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JPH08112063A - 風味良好な乳清蛋白加水分解物及びその製造法 - Google Patents

風味良好な乳清蛋白加水分解物及びその製造法

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JPH08112063A
JPH08112063A JP6274303A JP27430394A JPH08112063A JP H08112063 A JPH08112063 A JP H08112063A JP 6274303 A JP6274303 A JP 6274303A JP 27430394 A JP27430394 A JP 27430394A JP H08112063 A JPH08112063 A JP H08112063A
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whey protein
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hydrolyzate
weight
lysine
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JP6274303A
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誠一 島村
Yoshitaka Tamura
吉隆 田村
Hitoshi Saito
仁志 齋藤
Naoko Isomura
奈生子 磯村
Yoko Akazome
陽子 赤染
Hiroshi Ochi
浩 越智
Mihoko Kawamoto
美穂子 河本
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 純度が少なくとも70%(重量)の乳清蛋白
質の加水分解物であって、分子量5,000〜10,0
00ダルトンの画分が、全加水分解物の1%(重量)未
満であること、抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ抑制
試験法により測定した抗原残存活性が10-5以下である
こと、加水分解物の全アミノ酸の量に対する遊離アミノ
酸の量の割合が10〜15%(重量)であること、乳清
蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リジンの量
の割合が12〜20%(重量)であること、アンモニア
含量が0.2%(重量)以下であること、を特徴とする
風味良好な乳清蛋白加水分解物、及びその製造法。 【効果】 消化吸収能の未熟な乳幼児又は消化吸収能が
低下している高齢者、病人、アレルギー患者、アレルギ
ー予防を目的として乳幼児、妊産婦、免疫機能の低下し
た病人への蛋白質供給源用素材として使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特異な理化学的性状を
有する乳清蛋白加水分解物及びその製造法に係るもので
あり、腸管吸収性及びアミノ酸バランスに優れ、食餌ア
レルギーに対する予防及び治療効果並びに抗酸化作用を
有し、風味が良好であり、広範な種々の用途に利用でき
る新規な乳清蛋白加水分解物及びその製造法である。本
明細書において、百分率は透過率及び抑制率を除き、特
に断りのない限り、重量による表示である。
【0002】
【従来の技術】最近、消化吸収の観点から、遊離アミノ
酸混合物よりもオリゴペプチドが、吸収速度及び吸収後
のアミノ酸バランスにおいて優れていることが明らかに
されている(酪農科学・食品の研究、第39巻、第A−
283ページ、1990年)。一方、食餌蛋白質に起因
するアレルギー患者が急増し、特に乳児においては乳清
蛋白質、特にβ−ラクトグロブリンに起因するアレルギ
ーが多発していることが明らかになり(酪農科学・食品
の研究、第39巻、第A−283ページ、1990
年)、乳児用食品中の乳清蛋白質の抗原性低減又は乳児
用食品からの乳清蛋白質抗原の実質的除去が、求められ
ている。
【0003】乳児用食品中の乳清蛋白質の抗原性低減又
は乳児用食品からの乳清蛋白質抗原の実質的除去の手段
として、乳清蛋白質の加水分解が広範に採用されている
が、アミノ酸遊離率の極端に低い分解物は苦味を呈する
場合が多く、摂取するときの障害となることがある。ま
た、乳清蛋白質の加水分解物は、熱に対して不安定にな
る場合があるので、溶液の状態では沈殿物の生成、褐変
化等の不都合が生じ、従来の分解物は経口栄養剤等とし
て利用するときに問題があった。
【0004】更に、乳清蛋白加水分解物を食品に使用す
る場合、特に脂肪と共存する食品(例えば、乳幼児用の
調製粉乳では、100g当たり脂肪が27%も含まれて
いる)においては、酸化防止が重大な問題となってい
る。即ち、脂肪を含有する食品においては、栄養学的な
観点から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とのバランスが考慮
されているが、特に不飽和脂肪酸は容易に酸化される欠
点があり、最近、脳・神経・網膜組織の生体膜に多く含
まれ、その機能発現に関与していると考えられているD
HA等は、一旦酸化されると極めて強い酸化臭を放出
し、製品品質に著しい悪影響を与えるため、酸化の進行
防止が待望されている。
【0005】一方、摂取したアミノ酸がトランスグルタ
ミナーゼ、グルタノートデヒドロゲナーゼなどによって
分解されて、アンモニアが生成するが、生成したアンモ
ニアは有毒であり、肝臓で直ちに処理される必要があ
り、摂取する食品にアンモニアが含有されていないこと
が必要である。このような点から、乳清蛋白加水分解物
にも、アンモニアが含有されていないことが、極めて重
要である。
【0006】また、成長した動物の窒素平衡は、窒素の
最低代謝量に見合う量の窒素を摂取すればよいが、この
窒素を単にアンモニアとして与えても無効であり、必須
アミノ酸として摂取しなければならない。そのために
は、摂取する食品に必要量の必須アミノ酸が含まれてい
なければならない。
【0007】以上のような蛋白質及びアミノ酸の栄養・
生理学の背景から、乳清蛋白質を酵素で加水分解した分
解物を製造する種々の方法が開発されているが、それら
の幾つかを例示すれば次のとおりである。
【0008】1)乳清蛋白質をバシラス・サチリス由来
のエンドペプチダーゼとトリプシンの2種類の酵素、又
はバシラス・サチリス由来のエンドペプチダーゼ、トリ
プシン及びキモトリプシンの3種類の酵素で分解し、分
子量2,000ダルトン以下、抗原残存率10-4以下、
アミノ酸遊離率が5%以下のオリゴペプチド混合物が開
示されている(特開平4−248959号公報)。
【0009】2)乳蛋白質をアルカリプロテアーゼで分
解し、ジペプチド及びトリペプチドが75モル%以上、
アミノ酸遊離率が5%未満、4個以上のアミノ酸からな
り、かつ平均鎖長6.2のペプチドが20モル%未満の
分解物が開示されている(特表平5−505304号公
報)。
【0010】3)乳清、カゼイン、大豆をペプシン、ト
リプシン・キモトリプシンで分解し、限外濾過し、4〜
10個のアミノ酸を有するペプチドが40〜60%であ
り、分子量60,000ダルトン以下のオリゴペプチド
が開示されている(特開平3−187348号公報)。
