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JPH08142886A - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

電動パワーステアリング装置の制御装置

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Publication number
JPH08142886A
JPH08142886A JP31233494A JP31233494A JPH08142886A JP H08142886 A JPH08142886 A JP H08142886A JP 31233494 A JP31233494 A JP 31233494A JP 31233494 A JP31233494 A JP 31233494A JP H08142886 A JPH08142886 A JP H08142886A
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JP
Japan
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steering
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JP31233494A
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Shuji Endo
修司 遠藤
Hirosuke Itakura
裕輔 板倉
Hideyuki Kobayashi
秀行 小林
Yoshinori Sugiyama
善則 杉山
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 モータ駆動電流の飽和に起因する違和感や振
動が発生し難い的確な制御をなしうる電動パワーステア
リング装置の制御装置を提供する。 【構成】 操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検
出手段と、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モ
ータと、トルク検出値T等に基づいてモータ電流指令値
I を算出し、この値SI から積分演算を含むフィード
バック制御の演算によってモータ駆動信号SM を算出
し、この信号SM を出力する制御手段と、該制御手段の
出力に応じた駆動電流を電動モータに供給する駆動手段
とを備えた装置において、信号SM を電動モータの駆動
電流の上下限値等に対応した所定の範囲±SMAX に制限
して信号SM'としこれを駆動手段に出力する制限手段
と、信号SM'と信号SM との差に基づく補正値で積分演
算における積分量を補正する補正手段とを備えたもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の操舵系に電動モ
ータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワー
ステアリング装置の制御装置に関し、特に、急激な操舵
操作等に対しても的確な制御をなしうる制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電動パワーステアリング装置の制
御装置は、トルクセンサで検出したトルク検出信号と、
車速センサで検出した車両の車速とをもとにアシスト電
流(モータ駆動電流)を制御し、このアシスト電流を電
動モータに供給することによって、ステアリングホイー
ルの操舵力を補助するようになされている。図8に、そ
の概要ブロック図を示す。この装置は、トルク検出値T
と車速Vとに基づく所定の演算によりアシスト電流の目
標値となるモータ電流指令値SI を生成する電流指令演
算処理18と、モータ電流指令値SI を制御目標として
PID制御(比例・積分・微分)によりモータ駆動信号
M を算出するPID制御処理19と、モータ駆動信号
M に対応したデューティ比のパルス信号等PWM*
* を生成するPWM回路29と、パルス信号等PWM
* ,D* に応じた駆動電流を電動モータ12に供給する
モータ駆動回路30と、モータ駆動回路30による駆動
電流の電流値を検出しこの検出した電流値iM をPID
制御演算19にフィードバックする電流検出回路61と
を備えるものである。
【0003】このようにトルク検出値Tと車速Vとに基
づいてモータ電流指令値SI を生成しこれを制御目標と
することによって、ステアリングシャフトに入力された
操舵トルク及び車速に対応する操舵補助力をモータ12
に発生させている。また、モータ駆動電流の値iM をフ
ィードバック信号とするPID制御演算19によってモ
ータ電流指令値SI に対しフィードバック制御の演算を
行ってモータ駆動信号SM を算出することにより、モー
タ電流指令値SI の変化に対してのより良い追従性を得
ている。すなわち、比例演算による比例制御に加えて、
主として素早い応答性を発揮するための微分演算による
微分制御と、主に定常偏差を解消するための積分演算に
よる積分制御とが行われる。
【0004】そして、このようなフィードバック制御の
演算によって算出されたモータ駆動信号SM に対応した
駆動電流を電動モータ12に供給することにより、車両
の運転者によるステアリングホイールの操作に対して追
従する操舵補助力が発生するので、運転者はステアリン
グホイールを軽快に操作することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の電動
パワーステアリング装置の制御装置においては、PID
制御等のフィードバック制御を行っており、通常の操舵
操作であればこれに操舵補助力が追従し軽快な操作をす
ることができる。PID制御等は線形モデルに基づく制
御であるところ、通常の操舵操作の範囲内であれば、制
御対象の電動モータ等を線形モデルで近似することが可
能だからである。
【0006】しかし、ステアリングホイールの急激な操
作を行ったような場合など通常の操作範囲を超える場合
には問題となることがある。例えば、ステアリングホイ
ールを急に勢いよく回転された後直ちにこの回転を止め
たような場合である。このような場合には、ステアリン
グホイールの急激な操作に対し操舵補助力の発生を追従
させるためにモータ電流指令値SI さらにはモータ駆動
信号SM の値が大きくなるが、その一方で実際にモータ
に供給できる駆動電流には限界があり、例えばPWM制
御においてはデューティ比100%でモータの駆動電流
が飽和してしまいこれを超える駆動電流は供給すること
ができない。このため、フィードバック制御の演算によ
って算出されたモータ駆動信号SM がモータ駆動電流の
限界を超えてしまい、このことによってモータ駆動信号
M と実際のモータ駆動電流とが対応しなくなると制御
対象が線形モデルからかけ離れたものとなり、その結果
PID制御だけでは適切な制御が困難になる。
【0007】特に、フィードバック制御の中に積分演算
を含んでいる場合には、モータ電流指令値SI 等に対応
した制御量が積分演算によって蓄積されるが、実際のモ
ータ駆動電流が飽和してしまったときでもこのことに係
わりなく積分演算による制御量の蓄積が行われることか
ら、モータ駆動信号SM がモータ駆動電流の限界を超え
た場合にはモータ駆動信号SM がモータ駆動電流の限界
を超えた分に対応して余分な制御量が蓄積されてしまう
ことになる。そして、その後に遅れてこの蓄積された制
御量がモータ駆動信号SM に含まれて出力されると、過
剰な制御が行われる。すなわち、ステアリングホイール
の急な回転操作の後に直ちに停止しようとした場合、急
な回転操作に対し過剰な制御によって操舵補助力の発生
が余分に継続し、回転操作後にステアリングホイールを
