JPH09217832A - ピストンリング - Google Patents
ピストンリングInfo
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- JPH09217832A JPH09217832A JP2445796A JP2445796A JPH09217832A JP H09217832 A JPH09217832 A JP H09217832A JP 2445796 A JP2445796 A JP 2445796A JP 2445796 A JP2445796 A JP 2445796A JP H09217832 A JPH09217832 A JP H09217832A
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- piston ring
- piston
- lubricating oil
- cylinder
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明はピストンリングに関し、ピストンリ
ングの幅を増大させることなく燃焼室への潤滑油の流入
を抑制することが可能なピストンリングを提供すること
を目的とする。 【解決手段】 ピストンリング40の外周面には環状溝
48が形成されて2つの環状の凸部50、52が形成さ
れている。クランク室側の凸部52には環状溝48とピ
ストンリング40のクランク室側とを連通する切り欠き
部54が設けられている。切り欠き部54により、環状
溝48はピストンリング40の油溜まりとして機能して
ピストンリング40直下でのオイル圧上昇が抑制され、
燃焼室へのオイル漏れが抑制される。切り欠き部54の
側面が傾斜されることにより、ピストンの下降時にピス
トンリングに回転方向の力が作用し、ピストンリング4
0に偏摩耗が生ずることが防止されている。
ングの幅を増大させることなく燃焼室への潤滑油の流入
を抑制することが可能なピストンリングを提供すること
を目的とする。 【解決手段】 ピストンリング40の外周面には環状溝
48が形成されて2つの環状の凸部50、52が形成さ
れている。クランク室側の凸部52には環状溝48とピ
ストンリング40のクランク室側とを連通する切り欠き
部54が設けられている。切り欠き部54により、環状
溝48はピストンリング40の油溜まりとして機能して
ピストンリング40直下でのオイル圧上昇が抑制され、
燃焼室へのオイル漏れが抑制される。切り欠き部54の
側面が傾斜されることにより、ピストンの下降時にピス
トンリングに回転方向の力が作用し、ピストンリング4
0に偏摩耗が生ずることが防止されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピストンリングに
係わり、特に、内燃機関のピストンとシリンダとの間の
ガスシール及びオイルシールを行なうピストンリングに
関する。
係わり、特に、内燃機関のピストンとシリンダとの間の
ガスシール及びオイルシールを行なうピストンリングに
関する。
【0002】
【従来の技術】レシプロ型内燃機関においては、シリン
ダ内の燃焼室の燃焼圧によりピストンがシリンダ内を往
復運動することにより機械的な出力が得られる。ピスト
ンとシリンダとの間のシールが不十分であると、燃焼室
内の気体が流出して所望の燃焼圧が得られず、また、過
大な量の潤滑油が燃焼室に侵入して燃焼され、潤滑油の
消費量が不当に多量となる等の問題が生ずる。
ダ内の燃焼室の燃焼圧によりピストンがシリンダ内を往
復運動することにより機械的な出力が得られる。ピスト
ンとシリンダとの間のシールが不十分であると、燃焼室
内の気体が流出して所望の燃焼圧が得られず、また、過
大な量の潤滑油が燃焼室に侵入して燃焼され、潤滑油の
消費量が不当に多量となる等の問題が生ずる。
【0003】かかる問題を防止するため、内燃機関等の
ピストンの外周面にはピストンリングが装着される。ピ
ストンリングは燃焼室の気密性を保つと共に、シリンダ
内壁に付着した潤滑油が燃焼室に侵入して潤滑油が過度
に消費されることを防止する機能を有している。このよ
うなピストンリングとして、例えば特開平6−2650
20号に開示されるピストンリングが知られている。上
記従来のピストンリングは、その外周面にシリンダ内周
