JPH07329485A - シャープペンシル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 先端パイプを筆記時に確実に固定するととも
に、その解除をも確実に行う。 【構成】 ノック操作により、チャックスプリング７の
後方への付勢力に抗し、芯タンク３を介してチャック５
を前進させる。この過程でチャックに設けたチャックリ
ング４がコネクタ１０の内方突部に当たって外れる。そ
の後、チャックが更に前進して解除リングの内径段部に
当たると、解除リング１１が前進して、ストッパリング
１２の先端周囲の内方へ傾斜した小径部を押し広げ、ス
ライダは前進する。これに伴って、先端パイプ１３が先
具９の先端から突出する。ノックを解除すると軸筒１及
びチャックは後退するが、この過程においてストッパリ
ング１２が閉じてスライダの後部段部を係止し、先端パ
イプを固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、先具内壁との摩擦抵
抗を利用して筆記時に芯を保持・突出した状態にするス
ライダと一体の先端パイプが固定されるシャープペンシ
ルに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、スライダを備えたシャープペンシ
ルとしては実開平５−１２１８４号の公開公報に記載さ
れたようなものが提案されていた。図７は、かかる従来
のシャープペンシルを示すものであって、先端に先具２
２が螺着された軸筒２１内には軸方向に摺動自在に芯タ
ンク２３が設けられており、この芯タンク２３の先端に
はチャック２４が圧入・固定されている。このチャック
２４にはチャックリング２４ａが遊嵌されており、芯タ
ンク２３の先端と軸筒２１のリング状段部との間にはチ
ャックスプリング２５が間挿されている。

【０００３】そして、先具２２内は、固定筒２６を介し
てスライダ２７が軸方向に摺動自在に設けられており、
このスライダ２７の先端には先端パイプ２８が取り付け
られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来のシャープペンシルでは、先端パイプを先具から突
出せしめた状態の筆記時においては先端パイプを備えた
スライダは固定されていたが十分でなかった。即ち、先
端パイプは突出された状態では、スライダの先具の内壁
に対する摩擦力によって固定状態に置かれたので、筆圧
が強い場合には芯の摩耗に従って先端パイプも漸次後退
していた。そこでこの発明は、スライダを用いたシャー
プペンシルにおいて、先端パイプを備えたスライダを筆
記時に確実に固定することを可能とすると共に、その解
除も確実にすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、軸筒内に摺動自在に設けられた
芯タンクと、この芯タンクの後端に取り付けられたノッ
ク部材と、芯タンクの先端に圧入・固定されたチャック
と、このチャックに遊嵌されたチャックリングと、この
軸筒と上記チャックとの間に設けられてその中に芯タン
クを後方に付勢する弾性体が設けられたスリーブと、上
記軸筒の先端に設けられた先具内に挿着され軸方向に移
動可能な先端パイプとこの先端パイプの後端に固定され
内周面部では芯を一定の摩擦抵抗で支承するスライダと
から成るシャープペンシルにおいて、上記軸筒の先部に
コネクタを設け、このコネクタの先部外側を介して上記
先具を上記軸筒に取り付け、かつコネクタの先部内側に
は軸方向へ移動自在の解除手段を設け、この解除手段に
よって開閉されて上記スライダを係止自在とする貫通孔
を有するストッパ手段を設けたシャープペンシルが得ら
れる。

【０００６】

【作用】ノック操作によってチャックスプリングの後方
への付勢力に抗して芯タンクを介してチャックを前進せ
しめる。この前進の過程においてチャックに遊嵌された
チャックリングがコネクタの内方突部に当接して外され
る。その後チャックは更に前進せしめられて解除リング
の内径段部に当ると、解除リングが前進されて、これに
よってストッパリングの先端周囲の内方へ傾斜した小径
部が押し広げられてスライダが前進する。するとスライ
ダの前進に伴って先端パイプが先具の先端から突出せし
められる。ノックを解除すると軸筒及びチャックが後退
するが、この後退の過程においてストッパリングが閉成
されてスライダの後部段部を係止することによって先端
パイプを固定する。なお、先端パイプを退没するために
は再度ノック操作を行ってストッパリングを開放すれば
良い。

【０００７】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例を詳
細に説明する。図１〜図３は、この発明の一実施例によ
るシャープペンシルの動作を示す部分断面図である。図
において、軸筒１内には、後端にノックキャップ２を備
えかつ芯を貯蔵・供給するための芯タンク３が軸方向に
摺動自在に設けられている。そしてこの芯タンク３の先
部にはチャックリング４が遊嵌されたチャック５が圧入
・固定されている。なお、このチャック５の先端部５ａ
は、通常３分割されており、チャックリング４が解除さ
れた場合には芯を解放すべく径方向外方へ開くように予
め付勢されて形成されている。

