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JPH08337708A - エポキシ樹脂系組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂系組成物

Info

Publication number
JPH08337708A
JPH08337708A JP14666495A JP14666495A JPH08337708A JP H08337708 A JPH08337708 A JP H08337708A JP 14666495 A JP14666495 A JP 14666495A JP 14666495 A JP14666495 A JP 14666495A JP H08337708 A JPH08337708 A JP H08337708A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
group
resin composition
compound
cured product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14666495A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Murai
伸次 村井
Yoshihiko Nakano
義彦 中野
Rikako Kani
利佳子 可児
Shuji Hayase
修二 早瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP14666495A priority Critical patent/JPH08337708A/ja
Publication of JPH08337708A publication Critical patent/JPH08337708A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 寸法精度に優れ、かつ物理的特性、機械的特
性、電気的特性等も良好な硬化物を短時間で得ることが
可能なエポキシ樹脂系組成物の提供。 【構成】 有機金属化合物及び下記一般式(1)で表さ
れる繰返し単位を有する有機ケイ素化合物を触媒として
含有するエポキシ樹脂系組成物への光照射により、エポ
キシ樹脂を硬化させる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光照射により重合し得
るエポキシ樹脂系組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂系組成物は、耐熱性、耐薬
品性、電気的特性等の優れた例えば塗料、接着剤、封止
材として、現在まで電気、電子デバイス、航空、車輌、
土木建築といった幅広い分野で汎用されている。近年エ
ポキシ樹脂系組成物について、省エネルギーや作業性の
観点から光照射することで重合させる技術が注目されて
いるが、この技術は主として次の2種類に大別される。
【0003】第1は、エポキシ樹脂自体を光重合性を有
するアクリル酸等のビニル基含有化合物で変成し、導入
されたビニル基を介してエポキシ樹脂を光重合させると
いうものである。しかしながら、ビニル基含有化合物で
変成したエポキシ樹脂は、未変成のエポキシ樹脂よりも
密着性及び耐熱性が極めて低いという問題点を有してい
た。
【0004】一方第2には、エポキシ樹脂を光分解型の
触媒を用いて硬化させるものが挙げられる。このとき用
いられ得る触媒としては、例えば下式で表される錯体を
挙げることができる{マクロモレキュールス、第10巻、
1307頁、1977年〔Macromolecules、Vol.10、1307(197
7)〕;ジャーナル・オブ・ラジエーション・キュアリ
ング第5巻、2頁、1978年〔Journal of Radiation Cur
ing 、Vol.5、2(1978)〕;ジャーナル・オブ・ポリマ
ー・サイエンス、ポリマ・ケミストリイ・エディショ
ン、第17巻、2877頁、1979年〔Journal of Polymer Sci
ence、Polymer Chemistry Edition 、Vol.17、2877(197
9)〕;同上、第17巻、1047頁、1979年〔同上、Vol.17、
1047(1979)〕;ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエン
ス・ポリマー・レターズ・エディション、第17巻、759
頁、1979年〔Journal of Polymer Science、Polymer Le
tters Editoin 、Vol.17、759(1979) 〕;特開昭55−
65219号明細書;米国特許第4069054号明細
書;英国特許第1516511号明細書;英国特許第1
518141号明細書等参照}。
【0005】
【化2】
【0006】然るに、上述したような触媒を用いて得ら
れたエポキシ樹脂系組成物の硬化物は、良好な耐熱性等
の物理的特性や機械的特性を有するものの、強酸である
触媒がイオン性不純物となって残留することに起因し、
硬化物の電気的特性が低下する傾向があり、かつ耐腐食
性が不充分で時間の経過とともに劣化が進行するうえ、
作業性、取扱いの点でも満足できるものではなかった。
【0007】これに対し、硬化物中にイオン性不純物と
