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JPH0817209A - 照明対象領域選択性照明装置 - Google Patents

照明対象領域選択性照明装置

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Publication number
JPH0817209A
JPH0817209A JP6170389A JP17038994A JPH0817209A JP H0817209 A JPH0817209 A JP H0817209A JP 6170389 A JP6170389 A JP 6170389A JP 17038994 A JP17038994 A JP 17038994A JP H0817209 A JPH0817209 A JP H0817209A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
scattering
illumination
parallel
lighting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6170389A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Koike
康博 小池
Takayuki Arai
孝之 荒井
Yukitoshi Hattori
幸年 服部
Eizaburo Higuchi
榮三郎 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Enplas Corp
Hayashi Telempu Corp
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Enplas Corp
Hayashi Telempu Corp
Nitto Jushi Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Enplas Corp, Hayashi Telempu Corp, Nitto Jushi Kogyo Co Ltd filed Critical Enplas Corp
Priority to JP6170389A priority Critical patent/JPH0817209A/ja
Publication of JPH0817209A publication Critical patent/JPH0817209A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平行光束化素子を利用して、薄型で簡単な構
成を有する照明対象領域選択性の照明装置を提供するこ
と。 【構成】 平行光束化素子1は、例えばポリメチルメタ
クリレート中にシリコーン系樹脂材料を0.07wt%
の割合で一様に分散させた指向出射性の光散乱導光体で
構成される。Lは平行光束化素子1の入射面2の近傍に
配置された直管状の蛍光ランプで、周囲に光の散逸を防
止する反射体Rが配置される。4,5は各々平行光束化
素子1の裏面及びそれに密着させて設けられた反射箔で
ある。蛍光ランプLから放射された光は、入射面2から
平行光束化素子1内に入り、最薄部6へ向けて導光され
ながら光取出面3から平行化された光束として斜め方向
に徐々に出射される。この時の出射角βは65°±10
°程度となる。天井CLの壁面WLからやや離れた位置
に浅い凹部RCを設け、照明装置全体を収容・設置すれ
ば、10で示されたような領域を選択的に照明するウォ
ールウォッシャ型の照明が得られ、絵画PCを際だたせ
る局所照明が実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、指向性を有する照明
光束によって所望の対象領域を選択的に照明する照明装
置に関し、特に、住宅、オフィス、店舗、ホテル、レス
トラン等の居住用施設や商業用施設の内外における一般
照明の用途の他、それら施設や美術館などの文化施設あ
るいは公共用施設における展示品等を際だたせて照明す
る局所的照明の用途に用いて有利な照明対象領域選択性
の照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】居住用施設、商業用施設、文化施設、公
共用施設等における室内あるいは屋外の照明用に様々な
照明装置が使用されているが、それらは照明対象領域の
選択性の有無乃至強弱によって、「照明対象領域非選択
性」の照明装置と「照明対象領域選択性」の照明装置に
大別することが出来る。図1,図2は使用頻度が高いダ
ウンライト型の照明装置の場合を例にとり、従来から利
用されている照明装置における照明の様子を表わしたも
のである。
【0003】先ず、図1は照明対象領域非選択性の照明
装置の代表例として、居住用施設内における室内の全般
照明用の照明装置の使用状態を示したものである。本例
においては、天井CLに凹部RCを設け、光源L1が凹
部RCに隠れない状態で照明装置が取り付けられてい
る。光源L1から出射された光は、矢印群で示したよう
に多方向に伝播し、直接照明光及び一部は間接照明光と
して、床部BS、壁面WL、室内備品FN等を含む室内
全般を照明する。即ち、この類型に属する照明装置は、
照明対象領域に格別の選択性が無く、室内の特定の箇所
を選択的あるいは限定的に照明するものではない。
【0004】このような照明装置においては、光源L1
から出射される光に指向性を持たせる必要は殆どなく、
むしろ出来るだけ多方向に光が伝播されることが望まれ
るのが通常である。従って、光源L1からの出射光に指
向性を持たせる為の付加構成あるいは設置条件を特に考
える必要がないので、光源L1として、図示したような
略球状の白熱ランプを用いる代わりに、長管状あるいは
直管状の放電管(例えば、細管状の蛍光ランプ)を用い
ることも困難ではない。
【0005】次に、図2は照明対象領域選択性の照明装
置の代表例として、いわゆるウォールウォッシャ型及び
スポットライト型の照明装置の使用状態を示したもので
ある。前者は主として壁面WLを選択的に照明するもの
で、ここでは、天井CLに凹部RCを設け、凹部RCに
比較的浅く収容された状態で配設された光源L2からの
光が、壁面WLに掛けられた絵画PCの付近に限定的に
投射された様子が描かれている。
【0006】後者は更に限定された特定領域を選択的に
照明するもので、ここでは、天井CLに凹部RCを設
け、凹部RCに比較的深く収容された状態で配設された
光源L3からの光が、鑑賞用の草花FLの付近に限定的
に投射された様子が描かれている。
【0007】このような照明対象領域選択性の照明装置
においては、光源L2,L3から出射される光に指向性
を持たせることによって、照明範囲が無制限に拡がらな
ようにする必要がある。そして、一般の照明装置に使用
される通常の光源(白熱ランプ、蛍光ランプ等)からの
放射光自体が指向性を持つことは期待し難いから、何ら
かの手段によって照明光束に指向性を持たせなければな
らない。特に、柔らかい照明光を得る為に、光源L2,
L3の前面に光拡散板を配置した場合には、照明範囲が
より拡がり易くなる。
【0008】図3(1)〜(6)は、照明光束に指向性
を与える為に従来より用いられている手段の基本形を示
したものであり、(1),(3),(5)は天井埋め込
み型の配置を表わし、(2),(4),(6)は
(1),(3),(5)の各々に対応した非埋め込み型
の配置を表わしている。なお、非埋め込み型の配置で使
用されている筒体SLは天井CLから垂下された吊り部
材SPに支持されており、多くの場合、回転軸AXの周
りで角度調節を行なった上で適当な締め具(図示省略)
によって固定され得るように設計されている。
【0009】先ず、図3(1)及び(2)を参照する
と、光源L4,L5を内側表面を鏡面乃至反射面M1と
した深い凹部RCまたは長い筒体SLの内部に収容した
配置が示されている。
【0010】これらの配置によれば、光源L4,L5か
ら放射された光の内、凹部RCまたは筒体SLの軸線に
沿った直進光は、鏡面乃至反射面M1で反射することな
く照明光束となる一方、凹部RCまたは筒体SLの軸線
に対して大きく傾斜した方向に放射された光の相当部分
が鏡面乃至反射面M1における反射作用を受けてから、
