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JPH0751691B2 - プライマ−用水性液 - Google Patents

プライマ−用水性液

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Publication number
JPH0751691B2
JPH0751691B2 JP8069487A JP8069487A JPH0751691B2 JP H0751691 B2 JPH0751691 B2 JP H0751691B2 JP 8069487 A JP8069487 A JP 8069487A JP 8069487 A JP8069487 A JP 8069487A JP H0751691 B2 JPH0751691 B2 JP H0751691B2
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JP
Japan
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primer
component
polymer
aqueous
water
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Application number
JP8069487A
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English (en)
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JPS63245462A (ja
Inventor
英昭 花沢
伸次 武内
Original Assignee
カネボウ・エヌエスシ−株式会社
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Filing date
Publication date
Application filed by カネボウ・エヌエスシ−株式会社 filed Critical カネボウ・エヌエスシ−株式会社
Priority to JP8069487A priority Critical patent/JPH0751691B2/ja
Publication of JPS63245462A publication Critical patent/JPS63245462A/ja
Publication of JPH0751691B2 publication Critical patent/JPH0751691B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、コンクリート,モルタル,スレート板等の
多孔質アルカリ性無機質基材に塗布することにより基材
表面の強度を増加し、かつその上に塗装する塗料等の仕
上げ材に対する塗装性,接着性を向上させるプライマー
用水性液に関するものである。
〔従来の技術〕
コンクリート,モルタル,スレート板等のセメント系の
無機建材は、表面層が脆弱であり、その表面脆弱層の補
強ならびに表面塗装時の塗膜等に対する接着力,密着力
を向上させる目的でプライマー溶液の塗布が行われてい
る。この種のプライマー溶液としては、従来から合成樹
脂を有機溶剤に溶解した溶剤型のプライマーが使用され
ている。このような溶剤型のプライマーは、基材に対す
る浸透性に優れており、しかも表面脆弱層の補強や塗膜
等に対する接着力,密着力の向上の効果も優れている。
しかしながら、プライマー中に占める溶剤量が50〜90重
量%(以下「%」と略す)と多く、このような溶剤は全
て蒸散してしまうため無駄になり、経済性,省資源の点
で問題がある。また、多量の溶剤を蒸散させる関係上、
安全性や公害等の点でも問題がある。したがつて、この
ような溶剤型プライマーに代えて上記のような問題を有
していない水性プライマーの開発が要望されている。こ
のような要望に応える水性プライマーとして、ゴム系
等の高分子ラテツクスを用いたプライマー、エポキシ
樹脂エマルジヨン等の二液反応型エマルジヨンプライマ
ー、変性ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂のプラ
イマー、等の3種類の水性プライマーが開発され、市場
に提供されている。ところが、上記の高分子ラテツク
スを用いたプライマーは、粘性が大であるため基材に対
する浸透性が劣り、その結果、基材表面層に対する補強
効果が不充分になるという問題を有している。また、
のエポキシ樹脂エマルジヨン等の二液反応型エマルジヨ
ンプライマーは、液状樹脂または樹脂溶液を乳化する等
の方法により前記の高分子ラテツクスに比較し基材に
対する浸透性が改良され、優れた性能を発揮し既に実用
化されている。ところが、このエマルジヨンは、二液型
のため二液混合操作および二液混合後の可使時間の管理
等、操作ならびに取り扱いが煩雑でそれによる問題が生
じやすいという難点がある。さらにの水溶性樹脂プラ
イマーは、基材に対する浸透性の点では前記溶剤型プラ
イマーと同様の優れた性能を有しているが、皮膜の耐水
性,耐アルカリ性が劣るため耐久性がなく、したがつ
て、これを実用化することには大きな問題がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記のように3種類の水性プライマー,,はいず
れも一長一短があり未だ満足できるような性能を備えた
水性プライマーが存在しないのが実情である。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、省
資源,安全衛生性に優れ、かつ無公害であり、しかも基
材浸透性,補強効果ならびに作業性等が良好な水性プラ
イマーの提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明のプライマー用水
性液は、水性媒体中に、下記の(A)成分および(B)
成分を、重量基準で(A)/(B)=90/10〜100/0の割
合で含有するという構成をとる。
(A)上記水性媒体に可溶性であつて、分子構造中に下
記の式(I)で表される構成単位を少なくとも0.3モル
%含む鎖状重合体。
(B)上記水性媒体に不溶性の重合体。
すなわち、本発明者らは耐水性等に優れた皮膜を形成し
うる水溶性樹脂を見いだすためにアクリル酸系樹脂を中
心に一連の研究を重ねた結果、前記一般式(I)で表さ
れる構成単位を特定量含む鎖状重合体が水に対して良好
に溶解し、しかもその水溶液がセメント系基材の表面層
に良好に浸透して耐水性,耐アルカリ性に優れた皮膜構
造を形成して高強度化し、しかもその表面層は上塗り塗
料の塗膜や接着剤層に対する密着力を向上させ強固に密
着させるようになることを見いだしこの発明に到達し
た。
上記のように、この発明のプライマー用水性液が、セメ
ント系基材の表面層に対して高強度化をもたらすのは、
上記(A)成分の鎖状重合体の分子構造中に存在する一
般式(I)の構成単位がセメント系基材中におけるアル
カリによつて活性化され、鎖状重合体相互間に架橋現象
を生じ、三次元網状構造体皮膜が形成されることに起因
すると考えられる。すなわち、皮膜によつてセメント系
基材の表面層が高強度化され、しかもこの皮膜は耐水
性,耐アルカリ性に極めて富んでいる。そのうえ、上記
三次元網状構造体皮膜は前記一般式(I)で表されるよ
うにカチオン性を有する構成単位を有しており、このカ
チオン性によつてセメント系基材表面に対して塗布され
る上塗り塗料や接着剤等との密着性,接着性の向上効果
を奏するものと考えられる。
この発明のプライマー用水性液は、水性媒体と前記
(A)成分および(B)成分とを用いて得られる。
上記水性媒体としては、水を使用することが最も好まし
い。しかしながら、上記(A)成分の溶解性を増加させ
たり、あるいはセメント系基材等の基材に対する浸透性
を増加させるため有機溶剤を併用しても差し支えはな
い。この有機溶剤としては、水に対して易溶性を有する
ものが適宜に使用される。このような有機溶剤としてメ
タノール,エタノール,プロパノール,アセトン,メチ
ルエチルケトン,ジオキサン,エチレングリコール,プ
ロピレングリコール,グリセリン,メチルカルビトー
ル,エチルカルビトール,ブチルカルビトール,メチル
セロソルブ,エチルセロソルブ,酢酸ならびに前記アル
コール,カルビトール,セロソルブの酢酸エステル類等
があげられる。このような有機溶剤は、この発明のプラ
