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JPH0814004B2 - 耐食性に優れた高延性高強度の複相組織クロムステンレス鋼帯の製造法 - Google Patents

耐食性に優れた高延性高強度の複相組織クロムステンレス鋼帯の製造法

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JPH0814004B2
JPH0814004B2 JP62329983A JP32998387A JPH0814004B2 JP H0814004 B2 JPH0814004 B2 JP H0814004B2 JP 62329983 A JP62329983 A JP 62329983A JP 32998387 A JP32998387 A JP 32998387A JP H0814004 B2 JPH0814004 B2 JP H0814004B2
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照夫 田中
克久 宮楠
廣 藤本
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,耐食性に優れた高延性高強度の複相組織ク
ロムステンレス鋼帯の新規な工業的製造方法に関し,高
強度とともに優れた耐食性が必要とされ,且つプレス成
形などの加工が施される成形用素材としての高延性高強
度ステンレス鋼帯の製造法を提供するものである。
〔この分野の背景〕
クロムを主合金成分として含有するクロムステンレス
鋼にはマルテンサイト系ステンレス鋼とフエライト系ス
テンレス鋼とがある。いずれも,クロムおよびニッケル
を主合金成分として含有するオーステナイト系ステンレ
ス鋼に比べて安価であり,そして強磁性を有し熱膨張係
数が小さいなどの物性面でオーステナイト系ステンレス
鋼には見られない特徴を有するので,単に経済的な理由
のみならず特性面からクロムステンレス鋼に限定される
用途も多い。特に近年の電子機器や精密機械部品などの
分野では,その需要拡大にともなってクロムステンレス
鋼板を使用する用途において加工成品の高機能化,小型
化,一体化,高精度化並びに加工工程の簡略化に対する
要求が益々厳しくなってきていることは周知のとおりで
ある。このために,ステンレス鋼本来の耐食性や上述の
クロムステンレス鋼の特質に加えて,クロムステンレス
鋼板の素材面では,一層の強度,加工性および精度が必
要とされる。したがて,高強度と高延性という相反する
特性を兼備した鋼板素材であって素材鋼板時点で形状や
板厚精度に優れたもの,そして加工後の形状精度に優れ
るといった諸特性を合わせもつクロムステンレス鋼板素
材の出現が強く待たれている。
〔従来の技術〕
従来のクロムステンレス鋼板素材について,強度の観
点から見ると,先ずマルテンサイト系ステンレス鋼が高
強度を有するクロムステンレス鋼板として良く知られて
いる。例えばJIS G 4305の冷間圧延ステンレス鋼板には
マルテンサイト系ステンレス鋼として7種の鋼が規定さ
れている。これらのマルテンサイト系ステンレス鋼板
は,Cが0.08%以下(SUS410S)から0.60〜0.75%(SUS44
0A)であり,フェライト系ステンレス鋼に比べて同一Cr
量レベルで見ると,高いCを含有し,焼入れ処理または
焼入れ焼もどし処理により高強度を付与することができ
る。例えば,このJIS G 4305において,0.26〜0.40%の
Cおよび12.00〜14.00%のCrを含有するSUS420J2では,9
80〜1040℃からの急冷による焼入れ後,150〜400℃空冷
の焼もどしによりHRC40以上の硬さが得られることが,
そして,0.60〜0.75%のCおよび16.00〜18.00%のCrを
含有するSUS440Aでは,1010〜1070℃からの急冷による焼
入れ後,150〜400℃空冷の焼もどしにより,同じくHRC40
以上の硬さが得られることが示されている。
一方,クロムステンレス鋼であるフェライト系ステン
レス鋼板では熱処理による硬化があまり期待できないの
で,強度を上昇させる方法としては焼なまし後,さらに
冷間で調質圧延を行って加工硬化による強度上昇を図る
ことが行われている。しかし,フェライト系ステンレス
鋼は元来が高強度を必要とする用途にはあまり供されて
はいないのが実状である。
〔発明が解決しようとする問題点〕
マルテンサイト系ステンレス鋼板では,焼入れまたは
焼入れ−焼もどし処理後の組織はその名称のごとく基本