面と接触する2つの環状の凸部を備えている。ピストン
が上死点から下死点に向けて移動する際、これら2つの
凸部のクランク室側のコーナ部により、シリンダ内壁に
付着した潤滑油が掻き落とされる。上記従来のピストン
リングにおいては、クランク室側の凸部のクランク室側
の部位にアンダカットを設けることで、ピストンリング
直下に掻き集められた潤滑油の圧力が上昇することを抑
制し、これにより、潤滑油が燃焼室に侵入することを防
止している。
ピストンの外周面にはピストンリングが装着される。ピ
ストンリングは燃焼室の気密性を保つと共に、シリンダ
内壁に付着した潤滑油が燃焼室に侵入して潤滑油が過度
に消費されることを防止する機能を有している。このよ
うなピストンリングとして、例えば特開平6−2650
20号に開示されるピストンリングが知られている。上
記従来のピストンリングは、その外周面にシリンダ内周
面と接触する2つの環状の凸部を備えている。ピストン
が上死点から下死点に向けて移動する際、これら2つの
凸部のクランク室側のコーナ部により、シリンダ内壁に
付着した潤滑油が掻き落とされる。上記従来のピストン
リングにおいては、クランク室側の凸部のクランク室側
の部位にアンダカットを設けることで、ピストンリング
直下に掻き集められた潤滑油の圧力が上昇することを抑
制し、これにより、潤滑油が燃焼室に侵入することを防
止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、上記従来
のピストンリングは2つの環状の凸部を備えており、そ
の間には環状の凹部が形成されている。かかる凹部は上
述の如きピストンリングの機能になんら寄与するもので
なく、従って、ピストンリングの軸方向の幅が凹部の幅
だけ不要に増大されていることになる。更に、上記従来
のピストンリングにおいては、クランク室側の凸部にア
ンダカットが設けられるので、凸部の剛性が維持される
ためには凸部の幅はアンダカットを設けない場合に比し
て大きくされなければならない。このように、上記従来
のピストンリングは、2つの凸部間の凹部、及びアンダ
カット部が形成されるために、ピストンリングの軸方向
の幅を必要以上に大きくしなければならないという問題
を有していた。
のピストンリングは2つの環状の凸部を備えており、そ
の間には環状の凹部が形成されている。かかる凹部は上
述の如きピストンリングの機能になんら寄与するもので
なく、従って、ピストンリングの軸方向の幅が凹部の幅
だけ不要に増大されていることになる。更に、上記従来
のピストンリングにおいては、クランク室側の凸部にア
ンダカットが設けられるので、凸部の剛性が維持される
ためには凸部の幅はアンダカットを設けない場合に比し
て大きくされなければならない。このように、上記従来
のピストンリングは、2つの凸部間の凹部、及びアンダ
カット部が形成されるために、ピストンリングの軸方向
の幅を必要以上に大きくしなければならないという問題
を有していた。
【0005】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、ピストンリングの幅を不必要に大きくすること
なく潤滑油の燃焼室への侵入を抑制しうるピストンリン
グを提供することを目的とする。
であり、ピストンリングの幅を不必要に大きくすること
なく潤滑油の燃焼室への侵入を抑制しうるピストンリン
グを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
記載の如く、外周面に2つの環状の凸部を備えたピスト
ンリングにおいて、前記2つの凸部間の凹部と該ピスト
ンリングのクランク室側とを連通する連通路を備えたピ
ストンリングにより達成される。
記載の如く、外周面に2つの環状の凸部を備えたピスト
ンリングにおいて、前記2つの凸部間の凹部と該ピスト
ンリングのクランク室側とを連通する連通路を備えたピ
ストンリングにより達成される。
【0007】請求項1記載の発明において、2つの凸部
のうちの燃焼室側の凸部により掻き落とされたシリンダ
内壁上の潤滑剤は、2つの凸部間の凹部に集められる。
2つの凸部間の凹部とピストンリングのクランク室側と
が連通路により連通されている。このため、凹部に集め
られた潤滑剤はクランク室側へ流出しうる。このよう
に、2つの凸部により潤滑油を掻き落とす効果を保ちつ
つ、クランク室側の凸部に連通路を形成することで、潤
