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JPH09102392A - 有機elパネルおよびこのパネルを用いた表示装置 - Google Patents

有機elパネルおよびこのパネルを用いた表示装置

Info

Publication number
JPH09102392A
JPH09102392A JP7259604A JP25960495A JPH09102392A JP H09102392 A JPH09102392 A JP H09102392A JP 7259604 A JP7259604 A JP 7259604A JP 25960495 A JP25960495 A JP 25960495A JP H09102392 A JPH09102392 A JP H09102392A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
electrode
panel
lead portion
flexible substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7259604A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Nakamura
浩昭 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP7259604A priority Critical patent/JPH09102392A/ja
Publication of JPH09102392A publication Critical patent/JPH09102392A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Planar Illumination Modules (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機EL素子が熱に起因する劣化を実質的に
起こしていない有機ELパネル(リード部を有している
もの)を得ることは困難である。 【解決手段】 可撓性基板上に形成された有機EL素子
を構成している第1電極(可撓性基板上に形成されてい
る電極)用および有機発光材料を含有する有機単層部ま
たは有機多層部を介して前記第1電極上に積層された第
2電極用のリード部を、前記可撓性基板と同一の基板上
に形成された導電性物質層によって形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、面光源やディスプ
レイパネル等として利用される有機エレクトロルミネッ
センス(以下、エレクトロルミネッセンスを「EL」と
略記する。)パネルおよびこの有機ELパネルを利用し
た表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子は、基板上に形成された第
1電極と、有機発光材料を含有する有機単層部または有
機多層部を介して前記第1電極上に積層された第2電極
とを有する薄膜形の素子である。この有機EL素子で
は、第1電極(陽極または陰極)と第2電極(陰極また
は陽極)との間に所定の電圧を印加することによって上
記の有機発光材料を発光させる。
【0003】上述のように有機EL素子は薄膜形の素子
であるため、1個または複数個の有機EL素子を基板上
に形成した有機ELパネルをバックライト等の面光源と
して利用した場合には、当該面光源を備えた装置を容易
に薄型化することができる。また、有機EL素子は自己
発光性素子であるため、画素としての有機EL素子を基
板上に所定個形成した有機ELパネルをディスプレイパ
ネルとして用いて表示装置(有機EL表示装置)を構成
した場合には、視認性が高い、視野角依存性がない等、
液晶表示装置では得られない利点が得られる。さらに、
有機EL素子は低電圧で駆動することができ、また、様
々な発光色の素子が開発されていることからカラー表示
装置を構成することも可能である。
【0004】現在、PDA(Personal Digital Assista
nts :携帯型情報通信機器),携帯電話,電子手帳,ペ
ージャ等の表示部には液晶表示装置が用いられている
が、有機EL素子の上述の利点や特性を活かして、液晶
表示装置を備えた携帯用機器における前記液晶表示装置
のバックライトとして有機EL素子を用いることが、あ
るいは、表示装置を備えた携帯用機器における前記の表
示装置として有機EL表示装置を用いることが検討され
ている。さらに、携帯用機器への適用に限らず、有機E
L素子や有機EL表示装置を種々の用途に適用すること
が検討されている。
【0005】ところで、有機EL素子を駆動させるため
には、当該有機EL素子を構成している上記第1および
第2電極のそれぞれと所定の回路(電源に電気的に接続
するための導線を含む。以下同じ。)とを電気的に接続
する必要があり、そのためには、上記第1および第2電
極のそれぞれとリード部(リード線)とを電気的に接続
する必要がある。
【0006】電極とリード部とを電気的に接続する方法
としては、ポリイミドフィルムに銅を積層したもの等か
らなるリードフィルム(リード線フィルム)の一端を電
極の一端に熱圧着することによってリード部を形成する
方法がある。この方法は、例えば液晶表示パネルを構成
している液晶表示素子の電極にリード部を接続する際に
適用され、液晶表示素子の電極と当該液晶表示素子を駆
動する所定の回路との電気的な接続は、上記のリードフ
ィルムを用いて例えば次のようにして行われている。
【0007】すなわち、図11(a)に液晶表示パネル
の一例の平面図を、また、図11(a)に示したA−A
線の断面を図11(b)に示すように、液晶表示パネル
100を構成している基板のうちで上部電極101が形
成されている側の基板102の所定位置に上部リード取
出し部103を設け、各上部電極101の一端をこの上
部リード取出し部103まで延長して形成し、当該上部
リード取出し部103において、各上部電極101の一
端にリードフィルム104aの一端を熱圧着する。ま
た、液晶表示パネル100を構成している基板のうちで
下部電極105が形成されている側の基板106の所定
位置に下部リード取出し部107を設け、各下部電極1
05の一端をこの下部リード取出し部107まで延長し
て形成し、当該下部リード取出し部107において、各
下部電極105の一端にリードフィルム104bの一端
を熱圧着する。そして、上部電極101および下部電極
105に熱圧着された各リードフィルム104a,10
4bの他端をそれぞれ所定の回路に電気的に接続するこ
とによって、液晶表示パネル100を構成している上部
電極101および下部電極105のそれぞれと所定の回
路とを電気的に接続する。なお、図11(b)中の符号
108は液晶層を示し、符号109はシール材を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】有機EL素子を構成し
ている有機単層部または有機多層部は、比較的耐熱性の
低い有機物によって形成されており、かつ、有機単層部
の厚さあるいは有機多層部を形成している各層の厚さは
薄いため、僅かの時間の加熱によっても結晶化等が生じ
て膜としての構造変化を起こし易く、このような構造変
化が起きた場合には素子が劣化する。
【0009】このため、電極の一端にリード部の一端を
熱圧着するという液晶表示パネルにおける上記の方法を
有機EL素子に適用した場合には素子の劣化をまねき易
く、有機EL素子が熱に起因する劣化(以下「熱劣化」
という。)を実質的に起こしていない有機ELパネル
(リード部を有しているもの。以下同じ。)を得ること
は困難である。また、上記の方法ではリード部の位置合
わせに手間がかかる。
【0010】本発明の目的は、有機EL素子が実質的に
熱劣化を起こしていないものを得ることが容易な有機E
Lパネル、およびこの有機ELパネルを用いた表示装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の有機ELパネルは、可撓性基板上に形成された第
1電極と、有機発光材料を含有する有機単層部または有
機多層部を介して前記第1電極上に積層された第2電極
とを有する1個または複数個の有機EL素子を備えた有
機ELであり、前記第1電極および前記第2電極のそれ
ぞれが、当該第1電極および当該第2電極を所定の回路
に電気的に接続するためのリード部と導通しており、当
該リード部が前記可撓性基板と同一の基板上に形成され
た導電性物質層からなることを特徴とするものである。
【0012】また、上記の目的を達成する本発明の表示
装置の1つは、液晶表示パネルと、この液晶表示パネル
の背面に配置された有機ELパネルからなるバックライ
トとを具備し、前記有機ELパネルが、上述した本発明
の有機ELパネルからなることを特徴とする液晶表示装
置である。
【0013】そして、上記の目的を達成する本発明の表
示装置の他の1つは、画素としての有機EL素子を複数