的にはマルテンサイト組織であり,非常に高い強度およ
び硬さが得られる反面,伸びは非常に低い。そのため,
焼入れまたは焼入れ焼もどし処理を施したのではその後
の加工が困難となる。特にプレス成形などの加工は焼入
れまたは焼入れ焼もどし後では不可能である。したがっ
て加工が施される場合には焼入れまたは焼入れ焼もどし
前に施される。すなわち,素材メーカーからは焼なまし
た状態,つまり,JIS G 4305の表16にも示されるように
強度および硬さの低い軟質な状態で出荷され,加工メー
カーにおいて所望の最終成品にほぼ近い形状に加工され
た後,焼入れまたは焼入れ焼もどし処理を施すのが通常
である。この焼入れまたは焼入れ焼もどし処理を施すこ
とにより生成する表面の酸化皮膜(スケール)は表面の
美麗さが重要視されるステンレス鋼では好ましくない場
合が多く,その対策として真空もしくは不活性ガス雰囲
気による熱処理を施したり,熱処理後に研摩などにより
スケールを除去するなどの工程が必要となる。いずれに
しても,マルテンサイト系ステンレス鋼板では高強度を
得るためには加工メーカーでの熱処理工程が不可欠であ
るという加工メーカー側での負担増があり,またこのた
めに最終製品のコストアップは避けられないという問題
があった。
一方,フェライト系ステンレス鋼板を調質圧延により
強度を上昇させた場合には,伸びの低下が著しくなって
強度−延性バランスが悪くなる結果,加工性に劣ること
になる。そして,調質圧延による強度上昇の程度は引張
強さよりも耐力の方が著しく高い。このために高圧延率
になると耐力と引張強さの差が小さくなり,降伏比(=
耐力/引張強さ)が1に近くなって材料の塑性加工域が
非常に狭くなると共に,耐力が高いとスプリングバック
が大きくなってプレス加工などの後の形状性が悪くな
る。さらに調質圧延材は強度および伸びの面内異方性が
非常に大きく,軽度のプレス加工などでも加工後の形状
が悪くなる。また,圧延による加工歪みは板の表面に近
いほど大きいという特徴があるため,調質圧延材では板
厚方向のひずみ分布が不均一になることが避けられな
い。これは残留応力の板厚方向の不均一分布をもたら
し,特に極薄鋼板では打抜き加工やフオトエッチング処
理による穴あけ加工後に板の反りなどの形状変化を生ず
る場合があり,電子部品などの高精度が必要とされる用
途では大きな問題となる。
以上の材質特性面での問題のみならず,調質圧延材は
その製造性においても多くの問題を抱えている。先ず強
度の制御について見ると,調質圧延は冷間圧延による加
工硬化を利用しているため圧延率が強度を決定する最も
重要な因子である。したがって,成品として板厚精度に
優れ且つ目標の強度レベルを精度よく安定して得るため
には,圧延率の厳密な制御,具体的には調質圧延前の初
期板厚の厳密な管理が非常に重要であることに加えて,
調質圧延前の素材の強度レベルの管理が必要となる。ま
た形状制御の面では,いわゆるスキンパス圧延やテンパ
ーローリングと呼ばれる形状修正を目的とした高々2〜
3%の軽圧延率の調質圧延とは異なり,高強度化を目的
とする調質圧延では圧延率が数十パーセントにもおよぶ
実質的な冷間圧延であるため,冷延ままで形状性に優れ
た鋼帯を得ることは困難である。このため,形状修正を
目的として材料の回復・再結晶温度域よりも低く軟化し
ない温度域が加熱し,応力除去処理を必要とする場合が
ある。このように調質圧延材は製造性においても数々の
問題がある。
以上の調質圧延に起因する問題のみならず,フェライ
ト系ステンレス鋼板では本質的な欠点とも言えるリジン
グの問題がある。リジングは通常,フェライト系ステン
レス鋼の冷延焼鈍板にプレス成形などの加工を施した際
に生ずる表面欠陥の一種であるが,冷間圧延後において
も一般に冷延リジングと呼ばれるリジングを発生する場
合があり,表面の粗度が重視される用途ではやはり大き
な問題となる。
〔問題点を解決する手段〕
前述のような問題は,適度な高強度を有し且つ所望の
形状に加工し得る良好な延性および加工性を具備し,異
方性が小さくリジング発生のないクロムステンレス鋼材
料が素材メーカー側で鋼板または鋼帯の形で提供できれ
ば解決し得る。そこで本発明者らはこの解決を目的とし
て化学成分並びに製造条件の両面からクロムステンレス
鋼について広範な研究を続けて来た。その結果,鋼成分
を適正に制御し,さらに製造条件として,熱間圧延のあ
と,更に必要に応じての熱延板焼鈍を行ったあと,中間
焼鈍を施さない1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延を行って製品板厚の冷延鋼帯を製造
