Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPH0734397A - 印刷用塗工紙の製造方法 - Google Patents

印刷用塗工紙の製造方法

Info

Publication number
JPH0734397A
JPH0734397A JP17842193A JP17842193A JPH0734397A JP H0734397 A JPH0734397 A JP H0734397A JP 17842193 A JP17842193 A JP 17842193A JP 17842193 A JP17842193 A JP 17842193A JP H0734397 A JPH0734397 A JP H0734397A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
coated paper
coating liquid
drying
paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17842193A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Noguchi
賢治 野口
Katsuhiko Nishiguchi
勝彦 西口
Hitoshi Kuramoto
仁司 倉本
Koji Kusumi
公史 楠見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New Oji Paper Co Ltd filed Critical New Oji Paper Co Ltd
Priority to JP17842193A priority Critical patent/JPH0734397A/ja
Publication of JPH0734397A publication Critical patent/JPH0734397A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Drying Of Solid Materials (AREA)
  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 グロスモットルの発生がなく、表面の白色度
及び光沢度が優れ、高級な印刷仕上がり感の得られる印
刷用塗工紙の製造方法を提供する。 【構成】 顔料及び接着剤を主成分とする水性塗工液を
紙基材上に塗工、乾燥してなる印刷用塗工紙の製造方法
であって、該塗工液中に、中空部に水を包含してなる中
空型合成有機顔料を塗工液の全固形分当り1〜10重量
%含有させ、且つ、該塗工液を塗工後、乾燥する際に、
赤外線で予備乾燥して塗膜の表面温度を45〜95℃と
した後乾燥して塗工紙を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷用塗工紙の製造方
法に関する。更に詳しく述べるならば、本発明は、とり
わけ表面の白色度及び光沢度に優れ、高級な印刷仕上が
り感の得られる印刷用塗工紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷用塗工紙の分野では市場から
の品質要求がますます厳しくなり、優れた白色度、光沢
度、不透明度及び印刷適性等が求められるようになって
きている。
【0003】これ等を達成するための一つの手段とし
て、顔料及び接着剤を主成分とする水性塗工液中に合成
有機顔料を配合する技術が従来から提案されている。合
成有機顔料は別名でプラスチックピグメントと呼称さ
れ、通常、スチレン重合体、アクリル重合体、スチレン
−ブタジエン共重合体等からなり、種類によっては顔料
自身が接着力を持つものも製造されている。
【0004】合成有機顔料は、その内部に空孔を有する
ものと有しないものに大別され、それぞれ中空型及び密
実型と称され、塗工紙の白色度や不透明度の向上を特に
強く求められる場合にはとりわけ中空型が適すことが知
られている。
【0005】例えば、特開平2−14093号公報に
は、キャスト塗被紙の裏面に形成する顔料塗被層を構成
する顔料の一部をサチンホワイト又は/及びプラスチッ
クピグメントで置き換えることにより、該裏面に高光沢
度と高平滑性を付与するための技術が開示されている。
【0006】特開昭61−201096号公報には、結
合剤、無機顔料、及び内部に小孔を有するビニル系樹脂
の非造膜性粒子の混合物からなる紙塗被用組成物を用い