とめようとしても、しばらくは先の回転操作をアシスト
する方向の操舵補助力が発生する。このため、ステアリ
ングホイールを止めようとしているにも拘わらず、これ
に反してモータは逆にステアリングホイールを回してし
まうこととなる。その結果、運転者に対し、大きな引っ
掛かり感等の操舵操作上の違和感を与えてしまったり、
場合によっては不快な振動を感じさせることにもなると
いう未解決の課題がある。
【0008】殊に、このような現象は、PID制御に対
し慣性補償制御を組み合わせたような場合に多発し易
い。ステアリングホイールの操作がより軽快に行えるよ
うにするために慣性補償制御を付加するのであるが、こ
のような電動パワーステアリング装置の制御装置として
例えば特開平2−290773号公報に記載のものが知
られている。その概要を図10に示すが、この装置は、
図9に示した装置に対し、モータ駆動信号SM とモータ
駆動電流値iM とからモータの回転における角加速度を
間接的に検出し(71)、この検出値に所定のゲインK
aを乗じた値(72)をモータ電流指令値SI に加算す
る(73)回路等を、付加したものである。この慣性補
償制御により、モータ慣性による応答の遅れを少なくし
て、モータ制御における追従性の向上を達成している。
しかしながら、モータ回転の角加速度に基づいてモータ
電流指令値SI に対する加算等を行っていることから、
PID制御だけのときよりもモータ電流指令値SI が大
きくなる機会が多くなる。このため、モータ制御の追従
性向上によって通常の運転状態では軽快な操舵操作が可
能となる一方で、急激な操作を行ったような場合には却
ってモータ駆動電流の飽和に起因する操舵操作上の違和
感や不快な振動を招き易くなってしまうことになる。
【0009】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、急激な操舵操作が
行われたときであってもモータ駆動電流の飽和に起因す
る違和感や振動が発生し難い的確な制御をなしうる電動
パワーステアリング装置の制御装置を提供することを目
的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る電動パワーステアリング装置の制御
装置は、操舵系の操舵トルクを検出する操舵トルク検出
手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生する電動
モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段のトルク
検出値に基づいて操舵補助力目標値を算出し、該操舵補
助力目標値から積分演算を含むフィードバック制御の演
算によって操舵補助力指令値を算出し、該操舵補助力指
令値を出力する制御手段と、該制御手段の出力に応じた
駆動電流を前記電動モータに供給する駆動手段とを備え
た電動パワーステアリング装置の制御装置において、前
記制御手段の操舵補助力指令値を前記電動モータの駆動
電流の上下限値等に対応した所定の範囲に制限して前記
駆動手段に出力する制限手段と、該制限手段の出力値と
前記操舵補助力指令値との差に基づく補正値で前記積分
演算における積分量を補正する補正手段とを備えたもの
である。
【0011】
【作用】請求項1に係る本発明のパワーステアリング装
置の制御装置は、制御手段の操舵補助力指令値に対して
電動モータの駆動電流の上下限値等に対応した所定の範
囲にその値を制限する処理を行う制限手段を備える。こ
の制限手段による制限処理は、モータ駆動電流がその上
下限値等で飽和する状態を模擬するものであるから、制
限処理後の操舵補助力指令値は、モータ駆動電流が実際
に採りうる値に対応した限界値を超えるということがな
い。また、制限処理前の操舵補助力指令値ではなくて制
限処理後の操舵補助力指令値が駆動手段に出力され、こ
れを受けた駆動手段によって制限処理後の操舵補助力指
令値に応じた駆動電流が電動モータに供給される。これ
により、制限処理前の操舵補助力指令値に対してはモー
タ駆動電流が飽和して正確に追従しえないような場合で
あっても、制限処理後の操舵補助力指令値に対してはモ
ータ駆動電流が正確に追従し得る。そこで、制限処理後
の操舵補助力指令値とモータ駆動電流とは常に一定の対
応が採れたものとなる。
【0012】さらに、本発明の装置は、制限手段の出力
値と制御手段の操舵補助力指令値との差に基づく補正値
で積分演算における積分量を補正する補正手段を備え
る。すなわち、制限処理後の操舵補助力指令値と制限処
理前の操舵補助力指令値との差に基づいて積分量の補正
を行う。ここで、モータ駆動電流が飽和していないとき
と飽和しているときに分けて説明すると、先ずモータ駆
動電流が飽和しないとき、つまり制限処理前の操舵補助
力指令値が所定の範囲内のときは、制限処理後の操舵補
助力指令値と制限処理前の操舵補助力指令値とが一致す
ることから、このときの補正値は“0”となり、補正手
段による積分演算における積分量の補正は何ら行われな
いのと等価である。そこで、モータ駆動電流が飽和しな
いときには通常のフィードバック制御が適正に行われ、
これによってステアリングホイールの操作に対して的確
に追従する操舵補助力が発生する。
【0013】一方、モータ駆動電流が飽和したとき、つ
まり制限処理前の操舵補助力指令値が所定の範囲を超え
るときは、制限処理後の操舵補助力指令値と制限処理前
の操舵補助力指令値とが一致しなくなることから、この
ときの補正値は“0”でなくなり、補正手段による積分
演算における積分量の補正が実効を発揮することとな
る。具体的には、制限処理後の操舵補助力指令値が上述
のように実際のモータ駆動電流に対応していることか
ら、制限処理後の操舵補助力指令値と制限処理前の操舵
補助力指令値との差に基づく補正値は制限処理前の操舵
補助力指令値が実際のモータ駆動電流を超えた分に対応
する。そして、この補正値で補正された積分演算におけ
る積分量は、操舵補助力目標値に対し積分演算を含むフ
ィードバック制御を通常通り行ったのに比べて、制限処
理前の操舵補助力指令値が実際のモータ駆動電流を超え
た分だけ、積分演算において蓄積される制御量が少なく
なる。これにより、従来のような余分な制御量の蓄積
は、行われなくなる。すなわち、従来は、モータ駆動電
流が飽和したときでも操舵補助力目標値(モータ電流指
令値SI )に対し積分演算を含むフィードバック制御を
通常通り行っていたことから、課題の項で説明した如く
制限処理前の操舵補助力指令値(モータ駆動信号SM
が実際のモータ駆動電流を超えた分だけ余分な制御量が
積分演算によって蓄積されることとなってしまっていた
が、この発明では、補正手段による積分演算の積分量の
補正により、従来は余分に蓄積されれていた制御量が補
正値で相殺されるのである。そこで、モータ駆動電流が
飽和したときであっても、余分な制御量が蓄積されない
ので、過剰な制御が行われることはない。
【0014】したがって、本発明に係る電動パワーステ
アリング装置の制御装置は、急激な操舵操作が行われた
ときであってもモータ駆動電流の飽和に起因する違和感
や振動が発生し難い的確な制御をなしうるものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明の電動パワーステアリング装置
の制御装置についての第1の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は、その概略構成図である。図中、1はス
テアリングホイールであり、このステアリングホイール
1に作用された操舵力は、入力軸2aと出力軸2bとか
ら構成されたステアリングシャフト2に伝達される。こ
の入力軸2aの一端はステアリングホイール1に連結さ
れ、他端は操舵トルク検出手段としてのトルクセンサ3
を介して出力軸2bの一端に連結されている。そして、