個有する有機ELパネルからなるディスプレイパネル
と、前記有機EL素子を駆動するための駆動回路とを具
備し、前記有機ELパネルが、上述した本発明の有機E
Lパネルからなることを特徴とする有機EL表示装置で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず本発明の有機ELパネルについ
て説明すると、この有機ELパネルは、上述したように
1個または複数個の有機EL素子を備えたものであり、
有機EL素子を構成している第1電極および第2電極の
それぞれは、前記第1電極が形成されている可撓性基板
と同一の基板上に形成された導電性物質層からなるリー
ド部と導通している。
【0015】ここで、上記のリード部の具体例として
は、例えば下記(1)〜(3)のものが挙げられる。 (1)上記第1電極および第2電極をそれぞれ形成する
際に、これらの一端を所望の長さおよび形状に延長する
ことによって形成したもの。このリード部は、第1電極
または第2電極と同時に形成することができることか
ら、目的とする有機ELパネルを少ない工程数で作製す
るうえで好適である。
【0016】(2)上記(1)のリード部を主部とし、
この主部の上面にまたは当該主部を覆うようにして、補
助リード部としてのAu,Ag,Pt,Cu,Al,C
r等からなる1層構造または複数層構造の導電性金属層
(導電性の合金層を含む。以下同じ。)を設けることに
よって形成した複数層構造のもの。この複数層構造のリ
ード部は、上記(1)のリード部がITO等の比較的高
電気抵抗の物質によって形成されている場合に、より低
電気抵抗のリード部を形成するうえで好適である。
【0017】(3)Au,Ag,Pt,Cu,Al,C
r等の導電性金属(導電性の合金を含む。以下同じ。)
からなる1層構造または複数層構造のもの。このリード
部は、上記第1電極または第2電極がITO等の比較的
高電気抵抗の物質によって形成されている場合に、低電
気抵抗のリード部を形成するうえで好適である。
【0018】上記(1)のリード部は、第1電極または
第2電極の一端を所望の長さおよび形状に延長すること
によって形成したものであるので、その形成方法につい
ては第1電極および第2電極の形成方法と共に後述す
る。
【0019】上記(2)のリード部は、上記(1)のリ
ード部からなる主部を形成した後、形成しようとするリ
ード部の形状に応じた所定のマスクを用いて、物理的蒸
着法(真空蒸着法,スパッタリング法等),化学的気相
蒸着法,スクリーン印刷法,メッキ法等により、前記の
主部の上面にまたは前記の主部を覆うようにして補助リ
ード部としての導電性金属層を設けることにより形成す
ることができる。このとき、形成しようとするリード部
が複数本である場合には前記の主部も複数本あるわけで
あるが、この場合には、個々の主部の上面にまたは個々
の主部をそれぞれ別個に覆うようにして補助リード部と
しての導電性金属層を設ける。
【0020】あるいは、上記(1)のリード部からなる
主部を形成した後、当該主部を覆う導電性金属層(補助
リード部形成用のもの)を物理的蒸着法(真空蒸着法,
スパッタリング法等),化学的気相蒸着法,スクリーン
印刷法,メッキ法等により設けた後、当該導電性金属層
をフォトリソグラフィ法等によって所定形状にパターニ
ングすることにより形成することができる。このとき、
形成しようとするリード部が複数本である場合には前記
の主部も複数本あるわけであるが、この場合には、複数
本の主部の全てを覆うようにして補助リード部形成用の
導電性金属層を設けた後、当該導電性金属層をフォトリ
ソグラフィ法等によって所定形状にパターニングする。
【0021】そして上記(3)のリード部は、形成しよ
うとするリード部の形状に応じた所定のマスクを用い
て、物理的蒸着法(真空蒸着法,スパッタリング法
等),化学的気相蒸着法,スクリーン印刷法,メッキ等
により所望の導電性金属層を上記の可撓性基板の所定箇
所に設けることにより形成することができる。あるい
は、上記の可撓性基板の所定箇所に導電性金属層(リー
ド部形成用のもの)を物理的蒸着法(真空蒸着法,スパ
ッタリング法等),化学的気相蒸着法,スクリーン印刷
法,メッキ法等により設けた後、当該導電性金属層をフ
ォトリソグラフィ法等によって所定形状にパターニング
することにより形成することができる。
【0022】なお、リード部の自由端(第1電極側また
は第2電極側とは反対の側の端)には、必要に応じて、
当該リード部の自由端を所定の回路に接続するための接
続端子を設けてもよい。当該接続端子としては、市販の
フレキシブルリード線や、フラットケーブル用の接続端
子を用いることができる。
【0023】上記フラットケーブル用の接続端子の具体
例としては、1A050−9000VE,5150−B
7A2JL,1B068−63A2VE(これらの販売
元はいずれも住友スリーエム(株))等が挙げられる。
また、上記フレキシブルリード線用の接続端子の具体例
としては、955700−20(日本ティーアンドビ
(株)製)が挙げられる。どのような接続端子を用いる
かは、接続端子を設けようとするリード部の数(接続端
子を設けようとする極の数)に応じて適宜決定される。
【0024】上述のようにしてリード部を形成すること
により、有機EL素子を実質的に熱劣化させることな
く、リード部を有する有機ELパネルを得ることができ
る。有機EL素子は真空蒸着法等の真空環境下で作製さ
れることが多いので、リード部や補助リード部も物理的
蒸着法、特に真空蒸着法,スパッタリング法または電子
ビーム蒸着法により形成することが好ましい。
【0025】上記のリード部は、前述のように、有機E
L素子を構成する第1電極が形成されている可撓性基板
と同一の基板(すなわち、前記の可撓性基板)上に形成
されている。ここで、本発明でいう「可撓性基板」と
は、当該可撓性基板上に形成したリード部の一端を所定
の回路に接続する際に所望の形状に変形させるに十分な
可撓性を有し、かつ、電気絶縁性を有するものを意味
し、目的とする有機ELパネルが当該可撓性基板側(第
1電極等を積層する面の反対側)を光取出し面とする場
合には、これらの他に更に、有機EL素子からのEL光
についての光透過率が概ね10%以上、好ましくは30
%以上であるものを意味する。
【0026】上記の可撓性基板の具体例としては、ポリ
エチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート
(PC),ポリエーテルスルホン(PES),ポリエー
テルエーテルケトン(PEEK),ポリフッ化ビニル
(PFV),ポリアクリレート(PA),ポリプロピレ
ン(PP),ポリエチレン(PE),非晶質ポリオレフ
ィン,フッ素系樹脂等からなる透明プラスチックフィル
ムが挙げられる。また、上で例示したような透明プラス
チックフィルムの上に、塗布法,蒸着法,スパッタリン
グ法等の任意の方法により有機材料膜または無機材料膜
を積層した積層フィルムを用いてもよい。前記有機材料
の具体例としては、エポキシ樹脂,ポリエステル,ウレ
タン樹脂,メラミン樹脂,ポリアクリレート等が挙げら
れ、前記無機材料の具体例としては、SiO2、Al2
3 等の無機酸化物やSiN4 等の無機窒化物等が挙げら
れる。これらの可撓性基板の膜厚は、目的とする有機E
Lパネルの用途等に応じて適宜選択可能であるが、概ね
0.001μm〜1mmの範囲内である。
【0027】可撓性基板には前述したリード部が形成さ
れるので、当該可撓性基板としては、リード部を形成す
るための領域を備えた所望形状のものを用いる。リード
部の全体形状は、目的とする有機ELパネルの用途や目
的とする有機ELパネルが備えている有機EL素子の数
および配設形態等に応じて適宜選択されるので、可撓性
基板の形状も、形成しようとする有機EL素子の形状の
他、形成しようとするリード部の全体形状に応じて適宜
選択される。
【0028】目的とする有機ELパネルが液晶表示装置
におけるバックライト等の面光源である場合、当該有機
ELパネルは、通常、1〜数個の有機EL素子を備えて
いればよいので、リード部全体の大きさは比較的小さく
て済む。したがって、このような場合における可撓性基
板は、例えば図6に示す可撓性基板60のように、形成
しようとする有機EL素子(ここでは、平面視上の形状
が矩形を呈する1個の有機EL素子を例にとって説明す
る。)よりも平面視上の大きさが一回り大きい矩形を呈
する可撓性基板の所望の一辺61の一部に、第1電極用
リード部を形成するための帯状の突出部62を設け、前
記可撓性基板の所望の他の一辺63の一部に、第2電極
用リード部を形成するための帯状の突出部64を設けた
形状とすることができる。
【0029】上記の可撓性基板60を用いた有機ELパ
ネルは、例えば図7にその平面図を、図8にその分解斜
視図を示す有機ELパネル70のように、可撓性基板6
0の四方の縁部に所望の広さの領域を残して当該可撓性
基板60上に形成した第1電極71における所定の端
部、すなわち、図6に示した辺61側の端部から上記帯
状の突出部62にかけて第1電極用リード部72を形成
し、有機発光材料を含有する有機単層部または有機多層