なって残留することがなく、しかもエポキシ樹脂を短時
間で硬化させることが可能な触媒として、有機金属化合
物及びα−ケトシリル化合物を配合してなるエポキシ樹
脂系組成物も、特開昭57−125212号等で提案さ
れている。しかしながら、これまでこのような触媒を用
いてエポキシ樹脂を硬化させた場合、一般にエポキシ樹
脂の重合に伴う体積収縮が生じ、硬化物の成形体等にお
いて引けが発生するといった不具合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の触媒が配合されたエポキシ樹脂系組成物では、エポキ
シ樹脂を硬化させた際の体積収縮に起因して寸法精度の
優れた硬化物を得ることが困難であるという問題を回避
することができなかった。
【0009】本発明はこのような問題を解決するために
なされたものであり、寸法精度に優れ、かつ物理的特
性、機械的特性、電気的特性等も良好な硬化物を短時間
で得ることが可能なエポキシ樹脂系組成物を提供するこ
とを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明のエポキ
シ樹脂系組成物は、 (a)エポキシ樹脂 (b)有機金属化合物 (c)下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する
有機ケイ素化合物を含有するものである。すなわち本発
明のエポキシ樹脂系組成物においては、エポキシ樹脂を
硬化させる触媒としてケイ素原子に直接結合した水素原
子を側鎖に有するポリシランが有機金属化合物と併用さ
れた点が特徴的である。
【0011】
【化3】
【0012】本発明において、第1の成分であるエポキ
シ樹脂は分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好まし
くは2〜5個有するものであれば特に限定されることな
く用いることができ、ここでのエポキシ基としては例え
【0013】
【化4】 等が挙げられる。さらにエポキシ樹脂は、アクリル変成
エポキシ樹脂に代表される分子中に不飽和二重結合を有
するものであってもよく、このようなエポキシ樹脂とし
ては、例えば次に示す不飽和二重結合を有する基が分子
中に導入されたもの等が用いられ得る。
【0014】
【化5】
【0015】なお本発明では、これらのエポキシ基や不
飽和二重結合を有する基において、炭素原子に結合して
いる水素原子が塩素原子、臭素原子、フッ素原子といっ
たハロゲン原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニ
ル基等で置換されていてもよい。ここでのアルキル基と
しては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基等が挙げられ
る。また分子中、エポキシ基及び不飽和二重結合を有す
る基が2種以上組合せて導入されていても構わない。
【0016】上述したようなアクリル変成エポキシ樹脂
は、目的に応じた分子設計によって任意に合成すること
ができ、一官能性または多官能性のエポキシ化合物と不
飽和カルボン酸とを塩化コリン等の触媒の存在下、有機
溶媒中で反応させればよい。このときの不飽和カルボン
酸には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、
マレイン酸及びこれらの誘導体等が用いられ得る。
【0017】一方、ここで用いることのできる一官能性
のエポキシ化合物としては、例えばエチレンオキシド、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキ
シド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジル
エーテル等が挙げられる。また多官能性のエポキシ化合
物は、一般にエポキシ樹脂として知られているものであ
れば特に制限はなく、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボ
ラック型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリグリ
シジルイソシアヌレート、ヒダントインエポキシ等の含
複素環エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ
樹脂;プロピレングリコール−ジグリシジルエーテル、
ペンタエリスリトール−ポリグリシジルエーテル等の脂
肪族系エポキシ樹脂;芳香族、脂肪族もしくは脂環式の
カルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得ら
れるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;スピロ環含有
エポキシ樹脂;o−アリル−フェノールノボラック化合
物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるグリシジ
ルエーテル型エポキシ樹脂;ビスフェノールAのそれぞ
れの水酸基のo−位にアリル基を有するジアリルビスフ
ェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物で
あるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が例示され