滑油が燃料室へ流入するのが防止される。また、2つの
凸部間の凹部及び連通路は、ピストンが上死点から下死
点に向けて移動する際の油溜まりとして機能する。これ
により、クランク室側の凸部にアンダカットを設けるこ
となく、ピストンリングの直下での潤滑油の圧力が低下
される。このため、ピストンリング40の軸方向の幅を
不必要に増大させることなく、潤滑油の燃焼室への流入
が抑制される。
のうちの燃焼室側の凸部により掻き落とされたシリンダ
内壁上の潤滑剤は、2つの凸部間の凹部に集められる。
2つの凸部間の凹部とピストンリングのクランク室側と
が連通路により連通されている。このため、凹部に集め
られた潤滑剤はクランク室側へ流出しうる。このよう
に、2つの凸部により潤滑油を掻き落とす効果を保ちつ
つ、クランク室側の凸部に連通路を形成することで、潤
滑油が燃料室へ流入するのが防止される。また、2つの
凸部間の凹部及び連通路は、ピストンが上死点から下死
点に向けて移動する際の油溜まりとして機能する。これ
により、クランク室側の凸部にアンダカットを設けるこ
となく、ピストンリングの直下での潤滑油の圧力が低下
される。このため、ピストンリング40の軸方向の幅を
不必要に増大させることなく、潤滑油の燃焼室への流入
が抑制される。
【0008】また、上記の目的は請求項2記載の如く、
請求項1記載のピストンリングにおいて、前記連通路
が、前記2つの凸部のうちのクランク室側の凸部に切り
欠きを形成することにより設けられると共に該連通路に
圧力が作用した際に前記ピストンリングに軸回りの回転
方向の分力が作用するように構成されたピストンリング
によっても達成される。
請求項1記載のピストンリングにおいて、前記連通路
が、前記2つの凸部のうちのクランク室側の凸部に切り
欠きを形成することにより設けられると共に該連通路に
圧力が作用した際に前記ピストンリングに軸回りの回転
方向の分力が作用するように構成されたピストンリング
によっても達成される。
【0009】請求項2記載の発明において、連通路はク
ランク室側の凸部に形成されている。このため、シリン
ダが上死点から下死点に向けて移動する際、シリンダ内
壁に付着した潤滑剤は連通路に進入し、潤滑剤の圧力が
連通路に作用する。連通路は、圧力が作用した際にピス
トンリングに回転方向の分力が作用するように構成され
ている。従って、シリンダが上死点から下死点に向けて
移動する際、かかる回転方向の分力によりピストンリン
グは回転される。
ランク室側の凸部に形成されている。このため、シリン
ダが上死点から下死点に向けて移動する際、シリンダ内
壁に付着した潤滑剤は連通路に進入し、潤滑剤の圧力が
連通路に作用する。連通路は、圧力が作用した際にピス
トンリングに回転方向の分力が作用するように構成され
ている。従って、シリンダが上死点から下死点に向けて
移動する際、かかる回転方向の分力によりピストンリン
グは回転される。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明のピストンリングが
装着される車載用内燃機関のピストン20の斜視図を示
す。図1に示す如く、ピストン20はシリンダ22の内
部に摺動可能に配設されている。シリンダ22とピスト
ン20との間に形成される空間は燃焼室26として機能
する。ピストン20は燃焼室26の爆発および圧縮に応
じて往復運動を行なう。ピストン20の外周部には3つ
のピストンリング30、32、34が装着されている。
これらピストンリング30、32、34が装着されるこ
とにより、燃焼室26に発生する高圧ガスがシリンダ2
2のクランク室側(図1中下側)に漏洩することが防止
されると共に、ピストン20が下死点に向けて移動する
際に、これらピストンリング30、32、34によって
シリンダ内壁36に付着した潤滑油が掻き落とされるこ
とにより、過大な量の潤滑油が燃焼室内に侵入すること
が防止されている。
装着される車載用内燃機関のピストン20の斜視図を示
す。図1に示す如く、ピストン20はシリンダ22の内
部に摺動可能に配設されている。シリンダ22とピスト
ン20との間に形成される空間は燃焼室26として機能
する。ピストン20は燃焼室26の爆発および圧縮に応
じて往復運動を行なう。ピストン20の外周部には3つ
のピストンリング30、32、34が装着されている。