【0011】4)乳清蛋白質を熱変性させながらpH6
〜10、60〜80℃で分解し、酵素を加熱失活し、分
子量10000ダルトン以下、メインピーク1,000
〜5,000、平均ペプチド鎖長3〜8、遊離アミノ酸
含量20%以下、β−ラクトグロブリンの抗原性1/1
0,000以下の分解物が開示されている(特開平4−
112753号公報)。
【0012】5)牛乳蛋白質をトリプシン、α−キモト
リプシン、アスペルギルス属、バチルス属菌の酵素で分
解し、分子量10,000ダルトン以下の経口寛容誘導
能を有する低アレルゲン性ペプチドが開示されている
(特開平5−5000号公報)。
【0013】6)カゼインを酸性プロテアーゼで分解
し、中性でペプチダーゼで分解し、分子量3,000ダ
ルトン以下、遊離アミノ酸含量30〜55%、αS −カ
ゼインに対するインヒビションELISA試験がαS
カゼインの10,000分の1以下、5%溶液の苦味官
能値がカフェイン0.04%水溶液相当以下のペプチド
が開示されている(特開平6−113893号公報)。
【0014】7)ホエーを中性プロテアーゼ(アスペル
ギルス属)を用いてpH5〜11で加水分解し、pH2
〜4で加熱し、沈殿を除去し、ジペプチド及びトリペプ
チドを50%の割合で得る方法が開示されている(特公
平5−82412号公報)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術においては、乳清蛋白加水分解物の抗原性の低
下、苦味の改善、遊離アミノ酸含量、分子量分布等につ
いては、考慮されているが、乳清蛋白加水分解物のアン
モニア含有量及び抗酸化作用については何等考慮されて
いない。そのため、従来、乳清蛋白加水分解物を広範な
食品に使用できないという不都合があった。
【0016】本発明者らは、前記の従来技術に鑑みて鋭
意研究を行い、乳清蛋白質を加水分解することによって
得られ、食餌アレルギーの回避、予防及び治療に有効で
あり、消化吸収に優れ、アンモニア含有量が低く、かつ
抗酸化作用を有し、広範囲な用途に利用できる風味良好
な乳清蛋白加水分解物及びその製造法を見い出し、本発
明を完成した。
【0017】本発明の目的は、腸管吸収及びアミノ酸バ
ランスに優れ、食餌アレルギーの予防及び治療効果並び
に抗酸化作用を有し、アンモニア含有量が低く、広範囲
な用途に利用できる風味良好な乳清蛋白加水分解物及び
その製造法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第1の発明は、純度が少なくとも70%(重量)の
乳清蛋白質の加水分解物であって、次のa)〜h)の理
化学的性質; a)分子量5,000〜10,000ダルトンの画分
が、全加水分解物の1%(重量)未満であること、 b)抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ抑制試験法によ
り測定した抗原残存活性が10-5以下であること、 c)加水分解物の全アミノ酸の量に対する遊離アミノ酸
の量の割合が10〜15%(重量)であること、 d)乳清蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リ
ジンの量の割合が12〜20%(重量)であること、 e)アンモニア含量が0.2%(重量)以下であるこ
と、 f)10%(重量)溶液を1cmのセル、540nmで
測定した透過率が98%以上であること、 g)pH4〜7の5%(重量)溶液を120℃で10分
間加熱して沈殿を生じないこと、及び h)抗酸化作用を有すること、を有することを特徴とす
る風味良好な乳清蛋白加水分解物である。
【0019】前記課題を解決する本発明の第2の発明
は、純度が少なくとも70%(重量)の乳清蛋白質を1
5%(重量)以下の濃度で水に溶解し、該水溶液のpH
を7.5〜10に調整し、該水溶液にバシラス・サチリ
ス(Bacillus subtilis) 由来のエンドペプチダーゼ及び
乳酸菌由来のエキソペプチダーゼの2種類の蛋白分解酵
素を添加して加水分解を開始し、分解液中の遊離リジン
量を経時的に測定し、出発原料である乳清蛋白質に含ま
れる全リジンの量に対する遊離リジンの量の割合が12
〜20%(重量)の範囲で加水分解を停止し、限外濾過
して分子量10,000ダルトン以上の画分を完全に除
去することを特徴とする風味良好な乳清蛋白加水分解物
の製造法である。
【0020】次に本発明について詳述するが、本発明の
理解を容易にするために、本発明の第2の発明から説明
する。本発明の方法の出発原料として使用する乳清蛋白
質は、少なくとも70%の純度を有する市販品等が使用
可能であり、乳清蛋白濃縮物(WPC)、乳清蛋白分離
物(WPI)として知られているより純度の高い市販品
等が好適である。これらの乳清蛋白質を15%以下、望
ましくは8〜12%、の濃度で水に溶解し、アルカリ水
溶液でpHを7.5〜10、望ましくは8〜9、に調整
する。
【0021】次いで、前記乳清蛋白溶液にバシラス・サ
チリス(Bacillus subtilis) 由来のエンドペプチダーゼ
及び乳酸菌由来のエキソペプチダーゼの2種類の蛋白分
解酵素を添加する。その他、トリプシン、パパイン等の
エンドペプチダーゼを極少量添加することもできる。た
だし、乳酸菌由来以外のエキソペプチダーゼ(パンクレ
アチン等を含む)の添加は、風味を悪化させるので避け
るべきである。バシラス・サチリス(Bacillus subtili
s) 由来のエンドペプチダーゼは、市販品等が使用可能
であり、乳清蛋白質1g当たり1,000〜7,500
PUN単位(この単位については後記する)、望ましく
は2,000〜3,000PUN単位、の割合で添加す
る。
【0022】PUN単位は、カゼイン[ハマーシュタイ
ン(Hammerstein) 。メルク社製]にバシラス・サチリス
(Bacillus subtilis) 由来のエンドペプチダーゼを作用
させ、30℃で1分間に1μgのチロシンに相当するア
リルアミノ酸のフォリン試薬での呈色反応を示す酵素活
性を1PUN単位とする。
【0023】乳酸菌由来のエキソペプチダーゼは、例え
ば特公昭54−36235号公報第6欄4行「(3)使
用する酵素について」の項に記載の方法により次のとお
り製造することができる。乳酸菌(ビフィズス菌を含
む)を公知の方法(例えば特公昭48−43878号公
報記載の方法)により培養し、得られた培養液を遠心分
離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に菌体を懸濁し、遠
心分離して乳酸菌菌体を回収する操作を2回反復し、菌
体を洗浄し、20%の濃度で菌体を滅菌水に懸濁し、菌
体破砕機[例えば、ダイノミル(Willy Bachnfen Engin
eering Works)社製。KDL型]により菌体を破砕し、
凍結乾燥し、乳酸菌由来のエキソペプチダーゼ粉末を得
る。この酵素を乳清蛋白質1g当たり20〜200活性
単位(この単位については後記する)、望ましくは60
〜90活性単位、の割合で添加する。
【0024】活性単位は、次の方法により測定する。エ
キソペプチダーゼを含有する粉末を0.2g/100m
lの割合で0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.0)に
分散又は溶解して酵素溶液を調製する。一方、ロイシル
パラニトロアニリド(国産化学社製。以後Leu−pN
Aと記載する)を0.1モルのリン酸緩衝液(pH7.