照明光束となる。
【0011】次に、図3(3)及び(4)には、光源L
6,L7を凹部RCまたは筒体SLの内部に収容すると
共に、光源L6,L7を取り囲むように曲面反射体(典
型的には放物面鏡)M2を配置したものが示されてい
る。光源L6,L7から放射された光の内、凹部RCま
たは筒体SLの軸線に沿った直進光は、曲面反射体M2
で反射することなく照明光束となる一方、凹部RCまた
は筒体SLの軸線に対して傾斜した方向に放射された光
の相当部分は、曲面反射体M2で反射作用を受け、凹部
RCまたは筒体SLの軸線に沿った方向に伝播する光に
転換されてから照明光束となる。
【0012】更に、図3(5)及び(6)には、光源L
8,L9を内側表面を鏡面乃至反射面M1とした凹部R
Cまたは筒体SLの内部に収容すると共に、光源L6,
L7の前面側にレンズ手段LS(単レンズまたは複合レ
ンズ)を配置したものが示されている。光源L8,L9
から凹部RCまたは筒体SLの開口側に向かって放射さ
れた光は、伝播方向を凹部RCまたは筒体SLの軸線方
向に揃えられて照明光束となる一方、光源L8,L9か
ら側方乃至後方に放射された光の相当部分は、鏡面乃至
反射面M1による反射作用を受け、その一部がレンズ手
段LSに入射し、伝播方向を凹部RCまたは筒体SLの
軸線方向に揃えられて照明光束となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、照明光
束に指向性を与える為に上記したような従来型の配置を
用いた場合には、次のような問題が生じる。 1.図3(1),(2)の型の配置では、照明光束に指
向性を確保する為に、凹部RCの深さあるいは筒体SL
の長さlを開口寸法dに比べて大きくする必要がある。
従って、(1)の埋め込み型の配置を採用しようとする
と、天井CL等設置面への埋め込み高さが大きくなるこ
とが避けられず、また、(2)の型の配置を採用した場
合には、内面を鏡面乃至反射面とした長い筒体SLが必
要となり、照明装置全体が大型化、重量化すると共にコ
スト的にも有利では無い。
【0014】使用する光源L4,L5の形状及び寸法に
ついてもかなりの制約を受け、大型の光源や省電力低発
熱性の長管状あるいは直管状の放電管(例えば、細直管
状の蛍光ランプ)を使用するに適した構造とは言い難
い。比較的短尺で高輝度の直管状放電管も開発されてい
るが、凹部RCあるいは筒体SLの軸方向と直管状放電
管の長さ方向とを平行にとった配置では光利用効率が悪
くなり、直管状放電管の長さ方向を凹部RCあるいは筒
体SLの軸方向に直交乃至交差させた配置を採用して
も、照明光束に指向性を確保する為に凹部RCあるいは
筒体SLの長さが必要なことに変わりはなく、照明装置
の奥行き方向のサイズを縮小する上で有効性が高いとは
言えない。また、凹部RCあるいは筒体SL内を直管状
放電管が跨ぐような配置では、光源から放射される光強
度分布について、凹部RCあるいは筒体SLの軸周りの
対称性が崩れ易いという問題もある。
【0015】更に、いすれの光源を用いた場合でも、光
源L4,L5を開口から奥まった位置に配置せざるを得
ないので、光の利用効率を高めることが難しく、光の利
用効率の低下を防止する為に凹部RCあるいは筒体SL
の内側反射面M1の反射率を高める必要があるが、そう
すると照明光の柔らかさが低下する欠点も生じてくる。
【0016】2.図3(3),(4)の型の配置では、
照明光束に指向性を確保する為に高反射率の曲面反射体
M2を必要とし、凹部RCあるいは筒体SL内部に曲面
反射体M2を配置する為のスペースを要するので、やは
り奥行き方向の長さが大きくなり、天井CL等設置面へ
の埋め込み高さが大きくなる欠点がある。また、高反射
率の曲面反射体M2と長い筒体SLが必要となること
は、コスト的にも有利では無い。
【0017】更に、使用する光源L8,L9の形状及び
寸法について制約を受けることは(1),(2)の型の
配置と同様であり、大型の光源や省電力低発熱性の長管
状あるいは直管状の放電管を使用する上で適正度が高い
とは言い難い。
【0018】3.図3(5),(6)の型の配置は、
(1)〜(4)の配置に比べて奥行き方向の長さを小さ
く出来るが、照明光束の指向性を向上させるには光源L
6,L7とレンズ手段LSの間に焦点距離程度の間隔が
必要となる。従って、光源L4,L5を開口からある程
度奥まった位置に配置せざるを得ず、光の利用効率を高
めることが難しい。また、光の利用効率の低下を防止す
る為に凹部RCあるいは筒体SLの内側反射面M1の反
射率を非常に高くすると、照明光の柔らかさが低下す
る。
【0019】更に、天井CLへの埋め込み高さが大きく
なる欠点や相当に長い筒体SLが必要となるという問題
も十分に克服されているとは言えない。また、凹部RC
あるいは筒体SLの開口部を覆う大きさのレンズが不可
欠であるから、コスト的に有利では無い。使用する光源
L6,L7の形状及び寸法について制約を受けることに
ついても(1)〜(4)の型の配置と同様である。その
為、大型の光源や省電力低発熱性の長管状あるいは直管
状の放電管(例えば、細直管状の蛍光ランプ)を使用す
るに適した構造とは言えない。
【0020】以上列挙した問題点に加え、天井面(一般
には設置面)に対して斜め方向に照明光を出射させよう
とした場合には、(1),(3),(5)の埋め込み型
では窮屈な配置をとらざる得ず(軸線が傾斜した凹部あ
るいは傾斜配置させた反射体、レンズ等が必要にな
る)、埋め込み型配置の採用が難くなってしまうという
問題が生じる。
【0021】なお、これら筒状反射体、凹面反射体ある
いはレンズからなる光学系を利用する技術とは別型の光
学技術として、光散乱体を用いて側方から入射させた光
を正面側の光取出面から出射させる技術が知られている
が(例えば、特開平2−221926号、特開平4−1
45485号及び実開昭51−89888号公報)、こ
れら技術は、導光体内部あるいは表面領域に与えられた
光散乱作用によって光の進行方向を出来るだけランダム
なものとすることを通して光取出面から出射させる光量
を確保するというものであり、光取出面から指向性に富
んだ光を出射させるという技術課題を前提にしたもので
はなく、また、居住用施設、商業用施設、文化施設、公
共用施設等における室内あるいは屋外の照明用に用いる
ことを意図した技術でもない。
【0022】そこで、本願発明の目的は上記従来技術の
問題点を克服し、次のような技術課題を解決することに
ある。 1.指向出射性の光散乱導光体を利用した平行光束化素
子を用いた簡単な構成によって、指向性のある照明光束
を得ることが出来る照明対象領域選択性の照明装置を提
供すること。 2.奥行き方向のサイズが小さく、従って、天井あるい
は壁面等への埋め込み設置が容易な照明対象領域選択性
の照明装置を提供すること。 3.均一な明るさと拡がりを有する面状の輝光部を持
ち、指向性を有するにも関わらず比較的柔らかい照明光
束を得ることが可能な照明装置を提供すること。
【0023】4.照明装置自体を天井、壁面等の設置面
に対して傾斜配置することなく、所望の方向に照明光を
出射させることが出来る照明装置を提供すること。
【0024】5.省電力低発熱性の長管状あるいは直管
状の放電管(例えば、細直管状の蛍光ランプ)を光源と
して採用する上で適性度のより高い照明装置を提供する
こと。
【0025】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記目的を
達成する為の基本的な構成として、「有効散乱照射パラ
メータE[cm-1]の値が0.5≦E≦50の範囲にあ
り、光散乱能を生み出す屈折率不均一構造の相関関数γ
(r)をγ(r)=exp[−r/a](但し、rは光
散乱導光体内の2点間距離)で近似した時の相関距離a
[μm]の値が0.06≦a≦35の範囲にある一様な
散乱能が与えられた体積領域を含む光散乱導光体からな
る平行光束化素子と、該平行光束化素子の少なくとも1
つの端面に臨んで配置された光供給手段を備えたことを
特徴とする照明対象領域選択性照明装置」を提案したも
のである。
【0026】また、本願発明は、均一な明るさと拡がり
を有する面状の輝光部を形成する為に特に有利な構成と
して、「有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値が0.