これらピストンリング30、32、34が装着されるこ
とにより、燃焼室26に発生する高圧ガスがシリンダ2
2のクランク室側(図1中下側)に漏洩することが防止
されると共に、ピストン20が下死点に向けて移動する
際に、これらピストンリング30、32、34によって
シリンダ内壁36に付着した潤滑油が掻き落とされるこ
とにより、過大な量の潤滑油が燃焼室内に侵入すること
が防止されている。
【0011】以下、図2〜図7を参照して本発明の一実
施例であるピストンリング40の構成について説明す
る。なお、ピストンリング40は図1のピストンリング
30、32、34のいずれにも好適に用いることができ
る。図2はピストンリング40の上面図を示す。図2に
示す如く、ピストンリング40は環状の鋳鉄製部材であ
り、その一部が切断除去されて切り口42が形成されて
いる。切り口42が形成されることにより、ピストンリ
ング40がシリンダ22に装着された際に、温度上昇に
より膨張して変形や損傷を受けることが防止されてい
る。
施例であるピストンリング40の構成について説明す
る。なお、ピストンリング40は図1のピストンリング
30、32、34のいずれにも好適に用いることができ
る。図2はピストンリング40の上面図を示す。図2に
示す如く、ピストンリング40は環状の鋳鉄製部材であ
り、その一部が切断除去されて切り口42が形成されて
いる。切り口42が形成されることにより、ピストンリ
ング40がシリンダ22に装着された際に、温度上昇に
より膨張して変形や損傷を受けることが防止されてい
る。
【0012】図3には図2に示す直線III −III に沿っ
て切断した際の断面図を示す。図3に示す如く、ピスト
ンリング40の外周面には環状溝48が設けられてお
り、環状溝48の両側に凸部50、52が形成されてい
る。凸部50、52の外周面はいずれも、クランク室側
(図3中下側)ほど径が大きくなるようなテーパ形状に
形成されている。図4には図2に示す直線IV−IVに沿っ
て切断した際の断面図を示す。図4に示す如く、図2に
示す直線IV−IVに沿った断面においては、クランク室側
(図4中下側)の凸部52は切除されて切り欠き部54
が形成されている。図2に示す如く、切り欠き部54は
ピストンリング40の周方向に略等間隔で7箇所に設け
られている。
て切断した際の断面図を示す。図3に示す如く、ピスト
ンリング40の外周面には環状溝48が設けられてお
り、環状溝48の両側に凸部50、52が形成されてい
る。凸部50、52の外周面はいずれも、クランク室側
(図3中下側)ほど径が大きくなるようなテーパ形状に
形成されている。図4には図2に示す直線IV−IVに沿っ
て切断した際の断面図を示す。図4に示す如く、図2に
示す直線IV−IVに沿った断面においては、クランク室側
(図4中下側)の凸部52は切除されて切り欠き部54
が形成されている。図2に示す如く、切り欠き部54は
ピストンリング40の周方向に略等間隔で7箇所に設け
られている。
【0013】図5には切り欠き部54をピストンリング
40の径方向外側から見た図を示す。また、図6には図
5の切り欠き部54の拡大図を示す。図5に示す如く、
切り欠き部54が形成されることにより、環状溝48と
ピストンリング40のクランク室側(図5中下側)底面
とが連通されている。また、図6に示す如く、切り欠き
部54は、その側面がピストンリング40の軸方向に対
して所定の角度αで傾斜するように形成されている。
40の径方向外側から見た図を示す。また、図6には図
5の切り欠き部54の拡大図を示す。図5に示す如く、
切り欠き部54が形成されることにより、環状溝48と
ピストンリング40のクランク室側(図5中下側)底面
とが連通されている。また、図6に示す如く、切り欠き
部54は、その側面がピストンリング40の軸方向に対
して所定の角度αで傾斜するように形成されている。
【0014】ところで、内燃機関の潤滑油はクランク軸
の下方に設けられたオイルバンに蓄えられており、クラ
ンク軸及びコンロッドに設けられたオイル通路を介して
シリンダ22内に供給される。これらオイル通路は、ピ
ストン20が上死点付近にある状態でのみ潤滑油がシリ
ンダ22内に供給されるように構成されている。このた
め、ピストン20が上死点に位置する状態では、シリン
ダ内壁36のピストンリング40よりクランク室側の部
位には多量の潤滑油が付着している。