ることにより接着性、光沢性、隠蔽性等の特性が優れる
ことが開示されている。
【0007】特開平1−111090号公報には、キャ
スト塗被紙の裏面に内部が中空の有機重合体微粒子顔料
を配合した塗被組成物を塗被して、該裏面に高光沢度を
付与する技術が開示されている。
【0008】このような中空型合成有機顔料の中空部に
は空気を含むものが通常一般的に製造されているが、特
に中空部に空気の代わりに水を包含してなる中空型合成
有機顔料も既に市販され、それ等を塗工組成物の一部に
用いて印刷用塗工紙の白色度、光沢度、不透明度、嵩高
性等の特性を向上させる技術も十分知られている(紙パ
技協誌、第46巻、第2号、33〜48頁、199
2)。
【0009】しかしながら、ますます厳しくなる市場の
要求に応えるため更に一段と白色度及び光沢度の高い印
刷用塗工紙を得ようとすれば、前記のような合成有機顔
料を多量に配合して用いるとか、或いは塗工組成物を紙
基材上に塗工、乾燥した後に得られる塗工紙に各種のカ
レンダー、艶出し機等による表面仕上げを一層強化する
とかの方法が施されなければならない。
【0010】一方、合成有機顔料には使用に際して注意
を払わなければならない欠点を有しており、例えば、合
成有機顔料を多量に配合して用いると塗工液の流動性が
悪くなり、円滑な操業を阻害したり、ブレードコーター
ではストリークと称する、塗工紙の商品価値をなくすこ
とにもつながる条痕状欠陥が生じ易くなる。最近、頓に
生産性の向上が叫ばれ、コーターがますます高速化して
いく中で合成有機顔料を用いることによりもたらされる
前記のような欠点は無視できないほど大きな問題になっ
てきている。
【0011】又、塗工、乾燥後に施される塗工紙の表面
仕上げ処理においては、塗工紙のより高度な光沢度を得
るために、通常カレンダーの押しつけ圧を高めたり、ニ
ップ数を多くして圧接回数を増やしたりする手段がとら
れる。しかしながら、前記合成有機顔料を多量に配合し
て用いると、前記の如く塗料の流動性が悪くなり、塗膜
中の合成有機顔料の分布が不均一になり易く、このよう
な状態でカレンダーの押しつけ圧を高めたり、圧接回数
を増やしたりして塗工紙の表面を処理すると、いわゆる
グロスモットル(光沢の不均一或いはムラ)が目立つと
いう欠点が生じ、さらに極端な場合には不透明度が低下
するという欠点も生じる。
【0012】一方、紙に塗工組成物が塗工された後の塗
膜の乾燥について述べれば、従来から熱風、送風、蒸
気、赤外線バーナー、赤外線ヒーター、ガスヒーター、
電気ヒーター、レーザー、高周波、電子線等の各種の熱
源による乾燥方式が知られているが、操業のし易さ、経
済性等を考慮して熱風による乾燥方式が一般的に使用さ
れている。
【0013】赤外線を熱源とする乾燥方式は紙の塗工の
みならず工業的に古くから知られている。「工業材料」
第25巻、第4号、P132〜138(1977)に述
べられているとおり、塗料、印刷インキ、プラスチッ
ク、木材、その他の有機物や水等は、いずれも3μmか
ら50μmにわたる長波長赤外線をよく吸収する性質を
持っており、赤外線乾燥方式はこの性質を利用したもの
である。
【0014】通常広く採用されている熱風を熱源とする
乾燥方式では、塗膜表面からの急激な水分蒸発を伴うの
でマイグレーションが起き易いとされているのに対し、
赤外線による乾燥方式は、塗膜内部も含めて塗膜層を構
成する顔料、接着剤等の全体が均一に加熱されるのでマ
イグレーションが起き難く、とりわけ赤外線乾燥方式が
全乾燥工程中の初期の段階で施されると、水分が多い層
の乾燥が均一に行えるので有効であることはよく知られ
ている。尚、赤外線は波長によって近赤外、中間赤外、
遠赤外と分類されるがそれらの区分は厳密でなく書物に
よってもまちまちであり、正確を期すためには波長で表
示するのがよい。
【0015】又、赤外線を発生する装置としては、日刊
工業新聞(1991年11月18日号、中村康宣)に記
載されているように、1938年米国自動車会社のフォ
ード社で自動車の塗装に赤外ランプが実用化されたのが
工業的に使用された最初とされ、その後わが国でもニク
ロム線を金属酸化物(絶縁性)で覆い、金属パイプに納
めた発熱体や石英管で覆った発熱体が開発され、70年
にはニクロム線を直接セラミックスで包んだり、金属表
面にセラミックスをコーティングする放射体が現れ、熱
源も電気、ガス、スチーム、また形状も棒状、パイプ
状、カップ状、リボン状、平板状と多様化し、赤外線放
射体として利用範囲を徐々に広げる状況にある。