し,この冷延鋼帯を,従来のフエライト単相域温度での
仕上焼鈍つまり鋼板または鋼帯成品に施す焼なまし処理
ではなく,適正なフエライト+オーステナイト二相域へ
の加熱とその後の急冷処理からなる特定条件下での連続
仕上熱処理を施すならば,実質的に軟質なフェライト相
と硬質なマルテンサイト相が均一に混在した複相組織と
することができ,前記の問題点の実質上すべてが解決で
きるという素晴らしい成果を得ることができた。かくし
て本発明は, 重量%において, C:0.15%以下, Si:2.0%以下, Mn:4.0%以下, P:0.040%以下, S:0.010%以下, Ni:4.0%以下, Cr:10.0以上20.0%以下, N:0.12%以下, O:0.020%以下, Cu:4.0%以下 Mo:1.0%超え2.5%以下, を含有し,場合によっては,さらに0.20%以下のAl,0.0
050%以下のB,0.10%以下のREM,0.20%以下のYの一種
または二種以上を含有し,残部がFeおよび不可避的不純
物からなる鋼であって,且つ 0.01%≦C+N≦0.20%,および Ni+(Mn+Cu)/3≦5.0% の関係を満足する鋼のステップを製造し,これを熱間圧
延して熱延鋼帯を製造する工程, 中間焼鈍を施さない1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延によって製品板厚の冷延鋼帯を
製造する工程,そして, 得られた冷延鋼帯を連続熱処理炉に通板して,AC1点以上
1100℃以下のフェライト+オーステナイトの二相域温度
に10分以内の保持のあと,最高加熱温度から100℃まで
を平均冷却速度1℃/sec以上500℃/sec以下で冷却する
仕上熱処理を施す連続仕上熱処理工程, からなるHV200以上の硬さを有する耐食性に優れた高延
性高強度の複相組織(実質上フェライトとマルテンサイ
トからなる組織)のクロムステンレス鋼帯の製造法を提
供するものである。
本発明法によれば前述の問題点の実質上すべてが解決
されるのみならず,鋼組成または仕上熱処理時の加熱温
度並びに冷却速度を前記範囲で制御することにより強度
を自在に且つ簡単に調整できるという点でクロムステン
レス鋼板または鋼帯素材の工業的製造にあたっての有利
且つ新しい製造技術を提供するものであり,従来より市
場に出荷されているマルテンサイト系ステンレス鋼板ま
たは鋼帯やフェライト系ステンレス鋼板または鋼帯では
有しない延性と強度の両特性を兼備し且つ延性と強度の
面内異方性の少ない新規クロムステンレス鋼材料を市場
に提供するものである。なお,本発明法によれば,最終
の連続仕上熱処理工程を経た成品は鋼帯の形態で工業的
に製造されるものであり,これが市場に出荷される場合
には鋼帯のまま(コイル)か或いは鋼板に整形された状
態となる。
従来より,例えばフェライト系ステンレス鋼の代表鋼
種であるSUS430においても二相域温度に加熱すればオー
ステナイトが生成し,このオーステナイトは急冷によっ
てマルテンサイトに変態してフエライト+マルテンサイ
トの二相組織になること自体は知られていた。しかしな
がら,高温でオーステナイトを生成するフェライト系ス
テンレス鋼帯の製造においては,冷延後の熱処理はあく
までもフエライト単相域温度での焼なまし処理であり,
マルテンサイトを生成するような高温の熱処理は延性の
低下などの材質上の劣下をもたらすものとして回避する
ことが常識であり,工業的な鋼帯の実際の製造面では全
く顧みられなかった。
したがって,クロムステンレス鋼の冷延工程後の鋼帯
に本発明のような連続熱処理を想定し且つフェライト+
オーステナイト二相域に加熱する仕上熱処理を施した場
合の加熱温度と強度および延成の関係や延性および強度
の異方性などについて詳細に研究がなされた例もない。
本発明は,高強度クロムステンレス鋼帯の工業的製造法
として従来顧みられることのなかった全く新しい製造方
法を提供するものであり,その結果として従来のクロム
ステンレス鋼板または鋼帯では有しなかった優れた特性
をもつ新規なクロムステンレス鋼帯材料を提供するもの
である。
〔発明の詳述〕
以下に,本発明で規制する鋼の化学成分値の範囲限定
の理由並びに本発明法で採用する各製造工程の内容を具
体的に詳述する。
まず,本発明法を適用するクロムステンレス鋼の成分
の含有量範囲(重量%)の限定理由は次のとおりであ
る。
CおよびNは,Ni,Mn,Cuなどに比べて強力且つ安価な
オーステナイト生成元素であると共にマルテンサイト強