出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイ
ント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユ
ニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に
伝達される。操舵力は、さらにステアリングギヤ8を介
してタイロッド9に伝達されて転舵輪を転舵させる。ス
テアリングギヤ8は、ピニオン8aとラック8bとを有
するラックアンドピニオン形に構成され、ピニオン8a
に伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換し
ている。
【0016】ステアリングシャフト2の出力軸2bに
は、操舵補助力(アシスト力)を出力軸2bに伝達する
減速ギヤ10が連結されている。また、減速ギヤ10に
は、操舵補助力の伝達・遮断を行う電磁クラッチ装置1
1(以後、クラッチという。)を介して、操舵補助力を
発生する電動モータとしてのモータ12の出力軸が連結
されている。このクラッチ11は例えば電磁式で構成さ
れ、モータ12は例えば直流サーボ電動機で構成され
る。さらに、クラッチ11はソレノイドを有し、このソ
レノイドに後述する制御手段としてのコントローラ13
によって励磁電流が供給されることによって、減速ギヤ
10とモータ12とが機械的に連結され、励磁電流の停
止により離脱される。
【0017】トルクセンサ3は、ステアリングホイール
1に配設されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検
出するものであり、例えば、操舵トルクを入力軸2a及
び出力軸2b間に介挿したトーションバーの捩じれ角変
位に変換し、この捩じれ角変位をポテンショメータで検
出するように構成される。そして、運転者がステアリン
グホイール1を操舵操作することによって、ステアリン
グシャフト2に生じる捩じれの大きさと方向とに応じた
アナログ電圧からなるトルク検出信号を出力する。すな
わち、このトルク検出信号は操舵トルクの検出値TV
値とする信号である。トルクセンサ3は、例えば、図9
に示すように、ステアリングホイール1が中立状態にあ
る場合には、トルク検出値TV として所定の中立電圧V
0 を出力し、これよりステアリングホイール1を右切り
するとそのときの操舵トルクに応じて中立電圧V0 より
増加する電圧を、左切りするとそのときの操舵トルクに
応じて中立電圧V0 より減少する電圧を出力するように
なされている。
【0018】13は、モータ12を駆動制御して操舵系
への操舵補助力の制御を行うコントローラであって、車
載のバッテリ16から電源供給されることによって作動
するようになされている。そして、バッテリ16の負極
は接地され、その正極はエンジン始動を行うイグニッシ
ョンスイッチ14及びヒューズ15aを介してコントロ
ーラ13に接続されると共に、ヒューズ15bを介して
コントローラ13に直接接続されている。このヒューズ
15bを介して供給される電源は例えば、メモリバック
アップ用に使用される。そして、コントローラ13はト
ルクセンサ3からのトルク検出信号(TV )と車速セン
サ17からの車速検出信号VP とに基づきモータ12を
駆動制御すると共に、クラッチ11をオン/オフ制御し
モータ12の出力軸と減速ギヤ10とを結合/離脱状態
に制御する。
【0019】図2は、コントローラ13の回路構成を示
すブロック図である。このコントローラ13は、例え
ば、制御回路20、モータ駆動回路30、電流検出回路
61、クラッチ制御回路62、リレー駆動回路63、フ
ェールリレー64から構成されている。そして、制御回
路20は、マイクロコンピュータ21(MPU)と、こ
れの周辺回路をなすA/D変換器22,23,24、位
相補償器25、カウンタ26とから構成されている。
【0020】このマイクロコンピュータ21は、少なく
とも、外部接続機器との入出力処理を行うインタフェー
ス部とROM,RAM等の記憶部とを備えて構成されて
いる。マイクロコンピュータ21は、位相補償器25で
例えば位相を進める等の制御系を安定化させるための位
相補償を行ったトルクセンサ3からのトルク検出信号
(TV )がA/D変換器22を介してデジタル値に変換
されたトルク検出値Tを入力する。同様に、電流検出回
路61からの右方向モータ電流検出信号IR をA/D変
換器24を介して右方向モータ電流検出値iR として入
力し、また、左方向モータ電流検出信号IL をA/D変
換器23を介して左方向モータ電流検出値iL として入
力する。さらに、カウンタ26からの車速検出値Vを入
力する。
【0021】ここで、このカウンタ26は、例えば図示
しない変速機の出力軸に配設され、出力軸の回転に応じ
てパルス信号を発生する回転数センサ等の車速センサ1
7からのパルス信号でなる車速検出信号VP を入力し、
単位時間当たりのパルス数を積算し、マイクロコンピュ
ータ21に積算値が車速検出値Vとして読み込まれたと
き、マイクロコンピュータ21からのリセット信号RC
によってカウント値がリセットされるようになされてい
る。
【0022】マイクロコンピュータ21では、これら入
力信号に基づいて、モータ12に供給する駆動電流を定
めるための信号を算出する。すなわち、これら入力信号
に基づいて操舵補助力目標値としてのモータ電流指令値
I を算出した後、例えばPID制御(比例・積分・微
分)により制限処理前の操舵補助力指令値としてのモー
タ駆動信号SM を算出し、さらにモータの駆動電流の飽
和を模擬して信号値を所定の範囲に制限することにより
制限処理後の操舵補助力指令値としてのモータ駆動信号
M'を算出する。そして、このモータ駆動信号SM'に基
づいてPWM(Pulse Width Modulation) 信号を生成
し、このPWM信号に基づいて左パルス幅変調信号PW
L ,右パルス幅変調信号PWMR ,右方向信号DR
左方向信号DL を生成する。そして、これをモータ駆動
回路30に出力する。
【0023】また、マイクロコンピュータ21では、起
動時には、所定の故障検出処理を実行し、正常であると
きリレー駆動回路63に対するリレー制御信号SR
“HIGH”として出力すると共に、クラッチ制御回路
62に漸増するクラッチ制御信号SC を出力する。ま
た、モータ12の駆動制御時には、電流検出回路61か
らのモータ電流検出値iR 及びiL に基づいて異常監視
処理を行い、異常検出時にはモータ駆動回路30への各
指令信号PWML ,PWMR ,DR ,DL 及びリレー制
御信号SR を“LOW”として出力すると共に、クラッ
チ制御信号SC の出力を停止し、異常ランプを点灯させ
る等の異常発生時の所定の処理を行う。
【0024】モータ駆動回路30は、少なくとも、4つ
のスイッチング素子を有するHブリッジ回路40と、こ
れらスイッチング素子を駆動するゲート駆動回路51〜
54とから構成されている。そして、Hブリッジ回路4
0は、例えば、エンハンスメント型のNチャネルMOS
型FET(電界効果トランジスタ)等の4つのFET4
1〜44を有し、そのFET41及び43が直列に接続
されていると共に、FET42及び44が直列に接続さ
れ、これらの直列回路が並列に接続されてバッテリ16
にフェールリレー64を介して接続される。そして、F
ET41と43との接続点とFET42と44との接続
点との間にモータ12が接続されている。また、FET
43のソース側は右方向電流検出抵抗RR を介して接地
され、同様に、FET44のソース側は左方向電流検出
抵抗RL を介して接地されている。
【0025】そして、これらFET41〜44の各ゲー
ト端子G1 〜G4 は、それぞれ対応するゲート駆動回路
51〜54と接続され、ゲート駆動回路51〜54から
所定の電圧供給が行われたとき、FET41〜44がオ
ン状態となるようになされており、FET42及び43