【0016】特開平3−25205号公報に各種の赤外
線ヒーターが開示されているが、それらのうち塗工紙の
製造分野においては、多数の貫通孔を有する赤外線放射
板(例えば多孔質セラミックス)から可燃性気体を噴出
させ、放射板の表面で燃焼させることにより、放射板を
加熱して発熱させるタイプが通常使用されている。
【0017】特開平3−199492号公報には、塗被
紙の製造において波長が0.75〜2.5μmの近赤外
線を熱源に用いて乾燥する例が開示されており、紙パ技
協誌、第45巻、第9号、P23〜29(1991)に
はダブル塗工における中質紙の塗工で、電気加熱による
赤外線とエアフォイル(熱風)による乾燥方式との組合
わせにおいて乾燥条件を変数としてモットリングに対す
る効果が開示されているが、いずれもその塗工液には中
空部に水を包含してなる中空型合成有機顔料が含まれて
おらず、前記有機顔料を含有する塗工組成物を塗工した
後の乾燥条件についての開示は全くない。
【0018】以上に述べたことからも明かなように、中
空型合成有機顔料を塗工組成物として適切に用いること
はこれからの塗工紙の品質向上には欠くことができない
技術であるにもかかわらず、そのような塗工組成物によ
る塗工及び乾燥工程に関する技術的な情報が極めて乏し
いのが現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記し
た従来技術の欠点を解消すべく鋭意研究した結果、中空
部に水を包含してなる中空型合成有機顔料を特定量配合
した塗工液を紙基材上に塗工した後、該塗工面の乾燥に
際しては予め赤外線を熱源とする乾燥方式で塗工層が特
定の温度範囲になるように予備乾燥した後に、熱風のよ
うな他の熱源を用いた乾燥方式で塗工紙を乾燥すること
によって、中空型合成有機顔料の特性を最大限に利用で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0020】本発明の目的は、塗工紙に強度の圧接によ
る仕上げ処理を施してもグロスモットルの発生がなく、
白色度及び光沢度が更に一層優れた印刷用塗工紙の製造
方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、顔料及び接着
剤を主成分とする水性塗工液を紙基材上に塗工、乾燥し
てなる印刷用塗工紙の製造方法において、該塗工液中
に、中空部に水を包含してなる中空型合成有機顔料を塗
工液の全固形分当り1〜10重量%含有させ、且つ、該
塗工液を塗工後乾燥するに際し、赤外線で予備乾燥して
塗膜の表面温度を45〜95℃とした後、乾燥すること
を特徴とする印刷用塗工紙の製造方法である。
【0022】本発明のために用いられる中空部に水を包
含してなる中空型合成有機顔料(以下有機顔料という)
は、例えばUSP4,427,836(1982)、特
公平1−37401号公報、特公平3−7688号公
報、特公平3−9124号公報等に開示された方法によ
って製造されたものが好適に用いられるが、勿論これ等
に限定されるものではない。
【0023】本発明の塗工組成物における、前記有機顔
料の配合量は、塗工液の全固形分当り1〜10重量%、
好ましくは2〜8重量%である。尚、本明細書では、前
記有機顔料の配合量は、全て中空部の水を除き、シェル
部(殻部)の合成樹脂分の固形分で表示した。前記有機
顔料の配合量が1重量%未満の時は、得られる塗工紙の
白色度及び光沢度の向上が不十分となり、逆に10重量
%を超える時は塗工液の流動性が悪くなって、操業に支
障を来すことになったり、得られる塗工紙にグロスモッ
トルが生じ、商品価値を著しく落とすので適さない。
【0024】本発明のための塗工液に用いられる前記有
機顔料以外の顔料としては、カオリン、クレー、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、タルク、シリカ、
サチンホワイト等の一般の塗工用顔料を挙げることがで
き、この中から適宜選択して選ばれる。
【0025】接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、酵
母蛋白、澱粉、酸化澱粉及びエステル化澱粉、エーテル
化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉等の変性澱粉、
セルロース誘導体のような天然接着剤及びスチレン−ブ
タジエン系共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエ
ン系共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合体或いは
共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−
酢酸ビニル共重合体のような酢酸ビニル系重合体ラテッ
クス、ポリビニルアルコールのような合成接着剤等を挙
げることができ、適宜選択されて一種類以上が本発明の
ために用いられる。
【0026】接着剤の使用量は、顔料重量当り、8〜3
0重量%、好ましくは10〜20重量%である。接着剤
の使用量が8重量%未満では塗工面の強度が弱くなり、
30重量%を超えるとコスト高になるので、本発明のた
めには不適である。
【0027】塗工液の調製に際しては、分散剤、流動変
性剤、消泡剤、着色剤等の通常の塗工紙用塗工液に配合
される各種の助剤が所望の特性を得るために必要に応じ
て適宜選択して用いられる。
【0028】塗工液の固形分濃度は、45〜75重量%
程度に調製されるが、乾燥負荷、塗工液粘度に影響され
る操業性等を考慮すれば、好ましくは55〜70重量%
である。
【0029】以上のようにして調製された水性塗工液
は、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹晒クラフトパル
プ、脱墨古紙パルプ、機械パルプ等の中から選ばれたパ
ルプを用いて通常の抄紙機で抄造された酸性紙又は中性
紙を原紙としてその片面又は両面に10〜30g/
2、好ましくは15〜25g/m2塗工される。本発明
で用いる紙基材(本明細書では、原紙、及び原紙に下塗
り層を設けた基紙を紙基材と総称する。)は、坪量50
〜400g/m2のものが使用でき、単層抄きであって
も多層抄き合わせであってもかまわない。
【0030】前記水性塗工液は、下塗りを施さない紙基
材に直接塗工しても良く、或いは紙基材に片面当り3〜
15g/m2の範囲で顔料と接着剤を主成分とする水性
塗工液を下塗りとして塗工して得られる塗工済みの紙基
材の塗工面の上に更に中空型合成有機顔料を含む水性塗
工液を塗工するという、いわゆるダブル塗工と称する2
層塗工でも良い。その場合、下塗り用の水性塗工液の組
成は、平滑性、接着性、不透明性等の性質を有するもの
から構成されるのが一般的であり、公知の塗工液が用い
られる。
【0031】本発明においては、塗工方式は特に限定さ
れるものではなく、一般の塗工紙の製造に用いられるブ
レードコーター、エアーナイフコーター、バーコータ
ー、ロールコーター、チャンプレックスコーター、サイ
ズプレスコーター、グラビヤコーター等を用いる方式が
適用でき、紙の片面、又は両面に単層ないし多層に塗工
され、本発明の乾燥条件で乾燥される。尚両面塗工ある
いは多層塗工の場合、全塗工を2基以上の塗工設備を有
する1台のコーターで連続塗工してもよく、全塗工のう
ち一部を塗工、乾燥して一度巻取り、次いで同じコータ
ー又は別のコーターで残りの塗工をするようにしてもよ
い。最終の塗工紙の製品は、3〜8重量%の範囲の紙水
分含有量まで乾燥され、オンマシン、ないしオフマシン
で更にスーパーカレンダー等による表面仕上げ処理を施
された後、リールに巻取られる。
【0032】本発明において予備乾燥のために用いられ
る赤外線は、近赤外、中間赤外、遠赤外のどの波長も使
用可能であるが、とりわけ水によく吸収される2.5〜
6μmの波長が好適に用いられ、公知の装置の中から経
済性、操作性等を考慮して選択される。
【0033】赤外線乾燥方式において、例えばガス燃焼
バーナーを熱源とする場合を例にとれば、乾燥の強弱の
調節は、(1)ガスの種類により燃焼のカロリーが異な
るのでガスの種類を選択する、(2)ガスの供給量を加
減し、発熱部の温度を調節する、(3)設置するバーナ
ーのユニット個数を増減して乾燥ゾーンの長さを調節す
る等の様々な方法が任意に適用できる。
【0034】本発明においては、前記水性塗工液を紙基
材に塗工した後、前記赤外線乾燥方式により予備乾燥を
行い、その際塗膜の表面温度を非接触型の表面温度計で
測定し、45〜95℃、好ましくは50〜85℃とした
後、続いて熱風乾燥方式或いはそれ以外の公知の乾燥方
式で塗工紙の水分含有量が3〜8重量%になるまで乾燥
される。例えば、前記熱風乾燥方式では乾燥温度が通常
100〜170℃の範囲で行われ、公知の装置を適用す
ることができる。
【0035】赤外線乾燥方式による予備乾燥後の塗膜の
表面温度が45℃より低い時は得られた印刷用塗工紙の
白色度及び光沢度の向上が充分でなく、逆に、95℃よ