0)に溶解して2mMの基質溶液を調製する。酵素溶液
1mlに基質溶液1mlを添加し、37℃で5分間反応
させ、のち30%の酢酸溶液2mlを添加して反応を停
止させる。反応液をメンブランフィルターで濾過し、波
長410nmで濾液の吸光度を測定する。エキソペプチ
ダーゼの活性単位は、1分間に1μmolのLeu−p
NAを分解するのに必要な酵素量を1活性単位と定義
し、次式により求めた。 活性単位(粉末1g当たり)=20×(A/B) ただし、前記の式においてA及びBは、それぞれ波長4
10nmにおける試料の吸光度及び0.25mMパラニ
トロアニリンの吸光度を示す。
【0025】酵素を添加した溶液を30〜60℃、望ま
しくは45〜55℃に保持して乳清蛋白質の加水分解を
開始する。なお、加水分解反応が進行してpHが低下す
る場合には、そのpHを6以上、好ましくは6〜7に保
持することが望ましい。加水分解を開始後、経時的に分
解液中の遊離リジン量を測定し得る装置、例えば、バイ
オテックアナライザー(旭化成工業社製)等、を用いて
経時的に分解液中の遊離リジン量を測定し、出発原料で
ある乳清蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リ
ジンの量の割合が12〜20%、望ましくは14〜17
%、の範囲に達したとき、直ちに反応液を加熱(例え
ば、85℃で15分間等)して酵素を失活させ、加水分
解を停止する。
【0026】得られた反応液をクエン酸等の酸によりp
Hを5.5〜7の範囲に調整し、公知の装置[例えば、
限外濾過モジュール(旭化成工業社製)等]により限外
濾過し、分子量10,000ダルトン以上の画分を完全
に除去し、目的とする風味良好な乳清蛋白加水分解物を
得る。この乳清蛋白加水分解物を含有する液を、公知の
方法により濃縮し、濃縮液とすることもでき、更にこの
濃縮液を公知の方法により乾燥し、粉末とすることもで
きる。
【0027】以上のようにして得られた乳清蛋白加水分
解物は、後記する実施例からも明らかなように次の理化
学的性状を有している。 a)図1に示すとおり、分子量5,000〜10,00
0ダルトンの画分が、全加水分解物の1%(重量)未満
であり、分子量10,000ダルトン以上の画分を含ま
ず、分子量1,000ダルトン未満の画分が70%以上
であり、分子量500ダルトン及び分子量1,000ダ
ルトンにピークを有し、数平均分子量300〜400ダ
ルトン、重量平均分子量600〜800ダルトンであ
る。図1は、実施例1により得られた本発明の乳清蛋白
加水分解物の分子量分布を示し、縦軸及び横軸は、それ
ぞれ分布割合及び分子量を示す。
【0028】b)図2に示すとおり、抗乳清蛋白質血清
を用いたエライザ抑制試験法により測定した抗原残存活
性が10-5以下、望ましくは10-6以下である。図2
は、実施例1により得られた本発明の乳清蛋白加水分解
物の抗原残存活性を示し、縦軸及び横軸は、それぞれ抑
制割合及び最終試料濃度を示す。図中+及び□は、それ
ぞれ乳清蛋白質及び本発明の乳清蛋白分解物を示す。
【0029】c)加水分解物の全アミノ酸の量に対する
遊離アミノ酸の量の割合が10〜15%(重量)、望ま
しくは11〜13%(重量)である。 d)乳清蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リ
ジンの量の割合が12〜20%(重量)、望ましくは1
4〜17%(重量)である。 e)アンモニア含量が0.2%(重量)以下、望ましく
は0.1%(重量)以下である。 f)10%溶液を1cmのセル、540nmで測定した
透過率が98%以上である。 g)pH4〜7の5%(重量)溶液を120℃で10分
間加熱して沈殿を生じない。
【0030】h)図3に示すとおり、公知の抗酸化剤で
あるα−トコフェロールと同等又はそれ以上の抗酸化活
性を有する。図3は、実施例1により得られた本発明の
乳清蛋白加水分解物の抗酸化活性を示し、縦軸及び横軸
は、それぞれ抗酸化能残存率及び時間を示す。図中◇、
+及び□は、それぞれ本発明の乳清蛋白分解物、α−ト
コフェロール及び対照(試料又は標品無添加)を示す。
【0031】次に、試験例を示して本発明を詳述する。
本発明の試験例においては、次の試験方法を採用した。 (1)分子量の測定方法 高速液体クロマトグラフィー(宇井信生ら編、「タンパ
ク質・ペプチドの高速液体クロマトグラフィー」、化学
増刊第102号、第241ページ、化学同人、1984
年)により次のようにして測定した。ポリハイドロキシ
エチル・アスパルアミド・カラム[ポリエルシー(PolyL
C)社製。直径4.6mm及び長さ200mm]を用い、
20mM塩化ナトリウム、50mMぎ酸により溶出速度
0.4ml/分で溶出した。検出はUV検出器を用い、
データ解析はGPC分析システム(島津製作所製)を使
用した。
【0032】(2)抗原残存活性の測定方法 エライザ測定試験法(日本小児アレルギー学会誌、第1
巻、第36ページ、1978年)により次のようにして
測定した。96穴プレート(ヌンク社製)に乳清蛋白質
をコーティングし、洗浄し、ウサギ抗乳清蛋白質血清及
び加水分解物試料の混合液をプレートの穴に供給して反
応させ、洗浄後アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウサ
ギIgG抗体(ザイメッド・ラボラトリー社製)を反応
させ、洗浄後p−ニトロフェニル・リン酸ナトリウムを
添加し、30分後に5N水酸化ナトリウムを添加して反
応を停止させ、反応生成物をマイクロプレートリーダー
(和光純薬工業社製)で測定した。なお、抑制用被検抗
原液添加による反応抑制の程度の表現には次の式で算出
した抑制率を用いた。 抑制率(%)=(1−被検抗原液での吸光度/対照の吸
光度)×100 ただし、被検抗原液の吸光度及び対照の吸光度は抗乳清
蛋白血清にそれぞれ等量の被検試料液又は希釈液の混合
液を入れた穴の反応後測定した値である。
【0033】(3)アミノ酸組成の測定方法 トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミ
ノ酸については、試料を6N塩酸で110℃、24時間
加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウ
ムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及
びメチオニンについては、過ぎ酸処理後6N塩酸で11
0℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析機
(日立製作所製。835型)により分解し、アミノ酸の
質量を測定した。
【0034】(4)遊離アミノ酸組成の測定方法 スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、アミノ酸分析機
(日立製作所製。835型)により分析し、前記アミノ
酸組成の分析で得られた各アミノ酸の質量に対する遊離
アミノ酸質量の百分率を算出した。
【0035】(5)遊離リジン含量の測定方法 リジン測定用酵素電極、20mML−リジン標準液、
0.1M燐酸L−リジン測定用緩衝液及び洗浄用界面活
性剤(いずれも旭化成工業社製)を用い、バイオテック
アナライザー(旭化成工業社製)により遊離リジン濃度
