JPH08511326A - ガソリンフィードパイプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ポリアミドの外層、フルオロポリマー、特にＰＶＤＦの中間層、およびポリアミドの内層を有し、これらの層が接着結合剤の層によってそれぞれ相互に結合していることを特徴とするポリアミドベースの、特にエンジン用のガソリンフィードパイプ。

Description

【発明の詳細な説明】 ガソリンフィードパイプ技術分野 本発明は、特にエンジンに、なかでも自動車エンジンにガソリンを運ぶまたは 送るためのパイプに関する。本発明の深題であるこのパイプは、ポリアミドベー スのガソリンフィードパイプである。 安全のため、また環境を保護するため、自動車製造業者はガソリンパイプに強 度および柔軟性という機械的特性、ならびに浸透性に対する増大した耐性という 特性を課している。パイプは、できる限り石油製品およびそれらへの添加物、特 にメタノールを通さないものでなければならない。先行技術 現在、自動車業界ではポリアミドパイプがよく使われている。ポリアミド類は このパイプ用途のための理想的な素材を代表する。ポリアミド類の機械的強度は 優れており、またその柔軟性はパイプが壊れずに事実上自動車の寿命全体を通じ ての屈曲運動の累積に耐えるのに充分である。これらのポリアミドパイプは、浸 透性の点ではもはや自動車製造業者の新しい要求を満たすことができない。増え 続けるガソリン中のメタノールの存在によって、ポリアミドパイプの感受性はパ イプの膨潤として現れ、物理的特性の低下と寸法変化をもたらす。発明の説明 それゆえ本発明の目的は、ポリアミドの機械的特性を保持しつつ、これらの不 利益を克服することである。 したがって、本発明はポリアミドの外層、フルオロポリマー、好ましくはＰＶ ＤＦの中間層、およびポリアミドの内層を有し、これらの層がそれぞれ接着結合 剤の層によって相互に結合している、ポリアミドベースのガソリンフィードパイ プを提供する。 本発明の深題はそれゆえ、それぞれＰＡ／結合剤／フルオロポリマー／結合剤 ／ＰＡ（ＰＡはポリアミドを意味する）から作られた５つの層よりなるパイプで ある。 これらのパイプはガソリンをエンジンに送るのに特に適している。 使用されるポリアミドは、通常、熱可塑性脂肪族ポリアミドで、特にポリアミ ド１１（ＰＡ−１１）、ポリアミド１２（ＰＡ−１２）もしくはポリアミド１２ ，１２（ＰＡ−１２，１２）、または可塑化した、またはしていないポリアミド ６（ＰＡ−６）もしくはポリアミド６，６（ＰＡ−６，６）である。このポリア ミドは、場合により衝撃に耐えるように変更された生成物またはコポリマーであ ってもよい。外層および内層のポリアミドは、同一のものでも、違うものでもよ い。各ポリアミド層は、単一層よりなっても、またはそれぞれが異なるポリアミ ドからなるいくつかのサブ層からなってもよい。 このポリアミドは、ポリアミド用の通常の増量剤を含有してもよい。混合され る増量剤の量もまたそれ自身通常通りでよく、自動車製造業者の仕様によって決 まる。片方または両方のポリアミド層がこのような増量材を含有してよい。 本発明の一実施態様によれば、この増量剤はリグラインド（regrind）よりな る。「リグラインド」という用語は、製造過程での 出来損ないのパイプで、それゆえ意図する使用に不適であり、このようにリサイ クルされる。それゆえ、これらの出来損ないパイプをひいて粉にし、内層および ／または外層に混合することができる。 本発明によるフルオロポリマーのなかでは： −ビニリデンフルオリド（ＶＦ２）ホモポリマーおよびコポリマー、 −トリフルオロエチレン（ＶＦ₃）ホモポリマーおよびコポリマー、 −クロロトリフルオロエチレン（ＣＴＦＥ）、テトラフルオロエチレン（ＴＦ Ｅ）、ヘキサフルオロプロペン（ＨＦＰ）および／またはエチレンユニットおよ び場合によりＶＦ２および／またはＶＦ３ユニットの残基と結合しているホモポ リマーおよびコポリマー、そして特にターポリマーをあげることができる。例と しては、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）およびポリ（エチレン−テト ラフルオロエチレン）（ＥＴＦＥ）があげられる。 フルオロポリマーはまた、上記のフルオロポリマーの少なくとも７０重量％と 他のポリマーとの混合物をも意味するものである。 