JPH09114001A - プロジェクションスクリーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】スクリーンの半値角と正面輝度との関係を共に
高次元でバランスさせるために、プロジェクションスク
リーンを構成する投影画像光の進行する光拡散層の光拡
散特性を改良して、特に明るい視環境下でも、投影され
る拡大画像を、広い視野角によって明るくハイコントラ
ストで観視できるようにすることにある。 【解決手段】スクリーンの片側最表面に、凹凸形状の光
拡散面６ａを有する光拡散層５を備えたプロジェクショ
ンスクリーンにおいて、光拡散面６ａの凹凸形状高さが
３〜５０μｍ、凹凸形状ピッチが１０〜２００μｍに設
定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオプロジェク
ターなどの投影機器用のプロジェクションスクリーンに
おいて、特に明るい視環境下で投影した際に、拡大画像
を広い視野角を以て明るくハイコントラストで表示する
ことができるスクリーン特性を備えたプロジェクション
スクリーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、さまざまなビデオプロジェクター
が開発され、テレビ画像を、簡単に大型のプロジェクシ
ョンスクリーンに投影して楽しむことが可能になってき
ているが、外光の影響を受けないように部屋を暗くした
状態で使用する場合が多いが、最近は、比較的明るい部
屋においても観察できるスクリーンが開発されており、
各方面において使用されるようになってきている。

【０００３】上記スクリーンとしては、コントラスト
（映写画像のハイライト部とシャドウ部との濃度差）が
あって、より見やすい明るさをもったものが望まれ、ま
た、プロジェクションスクリーンに映し出された映像
を、大勢の人が見やすいコントラストと明るさをもって
観視できるように、そのスクリーン面は適正な光拡散特
性による良好な視野角をもっていることが望まれてい
る。

【０００４】上記プロジェクションスクリーンにおける
スクリーン面の光拡散特性は、スクリーン面に対して垂
直（正面）な光軸で入射してスクリーンの光拡散面で拡
散して射出する映像光の輝度（拡散輝度）が、正面（光
軸方向）に射出する映像光の輝度（正面輝度）に対して
１／２（半値）となる光軸とのなす角度（半値角）によ
って求められる。

【０００５】この半値角を広げることによって、大勢の
人が、スクリーンの両側からでも映像を観視できる広い
視野角をもったスクリーンとすることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スクリ
ーン面への投影光（光源）の照度を一定とすれば、一般
的に、半値角と正面輝度との関係は概略反比例するもの
であり、半値角を広げることによって、正面輝度（スク
リーンの総体的な輝度）は低下することになり、したが
って、この両者を、共に高次元でバランスさせること
は、非常に難しいことであった。

【０００７】本発明の課題は、スクリーンの半値角と正
面輝度との関係を共に高次元でバランスさせるために、
プロジェクションスクリーンを構成する投影画像光の進
行する光拡散層の光拡散特性を改良して、特に明るい視
環境下でも、投影される拡大画像を、広い視野角によっ
て明るくハイコントラストで観視できるようにすること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、スクリーンの
片側最表面に、凹凸形状の光拡散面６ａを有する光拡散
層５を備えたプロジェクションスクリーンにおいて、光
拡散面６ａの凹凸形状高さが３〜５０μｍ、凹凸形状ピ
ッチが１０〜２００μｍに設定されていることを特徴と
するプロジェクションスクリーンである。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明のプロジェクションスクリ
ーンを、実施の形態にしたがって以下に詳細に説明す
る。

【００１０】図１は、第１の実施の形態の反射型のプロ
ジェクションスクリーン１の側断面図であり、スクリー
ン１は、基材２の片面に、銀色の印刷インキ（アルミニ
ウム粉末により調色したインキ）にて印刷形成された
（あるいはアルミニウム蒸着やアルミニウム箔貼着によ
る）反射層３を備える。

【００１１】前記反射層３上には、必要に応じて偏光層
４を積層した後、透明な合成樹脂６（塗料、インキ、若
しくはフィルム）を、塗布若しくはラミネートして形成
した光拡散層５を備える。

【００１２】該光拡散層５は、図１に示すように、その
表面が微細な凹凸が形成されて光拡散面６ａとなってい
るか、又は光拡散面６ａを備えず、その層内に光拡散材
（カオリンなどの微粉末）を混入して光拡散性を付与し
たものである。なお、Ｌは画像投影光の入射、出射方向
を示す。

