JPH07228448A - エレベータのコンペンロープ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】テールコードのサイズが異なっても、共通の床
板が利用できるようにする。 【構成】ヒッチ板６とビーム５Ａ，５Ｂの下面に押え金
具７を設け、ボルト８で締め付ける。押え金具７には、
ヒッチ板６の下面に当接する部分に爪部７ｃを形成し、
ビーム５Ａ，５Ｂの下面に当接する部分に押え部７ｄを
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エレベータのコンペン
ロープ取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４（ａ）は、従来の１：１シングルラ
ップ形ローピングのエレベータとこのエレベータが設置
された昇降路を示す図である。図４（ａ）において、昇
降路20の上部に設けられた機械室21の床22には、図示し
ない巻上機が載置され、この巻上機には、綱車11が片持
梁状に突設されている。

【０００３】この綱車11には、主索13の上端が巻き付け
られ、この主索13の片側には、かご10の縦枠14に固定さ
れた上梁の中央の詳細省略したヒッチプレートに図示し
ないシャクルロッドとコイルばねを介してかご10が懸架
されている。

【０００４】一方、主索13の他側は、そらせシーブ12を
経て昇降路に吊り下げられ、この下端には、つり合いお
もり15が懸架されている。このつり合いおもり15には、
コンペンロープ17の片側が係止され、このコンペンロー
プ17の他側は、図４（ｂ），（ｃ）で示す後述するヒッ
チ板６に係止されている。また、コンペンロープ17の中
間部は、昇降路21のピットに立設された張り車18に巻装
されている。

【０００５】さらに、かご10の下部には、このかご10の
床部の構造上、図４に示すかご10の図示しない平面図に
おいて、一対の縦枠14の中心線から紙面直交方向に偏心
した位置にテールコード16の一端が係止され、このテー
ルコード16の他端は、機械室20の図示しない制御盤に接
続されている。

【０００６】図４（ｂ）は、図４（ａ）で示したコンペ
ンロープ17の係止部を示す拡大詳細図、図４（ｃ）は、
図４（ｂ）の右側面拡大図である。図４（ｂ），図４
（ｃ）において、溝形鋼で製作された一対の縦枠１４の
下端の両側には、同じく溝形鋼で製作された底梁３Ａ，
３Ｂが図４（ｂ）において紙面直交方向に平方に設けら
れ縦枠１４に溶接されている。

【０００７】この底梁３Ａ，３Ｂの上面には、床枠２が
載置され、この床枠２の下面には、小形の溝形鋼で製作
されたビーム５Ａ，５Ｂが紙面直交方向に対称的に平行
に設けられ、床枠２にそれぞれ溶接されている。

【０００８】このビーム５Ａ，５Ｂの下部上面には、ヒ
ッチ板６が載置され、このヒッチ板６は、このヒッチ板
６の各四隅に形成された締付穴とビーム５Ａ，５Ｂに形
成されたボルト穴に挿入されたボルト８と、このヒッチ
板６とビーム５Ａ，５Ｂの間に挿入された図示しない傾
斜座金を介して、ビーム５Ａ，５Ｂに締め付けられてい
る。

【０００９】ヒッチ板６には、このヒッチ板６の中心に
対して対称的に複数のロープ貫通穴が千鳥状に設けら
れ、このロープ貫通穴には、コンペンロープがそれぞれ
下側から貫挿され、各コンペンロープは、ヒッチ板６の
上面に縦に設けられた図示しないロープソケットに固定
されている。

【００１０】このように構成されたエレベータにおいて
は、かご10の重量をつり合いおもり15の重量を同一とす
ることで、綱車11を介して主索13を駆動する動力を最小
として省エネルギー化が図られている。

【００１１】また、それでも、かご10が始発階まで降り
たときには、このかご10から綱車11までの主索13の長さ
が最長となるのに対し、このときのつり合いおもり15か
ら綱車11までの主索13の長さは最短となるので、かご10
の側とつり合いおもり15側の主索13を含めた荷重がアン
バランスとなる。コンペンロープ17は、かご10の位置に
よるかご側とつり合いおもり側との荷重のアンバランス
を解消するために設けられたものである。

【００１２】一方、コンペンロープ17のヒッチ板６への
取付に当たっては、エレベータの据付工事の際に、テー
ルコード16とのバランス上決められた所定の位置に取り
付けられる。これは、テールコード16がかご10にかかる
荷重によるモーメントと、コンペンロープ17がかご10に
かかるモーメントを等しくして、かごの側面の上下に設
けられた一対のローラの押圧力を均一にするためであ
る。