イマー用水性液の安全性,衛生性等の観点から水性媒体
全体の50%以下、好ましくは20%以下の割合で使用され
る。なお、上記水性媒体はそのなかに(A)成分,
(B)成分を含有させるものであり、これらの成分の貯
蔵中等におけるゲル化を防止する観点からpHを7以下に
調整することが望ましい。このpHの調整には、塩酸,硫
酸,硝酸等の無機酸や蟻酸,酢酸,シユウ酸等の有機酸
が使用される。
上記水性媒体中に含有される(A)成分は、この水性媒
体に可溶性であつて分子構造中に前記の一般式(I)で
表される構成単位を少なくとも0.3モル%含む鎖状重合
体である。この(A)成分はその分子構造中に前記の一
般式(I)で表される構成単位を0.3モル%以上含んで
いることが必要である。すなわち、前記一般式(I)で
表される構成単位の存在により、この発明のプライマー
用水性液が先に述べたような優れた効果を奏するからで
あり、そのためには少なくとも前記一般式(I)で表さ
れる構成単位が0.3モル%以上含まれていることが必要
である。このような(A)成分の鎖状重合体は、下記の
一般式(I′) で表されるカチオン性アルカリ架橋型単量体を単独で重
合させるか(この場合には鎖状重合体中、前記一般式
(I)で表される構成単位が100モル%となる)、もし
くはこれを0.3モル%以上と他のオレフイン性不飽和単
量体(以下「他の単量体」と略す)を99.7モル%までの
割合で共重合させることによつて得られる。
前記の一般式(I′)で表されるカチオン性アルカリ架
橋型単量体の代表例としては、例えば、ジメチルアミノ
メチルアクリル(またはメタクリル)アミドエピクロル
ヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノエチル
アクリル(またはメタクリル)アミドエピクロルヒドリ
ン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノプロピルアク
リル(またはメタクリル)アミドエピクロルヒドリン付
加物のハロゲン化塩およびアルキルスルホン酸塩,ジメ
チルアミノメチルアクリル(またはメタクリル)エステ
ルエピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチル
アミノエチルアクリル(またはメタクリル)エステルエ
ピクロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミ
ノプロピルアクリル(またはメタクリル)エステルエピ
クロルヒドリン付加物のハロゲン化塩,ジメチルアミノ
プロピルアクリル(またはメタクリル)エステルエピク
ロルヒドリン付加物のアルキルスルホン酸塩およびそれ
らの対応するエポキサイド対〔前記一般式(I′)にお
いて、R′が である化合物〕があげられる。
また、上記カチオン性アルカリ架橋型単量体と必要に応
じて共重合される他の単量体としては、例えば、アクリ
ロニトリル,メタクリロニトリル,アクリルアミド,メ
タクリルアミド,アルコキシメチルアクリルアミドおよ
びアルコキシメチルメタクリルアミド類,アクリル酸,
メタクリル酸およびこれら重合性不飽和酸のメチルエス
テル,エチルエステル,プロピルエステル,ブチルエス
テル,2−エチルヘキシルエステル,ヒドロキシエチルエ
ステル,ヒドロキシプロピルエステル,グリシジルエス
テル,1−クロロ−2−ヒドロキシプロピルエステル,各
種のアミノアルコールエステル等の各種エステル,酢酸
ビニル,プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類,ス
チレン,塩化ビニル等があげられる。
前記の一般式(I′)で表されるカチオン性アルカリ架
橋型単量体のみを重合させて得られる(A)成分の鎖状
重合体はいずれも水性媒体に可溶性である。しかし、上
記カチオン性アルカリ架橋型単量体と、他の単量体を共
重合させる場合には、その共重合組成によつては生成重
合体が水性媒体に対して溶解性が悪くなることがある。
したがつて、前記カチオン性アルカリ架橋型単量体とそ
れ以外の他の単量体とを共重合させる場合には、生成重
合体が水性媒体に可溶性となるように共重合性組成(単
量体の種類,共重合比)を選定することが重要となる。