【０００８】更に、このチャック５はスリーブ６内に設
けられたチャックスプリング７によって芯タンク３と共
に後方へ付勢されている。そしてスリーブ６の後端と軸
筒１内において径方向内方にリング状に張出した張出部
１ａとの間には、過大筆圧吸収用のクッションスプリン
グ８が間挿されている。また、スリーブ６の前面は、先
具９及び軸筒１とを夫々螺合手段によって接続せしめて
いるコネクタ１０の内方段部１０ａに当接・係止されて
いる。さらに、このコネクタ１０の先部内周部と当接し
て解除リング１１が取り付けられている。そしてこの解
除リング１１は、ストッパリング１２の内部に係合自在
に設けられている。

【０００９】より詳しく述べると、このストッパリング
１２は、図４及び図５に示すような筒状本体１２ａと前
部の外壁が径方向内方に傾斜している斜斜部１２ｂとか
らなる形状をしており、横断面のリング形状において一
部に割り溝１２ｃが径方向に形成されており、その中を
チャック５が摺動する貫通孔１２ｄが形成されている。
そしてこの貫通孔１２ｄは、図に示すように内径が前記
割り溝１２ｃから内方に向かって広がって形成されてい
る。

【００１０】更に、先具９内には、前部に芯を案内・保
護するための先端パイプ１３を備えかつ後方内部にパッ
キン１４を有するスライダ１５が軸方向に移動自在に設
けられている。そしてこのスライダ１５は、内周面部で
は芯を一定の摩擦抵抗で支承しており、ストッパリング
１２によって外周段部が嵌合自在とされている。

【００１１】次に、この実施例によるシャープペンシル
の動作について説明する。まず、ノックキャップ２がノ
ックされると、チャックリング４が嵌合したチャック５
が芯を挟持した状態で、芯タンク３を介してチャック５
とチャックリング４とは共に前へ押し出される。この時
チャック５の前面はスライダ１５の後端に当接している
のでスライダ１５も前進する。この前進過程でチャック
リング４がコネクタ１０の内側に形成された段部８ａに
当接すると、チャックリング４がチャック５から外され
チャック５だけがなお前進して開放され芯を解放する。
チャック５は更にスライダ１５の後端を押し出すと共
に、解除リング１１にも当接してこれを押し出す。する
と、解除リング１１はストッパリング１２の径小の傾斜
部１２ｂの内壁に当接してこれを押し開くのでスライダ
１５は先具９の先端まで前進せしめられる。

【００１２】この時、丁度スライダ１５の後端はストッ
パリング１２の前面に位置している。そこでノックが解
除されると、押し出されたチャック５はチャックスプリ
ング７で元の位置にチャックリング４を戻すので、スト
ッパリング１２は閉成される。従ってスライダ１５は、
先端パイプ１３を突出した状態でストッパリング１２の
前面に係止された状態で固定される。なお、この状態で
チャック５、チャックリング４が元に戻り、芯は出たま
ま完全に固定されて筆記状態となる。

【００１３】筆記を終了して、先端パイプ１３を先具９
内に収納するためには、再度ノック後、先端パイプ１３
を紙面等に押し当てながらノックを徐々に解除すると、
チャック５の後退に伴って解除リング１１も後退する。
従ってストッパリング１２は径方向に閉成されて元の状
態に戻り、この時先端パイプ１３が収納せしめられる。

【００１４】なお、チャック５で直接にストッパリング
１２を押し開かずに解除リング１１によって開成してい
るのには特別の理由がある。即ち、チャック５は芯を必
要に応じて挟持して繰り出すためにチャックリング４に
よって嵌合自在とされている。そこで、チャックリング
４の嵌合が解除された時には、径方向において外方に広
がるように予め形成されている。従って、このような機
能を果たすチャック５をもって上述したようなストッパ
リング１２の開閉を長期間なさしめると、かかるチャッ
ク５の外方へ拡がる機能を損なわしめ、結果的に芯がパ
ッキン１４まで落下しない為に、芯が送り出されないと
か芯送りにバラツキをきたし、芯が異常に突出したりし
て、芯折れの原因になったりする。そこで、わざわざ解
除リング１１を設けてこの解除リング１１にストッパリ
ング１２の開閉をなさしめている。

【００１５】さらに上記解除リング１１の先端外側の斜
面部１１ａが前記ストッパリング１２の傾斜部１２ａの
先端内側と点又は線接触するように形成すれば、解除リ
ング１１によるストッパリング１２の開閉が容易であ
る。

【００１６】図６は、この発明の他の実施例を示し、上
記実施例に比べて部品点数は増やされているが、解除手
段の戻りをより確実にしている。即ち、図において解除
筒１６と先具９との間にさらにストッパ筒１７を設け、
このストッパ筒１７と解除筒１６との間に戻しバネ１８
を介装して解除筒１６を後方に付勢している。そこで、
ノック解除時に解除筒１６の戻りを確実にすることがで
きるのでストッパ筒１７の閉成を確実ならしめている。
なお、このストッパ筒１７の前部はやや内方へ傾斜した
傾斜部１７ａを有しこの傾斜部１７ａには複数の軸方向
への割り溝１７ｂが形成されている。