をバッチ式又はオンラインで測定し、乳清蛋白質のリジ
ン含有量に対する分解溶液のリジン含有量から全リジン
に対する遊離リジンの量の割合を算出した。
【0036】(6)アンモニア含量の測定方法 スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、アミノ酸分析機
(日立製作所製。835型)により分析し、アンモニア
の質量を測定した。
【0037】(7)抗酸化作用の測定方法 リノール酸、β−カロチンをTween20で乳化し、
これに試料又は標品としてα−トコフェロールを添加
し、経時変化を比色法により測定した[フィトケミスト
リー(Phytochemistry)、第10巻、第1445ページ、
1971年]。リノール酸、β−カロチン、Tween
20、試料及びα−トコフェロールの最終濃度は、それ
ぞれ0.96mg/ml、4.8μg/ml、9.6m
g/ml、0.19mg/ml及び0.19mg/ml
であった。
【0038】試験例1 この試験は、抗原性と密接に関連する高分子量画分の比
率を指標として、加水分解に供する乳清蛋白質溶液の好
適な濃度を調べるために行った。 1)試料の調製 表1に示すとおり乳清蛋白質濃度を変更したことを除
き、実施例1と同一の方法により乳清蛋白質溶液を加水
分解し、7種類の試料を調製した。
【0039】2)試験方法 分子量5,000〜10,000ダルトンの画分の比率
は前記分子量の測定方法により求めた。
【0040】3)試験結果 この試験結果は、表1に示すとおりである。表1から明
らかなように、分子量5,000〜10,000ダルト
ンの画分が1%未満となる乳清蛋白質の濃度は、15%
以下、望ましくは12%以下であることが判明した。反
応効率を考慮するならば、8〜12%が最も望ましい。
尚、乳清蛋白質の種類、バシラス・サチリス由来のエン
ドペプチダ−ゼ及び乳酸菌由来のエキソペプチダ−ゼの
種類、及び後記する試験例3において求められた範囲内
で、その酵素量を変更して試験したが、ほぼ同様の結果
が得られた。
【0041】
【表1】
【0042】試験例2 この試験は、抗原性を指標として、加水分解のために好
適な酵素処理初発pH範囲を調べるために行った。 1)試料の調製 加水分解の初発pHを次のとおり変更したことを除き、
実施例1と同一の方法により乳清蛋白質溶液を加水分解
し、5種類の試料を調製した。 試料1:初発pHをpH6.5に調整した後、加水分解
を行った。 試料2:初発pHをpH7.5に調整した後、加水分解
を行った。 試料3:初発pHをpH8.0に調整した後、加水分解
を行った。 試料4:初発pHをpH9.0に調整した後、加水分解
を行った。 試料5:初発pHをpH10.0に調整した後、加水分
解を行った。
【0043】2)試験方法 抗原残存活性は、前記抗原残存活性の測定方法により測
定した。
【0044】3)試験結果 この試験結果は、表2に示すとおりである。表2から明
らかなように、低い抗原性の乳清蛋白加水分解物を得る
ためには、加水分解のための初発pHは7.5〜10.
0、望ましくは8〜9であることが判明した。尚、乳清
蛋白質の種類、バシラス・サチリス由来のエンドペプチ
ダ−ゼ及び乳酸菌由来のエキソペプチダ−ゼの種類、及
び後記する試験例3において求められた範囲内で、その
酵素量を変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
【0045】
【表2】
【0046】試験例3 この試験は、抗原性と密接に関連する高分子量画分の比
率、アンモニア含量、及び抗酸化活性を指標として、酵
素の適正な使用量を調べるために行った。 1)試料の調製 表3に示すように酵素の使用量を変更したことを除き、
実施例1と同一の方法により乳清蛋白質溶液を加水分解
し、12種類の試料を調製した。なお、試料番号1及び
7は、30時間加水分解を行っても遊離リジン量が、1
4%に到達しなかったので、その時点で加水分解を終了
した。
【0047】2)試験方法 分子量5,000〜10,000ダルトンの画分の比率
は前記分子量の測定方法、アンモニア含量は前記アンモ
ニア含量の測定方法、及び抗酸化活性は前記抗酸化作用
の測定方法により求めた。なお、試料の抗酸化活性は、
α−トコフェロ−ルの抗酸化活性に対する相対的な強さ
を指標として表わした。
【0048】3)試験結果 この試験結果は、表3に示すとおりである。表3から明
らかなように、分子量5,000〜10,000ダルト
ンの画分が1%以下、アンモニア含量が0.2%以下、
かつα−トコフェロ−ルと同等又はそれ以上の抗酸化活
性となる酵素の使用量は、乳清蛋白質1gあたりバシラ
ス・サチリス由来のエンドペプチダーゼが1,000〜
7,500PUN単位、望ましくは2,000〜3,0
00PUN単位、乳酸菌由来のエキソペプチダーゼが2
0〜200活性単位、望ましくは60〜90活性単位の
範囲であることが判明した。尚、乳清蛋白質の種類、及
びバシラス・サチリス由来のエンドペプチダ−ゼ及び乳
酸菌由来のエキソペプチダ−ゼの種類を変更して試験し
たが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0049】
【表3】
【0050】試験例4 この試験は、風味、抗原性と密接に関連する高分子量画
分の比率、及び風味に影響を及ぼす遊離アミノ酸の含量
を指標として、加水分解物の適正なリジンの遊離率を調
べるために行った。 1)試料の調製 表4に示すとおり、加水分解反応を、所望の遊離リジン
の量の割合で、適宜、酵素を失活させて停止させたこと
を除き、実施例1と同一の方法により7種類の試料を調
製した。
【0051】2)試験方法 分子量5,000〜10,000ダルトンの画分の比率
及び遊離アミノ酸の含量は、いずれも前記の方法により
求めた。なお、風味は下記の方法により試験した。 a)風味試験 男女各10名のパネルにより官能的に試験し、風味良
(0点)から風味不良(3点)までの4段階に評価し、
評価点の平均値から、0.5点未満を良、0.5点以上
〜1.5点未満をやや良、1.5点以上〜2.5点未満
をやや不良及び2.5点以上〜3.0点未満を不良と判
定した。
【0052】3)試験結果 この試験の結果は、表4に示すとおりである。表4から
明らかなように風味が良い乳清蛋白質分解物は、リジン
の遊離率が12〜20%、望ましくは14〜17%であ
ることが判明した。尚、乳清蛋白質の種類、バシラス・
サチリス由来のエンドペプチダ−ゼ及び乳酸菌由来のエ
キソペプチダ−ゼの種類、及び前記する試験例3におい
て求められた範囲内で、その酵素量を変更して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
【0053】
【表4】
【0054】試験例5 この試験は、抗原性と密接に関連する高分子量画分の比
率、抗原性、食品素材として好適な性質である透明性の
基準となる透過率及び熱安定性を指標として、加水分解
物の好適な瀘過方法を調べるために行った。 1)試料の調製 表5に示すとおり瀘過膜(分画分子量)を変更したこと
を除き、実施例1と同一の方法により乳清蛋白質溶液を
加水分解し、3種類の試料を調製した。なお、瀘過膜と
して、旭化成工業社製の分画分子量3,000ダルトン
及び10,000ダルトンの限外瀘過膜、及び孔径0.