部73を介して上記第1電極71上に形成した第2電極
74における所定の端部、すなわち、図6に示した辺6
3側の端部から上記帯状の突出部64にかけて第2電極
用リード部75を形成することによって作製される。
【0030】ここで、図7および図8に示した有機EL
パネル70において、第2電極74における辺63側の
端部が第1電極71における辺63側の端部(図7中に
破線で示されている。)より外側に突出しているのは、
第1電極71と第2電極74とが導通するのを避けるた
めに、第1電極71における辺63側の端部を覆うよう
にして上記の有機単層部または有機多層部73が設けら
れ、この有機単層部または有機多層部73を覆うように
して第2電極74が設けられているからである。なお、
図7および図8における符号76は第1電極用リード部
72を所定の回路に接続するための接続端子を示し、符
号77は第2電極用リード部75を所定の回路に接続す
るための接続端子を示す。これらの接続端子76,77
としては、例えば前記の955700−20を用いるこ
とができる。
【0031】勿論、目的とする有機ELパネルが1〜数
個の有機EL素子しか備えていない場合に、例えば図9
に示すような大形のリード部を形成したとしても何等差
し支えない。図9に示した有機ELパネル80では、有
機EL素子を構成する第1電極81と所定の回路とを電
気的に接続するための第1電極用リード部82が、第1
電極81の所望の一端をそのまま帯状に延長させた形状
を呈し、有機EL素子を構成する第2電極83と所定の
回路とを電気的に接続するための第2電極用リード部8
4が、第2電極83の所望の一端(上記の第1電極用リ
ード部82が形成される側の一端を除く。)をそのまま
帯状に延長させた形状を呈する。
【0032】したがって、これらの有機EL素子,リー
ド部82およびリード部84が形成される可撓性基板8
5は、形成しようとする有機EL素子(ここでは、平面
視上の形状が矩形を呈する1個の有機EL素子。)より
も平面視上の大きさが一回り大きい矩形を呈する可撓性
基板の所望の一辺の全体を帯状に突出させて第1電極用
リード部82を形成するための領域86とし、前記矩形
を呈する可撓性基板の所望の他の一辺の全体を帯状に突
出させて第2電極用リード部84を形成するための領域
87とした形状を呈する。なお、図9における符号88
は第1電極用リード部82を所定の回路に接続するため
の接続端子を示し、符号89は第2電極用リード部84
を所定の回路に接続するための接続端子を示す。これら
の接続端子88,89としては、例えば図7および図8
に示した接続端子76,77と同様のものを用いること
ができる。
【0033】一方、目的とする有機ELパネルが有機E
L表示装置におけるディスプレイパネルである場合、当
該有機ELパネルは、通常、画素としての有機EL素子
を多数備えているので、例えば図10に示すように、リ
ード部全体の大きさは比較的大きくなる。図10に示し
た有機ELパネル90では、当該有機ELパネル90
(ここでは、8×8のX−Yマトリックス型に有機EL
素子を配置したものについて説明する。)を構成してい
る各有機EL素子の第1電極91(同一行の各素子に共
通する導線からなるものであるので、以下「第1電極兼
用導線91」という。)のそれぞれと所定の回路とを電
気的に接続するための8つの第1電極兼用導線用リード
部92が、各第1電極兼用導線91の所望の一端をそれ
ぞれ所定長延長させることによって形成されており、各
有機EL素子の第2電極93(同一列の各素子に共通す
る導線からなるものであるので、以下「第2電極兼用導
線93」という。)のそれぞれと所定の回路とを電気的
に接続するための8つの第2電極兼用導線用リード部9
4が、各第2電極兼用導線93の所望の一端をそれぞれ
所定長延長させることによって形成されている。
【0034】したがって、これらの有機EL素子,リー
ド部92およびリード部94が形成される可撓性基板9
5は、8×8のX−Yマトリックス型に配置された有機
EL素子の全体形状よりも平面視上の大きさが一回り大
きい矩形を呈する可撓性基板の所望の一辺の全体を帯状
に突出させて各第1電極兼用導線用リード部92を形成
するための領域96とし、前記矩形を呈する可撓性基板
の所望の他の一辺の全体を帯状に突出させて各第2電極
兼用導線用リード部94を形成するための領域97とし
た形状を呈する。なお、図10における符号98は第1
電極兼用導線用リード部92を所定の回路に接続するた
めの接続端子を示し、符号99は第2電極兼用導線用リ
ード部94を所定の回路に接続するための接続端子を示
す。これらの接続端子98,99としては、例えば図7
および図8に示した接続端子76,77と同様のものを
用いることができる。
【0035】なお、本発明の有機ELパネルが面光源お
よびディスプレイのいずれであっても、有機EL素子の
第1電極または第2電極の材料として例えばITOのよ
うな電気抵抗率の大きい導電性材料を用い、かつ、当該
電気抵抗率の大きい導電性材料を用いた電極についてそ
の長手方向の縁部にリード部を形成する場合には、電気
抵抗率の大きい導電性材料を用いた電極での電圧降下を
抑えるうえから、当該電極についてはその長手方向の一
方の縁部のみならず他方の縁部にもリード部を形成する
ことが望ましい。また、電気抵抗率の小さい導電性材料
を用いた電極についてその長手方向の縁部にリード部を
形成する場合にも、電気抵抗率の小さい導電性材料を用
いた電極での電圧降下を抑えるうえから、当該電極につ
いてはその長手方向の一方の縁部のみならず他方の縁部
にもリード部を形成することが望ましい。
【0036】本発明の有機ELパネルは、前述したよう
に、当該有機ELパネルを構成している有機EL素子の
第1電極および第2電極のそれぞれを所定の回路に電気
的に接続するためのリード部が、当該有機ELパネルを
構成している可撓性基板と同一の基板(すなわち、前記
の可撓性基板)上に形成された導電性物質層からなるこ
とを特徴とするものであり、可撓性基板上に形成する有
機EL素子の数は、その用途に応じて1個以上の所望個
に適宜選択される。
【0037】例えば、目的とする有機ELパネルが液晶
表示装置のバックライト等の面光源である場合、当該有
機ELパネルを構成する有機EL素子の数は、通常、1
〜数個でよく、数個の有機EL素子を設けるときには、
これらの有機EL素子はそれぞれ独立に駆動されるもの
であってもよいし、連動してのみ駆動されるものであっ
てもよい。また、目的とする有機ELパネルが有機EL
表示装置のディスプレイパネルである場合には、画素と
しての複数の有機EL素子が例えばX−Yマトリックス
型のように同一平面上に二次元配置され、これらの有機
EL素子は、通常、それぞれ独立に駆動される。有機E
L素子を複数個設ける場合、各有機EL素子の発光色は
同じであってもよいし異なっていてもよく、有機ELパ
ネル全体としての発光色または表示色が所望色になるよ
うに1種または複数種の有機EL素子を所望形状に形成
する。この場合、個々の有機EL素子の発光色は有機発
光材料の種類に応じて変化するので、有機ELパネル全
体としての発光色または表示色が所望の色になるよう
に、使用する有機発光材料の種類を有機EL素子毎に適
宜選択する。
【0038】また、本発明の有機ELパネルにおいて可
撓性基板上に形成されている有機EL素子の層構成も特
に限定されるものではなく、種々の層構成とすることが
できる。有機EL素子は、一般には、当該有機EL素子
が形成される基板側を光取出し面とするが、基板上への
積層順を逆にすることにより、基板側とは反対の側を光
取出し面とすることが可能である。ここでは、基板側を
光取出し面とする有機EL素子を例にとり、有機EL素
子の層構成およびその製造方法について説明する。
【0039】基板側を光取出し面とするタイプの有機E
L素子の層構成の具体例としては、基板上への積層順が
下記(1)〜(4)のものが挙げられる。 (1)陽極(第1電極)/発光層/陰極(第2電極) (2)陽極(第1電極)/発光層/電子注入層/陰極
(第2電極) (3)陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/陰極
(第2電極) (4)陽極(第1電極)/正孔輸送層/発光層/電子注
入層/陰極(第2電極)
【0040】ここで、発光層は通常1種または複数種の
有機発光材料により形成されるが、有機発光材料と正孔
輸送材料および/または電子注入材料との混合物、当該
混合物または有機発光材料を分散させた高分子材料によ
り形成される場合もある。また、上述した層構成の有機
EL素子の外周に当該有機EL素子を覆うようにして、
有機EL素子への水分や酸素の侵入を防止するための封
止層が設けられる場合もある。
【0041】上記(1)のタイプの有機EL素子では発
光層が本発明でいう「有機発光材料を含有する有機単層
部」に相当し、上記(2)のタイプの有機EL素子では
発光層と電子注入層が本発明でいう「有機発光材料を含
有する有機多層部」に相当し、上記(3)のタイプの有
機EL素子では正孔輸送層と発光層が本発明でいう「有