【００１７】以下、この実施例によるシャープペンシル
の動作を説明する。ノックキャップがノックされると芯
タンク３がチャック５と共にチャックスプリング７およ
び戻しバネ１８の後方への付勢力に抗して前進される。
ところでチャックスプリング７および戻しバネ１８は図
示の様に、チャックスプリング７が戻しバネ１８よりも
細く弱い弾発力に形成されているので、芯タンク３等の
前進に伴って戻しバネ１８に先立って圧縮される。そこ
でチャック５の先端がスライダ１５の後端に当接する。

【００１８】更にチャック５が前進されると、チャック
５に遊嵌されたチャックリング４が解除筒１６の内側に
形成された段部１６ａに当接してチャック５からはずさ
れる。更にまた、前進されるとこの時までにチャックス
プリング７が十分圧縮されているので今度はスリーブ６
及び解除筒１６を介して戻しバネ１８が圧縮される結
果、解除筒１６も前進される。すると解除筒１６の先端
がストッパ筒１７の内側に当接して更に前進されるスト
ッパ筒１７を押し開く。そこでチャック５に押されたス
ライダ１５がストッパ筒１７の中を通過して最前部に位
置されて先端パイプ１３が突出される。この時、丁度ス
ライダ１５の段部１５ａがストッパ筒１７の前端に位置
されている。

【００１９】そして、ノックが解除されると戻しバネ１
８によって解除筒１６が後退するのでストッパ筒１７が
閉成され、スライダ１５の段部１５ａがストッパ筒１７
の前面で係止されて先端パイプ１３が固定される。逆
に、先端パイプ１３を後退せしめたい場合には、再度ノ
ック操作をすることによりストッパ筒１７が開成されて
スライダ１５の固定が解除されるので、その状態で先端
パイプ１３を紙面等に押し当てノックを徐々に解除する
と先端パイプ１３を容易に後退せしめることができる。

【００２０】

【発明の効果】この発明は、以上のとおりの構成である
のでスライダを用いたシャープペンシルにおいて先端パ
イプを筆記時に確実に固定すると共にその解除も確実に
行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例によるシャープペンシルの
先端パイプの固定状態を示す部分断面図である。

【図２】図１の固定状態から未固定状態へ移行する過程
を示す部分断面図である。

【図３】図２の未固定状態から固定状態へ移行する過程
を示す部分断面図である。

【図４】図１のストッパリングを示す正面図である。

【図５】図４におけるＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図６】この発明の他の実施例によるシャープペンシル
の先端パイプの未固定状態を示す部分断面図である。

【図７】従来のスライダを用いたシャープペンシルの部
分断面図である。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ ノックキャップ ３ 芯タンク ４ チャックリング ５ チャック ６ スリーブ ７ チャックスプリング ８ クッションスプリング ９ 先具 １０ コネクタ １１ 解除リング １２ ストッパリング １３ 先端パイプ １４ パッキン １５ スライダ １６ 解除筒 １７ ストッパ筒 １８ 戻しバネ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 典 埼玉県川越市大字鯨井138番地 株式会社 壽川越工場内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒内に摺動自在に設けられた芯タンク
   と、この芯タンクの後端に取り付けられたノック部材
   と、芯タンクの先端に圧入・固定されたチャックと、こ
   のチャックに遊嵌されたチャックリングと、この軸筒と
   上記チャックとの間に設けられてその中に芯タンクを後
   方に付勢する弾性体が設けられたスリーブと、上記軸筒
   の先端に設けられた先具内に挿着され軸方向に移動可能
   な先端パイプとこの先端パイプの後端に固定され内周面
   部では芯を一定の摩擦抵抗で支承するスライダとから成
   るシャープペンシルにおいて、上記軸筒の先部にコネク
   タを設け、このコネクタの先部外側を介して上記先具を
   上記軸筒に取り付け、かつコネクタの先部内側には軸方
   向へ移動自在の解除手段を設け、この解除手段によって
   開閉されて上記スライダを係止自在とする貫通孔を有す
   るストッパ手段を設けたことを特徴とするシャープペン
   シル。
2. 【請求項２】 前記ストッパ手段が前記貫通孔へ通じる
   割り溝を有する請求項１記載のシャープペンシル。
3. 【請求項３】 前記ストッパ手段の貫通孔の内径が前記
   割り溝から内方に向かって広がって形成されてなる請求
   項１記載のシャープペンシル。
4. 【請求項４】 前記解除手段がリングであって、このリ
   ングの先端外側の斜面部が前記ストッパリングの先端内
   側の傾斜部と点又は線接触するように形成されてなる請
   求項３記載のシャープペンシル。
5. 【請求項５】 前記ストッパ手段と解除手段との間に解
   除手段を後方に付勢する弾性体を設けてなる請求項１記
   載のシャープペンシル。