25μm の精密瀘過膜を使用した。
【0055】2)試験方法 分子量5,000〜10,000ダルトンの画分の比
率、抗原残存活性、透過率、及び熱安定性は、いずれも
前記の方法により求めた。
【0056】3)試験結果 この試験の結果は、表5に示すとおりである。表5から
明らかなように、分子量5,000〜10,000ダル
トンの画分が1%未満、透過率が98%以上、耐熱性を
有する限外濾過処理方法は、クエン酸でpHを5.5〜
7に調整し、分画分子量10,000以下、望ましくは
3,000以下、の限外濾過膜を用いることが必要であ
ることが判明した。尚、乳清蛋白質の種類、バシラス・
サチリス由来のエンドペプチダ−ゼ及び乳酸菌由来のエ
キソペプチダ−ゼの種類、及び前記する試験例3におい
て求められた範囲内で、その酵素量を変更して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
【0057】
【表5】
【0058】試験例6 この試験は、風味と抗酸化活性を指標として、加水分解
のために好適な酵素の種類を調べるために行った。 1)試料の調製 表6に示すとおり使用する酵素の種類及び添加量を変更
したことを除き、実施例1と同一の方法により6種類の
試料を調製した。なお、酵素としては、バシラス・サチ
リス由来のエンドペプチダーゼとして、ビオプラ−ゼ
6.0S(長瀬生化学工業社製)、乳酸菌由来のエキソ
ペプチダ−ゼとして、後記する参考例1と同様の方法で
調整したラクトバチルス・ヘルベティカス菌体破砕物又
はビフィドバクテリウム・プレビス菌体破砕物、その他
のエンドペプチダーゼとして、トリプシン(ノボノルデ
ィスク社製)、及びその他のエキソペプチダ−ゼとし
て、デナチ−ムAP(長瀬産業社製)を用いた。また、
試料番号1及び2は、30時間加水分解を行っても遊離
リジン量が、14%に達しなかったので、その時点で加
水分解を終了した。
【0059】2)試験方法 風味及び抗酸化活性は、いずれも前記の方法により求め
た。
【0060】3)試験結果 この試験の結果は、表6に示すとおりである。表6から
明らかなように風味が良くかつα−トコフェロールと同
等又はそれ以上の抗酸化活性を有する乳清蛋白質分解物
は、バシラス・サチリス由来のエンドペプチダーゼ及び
乳酸菌由来のエキソペプチダーゼの2種類の蛋白分解酵
素で加水分解したものであることが判明した。尚、乳清
蛋白質の種類、酵素の種類及び量を変更(バシラス・サ
チリス由来のエンドペプチダ−ゼ及び乳酸菌由来のエキ
ソペプチダ−ゼについては、前記する試験例3において
求められた範囲内で、その酵素量を変更)して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
【0061】
【表6】
【0062】参考例1 コーンスティープリカー20部(重量。以下同じ)に水
道水100部及び石灰5部を添加し、コーンスティープ
リカーに含まれている酸を中和し、濾過助剤としてセラ
イト50部を添加して濾過し、濾液Aを得た。これとは
別に、フィシュリバー20部、モラセス35部及び水道
水200部の混合液にセライト50部を添加して濾過
し、濾液Bを得た。
【0063】前記濾液A及び濾液Bの当量混合液500
部にグルコース5部、リン酸一カリウム2.5部、リン
酸二カリウム2.5部及び酢酸ナトリウム5部を添加
し、30%水酸化ナトリウムでpHを6.4に調整し、
水を添加して1000部に調整した。
【0064】滅菌した前記組成の培地10リッタ−にラ
クトバチルス・ヘルベティカスを培養し、得られた培養
液を遠心分離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に菌体を
懸濁し、遠心分離して乳酸菌菌体を回収する操作を2回
反復して菌体を洗浄し、のち20%の濃度で菌体を滅菌
水に懸濁し、超音波破砕機(ブランソン社製。SONIFIER
model250)により菌体を破砕し、凍結乾燥し、乳酸菌
由来のエキソペプチダーゼ粉末約25gを得た。
【0065】参考例2 実施例2と同一の方法で得た乳清蛋白加水分解物(蛋白
質等量79.4%)25.0kgを水140kgに溶解
し、5kgの水に溶解した所定量のミネラル類を加え、
60℃に加熱し、DHA70gを含む植物性脂肪2.0
kg、マルツデキストリン65.1kg、砂糖6.6k
g及び所定量のビタミン類を混合し、この混合液を高圧
均質機で十分均質化し、120℃で2秒間殺菌し、噴霧
乾燥し、粉末状の抗アレルギー性組成物約99kgを得
た。
【0066】次に実施例を示して本発明を更に詳述する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
実施例1 純度75%の乳清蛋白質粉末(カリフォルニア・プロテ
イン社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、75
℃に15秒間保持して殺菌し、pHを9.0に調整し、
プロテア−ゼNアマノ(天野製薬社製)180万PUN
単位(乳清蛋白質1g当たり2400PUN単位)及び
前記参考例1と同一の方法で調整したラクトバチルス・
ヘルベティカス菌体破砕物6.8万活性単位(乳清蛋白
質1g当たり90活性単位)を添加し、50℃に保持し
て加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工業
社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離
リジン量が14%に達した時点で、80℃で6分間加熱
して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを
6.0に調整し、分画分子量10,000の限外濾過膜
(日東電工社製)で限外濾過し、乳清蛋白質加水分解物
を5.9%含有する溶液約16kgを得た。
【0067】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記試験
方法により試験した結果の一部を図1、図2及び図3に
示す。これらの結果、乳清蛋白質加水分解物は、分子量
5,000〜10,000ダルトンの画分が、全加水分
解物の0.3%、抗原残存活性が10-6以下、リジンの
遊離率が14%、遊離アミノ酸含量11%、アンモニア
含有量が0.07%、10%溶液の透過率が98%、5
%溶液のpH未調整及びpH4における120℃、10
分間の加熱にも安定であり、α−トコフェロ−ルと同等
の抗酸化活性を有した。また、前記試験方法により試験
したアミノ酸組成(乳清蛋白加水分解物1g当たり)は
次のとおりであった。
【0068】 L−アラニン 52.8(mg) L−アルギニン 23.4 L−アスパラギン酸(L−アスパラギンを含む)102.6 L−システイン 17.1 L−グルタミン酸(L−グルタミンを含む) 185.1 L−グリシン 18.8 L−ヒスチジン 17.7 L−イソロイシン 59.9 L−ロイシン 100.1 L−リジン 94.6 L−メチオニン 15.8 L−フェニルアラニン 29.5 L−プロリン 61.4 L−セリン 49.2 L−スレオニン 70.3 L−トリプトファン 16.7 L−チロシン 26.1 L−バリン 54.7
【0069】実施例2 純度85%の乳清蛋白質粉末(デンマーク・プロテイン
社製)1kgを、脱イオン水19kgに溶解し、pHを
10に調整し、市販のトリプシン(ノボノルディスク社
製)を11万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり130
PUN単位)、プロテア−ゼNアマノ(天野製薬社製)
180万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2100P
UN単位)及び前記参考例1と同様の方法で調整したラ
クトバチルス・ブルガリカス菌体破砕物5.1万活性単
位(乳清蛋白質1g当たり60活性単位)を添加し、4
0℃で加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成
工業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、
遊離リジン量が17%に達した時点で、130℃で2秒
間加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でp
Hを6.5に調整し、分画分子量3,000の限外濾過
膜(旭化成工業社製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥
し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを得た。
【0070】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記の試
験方法により試験した結果、分子量5,000〜10,
000ダルトンの画分が、全加水分解物の0.2%、抗
原残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が17%、遊
離アミノ酸含量13%、アンモニア含有量が0.04
%、10%溶液の透過率が99%、5%溶液のpH未調
整及びpH4における120℃、10分間の加熱にも安
定であり、α−トコフェロ−ルと同等の抗酸化活性を有
した。
【0071】実施例3 純度90%の乳清蛋白質粉末(バイオポール社製)1k
gを、脱イオン水19kgに溶解し、75℃に15秒間
保持して殺菌し、pHを8.0に調整し、市販のパパイ
ン(天野製薬社製)を10万PUN単位(乳清蛋白質1
g当たり110PUN単位)、ニュートラーゼ(ノボノ