機発光材料を含有する有機多層部」に相当し、上記
(4)のタイプの有機EL素子では正孔輸送層と発光層
と電子注入層が本発明でいう「有機発光材料を含有する
有機多層部」に相当する。
【0042】陽極、陰極、発光層、正孔輸送層、電子注
入層、封止層の材料としては、それぞれ種々の材料を用
いることができる。例えば、陽極材料としては仕事関数
が大きい(例えば4eV以上)金属,合金,電気伝導性
化合物,またはこれらの混合物が好ましく用いられる。
具体例としては金,ニッケル等の金属や、CuI,IT
O,SnO2 ,ZnO等の誘電性透明材料等が挙げられ
る。基板側を光取出し面とする場合、第1電極である陽
極の膜厚は、発光層からのEL光に対して所望の光透過
率を与えるよう適宜選択される。当該膜厚は陽極材料に
もよるが、通常10nm〜1μmの範囲内である。
【0043】また、陰極材料としては仕事関数の小さい
(例えば4eV以下)金属,合金,電気伝導性化合物,
またはこれらの混合物等が好ましく用いられる。具体例
としてはナトリウム,ナトリウム−カリウム合金,マグ
ネシウム,リチウム,マグネシウムと銀との合金または
混合金属,マグネシウム−銅混合物,アルミニウム,A
l/Al23 ,インジウム,イッテルビウム等の希土
類金属等が挙げられる。基板側を光取出し面とする場
合、第2電極である陰極は発光層からのEL光に対する
光透過性を実質的に有していなくてよく、その膜厚は陰
極材料にもよるが、通常10nm〜1μmの範囲内で適
宜選択可能である。
【0044】陽極および陰極のいずれにおいても、その
シート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。なお、陽極材
料および陰極材料を選択する際に基準とする仕事関数の
大きさは4eVに限定されるものではない。
【0045】発光層の材料(有機発光材料)は、有機E
L素子用の発光層、すなわち電界印加時に陽極または正
孔輸送層から正孔を注入することができると共に陰極ま
たは電子注入層から電子を注入することができる注入機
能や、注入された電荷(電子と正孔の少なくとも一方)
を電界の力で移動させる輸送機能、電子と正孔の再結合
の場を提供してこれを発光につなげる発光機能等を有す
る層を形成することができるものであればよい。その具
体例としては、ベンゾチアゾール系,ベンゾイミダゾー
ル系,ベンゾオキサゾール系等の系の蛍光増白剤や、金
属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系
化合物、ジスチリルピラジン誘導体、芳香族ジメチリデ
ィン化合物、ポリフェニル系化合物、12−フタロペリ
ノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,
1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナ
フタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾー
ル誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シク
ロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリ
ルアミン誘導体、クマリン系化合物、8−キノリノール
誘導体の金属錯体等が挙げられる。発光層の厚さは特に
限定されるものではないが、通常は5nm〜5μmの範
囲内で適宜選択される。
【0046】正孔輸送層の材料(正孔輸送材料)は正孔
の輸送性と電子の障壁性のいづれかを有しているもので
あればよい。その具体例としては、イミダゾール誘導
体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、
ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリー
ルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾ
ール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノ
ン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラ
ザン誘導体、ポリシラン系化合物、アニリン系共重合
体、チオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマ
ー、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、
スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物
等が挙げられる。正孔輸送層の厚さも特に限定されるも
のではないが、通常は5nm〜5μmの範囲内で適宜選
択される。正孔輸送層は上述した材料の1種または2種
以上からなる一層構造であってもよいし、同一組成また
は異種組成の複数層からなる複数層構造であってもよ
い。
【0047】電子注入層は、陰極から注入された電子を
発光層に伝達する機能と正孔の障壁性とのいずれかの機
能を有していればよく、その材料(電子注入材料)の具
体例としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール
誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、アントラキノ
ジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピラン
ジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テト
ラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデ
ンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アント
ロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、8−キノリノー
ル誘導体の金属錯体(例えばトリス(8−キノリノー
ル)アルミニウム,ビス(8−キノリノール)マグネシ
ウム,ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛,ビス
(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオキシ
ド,トリス(8−キノリノール)インジウム,トリス
(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム,8−
キノリノールリチウム,トリス(5−クロロ−8−キノ
リノール)ガリウム,ビス(5−クロロ−8−キノリノ
ール)カルシウム,トリス(5,7−ジクロル−8−キ
ノリノール)アルミニウム,トリス(5,7−ジブロモ
−8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム,ビス
(8−キノリノール)ベリリウム,ビス(2−メチル−
8−キノリノール)ベリリウム,ビス(8−キノリノー
ル)亜鉛,ビス(2−メチル−8−キノリノール)亜
鉛,ビス(8−キノリノール)スズ,トリス(7−プロ
ピル−8−キノリノール)アルミニウム等)、メタルフ
リーフタロシアニンやメタルフタロシアニンあるいはこ
れらの末端がアルキル基やスルホン基等で置換されてい
るもの、ジスチリルピラジン誘導体等が挙げられる。電
子注入層の厚さも特に限定されるものではないが、通常
は5nm〜5μmの範囲内で適宜選択される。電子注入
層は上述した材料の1種または2種以上からなる一層構
造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層
からなる複数層構造であってもよい。
【0048】そして、封止層の材料の具体例としては、
テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマー
とを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合
体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロ
ロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンと
ジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、吸水率1%
以上の吸水性物質および吸水率0.1%以下の防湿性物
質、In,Sn,Pb,Au,Cu,Ag,Al,T
i,Ni等の金属、MgO,SiO,SiO2 ,Al2
3 ,GeO,NiO,CaO,BaO,Fe2 3
2 3 ,TiO2 等の金属酸化物、MgF2 ,Li
F,AlF3 ,CaF2 等の金属フッ化物、パーフルオ
ロアルカン,パーフルオロアミン,パーフルオロポリエ