のみがオン状態となったとき、FET42、モータ1
2、FET43、右方向電流検出抵抗RR の方向に通電
されて、モータ12が正回転し、FET41及び44の
みがオン状態となったとき、FET41、モータ12、
FET44、左方向電流検出抵抗RL の方向に通電され
てモータ12が逆回転するようになされている。
【0026】一方、電流検出回路61は、例えば、右方
向電流検出抵抗RR 及び左方向電流検出抵抗RL の両端
に発生した電圧を増幅及びノイズ除去し、右方向モータ
電流検出信号IR 及び左方向モータ電流検出信号IL
して制御回路20に出力する。また、クラッチ制御回路
62は、制御回路20からのクラッチ制御信号SC に応
じて励磁電流iC を生成してクラッチ11のソレノイド
に出力しモータ12の出力軸と減速ギヤ10とを機械的
結合状態/離脱状態に制御する。
【0027】そして、リレー駆動回路63は、マイクロ
コンピュータ21の出力信号SR に基づいてフェールリ
レー64のオン/オフ制御を行っている。このフェール
リレー64は、常開接点を有するリレースイッチであっ
て、Hブリッジ回路40へのバッテリ16の供給電源を
ON/OFF制御するものである。次に、マイクロコン
ピュータ21でのモータ12の駆動制御処理の処理手順
を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。この
モータ駆動制御処理は、予め設定された所定時間毎のタ
イマ割り込みによって行われ、例えば、数msec毎に
実行される。
【0028】なお、マイクロコンピュータ21では、イ
グニッションスイッチ14がオン状態となったとき、所
定の故障検出処理を実行し、異常が検出されないときに
は、リレー制御信号SR を“HIGH”として出力す
る。これに応じて、リレー駆動回路63がフェールリレ
ー64のコイルへの通電を行うことによってフェールリ
レー64が閉状態となり、Hブリッジ回路40への通電
が行われる。また、漸増するクラッチ制御信号SC をク
ラッチ制御回路62に出力する。これによりクラッチ1
1が作動して、モータ12の回転軸と減速ギヤ10とを
徐々に機械的結合状態にさせる。さらに、各ゲート駆動
回路51〜54への各指令信号を起動時には“LOW”
として出力する。
【0029】また、例えば、イグニッションスイッチ1
4がオフ状態となった場合には、予め設定された終了時
の所定の処理を実行し、例えば、ステアリング系に蓄え
られた弾性エネルギを吸収すべく、モータ角速度に比例
したクラッチ制御信号SC をクラッチ制御回路62に出
力し、所定時間、粘性負荷を与えるように制御を行うよ
うなされている。
【0030】そして、イグニッションスイッチ14がオ
ン状態となり所定の故障検出処理が終了すると、マイク
ロコンピュータ21では、以下のモータ駆動制御処理を
実行する。この処理では、まず、ステップS1で、A/
D変換器22を介して、位相補償器25で位相補償を行
ったトルクセンサ3からのトルク検出値Tを読み込む。
さらに、ステップS2に移行して、T=T−V0 なる演
算を行い、中立時のトルク検出値Tが零となるようオフ
セット処理を行う。
【0031】次いで、ステップS3に移行し、カウンタ
26のカウント値、すなわち、車速検出値Vを読み込
み、カウンタ26にリセット信号RC を出力してカウン
ト値をリセットする。そして、ステップS4に移行し、
図6に示す、操舵トルクと車速とモータ電流との対応を
表す特性線図を参照し、例えば、トルク検出値Tと車速
検出値Vとに対応するモータ電流を検索し、これをモー
タ電流指令値SI として設定する。
【0032】この特性線図は、ステアリングシャフト2
に入力された操舵トルクに対応する補助操舵力をモータ
12に発生させるためにモータ12を駆動するのに必要
とするモータ電流と、操舵トルクと、車速との対応を表
したものであり、車速が小さくなるほどモータ電流指令
値は大きくなり、また操舵トルクが大きくなるほどモー
タ電流指令値は大きくなり、ある値を越えるとそれ以上
は大きくならないように設定されている。
【0033】そして、ステップS5に移行し、モータ電
流指令値SI に対して微分処理を行い所定の比例ゲイン
を乗算してこれを微分処理値fD とする。次いで、ステ
ップS6で右方向のモータ電流検出値iR 及び左方向の
モータ電流検出値iL を読み込み、右方向のモータ電流
検出値iR を正の値、左方向のモータ電流検出値iL
負の値として設定し、これら検出信号の和からモータ電
流検出値iM を算出する。すなわち、iM =iR −iL
により算出する。
【0034】ここで、電流検出回路61では、左右方向
のモータ電流検出信号IR 及びILの実効値が得られる
よう、それぞれの信号に対し充分なフィルタ処理を行っ
ているものとする。また、これに続くステップS7で
は、例えば、図4のフローチャートに示すような異常監
視処理を行う。なお、異常監視処理の詳細については後
述する。
【0035】次いで、ステップS8に移行し、ステップ
S4で設定したモータ電流指令値SI とステップS6で
算出したモータ電流検出値iM との差、すなわち、eM
=SI −iM により、電流偏差eM を算出する。続くス
テップS9で、電流偏差eMに所定の比例ゲインを乗算
してこれを比例処理値fP とする。次のステップS10
では、直前の処理サイクルで算出され保存されていたモ
ータ駆動信号SM と、やはり直前の処理サイクルで算出
され保存されていたモータ駆動信号SM'とから、これら
の差dSを式dS=SM'−SM により算出する。そし
て、続くステップS11で、これに所定値のゲインKC
を乗じて補正値KC ×dSを算出する。これにより、モ
ータ駆動信号SM'とモータ駆動信号SM との差に基づく
補正値が求められる。なお、ゲインKC の値は、単にモ
ータ駆動信号SM'が所定の範囲を超えた分だけ補正する
という観点からは“1”でよいが、実際には系の応答性
と動作安定との調和等の観点から制御系の動特性や非線
形等をも考慮して解析的・実験的に調整して求められた
“1”以下の値に設定される。
【0036】さらに、次のステップS12では、積分演
算の入力値fP'を比例処理値fP と補正値KC ×dSと
から式fP'=fP +KC ×dSにより算出する。そし
て、続くステップS13で、値fP'に対して積分処理を
行い所定の比例ゲインを乗算してこれを積分処理値fI
とする。そして、ステップS14で、微分処理値f
D と、比例処理値fP と、積分処理値fI とを加算し、
これをモータ駆動信号SM とする。このモータ駆動信号
Mは、この処理サイクルによる新たな値のものであ
る。
【0037】次に、ステップS15に移行し、ここで
は、新たなモータ駆動信号SM の値が上限値SMAX より
大きいときにはモータ駆動信号SM'の値として上限値S
MAX を採用し、モータ駆動信号SM の値が下限値−S
MAX 以上で且つ上限値SMAX 以下のときにはモータ駆動
信号SM'の値としてモータ駆動信号SM の値を採用し、
モータ駆動信号SM の値が下限値−SMAX より小さいと
きにはモータ駆動信号SM'の値として下限値−SMAX
採用する。ここで、上限値SMAX は、右パルス幅変調信
号PWMR がデューティ比100%となるときのモータ
駆動信号SM の値であり、下限値−SMAX は、左パルス
幅変調信号PWML がデューティ比100%となるとき
のモータ駆動信号SM の値である。すなわち、上限値S
MAX と下限値−SMAX は、電動モータ12の駆動電流の
上下限値に対応した値である。そこで、このステップに
おける演算は、電動モータ12の駆動電流の上下限値に
対応した所定の範囲に値を制限する処理となり、これに
よってモータ駆動信号SM からモータ駆動信号SM'が算
出される。このモータ駆動信号SM'は、PWM信号がデ
ューティ比100%となってモータ駆動電流が飽和した