5≦E≦50の範囲にあり、光散乱能を生み出す屈折率
不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=exp[−
r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距離)で
近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06≦a≦
35の範囲にある一様な散乱能が与えられた楔形状断面
を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平行光束
化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の断面積
が相対的に大きな方の端面に臨んで配置された光供給手
段を備えたことを特徴とする照明対象領域選択性照明装
置」を提案したものである。
【0027】更に、照明対象領域の選択性の幅を拡げる
為に、「出射光束の方向特性を修正する光出射方向修正
手段が、前記平行光束化素子の光取出面に臨んで設けら
れている」という要件を上記各構成に課したものであ
る。
【0028】
【作用】本願発明は、一様な散乱能が与えられた体積領
域を含む指向出射性の光散乱導光体からなる平行光束化
素子の端面に臨んで光供給手段を配置し、光供給手段か
ら該端面(光入射面)を通して平行光束化素子内に入射
した光を、導光、散乱及び界面反射の複合的な作用によ
り、平行光束化された光に変換して光取出面から取り出
し、これを照明光束に利用するものである。
【0029】そこで、先ず本願発明における平行光束化
素子を構成する光散乱導光体の散乱特性を記述する為に
使用されている散乱照射パラメータEと相関距離aにつ
いて、Debyeの理論を引用して説明する。強度I0
の光が媒体中をy(cm)透過し、その間の散乱により強度
がIに減衰した場合に、有効散乱照射パラメータEを次
式(1)または(2)で定義する。
【0030】
【数1】 上式(1),(2)は各々いわゆる積分形及び微分形の
表現であって、物理的な意味は等価である。なお、この
Eは濁度と呼ばれることもある。一方、媒体内に分布し
た不均一構造によって光散乱が起こる場合の散乱光強度
は、縦偏光の入射光に対して出射光の大半が縦偏光であ
る通常の場合(VV 散乱)には、次式(3)で表され
る。
【0031】
【数2】 自然光を入射させた場合には、Hh 散乱を考慮して、式
(3)の右辺に(1+cos2Φ)/2を乗じた次式を考え
れば良いことが知られている。
【0032】
【数3】 ここで、λ0 は入射光の波長、ν=(2πn)/λ0 、
s=2sin (Φ/2)、nは媒体の屈折率、Φは散乱
角、<η2 >は媒体中の誘電率ゆらぎ2乗平均(以下、
<η2 >=τとして、τを適宜使用する。)であり、γ
(r)は相関関数と呼ばれるものであり、次式(6)で
表わされる。
【0033】そして、Debyeによると、媒体の屈折
率不均一構造が界面を持ってA相とB相に分かれて分散
している場合には、誘電率のゆらぎに関して相関関数γ
(r)、相関距離a、誘電率ゆらぎ2乗平均τ等が次の
関係式(7),(8)で表される。
【0034】
【数4】 不均一構造が半径Rの球状界面で構成されているとみな
せば、相関距離aは次式で表される。
【0035】
【数5】 相関関数γ(r)についての式(6)を用い、式(5)
に基づいて自然光を媒体に入射させた時の有効散乱照射
パラメータEを計算すると結果は次のようになる。
【0036】
【数6】 以上述べた関係から、相関距離a及び誘電率ゆらぎ2乗
平均τを変化させることにより、散乱光強度、散乱光強
度の角度依存性及び有効散乱照射パラメータEを制御す
ることが可能であることが判る。図4には、横軸に相関
距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平均τをとって有効散
乱照射パラメータEを一定にする条件を表わす曲線が、
E=50[cm-1]及びE=100[cm-1]の場合につい
て描かれている。
【0037】一般に、Eが大きければ散乱能が大きく、
Eが小さければ散乱能が小さい、換言すれば透明に近く
なる。E=0は全く散乱の無いことに対応する。従っ
て、大寸法の平行光束化素子にはEの小さな光散乱導光
体が適し、小寸法の平行光束化素子にはEの大きな光散
乱導光体が適している。
【0038】上記基準を考慮して、数cmから数10c
m程度の通常サイズの輝光部を得る為の平行光束化素子
を構成する光散乱導光体の有効散乱照射パラメータEの
レンジは、E=0.5〜50[cm-1]の程度となる。
【0039】一方、相関距離aは、平行光束化素子に用
いる光散乱導光体内部における個々の散乱現象における
散乱光の方向特性に深く関わっている量である。即ち、
上記(3)式乃至(5)式の形から推察されるように、
光散乱導光体内部における光散乱は一般に前方散乱性を
帯びているが、前方散乱性の強さが相関距離aによって
変化する。
【0040】図5は、これをaの2つの値について例示
したグラフである。図において、横軸は散乱角度Φ(入
射光線の進行方向をΦ=0°とする。)を表わし、縦軸
は自然光を仮定した場合の散乱光強度、即ち、上記
(5)式をΦ=0°に対して規格化した値、Vvh(Φ)
/Vvh(0)を表わしている。図に併記されているよう
に、a=0.13μm、上記(9)を用いて粒径に換算
して2R=0.2μmの場合には、規格化散乱強度のグ
ラフはΦに関する緩やかな減少関数となるが、a=1.
3μm、上記(9)式による粒径換算値で2R=2.0
μmの場合には、規格化散乱強度のグラフはΦが小さい
範囲で急激に減少する関数となる。
【0041】このように、光散乱導光体内の屈折率の不
均一構造によって生ずる散乱は、基本的に前方散乱性を
示し、相関距離aの値が小さくなると前方散乱性が弱ま
り、1回の散乱における散乱角度範囲が広がる傾向を持
つようになると言うことが出来る。この事実自体は、実
験的にも確認済みの事柄である。
【0042】以上は平行光束化素子を構成する光散乱導
光体内部に分布した屈折率不均一構造による散乱現象そ
のものに着目した議論であるが、平行光束化素子の光取
出面から実際に出射される光の方向特性を評価する為に
は、光取出面における全反射の現象と光出射時の透過率
(平行光束化素子からの脱出率)を併せて考慮する必要
がある。
【0043】基礎的な光学理論によって良く知られてい
るように、光散乱導光体の内部側から光取出面に光が入
射した時、光散乱導光体内外の媒質の屈折率によって決
まる臨界角αc (ここでは、光取出面に立てた法線方向
を0°とする。)を上回る場合には、外部(空気層)へ
の出射(脱出)が起らない。本願発明に使用される代表
的な材料であるPMMA(屈折率1.492)では、α
c =42°となる。後述するように、本願発明で好適に
使用される樹脂材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲
にあるので、実際的なαc の範囲は、36.0°〜4
5.6°の程度の値となる。
【0044】上述したように、光散乱導光体内部におけ
る散乱は前方散乱性を示すから、光取出面の側方に光入
射面をとる通常のケースでは、光入射面から入射した光
が不均一構造に遭遇して発生した1次散乱光が直ちに上
記臨界角条件を満たすことは稀であると考えられる。
【0045】換言すれば、光取出面からの光出射には、
光散乱導光体内部における多重散乱や光散乱導光体の背
面側の界面、あるいは反射部材による反射等を経た光が
上記臨界角条件を満たして外部に出射される現象が大き
く寄与しているものと推定される。
【0046】そうだとすると、臨界角条件を満たす光に
注目した場合には、個々の散乱現象の属性である前方散
乱性は相当程度薄められ、光の進行方向分布には相当の
拡がりが生じている筈である。従って、光散乱導光体で
構成された平行光束化素子から出射される光の方向特性
は、臨界角条件を満たした光の光取出面における透過率
(脱出率)の角度依存性に大きく左右されることにな
る。
【0047】一般に、臨界角条件をぎりぎりで満たすよ
うな場合の界面透過率は極めて低く(例えば、アクリル
樹脂−空気界面の場合、P偏光成分40%程度、S偏光
成分20%程度)、臨界角を下回ると急激に上昇し、5