【００１３】前記光拡散層５は、有彩色若しくは無彩色
の透明性のある色材７（染料若しくは顔料、又はこれら
を混合した色材））により着色されていてもよい。

【００１４】必要に応じて積層する前記偏光層４は、ヨ
ウ素を吸着させたポリビニルアルコールフィルムからな
る偏光子の両面に接着材層を介して、この偏光子の支持
体（ベース層）となる一軸延伸処理したポリエチレンテ
レフタレートフィルムなどを貼り合わせたものである。
なお、偏光子の偏光軸方向（延伸軸方向）は、投影画像
の入射光軸と直交する方向の偏光軸に対して同一方向に
設定されている。

【００１５】図２は、第２の実施の形態における透過型
のプロジェクションスクリーン１１の側断面図である。

【００１６】スクリーン１１は、透明な基材１２の片面
に、必要に応じて偏光層４を積層した後、透明な合成樹
脂６（塗料、インキ、若しくはフィルム）を塗布若しく
はラミネートして形成した光拡散層５を備える。

【００１７】該光拡散層５は、図２に示すように、その
表面が微細な凹凸が形成されて光拡散面６ａとなってい
るか、又は光拡散面６ａを備えず、その層内に光拡散材
（カオリンなどの微粉末）を混入して光拡散性を付与し
たものである。なお、前記基材１２の片面は、グロス状
（平滑状）、マット状（微細凹凸状）のいずれでもよ
い。

【００１８】前記光拡散層５は、有彩色の透明性のある
色材７により着色されていてもよいし、また、基材１２
も、必要に応じて有彩色の透明な色材７により着色され
ていてもよい。

【００１９】図３は、本発明の第１又は第２の実施の形
態におけるプロジェクションスクリーンの光拡散層５の
表面に形成された凹凸形状の光拡散面６ａを示す拡大側
断面図であり、凹凸高さｈは、３〜５０μｍの範囲に設
定され、好ましくは１０μｍ以下に設定することが適当
であり、また凹凸ピッチｐは、１０〜２００μｍの範囲
であって、好ましくは１０〜１００μｍ、あるいは１０
〜２０μｍに設定することが適当である。

【００２０】スクリーン面に入射・射出する映像光は、
光拡散面６ａの各々凸状部（又は凹状部）によって拡散
して、スクリーン正面及びスクリーン面に正対する左右
方向から映像を観視できる。

【００２１】また、図３に示すように、光拡散面６ａの
各々凸状部（又は凹状部）表面も、微細な粗面を呈して
おり、入射・射出する映像光を、正面及び左右斜め方向
に拡散させるものである。

【００２２】図４（ａ）〜（ｃ）は、プロジェクション
スクリーンの光拡散面６ａの各種凹凸側面形状を模式的
に示すものである。

【００２３】（ａ）は、本発明のプロジェクションスク
リーンの光拡散面６ａの凹凸形状を模式的に示すもので
あり、凹凸高さｈと凹凸ピッチｐとの関係は、 （１／１０）ｐ≦ｈ≦（５／３）ｐ 程度に設定することにより、正面輝度を適正に維持しつ
つ、半値角を大きくすることができる。

【００２４】また、（ｂ）は、凹凸高さｈが凹凸ピッチ
ｐに対して極端に大き過ぎる形状の光拡散面であって、
凹凸高さｈと凹凸ピッチｐとの関係は、 （５／３）ｐ＜ｈ となって、光拡散効果が過剰となって大きい半値角は得
られるものの、正面輝度を低下させることになる。

【００２５】また、（ｃ）は、凹凸ピッチｐ、ｐ間に、
拡散効果の少ない平坦な形状面をもった光拡散面であっ
て、正面輝度は得られるものの、光拡散効果は十分に得
られず、したがって適正な半値角が得られない。

【００２６】

【実施例】以下、本発明のプロジェクションスクリーン
の具体的実施例を、以下に詳細に説明する。

【００２７】＜実施例１＞反射型のプロジェクションス
クリーン基材として、その表面がグロス状（平滑状）の
ポリエチレンテレフタレート製のシート（厚さ；２５μ
ｍ、又は２５〜３５μｍ、又は３５μｍ以上、２００〜
３００μｍ以下）を用いた。

【００２８】まず、前記基材のグロス表面の全面にアル
ミニウム粉末を混入した銀色インキを用いてグラビア印
刷方式により印刷し乾燥させて光反射層（厚さ；１５〜
３０μｍ）を形成した。