の下方に設けられたオイルバンに蓄えられており、クラ
ンク軸及びコンロッドに設けられたオイル通路を介して
シリンダ22内に供給される。これらオイル通路は、ピ
ストン20が上死点付近にある状態でのみ潤滑油がシリ
ンダ22内に供給されるように構成されている。このた
め、ピストン20が上死点に位置する状態では、シリン
ダ内壁36のピストンリング40よりクランク室側の部
位には多量の潤滑油が付着している。
【0015】上述の如きピストンリング40の構成によ
れば、ピストンリング40がシリンダ22に装着される
と、凸部50及び52の先端部がシリンダ内壁36に接
触する。そして、ピストン20がシリンダ22内を往復
運動すると、凸部50及び52の先端部がシリンダ内壁
36に接触した状態で摺動する。ピストン20が上死点
から下死点に向けて移動する際には、凸部50及び52
の先端部が、上述の如くシリンダ内壁36に付着した潤
滑油を掻き落としながら、適切な厚みの潤滑油膜を形成
する。これにより、ピストン20とシリンダ内壁36と
の間の適切な潤滑効果が得られると共に、過大な量の潤
滑油が燃焼室26に流入して不当に多量の潤滑油が消費
されることが防止されている。この場合、潤滑油が凸部
50及び52の2か所で掻き落とされることにより、潤
滑油の燃焼室26への流入を防止する効果が高められて
いる。
れば、ピストンリング40がシリンダ22に装着される
と、凸部50及び52の先端部がシリンダ内壁36に接
触する。そして、ピストン20がシリンダ22内を往復
運動すると、凸部50及び52の先端部がシリンダ内壁
36に接触した状態で摺動する。ピストン20が上死点
から下死点に向けて移動する際には、凸部50及び52
の先端部が、上述の如くシリンダ内壁36に付着した潤
滑油を掻き落としながら、適切な厚みの潤滑油膜を形成
する。これにより、ピストン20とシリンダ内壁36と
の間の適切な潤滑効果が得られると共に、過大な量の潤
滑油が燃焼室26に流入して不当に多量の潤滑油が消費
されることが防止されている。この場合、潤滑油が凸部
50及び52の2か所で掻き落とされることにより、潤
滑油の燃焼室26への流入を防止する効果が高められて
いる。
【0016】更に、上述の如く環状溝48とピストンリ
ング40のクランク室側とを連通する切り欠き部54が
形成されている。このため、ピストン20が上死点から
下死点に向けて移動する際、環状溝48及び切り欠き部
54は油溜まりとして機能し、ピストンリング40の直
下における潤滑油の圧力が低下される。これにより、潤
滑油の燃料室26への流入を防止する効果が更に高めら
れている。
ング40のクランク室側とを連通する切り欠き部54が
形成されている。このため、ピストン20が上死点から
下死点に向けて移動する際、環状溝48及び切り欠き部
54は油溜まりとして機能し、ピストンリング40の直
下における潤滑油の圧力が低下される。これにより、潤
滑油の燃料室26への流入を防止する効果が更に高めら
れている。
【0017】上述の如く、ピストンが下死点に位置する
場合には、シリンダ内壁36には適切な厚みの潤滑油膜
が形成されている。従って、ピストン20が下死点から
上死点に向けて移動する際には、かかる潤滑油膜を掻き
落とすことなくピストンリング40とシリンダ内壁36
とが摺動しなければならない。これに対して、本実施例
のピストンリング40は、その凸部50、52の外周面
がクランク室側ほど径が大きくなるようなテーパ状に形
成されている。このため、凸部50、52の外周面とシ
リンダ内壁36との間でのくさび効果により、凸部5
0、52がシリンダ内壁36に形成された潤滑油膜を掻
き落とすことが抑制されている。これにより、ピストン
20が下死点から上死点に向けて移動する際にも、シリ
ンダ内壁36に付着した潤滑油が燃焼室26に流入する
ことが防止されている。
場合には、シリンダ内壁36には適切な厚みの潤滑油膜
が形成されている。従って、ピストン20が下死点から
上死点に向けて移動する際には、かかる潤滑油膜を掻き
落とすことなくピストンリング40とシリンダ内壁36
とが摺動しなければならない。これに対して、本実施例
のピストンリング40は、その凸部50、52の外周面
がクランク室側ほど径が大きくなるようなテーパ状に形
成されている。このため、凸部50、52の外周面とシ
リンダ内壁36との間でのくさび効果により、凸部5