ルディスク社製)220万PUN単位(乳清蛋白質1g
当たり2400PUN単位)及び前記参考例1と同様の
方法で調整したビフィドバクテリウム・プレビス菌体破
砕物9万活性単位(乳清蛋白質1g当たり100活性単
位)を添加し、50℃に保持して加水分解し、バイオテ
ックアナライザー(旭化成工業社製)を用いて経時的に
遊離リジンの量を測定し、遊離リジン量が20%に達し
た時点で、85℃で15分間加熱して酵素を失活させ、
冷却し、のちクエン酸でpHを7.0に調整し、分画分
子量10,000の限外濾過膜(日東電工社製)で限外
濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水
分解物約800gを得た。
【0072】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記試験
方法により試験した結果、分子量5,000〜10,0
00ダルトンの画分が、全加水分解物の0.3%、抗原
残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が20%、遊離
アミノ酸含量15%、アンモニア含有量が0.09%、
10%溶液の透過率が98%、5%溶液のpH未調整及
びpH4における120℃、10分間の加熱にも安定で
あり、α−トコフェロ−ルと同等の抗酸化活性を有し
た。
【0073】実施例4 純度70%の乳清蛋白質粉末(ミライ社製)1kgを、
脱イオン水5.7kgに溶解し、pHを9.0に調整
し、ビオプラーゼ6.0S(長瀬生化学工業社製)16
0万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2000PUN
単位)及び前記参考例1と同様の方法で調整したストレ
プトコッカス・ラクチス菌体破砕物6.3万活性単位
(乳清蛋白質1g当たり90活性単位)を添加し、45
℃で加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工
業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊
離リジン量が19%に達した時点で、130℃で2秒間
加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpH
を7.0に調整し、分画分子量10,000の限外濾過
膜(旭化成社製)で限外濾過し、乳清蛋白質加水分解物
を8.4%含有する溶液約11kgを得た。
【0074】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記の試
験方法により試験した結果、分子量5,000〜10,
000ダルトンの画分が、全加水分解物の0.9%、抗
原残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が19%、遊
離アミノ酸含量14.5%、アンモニア含有量が0.1
0%、10%溶液の透過率が98%、5%溶液のpH未
調整及びpH4における120℃、10分間の加熱にも
安定であり、α−トコフェロ−ルと同等の抗酸化活性を
有した。
【0075】実施例5 純度80%の乳清蛋白質粉末(ニュージーランド・デー
リー・ボード製)1kgを、脱イオン水12.3kgに
溶解し、75℃に15秒間保持して殺菌し、pHを8.
5に調整し、市販のパパイン(天野製薬社製)を8万P
UN単位(乳清蛋白質1g当たり100PUN単位)、
ビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)220万PUN単
位(乳清蛋白質1g当たり2700PUN単位)及び前
記参考例1と同様の方法で調整したストレプトコッカス
・クレモリス菌体破砕物5.6万活性単位(乳清蛋白質
1g当たり70活性単位)を添加し、pHを6.5に保
持して55℃で加水分解し、バイオテックアナライザー
(旭化成工業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を
測定し、遊離リジン量が17%に達した時点で、90℃
で5分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン
酸でpHを5.5に調整し、分画分子量10,000の
限外濾過膜(日東電工社製)で限外濾過し、濃縮し、噴
霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを
得た。
【0076】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記試験
方法により試験した結果、分子量5,000〜10,0
00ダルトンの画分が、全加水分解物の0.3%、抗原
残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が17%、遊離
アミノ酸含量13%、アンモニア含有量が0.11%、
10%溶液の透過率が99%、5%溶液のpH未調整及
びpH4における120℃、10分間の加熱にも安定で
あり、α−トコフェロ−ルと同等の抗酸化活性を有し
た。
【0077】実施例6 純度70%の乳清蛋白質粉末(カリフォルニア・プロテ
イン社製)1kgを、脱イオン水7kgに溶解し、pH
を8.0に調整し、ブロメライン(天野製薬社製)35
万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり500PUN単
位)、ニュートラーゼ(ノボノルディスク社製)230
万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり3300PUN単
位)及び前記参考例1と同様の方法で調整したラクトバ
チルス・ブルガリカス菌体破砕物5.6万活性単位(乳
清蛋白質1g当たり80活性単位)を添加し、47℃で
加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工業社
製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離リ
ジン量が17%に達した時点で、85℃で15分間加熱
して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを
5.5に調整し、分画分子量10,000の限外瀘過膜
(日東電工社製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、
粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを得た。
【0078】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記の試
験方法により試験した結果、分子量5,000〜10,
000ダルトンの画分が、全加水分解物の0.4%、抗
原残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が17%、遊
離アミノ酸含量13%、アンモニア含有量が0.10
%、10%溶液の透過率が98%、5%溶液のpH未調
整及びpH4における120℃、10分間の加熱にも安
定であった。
【0079】実施例7 純度80%の乳清蛋白質粉末(デンマーク・プロテイン
社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、pHを
7.5に調整し、市販のニュートラーゼ(ノボノルディ
スク社製)を160万PUN単位(乳清蛋白質1g当た
り2000PUN単位)及び前記参考例1と同様の方法
で調整したビフィドバクテリウム・プレビス菌体破砕物
2.8万活性単位(乳清蛋白質1g当たり35活性単
位)を添加し、pH7.5に保持して45℃で加水分解
し、バイオテックアナライザー(旭化成工業社製)を用
いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離リジン量が
12%に達した時点で、90℃で20分間加熱して酵素
を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを7.0に調
整し、分画分子量3,000の限外濾過膜(旭化成社
製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清
蛋白質加水分解物約800gを得た。
【0080】得られた乳清蛋白質加水分解物を前記試験
方法により試験した結果、分子量5,000〜10,0
00ダルトンの画分が、全加水分解物の0.4%、抗原
残存活性が10-6以下、リジンの遊離率が12%、遊離
アミノ酸含量10%、アンモニア含有量が0.09%、
10%溶液の透過率が100%、5%溶液のpH未調整
及びpH4における120℃、10分間の加熱にも安定
であった。
【0081】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、風味良好
な乳清蛋白加水分解物及びその製造法であり、本発明に
よって奏せられる効果は、次のとおりである。 1)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、腸管吸収性にお
いて優れ、アミノ酸バランスが良好なので、消化吸収能
の未熟な乳幼児又は消化吸収能が低下している高齢者、
病人への蛋白質供給源用素材として使用できる。 2)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、抗原残存活性が
ないので、アレルギー患者、アレルギー予防を目的とし
て乳幼児、妊産婦、免疫機能の低下した病人への蛋白質