このような共重合組成の決定は実験的に容易に行うこと
ができる。
この発明において、水性媒体に可溶とは、水性媒体に実
質的に無制限に、換言すれば、この発明のプライマー用
水性液における通常の重合体の濃度範囲内では何らの制
限も受けることなく自由に溶解しうることを意味する。
したがつて、この発明で用いる(A)成分の鎖状重合体
は上記のような特性を備えていることが必要となる。し
かしながら、他の単量体との共重合の結果、水性媒体に
対して上記の意味における可溶性を備えず、中程度の溶
解性を示すようになつた場合(例えば20%程度の溶解性
を有するようになつた場合)、これは水性媒体に可溶と
はいい難くなる。しかし、このような重合体をこの発明
に用いられない訳ではなく、上記重合体のうち、水性媒
体に溶解しうる部分をこの発明の鎖状重合体(A)成分
とし、また、未溶解の部分を不溶性重合体(B)の一部
もしくは全部と考えることにより使用することができ
る。
この発明のプライマー用水性液において、上記(A)成
分の鎖状重合体とともに重合体成分を構成する(B)成
分の不溶性重合体としては、通常、乳化重合に用いられ
るオレフイン性不飽和単量体を単独でもしくは2種以上
乳化重合させて得られる乳化重合体が使用される。しか
しながら、不溶性重合体はこれに限定されるものではな
く、少なくとも上記乳化重合体と同程度の耐水性を示す
ものであれば使用可能である。この不溶性重合体は、こ
の発明のプライマー用水性液がセメント系基材等に塗布
されたとき、主として基材表面に残存し、上記(A)成
分の鎖状重合体とともにセメント系基材と塗料,接着剤
等との密着性,接着性の向上作用を発揮する。
上記(B)成分の不溶性重合体の製造に用いられる、乳
化重合用のオレフイン性不飽和単量体としては、例え
ば、酢酸ビニル,アクリル酸アルキルエステル類,メタ
クリル酸アルキルエステル類,スチレン,アクリロニト
リル,メタクリロニトリル等の疎水性単量体の1種また
は2種以上があげられる。また、これら疎水性単量体
と、アクリル酸,メタクリル酸,アクリル酸またはメタ
クリル酸のアミド類,メチロール化アミド類,アルコキ
シメチル化アミド類あるいはアルキルアミノエステル
類,前記一般式(I)のカチオン性アルカリ架橋型単量
体,モノクロル酢酸ビニル,1−クロロ−2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート等の親水性単量体との混合物があ
げられる。後者の親水性単量体は、いうまでもなく、生
成重合体が水性媒体に可溶性とならないような量,組成
で用いられる。
また、(B)成分の不溶性重合体は、それが(A)成分
の鎖状重合体とともにプライマー性能を発揮するために
は、使用条件で充分に皮膜形成することが重要である。
したがつて、使用条件では皮膜形成しないTg(ガラス転
移温度)の高い重合体を用いる場合には、ジブチルフタ
レート,ジオクチルフタレート等の可塑剤や、ブチルセ
ロソルブ,ブチルカービトールアセテート等の成膜助剤
を併用するようにすることが望ましい。
上記(B)成分の不溶性重合体の場合、(A)成分の鎖
状重合体とは異なり、前記一般式(I′)のカチオン性
アルカリ架橋型単量体の共重合は必ずしもこれを要しな
いが、上記鎖状重合体との混和性,生成皮膜の性能の面
からは、上記単量体を共重合する方が好ましい。
このような(B)成分の不溶性重合体は、一般に、エマ
ルジヨンの形で配合される。このように、エマルジヨン
の形で配合することにより、(A)成分の鎖状重合体と
のより均一な混和が可能となり、均質性に優れたプライ
マー用水性液が得られるようになるのである。
この発明のプライマー用水性液は、上記(A)成分の鎖
状重合体と(B)成分の不溶性重合体とを重量基準で
(A)/(B)=90/10〜100〜0の割合で含有してい
る。すなわち、プライマー用水性液中の全重合体に占め
る鎖状重合体の割合が10%を下回ると、従来からセメン
ト系無機建材等に用いられる程度にプライマー(または
シイラー)を塗布(樹脂濃度5〜30%のプライマーを10
0〜200g/m2塗布)しても基材の補強,密着力の向上効果
が小さいからである。仮に塗布量を増加して単位面積当
たりに塗布されるプライマー用水性液の割合を高くし、
それによつて単位面積当たりの鎖状重合体(A成分)の