り高くしても白色度及び光沢度の向上に対する効果は飽
和してしまい、いたずらにエネルギーコストの増大を招
くだけなので好ましくない。
【0036】本発明において得られる作用効果がどのよ
うにして発現するかという機構は今までのところ明確で
ないが、塗工液中に配合された、中空部に水を包含して
なる中空型合成有機顔料は、塗工後、乾燥をする際に塗
膜が乾燥するにつれて中空部内の水も次第に蒸発して出
て行き、最後は空気と置換され、空気を内包する中空型
合成有機顔料に変化し、この結果、この合成有機顔料の
光の屈折性、散乱性、不透過性等が著しく向上し、それ
によって塗工紙の白色度及び光沢度が向上させられるも
のと推察される。
【0037】しかしながら、この場合、もし最初から塗
工直後の塗工紙を熱風乾燥方式だけで一度に乾燥しよう
とすると、乾燥の初期段階で塗工層中の遊離水がまず蒸
発するが、その間は前記合成有機顔料の中空部内に包含
されている水は加熱不足のため蒸発して空気と置き換わ
らず、そのまま残っており、その後乾燥の中期、最終段
階において徐々に乾燥されるが、前記中空部内の水は、
最終段階が終わっても完全には蒸発せず、結局、未蒸発
の水が一部残留するそのような有機顔料は、塗工紙の白
色度及び光沢度を充分向上させるには至らない。
【0038】これに対し、本発明のように赤外線による
予備乾燥を行うと、乾燥の初期段階から前記中空部内に
内包されている水への熱伝達が効果的に行われるので、
中空部内の水は残留することなく蒸発し、中空部への空
気の置換が完璧に行えるため、前記の効果が顕著に発現
するものと考えられる。
【0039】以上説明した如く、本発明では中空部内に
水を包含し、見掛け比重がほぼ1の有機顔料を用いてい
るため、中空部に水ではなく初めから空気を包含するよ
うに製造された、見掛け比重が1よりも小さい有機顔料
に比べて、塗工液中における分散状態の均一性が良好で
あり、流動性が悪化し難い。更に、前記の空気包含中空
型合成有機顔料は、見掛け比重が小さいため、乾燥初期
に過剰なマイグレーションを起こして塗膜表面に不均一
な分布状態となってグロスモットルを発生し易いのに対
し、本発明では、前記した如く見掛け比重がほぼ1であ
る有機顔料を用いていることと、赤外線による予備乾燥
の効果と相俟って、乾燥初期における過剰なマイグレー
ションは全くないので、本発明により表面の白色度に優
れ、光沢度も良好で、グロスモットルも発生しない印刷
適性に優れた印刷用塗工紙を製造することができるもの
と考えられる。
【0040】以上のとおり本発明では、中空部に水を包
含してなる中空型合成有機顔料を塗工液中に特定比率で
配合し、またこれと合わせて該塗工液を塗工後、赤外線
を熱源とする乾燥方式で予備乾燥することにより、白色
度及び光沢度がとりわけ優れ、又高光沢を得るために強
度の表面仕上げをしてもグロスモットルの発生しない、
印刷適性に優れた印刷用塗工紙を製造することができ
る。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。尚、実施例及び比較例に示す%は、全て
絶乾重量%を表すものとする。また塗工量は全て絶乾重
量で表示する。
【0042】実施例1 カオリン(UW−90、米国エンゲルハード製)80%
と軽質炭酸カルシウム(タマパール123−SF、奥多
摩工業製)20%からなる混合顔料の絶乾重量当りにポ
リアクリル酸ソーダ0.4%を添加し、デリッター(セ
リエ製)を用いて水に分散させ、固形分濃度65%の顔
料(A)スラリーを調製した。次いでこの顔料スラリー
を用いて次のような固形分換算の配合率で塗工液を調製
した。
【0043】塗工液の組成 顔料(A) 81.5% ラテックス(L−1537、旭化成製) 15.0% 酸化デンプン(エースA、王子コーンスターチ製) 2.0% 中空型合成有機顔料(ローペイクHP−91、ロームアンドハース製、 空隙率51.2%) 1.5%
【0044】この塗工液の固形分重量当り潤滑剤として
ステアリン酸カルシウム0.5%、蛍光染料0.2%を
順次添加し、十分混合した後、25%濃度のアンモニア
水溶液を用いてpHをアルカリ性に調整して固形分濃度
60%の水性塗工液を製造した。
【0045】広葉樹晒クラフトパルプ90%と針葉樹晒
クラフトパルプ10%からなる混合パルプを用いて公知
の湿式長網抄紙機で単層抄きの坪量80g/m2の紙基
材(原紙)を製造し、この紙基材(原紙)の片面にブレ
ードコーター(三菱重工業製)において塗工速度800
m/分で温度28℃の前記水性塗工液を20g/m2