ーテル等の液状フッ素化炭素および当該液状フッ素化炭
素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたもの等が
挙げられる。
【0049】有機EL素子を構成する各層の形成方法は
特に限定されるものではない。陽極、陰極、発光層、正
孔輸送層、電子注入層の形成方法としては、各層の形成
に使用する材料に応じて、例えば真空蒸着法、スパッタ
リング法、スピンコート法、キャスト法、LB法等を適
宜適用することができるが、有機物層についてはスパッ
タリング法以外の方法(真空蒸着法、スピンコート法、
キャスト法、LB法等)を適用することが好ましい。ま
た、有機物層は、特に分子堆積膜であることが好まし
い。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から
沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の
材料化合物から固化され形成された膜のことであり、通
常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分
子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起
因する機能的な相違により区分することができる。スピ
ンコート法等により発光層を形成する場合には、樹脂等
の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かすことによりコー
ティング溶液を調製する。
【0050】また、封止層の形成にあたっては真空蒸着
法、スピンコート法、スパッタリング法、キャスト法、
MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビー
ム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周
波励起イオンプレーティング法)、反応性スパッタリン
グ法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD
法、ガスソースCVD法等を適宜適用することができ
る。封止層の材料として液状フッ素化炭素や当該液状フ
ッ素化炭素に水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させた
ものを用いる場合には、基板上に形成されている有機E
L素子(既に別の封止層があってもよい。)の外側に、
当該有機EL素子との間に空隙を形成しつつ前記の基板
と共同して有機EL素子を覆うハウジング材を設け、前
記の基板と前記のハウジング材とによって形成された空
間に前記の液状フッ素化炭素や当該液状フッ素化炭素に
水分や酸素を吸着する吸着剤を分散させたものを充填す
ることによって封止層を形成することが好ましい。前記
のハウジング材としては、吸水率の小さいガラスまたは
ポリマー(例えば三フッ化塩化エチレン)からなるもの
が好適に用いられる。ハウジング材を使用する場合に
は、上述した封止層を設けずに当該ハウジング材のみを
設けてもよいし、ハウジング材を設けた後に、当該ハウ
ジング材と前記の基板とによって形成された空間に酸素
や水を吸着する吸着材の層を設けるか当該吸着材からな
る粒子を分散させてもよい。
【0051】なお、第1電極(陽極)を所定の回路に電
気的に接続するためのリード部またはその主部を、第1
電極の一端を所望の長さおよび形状に延長することによ
って形成する場合には、形成しようとする第1電極およ
びリード部またはその主部の形状に対応した所定形状の
開口部を有するマスクを用いた真空蒸着法またはスパッ
タリング法を適用することが好ましい。あるいは、真空
蒸着法またはスパッタリング法によって所望形状の膜を
形成した後、当該膜をフォトリソグラフィー法等によっ
て所定形状にパターニングすることによって、目的とす
る第1電極ならびにリード部またはその主部を形成して
もよい。一方、第2電極(陰極)を所定の回路に電気的
に接続するためのリード部またはその主部を、第2電極
の一端を所望の長さおよび形状に延長することによって
形成する場合には、形成しようとする第2電極およびリ
ード部またはその主部の形状に対応した所定形状の開口
部を有するマスクを用いた真空蒸着法を適用することが
好ましい。
【0052】また、有機EL素子を作製するにあたって
は、基板内、基板と第1電極との界面および第1電極の
表面における1μm以上の異物、突起物、穴、空孔等の
欠陥の合計数をできる少なくする(例えば1m2 当たり
の換算値で100個以下とする)ことが好ましい。前記
欠陥の合計数を少なくすることにより、有機EL素子の
発光効率や発光安定性を向上させることができる他、可
撓性基板を所望形状に曲げた状態で有機EL素子を駆動
させた場合の発光特性の経時的低下を抑制することがで
きる。前記欠陥の合計数を少なくするための手段として
は、基板原料の純度の向上、基板作製環境の向上(例え
ばクリーンルームの使用)、基板作製装置の改良(例え
ば基板として透明プラスチックフィルムを使用する場
合、装置のフィルム成形部の平坦度の向上)、洗浄によ
る基板の清浄化等が挙げられる。
【0053】有機EL素子(封止層を設ける場合には当
該封止層を含む。)を構成する各層の形成にあたって真
空蒸着法を用いれば、この真空蒸着法のみによって目的
とする有機ELパネルを作製することができるため、設
備の簡略化や生産時間の短縮を図るうえで有利である。
【0054】上述のようにして得ることができる本発明
の有機ELパネルでは、第1電極(陽極)や第2電極に
導通したリード部を形成するにあたって別段の加熱工程
を必要としない。したがって、本発明の有機ELパネル
は、有機EL素子が実質的に熱劣化を起こしていないも
のを容易に得ることができる有機ELパネルである。ま
た、本発明の有機ELパネルを機器に内蔵させて使用す
る場合には、所定の回路に接続すべき側のリード部端を
容易に取り出す(引き出す)ことができる。
【0055】次に、本発明の表示装置について説明す
る。本発明の表示装置の1つは、前述したように、液晶
表示パネルと、この液晶表示パネルの背面に配置された
有機ELパネルからなるバックライトとを具備し、前記
有機ELパネルが、上述した本発明の有機ELパネルか
らなることを特徴とするものである。
【0056】ここで、上記のバックライトとして用いる
有機ELパネルは、既に説明した本発明の有機ELパネ
ルのうちの面光源用のもの、または当該面光源用の有機
ELパネルの幅を狭くすることによって線光源化したも
のが特に好ましい。そして、前記線光源化した有機EL
パネルを用いる場合には、当該有機ELパネルにおいて
光を取り出す側の面の外側に拡散板または導光板を配置
することが更に好ましい。
【0057】本発明の有機ELパネルからなる上記のバ
ックライトは、前述した本発明の有機ELパネルをその
まま直下式バックライトとして用いたものであってもよ
いし、前述した本発明の有機ELパネルの幅を狭くする
ことによって線光源化したものを光源として用いたエッ
ジライト式のものであってもよい。エッジライト式とす
る場合には、例えば、液晶表示装置用のエッジライト式
バックライトを形成するために従来より用いられている
導光体の一端または両端に、上記線光源化した有機EL
パネルを当該有機ELパネルの光取出し面が前記の導光
体側にくるように配置することにより、目的とするバッ
クライトを得ることができる。
【0058】一方、液晶表示パネルは、バックライトを
必要とするタイプのもの(例えば透過型や透過反射型の
液晶表示パネル)であればよく、その構造および駆動方
式は、使用する液晶の種類も含めて、特に限定されるも
のではない。また、反射型の液晶パネルから反射板をと
ったものであってもよい。当該液晶表示パネルの具体例
としては、例えば動作モードによる分類では電圧制御複
屈折型(BS,STN,VCB,TB),ねじれネマテ
ィック(TN),ゲスト・ホスト(GH,GC),動的
散乱(DS),蓄積型(ST),双安定型(BS)およ
び熱書き込み(TA)の各液晶表示パネルが挙げられ、
例えば駆動方式による分類ではスタティック駆動,マル
チプレックス駆動およびアクティブマトリックス駆動の
各液晶表示パネルが挙げられる。
【0059】上記の構成を有する本発明の液晶表示装置
は、バックライトとして有機ELパネルを用いているの
で容易に薄型化することができ、しかも、当該有機EL
パネルは有機EL素子が実質的に熱劣化を起こしていな
いものを容易に得ることができる有機ELパネルであ
る。したがって、本発明の液晶表示装置は、所望の特性
のものを得ることが容易な液晶表示装置である。
【0060】次に、本発明の表示装置の他の1つである
有機EL表示装置について説明する。本発明の有機EL
表示装置は、前述したように、画素としての有機EL素
子を複数個有する有機ELパネルからなるディスプレイ
パネルと、前記有機EL素子を駆動するための駆動回路
とを具備し、前記有機ELパネルが、前述した本発明の
有機ELパネルからなることを特徴とするものである。