割合を高めても、基材に対する補強、密着力の向上効果
はそれほど高くならない。この理由は明らかではない
が、全重合体に占める鎖状重合体(A成分)の割合が低
い場合には、残部の不溶性重合体(B成分)の影響、特
に乳化分散状態の不溶性重合体(B成分粒子)に鎖状重
合体(A成分)が吸着されプライマー用水性液中の理論
上の鎖状重合体の濃度よりも実濃度が低下するからと考
えられる。
この発明のプライマー用水性液は、上記(A)成分およ
び(B)成分を上記のような割合で含有するのであるが
その場合の(A)成分および(B)成分の合計含有量を
5〜30%の範囲内に設定し、かつ(A)成分の含有量を
4%以上とすることが効果ないしは作業性の観点から好
適である。
この発明のプライマー用水性液は、例えばつぎのような
3種類の方法によつて製造することができる。
第1の方法は、(A)成分の鎖状重合体のみを含むプラ
イマー用水性液の製法である。すなわち、水または水混
和性有機溶媒、例えばメタノール,エタノール,プロパ
ノール,アセトン等との混合物を重合媒体として用い、
この媒体中に前記一般式(I′)で表されるカチオン性
アルカリ架橋型単量体(1種類でもよいし2種類以上の
ものを併用してもよい)ないしは上記カチオン性アルカ
リ架橋型単量体とそれ以外の他の単量体との混合物を添
加する。つぎに、そこに、過酸化ベンゾイル,アゾビス
イソブチロニトリル,2,2′−アゾビスアミジノプロパン
塩酸塩,過硫酸アンモン等の重合開始剤を添加し、系を
酸性に維持しながら、場合によつては窒素ガス雰囲気に
し、その状態において60〜90℃で1〜10時間加熱攪拌し
て重合をさせる。その後必要に応じて水あるいは水混和
性有機溶媒で希釈するということによつて製造するとい
う方法である。
第2の方法は、(A)成分の鎖状重合体と(B)成分の
不溶性重合体の双方を含むプライマー用水性液の製法で
ある。すなわち、第1の方法と同様にして(A)成分の
鎖状重合体のみを含むプライマー用水性液を調製したの
ち、この水性液に、必要に応じて重合開始剤を追加した
うえ、不溶性重合体生成用の単量体を、乳化剤(ノニオ
ン系およびカチオン系の一方もしくは双方)で乳化した
状態でまたはそれら乳化剤の存在下において攪拌しなが
ら60〜70℃で3〜5時間掛けて滴下し添加する。つぎ
に、60〜70℃の温度で2〜4時間加熱攪拌を続け乳化重
合反応を完結させるということにより製造するという方
法である。この場合、不溶性重合体生成用の単量体を乳
化剤で乳化して乳化重合反応を完結させたのち、前記第
1の方法に従い、鎖状重合体(A成分)をつくり得るカ
チオン性アルカリ架橋型単量体等を加熱攪拌重合させる
ことにより製造することも可能である。この場合には、
先に述べた方法と全く逆の順で操作が行われることにな
る。
第3の方法は(A)成分の鎖状重合体の水溶性液と
(B)成分の不溶性重合体のエマルジヨンとを上記第1
および第2の方法で別々に調製し、それらを適宜混合す
ることにより製造するという方法である。この方法によ
れば(A)成分の鎖状重合体と(B)成分の不溶性重合
体との割合を簡単に変えることができるという利点があ
る。
上記第1ないし第3の方法は、水性媒体中において重合
反応を行わしめるものであるが、使用する水性媒体は重
合反応を阻害しないようなものを選択使用することが必
要である。また、上記水性媒体をpH7以下に調製するこ
とにより鎖状重合体(A成分)等の重合中におけるゲル
化防止が好適になされるようになる。したがつて、水性
媒体のpHを7以下に調製することは、貯蔵中におけるゲ
ル化防止の観点のみならず重合中におけるゲル化防止の
観点からも重要である。
上記のような方法によつて得られたこの発明のプライマ
ー用水性液に、必要に応じて各種の添加剤、例えば顔
料,着色剤,消泡剤あるいは従来公知の成膜助剤等を添
加しても差し支えはない。
このようなプライマー用水性液を、コンクリート,モル
タル,スレート板等のセメント系基材のプライマーとし
て用いると、水性液中の(A)成分の鎖状重合体が水の
浸透とともに、その浸透水中に溶解した状態で速やかに
基材の表面層に浸透し、基材中のアルカリ分によつて架
橋硬化して耐水性,耐アルカリ性に優れた三次元網状構
造の重合体皮膜を形成する。その結果、溶剤系プライマ