る。なお、これらの一官能性または多官能性のエポキシ
化合物は、単独または2種以上を混合して用いることが
できる。
【0018】さらに、上述したようなアクリル変成エポ
キシ樹脂の例を以下に具体的に示す。ただしここでのエ
ポキシ樹脂は全て、式中のアクリル基:−COOCH=
CH2 のかわりにメタクリル基:−COOC(CH3
=CH2 が導入されたものであっても構わない。
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】本発明では、特にアクリル変成エポキシ樹
脂を用いることで、これを硬化させる際の架橋点を増大
させることができ、得られる硬化物の機械的強度等を一
段と高めることが可能となる。ただしアクリル変成エポ
キシ樹脂は、未変成のエポキシ樹脂に比べそれ自体の密
着性、耐熱性等が低いので、全エポキシ樹脂中のアクリ
ル変成エポキシ樹脂の配合量を5〜95重量%に設定す
ることが好ましい。本発明において、第2の成分である
有機金属化合物としては、例えば各種の金属錯体、金属
酸化物、含金属ハロゲン化物、錯塩等が挙げられる。こ
れらの中でも、チタン、バナジウム、クロム、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウ
ム、ジルコニウム等の金属原子に、アルコキシ基、フェ
ノキシ基、アシルオキシ基、β−ジケトナト基、o−カ
ルボニルフェノラート基等が結合したものが好ましい。
【0023】ここで、アルコキシ基としては炭素数1〜
10の例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ
基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−
ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキ
シ基、n−ヘブチルオキシ基等が挙げられ、フェノキシ
基としては、フェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、
o−メトキシフェノキシ基、p−ニトロフェノキシ基、
2,6−ジメチルフェノキシ基等が挙げられ、アシルオ
キシ基としては、アセタト、プロピオナト、イソプロピ
オナト、ブチラト、ステアラト、エチルアセトアセタ
ト、プロピルアセトアセタト、ブチルアセトアセタト、
ジエチルマロラト、ジビバロイルメタナト等の配位子が
挙げられ、β−ジケトナト基としては、例えばアセチル
アセトナト、トリフルオロアセチルアセトナト、ヘキサ
フルオロアセチルアセトナト、
【0024】
【化9】 等の配位子が挙げられ、o−カルボニルフェノラート基
としては、例えばサリチルアルデヒダト等が挙げられ
る。
【0025】さらに本発明では、エポキシ樹脂を特に短
時間で硬化させることが可能となることから、有機金属
化合物として有機アルミニウム化合物を用いることが好
ましい。具体的には、例えばトリスメトキシアルミニウ
ム、トリスエトキシアルミニウム、トリスイソプロポキ
シアルミニウム、トリスフェノキシアルミニウム、トリ
スパラメチルフェノキシアルミニウム、イソプロポキシ
ジエトキシアルミニウム、トリスブトキシアルミニウ
ム、トリスアセトキシアルミニウム、トリスステアラト
アルミニウム、トリスブチラトアルミニウム、トリスプ
ロピオナトアルミニウム、トリスイソプロピオナトアル
ミニウム、トリスアセチルアセトナトアルミニウム、ト
リストリフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、ト
リスヘキサフルオロアセチルアセトナトアルミニウム、
トリスエチルアセトアセタトアルミニウム、トリスサリ
チルアルデヒダトアルミニウム、トリスジエチルマロラ
トアルミニム、トリスプロピルアセトアセタトアルミニ
ウム、トリスブチルアセトアセタトアルミニウム、トリ
スジビバロイルメタナトアルミニウム、ジアセチルアセ
トナトジビバロイルメタナトアルミニウム、
【0026】
【化10】 等を用いることができる。
【0027】なお本発明で用いられる有機金属化合物に
おいては、金属原子の全ての結合手が配位子と結合して
いる必要はなく、例えばアルミニウムが1個または2個
のアルコキシ基、フェノキシ基、アシルオキシ基、β−
ジケトナト基、o−カルボニルフェノラート基等と結合
したものであってもよい。また上述したような有機金属
化合物は、単独または2種以上を混合して用いることが
できる。
【0028】本発明のエポキシ樹脂系組成物において、
有機金属化合物の配合量は、エポキシ樹脂に対し0.0
01〜10重量%、さらには0.1〜5重量%に設定さ
れることが好ましい。これは、有機金属化合物の配合量
が0.001重量%未満だと、エポキシ樹脂を硬化させ
る際の重合効率が不充分となる傾向があり、逆に10重
量%を越えると、硬化物の密着性等が低下するおそれが
あるうえ、コスト高をも招くからである。
【0029】さらに、本発明の第3の成分である有機ケ
イ素化合物としては、ケイ素原子に直接結合した水素原
子を側鎖に有するポリシランであれば特に限定されず、
上記一般式(1)で表される繰返し単位を有するホモポ
リマーでもコポリマーでもよく、他の繰返し単位とのコ
ポリマーであっても構わない。本発明において、このよ