°乃至10°以上下回った条件ではほぼ一定となる(ア
クリル樹脂−空気界面の場合、P偏光成分90%以上、
S偏光成分85%以上)。
【0048】以上のことから、アクリル樹脂の場合で言
えば、光取出面への入射角が35°〜40°前後の光
が、平行光束化素子の光取出面からの光出射に最も寄与
しているものと考えられる。光取出面における屈折を考
慮に入れると、35°〜40°の入射角で光取出面に入
射した光は、光取出面に立てた法線に対して65°付近
から前後10度程度の範囲内に収まる方向へ向けて出射
される。
【0049】平行光束化素子を構成する光散乱導光体に
アクリル樹脂以外の材料を使用した場合でも、実際的な
材料の屈折率の範囲は1.4〜1.7の程度であるか
ら、上記角度に数度程度のずれを見込めば、全く同様の
議論が成立する。
【0050】即ち、平行光束化素子の光取出面からの出
射光は、粗く見積って光取出面表面に対して20°〜3
0°前後も立ち上がった方向に明瞭な指向性を有する光
となる。
【0051】但し、ここで注意すべきことは、相関距離
aの値が余り小さくなると、前方散乱性そのものが薄れ
てしまい、一次散乱のみで後方散乱を含む広範囲の散乱
光が発生するようになる為に、この指向性が弱まってし
まうことである。本願発明では、このような現象が顕著
とならないような光散乱導光体(以下、「指向出射性の
光散乱導光体」と呼ぶ。)で構成された平行光束化素子
を使用する。本願発明が光散乱導光体の相関距離aにつ
いて指定している範囲(0.06μm≦a≦35μm)
には、この条件が考慮に入れられている。光散乱導光体
を異屈折率粒子を分散させた材料で構成した場合、
(9)式から、粒子径0.1μm〜54μmの範囲がこ
の範囲に対応する。
【0052】なお、相関距離aの範囲について上限が設
定されている1つの理由は、図4のグラフから判るよう
に、相関距離aの値が大きすぎると、τの値を大きくし
ないと有効散乱照射パラメータEの値が非常に小さくな
ってしまい、適正な有効散乱照射パラメータEの値を実
現することが難しくなるからである。
【0053】以上説明したように、光散乱導光体を指向
出射性が発揮される条件下で平行光束化素子として使用
すれば、簡単な構成で入射光束を均一な平行光束に変換
することが出来る。また、平行光束化された光は、プリ
ズム作用を利用した光出射方向修正手段により、その伝
播方向を一括して所望の方向に修正することが出来る。
【0054】また、平行光束化素子を構成する光散乱導
光体の形状を楔形状断面のものとすれば、均一な明るさ
を持った広い輝光部を有する照明装置を得ることがより
容易となる。これら平行光束化素子と組合せて使用され
る技術手段や光散乱導光体の楔形状に関連した特徴につ
いては、次記実施例の中で述べる。
【0055】
【実施例】図6は、本願発明をウォールウォッシャ型の
照明に用いた第1の実施例を表わした断面図である。図
において、1は指向出射性の光散乱導光体からなる楔形
状の平行光束化素子で、例えばポリメチルメタクリレー
ト(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料(屈折率=
1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散さ
せたものが使用される。Lは平行光束化素子1の肉厚側
の端面にあたる入射面2の近傍に配置された直管状の蛍
光ランプであり、周囲には光の散逸を防止する為の反射
体Rが配置されている。符号4,5は各々平行光束化素
子1の裏面及びそれに密着させて設けられた反射箔を表
わしている。なお、平行光束化素子1の図中奥行き方向
のサイズは、蛍光ランプLの長さとほぼ一致している。
【0056】「作用」の欄で説明した原理によって、蛍
光ランプLから左方に向かって放射された光は、入射面
2から平行光束化素子1内に入り、最薄部6まで導光さ
れながら光取出面3から平行化された光束として斜め方
向に徐々に出射される。この時の出射角をβとすると、
先に述べたように、β=65°±10°程度となる。
【0057】従って、図示されているように、天井CL
の壁面WLからやや離れた位置に浅い凹部RCを設け、
その中に照明装置全体をその延在方向が天井面に沿うよ
うに収容・設置すれば、符号10で示されたような領域
を選択的に照明するウォールウォッシャ型の照明が実現
される。例えば美術館では、壁面WLの領域10内に絵
画PCを展示し、絵画PCを際だたせる局所照明として
利用出来る。
【0058】ここで、平行光束化素子1の断面形状を楔
形としたことの技術的な意義について、図7を参照して
説明する。図7は、図6の配置で用いられている楔形状
の光散乱導光体で構成された平行光束化素子1の断面図
であり、その内部における繰り返し反射の様子が、光入
射面2から平行光束化素子内部に取り込まれる光を光線
B0 で代表させて描かれている。
【0059】光源Lは楔形の一側端部に形成された光入
射面2に面して配置されるから、代表光線B0 は、図示
したように水平方向と小さな角度をなしているものと考
えることが出来る。この光線B0 の挙動を考察してみる
と、光線B0 は、一定割合で散乱による方向転換を受け
ながら、図示したように光取出面3とこれに対して傾斜
した裏面4において反射を繰り返しながら、平行光束化
素子1の厚みの薄い部分へ近づいていく。面3,4の内
側表面における反射は正反射であるから、個々の反射に
おける入射角と反射角は等しい(θ1 ,θ2 ,θ3 ・・
・・)。ここで、光取出面3における各回の反射に注目
すると、θ2 >θ4 >θ6 ・・・の関係が成立している
ことが判る。
【0060】更に、各反射時における界面透過率を考え
てみると、光散乱導光体の指向出射性の場合と同様の議
論によって、θi >αc (臨界角;PMMA−空気界面
で42°)の条件では全反射が起こり、θi がαc を下
回ると透過率が急上昇し、θi が所定値(PMMA−空
気界面で35°前後)以下で透過率はほぼ一定となる。
図では、θ2 >αc >θ4 >θ6 の関係によって、出射
光B4 ,B6 が生じている様子が描かれている。
【0061】このような効果は、代表光線B0 (無散乱
光)に限らず、1次散乱光や多重散乱光についても同様
に生じている筈であるから、平行光束化素子1全体とし
ては光入射面2から遠ざかる程光取出面3からの光出射
率を高める効果を生んでいるものと考えられる。この効
果を、光入射面2からの距離xの関数f(x)で評価す
ると、f(x)はxに関する増加関数である。一方、光
入射面2に近い部分では光源Lに近いという効果が直接
光、散乱光いずれについても働く。この近接効果をg
(x)で評価すれば、g(x)は減少関数となる。
【0062】従って、近接効果g(x)がf(x)によ
って相殺され、より遠くまで光を導いた上で光取出面5
から光を出射させる傾向が生まれることになる。また、
平行光束化素子1内の光が光取出面3に入射する機会
も、楔形状の効果によって入射面2から遠ざかるにつれ
て増大する傾向を持ちつつ全体的に増大すると考えられ
るから、光取出面3全体に亙って輝度レベルを一段と向
上させる効果も生じているものと考えられる。
【0063】なお、両面3,4のなす角度ψは例えば
0.5°≦ψ≦6°の程度にすることが、装置全体を薄
型構造とし、明るさのレベル、均一度、指向特性等につ
いて良好な結果を得る為に好ましいことが確かめられて
いる。また、傾斜した裏面4(場合によっては光取出面
3)を曲面とすることにより、反射角θ1 、θ2 、θ3
・・・の増大推移を制御し、より望ましい特性を実現す
ることも可能である。
【0064】以上述べた断面楔形状の光散乱導光体を採
用したことによる効果は、裏面4に沿って反射体を配置
した場合にも同様に成立することは明らかであるが、平
行光束化を阻害しない為には、拡散反射性の反射体より
も正反射性を有する反射体を配置することがより好まし
い。
【0065】図8は、本願発明をスポットライト型の照
明に用いた第2の実施例を表わした断面図である。図に
おいて、1は指向出射性の光散乱導光体からなる楔形状
の平行光束化素子で、例えばポリメチルメタクリレート
(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料(屈折率=1.