ーを用いたと同様、基材表面の脆弱層に、堅牢で耐久性
のある補強がなされるようになる。しかも、この発明の
プライマー用水性液は、溶剤系ではなく水系であるた
め、溶剤系に比較して安全性,衛生,公害防止の点で優
れており、実用性が極めて高い。そのうえ、この発明の
プライマー用水性液の塗布後においては、(A)成分の
鎖状重合体中の前記一般式(I)で表される構成単位の
カチオン性に起因し、基材表面が上塗り塗料,接着剤等
に対して親和性,密着性に優れるようになり、これら表
面仕上げ層を強固に形成しうるという効果も奏するよう
になる。
〔発明の効果〕
この発明のプライマー用水性液は、上記のような特殊構
造の鎖状重合体(A成分)を含有しており、それによつ
て水性プライマーでありながら溶剤型プライマーと同様
の優れた基材表面の補強効果を奏し、しかも溶剤系プラ
イマー等にはみられない上塗り塗料や接着剤等に対する
親和性を発揮し、これらの仕上げ剤層をセメント系基剤
表面に強固に形成しうるという効果を奏するようにな
る。
つぎに、この発明を実施例にもとづいて詳しく説明す
る。
〔実施例1〕 攪拌翼,温度計および還流冷却器を取付けた四つ口フラ
スコに、水,イソプロパノールおよび第1表に示す組成
からなる単量体を仕込んだ後、酢酸でpH4に調製した。
水とイソプロパノールは、両者の比が7.8:1(重量比)
で、かつ反応系の固形分濃度が約10%となるような量だ
け用いた。
つぎに、反応液を60℃まで加温した後、反応開始剤V50
〔主成分:2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハ
イドロクロライド,大塚製薬社製〕1重量部(以下
「部」と略す)を投入し、攪拌下65〜70℃で3時間重合
反応を行つた。得られたプライマー用水性液は、いずれ
も均一溶液であり、重合体濃度は約10%,粘度は100〜2
00cps(30℃,BM型粘度計),またpHは4であつた。
つぎに、上記のようにして得られたプライマー用水性液
について水性プライマーとしての性能評価試験を行つ
た。その結果を従来例1,2と対照して第2表に示した。
従来例1:アクリル系エマルジヨンプライマー(アクリセ
ツトEMN−17E,日本触媒工業社製) 従来例2:アルカリ架橋型ポリアクリル酸エステルエマル
ジヨン(プライマールE−1126,ローム&ハース社製) 第2表の結果から、試料No.1,2,8は前記の一般式(I)
で表される構成単位を0.3モル%以上含んでいないた
め、それ以外の試料No.のものに比べて性能が著しく劣
つていることがわかる。すなわち、一般式(I)で表さ
れる構成単位は少なくとも0.3モル%、鎖状重合体(A
成分)中に含まれていることが必要であり、このような
ものを用いない限り所期の効果が得られないことがわか
る。
また、従来のエマルジヨン系プライマーの場合は、非ア
ルカリ架橋型(従来例1)はもちろんのこと、アルカリ
架橋型(従来例2)であつても基材への浸み込みが充分
でないため、プライマーとしての効果は必ずしも満足し
えるものではない。
〔実施例2〕 カチオン性アルカリ架橋型単量体の種類を代えた以外は
実施例1に準じて種々の鎖状重合体(A成分)を含む水
性組成物を作製し、そのプライマー性能を評価した。こ
の場合における各重合体の単量体組成物および試験結果
を第3表に示した。
重合生成物はいずれも均一水溶液であり、これをプライ
マーに用いた結果はいずれも良好であつた。
〔実施例3〕 実施例1の四つ口フラスコにさらに滴下ロートを取付け
たものを用い、第4表に示す組成で2段階重合を行つて
(A)成分の鎖状重合体と(B)成分の不溶性重合体の
双方を含むプライマー用水性液を調製した。
第1段反応は実施例1に準じて65〜70℃で3時間攪拌す
ることにより行つた。3時間経過時点で反応液の一部を
採取し反応率を測定したところ、いずれもほぼ100%の
反応率を示した。つぎに、内温が低下しないように注意
しながら濃度調整水を10〜30分かけて添加したのち、第
2段反応の反応開始剤V50を一括投入し、引き続き65〜7
0℃に保持しながらV50以外の各成分から調製したモノマ
ー乳化液を約2時間(但し、試料No.22および23は30
分)かけて滴下し、滴下終了後同温度でさらに7時間反
応を継続した。このときの反応率はほぼ100%であつ
た。