0、52がシリンダ内壁36に形成された潤滑油膜を掻
き落とすことが抑制されている。これにより、ピストン
20が下死点から上死点に向けて移動する際にも、シリ
ンダ内壁36に付着した潤滑油が燃焼室26に流入する
ことが防止されている。
【0018】このように、本実施例のピストンリング4
0においては、凸部50及び52により潤滑油を掻き落
とす効果を保ちつつ、クランク室側の凸部52に切り欠
き部54を形成することで、潤滑油が燃焼室26へ流入
するのを効果的に防止している。この場合、上述の如く
環状溝48及び切り欠き部54がピストンリング40の
直下での潤滑油の圧力を低下させる効果を有すること
で、凸部52にアンダカットを設けることが不要とされ
ている。従って、ピストンリング40の軸方向の幅を不
必要に増大させることなく、潤滑油の燃焼室26への流
入を抑制することが可能とされている。
0においては、凸部50及び52により潤滑油を掻き落
とす効果を保ちつつ、クランク室側の凸部52に切り欠
き部54を形成することで、潤滑油が燃焼室26へ流入
するのを効果的に防止している。この場合、上述の如く
環状溝48及び切り欠き部54がピストンリング40の
直下での潤滑油の圧力を低下させる効果を有すること
で、凸部52にアンダカットを設けることが不要とされ
ている。従って、ピストンリング40の軸方向の幅を不
必要に増大させることなく、潤滑油の燃焼室26への流
入を抑制することが可能とされている。
【0019】ところで、シリンダ22内には、燃料の燃
焼によって生ずるカーボン生成物や有鉛燃料に含有され
る鉛成分等の微細な固体の異物が存在する。これら異物
がピストンリング40とシリンダ内壁36との間に侵入
すると、侵入部位において油膜切れや局部的な圧力増大
などが生ずる。かかる現象が生ずると、ピストンリング
40のシリンダ内壁36との摺動面に局部的な摩耗の進
行や焼き付きが生ずることがある。
焼によって生ずるカーボン生成物や有鉛燃料に含有され
る鉛成分等の微細な固体の異物が存在する。これら異物
がピストンリング40とシリンダ内壁36との間に侵入
すると、侵入部位において油膜切れや局部的な圧力増大
などが生ずる。かかる現象が生ずると、ピストンリング
40のシリンダ内壁36との摺動面に局部的な摩耗の進
行や焼き付きが生ずることがある。
【0020】これに対して、本実施例のピストンリング
40においては、図6に示す如く、切り欠き部54の側
面がピストン20の軸方向に対して所定の角度αで傾斜
されている。このため、ピストン20が上死点から下死
点に向けて移動する際に、切り欠き部54の図6中左側
の側面には、該側面が潤滑油を掻き落とす力の反力とし
て圧力Pが作用する。かかる力Pは、図6に示す如く、
ピストンリング40の周方向の成分P1 を有している。
かかる周方向の成分P1 により、ピストンリング40
は、ピストン20が上死点から下死点に向けて移動する
際に回転されることになる。このようにピストンリング
40が強制的に回転されることにより、ピストンリング
40とシリンダ内壁36との間に異物が侵入した場合に
も、ピストンリング40に局部的な摩耗が進行すること
が防止されている。なお、上記実施例のピストンリング
40においては、切り欠き部54の両側面を傾斜させる
こととしたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、図7に示す如く、ピストン20が上死点から下死点
に向けて移動する際に潤滑油からの反力が作用する側の
側面(図7においては左側面)のみを傾斜させても上記
と同様の効果を得ることができる。
40においては、図6に示す如く、切り欠き部54の側
面がピストン20の軸方向に対して所定の角度αで傾斜
されている。このため、ピストン20が上死点から下死
点に向けて移動する際に、切り欠き部54の図6中左側
の側面には、該側面が潤滑油を掻き落とす力の反力とし
て圧力Pが作用する。かかる力Pは、図6に示す如く、
ピストンリング40の周方向の成分P1 を有している。
かかる周方向の成分P1 により、ピストンリング40
は、ピストン20が上死点から下死点に向けて移動する
際に回転されることになる。このようにピストンリング
40が強制的に回転されることにより、ピストンリング
40とシリンダ内壁36との間に異物が侵入した場合に