うなポリシランは光照射または加熱することによって、
ケイ素原子と水素原子との間の結合が切断された後大気
中等の酸素や水分を取りこむことで酸化され、シラノー
ル性水酸基を生成する。また同時に、主鎖のSi−Si
結合についても同様に切断され、その後酸化されてシラ
ノール性水酸基を生成し得る。
【0030】従って本発明のエポキシ樹脂系組成物で
は、こうして生成したシラノール性水酸基がエポキシ樹
脂に対して高い触媒活性を示し、エポキシ樹脂を非常に
短時間、かつ充分な重合効率で硬化させることができ
る。しかも、上述したようにポリシランが酸化される際
に酸素等を取りこむことに起因してその体積が膨張する
ので、エポキシ樹脂の重合に伴う体積収縮が相殺され
る。この結果、硬化物の成形体等における引けの発生等
を有効に抑えることが可能となり、かつここでのポリシ
ランは、電気的特性等の低下の原因となるイオン性不純
物となって硬化物中に残留することもない。
【0031】さらに本発明においては、上記一般式
(1)中のRが炭素数6〜24の置換もしくは非置換ア
リール基、または芳香族複素環基であるポリシランが特
に好ましく用いられる。これは、上記一般式(1)中の
Rが例えば水素原子やアルキル基であると、エポキシ樹
脂の硬化に当って生成したシラノール性水酸基が相互に
反応して触媒活性が失活されやすいのに対し、ケイ素原
子に芳香環が直接結合しているとシラノール性水酸基が
安定化するので、結果的に極めて充分な重合効率でエポ
キシ樹脂を硬化させることが可能となるからである。こ
こで、本発明において好ましく用いられ得るポリシラン
の具体例を示す。
【0032】
【化11】
【0033】なおこのようなポリシランは、ナトリウム
触媒存在下でのRSiHCl2 の還元的カップリング反
応、チタンあるいはジルコニウム触媒存在下でのRSi
3の脱水素反応、電解重合等によって合成され得る。
またここでは、例えば還元的カップリング反応によって
R′R″SiCl2 (ただしR′、R″は水素原子また
は置換もしくは非置換の炭化水素基を示す。)と共重合
させて、コポリマーを合成することもできる。さらに重
合度を制御する観点から、RSiHACl(ただしAは
末端基を示す。)等を適量共重合させてもよい。
【0034】ただし還元的カップリング反応でポリシラ
ンを合成すると、ナトリウム触媒がイオン性不純物とな
ってポリシラン中に残留し、結果的にエポキシ樹脂系組
成物の硬化物における電気的特性等の低下を招くおそれ
がある。これに対し、ジルコニウム触媒を用いた脱水素
反応を経て合成されたポリシランは、イオン性不純物が
全く含有されないばかりか、ポリマー末端でケイ素原子
と結合したシラノール性水酸基が生成されることもな
く、本発明において特に好ましく用いられ得る。
【0035】また本発明で用いられるポリシランの重合
度は、5〜10,000さらには10〜6,000程度
であることが好ましい。この理由は、ポリシランの重合
度が低いほど本発明のエポキシ樹脂系組成物を光照射に
よって硬化させる場合、ポリシランが光を吸収しにくく
重合効率が低下する傾向がある一方、ポリシランの重合
度が高すぎるとエポキシ樹脂や有機金属化合物との相溶
性が小さくなって、本発明のエポキシ樹脂系組成物の調
製が煩雑となるからである。
【0036】本発明のエポキシ樹脂系組成物において、
上述したようなポリシランの配合量は、エポキシ樹脂に
対し0.1〜20重量%、さらには1〜10重量%に設
定されることが好ましい。これは、ポリシランの配合量
が0.1重量%未満だと、エポキシ樹脂を硬化させる際
の重合効率が不充分となる傾向があり、逆に20重量%
を越えると、エポキシ樹脂系組成物の硬化物中ポリシラ
ンの光酸化物の残留量が多くなるうえ、コスト高をも招
くからである。
【0037】また本発明のエポキシ樹脂系組成物では、
特に光照射によりエポキシ樹脂を硬化させることを考慮
した場合は、光増感剤を適宜配合することが好ましい。
ここでの光増感剤としては、エポキシ樹脂の種類やその
硬化に当って使用される光源に応じて選択すればよく、
例えば芳香族炭化水素及びその誘導体、ベンゾフェノン
及びその誘導体、o−ベンゾイル安息香酸エステル及び
その誘導体、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾイ
ン、ベンゾインエーテル及びその誘導体、キサントン及
びその誘導体、チオキサントン及びその誘導体、ジスル
フィド化合物、キノン系化合物、ハロゲン化炭化水素基
含有化合物並びにアミン類等が挙げられる。
【0038】具体的には芳香族炭化水素及びその誘導体
として、例えばベンゼン、ベンゼン−d6 、トルエン、
p−キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブ
ロモベンゼン、ヨードベンゼン、ナフタレン、1−メチ
ルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナ
フタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレ
ン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1
−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1ーナフ
トール、2−ナフトール、ビフェニル、フルオレン、p
