンタルピーΔHを求め、この融解エンタルピーが50%
を示す温度(1/2・ΔH)を融解温度Tmとした。 (3)極限粘度[η] 毛管粘度計を使用し135℃、テトラリン溶媒で測定し
た。
【0026】(4)複屈折率 偏光顕微鏡にてコンペンセータを用いて測定したリター
デーションから、フィルムの長手方向と幅方向の屈折率
をそれぞれnMDとnTDとした場合の、|nTD−nMD|で
あらわされる複屈折率を測定した。 (5)破断点強度 JIS K6782に準拠して、幅15mmのフィルム
をつかみ間100mm、引張速度200mm/minで
引張試験を行い、破断点強度を測定した。
【0027】(6)HAZE JIS K7105に準拠して、フィルム1枚のHAZ
Eを測定した。 (7)引張弾性率(ヤング率) ISO R1184に準拠して、幅15mmのフィルム
をつかみ間100mm、引張速度1mm/minにて引
張り、フィルムの引張弾性率(ヤング率)を測定した。
【0028】(8)手切れ性 手切れ性の評価は、フィルムを手で切るテストを10回
行い、切れた回数から以下の様に表現した。 9回以上切れる場合を ◎ 7〜8回切れる場合を ○ 2〜6回切れる場合を △ 0〜1回きれる場合を ×
【0029】(9)フィルムの厚みムラ 平均厚み(La) フィルム1m2の重さを量り、JIS K7112に準
じて測定したフィルム密度で除して、平均厚み(μm)
とした。 最大厚みと最小厚みの差(ΔLa) フィルムを10mm幅に切り取り、そのフィルム断面を
10mm幅全体に渡り光学顕微鏡、又は電子顕微鏡にて
観察する。400倍の倍率で幅10mm全体を分割して
写真に撮影する。その中で一番厚いところと、薄いとこ
ろを写真から読みとりそれぞれ最大厚み(μm)、最小
厚み(μm)とし、その差をΔL(μm)とした。同様
にして、任意の部分9箇所につきそれぞれΔLを求め、
その平均値をΔLaとした。 厚みムラ(L) 厚みムラは上記から求めたLaとから求めたΔLa
とから以下式で求めた。 厚みムラ(L)=(ΔLa/2La)×100 (%)
【0030】(実施例1)ポリプロピレン系樹脂Aとし
てMFRが2.2g/10分のポリプロピレンホモポリ
マー(融解温度157.8℃)を、ポリプロピレン系樹
脂Bとして極限粘度[η]が2.38(MFRが1.9
g/10分)、エチレン含量3.3重量%のプロピレン
ーエチレンランダム共重合体(融解温度139.0℃)
を使用し、3つの押出機からなる3樹脂3層が可能なT
型ダイスから押出して樹脂A/樹脂B/樹脂Aからなる
3層シートを成形した。続いてロールの周速差を利用し
て、延伸温度130℃にて長手方向に5.5倍延伸し、
さらにテンターにて延伸温度168℃にて幅方向に10
倍延伸し、160℃にて熱セットして厚さ5μ/25μ
/5μの3層積層フィルムを得た。各種物性を表−1に
示す。得られたフィルムは外観が良好で、手切れ性に優
れたフィルムであった。
【0031】(実施例2、比較例1)実施例1の樹脂A
/樹脂B/樹脂Aの厚み構成を表−1記載のように変更
した以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。 (実施例3)実施例1のポリプロピレン樹脂Bとして極
限粘度[η]が2.43(MFRが1.7g/10
分)、エチレン含有量が2.4%のプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体(融解温度146.3℃)を使用し
た以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
【0032】(比較例2)実施例1のポリプロピレン樹
脂Bとして極限粘度[η]が2.34(MFRが2.1
g/10分)、エチレン含有量が1.0%のプロピレン
−エチレン共重合体(融解温度153.5℃)を使用し
た以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。 (実施例4)実施例1のポリプロピレン樹脂Bとして極
限粘度[η]が2.32(MFRが2.2g/10
分)、エチレン含有量が3.3%のプロピレン−エチレ
ンランダム共重合体(融解温度139.0℃)85%と
石油樹脂(アルコンP125)15%の混合物を使用し
た以外は実施例1と同様に積層フィルムを得た。
【0033】(比較例3、4、5)実施例2のオーブン
内のヨコ延伸温度を表−2記載のように変更した以外
は、実施例2と同様に積層フィルムを得た。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】(実施例5)実施例1の積層フィルムの製
造において、3層シートを成形した後、長手方向に5.