工した。塗工直後の位置に、塗工面に向けて塗工面から
100mm離れた位置に赤外線乾燥機(ガス燃焼式赤外
バーナー、赤外線の主たる波長2〜5μm、バーナーの
表面温度800℃、乾燥ゾーンの長さ2.0m、LTH
マルメ製)を設置して塗工面を予備乾燥して塗膜の表面
温度を63℃とした後、次いで4セクションからなる熱
風ドライヤー(アーチ型熱風ドライヤー、乾燥長はそれ
ぞれ6.0m、石川島播磨重工業製)を用いて熱風の温
度、風量を調節して乾燥し、水分6.4%の塗工紙を得
た。赤外線による予備乾燥直後の塗膜温度は、輻射温度
計(IT−240型、堀場製作所製)で、又バーナーの
表面温度は、熱電対式温度計で測定した。得られた塗工
紙は、金属ロールと弾性ロールで構成され10ニップか
らなるスーパーカレンダーにおいて最下段のニップ圧が
230Kg/cmで処理した。
【0046】塗工時のストリークの発生状況及び塗工紙
の各種品質評価を次の方法で行った。尚、表裏両面の評
価をする場合は結果を両面の平均値で表示した。 (1)ストリーク コーターで塗工直後、乾燥機に入る前の塗工面に白熱電
光を照射し、目視観察によりストリークの発生の有無、
状態等を総合的に判断して次のように評価した。 ○:ストリークのない最も良いもの。 △:ストリークは少し発生しているが、実用的に許容さ
れるもの(普通)。 □:ストリークが多発し商品価値のないもの。 尚、○△、△□はそれぞれの中間を示す。
【0047】(2)グロスモットル(光沢ムラ) スーパーカレンダー処理後の塗工紙の表面を目視観察し
て次のように評価した。 ○:均一な光沢性を示し、良好なもの。 △:グロスモットルはわずかにあるが、実用的に許容さ
れるもの(普通)。 □:グロスモットルが大きく、商品価値のないもの。 尚、○△、△□はそれぞれの中間を示す。
【0048】(3)白色度 JIS P 8123で定義される方法によって測定し
た。 (4)光沢度 JIS P 8142で定義される方法によって測定し
た。
【0049】実施例2 実施例1で調製した顔料(A)スラリーを用いて次のよ
うな固形分換算の配合率に代えた他は実施例1と同様に
して塗工液を調製した。塗工液の組成 顔料(A) 77.5% ラテックス(L−1537) 12.0% 酸化デンプン(エースA) 1.0% 中空型合成有機顔料(ローペイク、HP−91) 9.5% この塗工液を用いて、実施例1と同様にして塗工紙を製
造し、品質評価を行った。
【0050】実施例3 実施例1で調製した顔料(A)スラリーを用いて次のよ
うな固形分換算の配合率に代えた他は実施例1と同様に
して塗工液を調製した。 塗工液の組成 顔料(A) 79.0% ラテックス(L−1537) 14.0% 酸化デンプン(エースA) 2.0% 中空型合成有機顔料(ローペイク、HP−91) 5.0% 続いて、実施例1の赤外線乾燥機の乾燥ゾーンの長さを
0.8mとし、赤外線による予備乾燥直後の塗膜温度を
47℃とした他は実施例1と同様にして塗工紙を製造
し、品質評価を行った。
【0051】実施例4 赤外線乾燥機の乾燥ゾーンの長さを3.1mとし、赤外
線による予備乾燥直後の塗膜温度を75℃とした他は実
施例3と同様にして塗工紙を製造し、品質評価を行っ
た。
【0052】実施例5 中空型合成有機顔料を空隙率25.7%のOP−84J
(ロームアンドハース製)に代えた他は実施例3と同一
の塗工液を用い、以下実施例1と同様にして塗工紙を製
造し、品質評価を行った。
【0053】実施例6 赤外線乾燥機としてガス燃焼式赤外線ドライヤー(ソラ
ロニックス製、赤外線の主たる波長1.2〜4μm、バ
ーナーの表面温度1150℃、乾燥ゾーンの長さ3.0
m)を使用した以外は実施例3と同様にして塗工紙を製
造し、品質評価を行った。尚、この時の赤外線による予
備乾燥直後の塗膜温度は94℃であった。
【0054】実施例7 実施例1で用いたのと同じ種類の紙基材の両面に次の組
成を有する下塗り塗工液を片面当り10g/m2塗工
し、両面を下塗り塗工済みの紙基材を製造した。下塗り
塗工液の顔料組成としてカオリン(ウルトラホワイト9
0)30%、重質炭酸カルシウム(自製、粒子径1〜3
μm)70%の混合物を用い、これらの合計顔料固形分
当り接着剤として酸化澱粉(王子エースA)2%、ラテ
ックス(L−1537)14%、分散剤としてポリアク
リル酸ナトリウム0.3%、潤滑剤としてステアリン酸
カルシウム0.5%を順次添加して十分に混合分散した
後、25%濃度のアンモニア水溶液を用いてpHをアル
カリ性に調整し、60%の固形分濃度とした。
