JPH0738391Y2 - 盛土補強杭 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、盛土補強杭に係り、より詳細には、杭打ち込
み途中における杭方向の修正を容易に行えると共に、杭
先端強度を強くできるようにした盛土補強杭に関する。

〔従来の技術〕 盛土斜面や、山間部切取斜面には、補強杭が打ち込まれ
ている。これは、該斜面における盛土・切取部周囲を補
強すると共に、該盛土や切取斜面土質に対し、水の浸透
能力以上に降水量があった場合、該浸透水を補強杭内部
に誘導し、その外部に排出することで、上記斜面の剪断
滑り（斜面の崩壊）を防止するためである。

ところで、従来、上記補強杭は、第５図に示すように、
杭先端を鋭角平面状に閉鎖し、かつ二股状に拡開加工、
換言すれば、『箆』のように平面加工した筒状杭の周壁
に適宜間隔で浸透水誘導孔を穿設すると共に、その内部
にフィルターを挿入した構成とされている。

そして、該補強杭によれば、前述した補強対策、雨
水による崩壊対策を満足できる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上述した補強杭の場合、次ぎのような問
題がある。

杭先端が、『箆』状に形成されているので、杭先端
の強度が弱く、土中に打ち込む場合の方向性が定まり難
い。

打ち込み途中で方向を補正・修正して真っ直ぐ打ち
込もうとする場合、杭そのものが弓状に曲がったり、変
形し、内部のフィルター効果が低下するおそれがある。

杭の長さが、3m以上の場合、特に、方向修正が困難
であるのと、機械打ち込みによるハンマーの当たり面が
変形し、土質が悪い場合、打ち込み不可能となる場合が
ある。

土質が粘土質のように、その粒子が小さい場合、浸
透水誘導孔より該粒子が混入し、フィルターの目詰まり
を起こし、短期間で補強杭としての効果を失う。

本考案は、上述した点に対処して創案したものであっ
て、その目的とする処は、杭打ち込み途中における杭方
向の修正を容易に行えると共に、杭先端強度を強くでき
るようにした盛土補強杭を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

そして、上記課題を解決するための手段としての本考案
の盛土補強杭は、先端を閉鎖した筒状杭の周壁に適宜間
隔で浸透水誘導孔を穿設すると共に、その内部にフィル
ターを挿入してなる盛土補強杭において、上記筒状杭の
先端部にＸ形の絞り部を形成した構成よりなる。

また、本考案の盛土補強杭は、上記構成において、上記
筒状杭の絞り部の後部周壁にスリーブを外挿入または凸
部を形成した構成よりなる。

〔作用〕

そして、上記構成に基づく、本考案の盛土補強杭は、杭
先端部にＸ形絞り部を形成し、杭先端径を適度に小さく
すると共に、その強度を大きくするようにしているの
で、打ち込み抵抗を増大させることなく、真っ直ぐな打
ち込み作業を行えるように作用する。

また、本考案の盛土補強杭は、杭先端が、点もしくは線
状でなく、小平面状となるので、方向性が既定されるこ
となく、打ち込み途中で修正できるよう作用する。

さらに、杭の絞り部の後部周壁にスリーブを外挿入また
は凸部を形成した場合にあっては、杭周辺の土圧を緩
め、通水係数を高くできるように作用する。

以上のように、本考案の盛土補強杭は、杭先端部にＸ形
の絞り部を形成した点に特徴を有し、この特徴点によっ
て、杭打ち込み途中における杭方向の修正を容易に行え
ると共に、杭先端強度を強くできるようにした杭であ
る。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、本考案を具体化した実施例
について説明する。

ここに、第１〜３図は、本考案の一実施例を示し、第１
図は側面図、第２図は杭先端の正面図、第３図は杭内部
構造を説明するための斜視図である。

本実施例の盛土補強杭は、概略すると、円筒状の杭１の
杭先端部２に、Ｘ形絞り部３を形成する共に、杭１の周
壁に浸透水誘導孔４を穿設し、その杭内部にフィルター
５を挿入した構成となっている。

杭１は、鋼管補強杭であって、中空状で杭先端部２にＸ
形絞り部３が形成されている。Ｘ形絞り部３は、杭１の
先端より、100mm程度の長さの先端部３に形成され、Ｘ
形の外周が形成する外径は、杭周壁外径より1/4程度小
さい径となるように絞られ、先端が閉鎖するように形成
されている。また、Ｘ径凸部における先端部３の始端と
終端とは、テーパ状に形成されている。