化能の大きい元素であるから,連続仕上熱処理後の強度
の制御並びに高強度化に有効な元素である。したがっ
て,連続仕上熱処理工程後に20%以上のマルテンサイト
を含む複相組織としHv200以上の十分な強度を得るには,
Ni,Mn,Cuなどのオーステナイト生成元素が添加されてい
ても,(C+N)量として少なくとも0.01%以上を必要
とする。しかし,CとN量があまり高いと連続仕上熱処理
工程後に生成するマルテンサイト量が多くなり,場合に
よっては100%マルテンサイトとなると共にマルテンサ
イト相そのものの硬さも非常に高くなるので高強度は得
られるものの延性は低下する。したがって,(C+N)
量として0.20%以下とし,0.01%≦C+N≦0.20%の関
係を満足させることが必要である。
またCを多量に添加すると連続仕上熱処理での冷却時
にCr炭化物が結晶粒界に析出し,耐食性が劣下する場合
がある。したがって,C量としては0.15%以下とする。
また,Nは溶解度の関係から多量に添加することは困難
であると共に,多量の添加は表面欠陥の増加を招くため
0.12%以下とする。
Siはフェライト生成元素であると共にフェライトおよ
びマルテンサイトの両相に対し強力な固溶強化能を有す
る。したがってマルテンサイト量の制御および強度レベ
ルの制御に有効な元素である。しかしながら多量の添加
は熱間加工性や冷間加工性の低下を招くために2.0%を
上限とする。
Mn,Ni,Cuはオーステナイト生成元素であり,連続仕上
熱処理後のマルテンサイト量並びに強度の制御に有効な
元素である。またMn,Ni,Cuの添加によりCの含有量を低
減することができ,軟質なマルテンサイトとして延性を
向上させたり粒界へのCr炭化物の析出を抑制して耐食性
の劣下を防止することができる。更にMn,Ni,Cuの重要な
効果は,後記の試験結果(例えば第1図の関係)に示す
が,本発明に従う連続仕上熱処理工程において,Mn,Ni,C
uの添加によってより低温側から且つ広い温度範囲にわ
たって硬さ変動の小さい安定領域が得られることであ
り,連続仕上熱処理のために必要な高温強度の点でもま
た省エネルギーの点でも実操業において多大のメリット
がもたらされることである。したがってMn,Ni,Cuの添加
は,安定した強度特性を有する複相組織鋼帯の製造に寄
与するのみならず,高温強度のより高い低温での熱処理
が可能になることによって連続仕上熱処理による炉内の
コイル破断などの高温強度低下にもとづくトラブルの発
生を回避できるとともに,省エネルギーの観点からも多
大の効果をもたらす。しかしながら,Mn,Ni,Cuを多量に
添加すると,場合によっては仕上熱処理後にマルテンサ
イト相が100%の組織となって製品の延性を損なうばか
りでなく製品が高価となって経済性に影響を与える。一
方,連続仕上熱処理後の複相組織材の硬さ上昇に対して
は,Niの影響が最も大きくMnとCuはおおむねNiの3分の
1程度である。したがって,Mn,Ni,Cuの添加量の上限を
定めるにあたっては,Ni+(Mn+Cu)/3の関係式を用い
て規制し,Ni+(Mn+Cu)/3として5.0%以下としまたM
n,Ni,Cuの各々単独では,それぞれ4.0%以下とする。
Sは,高すぎると耐食性や熱間加工性に悪影響をおよ
ぼすので低いほうが好ましく,0.010%を上限とする。
Pは,固溶強化能の大きい元素であるが,多量の添加
は靭性の低下を招くことがあるため,通常許容されてい
る程度の0.040%以下とする。
Crは,ステンレス鋼の耐食性に対して最も重要に作用
する元素であり,ステンレス鋼としての耐食性を得るに
は10.0%以上含有させるべきであるが,あまりCr量が高
いと,マルテンサイト相を生成させて高強度を得るに必
要なオーステナイト生成元素の量が多くなると共に製品
が高価となるので20.0%を上限とする。
Oは,酸化物系の非金属介在物を形成し,鋼の洗浄度
を低下させるので低い方が望ましく,0.02%以下とす
る。
Alは,脱酸に有効な元素であると共にプレス加工性に
悪影響を及ぼすA2系介在物を著減せしめる効果がある。
しかし,0.20%を超えて含有させてもその効果が飽和す
るばかりでなく表面欠陥の増加を招くなどの悪影響をも
たらすのでその上限を0.20%とする。
Bは,靭性改善に有効な成分であるが,極く微量でそ
の効果はもとらされ,0.0050%を超えるとその効果が飽
和するのでその上限を0.0050%とする。
Moは,耐食性の向上に有効な元素であり,十分な耐食
性を得るには1.0%を超えて含有させるべきである。し
かしながら,多量に添加すると製品が高価となるため2.