【0055】次いで前記下塗り塗工済みの紙基材の片面
(下塗り面の上)に実施例3と同じ塗工液を実施例3と
同一のコーターで15g/m2塗工、乾燥し、一度巻取
り、この塗工紙をスーパーカレンダーにかけないで再度
同一のコーターにかけ、反対面にも同様の塗工を行い、
両面塗工紙を得た。この時両塗工面とも赤外線による予
備乾燥直後の塗膜温度は51℃であった。塗工済みの両
面塗工紙は実施例1と同様にスーパーカレンダー処理し
た後、品質評価を行った。
【0056】実施例8 晒クラフトパルプ(広葉樹と針葉樹の比率は8:2)を
用いて公知の3層抄き用抄紙機で中層を坪量30g/m
2とし、この中層の両側に各々坪量110g/m2を抄き
合わせ、合計坪量が250g/m2の紙基材を製造し
た。この紙基材の上に、実施例7と同じにして下塗りと
上塗りを施し両面塗工紙を製造し、品質評価を行った。
【0057】比較例1 実施例1で調製した顔料(A)スラリーを用いて次のよ
うな配合で塗工液を調製した。塗工液の組成 顔料(A) 82.2% ラテックス(L−1537) 15.0% 酸化デンプン(エースA) 2.0% 中空型合成有機顔料(ローペイク HP−91) 0.8% 塗工液の組成以外は実施例1と同様にして塗工紙を製造
し、品質評価を行った。
【0058】比較例2 実施例1で調製した顔料(A)スラリーを用いて次のよ
うな配合で塗工液を調製した。塗工液の組成 顔料(A) 76.0% ラテックス(L−1537) 12.0% 酸化デンプン(エースA) 1.0% 中空型合成有機顔料(ローペイク HP−91) 11.0% 塗工液の組成以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製
造し、品質評価を行った。
【0059】比較例3 ガス供給量を調節して赤外線乾燥機の表面温度を740
℃とし、赤外線による予備乾燥直後の塗膜温度を41℃
とした他は実施例3と同様にして塗工紙を製造し、品質
評価を行った。
【0060】実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた
結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表1から分かるように、本発明法による塗
工紙は、塗工に際しストリークの発生がなく、白色度及
び光沢度とも優れている(実施例1〜8)が、中空型合
成有機顔料の含有量が少ないと、ストリーク及びグロス
モットルは発生しないが、白色度及び光沢度を向上させ
ることはできず不十分であり(比較例1)、一方前記顔
料が多過ぎると白色度及び光沢度の向上は極めて優れる
が、ストリーク及びグロスモットルが発生するので実用
的には適さない(比較例2)。前記有機顔料の使用量が
適切でも赤外線による予備乾燥後の塗膜温度が低過ぎる
と、白色度及び光沢度が向上せず不適である(比較例
3)。
【0063】
【発明の効果】本発明は、グロスモットルの発生もな
く、表面白色度及び光沢度に優れ、高級な仕上がり感の
得られる印刷用塗工紙の製造方法を提供するという効果
を奏する。
フロントページの続き (72)発明者 楠見 公史 鳥取県米子市吉岡373番地 王子製紙株式 会社米子工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料及び接着剤を主成分とする水性塗工
    液を紙基材上に塗工、乾燥してなる印刷用塗工紙の製造
    方法において、該塗工液中に、中空部に水を包含してな
    る中空型合成有機顔料を塗工液の全固形分当り1〜10
    重量%含有させ、且つ、該塗工液を塗工後乾燥する際
    に、赤外線で予備乾燥して塗膜の表面温度を45〜95
    ℃とした後、乾燥することを特徴とする印刷用塗工紙の
    製造方法。
JP17842193A 1993-07-20 1993-07-20 印刷用塗工紙の製造方法 Pending JPH0734397A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17842193A JPH0734397A (ja) 1993-07-20 1993-07-20 印刷用塗工紙の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17842193A JPH0734397A (ja) 1993-07-20 1993-07-20 印刷用塗工紙の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0734397A true JPH0734397A (ja) 1995-02-03