これらフルオロポリマーのうち有利に使用されるのは、ＶＦ２残基を少なくと も７０重量％含有するビニリデンフルオロイドホモポリマーまたはコポリマーで 、本明細書中ではこれをＰＶＤＦと称する。もしできあがった混合物中に少なく とも５０重量％のＶＦ２ユニットが存在するならば、ＰＶＤＦはまた、上記のも のと少なくとももう１つの熱過塑性ポリマーとの混合物をも意味するものである 。 フルオロポリマーの各層は単一層からなっても、またそれぞれが異なるフルオ ロポリマーで作られている多数のサブ層からなってもよい。 接着結合剤によってポリアミドの外層および内層と結合しているＰＶＤＦの中 間層よりなるこのようなパイプは、冷衝撃強度等の他の特性を自動車製造業者の 仕様限界内に維持しつつ、対応するポリアミドパイプと比較して透過性を少なく とも１０倍低下させることが可能であると判明した。 ポリアミドとフルオロポリマーの接着を確実にするために、ポリマー鎖にカル ボニル基を有するポリマー（例えばポリウレタン、ポリアミド、ポリウレア、ポ リエステル、エチレン−一酸化炭素基を有するコポリマー、またはこれらのコポ リマー誘導体またはこれらの混合物）が公知の方法で使用される。 フルオロポリマーはこの接着結合剤と１から５０重量％の比率で混合してもよ い。接着結合剤もまたフルオロポリマーを含有している場合は、接着結合剤内に 存在するフルオロポリマーは隣接するフルオロポリマー層に存在するものと同一 のものであることが好ましい。 他の熱可塑性ポリマーまたはコポリマーも、接着結合剤が少なくとも５０重量 ％の比率で存在するように接着結合剤に混合することができる。一方においてポ リアミドの外層とフルオロポリマー層の間に位置し、他方においてポリアミドの 内層とフルオロポリマー層の間に位置する接着結合剤の層は、同じものであって も違うものであってもよい。結合剤の各層は、単一層からなっても、またはそれ ぞれが異なる結合剤からなる複数のサブ層からなっ てもよい。 パイプの内側および外側の両者には付加的層を加えてもよい。このような層は 、ポリマー、被覆物等、着色用添加物、抗紫外線剤、酸化防止剤からなってもよ く、そして一般的には任意の公知の層でポリアミド層に加えることのできる物か らなってよい。 本発明の一実施態様によれば、ポリアミド層の厚さは０．３から１．８ｍｍの 間で、フルオロポリマー層の厚さは１０μｍから１ｍｍの間で、接着結合剤の層 の厚さは１０μｍから１ｍｍの間である。 ポリアミド層の厚さと結合剤層の厚さは同じでも、違っていてもよい。このよ うな構成物の厚さは、直径が一般的に６から１２ｍｍであるエンジン用ガソリン フィードパイプの製造に適するものである。 実際、フルオロポリマー、特にＰＶＤＦが有効にポリアミドと結合しているこ とが必須である。フルオロポリマーとポリアミドの間が結合していないパイプは 、良好な柔軟性をもち得ず、その結果、熱成形によって容易にくの字型に折り曲 げたり湾曲させたりすることができない。この場合、一番薄い素材が操作の間に しわを形成する。 さらに、層が互いに接着しない場合は、フルオロポリマーとポリアミドの２層 間で起こり得るガスの濃縮が、そのうちにパイプの一番薄い部分を変形させるこ とがある。さらにまた、パイプは相互に、ガソリンタンクおよびキャブレターに 結合器によって結合されるので、パイプの層が分離していると、結合器は漏れ防 止を確実にすることができない。最後に、フルオロポリマーがＰＶ ＤＦでパイプ内のＰＶＤＦ層の厚さが非常に小さく（例えば１０から２〜３０μ ｍ）かつ接着されていない場合、パイプ中の部分真空はポリビニリデンフルオリ ドフィルムを不可逆的に変形させ、パイプを使用不能にする。 本発明はまた、上記のパイプと同一であるがより大きい直径をもつパイプに関 する。それらは、例えば埋設されたガソリン貯蔵タンクとガソリンスタンドのポ ンプを結合するのに適している。 本発明によるパイプは、公知の方法により５つの成分を熱可塑性素材のそれぞ れに適切な公知の押し出し条件のもとで共押し出し成形することにより得られる 。５つの成分の共押し出しは、中間フルオロポリマー層、特にＰＶＤＦの層の押 し出しを容易にする。この層が「サンドイッチ」にされていない場合、その押し 出しは比較的困難である。発明を実施する方法 以下の実施例により本発明を説明するが、本発明を何ら限定するものではない 。実施例１ ５成分共押し出し装置により通常の方法で得られる外径８ｍｍのパイプは、以 下のものから作られる： ・質量に基づいて１３％のｎ−ブチルベンゼンスルフォンアミド（ＢＢＳＡ） で可塑化されたＰＡ−１２からなる、厚さ６００μｍの外層； ・以下の混合物からなる結合剤からなる厚さ１５０μｍの層： ＤＩＮ規格５３−５０５によって測定したショアＡ硬度が８８であ り、相対密度が１．