5%を上限とする。
REMおよびYは,熱間加工性の向上に有効な元素であ
る。また,耐酸化性の向上にも有効な元素である。高温
での連続仕上熱処理を施す本発明法においては酸化スケ
ールの発生を抑制してデスケール後に良好な表面肌を得
るのに有効に作用する。しかし,これらの効果は,REMで
は0.10%を超えると,またYでは0.20%を超えると飽和
するので,上限をREMは0.10%,Yは0.20%とする。
次に本発明による複相組織鋼帯の各製造工程の内容に
ついて説明する。
本発明法においては,前記のように成分範囲を調整し
たクロムステンレス鋼のスラブを通常の製鋼鋳造技術に
よって製造し,このスラブを熱間圧延して熱延鋼帯を製
造する。熱間圧延後は熱延板焼鈍とデスケールを行なう
のがよい。熱延板焼鈍は必ずしも実施する必要はない
が,この焼鈍によって熱延鋼帯を軟質化させて冷延性の
向上を図ったり,熱延鋼帯に残存する変態相(高温でオ
ーステナイト相であった部分)をフェライト+炭化物に
変態・分解させることができるので,冷間圧延・連続仕
上熱処理後に均一な複相組織をもつ鋼帯とするうえで望
ましい。この熱延板焼鈍は連続焼鈍または箱焼鈍のいず
れでもよい。またデスケール工程は通常の酸洗を行なえ
ばよい。ここまでのスラブ製造工程,熱間圧延工程,熱
延板焼鈍工程および脱スケール工程は従来のクロムステ
ンレス鋼帯の製造技術をそのまま本発明法に適用するこ
とができる。
次いで冷間圧延工程と連続仕上熱処理工程を経て複相
組織鋼帯を製造するのであるが,これらの工程は本発明
法において特徴的な工程であるので詳しく説明する。
[冷間圧延工程」 冷間圧延工程は,デスケール後の熱延鋼帯(熱延板焼
鈍後の熱延鋼帯)を冷間圧延によって製品板厚にまで圧
延する工程である。この冷間圧延は中間焼鈍を施さない
1回の冷延圧延により製品板厚とするか,もしくは中間
焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により製品板厚とするか
のいずれでも良い。ここで,冷間圧延「1回」とは,1回
の通板チャンスで行う冷間圧延を意味し,必ずしも初期
板厚から仕上目標板厚までを1パスのみの圧下で圧延す
るものではない。したがって,リバース式の冷間圧延機
で複数パスの圧延を行ったり,複数のロール,スタンド
を有するタンデム式の冷間圧延機で圧延する場合を含
み,圧延ロールへの通板回数は問わず,中間焼鈍無しに
板厚減少を行なうことである。なお,この1回の冷間圧
延での総圧下量は30%以上95%以下とすることが望まし
い。
冷延圧延は,熱延のままの鋼帯が有するフェライト相
および変態相がそれぞれ圧延方向に展伸した層状組織
や,これを箱焼鈍した後に得られる粗大フェライト+炭
化物の組織に,冷間での加工ひずみを蓄積させ,その後
に施される連続仕上熱処理工程との組合わせにより,仕
上熱処理後に実質的にフェライト相とマルテンサイト相
の微細混合組織を得て,強度および延性の面内異方性を
小さくする点で重要な意義をもつ。これを代表的な試験
結果に基づいて説明する。
第1表に示す化学成分を有する鋼AおよびBを溶製
し,通常の条件の熱間圧延にて板厚3.6mmの熱延板とし,
780℃×6時間加熱,炉冷の焼鈍を施したあと酸洗を行
った。この熱延板を用いて冷間圧延条件と仕上熱処理条
件を変えて試験を行った(第1図のデータもこの試験結
果を示したものであるが,その内容については後に説明
する)。
下記の第2表は,第1表の鋼Aについて, (a)前記熱延板を冷間圧延により板厚1.8mmとし,750
℃×1分加熱,空冷の中間焼鈍を行った後,さらに冷間
圧延により板厚0.7mmとした後,980℃×1分均熱したあ
と,その温度から100℃までを平均冷却速度20℃/secで
冷却する仕上熱処理を施した複相組織材(以後2CR材と
呼ぶ), (b)前記熱延板を中間焼鈍を行なうことなく1回の冷
間圧延により板厚0.7mmとし,前項(a)と同条件の仕
上熱処理を施した複相組織材(以後ICR材と呼ぶ), (c)1CR材および2CR材と同等の強度が板厚0.7mmの状
態で得られるように前記熱延板を1.0mmに冷間圧延後,75
0℃×1分加熱,空冷の焼鈍を行い,さらに板厚0.7mmま
で冷間圧延した(圧延率30%)調質圧延材, の3種の方法により製造した各鋼板の引張強さおよび伸
びを,圧延方向の値(L),圧延方向に対し45゜方向の
値(D)および圧延方向に対し90゜方向の値(T)につ
いてそれぞれ示したものである。
第2表から明らかなように,2CR材および1CR材ともに
複相組織材の伸びは,同等の硬さおよび強度レベルの調
質圧延材に比べて著しく優れており,強度−伸びバラン
スに優れていることがわかる。また,面内異方性につい
て見ると,引張強さでは2CR材および1CR材ともに複相組
織材は方向による引張強さの差,つまり面内異方性が小
さいのに対し,調質圧延材は引張強さの最も低いL方向
と最も高いL方向の引張強さの差は10kgf/mm2以上もあ
り面内異方性が大きい。また,伸びについても複相組織