−テルフェニル、アセナフテン、p−クアテルフェニ
ル、トリフェニレン、フェナントレン、アズレン、フル
オランテン、クリセン、ピレン、1,2−ベンズピレ
ン、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,
10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアン
トラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、ペリレ
ン、テトラセン及びペンタセン等が挙げられる。
【0039】ベンゾフェノン及びその誘導体としては、
例えばベンゾフェノン、2,4−ジメチルベンゾフェノ
ン、2,4−ジクロロベンゾフェノン及び4,4′−ビ
ス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0040】o−ベンゾイル安息香酸エステル及びその
誘導体としては、例えばo−ベンゾイル安息香酸メチル
エステル、o−ベンゾイル安息香酸エチルエステル、o
−ベンゾイル安息香酸フェニルエステル、
【0041】
【化12】 等が挙げられる。
【0042】アセトフェノン及びその誘導体としては、
例えばアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3
−メチルアセトフェノン及び3−メトキシアセトフェノ
ン等が挙げられる。
【0043】ベンゾイン、ベンゾインエーテル及びその
誘導体としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベ
ンゾイントリフェニルシリルエーテル、
【0044】
【化13】 等が挙げられる。
【0045】キサントン及びその誘導体としては、例え
ばキサントン、2,4−ジメチルキサントン及び2,4
−ジクロロキサントン等が挙げられる。チオキサントン
及びその誘導体としては、例えばチオキサントン、2,
4−ジメチルチオキサントン及び2,4−ジクロロチオ
キサントン等が挙げられる。ジスルフィド化合物として
は、例えば
【0046】
【化14】 等が挙げられる。
【0047】キノン系化合物としては、例えばベンゾキ
ノン、ナフトキノン、アントラキノン、5,12−ナフ
タセンジオン及び2,7−ピレンジオン等が挙げられ
る。ハロゲン化炭化水素基含有化合物としては、例えば
四塩化炭素、ヘキサクロロエタン、四臭化炭素、
【0048】
【化15】
【0049】
【化16】 等が挙げられる。アミン類としては、例えばジフェニル
アミン、カルバゾール、トリフェニルアミン、
【0050】
【化17】 等が挙げらる。
【0051】さらにこれら以外の光増感剤としては、プ
ロピオフェノン、アントロン、ベンズアルデヒド、ブチ
ロフェノン、2−ナフチルフェニルケトン、2−ナフト
アルデヒド、2−アセトナフトン、1−ナフチルフェニ
ルケトン、1−アセトナフトン、1−ナフトアルデヒ
ド、フルオレノン、1−フェニル−1,2−プロパンジ
オン、ベンズニトリル、アセトン、ビアセチル、アクリ
ジンオレンジ、アクリジン、ローダミンB、エオシン、
フルオレセイン、
【0052】
【化18】 等が挙げられる。
【0053】なお本発明において、上述したような光増
感剤は単独または2種以上を混合して用いることがで
き、その配合量はエポキシ樹脂に対し0.001〜10
重量%、さらには0.01〜5重量%に設定されること
が好ましい。すなわち光増感剤の配合量が0.001重
量%未満だと、光照射によりエポキシ樹脂を硬化させる
際の感度の向上が小さく、逆に10重量%を越えると、
エポキシ樹脂系組成物の硬化物中光増感剤の残留量が多
くなってしまう。
【0054】本発明のエポキシ樹脂系組成物は、エポキ
シ樹脂の種類や各成分の配合比を適宜選択することによ
り、無溶剤型として室温で液状にも固形状にも調製する
ことが可能である。また、有機溶剤に各成分を溶解せし
めて本発明のエポキシ樹脂系組成物を調製することも可
能であり、ここでの有機溶剤としては、例えばトルエ
ン、キシレン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサン等の脂
肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
系溶剤、セロソルブ等のエステル系溶剤等を用いること
ができる。さらに本発明のエポキシ樹脂系組成物には、
上述したような各成分以外に、例えば酸無水物、フェノ
ール誘導体、顔料等の着色剤、無機質充填剤といった成
分を、必要に応じて配合しても構わない。
【0055】本発明のエポキシ樹脂系組成物において、
エポキシ樹脂の硬化に当っては、光照射、加熱やこれら
の組合せ、さらには光照射及びアフターキュア等の方法
を適宜採用することができるが、光照射単独または光照
射と加熱あるいはアフターキュアの組合せによってエポ
キシ樹脂を硬化させることが好ましい。このとき照射す
る光の波長は、エポキシ樹脂系組成物の組成によっても
異なるが通常180〜700nm程度であることが好ま
しく、特に紫外線の照射は有効である。
【0056】また光照射時間についても、エポキシ樹脂
系組成物の組成や使用する光源に応じて適宜設定される
が、通常は1秒〜180分、好ましくは数秒〜10分程
度である。一方、光照射と加熱の組合せによってエポキ