【0061】ここで、上記のディスプレイパネルとして
用いる有機ELパネルは、既に説明した本発明の有機E
Lパネルのうちのディスプレイパネル用のものである。
本発明の有機ELパネルからなる上記のディスプレイパ
ネルは、単色光表示用のものであってもよいし、バイカ
ラー,マルチカラー,フルカラー等のカラー表示用のも
のであってもよく、目的とする液晶表示装置の用途等に
応じて適宜選択される。したがって、当該有機ELパネ
ルを構成する個々の有機EL素子の発光色、ひいては有
機発光材料の種類も、目的とするディスプレイパネルの
用途等に応じて適宜選択される。また、当該有機ELパ
ネルを構成する個々の有機EL素子の配置は、目的とす
るディスプレイパネルの用途等に応じて適宜選択可能で
あり、任意のパターンを表示することができるとういう
観点からはX−Yマトリックス型に配置することが好ま
しいが、例えば数字表示に限定すれば、セグメント型で
あってもよい。なお、画素と画素の間には必要に応じて
遮光膜を設けてもよい。遮光膜は、平面視上、画素と画
素の間に位置していればよく、その配設位置は画素と実
質的に同一の平面上であってもよいし、画素よりも画面
側の所望平面上であってもよい。
【0062】有機EL素子をX−Yマトリックス型に配
置してなるディスプレイパネルでは、図10に示したよ
うに、複数本の第1電極兼用導線91と複数本の第2電
極兼用導線94とは、これらを平面視した時の形状が格
子状となるよう、一方の電極兼用導線は縦(Y)方向
に、他方の電極兼用導線は横(X)にそれぞれストライ
プ状に配設される。このディスプレイパネルにおいて
は、平面視した時の形状が格子状になるように配設され
た電極兼用導線の交差部に画素である有機EL素子が形
成されるので、第2電極兼用導線は、前述したように、
有機発光材料を含有する有機単層部または有機多層部を
介して第1電極兼用導線と平面視上交差するように配設
される。このようにして形成された有機EL素子(画
素)の第1電極は画素を形成している部分の前記第1電
極兼用導線であり、第2電極は画素を形成している部分
の前記第2電極兼用導線である。
【0063】本発明の有機機EL表示装置は、上述した
ディスプレイパネルを構成している有機EL素子を駆動
するための駆動回路を備えているわけであるが、画素で
ある有機EL素子の駆動方法は特に限定されるものでは
なく、例えばマルチプレックス駆動,アクティブマトリ
ックス駆動等、目的とする有機EL表示装置の用途等に
応じて適宜選択される。したがって上記の駆動回路の構
成は、目的とする有機EL表示装置における有機EL素
子の駆動方法に応じて適宜選択される。
【0064】例えば、X−Yマトリックス型に配置した
複数の有機EL素子をマルチプレックス駆動させる場合
には、前記複数本の第1電極兼用導線および前記複数本
の第2電極兼用導線のいずれかが、これらの電極兼用導
線と導通している前述のリード部を介してそれぞれ独立
に所定の駆動用電源に接続される。そして他方の各電極
兼用導線は、これらの電極兼用導線と導通している前述
のリード部を介してそれぞれ独立に例えば1つのスイッ
チング回路に接続されて、それぞれ独立に制御される。
【0065】上記の構成を有する本発明の有機EL表示
装置は、有機EL素子が実質的に熱劣化を起こしていな
いものを容易に得ることができる有機ELパネルからな
るディスプレイパネルを備えたものであるので、所望の
特性のものを得ることが容易な有機EL表示装置であ
る。
【0066】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)有機ELパネルの作製 まず、250mm×250mm×0.1mmのポリエー
テルスルホンフィルム(PES;波長400〜800n
mの光の透過率は70%以上)の平面視上の1つの角部
を100mm×100mmの矩形に切り欠いて、図1に
示すように、平面視上の大きさが150mm×100m
mの第1のリード部形成用領域1および第2のリード部
形成用領域2を有するPESフィルム10(以下「可撓
性基板10」という。)を得た。
【0067】次に、所定の開口部を有するマスクを用い
た真空蒸着法により、上記の可撓性基板10の片面に当
該可撓性基板10における平面視上の辺3aと平行に、
厚さ200nm、幅9.77mmのITO層からなる8
本の第1電極兼用導線4を1mm間隔で設けた。このと
き、各第1電極兼用導線4は、可撓性基板10において
上記の辺3aと平面視上直角をなす2つの辺3b,3c
間に亘って形成した。各第1電極兼用導線4において第
1のリード部形成用領域1内に位置する部分4aが、第
1電極兼用導線用リード部の主部に相当する。また、第
1電極兼用導線4の形成と同時に、第2のリード部形成
領域2内に、当該第2のリード部形成領域2における短
手方向と平行に延びる第2電極兼用導線用リード部の主
部5を1mm間隔で8本設けた。これらの第2電極兼用
導線用のリード部の主部5も、厚さ200nm、幅9.
77mmのITO層からなる。
【0068】次いで、リード部での電圧降下を最小限に
抑えるため、所定の開口部を有するマスクを用いた真空
蒸着法により、上記の第1電極兼用導線用リード部の主
部4aおよび第2電極兼用導線用のリード部の主部5の
上面に、補助リード部としてのAl層(厚さ100n
m)をそれぞれ形成した。第1電極兼用導線用リード部
の主部4aの上面に補助リード部としてのAl層を形成
したものを以下「第1電極兼用導線用リード部」とい
い、第2電極兼用導線用のリード部の主部5の上面に補
助リード部としてのAl層を形成したものを以下「第2
電極兼用導線用リード部」という。
【0069】Al層まで形成した上記の可撓性基板をイ
ソプロピルアルコール中にて30分間超音波洗浄した
後、純水にて30分間洗浄し、さらに、イソプロピルア
ルコール中にて30分間再度超音波洗浄した。これらの
洗浄は全てクリーンルーム内で行った。
【0070】このようにして洗浄した上記の可撓性基板
を市販の蒸着装置(日本真空技術(株)製)の基板ホル
ダーに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートにN,
N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−メチルフェ
ニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミ
ン(以下「TPD」という。)を200mg入れ、また
違うモリブデン製ボートにトリス(8−ヒドロキシキノ
リン)アルミニウム錯体(以下「Alq」という。)を
200mg入れた。また、上記の可撓性基板において第
1のリード部形成用領域および第2のリード部形成用領
域を共に除いた領域(以下「有機EL素子形成用領域」
という。)に対応する開口部を有するマスクを装着し
た。
【0071】次いで、真空槽チャンバー内を1×10-4
Paまで減圧した後、TPD入りの前記ボートを加熱
し、これによって上記の有機EL素子形成用領域上にT
PDを堆積させて、TPDからなる膜厚60nmの正孔
輸送層を形成した。続いてAlq入りの前記ボートを加
熱し、これによって上記の正孔輸送層上にAlqを堆積
させて、Alqからなる膜厚60nmの発光層を形成し
た。正孔輸送層および発光層を形成する際の基板温度は
共に室温であった。
【0072】発光層まで形成した上記の可撓性基板を真
空チャンバーより取り出し、上記の発光層上に所定の開
口部を有するステンレススチール製マスクを設置した後
に再び基板ホルダーに固定した。また、タングステン製
バスケットにAgワイヤーを0.5g入れ、モリブデン
製ボートにMgリボンを1g入れた。
【0073】この後、真空チャンバーを1×10-4Pa
まで減圧してからAgワイヤー入りの前記バスケットお
よびMgリボン入りの前記ボートをそれぞれ加熱し、こ
れによってMgとAgとを10:1の割合で上記マスク
を介して発光層上に堆積させて、Mg:Ag合金からな
る厚さ200nm、幅10mmの第2電極兼用導線を8
本形成した。なお、前述したステンレススチール製マス
クを使用した結果、各第2電極兼用導線は各第1電極兼
用導線と平面視上直交する向きに1mm間隔で設けら
れ、かつ、各第2電極兼用導線の一端はそれぞれ第2電
極兼用導線用リード部のいずれかと接している。
【0074】上述のようにして可撓性基板上に第1電極
兼用導線、第1電極兼用導線用リード部、第2電極兼用
導線用リード部、正孔輸送層(TPD層)、発光層(A
lq層)、および第2電極兼用導線を設けることによ
り、目的とする有機ELパネルが得られた。この有機E
Lパネルの平面図を図2に示す。
【0075】同図に示すように、上記の有機ELパネル
20は、第1のリード部形成用領域1、第2のリード部
形成用領域2、および有機EL素子形成用領域21を有
する所定形状のポリエーテルスルホンフィルムからなる
可撓性基板10上に8×8のX−Yマトリックス型に形
成された64個の有機EL素子22を有している。
【0076】有機EL素子22は、第1電極兼用導線4
と第2電極兼用導線23との平面視上の交差部に形成さ