材は,調質圧延材にくらべ比率的に面内異方性が小さ
く,特に2CR材は1CR材よりも面内異方性が更に小さいこ
とがわかる。したがって,第2表の結果から,熱間圧延
熱延板焼鈍を冷間圧延,もしくは中間焼鈍を挟む複数回
の冷間圧延を行った後,複相組織とする仕上熱処理を施
した場合には,延性に優れ且つ強度および延性の異方性
の小さい高強度クロムステンレス鋼板が得られることが
明らかである。
「連続仕上熱処理工程」 冷間圧延工程で得られた製品板厚の冷延鋼帯を次に連
続熱処理炉に通板して,AC1点以上で1100℃以下のフェラ
イト+オーステナイトの二相域温度に10分以内の保持の
あと,最高加熱温度から100℃までを平均冷却速度1℃/
sec以上,500℃/sec以下で冷却する連続仕上熱処理を施
すのであるが,この連続仕上熱処理工程は本発明法の最
も特徴とする工程であり,この連続仕上熱処理条件は後
記の実施例でも示すとおり本発明において重要な意義を
有している。この連続仕上熱処理工程での加熱条件と冷
却条件を規制した理由の概要を説明すると次のとおりで
ある。
連続仕上熱処理時の加熱温度はフエライト+オーステ
ナイト二相域温度であることが絶対条件である。本発明
法の実施において,連続熱処理炉で低温から加熱した場
合にオーステナイトが生成し始める温度(つまりAC1
の温度)の近傍では温度変化に対するオーステナイト量
の変動が大きく,急冷後に安定した硬さが得られない場
合がある。しかし,本発明が対象とする鋼成分範囲にお
いては,AC1点より100℃以上の高温域に加熱した場合に
はこのような硬さの変動が実質上生じないことがわかっ
た。したがって,連続仕上熱処理時の加熱温度はAC1
+100℃以上とするのがよい。より具体的には850℃以
上,さらに好ましくは900℃以上とするのがよい。一
方,加熱温度の上限については,あまり高温では強度上
昇が飽和するのみならず,場合によっては低下すること
もあり,また製造コストの面でも不利となるので1100℃
を上限とするのがよい。
本発明法における連続仕上熱処理時のフエライト+オ
ーステナイト二相域加熱の治金的意義として,Cr炭化
物,窒化物の固溶,オーステナイト相の生成,生成
したオーステナイト中へのCおよびNの濃縮の3点を挙
げることができる。本発明法で対象とするクロムステン
レス鋼帯の場合には,これらの現象はいずれも短時間の
うちにほぼ平衡状態に達するので,本発明における連続
仕上熱処理時の上記二相温度域での加熱時間は短時間,
おおむね10分間以内の加熱でよい。この短時間加熱でよ
いことは本発明法の実際操業の点でも生産効率,製造コ
ストの面から非常に有利である。以上の加熱条件および
保持時間によって以後の冷却によって生成するマルテン
サイト量が20容量%以上となるに必要なオーステナイト
を生成させることができる。
仕上熱処理時の冷却速度についてはマルテンサイト相
と軟質なフエライト相との複相組織を得るうえから1℃
/sec以上の冷却速度とする必要があるが,500℃/secを超
える冷却速度を得るのは実質上困難である。したがっ
て,本発明において二相温度域加熱からの冷却は1〜50
0℃/secの範囲の冷却速度で実施する。この冷却速度は
最高加熱温度から100℃までの平均冷却速度とするが,
オーステナイトがマルテンサイトに変態してしまった後
の冷却過程では必ずしもこの冷却速度を採用する必要は
ない。この冷却速度と冷却終点温度は前述の加熱条件に
よって高温で生成したオーステナイトがマルテンサイト
に変態するに十分なものである。冷却の方法としては気
体および/または液体の冷却媒体を鋼帯に吹き付ける強
制冷却方式または水冷ロールによるロール冷却方式など
を適用できる。このような条件での連続加熱と冷却はコ
イル巻戻し機から巻取り機に至る間に加熱均熱帯域と急
冷帯域を有する連続熱処理炉を用いて実施することがで
きる。
第1図は,前記第1表の各鋼について,既に説明した
方法で製造した熱延板(熱延板焼鈍および酸洗後の熱延
板)を,冷間圧延により板厚1mmとし,750℃×1分加
熱,空冷の中間焼鈍を行った後,さらに冷間圧延により
板厚0.3mmの冷間圧延板とし,そして,この冷間圧延板
を800〜1100℃の間の各温度で1分間均熱したあと,そ
の温度から100℃までを平均冷却速度20℃/secで冷却す
る仕上熱処理を施した場合に得られた仕上熱処理材のマ
ルテンサイト量(容量%)と硬さ(HV)を,仕上熱処理
時の各加熱温度の関係で示したものである(図中のAお
よびBは第1表の各鋼を表す)。
第1図から明らかなように,加熱温度がフェライト+
オーステナイト二相域になると,仕上熱処理後にマルテ
ンサイトが出現し,加熱温度の上昇とともにマルテンサ
イト量は増加するが,鋼Aについては900℃を超えると
その増加の程度は小さくなって次第に飽和もしくは若干
低下する傾向を示す。硬さの挙動もマルテンサイト量の
変化に対応して同様の傾向を示す。これに対し,Mn,Ni,C
u量が低い鋼Bはマルテンサイト量および硬さの飽和す
る温度域が高温側にあるとともにその範囲が狭い。この