【００２９】続いて、グロス状（平滑状）の二軸延伸ポ
リプロピレンフィルム（厚さ；１５〜２５μｍ）を、上
記反射層上より加熱ラミネート又は粘着材、接着材（膜
厚；１５μｍ以下）を介してラミネートしながら、その
フィルム表面を光拡散面形状の凹凸パターンを備えたエ
ンボスロールとプレスロールとにより加熱加圧して、凹
凸高さ５〜８μｍ又は１０〜２０μｍ、凹凸ピッチ５μ
ｍ〜８μｍ又は１０〜２０μｍ（例えば、凹凸高さ５〜
８μｍで凹凸ピッチ１０〜２０μｍ）の微細凹凸形状に
エンボス加工した光拡散面を有する光拡散層を形成し、
本発明の反射型のプロジェクションスクリーンを作成し
た。

【００３０】＜実施例２＞上記実施例におけるグロス状
（平滑状）の二軸延伸ポリプロピレンフィルムとして、
光拡散材（カオリン微粉末）を混入した以外は、上記実
施例１と同様にして本発明の反射型のプロジェクション
スクリーンを作成した。

【００３１】＜実施例３＞反射層と光拡散層との間に偏
光層を形成した以外は、上記実施例１又は実施例２と同
様にして本発明の反射型のプロジェクションスクリーン
を作成した。

【００３２】なお、偏光層は、ヨウ素を吸着させたポリ
ビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に、接
着材層を介して、一軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムからなるベース層を貼り合わせた偏光層（総
厚；５０〜７０μｍ以上）を使用し、該偏光層を、前記
反射層上に薄膜状（膜厚；１５μｍ以下）の透光性の粘
着材層をコーティングした後にラミネートした。

【００３３】＜実施例４＞反射型のプロジェクションス
クリーン基材として、その表面がマット状（微細凹凸
状）のポリプロピレン製のシートを使用した以外は、上
記実施例１乃至実施例３と同様にして本発明の反射型の
プロジェクションスクリーンを作成した。

【００３４】＜実施例５＞偏光層として黒色系染料を混
入した後に一軸延伸処理したポリエチレンテレフタレー
トフィルム（厚さ；２５μｍ、又は２５〜３５μｍ、又
は３５〜１２０μｍ）による偏光層を使用した以外は、
上記実施例３と同様にして本発明の反射型のプロジェク
ションスクリーンを作成した。

【００３５】＜実施例６＞光拡散層として、予め、フィ
ルム表面を、凹凸高さ５〜８μｍ又は１０〜２０μｍ、
凹凸ピッチ５〜８μｍ又は１０〜２０μｍ（例えば凹凸
高さ５〜８μｍで凹凸ピッチ１０〜２０μｍ）の微細凹
凸形状にマット状にした（光拡散材を混入した又は混入
しない）二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
を使用した以外は、上記実施例１乃至実施例５と同様に
して本発明の反射型のプロジェクションスクリーンを作
成した。

【００３６】＜実施例７＞反射型のプロジェクションス
クリーン基材として、ポリ塩化ビニルを使用した以外
は、上記実施例１乃至実施例５と同様にして本発明の反
射型のプロジェクションスクリーンを作成した。

【００３７】＜実施例８＞反射層として、アルミニウム
蒸着層（蒸着膜厚；３０００Å程度）を形成した以外
は、上記実施例１乃至実施例７と同様にして本発明の反
射型のプロジェクションスクリーンを作成した。

【００３８】＜実施例９＞反射層として、アルミニウム
箔（２５μｍ程度）を使用した以外は、上記実施例１乃
至実施例７と同様にして本発明の反射型のプロジェクシ
ョンスクリーンを作成した。

【００３９】＜実施例１０＞光拡散層の構成樹脂とし
て、ポリ塩化ビニルフィルム、又はフッ素樹脂フィルム
を使用した以外は、上記実施例１乃至実施例９と同様に
して本発明の反射型のプロジェクションスクリーンを作
成した。

【００４０】＜実施例１１＞透過型のプロジェクション
スクリーン基材として、その表面がグロス状（平滑状）
のポリ塩化ビニル製のシート（厚さ；１００〜３００μ
ｍ）を用いた。

【００４１】続いて、グロス状（平滑状）の二軸延伸ポ
リプロピレンフィルム（厚さ；１５〜２５μｍ）を、上
記反射層上より加熱ラミネート又は粘着材、接着材（膜
厚；１５μｍ以下）を介してラミネートしながら、その
フィルム表面を光拡散面形状の凹凸パターンを備えたエ
ンボスロールとプレスロールとにより加熱加圧して、凹
凸高さ５〜８μｍ又は１０〜２０μｍ、凹凸ピッチ５〜
８μｍ又は１０〜２０μｍ（例えば凹凸高さ５〜８μｍ
で凹凸ピッチ１０〜２０μｍ）の微細凹凸形状にエンボ
ス加工した光拡散面を有する光拡散層を形成し、本発明
の透過型のプロジェクションスクリーンを作成した。