4345)を0.07wt%の割合で一様に分散させた
ものが使用される。Lは平行光束化素子1の肉厚側の端
面にあたる入射面2の近傍に配置された直管形の蛍光ラ
ンプであり、周囲には光の散逸を防止する為の反射体R
が配置されている。符号4,5は各々平行光束化素子1
の裏面及びそれに密着させて設けられた反射箔を表わし
ている。平行光束化素子1の図中奥行き方向のサイズ
は、蛍光ランプLの長さとほぼ一致している。
【0066】以上の構成は、図6に示した第1の実施例
と同様であるが、本実施例の特徴は、光取出面3の前面
に光出射方向修正素子PRが配置されている点にある。
【0067】「作用」の欄で説明した原理によって、蛍
光ランプLから左方に向かって放射された光は、入射面
2から平行光束化素子1内に入り、最薄部6まで導光さ
れながら光取出面3から平行化された光束として斜め方
向に徐々に出射される。この時の出射角は、先に述べた
ように、β=65°±10°程度となる。
【0068】この光束は、次に説明する光出射方向修正
素子PRの作用により、伝播方向を修正されてから照明
光束として利用される。ここでは、天井CLに対してほ
ぼ真下方向の領域10を選択的に照明する例が示されて
いるが、修正の大きさと方向は相当の範囲で選択するこ
とが出来る。
【0069】図9(a),(b)は光出射方向修正素子
PRの代表的な構造とその作用の概略を説明する為の断
面図である。なお、ここでは、光出射方向修正素子PR
はポリカーボネート(PC;屈折率n2 =1.59)製
とする。
【0070】光出射方向修正素子PRはプリズム作用を
利用して光の方向特性を修正する機能を持った素子で、
図9(a)のように多数のプリズム面H1 ,H1'・・を
列状に形成した面を光入射面とするか、逆に図9(b)
のように多数のプリズム面J1 ,J1'・・を列状に形成
した面を光取出面として使用する。
【0071】先ず、図9(a)のケースを説明する。G
1 ,G2 は平行光束化素子1から出射される平行光束を
代表させた光線であり、その方向は光出射方向修正素子
PRの延在方向に対して15°〜35°程度の範囲で傾
斜している。
【0072】代表光線G1 ,G2 は、空気層7(屈折率
n0 =約1.0)を直進した後、光出射方向修正素子P
Rのプリズム面H1'に垂直に近い角度で入射する。反対
側のプリズム面H1 ,H2 に入射する割合は相対的に小
さいから、代表光線G1 ,G2 はプリズム面H1',H2'
までほぼ直進して正反射(全反射が好ましい。)され、
光出射方向修正素子PRの平坦面8に対して垂直方向に
近い角度で入射し、光線光出射方向修正素子PRの平坦
面8から垂直に近い角度で出射される。
【0073】プリズム面H1 ,H2 ,・・H1',H2',
・・の傾斜角度を光線G1 ,G2 の方向及び光出射方向
修正素子PRの屈折率n2 に関連させて設計すれば、光
出射方向修正素子PRの光出射面8からの出射光G1',
G2'の方向を調整することが出来る。
【0074】次に図9(b)は、光出射方向修正素子P
Rを、そのプリズム面を外側に向けて配置した場合の光
の挙動を説明する断面図である。図9(a)の場合と同
様に平行光束化素子1から出射される平行光束を代表さ
せた光線G1 ,G2 は、空気層7(屈折率n0 =約1.
0)を直進した後、光出射方向修正素子PRの平坦面8
に傾斜した角度で入射し、やや下方に向けて屈折する。
【0075】そして、反対側のプリズム面J1 ,J2 か
ら空気層9へ出射されるが、その際に更に下方へ向けて
再屈折されるから、光出射方向修正素子PRの延在方向
に対して垂直方向に近い角度の出射方向が実現される。
このケースにおいても、プリズム面J1 ,J2 ,・・,
J1',J2',・・の傾斜角度を光線G1 ,G2 の方向及
び光出射方向修正素子PRの屈折率n2 に関連させて設
計すれば、光出射方向修正素子PRの光出射面8からの
出射光G1',G2'の方向を調整することが可能である。
【0076】なお、光出射方向修正素子PRは、図示し
たように列状にプリズム面が形成されたものに限らず、
いかなる型のものを使用しても良い。例えば、3角錐状
あるいはドーム状の突起群を分布させたフィルム、かま
ぼこ形断面を有する列状凸部を有する板状素子等が考え
られる。また、光出射方向修正素子を複数枚重ねて使用
することも可能である。
【0077】図10は、天井埋め込み型の配置によっ
て、単一の光源でウォールウォッシャ型の照明とスポッ
トライト型の照明に同時に実現した第3の実施例を表わ
した断面図である。図において、1,1’は各々指向出
射性の光散乱導光体からなる楔形状の平行光束化素子
で、その材料は第1、第2の実施例と同じく、例えばポ
リメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系
樹脂材料(屈折率=1.4345)を0.07wt%の
割合で一様に分散させたものが使用される。平行光束化
素子1,1’はその肉厚側の端面が直管状の蛍光ランプ
Lを挟んで対向するように配置される。
【0078】光源周囲には光の散逸を防止し、両光入射
面2,2’へほぼ垂直に入射する光量を増加させる形状
の曲面反射体R”が配置されている。符号4,5は平行
光束化素子1の裏面及びそれに密着させて設けられた反
射箔を表わしている。平行光束化素子1の図中奥行き方
向のサイズは、蛍光ランプLの長さとほぼ一致してい
る。これら照明装置の全体は、天井CLに浅く大きめに
形成された凹部RC内に収容・設置されている。
【0079】蛍光ランプLから左方に向かって放射され
た光は、第1の実施例の場合と同様に、入射面2から平
行光束化素子1内に入り、光取出面3から斜め方向に出
射され、壁面WL上の領域10を選択的に照明する。
【0080】一方、蛍光ランプLから右方に向かって放
射された光は、第2の実施例の場合と同様に、入射面
2’から平行光束化素子1’内に入り、光取出面3’か
ら斜め方向に出射され、更に光出射方向修正素子PRに
よりほぼ真下方向に方向を修正されて壁面WL上の領域
10を選択的に照明する照明光束が提供される。
【0081】図11は、単一の平行光束化素子を用いて
双方向のウォールウォッシャ型の照明光を得る第4の実
施例を表わしたものである。図において、1は指向出射
性の光散乱導光体からなる平行光束化素子で、その材料
は第1の実施例等と同じく、例えばポリメチルメタクリ
レート(PMMA)中にシリコーン系樹脂材料(屈折率
=1.4345)を0.07wt%の割合で一様に分散
させたものが使用される。平行光束化素子1は、2個の
楔形状の光散乱導光体を合体させた形状を有しており、
その肉厚側の両端面が直管状の蛍光ランプL,L’に対
向するように配置される。
【0082】光源周囲には光の散逸を防止する反射体
R,R’が配置されている。符号4,5は平行光束化素
子1の裏面及びそれに密着させて設けられた反射箔を表
わしている。平行光束化素子1の図中奥行き方向のサイ
ズは、蛍光ランプL,L’の長さとほぼ一致している。
これら照明装置の全体は、天井CLに浅く大きめに形成
された凹部RC内に収容・設置されている。
【0083】蛍光ランプLから右方に向かって放射され
た光は、第1の実施例の場合と同様に、入射面2から平
行光束化素子1内に入り、平行光束化素子1のほぼ中央
部近辺まで導光されながら光取出面3から平行化された
光束として斜め方向に徐々に出射され、壁面WLの符号
10で示した領域を選択的に照明するウォールウォッシ
ャ型の照明光を提供する。
【0084】同様に、蛍光ランプL’から左方に向かっ
て放射された光は、入射面2’から平行光束化素子1内
に入り、ほぼ中央部近辺まで導光されながら光取出面3
から平行化された光束として斜め方向に徐々に出射さ
れ、壁面WL’の符号10’で示した領域を選択的に照
明するウォールウォッシャ型の照明光を提供する。
【0085】このようにして、単一の平行光束化素子を
用いた2灯式の照明装置によって、両側の壁面に対して
ウォールウォッシャ型の照明光を同時に投射することが
可能となる。
【0086】図12は、図11に示した第4の実施例に
おける平行光束化素子1を回転楔体形状の光散乱導光体
で置き換えると共に、直管状の蛍光ランプL,L’を単
一の円環状の蛍光ランプに置き換えた第5の実施例を、
照明装置の直下方向から見た状態で示したものである。
図中、符号1は回転楔体形状の光散乱導光体であり、円