も、ピストンリング40に局部的な摩耗が進行すること
が防止されている。なお、上記実施例のピストンリング
40においては、切り欠き部54の両側面を傾斜させる
こととしたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、図7に示す如く、ピストン20が上死点から下死点
に向けて移動する際に潤滑油からの反力が作用する側の
側面(図7においては左側面)のみを傾斜させても上記
と同様の効果を得ることができる。
【0021】また、本実施例のピストンリング40は、
外周面に2つの凸部50、52を有する通常のピストン
リングの一方の凸部52に切り欠きを形成することのみ
により製造することができる。このため、ピストンリン
グ40の加工は容易であり、また、部品を付加する必要
もない。これにより、ピストンリング40の製造コスト
は抑制され、また、付加的な部品が設けられないこと
で、ピストンリング40の信頼性も向上されている。
外周面に2つの凸部50、52を有する通常のピストン
リングの一方の凸部52に切り欠きを形成することのみ
により製造することができる。このため、ピストンリン
グ40の加工は容易であり、また、部品を付加する必要
もない。これにより、ピストンリング40の製造コスト
は抑制され、また、付加的な部品が設けられないこと
で、ピストンリング40の信頼性も向上されている。
【0022】また、ピストンリング40の外周面にはシ
リンダ内壁36との摺動に伴って軸方向の摩擦力が作用
する。このため、ピストンリング40の凸部50、52
の剛性が低いと、ピストン20の移動時に、かかる摩擦
力により凸部50、52が変形することがある。凸部5
0、52が変形すると、ピストンリング40とシリンダ
内壁36との間に隙間が生じて潤滑油が燃焼室へ侵入し
たり、あるいは、ピストンリング40とシリンダ内壁3
6との間の圧力が局部的に上昇して、局部的な摩耗や焼
きつきが生じたりすることがある。
リンダ内壁36との摺動に伴って軸方向の摩擦力が作用
する。このため、ピストンリング40の凸部50、52
の剛性が低いと、ピストン20の移動時に、かかる摩擦
力により凸部50、52が変形することがある。凸部5
0、52が変形すると、ピストンリング40とシリンダ
内壁36との間に隙間が生じて潤滑油が燃焼室へ侵入し
たり、あるいは、ピストンリング40とシリンダ内壁3
6との間の圧力が局部的に上昇して、局部的な摩耗や焼
きつきが生じたりすることがある。
【0023】これに対して、本実施例のピストンリング
40においては、切り欠き部54がピストンリング40
の周方向の数カ所に設けられているのみであるため、切
り欠きが全周にわたって形成された場合に比して、凸部
50、52の剛性が向上されている。これにより、上述
の如き潤滑油の燃焼室への侵入や局部的な摩耗の進行が
生ずることが抑制されている。
40においては、切り欠き部54がピストンリング40
の周方向の数カ所に設けられているのみであるため、切
り欠きが全周にわたって形成された場合に比して、凸部
50、52の剛性が向上されている。これにより、上述
の如き潤滑油の燃焼室への侵入や局部的な摩耗の進行が
生ずることが抑制されている。
【0024】更に、ピストンリング40においては、切
り欠き部54の個数,位置、及び、側面の傾斜角αを自
由に設定することができる。このため、切り欠き部54
に関するこれらパラメータを変更することにより、ピス
トンリング40の油シール特性や作動時に作用する強制
回転力を最適状態に設定することができる。
り欠き部54の個数,位置、及び、側面の傾斜角αを自
由に設定することができる。このため、切り欠き部54
に関するこれらパラメータを変更することにより、ピス
トンリング40の油シール特性や作動時に作用する強制
回転力を最適状態に設定することができる。
【0025】なお、上記実施例においては、環状溝48
が上記した凹部に、切り欠き部54が上記した連通路
に、それぞれ相当している。
が上記した凹部に、切り欠き部54が上記した連通路
に、それぞれ相当している。
【0026】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、ピストンリングに凹部とピストンリングのクランク
室側とを連通する連通路を設けることにより、ピストン
リングの軸方向の幅を増大させることなく、潤滑油の燃