シ樹脂を硬化させる場合、加熱温度はエポキシ樹脂系組
成物の組成を考慮したうえで20〜200℃、さらには
60〜150℃の間で設定されることが好ましい。さら
に、光照射に続いてアフターキュアを行なうときは、エ
ポキシ樹脂系組成物の組成に応じて、50〜200℃好
ましくは100〜180℃で10分〜10時間、好まし
くは20分〜5時間程度加熱すればよい。
【0057】なおここでの光源としては、通常使用され
るものであれば特に限定されるものではなく、例えば低
圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、カーボンアークラン
プ、メタルハロゲンランプ、キセノン−水銀ランプ、キ
セノンランプ、水素放電管、タングステンランプ、ハロ
ゲンランプ、ナトリウム放電管、ネオン放電管、アルゴ
ン放電管、He−Neレーザー、Arイオンレーザー、
2 レーザー、Cdイオンレーザー、He−Cdレーザ
ー、色素レーザー等が挙げられる。また本発明におい
て、これらは単独または組合せて使用することができ
る。
【0058】上述した通り本発明のエポキシ樹脂系組成
物は、室温で液状にも固形状にも調製することができ、
注型、含浸、成形用等に幅広く供することが可能であ
る。従って、塗料、接着剤、封止材、電気絶縁材、イン
キ、表面コート材、製版材といった各種用途に好ましく
用いられ得る。
【0059】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。 実施例1 まず、エポキシ樹脂としてセロキサイド2021(商品
名、ダイセル社製;脂環式、エポキシ当量145)、エ
ピコート828(商品名、シェル化学社製;ビスフェノ
ールA型、エポキシ当量190〜210)及びエピコー
ト1001(商品名、シェル化学社製;ビスフェノール
A型、エポキシ当量450〜525、分子量900);
有機金属化合物としてトリスエチルアセトアセタトアル
ミニウム(TEAACA)、トリスプロピルアセトアセ
タトアルミニウム(TPAAA)、トリスアセチルアセ
トナトアルミニウム(TAANA)及びトリスサリチル
アルデヒダトアルミニウム(TSAA);有機ケイ素化
合物としてポリシラン(PS−1)〜(PS〜5)及び
トリフェニルブチルオキシシラン;光増感剤としてベン
ゾフェノン及びチオキサントンをそれぞれ表1に示す処
方に従って配合し、実施例または比較例のエポキシ樹脂
系組成物を調製した。さらに有機金属化合物及び有機ケ
イ素化合物のかわりに、トリフェニルスルホニウムヘキ
サフルオロアルシネートを触媒とした比較例のエポキシ
樹脂系組成物も併せて調製した。ただし、表中の各成分
の配合量はいずれも重量部を示すものであり、以下につ
いても全て同様とする。なお、ここで用いたポリシラン
(PS−1)〜(PS−5)の化学式を次に示す。
【0060】
【化19】
【0061】次いでこれらのエポキシ樹脂系組成物を、
400番のサンドペーパーで処理したブリキ板の上に塗
布し、塗膜を形成した。続いて、80W/cmの空冷水
銀ランプ3本がコンベア面から10cmの高さに配設さ
れた光硬化ボックス内に導入し、コンベア速度10m/
分としてエポキシ樹脂の硬化を進行させた。このとき、
指触により全ての硬化が完了するまでボックス内での光
照射を反復し、その反復回数を数えた。
【0062】また硬化後、硬化物の鉛筆硬度及び密着性
を測定するとともに、エポキシ樹脂の硬化に先だちエポ
キシ樹脂系組成物を25℃で暗所に放置したときのゲル
化までの日数を調べた。ただしここでの硬化物の密着性
については、塗膜の硬化物にゴバン目状のキリキズを入
れてから粘着テープによる剥離試験を行ない、100個
のゴバン目中ブリキ板上に残ったゴバン目の数で評価し
た。さらに、硬化前のエポキシ樹脂系組成物及び硬化物
の比重を求めこれらを比較することで、エポキシ樹脂の
硬化時における体積収縮率を算出した。結果を表1に併
記する。表1に示されるように、本発明の実施例である
試料No.1〜7のエポキシ樹脂系組成物では、体積収
縮が小さく物理的特性、機械的特性等も良好な硬化物が
短時間の光照射で得られていることが判る。
【0063】
【表1】
【0064】実施例2 実施例1の試料No.1のエポキシ樹脂系組成物100
重量部に対し、顔料として酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛、フタロシアニングリーン、フタ
ロシアニンブルー及びカーボンブラックをそれぞれ表2
に示す処方に従って配合して、試料No.1〜6のエポ
キシ樹脂系組成物を調製した。また実施例1の試料N
o.10のエポキシ樹脂系組成物100重量部に対し、
カーボンブラック10重量部を配合して、試料No.7
の比較例のエポキシ樹脂系組成物を調製した。
【0065】次いでこれらのエポキシ樹脂系組成物につ
いて、実施例1と全く同様にブリキ板上で塗膜の硬化物
を得た後、指触乾燥度、鉛筆硬度、密着性及び体積収縮
率の測定を行なった。結果を表2に併記する。表2に示
されるように、試料No.1〜6の実施例のエポキシ樹
脂系組成物ではいずれについても良好な結果が得られ
た。
【0066】
【表2】
【0067】実施例3 まず、エポキシ樹脂としてセロキサイド2021及びチ
ッソノックス234(商品名、チッソ(株)製、脂環式
エポキシ樹脂、エポキシ当量約140)、有機金属化合