環状の蛍光ランプL”の内側の短円柱状の空間をほぼ埋
めるように配置されている。また、符号11は円環状の
光源L”の下側を覆う着脱自在なリング状の蓋部材であ
り、光源L”からの直接光を利用する場合には不使用と
されるものである。
【0087】このような照明装置を、蓋部材11が装着
された状態で採用すれば、輪帯状の照明領域を形成する
ことが出来る。例えば、図12中に示されているよう
に、円筒状の壁面WLを有する円形ホールの天井中央部
にこの照明装置を配設した場合、先ず壁面WL上部の全
周を直接照明し、更に壁面WLの拡散反射性の度合(一
般に、白色壁面では高く、暗色の壁面では低い。)に応
じて間接照明光をホール全体にゆきわたらせることが出
来る。また、白色系統の壁面WLを持つ円形ホールにお
いて、光源L”の輝度をホールの広さに応じて適度に選
択乃至制御すれば、ホール全体をほのかに照明すること
も可能である。
【0088】矩形または多角形等、円形形状を有しない
部屋に図12に示す照明装置を使用した場合でも、従来
の照明装置に比べれば、より均一に室内を照明すること
が出来る。また、床面を円環状に照明する為に図12に
示した照明装置を利用することも勿論可能である。
【0089】更に、回転楔体形状の光散乱導光体1の前
面に同心円状にプリズム列を形成した光出射方向修正素
子を配置すれば、床部を円形状に照明するスポットライ
ト型照明が実現される。この場合、光出射方向修正素子
を図12に示した蓋部材11に一体的に取り付けた構造
とすることにより、照明装置の本体部分の構造を変える
ことなく照明領域を変更することが可能になる。
【0090】図13は、その一例を第6の実施例として
断面図で示したものであり、円環状の光源L”とその内
側に配置された回転楔体形状の光散乱導光体1を反射体
を兼ねたハウジング部材12で支持した本体部を天井C
Lの凹部に収容配置し、同心円状にプリズム列を形成し
た光出射方向修正素子を一体的に取り付けた着脱自在の
蓋部材11と適宜組み合わせて用いる構造が描かれてい
る。
【0091】蓋部材11に取り付ける光出射方向修正素
子に光出射方向修正特性が異なる複数種類のものを準備
すれば、照明領域の形状や寸法の選択の幅を更に広げる
ことが出来る。
【0092】なお、上記第5、第6の実施例において
は、回転楔形の光散乱導光体を円環状の光源(蛍光ラン
プ)で取り囲む配置を採用した例を示したが、このよう
な配置法をより一般化すれば、中央部に向かって厚みを
減ずる傾向を有する任意形状の光散乱導光体の周縁(多
角形、楕円、装飾的な不規則形状等、いずれも可能)の
全部または一部を光源で取り囲む種々の配置が考えられ
る。例えば、光散乱導光体の形状として、中央部に向か
って厚みと幅を直線的に減ずる4個の楔形を相補的に組
合せ、裏面側に四角錐形の凹部を有する長方形形状とし
たものを採用し、光散乱導光体の周縁部のほぼ全周を1
本の棒状ランプまたは2本〜4本の棒状ランプで取り囲
むことにより、長方形形状の輝光部を有する照明装置を
構成することが出来る。
【0093】次に、図14は、本願発明をフロアウォッ
シャ型の照明に用いた第7の実施例を表わした断面図で
ある。本実施例では照明装置全体が壁面WLに設けた凹
部RCに図示されているような縦向き姿勢で収容・設置
される。第1の実施例等と同様、符号1は指向出射性の
光散乱導光体からなる楔形状の平行光束化素子で、例え
ばポリメチルメタクリレート(PMMA)中にシリコー
ン系樹脂材料(屈折率=1.4345)を0.07wt
%の割合で一様に分散させたものが使用される。Lは平
行光束化素子1の肉厚側の端面にあたる入射面2の近傍
に配置された直管状の蛍光ランプであり、周囲には光の
散逸を防止する為の反射体Rが配置される。符号4,5
は各々平行光束化素子1の裏面及びそれに密着させて設
けられた反射箔を表わしている。なお、平行光束化素子
1の図中奥行き方向のサイズは、蛍光ランプLの長さと
ほぼ一致している。
【0094】蛍光ランプLから下方に向かって放射され
た光は、入射面2から平行光束化素子1内に入り、最薄
部6まで導光されながら光取出面3から平行化された光
束として斜め方向に徐々に出射される。この時の出射角
は先に述べたように65°±10°程度となる。従っ
て、図示されているように、符号10で示されたフロア
領域を選択的に照明するフロアウォッシャ型の照明が実
現される。このような指向性に富んだ照明は、例えばコ
ンサートホールや劇場における通路部分の照明に好適で
ある。
【0095】図15は、本願発明を適用した壁面埋め込
み配置によってウォールウォッシャ型の照明を提供する
第8の実施例を見取り図で表わしたものである。本実施
例では照明装置全体が両壁面WL’,WL”に設けた凹
部(図示省略)に横向き姿勢で収容・設置される。第1
の実施例等と同様、符号1,1’は指向出射性の光散乱
導光体からなる楔形状の平行光束化素子で、例えばポリ
メチルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹
脂材料(屈折率=1.4345)を0.07wt%の割
合で一様に分散させたものが使用される。
【0096】L,L’は平行光束化素子1,1’の肉厚
側の端面にあたる入射面の近傍に配置された直管状の蛍
光ランプであり、周囲には光の散逸を防止する為の反射
体(図示省略)が配置されている。蛍光ランプL,L’
から壁面WL,WL’に沿う方向に放射された光は、各
入射面から平行光束化素子1,1’内に入り、最薄部ま
で導光されながら光取出面3,3’から平行化された光
束として斜め方向に徐々に出射される。
【0097】この時の出射角は先に述べたように65°
±10°程度となる。従って、図示されているように、
正面の壁面WLにかけられた絵画PCを選択的に照明す
るウォールウォッシャ型の照明が実現される。このよう
な照明法は、例えば美術館における大型の絵画を際だた
せる照明に好適である。
【0098】図16は、非埋め込み型の配置に本願発明
を適用した第9の実施例を表わしている。天井CLから
垂下された吊り部材SPに回転軸AXの周りで回転可能
に支持された短い筒体乃至支持体SLは、締め具(図示
省略)によって所望の角度で固定し得るように構成され
ている。筒体SLには、破線で表示したように平行光束
化素子1、短管状の蛍光ランプL、光出射方向修正素子
PRを含む照明装置の本体部が収容されている。照明装
置本体部の各構成要素と機能は、これまで述べた実施例
で用いられているものと同様であり、蛍光ランプLから
放射された光は、平行光束化素子1、光出射方向修正素
子PRを介して矢印方向の指向性を持った照明光束に変
換される。
【0099】本実施例から容易に理解されるように、本
願発明を非埋め込み型の配置に適用すれば、図3
(2),(4),(6)に示した従来型のものに比べ
て、短い筒体乃至支持体SLが使用可能となり、吊り部
材SPを含めて全体を軽量化することが出来る。また、
筒体内面を反射性にする必要も無くすことが出来る。
【0100】図17は、本願発明をOAルーム内の限定
照明に適用し、ディスプレイ画面のグレアを防止した第
10の実施例を表わしている。図において、1は指向出
射性の光散乱導光体からなる平板状の平行光束化素子
で、その材料は第1の実施例等と同じく、例えばポリメ
チルメタクリレート(PMMA)中にシリコーン系樹脂
材料(屈折率=1.4345)を0.07wt%の割合
で一様に分散させたものが使用される。
【0101】平行光束化素子1の両端面の近傍には、直
管状の蛍光ランプL,L’が配置される。また、蛍光ラ
ンプの周囲には光の散逸を防止する反射体R,R’が配
置されている。符号4,5は平行光束化素子1の裏面及
びそれに密着させて設けられた反射箔を表わしている。
平行光束化素子1の図中奥行き方向のサイズは、蛍光ラ
ンプL,L’の長さとほぼ一致している。これら照明装
置の全体は、天井CLに浅く大きめに形成された凹部R
C内に収容・設置されている。
【0102】蛍光ランプL,L’から右方または左方に
向かって放射された光は、両端面を入射面として、平行
光束化素子1内に入り、各々遠方側の端面まで導光され
ながら光取出面3から平行化された光束として斜め方向
に徐々に出射される。そして、平行光束化素子1の前面
に配置された光出射方向修正素子PRの作用により、伝
播方向をやや下方向に修正されてから照明光束として利
用される。ここでは、破線内の範囲10内に分布した照