第1図の結果は仕上熱処理を連続熱処理ラインで行なう
上での重要な意義を有している。すなわち連続熱処理ラ
インでは或る程度の温度変動はやむを得ず,特に鋼帯の
長さ方向での変動,および目標温度は同じであっても通
板チャンスの違いによる熱処理温度の違いは,実ライン
での操業では目標温度に対して±20℃程度の変動を見込
む必要がある。第1図は,冷却速度をほぼ一定にし且つ
硬さ変動の小さい熱処理温度域を採用するならば,連続
熱処理ラインにおいて多少の温度変動があったとして
も,硬さすなわち強度の変動の小さい鋼帯が製造できる
ことを示している。そして,特にMn,Ni,Cuを適正量添加
することにより,硬さ変動の小さい仕上熱処理温度域が
低温側で且つ広範囲に得られることになるので一層有利
となる。そして強度レベルの制御は前記のような成分制
御によって行なうことによって目標とする強度は安定し
て得ることができ,鋼帯の全長にわたって強度変動の小
さい,また鋼帯間での強度差の小さい高強度素材が既存
の連続熱処理ラインを用いて容易に且つ安価に製造でき
る。
また,このようにして製造した鋼帯の仕上熱処理後の
金属組織は微細なフェライトおよびマルテンサイトが均
一に混在した組織を呈している。
以上に説明したように,強度並びに延性の異方性の小
さい高延性高強度の鋼帯材料が得られたのは,熱間圧
延,熱延板焼鈍,1回の冷間圧延もしくは中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延のあとにフエライト+オーステナイ
トの二相域に加熱し急冷する仕上熱処理によって,微細
なフエライトと急冷によってオーステナイトから変態し
て生成したマルテンサイトとが均一に混在した複相組織
としたことで達成し得たものである。すなわち,硬質な
マルテンサイトにより強度(硬さ)を得,軟質なフェラ
イトにより延性を得たものであり,そして両相を微細且
つ均一に混在させたことにより強度と延性の面内異方性
を小さくし得たものである。なお,仕上熱処理後の組織
はX線的な調査では微量の残留オーステナイトが検出さ
れる場合がある。
以下に,本発明法を実施した実施例を挙げて,本発明
法で得られた複相組織鋼帯の特性を比較例と対比しなが
ら具体的に示す。
実施例 第3表に示す化学成分を有する鋼を溶製してスラブを
製造した。そしていずれも板厚3.6に熱間圧延後,780℃
×6時間・炉冷の熱延板焼鈍を行い,酸性のあと1回冷
延(1CR)もしくは板厚1.8mmの段階での730℃×1分,
空冷の中間焼鈍を挟む2回冷延(2CR)により板厚0.7mm
の冷延鋼帯とし,第4表に示した仕上熱処理条件のもと
で連続熱処理炉にて連続仕上熱処理を施した。但し,比
較例No.5は箱型炉のバッチ焼鈍を行ったものであり,比
較例No.6は熱延鋼帯を冷間圧延し板厚1.0mmで上記中間
焼鈍と同条件の焼鈍を施した後,板厚0.7mmに冷間圧延
した調質圧延材である。これらの鋼帯の材料特性も第4
表に併記した。
第4表から明らかなように,本発明法によればいずれ
も高い引張強さと硬さおよび良好な伸びを有した複相組
織鋼帯が得られたことがわかる。また,本発明法による
鋼帯は,0.2%耐力,引張強さおよび伸びの異方性が小さ
いことが明らかであり,破断後の引張試験片にもリジン
グの発生は見られない。
これに対し比較例No.1はCrが22.05%と本発明の範囲
を超える鋼No.8であり,連続仕上熱処理にマルテンサイ
トを生成しておらず,伸びは高いものの硬さ(強度)が
低い。
比較例No.2は,第4表の特性面では本発明例と同様,
優れた特性を有するが,Moが0.01%と低い鋼No.9である
ため,後述するように耐食性が劣る。
比較例No.3は,Cが0.212%と本発明の範囲を超える鋼N
o.10であるため,連続仕上熱処理後にマルテンサイトが
100%となり,強度は高いものの伸びが劣る。
比較例No.4では連続仕上熱処理での加熱温度が750℃
と低く,この加熱温度では鋼No.7の鋼はフエライト+オ
ーステナイト二相域にならず,したがって仕上熱処理後
の金属組織はマルテンサイトの存在しないフエライト単
相組織であり,伸びは高いものの強度および硬さが低
い。
比較例No.5は,仕上熱処理を箱型炉で行ない,その冷
却も炉冷によるため冷却速度が0.03℃/secと非常に低い
ので熱処理後にマルテンサイトが生成しておらず,比較
例No.4と同様に伸びは高いものの,強度および硬さが低
い。
比較例No.6は,調質圧延材であり,本発明のものに比
較して伸びが著しく低い。また引張強さに対する0.2%
耐力の比,すなわち降伏比が高いと共に,0.2%耐力,引
張強さの異方性が大きい。したがって本発明法によって
得られた鋼帯に比べて加工性並びに加工後の形状性に劣
ることが明らかである。
また,比較例No.1,4,5および6ではいずれもリジング
発生が認められた。
下記の第5表は,第3表の鋼のうち,Mo量が異なり他
の成分値が比較的近いNo.6,No.5およびNo.9の3種の鋼