物としてTEAACA、有機ケイ素化合物としてポリシ
ラン(PS−1)、(PS−3)〜(PS−5)、顔料
としてフタロシアニングリーン、無機質充填剤として純
度99%以上で厚み4μm、粒度20〜24メッシュ、
見掛比重0.29g/mlのガラスフレークをそれぞれ
表3に示す処方に従って配合し、実施例または比較例の
エポキシ樹脂系組成物を調製した。さらに有機金属化合
物及び有機ケイ素化合物のかわりに、トリフェニルスル
ホニウムヘキサフルオロアルシネートを触媒とした比較
例のエポキシ樹脂系組成物も併せて調製した。
【0068】次いで、これらのエポキシ樹脂系組成物を
均一に混合したうえで、予めサンドペーパーで錆を取り
除きかつ脱脂洗浄した120mm×40mm×1.6m
m寸法の軟鋼製基材の上に0.5mmの厚さに塗装し
た。続いて、それぞれ80W/cmのメタルハライドラ
ンプを装着した紫外線照射装置内に3分間導入してエポ
キシ樹脂を硬化させた。
【0069】この後、各試料を5%の苛性ソーダ溶液、
15%の塩酸溶液または水道水の中に浸漬し錆の発生の
有無や塗装状態を観察することで、耐アルカリ性試験、
耐酸性試験、耐水性試験をそれぞれ行なった。またこれ
とは別に実施例1と全く同様にして、エポキシ樹脂の硬
化時における体積収縮率を算出した。結果を表3に併記
する。表3に示されるように、本発明の実施例である試
料No.1〜4においては、いずれも体積収縮が小さく
耐腐食性の優れた硬化物が得られていることが明らかで
ある。
【0070】
【表3】
【0071】実施例4 まず、エポキシ樹脂としてセロキサイド2021及びエ
ピコート828、有機金属化合物としてTEAACA、
有機ケイ素化合物としてポリシラン(PS−1)、(P
S−4)、(PS−5)、光増感剤としてベンゾフェノ
ンをそれぞれ表4に示す処方に従って配合して、試料N
o.1〜4のエポキシ樹脂系組成物を調製した。一方、
予め0.12mm×10cm×20cmの寸法に切断し
た平織ガラスクロスを6枚重ね、これら全体を幅1mm
のシリコーン製ゴムをスペーサとして介在させたガラス
板2枚で挟み、3mmHgの圧力下60〜80℃で均一
に混合した各エポキシ樹脂系組成物をガラスクロスに含
浸させた。
【0072】次いで、このガラスクロスを1kW高圧水
銀ランプH1000PQ(東京芝浦電気(株)製)を2
本配した光硬化ボックス内に導入し、5回/minの速
度で回転させながら3分間紫外線を照射した。続いて、
150℃で30分加熱してエポキシ樹脂を硬化させ、厚
さ1mmの樹脂板を作製した。
【0073】この後、各試料について180℃での誘電
正接値tanδ及び体積固有抵抗を測定した。またこれ
とは別に、エポキシ樹脂の硬化に先だちエポキシ樹脂系
組成物を20℃で暗所に放置したときのゲル化までの日
数を調べるとともに、実施例1と全く同様にしてエポキ
シ樹脂の硬化時における体積収縮率を算出した。結果を
表4に併記する。表4から明らかなように、いずれの試
料のエポキシ樹脂系組成物においても体積収縮が小さく
電気的特性の良好な硬化物を得ることができた。
【0074】
【表4】
【0075】実施例5 まず、重合度約500のポリビニルアルコールを水に溶
解したポリビニルアルコールの10%溶液を用意し、こ
の溶液40gとTH−106(商品名、保土谷化学製感
熱カラーフオマー:2−(2−クロロフェニルアミノ)
−6−ジエチルアミノフルオラン)4g及び直径3mm
のガラスビーズ90gをステンレス製容器内で3時間混
練して、第1の組成物を調製した。次いで同様のポリビ
ニルアルコールの10%溶液40gを、ビスフェノール
A7g、蒸留水10g及び直径3mmのガラスビーズ9
0g、またはジメチルテレフタレート7g、蒸留水10
g及び直径3mmのガラスビーズ90gと同様に混練
し、それぞれ第2、第3の組成物を調製した。
【0076】次に、これら第1〜第3の組成物を重量比
で3:10:3の割合に混合し、混合物を50g/mの
高質紙に塗布した後室温で乾燥せしめ、感熱紙を作製し
た。ただし塗布量はドライソリッドで約5g/m3 とし
た。さらに、実施例1の試料No.1のエポキシ樹脂系
組成物を5μmの厚さに塗布し、80W/cmのメタル
ハライドランプを装着した紫外線照射装置中光源との距
離を25cmとして紫外線を照射することでエポキシ樹
脂を硬化させ、トップコートを施した。
【0077】続いて、上述したような感熱紙に対しロー
ジアセタ型のサーモテスタで発色テストを行なった後、
表面にフタル酸ジブチル、ジラウリルフタレート、ジオ
クチルフタレート、トリクレシルリン酸をそれぞれ塗布
し室温で1週間以上放置したところ、特に退色は認めら
れなかった。一方、トップコートを施さなかった感熱紙
について同様の処理を施したところ、いずれの場合も3
日以内に退色が認められた。
【0078】実施例6 実施例1の試料No.6のエポキシ樹脂系組成物を透明
容器に注入し、この中に発光素子を所定の位置まで埋没
させた後、光源となる2本の2kWの高圧水銀ランプと
の距離を10cmとして1分×2回の光照射でエポキシ
樹脂を硬化させた。こうして作製された樹脂封止型発光
装置の各特性を調べた結果を表5に示す。表5に示され
るように、ここでの樹脂封止型発光装置においてはいず
れの特性についても充分な結果が得られており、エポキ
シ樹脂系組成物の硬化物の物理的特性、機械的特性、電
気的特性等が良好であることが判る。
【0079】