Family

ID=16048211

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17842193A Pending JPH0734397A (ja) 1993-07-20 1993-07-20 印刷用塗工紙の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0734397A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2381221A (en) * 2001-10-25 2003-04-30 Ilford Imaging Uk Ltd Coating and drying process for image recording media
JP2003183997A (ja) * 2001-12-11 2003-07-03 Osaka Insatsu Ink Seizo Kk 透明加工紙およびその製造方法
JP2006132013A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Daio Paper Corp 塗工紙の製造方法及び製造設備
JP2006225815A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Daio Paper Corp 印刷用塗工紙

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2381221A (en) * 2001-10-25 2003-04-30 Ilford Imaging Uk Ltd Coating and drying process for image recording media
JP2003183997A (ja) * 2001-12-11 2003-07-03 Osaka Insatsu Ink Seizo Kk 透明加工紙およびその製造方法
JP2006132013A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Daio Paper Corp 塗工紙の製造方法及び製造設備
JP2006225815A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Daio Paper Corp 印刷用塗工紙

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1576457B (zh) 涂布纸
JPS63275790A (ja) キャスト塗被紙の製造方法
JP3867606B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP6389372B2 (ja) 塗工白板紙
JPH0734397A (ja) 印刷用塗工紙の製造方法
JP2009185395A (ja) キャスト塗工紙および工程紙
JP4523984B2 (ja) 耐溶剤性に優れた塗工紙
JP4645199B2 (ja) 印刷用塗工紙の製造方法
JP4193454B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP2005154951A (ja) 印刷用艶消し塗工紙
JP4758049B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP2011153388A (ja) 塗工紙及びその製造方法
JP2009052168A (ja) 塗工紙
JP4474843B2 (ja) 艶消し塗工紙
JP4120338B2 (ja) 印刷用塗工紙
WO2018163795A1 (ja) 塗工紙
JP6301172B2 (ja) 塗工白板紙およびその製造方法
JP3867608B2 (ja) 印刷用塗工紙
JPH09119090A (ja) 嵩高両面印刷用塗被紙の製造方法
JP3089868B2 (ja) 艶消し塗被紙の製造方法
JPH04281099A (ja) 難燃性壁紙用基紙
JPH07300799A (ja) 印刷用塗被紙の製造方法
JP2005133227A (ja) 印刷用紙
JP5081140B2 (ja) オフセット輪転印刷用塗工紙
JP4566598B2 (ja) キャスト塗工紙及びその製造方法