れており、当該交差部における第1電極兼用導線4が陽
極に、また第2電極兼用導線23が陰極に相当する。有
機EL素子22を構成している第1電極兼用導線4は、
可撓性基板10上に形成された所定形状のITO層から
なる。8本の第1電極兼用導線4は、それぞれ第1電極
兼用導線用リード部24の主部を兼ねており、これらの
第1電極兼用導線用リード部24は、第1電極兼用導線
4の一端を第1のリード部形成用領域1まで延長するこ
とによって可撓性基板10上に形成された前記の主部
と、当該主部の上面に形成された補助リード部としての
Al層とからなる。また、有機EL素子22を構成して
いる第2電極兼用導線23は、TDPからなる正孔輸送
層と当該正孔輸送層上に形成されたAlqからなる発光
層とを介して上記第1電極兼用導線4と平面視上直交す
るように形成された所定形状のMg:Ag合金層からな
る。8本の第2電極兼用導線23は、それぞれ第2電極
兼用導線用リード部25と導通しており、これらの第2
電極兼用導線用リード部25は、可撓性基板10上に形
成された所定形状のITO層からなる主部と、当該主部
の上面に形成された補助リード部としてのAl層とから
なる。なお、有機ELパネル20では、有機EL素子2
2を形成するために使用した可撓性基板10において有
機EL素子22が形成されていない側の面が光取出し面
となっている。
【0077】上記の有機ELパネル20について、当該
有機ELパネル20を構成している各有機EL素子22
を点灯させたところ、全ての有機EL素子22が一様に
緑色(ピーク波長は515nm)に点灯し、有機ELパ
ネルの作製過程で熱劣化した有機EL素子は認められな
かった。
【0078】(2)有機EL表示装置の作製 上記(1)で作製した有機ELパネル20を構成する第
1電極兼用導線用リード部24のそれぞれを駆動用電源
に直接つなぎ込むとともに、第2電極兼用導線用リード
部25のそれぞれをスイッチング回路に直接接続した。
そして、上記のスイッチング回路および駆動用電源を、
これらの動作を制御する機能を有するコンピュータに接
続した。これにより、画素としての有機EL素子が8×
8のX−Yマトリックス型に配置された有機ELパネル
からなるディスプレイパネルを備えた有機EL表示装置
が得られた。この有機EL表示装置におけるディスプレ
イパネルでは、有機EL素子を形成するために使用した
可撓性基板側が表示面となっており、有機EL素子は前
記のコンピュータによってマルチプレックス駆動され
る。なお、スイッチング回路はアースに接続されてい
る。
【0079】上記の有機EL表示装置によって種々のキ
ャラクターを表示させたところ、表示不良は起きず、有
機EL表示装置の作製過程で熱劣化した有機EL素子は
認められなかった。
【0080】実施例2 (1)有機ELパネルの作製 まず、図3に示すように、4つの辺のそれぞれに平面視
上の大きさが10×30mmである帯状の突出部30
a,30b,30c,30dを有する形状のポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルム30を用意した。
このPETフィルムの厚さは0.1mmであり、4つの
帯状の突出部30a,30b,30c,30dを除いた
平面視上の大きさは75×75mmである(以下、この
PETフィルムを「可撓性基板30」という。)。上記
帯状の突出部30a,30b,30c,30dは、ここ
にリード部を形成するためのものである。
【0081】次に、上記の可撓性基板30の片面の中央
部に、有機EL素子の第1電極としてのITO層をスパ
ッタリング法により成膜した。図3に示すように、この
ITO層31は67×69mmの矩形を呈し、その厚さ
は100nmである。また、所定のマスクを用いた真空
蒸着法により、ITO層31が設けられている側の面上
に厚さ200nmのAl層からなる第1電極用リード部
および第2電極用リード部を形成した。
【0082】図3に示すように、第1電極用リード部3
2aは、帯状の突出部30aの上面と当該帯状の突出部
30aが設けられている辺の縁部からその内側3mmの
領域とに設けられたAl層からなり、当該第1電極用リ
ード部32aはITO層31の長手方向の一端と接して
いる。また、第1電極用リード部32bは、帯状の突出
部30bの上面と当該帯状の突出部30bが設けられて
いる辺の縁部からその内側3mmの領域とに設けられた
Al層からなり、当該第1電極用リード部32bはIT
O層31の長手方向の他端と接している。一方、第2電
極用リード部33aは、帯状の突出部30cの上面と当
該帯状の突出部30cが設けられている辺の縁部からそ
の内側3mmの領域とに設けられたAl層からなり、当
該第2電極用リード部33aとITO層31との間およ
び当該第2電極用リード部33aと第1電極用リード部
32a,32bとの間にはそれぞれ約1mmの間隙があ
る。また、第2電極用リード部33bは、帯状の突出部
30dの上面と当該帯状の突出部30dが設けられてい
る辺の縁部からその内側3mmの領域とに設けられたA
l層からなり、当該第2電極用リード部33bとITO
層31との間および当該第2電極用リード部33bと第
1電極用リード部32a,32bとの間にもそれぞれ約
1mmの間隙がある。
【0083】この後、上記のITO層31上に実施例1
と同様にして正孔輸送層(TPD層)、発光層(Alq
層)、および第2電極(Mg:Ag合金層)を順次積層
することによって、平面視上の大きさが67×69mm
の有機EL素子を形成して、目的とする有機ELパネル
を得た。ただし、第2電極を形成するにあたっては実施
例1で用いたものとは異なる形状の開口部を有するステ
ンレススチール製マスクを使用し、短手方向の一端が第
2電極用リード部33aに接し、短手方向の他端が第2
電極用リード部33bに接する第2電極を形成した。こ
の第2電極は、ITO層31および第1電極用リード部
32a,32bと電気的に絶縁されている。
【0084】上述のようにして得られた有機ELパネル
に、当該有機ELパネルの第1電極(ITO層31)を
陽極とし、第2電極(Mg:Ag合金層)を陰極として
電圧を印加したところ、一様に緑色に発光した。したが
って、有機ELパネルの作製過程での有機EL素子の熱
劣化はなかったものと認められる。
【0085】(2)液晶表示パネルの作製 まず、平面視上の形状が75×75mmの矩形を呈する
透明基板を2枚用意し、これらの透明基板の各々の片面
にストライプ幅が1.3mmの透明電極をストライプギ
ャップ0.1mmで48本形成し、その上にポリイミド
膜を積層した後、当該ポリイミド膜を所定方向にラビン
グ処理して配向膜とした。
【0086】そして、図4に示すように、一方の透明基
板40(片面に透明電極41aを48本形成し、その上
にポリイミド製の配向膜42aを設けたもの)の縁部に
シール材43を塗布し、その上から他方の透明基板44
(片面に透明電極41bを48本形成し、その上にポリ
イミド製の配向膜42bを設けたもの)を貼り合わせ
た。このとき、透明基板40に設けられている透明電極
41a(以下「下部透明電極41a」という。)のスト
ライプ方向と透明基板44に設けられている透明電極4
1b(以下「上部透明電極41b」という。)のストラ
イプ方向とが平面視上直交し、かつ、下部透明電極41
aと上部透明電極41bとが互いに対向するようにし
た。また、配向膜42aと配向膜42bとの間に所定の
セルギャップが形成されるようにした。なお、図4には
下部透明電極41a,上部透明電極41bの一部のみを
示した。
【0087】この後、シール材43に予め設けておいた
液晶注入口(図示せず)から液晶(メルク社製のZ24
59)を前記のセルギャップに真空注入法によって注入
して、液晶層45を形成した。液晶注入口は、液晶の注
入後に封止した。また、透基板40に偏光板46aを貼
り合わせ、透明基板44に偏光板46bを貼り合わせ
た。これらの偏光板46a,46bは、その吸収軸が互
いに90゜ずれるようにして配置した。上述のようにし
て偏光板まで貼り合わせることにより、目的とする液晶
表示パネル47が得られた。
【0088】(3)液晶表示装置の作製 まず、図4に示すように、上記(2)で作製した液晶表
示パネル47を構成している偏光板46aに、上記
(1)で作製した有機ELパネル50を貼り合わせた。
この貼り合わせは、有機ELパネル50を構成している
可撓性基板が偏光板46a上に位置するようにして有機
ELパネル50と液晶表示パネル47とを重ね、位置合
わせをした後に両者の側面に接着剤48を塗布し、この
接着剤48によって両者を接着することにより行った。
なお、図4中の符号51a,51bは、有機ELパネル
50の第1電極用リード部(可撓性基板における帯状の
突出部を含む)をそれぞれ示す。
【0089】次に、図5(a)に示すように、上記の液
晶表示パネル47を構成している上部透明電極41bの
各々をそれぞれ別個の出力線53により走査回路54に
接続し、上部透明電極41bの各々をそれぞれ別個の制
御回路(TG)55の出力端に接続した。各制御回路
(TG)55は図示を省略した電源に接続されており、