ときであっても、モータ駆動電流との対応が採れてい
る。
【0038】そして、この後のステップS16では、モ
ータ駆動信号SM'がSM'≧0であるか否かを判定し、S
M'≧0である場合には、ステアリングホイール1が右操
舵されたものとしてステップS17に移行する。そし
て、ステップS17では、モータ12の回転方向を正回
転方向に設定する右方向信号DR を“HIGH”とし、
また、モータ駆動信号SM'に応じた駆動電流をモータ1
2に供給するためのデューティ比を設定しこれを右パル
ス幅変調信号PWMR としてそれぞれ対応するゲート駆
動回路52,53に出力し、ゲート駆動回路51,54
には左パルス幅変調信号PWML 及び左方向信号DL
“LOW”として出力する。そして、この処理サイクル
を終了して呼出し側のプログラムに戻る。
【0039】一方、ステップS16で、SM'≧0でない
場合には、ステアリングホイール1を左操舵した状態で
あるものと判定してステップS18に移行する。そし
て、ステップ18では、モータ12の回転方向を逆回転
方向に設定する左方向信号DLを“HIGH”とし、ま
た、モータ駆動信号SM'に応じた駆動電流をモータ12
に供給するためのデューティ比を設定しこれを左パルス
幅変調信号PWML として、それぞれ対応するゲート駆
動回路51,54に出力する。また、右方向信号DR
び右パルス幅変調信号PWMR は“LOW”としてそれ
ぞれゲート駆動回路51,54に出力する。そして、処
理を終了して呼出し側のプログラムに戻る。このよう
に、ステップS17,S18で、モータ駆動信号SM'
基づいてPWM信号が生成される。すなわち、ステップ
S17,S18における処理は、駆動手段の一部を構成
し、これによってモータ駆動信号SM ではなくモータ駆
動信号SM'に応じた駆動電流が電動モータ12に供給さ
れる。なお、これらのモータ駆動信号SM とモータ駆動
信号SM'は、次の処理サイクルでの補正値算出のために
値が保存される。そして、モータ駆動制御処理の1つの
処理サイクルが終了する。
【0040】ステップS7での異常監視処理について説
明する。この処理は、図4に示すように、まず、ステッ
プS21で、モータ電流検出値iM の絶対値が最大電流
値IMAX よりも小さいか否かを判定する。ここで最大電
流値IMAX は、モータ駆動回路30が正常に作動してい
るとみなす値として予め設定されたものである。そし
て、モータ電流検出値iM の絶対値が最大電流値IMAX
よりも小さいときは、正常であるものと判定して、ここ
での処理を終了して呼出し側のプログラムに戻る。
【0041】一方、ステップS21で、モータ電流検出
値iM の絶対値が最大電流値IMAXよりも小さくないと
きには、Hブリッジ回路40に過大電流が流れており、
異常が発生したものと判定してステップS22に移行す
る。ステップS22では、ゲート駆動回路51〜54へ
の各指令信号PWML ,PWMR ,DR ,DL を“LO
W”として出力し、これによってHブリッジ回路40の
通電路を遮断する。そして、ステップS23に移行し、
クラッチ制御回路62へのクラッチ制御信号SC の出力
を停止することによって、クラッチ11を作動させてモ
ータ12の出力軸と減速ギヤ10とを離脱状態にする。
さらに、ステップS24に移行して、リレー駆動回路6
3へのリレー制御信号SR を“LOW”として出力する
ことによって、フェールリレー64を作動させて、バッ
テリ16からのHブリッジ回路40への通電を遮断す
る。そして、ステップS25では、例えば、メイン処理
プログラム等の上位プログラムに異常通知を行い、処理
を終了する。以後、異常通知を受けた上位プログラムで
は、モータ駆動制御処理を実行しない。
【0042】かかる構成からなる第1の実施例の電動パ
ワーステアリング装置の制御装置について、その動作を
説明する。具体的には、車両を始動後に直進走行してい
たときに運転者がステアリングホイールを急に右切り
し、その後直ぐにステアリングホイールを元に戻すとい
う操舵操作を行ったときの動作を説明する。なお、この
ような操作を行ったときの状態変化の様子を時間軸tを
横軸に採って図7に示す。図中、(a)におけるθはス
テアリングホイールの操舵角を示し、(b)において実
線で示すSI はモータ電流指令値SI であり、(c)に
おいて実線で示すiM'は従来装置におけるモータ電流検
出値であり、(d)において実線で示すiM は本発明の
実施例におけるモータ電流検出値iM である。さらに、
(b)、(c)及び(d)において破線で示すiM*は、
モータ駆動電流が±iMAX で飽和することなく幾らでも
供給しうると仮定したときに検出される仮想のモータ電
流検出値である。
【0043】今、車両が停車している状態であるものと
し、この状態からイグニッションスイッチ14をオン状
態にしたものとすると、マイクロコンピュータ21で
は、所定の故障監視処理を行い、異常がなければ、リレ
ー制御信号SR を“HIGH”としてリレー駆動回路6
3に出力し、また、クラッチ制御回路62へのクラッチ
制御信号SC を漸増して出力する。これによってリレー
駆動回路63が、フェールリレー64のコイルへの通電
を行うことによって、フェールリレー64が閉状態とな
り、バッテリ16の供給電源がHブリッジ回路40に供
給可能となる。また、クラッチ11が徐々に作動し、モ
ータ12の回転軸と減速ギヤ10とが機械的結合状態と
なり、モータ12の回転駆動力がステアリングシャフト
2に伝達可能となる。
【0044】そして、マイクロコンピュータ21では、
変数やデータ領域等の初期化を行った後、所定の割り込
み周期でモータ駆動制御処理を実行する。このとき、乗
員が操舵操作を行っていないものとすると、トルクセン
サ3からのトルク検出信号TV が中立電圧V0 となり、
このとき、車両は停車中であるので、車速検出値Vは零
となることから、図3のモータ駆動制御処理において
は、図6の特性線図からモータ電流指令値SI は略零と
なり、そしてモータ駆動信号SM 、モータ駆動信号SM'
も略零となって、さらにモータ電流検出値iM も略零と
なるので、モータ12は駆動されない。そして、停車し
ている状態から走行状態に移るが、車両が直進走行状態
すなわちステアリングホイールの操舵角θが“0”の間
は、通常トルクセンサ3からのトルク検出値Tが中立位
置V0 近傍にあるので、上述と同様に、モータ電流指令
値SI 、モータ駆動信号SM 、モータ駆動信号SM'、モ
ータ電流検出値iM が略零となり、やはりモータ12は
駆動されない(図7における時刻t0部分参照)。
【0045】この走行中に、例えば乗員が急に右操舵を
行った場合には(図7における時刻t1部分参照)、操
舵角θが正方向に増加するに伴い、トルクセンサ3から
のトルク検出信号TV は中立電圧V0 よりも大きい電圧
値となる。このときのモータ駆動制御処理の処理サイク
ルについて詳述すると、マイクロコンピュータ21で
は、A/D変換器22を介して入力したトルク検出値T
をもとにT=T−V0 によりオフセット処理し、中立点
を零とするトルク検出値Tを算出する。さらに、このト
ルク検出値Tと車速検出値Vとをもとに図6の特性線図
から対応するモータ電流指令値SI を設定する。このと
き、右操舵を行ったので、オフセット処理したトルク検
出値Tは、正の値となり、よって、モータ電流指令値S
I も正の値となる。
【0046】このとき、例えば、車両が低速走行してい
る状態で操舵トルクが大きい場合には、大きな操舵補助
力を必要とするのでモータ電流指令値SI は大きく設定
され、高速走行している場合には、ステアリングホイー
ル1の手応え感があるように小さな操舵補助力を発生さ
せるためにモータ電流指令値SI は小さな値に設定され
る。また、操舵トルクが小さい場合にも同様に、車速が
小さいほど大きなモータ電流指令値SI を設定し、車速
が大きくなるにつれてステアリングホイール1の手応え