5倍延伸した直後に、1つの押出機からなるT型ダイス
から樹脂Cを押し出して、5.5倍延伸された3層シー
トと積層したこと以外は実施例1と同様にテンターで延
伸、熱セットして、5μ/25μ/5μ/2μ(樹脂
C)の4層積層フィルムを得た。この4層フィルムは実
施例1と同様に外観が良好で、手切れ性に優れ、さらに
片面ヒートシール性を有したフィルムであった。ここで
使用した樹脂Cは、三菱化学(株)製プロピレン−エチ
レン−ブテンランダム共重合体樹脂 SPX4400
(MFR6g/10分、融解温度130.8℃)であ
る。
【0037】(実施例6)実施例5の樹脂Cを樹脂Dに
変えた以外は実施例5と同様にして、5μ/25μ/5
μ/2μ(樹脂D)の4層積層フィルムを得た。この4
層フィルムは実施例1と同様な手切れ性を有し、さらに
良好な艶消し表面、鉛筆描画性を有していた。ここで使
用した樹脂Dは、三菱化学(株)製プロピレン−エチレ
ン−ブロック共重合体樹脂 BC4(MFR6.5g/
10分、融解温度157.2℃)に、微細炭酸カルシウ
ム(平均粒径1.5μ)を10wt%ブレンドしたもの
である。
【0038】
【発明の効果】本発明のフィルムは、従来セロファンが
使用されていたセロファンテープ、薬包装などの用途に
適し、従来のセロファンの問題点であった水分による寸
法変化、水蒸気バリア性が低いなどの問題を解決でき、
また、外観が良好で、更に従来、二軸延伸ポリプロピレ
ンフィルムや二軸延伸ポリエステルフィルムが使用され
ていた食品包装や繊維包装にも使用でき、手切れ性が良
好な、即ち易開封性を付与することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 (72)発明者 山原 三昭 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 伊藤 公一 愛知県海部郡大治町大字西条字笠見立 二 村化学工業株式会社内 (72)発明者 黒瀬 富士夫 愛知県海部郡大治町大字西条字笠見立 二 村化学工業株式会社内 (72)発明者 榎田 元博 愛知県海部郡大治町大字西条字笠見立 二 村化学工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン単独重合体またはプロピレン
    共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層
    (I)およびプロピレン共重合体を主成分とするプロピ
    レン系樹脂Bからなる層(II)とが、(I)/(I
    I)/(I)の順序に積層され、かつ、2軸延伸工程に
    付して得られた積層フィルムであって、該プロピレン系
    樹脂Bの135℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]
    が1.5を越え3.5以下であり、プロピレン系樹脂A
    の融解温度TmAとプロピレン系樹脂Bの融解温度TmB
    ΔTm =TmA−TmB≧5℃の関係にあり、該積層フィル
    ムの長手方向と幅方向の複屈折率が10×10-3以下で
    あり、長手方向の引張破断点強度が100kg/cm2
    以上1000kg/cm2 以下であり、かつ該積層フィ
    ルムの厚みムラが8%以下である、プロピレン系樹脂積
    層フィルム。
  2. 【請求項2】 プロピレン系樹脂Aがプロピレン単独重
    合体または融解温度が154℃以上のプロピレン−エチ
    レンランダム共重合体であり、プロピレン系樹脂Bがプ
    ロピレン−エチレンおよび/またはブテン−1ランダム
    共重合体である請求項1記載のプロピレン系樹脂積層フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 プロピレン系樹脂AのJIS−K675
    8(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され
    たメルトフローレートが、0.5〜30g/10分の範
    囲である請求項1または2記載のプロピレン系樹脂積層
    フィルム。
  4. 【請求項4】 積層フィルムの長手方向のヤング率が7
    000kg/cm2以上、幅方向のヤング率が1000
    0kg/cm2 以上である請求項1〜3のいずれか1項
    記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
  5. 【請求項5】 積層フィルムの幅方向の引張破断点強度
    が100kg/cm 2 以上1200kg/cm2 以下で
    ある請求項1〜4のいずれか1項記載のプロピレン系樹
    脂積層フィルム。
  6. 【請求項6】 プロピレン系樹脂Aからなる層(I)の
    合計厚みが15μ以下である請求項1〜5のいずれか1
    項記載のプロピレン系樹脂積層フィルム。
  7. 【請求項7】 プロピレン単独重合体またはプロピレン
    共重合体を主成分とするプロピレン系樹脂Aからなる層
    (I)および該樹脂Aより低い融解温度を有しかつ13
    5℃、テトラリン溶媒での極限粘度[η]が1.5を越
    え3.5以下のプロピレン共重合体を主成分とするプロ
    ピレン系樹脂Bからなる層(II)とを、(I)/(I
    I)/(I)の順序に積層したシートを2軸延伸工程に
    付してプロピレン系樹脂積層フィルムを製造する方法に
    おいて、該シートを長手方向の延伸工程に付したのち、
    幅方向の延伸工程に付す際に、該幅方向の延伸工程をプ
    ロピレン系樹脂Aの融解温度以上の雰囲気の温度で実施
    することを特徴とするプロピレン系樹脂積層フィルムの
    製造方法。
  8. 【請求項8】 長手方向の延伸倍率が3〜8倍であり、
    幅方向の延伸倍率が5〜12倍である請求項7記載のプ
    ロピレン系樹脂積層フィルムの製造方法。
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