明光が形成される例が示されている。
【0103】照明範囲10を適当に設定することによ
り、キーボードKY,KY’付近は明るく照明される
が、ディスプレイDP,DP’には殆ど照明光が入射し
ない照明を実現することが出来る。従って、ディスプレ
イDP,DP’にフードやグレア防止スクリーンを付設
しなくとも、オペレータPS,PS’を画面のグレアの
悪影響から守ることが可能になる。
【0104】この平板状の平行光束化素子を用いた2灯
式の配置は、比較的広がった範囲に照明光をゆきわたら
せるのに適しているが、平行光束化素子1として、楔形
のものを用いても、同様に限定的な照明光束が得られる
ことは、これまでの説明から明らかであろう。
【0105】なお、以上述べたいずれの事例において
も、光源として蛍光ランプが用いられているが、本願発
明が光源の種類、形状等に格別の制限を設けるものでな
いことは、本願発明の原理とこれまで説明事項に照らし
て当然のことである。
【0106】例えば、平行光束化素子の光入射面に沿っ
ていくつかの白熱ランプを配列して光供給手段とするこ
とが出来る。また、太陽光を室内に導入する光導体の端
面を、平行光束化素子の光入射面に結合し、平行光束化
素子の光取出面から照明光を取り出すようにしても良
い。
【0107】最後に、本願発明の平行光束化素子に使用
される光散乱導光体の材料及び製造方法について説明す
る。本願発明で使用する平行光束化素子を構成する光散
乱導光体のベースには、ポリマー材料をベースとした種
々のものが利用可能である。これらポリマーの代表的な
ものを下記の表1及び表2に示した。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】 このようなポリマー材料をベースとする平行光束化素子
は、次のような製造法を利用して製造することが可能で
ある。先ず、その1つは、2種類以上のポリマーを混練
する工程を含む成形プロセスを利用する方法である。即
ち、2種類以上の屈折率の相互に異なるポリマー材料
(任意形状で良い。工業的には、例えばペレット状のも
のが考えられる。)を混合加熱して、練り合わし(混練
工程)、混練された液状材料を射出成形機の金型内に高
圧で射出注入し、冷却固化することによって成形された
平行光束化素子を金型から取り出せば金型形状に対応し
た形状の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0110】混練された2種類以上の異屈折率のポリマ
ーは完全には混ざり合うことなく固化するので、それら
の局所的濃度に不均一(ゆらぎ)が生まれて固定され、
一様な散乱能が与えられる。また、混練された材料を押
し出し成形機のシリンダー内に注入し、通常のやり方で
押し出せば目的とする成形物を得ることが出来る。
【0111】これらポリマーブレンドの組合せや混合割
合については、非常に幅広い選択が可能であり、屈折率
差、成形プロセスで生成される屈折率不均一構造の強さ
や性質(散乱照射パラメータE、相関距離a、誘電率ゆ
らぎ2乗平均τ等)を考慮して決定すれば良い。なお、
使用し得るポリマー材料の代表的なものは前記表1及び
表2に示されている。
【0112】平行光束化素子を構成する材料の製造法の
別の1つは、ポリマー材料中に屈折率の異なる(0.0
01以上の屈折率差)粒子状材料を一様に混入分散させ
るものである。そして、粒子状材料の一様混入に利用可
能な方法の1つにサスペンション重合法と呼ばれる方法
がある。即ち、粒子状材料をモノマー中に混入し、湯中
に懸濁させた状態で重合反応を行なわせると、粒子状材
料が一様に混入されたポリマー材料を得ることが出来
る。これを原材料に用いて成形を行なえば、所望の形状
の平行光束化素子が製造される。
【0113】また、サスペンション重合を種々の粒子状
材料とモノマーの組合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の
組合せ)について実行し、複数種類の材料を用意してお
き、これを選択的にブレンドして成形を行なえば、多様
な特性の平行光束化素子を製造することが出来る。ま
た、粒子状材料を含まないポリマーをブレンドすれば、
粒子濃度を簡単に制御することが出来る。
【0114】粒子状材料の一様混入に利用可能な方法の
他の1つは、ポリマー材料と粒子状材料を混練するもの
である。この場合も、種々の粒子状材料とポリマーの組
合せ(粒子濃度、粒径、屈折率等の組合せ)で混練・成
形(ペレット化)を行なっておき、これらを選択的にブ
レンドして平行光束化素子を成形製造することにより、
多様な特性の平行光束化素子を得ることが出来る。
【0115】また、上記のポリマーブレンド法と粒子状
材料混入方法を組み合わせることも可能である。例え
ば、屈折率の異なるポリマーのブレンド・混練時に粒子
状材料を混入させることが考えられる。
【0116】以下、製造法の幾つかの実例を挙げてお
く。 <製造例1>メタクリル樹脂のペレット(旭化成製、デ
ルベット80N)に粒径0.8μmのシリコーン系樹脂
粉体(東芝シリコーン製、トスパール108)を0.3
wt%添加し、ミキサーで混合分散させた後、押し出し
機でストランド状に押し出し、ペレタイザーでペレット
化することにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散
されたペレットを調製した。
【0117】このペレットを射出成形機を用い、シリン
ダー温度230゜C〜260゜C、型温度50゜Cの条
件で成形して、縦68mm、横85mmで厚さが長辺方
向に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の
平行光束化素子を得た。
【0118】製造された平行光束化素子の相関距離はa
=0.53μmであり、有効散乱照射パラメータの前記
(11)式による見積計算値はE=12.6[cm-1]であ
った。
【0119】<製造例2>MMAに粒径0.8μmのシ
リコーン系樹脂粉体(東芝シリコーン製、トスパール1
08)を0.3wt%添加し、公知のサスペンション重
合法により、該粉体が均一に分散した球状粒子を得た。
これを製造例1と同様にペレタイザーでペレット化する
ことにより、シリコーン系樹脂粉体が均一に分散された
ペレットを調製した。
【0120】以下、製造例1と同じ条件で同型の楔状平
行光束化素子を得た。この平行光束化素子は、製造例1
で作製された平行光束化素子と外観上全く区別がつかな
いものであった。そして、相関距離はa=0.53μm
であり、有効散乱照射パラメータの前記(11)式によ
る見積値はE=12.6[cm-1]であった。
【0121】<製造例3>ポリメチルメタクリレート
(PMMA)にポリスチレン(PSt)を0.5wt%
添加し、V型タンブラーを用いて10分間、次いでヘン
シェルミキサーを用いて5分間混合した。これを径30
mmの2軸押し出し機[ナカタニ機械(株)製]を使っ
て、シリンダー温度220゜C〜250゜C、スクリュ
ー回転数75rpm、吐出量6kg/hrの条件で融解
混合してペレットを作成した。
【0122】このペレットを射出成形機を用い、シリン
ダー温度220゜C〜250゜C、型温度65゜C、射
出速度中速、射出圧力ショートショット圧プラス10k
g/cm2 の条件で成形して、縦68mm、横85mm
で厚さが長辺方向に3.8mmから0.2mm迄徐々に
変化した楔型の平行光束化素子を得た。
【0123】<製造例4>MMA(メチルメタクリレー
ト)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝シリコ
ーン製、トスパール120)を各々0.05wt%、
0.08wt%、0.10wt%、0.15wt%を加
えて均一に分散した4種類の試料と粒子無添加のMMA
試料を用意し、計5種類の試料の各々にラジカル重合開
始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.5
wt%、連鎖移動剤としてn―ラウリルメルカプタン
(n−LM)を0.2wt%加え、70℃で24時間注
型重合させて縦68mm、横85mmで厚さが長辺方向
に3.8mmから0.2mm迄徐々に変化した楔型の平
行光束化素子を1枚づつ作製した。
【0124】<製造例5>MMA(メチルメタクリレー
ト)にシリコーンオイルを0.025wt%加えて均一