また、杭１の杭先端部２の後方に延びる杭本体の周壁に
は、スリット状の浸透水誘導孔４が穿設されている。浸
透水誘導孔４は、周壁外側より杭内部に浸透水を誘導す
る幅5mm、長さ50mmの矩形状スリットであって、同一周
に90°の角度間隔で穿設、すなわち、４個穿設されてい
る。ここで、隣接する同一周方向の浸透水誘導孔４は、
45°、その位相をずらして穿設されている。なお、浸透
水誘導孔４は、杭後端のハンマー当たり部６（杭の全長
が2000mmの場合、後端より150mmの位置までの部位）
と、杭先端部２を除く杭本体周壁に穿設されている。

そして、浸透水誘導孔４の内部、すなわち、杭１を形成
する筒体内部（通常、直管部のみ）には、第３図に示す
ようにフィルター５が挿入配設されている。フィルター
５は、一般に使用されている暗渠排水管のポリエチレン
製の網状管を用いている。そして、浸透水誘導孔４より
浸透水に混入した土等を濾過するようにしている。

なお、杭１は、通常、2000〜3000mm長のものを用い、ス
リーブ７によって継ぎ杭８を継ぎ足すようにしている。
継ぎ杭８は、杭（先端杭）１と同様に、同径、同材質の
鋼管によって形成され、周壁には、複数個の浸透水誘導
孔４が穿設され、かつ杭内部には、フィルター５が挿入
されている。ここで、フィルター５は、先端杭１と継ぎ
杭８とを継いだ状態の長さのものを用いるようにしてい
る。

次ぎに、上述した本実施例の盛土補強杭の作用について
説明する。

本実施例の盛土補強杭１は、従来の盛土補強杭と同様
に、土中に、杭先端部２より打ち込む。ここで、杭１の
杭先端部２に、Ｘ形絞り部３が形成されていることよ
り、その強度が強く保持され、打ち込み抵抗を極度に増
大させることなく、打ち込み時に、杭先端部２が折れ曲
がって、その方向が変化したり、あるいは打ち込み不可
能となるおそれがなく、また、Ｘ形絞り部３のテーパ
部、絞りテーパ面に誘導されるようにして真直打ち込み
作業ができるように作用する。また、杭先端が、点もし
くは線状でなく、小平面状となるので、方向性が既定さ
れることなく、打ち込み途中で修正できる。

そして、土中（盛土斜面や山間部切取斜面等）に打ち込
まれた盛土補強杭１は、従来の盛土補強杭と同様に、盛
土周囲を補強すると共に、該盛土や切取斜面土質に対
し、水の浸透能力以上に降水量があった場合、該浸透水
を浸透水誘導孔４、フィルター５を介して補強杭１内部
に誘導し、その外部に排出し、上記斜面の剪断滑り（斜
面の崩壊）を防止するように作用する。

なお、補強杭（先端杭）１に継ぎ杭８をスリーブ７を介
して継ぎ足した場合は、打ち込みの際の曲げ応力をスリ
ーブ７によって補強するように作用する。

なお、本考案は、上述した実施例に限定されるものでな
く、本考案の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる
ものを含む。因みに、第４図に示すように、盛土補強杭
１の杭先端部２の後方部位にスリーブや凸部９を外挿あ
るいは形成した構成としてもよい。この構成の場合、ス
リーブや凸部９によって、外観的に杭外径が大きく形成
された構成となるので、杭周辺の土圧が緩み、通水係数
を高くできるように作用する。また、本考案の盛土補強
杭は、前述した実施例に限るものでなく、杭の長さ、大
きさ、浸透水誘導孔の形状、大きさ、杭先端部の長さ、
フィルターの材質、種類等は、適宜、変更できることは
当然である。

〔考案の効果〕

以上の説明より明らかなように、本考案の盛土補強杭
は、杭先端部にＸ形の絞り部を形成しているので、杭打
ち込み途中における杭方向の修正を容易に行えると共
に、杭先端強度を強くできるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は、本考案の一実施例を示し、第１図は側面
図、第２図は杭先端の正面図、第３図は杭内部構造を説
明するための斜視図、第４図は本考案の他の実施例の側
面図、第５図は、従来例を示し、第５図（イ）は側面
図、第５図（ロ）は45°周方向にずらした状態の側面図
である。 １……杭（先端杭）、２……杭先端部、３……Ｘ形絞り
部、４……浸透水誘導孔、５……フィルター、６……杭
後端のハンマー当たり部、７……スリーブ、８……継ぎ
杭

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端を閉鎖した筒状杭の周壁に適宜間隔で
   浸透水誘導孔を穿設すると共に、その内部にフィルター
   を挿入してなる盛土補強杭において、上記筒状杭の先端
   部にＸ形の絞り部を形成したことを特徴とする盛土補強
   杭。
2. 【請求項２】筒状杭の絞り部の後部周壁にスリーブを外
   挿入または凸部を形成した請求項１に記載の盛土補強
   杭。