【００１３】そのため、床枠２には、同じ床枠２を使っ
て組み立てられたかごによって電線の数が異なるテール
コード16に対応するために、ボルト８を締め付ける穴が
連続して設けられ、テールコード16の種別によってヒッ
チ板10の取付場所を変えている。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
構成されたエレベータにおいては、たとえ、床枠２の外
形は同一品でも、テールコード16の種別が変わるたびに
ヒッチ板６を固定するボルト穴をビーム５Ａ，５Ｂに加
工しなければならない。すると、ボルト穴が連続するの
で、ビーム５Ａ，５Ｂの強度が低下するだけでなく、据
付工事中に作業者がボルト穴を間違えるおそれもある。

【００１５】そのため、ビーム５Ａ，５Ｂの強度の低下
を防ぐために、寸法の大きい溝形鋼を使うことも考えら
れるが、するとかごの重量が増えるので、図示しない巻
上機の駆動電動機の容量も増やさなければならない。ま
た、テールコード16の種別毎に、このテールコード16に
対応したボルト穴のビーム５Ａ，５Ｂを有する底板２を
使用すると、底板２の種別が増えるだけでなく、仕様毎
に製作すると短納期に対応できなくなるおそれもある。

【００１６】そこで、本発明の目的は、底板の種別を増
やすことなく、テールコードの種別が異なっても容易に
対応することができ、多様な仕様に容易に対応すること
のできるエレベータのコンペンロープ取付構造を得るこ
とである。

【００１７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、かご床の下部に横設された固定骨と、この固定骨に
固定されコンペンロープの端部が固定されるヒッチ板を
備えたエレベータのコンペンロープ取付構造において、
固定骨に貫設された締結具と、この締結具が貫挿されこ
の締結具でヒッチ板を固定骨に押圧する押え具を設けた
ことを特徴とする。

【００１８】また、請求項２に記載の発明は、かご床の
下部に横設された一対のビームと、このビームの下部上
面に固定されコンペンロープの端部が固定されるヒッチ
板を備えたエレベータのコンペンロープ取付構造におい
て、ビームの下部に貫設された締結具と、この締結具が
貫挿されこの締結具でヒッチ板をビームの下部上面に押
圧する押え具を設けたことを特徴とする。

【００１９】さらに、請求項３に記載の発明は、かご床
の下部に横設された一対のビームと、このビームの下部
上面に固定されコンペンロープの端部が固定されるヒッ
チ板を備えたエレベータのコンペンロープ取付構造にお
いて、ビームの下部に貫設された締結具と、この締結具
が貫挿され片側がヒッチ板の下面に当接し他側がビーム
の下面に当接し締結具でヒッチ板を前記ビームの下部上
面に押圧する押え具を設けたことを特徴とする。

【００２０】

【作用】請求項１に記載の発明においては、締結具と押
え板によって固定骨の任意の位置に固定されるヒッチ板
によって、コンペンロープは取付位置が任意の位置に設
定される。

【００２１】また、請求項２に記載の発明においては、
締結具と押え板によってビームの下部上面の任意の位置
に固定されるヒッチ板によって、コンペンロープは取付
位置が任意の位置に設定される。

【００２２】さらに、請求項３に記載の発明において
は、締結具とこの締結具が貫挿され片側がヒッチ板の下
面に当接し他側がビームの下面に当接する押え板によっ
て、コンペンロープは取付位置が任意の位置に設定され
る。

【００２３】

【実施例】以下、本発明のエレベータのコンペンロープ
取付構造の一実施例を図面を参照して説明する。図１
は、本発明のエレベータのコンペンロープ取付構造を示
す図で、従来の技術で示した図４（ｂ）に対応する図、
図２は、図１の右側面図で、同じく図４（ｃ）に対応す
る図である。

【００２４】図１及び図２において、ヒッチ板６の中央
部には、コンペンロープ17の上端が下側から挿入され、
ロープソケット23で固定されている。さらに、コンペン
ロープ17は、ヒッチ板６の下部において例えば３本の木
製のクリート24で挟持された後、このクリート24の下方
の一対のクリート25で挟持されている。

【００２５】また、ヒッチ板６の図示しない平面図にお
いて各四隅には、ボルト８が挿入され、これらのボルト
８の下部には、詳細を図３の拡大図で示す押え金具７が
それぞれあらかじめ挿入されている。なお、縦枠１の下
端には、端板４が溶接されている。