供給源用素材として使用できる。 3)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、抗酸化作用を有
し、熱安定性、透明性も高く、風味良好なので母乳強化
組成物や経口経腸栄養剤の蛋白質供給源用素材として使
用できる。 4)本発明の方法により、広範な用途を有する乳清蛋白
質加水分解物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乳清蛋白加水分解物の分子量分布を示
す。
【図2】本発明の乳清蛋白加水分解物の抗原残存活性を
示す。
【図3】本発明の乳清蛋白加水分解物の抗酸化活性を示
す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】b)図2に示すとおり、抗乳清蛋白質血清
を用いたエライザ抑制試験法により測定した抗原残存活
性が10−5以下、望ましくは10−6以下である。図
2は、実施例1により得られた本発明の乳清蛋白加水分
解物の抗原残存活性を示し、縦軸及び横軸は、それぞれ
抑制割合及び最終試料濃度を示す。図中+及び□は、そ
れぞれ本発明の乳清蛋白分解物及び乳清蛋白質を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】一方、摂取したアミノ酸がトランスグルタ
ミナーゼ、グルタメートデヒトロゲナーゼ等によって分
解されて、アンモニアが生成するが、生成したアンモニ
アは有毒であり、肝臓で直ちに処理される必要があり、
摂取する食品にアンモニアが含有されていないことが必
要である。このような点から、乳清蛋白加水分解物に
も、アンモニアが含有されていないことが、極めて重要
である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】5)牛乳蛋白質をトリプシン、α−キモト
リプシン、アスペルギルス属、バシラス属菌の酵素で分
解し、分子量10,000ダルトン以下の経口免疫寛容
誘導能を有する低アレルゲン性ペプチドが開示されてい
る(特開平5−5000号公報)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】6)カゼインを酸性プロテアーゼで分解
し、中性でペプチダーゼで分解し、分子量3,000ダ
ルトン以下、遊離アミノ酸含量30〜55%、α−カ
ゼインに対するELISA抑制試験がα−カゼインの
10,000分の1以下、5%溶液の苦味官能値がカフ
ェイン0.04%水溶液相当以下のペプチドが開示され
ている(特開平6−113893号公報)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】(2)抗原残存活性の測定方法ELISA抑制 試験法(日本小児アレルギー学会誌、第
1巻、第36ページ、1978年)により次のようにし
て測定した。96穴プレート(ヌンク社製)に乳清蛋白
質をコーティングし、洗浄し、ウサギ抗乳清蛋白質血清
及び加水分解物試料の混合液をプレートの穴に供給して
反応させ、洗浄後アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウ
サギIgG抗体(ザイメッド・ラボラトリー社製)を反
応させ、洗浄後p−ニトロフェニル・リン酸ナトリウム
を添加し、30分後に5N水酸化ナトリウムを添加して
反応を停止させ、反応生成物をマイクロプレートリーダ
ー(和光純薬工業社製)で測定した。なお、抑制用被検
抗原液添加による反応抑制の程度の表現には次の式で算
出した抑制率を用いた。 抑制率(%)=(1−被検抗原液での吸光度/対照の吸
光度)×100 ただし、被検抗原液の吸光度及び対照の吸光度は抗乳清
蛋白血清にそれぞれ等量の被検試料液又は希釈液の混合
液を入れた穴の反応後測定した値である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】(3)アミノ酸組成の測定方法 トリプトファン、システイン及びメチオニン以外のアミ
ノ酸については、試料を6N塩酸で110℃、24時間
加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バリウ
ムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイン及
びメチオニンについては、過ぎ酸処理後6N塩酸で11
0℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ酸分析機
(日立製作所製。835型)により分析し、アミノ酸の
質量を測定した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】(5)遊離リジン含量の測定方法 リジン測定用酵素電極、20mML−リジン標準液、
0.1M燐酸L−リジン測定用緩衝液及び洗浄用界面活
性剤(いずれも旭化成工業社製)を用い、バイオテック
アナライザー(旭化成工業社製)により遊離リジン濃度
をバッチ式又はオンラインで測定し、乳清蛋白質のリジ
ン含有量に対する分解溶液の遊離リジン含有量から全リ
ジンに対する遊離リジンの量の割合を算出した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【表3】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】試験例6 この試験は、風味と抗酸化活性を指標として、加水分解
のために好適な酵素の種類を調べるために行った。 1)試料の調製 表6に示すとおり使用する酵素の種類及び添加量を変更
したことを除き、実施例1と同一の方法により6種類の
試料を調製した。なお、酵素としては、バシラス・サチ
リス由来のエンドペプチダーゼとして、ビオプラーゼ
6.0S(長瀬生化学工業社製)、乳酸菌由来のエキソ
ペプチダーゼとして、後記する参考例1と同様の方法で
調製したラクトバシラス・ヘルベティカス菌体破砕物又
はビフィドバクテリウム・ブレーベ菌体破砕物、その他
のエンドペプチダーゼとして、トリプシン(ノボノルデ
ィスク社製)、及ひその他のエキソペプチダーゼとし
て、デナチームAP(長瀬産業社製)を用いた。また、
試料番号1及び2は、30時間加水分解を行っても遊離
リジン量が、14%に達しなかったので、その時点で加
水分解を終了した。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】
【表6】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正内容】
【0064】滅菌した前記組成の培地10リッターに
酸菌ラクトバシラス・ヘルベティカスを培養し、得られ
た培養液を遠心分離して乳酸菌菌体を回収し、滅菌水に
菌体を懸濁し、遠心分離して乳酸菌菌体を回収する操作
を2回反復して菌体を洗浄し、のち20%の濃度で菌体
を滅菌水に懸濁し、超音波破砕機(ブランソン社製。S
ONIFIER model250)により菌体を破砕
し、凍結乾燥し、乳酸菌由来のエキソペプチダーゼ粉末
約25gを得た。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】次に実施例を示して本発明を更に詳述する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】 実施例1 純度75%の乳清蛋白質粉末(カリフォルニア・プロテ
イン社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、75
℃に15秒間保持して殺菌し、pHを9.0に調整し、
プロテアーゼNアマノ(天野製薬社製)180万PUN
単位(乳清蛋白質1g当たり2400PUN単位)及び
前記参考例1と同一の方法で調製したラクトバシラス
ヘルベティカス菌体破砕物6.8万活性単位(乳清蛋白
質1g当たり90活性単位)を添加し、50℃に保持し
て加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工業
社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離
リジン量が14%に達した時点で、80℃で6分間加熱
して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを
6.0に調整し、分画分子量10,000の限外濾過膜
(日東電工社製)で限外濾過し、乳清蛋白質加水分解物
を5.9%含有する溶液約16kgを得た。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正内容】
【0069】実施例2 純度85%の乳清蛋白質粉末(デンマーク・プロテイン
社製)1kgを、脱イオン水19kgに溶解し、pHを
10に調整し、市販のトリプシン(ノボノルディスク社
製)を11万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり130
PUN単位)、プロテアーゼNアマノ(天野製薬社製)
180万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2100P
UN単位)及び前記参考例1と同様の方法で調製した
クトバシラス・プルガリカス菌体破砕物5.1万活性単
位(乳清蛋白質1g当たり60活性単位)を添加し、4
0℃で加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成
工業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、