感があるように小さなモータ電流指令値SI に設定され
る。何れにしても、急な操舵操作を行った場合には、操
舵トルクの急増に伴って、速やかにモータ電流指令値S
I は正の値となる。もっとも、この時点では未だモータ
駆動電流を飽和させるまでには至らないものとする。す
なわち、モータ駆動信号SM の値が下限値−SMAX と上
限値SMAX との間にある。
【0047】そして、設定したモータ電流指令値SI
対して微分処理等の所定の処理を行い、微分ゲインKD
を乗算して微分処理値fD を算出する。また、左右方向
のモータ電流検出値iR 及びiL をもとに、iM =iR
−iL により、モータ12に流れる電流値としてモータ
電流検出値iM を算出する。そして、異常監視処理を実
行し正常と判定した場合には、モータ電流指令値SI
このモータ電流検出値iM とから電流偏差eM を算出す
る。そして、この電流偏差eM と読み出した比例ゲイン
P とを乗算して比例処理値fP を算出する。
【0048】さらに、直前の処理サイクルで算出されて
いたモータ駆動信号SM とモータ駆動信号SM'とから式
dS=SM'−SM により差dSを算出し、これに所定の
ゲインKC を乗じて補正値KC ×dSを算出する。もっ
とも、このときは未だモータ駆動電流が飽和していない
ので、モータ駆動信号SM とモータ駆動信号SM'とは値
が一致しており、差dS及び補正値KC ×dSは“0”
である。
【0049】次に、比例処理値fP と補正値KC ×dS
とから式fP'=fP +KC ×dSにより積分演算の入力
値fP'を算出し、さらに値fP'に対して積分処理を行い
所定の比例ゲインを乗算してこれを積分処理値fI とす
る。この処理サイクルの時点では、補正値KC ×dSが
“0”であるから、積分演算の入力値fP'は比例処理値
P と一致する。
【0050】そして、入力値fP'に対して積分処理した
値に積分ゲインKI を乗算して積分処理値fI を算出
し、これら微分処理値fD と比例処理値fP と積分処理
値fIとを加算してモータ駆動信号SM を算出する。こ
のとき、入力値fP'が比例処理値fP に一致しているこ
とから、モータ駆動信号SM は補正のないときの値に一
致する。
【0051】次に、値を下限値−SMAX と上限値SMAX
との間に制限する処理によってモータ駆動信号SM から
モータ駆動信号SM'が算出されるが、今はモータ駆動信
号SM の値が下限値−SMAX と上限値SMAX との間にあ
ることから、モータ駆動信号SM'はモータ駆動信号SM
に一致する。そこで、モータ駆動信号SM'は、モータ駆
動電流が飽和しないときのモータ駆動信号SM であって
何ら補正のないものに一致する。
【0052】そして、モータ駆動信号SM'の符号に基づ
き電流方向を判断し、この場合、モータ駆動信号SM'
0となることから、指令信号PWML 及びDL は“LO
W”として出力し、指令信号DR は“HIGH”、指令
信号PWMR はモータ駆動信号SM'に応じたデューティ
比Dのパルス信号として出力する。これに応じて、ゲー
ト駆動回路53が所定の電圧供給を行ってFET43を
オン状態とし、また、指令信号PWMR が“HIGH”
である間、ゲート駆動回路52が所定の電圧供給を行う
ことによってFET42がオンオフ制御される。
【0053】このとき、指令信号PWML 及びDL
“LOW”であることから、ゲート駆動回路51、54
はFET41及び44に所定の電圧供給を行わないの
で、FET41及び44はオフ状態のままである。そこ
で、FET42がオン状態となるとき、バッテリ16か
らの電源供給により、FET42、モータ12、FET
43、右方向電流検出抵抗RR の方向に通電されてモー
タ12が正回転し、FET42がオンオフ制御されるこ
とによってモータ駆動信号SM'に応じた駆動電流が供給
されてモータ12の駆動制御が行われる。
【0054】このようにこの処理サイクルでは、ステア
リングホイールの操舵角θが正方向に変化したこと等に
応じて、モータ電流指令値SI が正の値となり、さらに
モータ駆動信号SM'も正の値を採る。そして、これに応
じて、駆動電流の検出値すなわちモータ電流検出値iM
もモータ電流指令値SI に僅かに遅れて正方向に増加す
る。すなわち、モータ12の電気的応答性に応じた遅れ
をもってモータ電流検出値iM がモータ電流指令値SI
に追従する(図7(b)参照)。このとき、上述したよ
うにモータ駆動電流が飽和しないときのモータ駆動信号
M であって何ら補正のないものに対してモータ駆動信
号SM'が一致することから、モータ電流検出値iM およ
びモータ電流検出値iM'は共に、モータ駆動電流が飽和
しないと仮定したときのモータ電流検出値iM*に一致す
る。
【0055】したがって、このときのモータ制御状態
は、線形モデルで近似可能な動作状態に対する制御と同
様であり、適正な状態である。そして、このような制御
状態での処理サイクルが何回か繰り返された後に、操舵
角θの急激な増加に伴ってトルク検出値Vさらにモータ
電流指令値SI が大きくなると、モータ駆動信号SM
値が上限値SMAX を超えるに至ることとなる(図7にお
ける時刻t2部分参照)。こうしてモータ駆動信号SM
の値が上限値SMAX を超えた後(図7における時刻t2
から時刻t3までの部分参照)の処理サイクルでは、ト
ルク検出値Tの読み込みからモータ電流指令値SI の設
定、モータ電流検出値iM と電流偏差eM の算出、さら
に比例処理値fP の算出までは上述したのと同様である
が、その他の処理については補正が実効を発揮する点で
相違する。
【0056】すなわち、式dS=SM'−SM により差を
算出し、さらに補正値KC ×dSを算出するが、このと
きは、モータ駆動信号SM の値が上限値SMAX を超えて
いることからSM'>SM なので、差dS及び補正値KC
×dSは負の値となる。そして、式fP'=fP +KC ×
dSにより算出された積分演算の入力値fP'は、従来の
積分演算の入力値fP よりも小さい値となる。そこで、
このときの処理サイクルにおいて積分演算によって積算
される積分量は(図3のステップS13参照)、従来に
比べて(SM −SM')だけ少ない。すなわちモータ駆動
信号SM が上限値SMAX を超えた分だけ従来のものより
少ないものとなる。これにより、積分演算における積分
量は、モータ駆動電流の飽和状態を反映したものとな
る。
【0057】そして、積分処理値fI 、新たなモータ駆
動信号SM 、モータ駆動信号SM'を算出する。このと
き、モータ駆動信号SM の値が上限値SMAX を超えてい
ることから、モータ駆動信号SM'は上限値SMAX に制限
される。つまり、PWM信号はデューティ比が100%
となり、モータの駆動電流は飽和状態となる。そこで、
このときのモータ電流検出値iM は、モータ電流検出値
M*と異なるものとなり、上限値iMAX でほぼ一定のも
のとなる。なお、従来の装置の場合もモータ電流検出値
M'が上限値iMAX でほぼ一定となるのは同様である。
【0058】したがって、このときのモータ制御状態
は、モータ駆動電流が供給可能な最大限になるように制
御しているという点で、適正な出力状態である。また、
モータ駆動電流の飽和に対応した非線形モデル的な修正
を加味して積分演算をすることからモータ駆動電流の飽
和状態が積分量に反映されている。この点は、あくまで
も線形モデルとして制御するためモータ駆動電流の飽和
状態が積分量に反映されない従来の制御と異なる。
【0059】このような制御状態での処理サイクルが何
回か繰り返された後に、今度は運転者がステアリングホ
イールを元に戻そうとして左切りを行うと、この操作に
よって操舵角θが減少することとなる。そして、操舵角
θの減少に伴ってトルク検出値Vさらにモータ電流指令
値SI も減少してくると、やがてモータ駆動信号SM