上記のようにして得られたプライマー用水性液を、5%
のイソプロパノール水溶液を用い、(A)成分および
(B)成分の合計含有量(重合体濃度)が約20%になる
ように濃度調製し、これを用いて実施例1と同様にして
プライマー性能を評価した。その結果は第5表のとおり
であつた。
第5表から明らかなように、試料No.17,18は(A)成分
の全重合体中に占める割合が10%を下回つており、した
がつて、プライマー性能が著しく低下していることがわ
かる。試料No.19ないし23は(A)成分の割合が10%を
上回つており、いずれも良好なプライマー性能を示して
いる。
なお、密着力の試験に際して、No.18の試料の基材への
塗布量を通常の倍量の260g/m2とし、単位面積当たりの
可溶性重合体の塗布量(見掛けの塗布量)をNo.19の試
料とほぼ同量とした場合にも密着性の向上は殆ど認めら
れなかつた。
〔実施例4〕 (A)成分の鎖状重合体として試料No.11の水性組成物
を用いた。また、(B)成分の不溶性重合体として試料
No.17のエマルジヨンまたは試料No.17に準じ下記の組成
で重合して得られたエマルジヨン(エマルジヨンX)を
用い、これらを後記の第6表に示す組成 で混合しプライマー用水性液を得た。
〔組成〕
ブチルアクリレート 50 部 メチルメタクリレート 48 〃 ジメチルジアリルアンモニウムクロライド 2 〃 エマルゲン935 4 〃 水 156 〃 過硫酸アンモン 0.3〃 〔一般性状〕 不揮発分 38.2% 粘度 200 cps pH 2.8 最低造膜温度 5 ℃ つぎに、上記のようにして得られたプライマー用水性液
について実施例1と同様にしてプライマー性能を評価し
た。その結果は第6表のとおりであつた。
上記第6表の結果から明らかなように、(A)成分の鎖
状重合体溶液と(B)成分の不溶性重合体エマルジヨン
とのブレンドによつても良好なプライマー性能を示す水
性組成物を調製することが可能である。
また、この第6表の結果と、さらに前記実施例3の第5
表の結果とから、(B)成分の不溶性重合体にあつて
も、カチオン性アルカリ架橋型単量体〔一般式
(I′)〕を構成単位として含むものの方より好ましい
結果を与えることがわかる。
を実施例1と同様にして評価した。
〔実施例5〕 試料No.11,12のプライマー用水性液にさらに下記の割合
で顔料および消泡剤を配合し塗料をつくり、この塗料の
プライマー性能を実施例1と同様にして評価した。
〔塗料化処方〕
水溶性樹脂(試料No.11) 100 部 1号クレー(丸尾カルシウム社製) 5 〃消泡剤(ノプコ8034) 0.05〃 105.05〃 上記塗料の石綿セメントケイ酸カルシウム板に対する密
着力テストは実施例1の試料No.11のものと同様良好で
あつた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/00 PPF 133/26 PFY

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性媒体中に、下記の(A)成分および
    (B)成分が、重量基準で(A)/(B)=90/10〜100
    /0の割合で含有されてなることを特徴とするプライマー
    用水性液。 (A)上記水性媒体に可溶性であつて、分子構造中に下
    記の式(I)で表される構成単位を少なくとも0.3モル
    %含む鎖状重合体。 (B)上記水性媒体に不溶性の重合体。
  2. 【請求項2】水性媒体が、水に対して易溶性の有機溶剤
    と水との混合液または水である特許請求の範囲第1項記
    載のプライマー用水性液。
  3. 【請求項3】(A)成分の鎖状重合体が、アクリル系樹
    脂である特許請求の範囲第1項記載のプライマー用水性
    液。
  4. 【請求項4】(B)成分の重合体が、乳化重合に用いら
    れるオレフイン性不飽和単量体の重合体である特許請求
    の範囲第1項記載のプライマー用水性液。
  5. 【請求項5】(A)成分および(B)成分の合計含有量
    が、5〜30重量%に設定されている特許請求の範囲第1
    項記載のプライマー用水性液。
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