料室への流入を抑制する効果を向上させることができ
る。
ば、ピストンリングに凹部とピストンリングのクランク
室側とを連通する連通路を設けることにより、ピストン
リングの軸方向の幅を増大させることなく、潤滑油の燃
料室への流入を抑制する効果を向上させることができ
る。
【0027】また、請求項2記載の発明によれば、請求
項1記載の発明の効果に加えて、ピストンが下死点に向
けて移動する際にピストンリングを回転させることがで
きる。これにより、ピストンリングへの局部的な摩耗や
焼き付きの発生を防止することができる。
項1記載の発明の効果に加えて、ピストンが下死点に向
けて移動する際にピストンリングを回転させることがで
きる。これにより、ピストンリングへの局部的な摩耗や
焼き付きの発生を防止することができる。
【図1】本発明のピストンリングが装着される内燃機関
用ピストンの斜視図である。
用ピストンの斜視図である。
【図2】本発明の一実施例であるピストンリングの上面
図である。
図である。
【図3】本実施例のピストンリングを図2に示す直線II
I −III に沿って切断した際の断面図である。
I −III に沿って切断した際の断面図である。
【図4】本実施例のピストンリングを図2に示す直線IV
−IVに沿って切断した際の断面図である。
−IVに沿って切断した際の断面図である。
【図5】本実施例のピストンリングを図2に示す方向V
から見た際の側面図である。
から見た際の側面図である。
【図6】図5に示す切り欠き部の拡大図である。
【図7】本実施例のピストンリングの切り欠き部のもう
一つの例を示す図である。
一つの例を示す図である。
20 ピストン 22 シリンダ 36 シリンダ内壁 40 ピストンリング 48 環状溝 50、52 凸部 54 切り欠き部
Claims (2)
- 【請求項1】 外周面に2つの環状の凸部を備えたピス
トンリングにおいて、 前記2つの凸部間の凹部と該ピストンリングのクランク
室側とを連通する連通路を備えたことを特徴とするピス
トンリング。 - 【請求項2】 前記連通路は、前記2つの凸部のうちの
クランク室側の凸部に切り欠きを形成することにより設
けられると共に該連通路に圧力が作用した際に前記ピス
トンリングに回転方向の分力が作用するように構成され
たことを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2445796A JPH09217832A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2445796A JPH09217832A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | ピストンリング |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09217832A true JPH09217832A (ja) | 1997-08-19 |
Family
ID=12138703
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2445796A Pending JPH09217832A (ja) | 1996-02-09 | 1996-02-09 | ピストンリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09217832A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013076387A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Bando Kiko Co Ltd | 往復動エンジン |
-
1996
- 1996-02-09 JP JP2445796A patent/JPH09217832A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013076387A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Bando Kiko Co Ltd | 往復動エンジン |
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