値が上限値SMAX にまで減少することとなる(図7にお
ける時刻t3部分参照)。この時点までは、まだ、上述
した如くモータ電流検出値iM がモータ電流検出値iM'
と同じく上限値iMAX でほぼ一定のものとなっており、
モータの制御状態も外面的には従来と一致する。ただ
し、積分演算における積分量について比較すると、従来
は仮想のモータ電流検出値iM*に対応した量が積分され
て実際のモータ電流検出値iM'に対応した量よりも余分
な量までも積分されていたのに対し(図7(c)におけ
ル領域Y参照)、この発明の装置では実際のモータ電流
検出値iM に対応した量しか積分されていない。
【0060】こうしてモータ駆動信号SM の値が上限値
MAX よりも小さくなった後(図7における時刻t3以
後の部分参照)の処理サイクルでは、操舵角θの急激な
減少に伴ってトルク検出値Vも速やかに減少し、これに
基づいて算出したモータ電流指令値SI も速やかに減少
してくる。そして、既述の手順に従ってモータ電流検出
値iM 、電流偏差eM の算出、比例処理値fP 等、さら
にモータ駆動信号SMとモータ駆動信号SM'の算出をも
行うが、この場合には、モータ駆動信号SM の値が下限
値−SMAX と上限値SMAX との間にあることから、モー
タ駆動信号SM'はモータ駆動信号SM に一致する。すな
わち、モータ駆動信号SM'は、モータ駆動電流が飽和し
ないときのモータ駆動信号SM に一致する。そして、フ
ィードバック制御における積分演算の入力値fP'に関す
る補正は実質的に停止する。しかも、以前の補正によっ
てこのときまでになされた積分演算における積分量が上
述したように実際のモータ駆動電流に対応したものとな
っていることから、このときにおける積分量は、線形モ
デルに基づくフィードバック制御においてモータ駆動電
流が飽和しないときの積分量にほぼ一致する。つまり、
モータ駆動電流が飽和したことの影響は、もはやフィー
ドバック制御における制御状態には残存しない。
【0061】そこで、モータ駆動信号SM'は、モータ駆
動電流が飽和しないと仮定したときのモータ駆動信号で
あって何ら補正のないものに一致する。そして、このモ
ータ駆動信号SM'によって制御された結果のモータ電流
検出値iM は、モータ駆動電流が飽和しないと仮定した
ときのモータ電流検出値iM*に、ほぼ一致することとな
る(図7(d)参照)。したがって、このときのモータ
制御状態は、線形モデルで近似可能な動作状態に対する
制御と同様であり、適正な状態である。
【0062】なお、この点を従来例と比較すると、従来
の場合は、モータ電流指令値SI が減少してこれに基づ
く比例処理値fP 等が小さくなっても、フィードバック
制御での積分演算における積分量に余分な量が残存して
いるため積分処理値fI が依然として大きな値を維持す
ることから、モータ駆動信号SM も値の大きな状態を保
つ。そして、ある程度の時間をかけて余分な積分量の放
出が終わるに至ってから初めて(図7(c)における時
刻t4部分参照)、モータ駆動信号SM が値SMAX 以下
となる。このため、モータ電流検出値iM'は、モータ駆
動電流が飽和しないと仮定したときのモータ電流検出値
M*に対し、遅れて減少することとなる。さらには、こ
のような遅れによって反対向きの過剰な制御を招くとき
もある(図7(c)における時刻t5部分参照)。これ
に対し、この発明の装置には、従来例におけるこのよう
な遅れはない。
【0063】そして、この実施例の装置では、さらに何
回かのモータ駆動制御処理の処理サイクルが繰り返さ
れ、運転者がステアリングホイールを元に戻して操作を
止めると、速やかにモータ駆動信号SM'が略零となり、
その結果、モータ電流検出値iM も速やかに略零となる
(図7における時刻t6部分参照)。しかも、このこと
が、モータ駆動信号SM の変化に遅れを有する従来装置
が同様の状態に達する時点よりも(図7における時刻t
7部分参照)、早い時点で達成される。
【0064】したがって、この実施例の装置は、直進走
行中に運転者がステアリングホイールを急に右切りしそ
の後直ぐにステアリングホイールを元に戻すという操舵
操作を行ったときでも、ステアリングホイールの操作に
対して的確に追従する操舵補助力を発生させる制御を行
うことができる。本発明の電動パワーステアリング装置
の制御装置についての第2の実施例を説明する。これ
は、PID制御に対しさらにモータ慣性補償制御を組み
合わせたものであり、その概要構成図を図8に示す。こ
の装置は、トルク検出値Tと車速検出値Vとに基づいて
モータ駆動信号SM'を算出する演算制御回路2100
と、モータ駆動信号SM'に対応したデューティ比のパル
ス信号等PWM* ,D* を生成するPWM回路29と、
パルス信号等PWM* ,D* に応じた駆動電流を電動モ
ータ12に供給するモータ駆動回路30と、モータ駆動
回路30による駆動電流の電流値を検出しこの検出した
電流値iM をPID制御回路にフィードバックする電流
検出回路61とを備えるものである。
【0065】ここで、演算制御回路2100は、トルク
検出値Tと車速検出値Vとに基づいてモータの駆動電流
値設定等のための指令値としてのモータ電流指令値SI
を生成する電流指令演算器18と、モータ電流指令値S
I'を制御目標としてPID制御によってモータ駆動信号
M を生成するPID制御回路を構成する加算器19a
と微分演算器19bと比例演算器19cと積分演算器1
9dと加算器19eと、モータ駆動信号SM の信号値を
±SMAX の範囲に制限してモータ駆動信号SM'を出力す
るリミッタ2110と、加算器2121と比例演算器2
122と加算器2123とで構成される補正回路212
0とを具備する。この部分は、第1の実施例におけるマ
イクロンピュータ21にほぼ相当する電子回路である。
【0066】さらに、演算制御回路2100は、モータ
駆動信号SM'とモータ駆動電流値iM とからモータの回
転における角加速度を間接的に検出する角加速度検出器
71と、この検出値に所定の慣性補償係数KG を乗じて
補償値を算出する慣性補償係数回路72と、この補償値
をモータ電流指令値SI に加算してモータ電流指令値S
I'とする加算器73とを具備する。これにより、モータ
慣性による応答の遅れを補償する慣性補償制御も行われ
る。
【0067】この慣性補償制御について詳述すると、角
加速度検出器71でのモータ角加速度ω1 の算出は次の
ように行われる。モータ駆動信号SM'に対応したパルス
幅変調信号PWMのデューティ比D、電源電圧V
BAT (=バッテリ電圧B)とすると、モータ12に供給
される平均電圧Vは、次のように表される。 VAV=D・VBAT …(1) 一方、モータ12が回転するとこの回転によってモータ
12では逆起電力が発生するが、このときのモータ回転
における角速度をω0 とし、さらに逆起電力定数をkT
とすると、モータ12に発生する逆起電圧はkT ・ω0
となる。このことから、コイル抵抗Rを有するモータ1
2に供給された平均電圧VAVは次のようにも表される。
【0068】VAV=kT ・ω0 +R・i …(2) そこで、式(1)及び(2)よりVAVを消去して、モー
タ角速度ω0 は次のように求められる。 ω0 =(D・VBAT −R・i)/kT …(3) さらに、この式(3)の両辺を時間tで微分することに
より、モータ回転における角加速度ω1 が算出される。
【0069】こうして間接的に検出された角加速度ω1
が慣性補償係数回路72で所定の慣性補償係数KG と乗
算されて、モータ電流指令値SI に対する補償値が求め
られる。そして、この補償値がモータ電流指令値SI
加算器73で加算され、モータ電流指令値SI'が求めら
れる。これにより、慣性補償制御が行われて、モータ慣
性に起因するモータの応答性の遅れが補償される。
【0070】なお、角加速度ω1 はセンサで直接検出し
てもよく、また、例えば、モータ軸に取り付けた角度セ