当該電源は接地されている。また、各制御回路(TG)
55は選択回路56に接続されており、当該選択回路5
6は表示メモリ57に接続されている。なお、図5
(a)に示されている下部透明電極41aおよび上部透
明電極41bの本数はそれぞれ8本であるが、これらの
透明電極の実際の本数は共に48本である。したがっ
て、制御回路(TG)55の実際の数も48個である。
【0090】また、図5(b)に示すように、上記の有
機ELパネル50を構成している第1電極用リード部5
1a,51bを直流電源58の陽極用出力端子58aに
接続し、第2電極用リード部52a,52bを直流電源
58の陰極用出力端子58bに接続した。
【0091】上述のように液晶表示パネル47の下部透
明電極41aおよび上部透明電極41bを所定の回路に
接続し、かつ、有機ELパネル50の第1電極用リード
部51a,51bおよび第2電極用リード部52a,5
2bを直流電源58に接続することにより、液晶表示装
置が得られた。この液晶表示装置においては、有機EL
パネル50がバックライトとして機能する。
【0092】上記の液晶表示装置を暗所におき、直流電
源58から直流電流を有機ELパネル50に通電して当
該有機ELパネル50を点灯させ、この状態下で、表示
メモリ57に記憶されている画像情報を基に液晶表示パ
ネル47をマルチプレックス駆動させたところ、所望の
画像が視認された。また、この液晶表示装置においては
有機ELパネル50を構成している第2電極が反射板の
役割を果たすので、明所においては有機ELパネル50
を点灯させなくても表示内容を視認することができた。
すなわち、当該液晶表示装置は反射型の液晶表示装置と
しても使用することができた。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば有
機EL素子が実質的に熱劣化を起こしていない有機EL
パネルを容易に提供することが可能になる。また、有機
ELパネルを面光源として、あるいはディスプレイパネ
ルとして備えた表示装置を容易に提供することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で有機ELパネルを作製するために使
用した可撓性基板と当該可撓性基板上に所定形状に形成
したITO層とを概略的に示す平面図である。
【図2】実施例1で作製した有機ELパネルの概略を示
す平面図である。
【図3】実施例2で有機ELパネルを作製するために使
用した可撓性基板と、当該可撓性基板上に所定形状に形
成したITO層、第1電極用リード部および第2電極用
リード部を概略的に示す平面図である。
【図4】実施例2で作製した液晶表示パネルと当該液晶
表示パネルに貼り合わされた有機ELパネルとを概略的
に示す断面図である。
【図5】図5(a)は実施例2で作製した液晶表示装置
における液晶表示パネルとその駆動回路を概略的に示す
図であり、図5(b)は実施例2で作製した液晶表示装
置における有機ELパネルとその電源を概略的に示す図
である。
【図6】本発明の有機ELパネルのうちの面光源用の有
機ELパネルを構成する可撓性基板の一形状を示す平面
図である。
【図7】図6に示した可撓性基板を用いた面光源用の有
機ELパネルの一例を示す平面図である。
【図8】図7に示した有機ELパネルの分解斜視図であ
る。
【図9】本発明の有機ELパネルのうちの面光源用の有
機ELパネルの他の一例を示す平面図である。
【図10】本発明の有機ELパネルのうちのディスプレ
イパネルの一例を示す平面図である。
【図11】図11(a)はリード部を設けた液晶表示パ
ネルの一例を示す平面図であり、図11(b)は図11
(a)に示したA−A線の断面の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 第1のリード部形成用領域 2 第2のリード部形成用領域 4 第1電極兼用導線 10 可撓性基板 20 有機ELパネル 22 有機EL素子 23 第2電極兼用導線 24 第1電極兼用導線用リード部 25 第2電極兼用導線用リード部 30 可撓性基板 32a,32b 第1電極用リード部 33a,33b 第2電極用リード部 47 液晶表示パネル 50 有機ELパネル 51a,51b 第1電極用リード部 52a,52b 第2電極用リード部 60 可撓性基板 62 第1電極用リード部を形成するための帯状の突出
部 64 第2電極用リード部を形成するための帯状の突出
部 71 第1電極 72 第1電極用リード部 74 第2電極 75 第2電極用リード部 80 有機ELパネル 81 第1電極 82 第1電極用リード部 83 第2電極 84 第2電極用リード部 85 可撓性基板 90 有機ELパネル 91 第1電極兼用導線 92 第1電極兼用導線用リード部 93 第2電極兼用導線 94 第2電極兼用導線用リード部 95 可撓性基板 96 第1電極兼用導線用リード部を形成するための領
域 97 第2電極兼用導線用リード部を形成するための領

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性基板上に形成された第1電極と、
    有機発光材料を含有する有機単層部または有機多層部を
    介して前記第1電極上に積層された第2電極とを有する
    1個または複数個の有機EL素子を備えた有機ELパネ
    ルにおいて、 前記第1電極および前記第2電極のそれぞれが、該第1
    電極および該第2電極を所定の回路に電気的に接続する
    ためのリード部と導通しており、該リード部が前記可撓
    性基板と同一の基板上に形成された導電性物質層からな
    ることを特徴とする有機ELパネル。
  2. 【請求項2】 リード部が物理的蒸着法によって可撓性
    基板上に形成された無機導電性物質層からなる、請求項
    1に記載の有機ELパネル。
  3. 【請求項3】 可撓性基板が透明プラスチックフィルム
    である、請求項1または請求項2に記載の有機ELパネ
    ル。
  4. 【請求項4】 第2電極が、正孔輸送層と有機発光材料
    からなる発光層とを含む有機多層部を介して第1電極上
    に積層されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項
    に記載の有機ELパネル。
  5. 【請求項5】 面光源である、請求項1〜請求項4に記
    載の有機ELパネル。
  6. 【請求項6】 液晶表示装置のバックライトである、請
    求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機ELパネ
    ル。
  7. 【請求項7】 複数個の有機EL素子を有し、該有機E
    L素子を画素とするディスプレイパネルである、請求項
    1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機ELパネル。
  8. 【請求項8】 複数個の有機EL素子をX−Yマトリッ
    クス型に配置して画素としたディスプレイパネルであ
    る、請求項7に記載の有機ELパネル。
  9. 【請求項9】 液晶表示パネルと、この液晶表示パネル
    の背面に配置された有機ELパネルからなるバックライ
    トとを具備し、 前記有機ELパネルが、可撓性基板上に形成された第1
    電極と、有機発光材料を含有する有機単層部または有機
    多層部を介して前記第1電極上に積層された第2電極と
    を有する1個または複数個の有機EL素子を備え、か
    つ、前記第1電極および前記第2電極のそれぞれが、該
    第1電極および該第2電極を所定の回路に電気的に接続
    するためのリード部と導通しており、該リード部が前記
    可撓性基板上に形成された導電性物質層からなることを
    特徴とする液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 画素としての有機EL素子を複数個有
    する有機ELパネルからなるディスプレイパネルと、前
    記有機EL素子を駆動するための駆動回路とを具備し、 前記有機ELパネルが、可撓性基板上に形成された第1
    電極と、有機発光材料を含有する有機単層部または有機
    多層部を介して前記第1電極上に積層された第2電極と
    を有する複数個の有機EL素子を備え、かつ、前記第1
    電極および前記第2電極のそれぞれが、該第1電極およ
    び該第2電極を所定の回路に電気的に接続するためのリ
    ード部と導通しており、該リード部が前記可撓性基板上
    に形成された導電性物質層からなることを特徴とする有
    機EL表示装置。
  11. 【請求項11】 有機ELパネルからなるディスプレイ
    パネルが、画素としての複数個の有機EL素子をX−Y
    マトリックス型に配置したものである、請求項10に記
    載の有機EL表示装置。
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