遊離リジン量が17%に達した時点で、130℃で2秒
間加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でp
Hを6.5に調整し、分画分子量3,000の限外濾過
膜(旭化成工業社製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥
し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを得た。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正内容】
【0071】実施例3 純度90%の乳清蛋白質粉末(バイオポール社製)1k
gを、脱イオン水19kgに溶解し、75℃に15秒間
保持して殺菌し、pHを8.0に調整し、市販のパパイ
ン(天野製薬社製)を10万PUN単位(乳清蛋白質1
g当たり110PUN単位)、ニュートラーゼ(ノボノ
ルディスク社製)220万PUN単位(乳清蛋白質1g
当たり2400PUN単位)及び前記参考例1と同様の
方法で調整したビフィドバクテリウム・ブレーベ菌体破
砕物9万活性単位(乳清蛋白質1g当たり100活性単
位)を添加し、50℃に保持して加水分解し、バイオテ
ックアナライザー(旭化成工業社製)を用いて経時的に
遊離リジンの量を測定し、遊離リジン量が20%に達し
た時点で、85℃で15分間加熱して酵素を失活させ、
冷却し、のちクエン酸でpHを7.0に調整し、分画分
子量10,000の限外濾過膜(日東電工社製)で限外
濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水
分解物約800gを得た。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】実施例4 純度70%の乳清蛋白質粉末(ミライ社製)1kgを、
脱イオン水5.7kgに溶解し、pHを9.0に調整
し、ビオプラーゼ6.0S(長瀬生化学工業社製)16
0万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり2000PUN
単位)及び前記参考例1と同様の方法で調製したストレ
プトコッカス・ラクチス菌体破砕物6.3万活性単位
(乳清蛋白質1g当たり90活性単位)を添加し、45
℃で加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工
業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊
離リジン量が19%に達した時点で、130℃で2秒間
加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpH
を7.0に調整し、分画分子量10,000の限外濾過
膜(旭化成社製)で限外濾過し、乳清蛋白質加水分解物
を8.4%含有する溶液約11kgを得た。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】実施例5 純度80%の乳清蛋白質粉末(ニュージーランド・デー
リー・ボード製)1kgを、脱イオン水12.3kgに
溶解し、75℃に15秒間保持して殺菌し、pHを8.
5に調整し、市販のパパイン(天野製薬社製)を8万P
UN単位(乳清蛋白質1g当たり100PUN単位)、
ビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)220万PUN単
位(乳清蛋白質1g当たり2700PUN単位)及び前
記参考例1と同様の方法で調製したストレプトコッカス
・クレモリス菌体破砕物5.6万活性単位(乳清蛋白質
1g当たり70活性単位)を添加し、pHを6.5に保
持して55℃で加水分解し、バイオテックアナライザー
(旭化成工業社製)を用いて経時的に遊離リジンの量を
測定し、遊離リジン量が17%に達した時点で、90℃
で5分間加熱して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン
酸でpHを5.5に調整し、分画分子量10,000の
限外濾過膜(日東電工社製)で限外濾過し、濃縮し、噴
霧乾燥し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを
得た。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正内容】
【0077】実施例6 純度70%の乳清蛋白質粉末(カリフォルニア・プロテ
イン社製)1kgを、脱イオン水7kgに溶解し、pH
を8.0に調整し、ブロメライン(天野製薬社製)35
万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり500PUN単
位)、ニュートラーゼ(ノボノルディスク社製)230
万PUN単位(乳清蛋白質1g当たり3300PUN単
位)及び前記参考例1と同様の方法で調製したラクトバ
シラス・ブルガリカス菌体破砕物5.6万活性単位(乳
清蛋白質1g当たり80活性単位)を添加し、47℃で
加水分解し、バイオテックアナライザー(旭化成工業社
製)を用いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離リ
ジン量が17%に達した時点で、85℃で15分間加熱
して酵素を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを
5.5に調整し、分画分子量10,000の限外瀘過膜
(日東電工社製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、
粉末状の乳清蛋白質加水分解物約800gを得た。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正内容】
【0079】実施例7 純度80%の乳清蛋白質粉末(デンマーク・プロテイン
社製)1kgを、脱イオン水9kgに溶解し、pHを
7.5に調整し、市販のニュートラーゼ(ノボノルディ
スク社製)を160万PUN単位(乳清蛋白質1g当た
り2000PUN単位)及び前記参考例1と同様の方法
調製したビフィドバクテリウム・ブレーベ菌体破砕物
2.8万活性単位(乳清蛋白質1g当たり35活性単
位)を添加し、pH7.5に保持して45℃で加水分解
し、バイオテックアナライザー(旭化成工業社製)を用
いて経時的に遊離リジンの量を測定し、遊離リジン量が
12%に達した時点で、90℃で20分間加熱して酵素
を失活させ、冷却し、のちクエン酸でpHを7.0に調
整し、分画分子量3,000の限外濾過膜(旭化成社
製)で限外濾過し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末状の乳清
蛋白質加水分解物約800gを得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯村 奈生子 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 赤染 陽子 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 越智 浩 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内 (72)発明者 河本 美穂子 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社栄養科学研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度が少なくとも70%(重量)の乳清
    蛋白質の加水分解物であって、次のa)〜h)の理化学
    的性質; a)分子量5,000〜10,000ダルトンの画分
    が、全加水分解物の1%(重量)未満であること、 b)抗乳清蛋白質血清を用いたエライザ抑制試験法によ
    り測定した抗原残存活性が10-5以下であること、 c)加水分解物の全アミノ酸の量に対する遊離アミノ酸
    の量の割合が10〜15%(重量)であること、 d)乳清蛋白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リ
    ジンの量の割合が12〜20%(重量)であること、 e)アンモニア含量が0.2%(重量)以下であるこ
    と、 f)10%(重量)溶液を1cmのセル、540nmで
    測定した透過率が98%以上であること、 g)pH4〜7の5%(重量)溶液を120℃で10分
    間加熱して沈殿を生じないこと、及び h)抗酸化活性を有すること、を有することを特徴とす
    る風味良好な乳清蛋白加水分解物。
  2. 【請求項2】 純度が少なくとも70%(重量)の乳清
    蛋白質を15%(重量)以下の濃度で水に溶解し、該水
    溶液のpHを7.5〜10に調整し、該水溶液にバシラ
    ス・サチリス(Bacillus subtilis) 由来のエンドペプチ
    ダーゼ及び乳酸菌由来のエキソペプチダーゼの2種類の
    蛋白分解酵素を添加して加水分解を開始し、分解液中の
    遊離リジン量を経時的に測定し、出発原料である乳清蛋
    白質に含まれる全リジンの量に対する遊離リジンの量の
    割合が12〜20%(重量)の範囲で加水分解を停止
    し、限外濾過して分子量10,000ダルトン以上の画
    分を完全に除去することを特徴とする風味良好な乳清蛋
    白加水分解物の製造法。
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