について耐食性の指標の1つである孔食電位を示したも
のである。第5表からわかるように、1.0%を超えるMo
を含有する本発明例の鋼No.6および5は,特にMoを添加
していない比較例の鋼No.9にくらべ高い孔食電位を有し
ており,耐食性に優れていることがわかる。
以上のように,本発明法によれば,耐食性に優れ高延
性と高強度を兼備し,強度と延性の面内異方性が小さく
且つ低耐力,低降伏比の複相組織鋼帯が提供される。ク
ロムステンレス鋼板の分野において,従来かような良好
な加工性を兼備した高強度素材が鋼板または鋼帯の形で
市場に提供された例は見ない。したがって,本発明は従
来のクロムステンレス鋼板分野に新規素材鋼板または鋼
帯を提供するものである。本発明に従う材料は電子部
品,精密機械部品などへの加工性が要求される高強度材
として特に有用であり,この分野において多大の成果が
発揮され得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は,本発明に従う仕上熱処理の加熱温度とマルテ
ンサイト量および硬さとの関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−284532(JP,A) 特開 昭57−85960(JP,A) 特開 昭62−124218(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%において、 C:0.15%以下、 Si:2.0%以下、 Mn:4.0%以下、 P:0.040%以下、 S:0.010%以下、 Ni:4.0%以下、 Cr:10.0以上20.0%以下、 N:0.12%以下、 O:0.020%以下、 Cu:4.0%以下、 Mo:1.0%超え2.5%以下、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼で
    あって、且つ 0.010%≦C+N≦0.20%、 Ni+(Mn+Cn)/3≦5.0% の関係を満足する鋼のスラブを製造し、これを熱間圧延
    して熱延鋼帯を製造する工程、 製品板厚まで冷間圧延冷間鋼帯を製造する工程、そし
    て、 得られた冷延鋼帯を連続熱処理炉に通板して、AC1点以
    上1100℃以下のフェライト+オーステナイトの二相域温
    度に10分以内の保持のあと、最高加熱温度から100℃ま
    でを平均冷却速度1℃/sec以上500℃/sec以下で冷却す
    る仕上熱処理を施す連続仕上熱処理工程、 からなる、実質的にフェライトおよびマルテンサイト混
    合組織からなりHV200以上の硬さを有する耐食性に優れ
    た高延性高強度の複相組織クロムステンレス鋼帯の製造
    法。
  2. 【請求項2】連続仕上熱処理工程における加熱温度はA
    C1点+100℃以上で、1100℃以下である特許請求の範囲
    第1項記載の製造法。
  3. 【請求項3】連続仕上熱処理工程における加熱温度は85
    0℃以上1100℃以下である特許請求の範囲第1項記載の
    製造法。
  4. 【請求項4】重量%において、 C:0.15%以下、 Si:2.0%以下、 Mn:4.0%以下、 P:0.040%以下、 S:0.010%以下、 Ni:4.0%以下、 Cr:10.0以上20.0%以下、 N:0.12%以下、 O:0.020%以下、 Cu:4.0%以下、 Mo:1.0%超え2.5%以下、 および、0.20%以下のAl、0.0050%以下のB、0.10%以
    下のREM、0.20%以下のYの一種または二種以上を含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼であっ
    て、且つ 0.010%≦C+N≦0.20%、 Ni+(Mn+Cu)/3≦5.0% の関係を満足する鋼のスラブを製造し、これを熱間圧延
    して熱延鋼帯を製造する工程、 製品板厚まで冷間圧延して冷延鋼帯を製造する工程、そ
    して、 得られた冷延鋼帯を連続熱処理炉に通板して、AC1点以
    上1100℃以下のフェライト+オーステナイトの二相域温
    度に10分以内の保持のあと、最高加熱温度から100℃ま
    でを平均冷却速度1℃/sec以上500℃/sec以下で冷却す
    る仕上熱処理を施す連続仕上熱処理工程、 からなる、実質的にフェライトおよびマルテンサイト混
    合組織からなりHV200以上の硬さを有する耐食性に優れ
    た高延性高強度の複相組織クロムステンレス鋼帯の製造
    法。
  5. 【請求項5】連続仕上熱処理工程における加熱温度はA
    C1点+100℃以上で、1100℃以下である特許請求の範囲
    第4項記載の製造法。
  6. 【請求項6】連続仕上熱処理工程における加熱温度は85
    0℃以上1100℃以下である特許請求の範囲第4項記載の
    製造法。
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