ンサにより検出された角度値を、時間tで微分して先ず
角速度ω0 を求め、更にもう一度微分して角加速度ω1
を求めるようにしてもよい。あるいは、例えばステアリ
ングシャフト2に取り付けた角度センサによりステアリ
ングホイールの舵角を検出し、これをモータ軸の角度の
近似値とすることで、角加速度ω1 を求めるようにして
もよい。また、慣性補償制御に加えて、図示しないが、
操舵系に電気的粘性抵抗を与えて車両の安定性向上を図
るために、角速度ω0 に所定のダンパ係数KV を乗算し
この乗算値をモータ電流指令値SI から減算するダンパ
制御が行われてもよい。
【0071】このような構成の電動パワーステアリング
装置の制御装置の動作は、モータ電流指令値SI に慣性
補償制御による補償を施してモータ電流指令値SI'を求
めるという処理が付加された以外は、第1の実施例のも
のとほぼ同様となる。そこで、重複する説明は割愛する
が、この第2の実施例にあっては、モータ電流指令値S
I に対して補償値の加算等を行っていることから、同じ
操舵操作についての動作であっても第1の実施例におけ
るモータ電流指令値SI よりもモータ電流指令値SI'
大きくなる傾向がある。このため、直進走行中に運転者
がステアリングホイールを急に右切りしその後直ぐにス
テアリングホイールを元に戻すという操舵操作を行った
とき等には、モータ電流指令値SI'が図7(b)におけ
るSI よりも急峻でピーク値の高いものとなり、このた
めモータ電流検出値iM*が上限値iMAX を超える領域が
図7(c)における領域Yよりも広くなる。あるいは、
慣性補償制御を行わなければモータ電流検出値iM*が上
限値iMAX を超えないような操舵操作に対してもモータ
電流検出値iM*が上限値iMAX を超えることが起こりう
る。しかし、この装置では、補正回路2120による補
正が行われることから、このようなときでも、フィード
バック制御の積分演算器19dにおける積分量が実際の
モータ駆動電流に対応したものとなる。そして、仮想の
モータ電流検出値iM*が上限値iMAX 以下に納まるべき
タイミングで素早く実際のモータ電流検出値iM も上限
値iMAX 以下に納まる。そこで、操舵操作上の違和感や
不快な振動を招くことなく、ステアリングホイールの操
作に対して的確に追従する操舵補助力を発生させること
ができる。
【0072】したがって、この装置は、PID制御に加
えて慣性補償制御を行うものでありながら、急激な操舵
操作が行われたときであってもモータ駆動電流の飽和に
起因する違和感や振動が発生し難い的確な制御を行うこ
とができるものである。なお、上記の各実施例では、右
操舵を行った場合について説明したが、左操舵を行った
場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0073】また、上記実施例では、PID制御によっ
てモータの駆動制御を行う場合について説明したが、こ
れに限らず、例えばPI制御等により制御を行うことも
可能である。また、上記実施例では、操舵トルクと車速
とをもとにモータ電流指令値を設定するようにした場合
について説明したが、例えば、操舵トルクのみに基づい
てモータ電流指令値を設定することも可能である。
【0074】さらに、上記実施例では、FET(電界効
果トランジスタ)によりモータドライブ回路を構成した
場合について説明したが、これに限らず、バイポーラト
ランジスタ等、その他のスイッチング素子等を適用する
ことも可能である。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る本
発明のパワーステアリング装置の制御装置にあっては、
制限手段を備えて、モータ駆動電流がその上下限値等で
飽和する状態を模擬する。また、補正手段を備えて、積
分演算における積分量を補正する。これにより、モータ
駆動電流が飽和したときでも、従来のような余分な制御
量の蓄積が行われなくなり、過剰な制御は行われない。
【0076】したがって、急激な操舵操作が行われたと
きであってもモータ駆動電流の飽和に起因する違和感や
振動が発生し難い的確な制御をなしうる電動パワーステ
アリング装置の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】コントローラを中心とした回路構成のブロック
図である。
【図3】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について、その処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図4】マイクロコンピュータによるモータの駆動制御
処理について、異常監視処理における処理手順を示すフ
ローチャートである。
【図5】操舵トルクとトルクセンサの出力電圧との関係
を示す特性線図である。
【図6】車速をパラメータとして操舵トルクとモータ電
流値との関係を示す特性線図である。
【図7】本発明の装置の動作を説明するための信号波形
図である。
【図8】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図9】従来装置のブロック図である。
【図10】他の従来装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール 2 ステアリングシャフト 3 トルクセンサ 4 ユニバーサルジョイント 5 ロアシャフト 7 ピニオンシャフト 8 ステアリングギヤ 9 タイロッド 10 減速ギヤ 11 クラッチ 12 モータ 13 コントローラ 14 イグニッションスイッチ 15a,15b ヒューズ 16 バッテリ 17 車速センサ 18 電流指令演算器 19 PID制御回路 19a 加算器 19b 微分演算器 19c 比例演算器 19d 積分演算器 19e 加算器 20 制御回路 21 マイクロコンピュータ(MPU) 22,23,24 A/D変換器 25 位相補償器 26 カウンタ 29 PWM回路 30 モータ駆動回路 40 Hブリッジ回路 41〜44 FET(電界効果トランジスタ) 51〜54 ゲート駆動回路 61 電流検出回路 62 クラッチ制御回路 63 リレー駆動回路 64 フェールリレー 71 角加速度検出器 72 慣性補償係数回路 73 加算器 2100 演算制御回路 2110 リミッタ 2120 補正回路 2121 加算器 2122 比例演算器 2123 加算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 善則 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵系の操舵トルクを検出する操舵トル
    ク検出手段と、前記操舵系に対して操舵補助力を発生す
    る電動モータと、少なくとも前記操舵トルク検出手段の
    トルク検出値に基づいて操舵補助力目標値を算出し、該
    操舵補助力目標値から積分演算を含むフィードバック制
    御の演算によって操舵補助力指令値を算出し、該操舵補
    助力指令値を出力する制御手段と、該制御手段の出力に
    応じた駆動電流を前記電動モータに供給する駆動手段と
    を備えた電動パワーステアリング装置の制御装置におい
    て、前記制御手段の操舵補助力指令値を前記電動モータ
    の駆動電流の上下限値等に対応した所定の範囲に制限し
    て前記駆動手段に出力する制限手段と、該制限手段の出
    力値と前記操舵補助力指令値との差に基づく補正値で前
    記積分演算における積分量を補正する補正手段とを備え
    たことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御
    装置。
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