【表5】
【0080】実施例7 まず、3−カルボキシ−N−フェニルマレイミド22
g、CY175(商品名、チバガイギー社製脂環式エポ
キシ樹脂:エポキシ当量133〜154)280g、ト
ルエン55g及び塩化コリン1.5gを反応容器に投入
してトルエンの環流温度下で反応させ、反応終了後抽出
して溶剤を留去しエポキシ樹脂を合成した。なお、ここ
で合成されたエポキシ樹脂の酸価は1mg(KOH)/
gであった。
【0081】次にこのエポキシ樹脂100重量部に対
し、有機金属化合物としてTEAACA1.0重量部、
有機ケイ素化合物としてポリシラン(PS−1)4重量
部、光増感剤としてベンゾフェノン1.0重量部を配合
した後、均一に混合してエポキシ樹脂系組成物を調製し
た。次いで、以下に示す導体A〜Eのいずれかをエポキ
シ樹脂系組成物に浸漬し、この後光源となる5kWのメ
タルハライドランプ(東芝製:80W/cm)との距離
を10cmとして5分間光照射せしめ、さらに150℃
で1時間加熱してエポキシ樹脂を硬化させた。
【0082】A:アミドイミド処理した電線(昭和電線
AIW線、直径1mm)から作製したヘリカルコイル B:エステルイミド処理した電線(昭和電線EIW線、
直径1mm)から作製したヘリカルコイル C:無処理の裸線(昭和電線KIW線、直径0.9m
m)から作製したヘリカルコイル D:0.75kWモータの回転子(昭和電線AIW線) E:2cm幅のエポキシシラン処理ガラスクロスをハー
フラップで4回巻いたアルミバー(100×50×50
0mm) こうして作製された試料No.1〜5の巻線型電気機器
について、それぞれ樹脂たれ落ち率を求めた。また導体
がヘリカルコイルである試料No.1〜3では、JIS
−C2103−29−3(1977)試験法に準じて曲
げ強度を併せて測定した。一方これら実施例との比較の
ため、エポキシ樹脂系組成物中に配合された有機ケイ素
化合物がポリシラン(PS−5)である以外は試料N
o.1と全く同一である試料No.6の巻線型電気機
器、及びエポキシ樹脂系組成物中の触媒として有機金属
化合物及び有機ケイ素化合物のかわりにBF3 ピペリジ
ンを配合した以外は試料No.1と全く同様の試料N
o.7の巻線型電気機器を作製し、同様に樹脂たれ落ち
率及び曲げ強度を調べた。結果を表6に示す。表6に示
されるように試料No.1〜5の実施例においては、い
ずれについても良好な結果が得られた。
【0083】
【表6】
【0084】さらに、エポキシ樹脂系組成物中の有機金
属化合物としてTEAACAのかわりにトリスエチルア
セトアセタトチタニウム(TEAATi)またはトリス
エチルアセトアセタトクロム(TEAACr)を配合
し、光照射後の加熱時間を3時間とした以外は試料N
o.1と全く同様にして巻線型電気機器を作製し、曲げ
強度を測定した。この場合も曲げ強度はそれぞれ5.
8、5.1であり、いずれも良好な値であった。
【0085】実施例8 エポキシ樹脂として(EP−1)または(EP−2)の
いずれか一方100重量部に対し、有機金属化合物とし
てのTAANA0.4重量部及び有機ケイ素化合物とし
てのポリシラン(PS−1)、(PS−4)または(P
S−5)2重量部を配合し、表7に示される試料No.
1〜4のエポキシ樹脂系組成物を調製した。なお、ここ
で用いたエポキシ樹脂(EP−1)、(EP−2)の化
学式を次に示す。
【0086】
【化20】
【0087】次いで、これらのエポキシ樹脂系組成物を
ブリキ板の上に塗布し塗膜を形成した後、光源となる8
0W/cmのメタルハライドランプとの距離を6.5c
mとして光照射し、エポキシ樹脂が硬化するまでの硬化
時間をそれぞれ測定した。またこれとは別に実施例1と
全く同様にして、エポキシ樹脂の硬化時における体積収
縮率を算出した。結果を表7に併記する。表7に示され
る通り、本発明の実施例である試料No.1〜3のエポ
キシ樹脂系組成物では、いずれも短時間の光照射で硬化
物を得ることができ、しかもこのときのエポキシ樹脂の
硬化に伴う体積収縮は非常に小さいことが確認された。
【0088】
【表7】
【0089】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のエポキシ
樹脂系組成物においては体積収縮が小さく寸法精度に優
れ、かつ物理的特性、機械的特性、電気的特性等も良好
な硬化物を短時間で得ることが可能であり、その工業的
価値は大なるものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早瀬 修二 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)エポキシ樹脂 (b)有機金属化合物 (c)下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する
    有機ケイ素化合物を含有することを特徴とするエポキシ
    樹脂系組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】上記一般式(1)中のRが炭素数6〜24
    の置換もしくは非置換アリール基及び芳香族複素環基の
    いずれか1種であることを特徴とする請求項1記載のエ
    ポキシ樹脂系組成物。
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