１８であるポリエステルタイプの熱可塑性ポリ ウレタン６５重量部； ９０℃の融点及び１９０℃２．１６ｋｇのもとで６ｇ／１０ｍｉｎ のメルトフローを有する、無水マレイン酸でグラフトして機能化し たエチレン／ビニルアセテートコポリマー３５重量部； ・２３０℃５ｋｇのもとで８ｇ／１０ｍｉｎのメルトフローを有するＶＦ２ホ モポリマーであるＰＶＤＦからなる厚さ２５０μｍの層； ・上記で用いられた結合剤と同一の結合剤からなる１５０μｍの層； ・上記で外層に用いられたポリアミド１２と同一のＰＡ−１２からなる５００ μｍの内層。 このようにして得たこのパイプは、１５％のメタノールを含有する有鉛ガソリ ンに対し非常に低い浸透性を示す。また、このパイプは良好な機械的特性を示す 。実施例２ 外径８ｍｍおよび内径６ｍｍに寸法を定めた、ＰＡ／結合剤／ＰＶＤＦ／結合 剤／ＰＡパイプを共押し出し成形により作製する。 比較のため、上記のパイプと同一の単一層ポリアミドパイプ（厚さ１ｍｍ）を 押し出し成形する。 使用するポリアミドは、質量に基づいて７５％のｎ−ブチルベンゼンスルフォ ンアミド（ＢＢＳＡ）で可塑化された、曲げ係数が４５０ＭＰａ（ＩＳＯ規格１ ７８）で、ノッチド（notched）チャーピー（Charpy）衝撃強度が−４０℃で９ ｋＪ／ｍ²（ＩＳＯ規格１７９）であるＰＡ−１２である。 結合剤は以下のものを２軸のエクストルーダーで押し出し成形して得られる混 合物である： ・２３０℃５ｋｇのもとで１３ｇ／１０ｍｉｎのメルトフロー（ＩＳＯ規格１ １３３）を有するＶＰＶＤＦ Ｎｏ．１ ＶＦ２ホモポリマー（５０質量％）、 ・構造中に下記のユニット１、２、３および４を含有するアクリルイミドタイ プのコポリマーで： 酸性および無水モノマー１および３の重量パーセンテージ（コポリマーの合計質 量に対する）は６６％で、イミドモノマー２の重量パーセンテージ（コポリマー の合計質量に対する）は３から６％であり、該コポリマーは曲げ係数４、１００ ＭＰａ（ＩＳＯ規格１７８）を示す（１５％）、 ・および、メチルメタクリレートブタジエンスチレン（ＭＢＳ）コア−シェル （core-shell）タイプの衝撃緩和剤（３５％）。 中間層のＰＶＤＦ Ｎｏ．２は、２３０℃５ｋｇのもとで８ｇ／１０ｍｉｎの メルトフロー（ＩＳＯ規格１１３３）を有するＶＦ２ホモポリマーである。 衝撃強度および浸透性は、各パイプについて試験ガソリンを用いて測定される 。 パイプの衝撃強度を評価するために用いる規格は、ＤＩＮ規格５３４５３であ る。試験は−４０℃で実施される。 浸透性試験は「マイクロＳＨＥＤテスト」法にしたがって、試験ガソリンをパ イプ中で再循環させて実施する。試験ガソリンはＴＦ１で、容量を基礎としてエ タノール（９％）、イソオクタン（４５．５％）およびトルエン（４５．５％） の混合物である。この場合、再循環は４０℃圧力２バールのもとで実施する。 ＯＦ／１０＝規格にしたがった１０回のテストのうち、不合格なし。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ポリアミドの外層、フルオロポリマーの中間層、およびポリアミドの内層を 有し、これらの層が接着結合剤の介在層によってそれぞれ結合していることを特 徴とするポリアミドベースのガソリンフィードパイプ。 ２．フルオロポリマーがポリビニリデンフルオリドである請求項１に記載のパイ プ。 ３．使用されるポリアミドがＰＡ−１２、ＰＡ−１２，１２、ＰＡ−１１、ＰＡ −６およびＰＡ−６，６からなる群より選ばれる請求項１に記載のパイプ。 ４．接着結合剤がそのポリマー鎖にカルボニル基を含有するポリマーまたはコポ リマーである請求項１から３のいずれかに記載のパイプ。 ５．ポリアミド層に増量材が混合されている請求項１から３のいずれかに記載の パイプ。 ６．ポリアミド層に増量材として「リグラインド」が混合されている請求項１か ら３のいずれかに記載のパイプ。 ７．ポリアミド層の厚さが０．３から１．８ｍｍ、フルオロポリマー層の厚さが １０μｍから１ｍｍ、および接着結合剤の層の厚さが１０μｍから１ｍｍである 請求項１から３のいずれかに記載のパイプ。 ８．ガソリンをエンジンに送るのに使用するための請求項１から３のいずれかに 記載のパイプ。 ９．成分の押し出し成形によって得られる請求項１から３のいずれかに記載のパ イプ。