に分散させ、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルパー
オキサイド(BPO)を0.5wt%、連鎖移動剤とし
てn―ブチルメルカプタン(n−BM)を0.2wt
%、各々加え、70℃で30分間にわたりゾル化を行な
った上で、更に65℃で24時間注型重合させて縦68
mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから
0.2mmまで徐々に変化した楔型の平行光束化素子を
作製した。
【0125】<製造例6>PMMA(ポリメチルメタク
リレート)に粒径2μmのシリコーン系樹脂粉体(東芝
シリコーン製、トスパール120)を0.08wt%加
え、V型タンブラを用いて10分間、次いでヘンシェル
ミキサを用いて5分間混合した。これを2軸押し出し機
で溶融混合(シリンダ温度220℃〜250℃)・押出
成形して、ペレットを作製した。
【0126】このペレットを射出成形機を用いてシリン
ダ温度220℃〜250℃の条件で射出成形し、縦68
mm、横85mmで厚さが長辺方向に3.8mmから
0.2mmまで徐々に変化した楔型の平行光束化素子を
作製した。
【0127】
【発明の効果】本願発明は、(1)指向出射性の光散乱
導光体を利用した平行光束化素子を用いた簡単な構成に
よって、指向性のある照明光束を得ることが出来るこ
と、(2)奥行き方向のサイズが小さく、従って、天井
あるいは壁面等への埋め込み設置及び保守が容易な照明
対象領域選択性の照明装置が提供されること、(3)均
一な明るさと拡がりを有する面状の輝光部を持ち、指向
性を有するにも関わらず比較的柔らかい照明光束を得る
ことが可能な照明装置が提供されること、(4)照明装
置自体を天井、壁面等の設置面に対して傾斜配置するこ
となく、所望の方向に照明光を出射させることが出来る
照明装置が提供されること、(5)省電力低発熱性の長
管状あるいは直管状の放電管(例えば、細直管状の蛍光
ランプ)を光源として採用するに適した照明装置を提供
出来ること等、数多くの利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】照明対象領域非選択性の照明装置の代表例とし
て、居住用施設内における室内の全般照明用の照明装置
の使用状態を示したものである。
【図2】照明対象領域選択性の照明装置の代表例とし
て、ウォールウォッシャ型及びスポットライト型の照明
装置の使用状態を示したものである。
【図3】照明光束に指向性を与える為に従来より用いら
れている手段の基本形を示したものであり、(1),
(3),(5)は天井埋め込み型の配置を表わし、
(2),(4),(6)は(1),(3),(5)の各
々に対応した非埋め込み型の配置を表わしている。
【図4】横軸に相関距離a、縦軸に誘電率ゆらぎ2乗平
均τをとって有効散乱照射パラメータEを一定にする条
件を表わす曲線を、E=50[cm-1]及びE=100
[cm-1]の場合について描いたグラフである。
【図5】横軸に散乱角度Φ、縦軸に自然光を仮定した場
合の散乱光強度をとり、2つの相関距離aの値につい
て、規格化散乱強度のグラフを描いたものである。
【図6】本願発明をウォールウォッシャ型の照明に用い
た第1の実施例を表わした断面図である。
【図7】楔形状の光散乱導光体で構成された平行光束化
素子1の作用を説明する為の断面図である。
【図8】本願発明をスポットライト型の照明に用いた第
2の実施例を表わした断面図である。
【図9】光出射方向修正素子PRの代表的な構造とその
作用の概略を説明する為の断面図である。(a)は多数
のプリズム面を列状に形成した面を光入射面とするケー
スを表わし、(b)は多数のプリズム面を列状に形成し
た面を光取出面として使用するケースを表わしている。
【図10】天井埋め込み型の配置によって、単一の光源
でウォールウォッシャ型の照明とスポットライト型の照
明に同時に実現した第3の実施例を表わした断面図であ
る。
【図11】単一の平行光束化素子を用いて双方向のウォ
ールウォッシャ型の照明光を得る第4の実施例を表わし
たものである。
【図12】図11に示した構造における平行光束化素子
を回転楔体形状の光散乱導光体で置き換えると共に、2
本の直管状の蛍光ランプを単一の円環状の蛍光ランプに
置き換えてウォールウォッシャ型の照明光を得る第5の
実施例を表わしたものである。
【図13】図12に示した構造に同心円状にプリズム列
を形成した光出射方向修正素子を併用してスポットライ
ト型の照明光を得る第6の実施例を表わしたものであ
る。
【図14】本願発明をフロアウォッシャ型の照明に用い
た第7の実施例を表わした断面図である。
【図15】本願発明を適用した壁面埋め込み配置によっ
てウォールウォッシャ型の照明を提供する第8の実施例
を見取り図で表わしたものである。
【図16】非埋め込み型の配置に本願発明を適用した第
9の実施例を表わした模式図である。
【図17】本願発明をOAルーム内の限定照明に適用
し、ディスプレイ画面のグレアを防止した第10の実施
例を表わしている。
【符号の説明】
1,1’ 平行光束化素子 2,2’ 光入射面 3,3’ 光取出面 4,4’ 裏面 5,5’,R,R’,R” 反射体あるいは反射箔 6 最肉薄部 7,9 空気層 10,10’ 照明領域乃至照明範囲 11 蓋部材 12 反射体を兼ねたハウジング AX 回転軸 BS 床面 CL 天井 DP,DP’ ディスプレイ FL 鑑賞用草花 FN 室内備品 J1 ,J2 ,J1',J2',H1 ,H2 ,H1',H2' プ
リズム面 KY,KY’ キーボード L 蛍光ランプ L,L’ 蛍光ランプ L1〜L9 白熱ランプ LS レンズ M1 鏡面乃至反射面 M2 曲面反射体 PC 絵画 PR 光出射方向修正素子 PS,PS’ オペレータ R,R’,R” 反射体(削除) RC 凹部 SL 筒体 SP 吊り部材 WL 壁面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 康博 神奈川県横浜市緑区市が尾町534−23 (72)発明者 荒井 孝之 埼玉県川口市並木2−30−1 株式会社エ ンプラス内 (72)発明者 服部 幸年 愛知県名古屋市中区上前津1−4−5 林 テレンプ株式会社内 (72)発明者 樋口 榮三郎 東京都品川区平塚2丁目9番29号 日東樹 脂工業 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値
    が0.5≦E≦50の範囲にあり、光散乱能を生み出す
    屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=ex
    p[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距
    離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06
    ≦a≦35の範囲にある一様な散乱能が与えられた体積
    領域を含む光散乱導光体からなる平行光束化素子と、該
    平行光束化素子の少なくとも1つの端面に臨んで配置さ
    れた光供給手段を備えたことを特徴とする照明対象領域
    選択性照明装置。
  2. 【請求項2】 有効散乱照射パラメータE[cm-1]の値
    が0.5≦E≦50の範囲にあり、光散乱能を生み出す
    屈折率不均一構造の相関関数γ(r)をγ(r)=ex
    p[−r/a](但し、rは光散乱導光体内の2点間距
    離)で近似した時の相関距離a[μm]の値が0.06
    ≦a≦35の範囲にある一様な散乱能が与えられた楔形
    状断面を有する体積領域を含む光散乱導光体からなる平
    行光束化素子と、該平行光束化素子の前記楔形状断面の
    断面積が相対的に大きな方の端面に臨んで配置された光
    供給手段を備えたことを特徴とする照明対象領域選択性
    照明装置。
  3. 【請求項3】 出射光束の方向特性を修正する光出射方
    向修正手段が、前記平行光束化素子の光取出面に臨んで
    設けられていることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載された照明対象領域選択性照明装置。
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