【００４２】＜実施例１２＞上記実施例１１におけるグ
ロス状（平滑状）の二軸延伸ポリ塩化ビニルフィルム中
に、光拡散材（カオリン微粉末）を混入した以外は、上
記実施例１１と同様にして本発明の透過型のプロジェク
ションスクリーンを作成した。

【００４３】＜実施例１３＞基材と光拡散層との間に偏
光層を形成した以外は、上記実施例１１又は実施例１２
と同様にして本発明の透過型のプロジェクションスクリ
ーンを作成した。

【００４４】なお、偏光層は、ヨウ素を吸着させたポリ
ビニルアルコールフィルムからなる偏光子の両面に、接
着材層を介して、一軸延伸ポリエチレンテレフタレート
フィルムからなるベース層を貼り合わせた偏光層（総
厚；５０〜７０μｍ以上）を使用し、該偏光層を、前記
反射層上に薄膜状（膜厚；１５μｍ以下）の透光性の粘
着材層をコーティングした後にラミネートした。

【００４５】＜実施例１４＞偏光層として黒色系染料を
混入した後に一軸延伸処理したポリエチレンテレフタレ
ートフィルム（厚さ；２５μｍ、又は２５〜３５μｍ、
又は３５〜１２０μｍ）による偏光層を使用した以外
は、上記実施例１３と同様にして本発明の透過型のプロ
ジェクションスクリーンを作成した。

【００４６】＜実施例１５＞光拡散層として、予め、フ
ィルム表面を、凹凸高さ５〜８μｍ又は１０〜２０μ
ｍ、凹凸ピッチ５μｍ〜８μｍ又は１０〜２０μｍ（例
えば凹凸高さ５〜８μｍで凹凸ピッチ１０〜２０μｍ）
の微細凹凸形状にマット状にした（光拡散材を混入した
又は混入しない）二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使
用した以外は、上記実施例１１乃至実施例１４と同様に
して本発明の透過型のプロジェクションスクリーンを作
成した。

【００４７】

【発明の効果】本発明のプロジェクションスクリーン
は、スクリーンの光拡散層における光拡散面の凹凸高さ
と凹凸ピッチとを、上記のように所定範囲内に設定する
ことにより、正面輝度の低下を抑えつつ半値角を増加さ
せることができ、よってスクリーンの総体的な明るい輝
度を維持しつつ視野角が拡がって、スクリーンの左右方
向から映像を観視した場合でも明るい映像を観察できる
効果がある。

【００４８】また、スクリーンの光拡散層を黒色調の無
彩色又はブルーなどの有彩色に着色することにより、従
来の白色調の無彩色系の色調のプロジェクションスクリ
ーンと異なり、特定波長領域の可視光に対する分光吸収
性能があり、スクリーン上の映像が全体的に白色掛かっ
て観察される欠点を解消できる効果があり、このよう
に、本発明のプロジェクションスクリーンは、明室にて
スクリーンを使用する場合にも、部屋の照明光や外光な
どのノイズ光が目立ち難くなり、映像の明るさとコント
ラストの向上に顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態における反射型のプ
ロジェクションスクリーンの積層構成を示す部分拡大側
断面図である。

【図２】本発明の第２の実施の形態における透過型のプ
ロジェクションスクリーンの積層構成を示す部分拡大側
断面図である。

【図３】本発明の第１又は第２の実施の形態におけるプ
ロジェクションスクリーンの光拡散層と光拡散面の凹凸
形状の一例を説明する部分拡大側断面図である。

【図４】プロジェクションスクリーンの光拡散層と光拡
散面の凹凸形状の各種形状を説明する部分拡大模式図で
ある。

【符号の説明】 １…反射型のプロジェクションスクリーン ２…基材
３…反射層 ４…偏光層 ５…光拡散層 ６…透明な合成樹脂 ６ａ…光拡散面 １１…透過型のプロジェクションスクリーン １２…透
明基材 Ｌ…投影画像の入射・出射光 ｈ…凹凸高さ ｐ…凹凸ピッチ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】スクリーンの片側最表面に、凹凸形状の光
   拡散面６ａを有する光拡散層５を備えたプロジェクショ
   ンスクリーンにおいて、光拡散面６ａの凹凸形状高さが
   ３〜５０μｍ、凹凸形状ピッチが１０〜２００μｍに設
   定されていることを特徴とするプロジェクションスクリ
   ーン。
2. 【請求項２】前記光拡散層５が無彩色の色材により着色
   されている請求項１記載のプロジェクションスクリー
   ン。
3. 【請求項３】前記光拡散層５が有彩色の色材により着色
   されている請求項１記載のプロジェクションスクリー
   ン。