【００２６】すなわち、図３（ｂ）は、図１で示したヒ
ッチ板６の左側とビーム５Ａとの固定部を示す拡大図
で、ボルト８の下端には、型鍛造で製作された高炭素鋼
でなる押え金具７があらかじめ挿入され、ナット９など
でビーム５Ａの端部を締め付けている。

【００２７】図３（ａ），（ｂ），（ｃ）において、押
え金具７の中央部には、ボルト穴７ａが形成され、押え
金具７の下面には、ボルト穴７ａの周りに釣り鐘状の平
坦な凹部７ｂが形成されている。

【００２８】さらに、図３（ｂ）において、押え金具７
の左端上側には爪部７ｃが突設され、この爪部７ｃの左
側には、平坦部７ｅが形成され、押え金具７の左端には
押え部７ｄが形成されている。

【００２９】このように構成されたエレベータのコンペ
ンロープ取付構造においては、例えば、ビーム５Ａの下
面に、そのかごに接続されるテールコードの重量に対応
した位置を示すヒッチ板６の端部の位置を示すマークを
設けておくことで、ヒッチ板６の端部をそのマークに合
わせてボルト８を締め付けることで、任意の位置にヒッ
チ板６を固定することができる。

【００３０】したがって、テールコードの如何にかかわ
らず、床板を共用化することができるので、量産可能で
製作容易となり、小種別の在庫で対応できるので、短納
期に対応することができる。なお、図３で示した押え金
具７は、ヒッチ板６を固定するための専用品を新しく製
作しなくてもよく、例えば、昇降路に縦に固定されるガ
イドレールを固定するレールクリップを流用してもよ
い。

【００３１】また、このように構成されたエレベータの
コンペンロープ取付構造においては、ビーム５Ａ，５Ｂ
の下部にヒッチ板６を固定するための複数のボルト穴の
加工が不要となり、ビーム５Ａ，５Ｂの下部上面への傾
斜座金の溶接も不要となるので、製作期間を短縮するこ
とができるだけでなく、ボルト穴の連続による強度の低
下のおそれも解消することもできる。

【００３２】さらに、コンペンロープの固定位置をボル
ト穴の移動による断続的位置から連続的位置に変えるこ
とができ、最適位置に固定することができるので、ガイ
ドローラの接触圧力を均等にすることができ、高速エレ
ベータにおいても、振動・騒音を最小にすることがで
き、ガイドローラの交換などの保守点検間隔を延ばすこ
ともでき、保守の労力を軽減することもできる。

【００３３】

【発明の効果】以上、請求項１に記載の発明によれば、
かご床の下部に横設された固定骨と、この固定骨に固定
されコンペンロープの端部が固定されるヒッチ板を備え
たエレベータのコンペンロープ取付構造において、固定
骨に貫設された締結具と、この締結具が貫挿されこの締
結具でヒッチ板を固定骨に押圧する押え具を設けること
で、締結具と押え板によって固定骨の任意の位置に固定
されるヒッチ板によって、コンペンロープの取付位置を
設定したので、底板の種別を増やすことなく、テールコ
ードの種別が異なっても容易に対応することができ、多
様な仕様に容易に対応することのできるエレベータのコ
ンペンロープ取付構造を得ることができる。

【００３４】また、請求項２に記載の発明によれば、か
ご床の下部に横設された一対のビームと、このビームの
下部上面に固定されコンペンロープの端部が固定される
ヒッチ板を備えたエレベータのコンペンロープ取付構造
において、ビームの下部に貫設された締結具と、この締
結具が貫挿されこの締結具でヒッチ板をビームの下部上
面に押圧する押え具を設けることで、締結具と押え板に
ビームの下部上面の位置に固定されるヒッチ板によっ
て、コンペンロープは取付位置を設定したので、底板の
種別を増やすことなく、テールコードの種別が異なって
も容易に対応することができ、多様な仕様に容易に対応
することのできるエレベータのコンペンロープ取付構造
を得ることができる。

【００３５】さらに、請求項３に記載の発明によれば、
かご床の下部に横設された一対のビームと、このビーム
の下部上面に固定されコンペンロープの端部が固定され
るヒッチ板を備えたエレベータのコンペンロープ取付構
造において、ビームの下部に貫設された締結具と、この
締結具が貫挿され片側がヒッチ板の下面に当接し他側が
ビームの下面に当接し締結具でヒッチ板を前記ビームの
下部上面に押圧する押え具を設けることで、締結具とこ
の締結具が貫挿され片側がヒッチ板の下面に当接し他側
がビームの下面に当接する押え板によって、コンペンロ
ープの取付位置を設定したので、底板の種別を増やすこ
となく、テールコードの種別が異なっても容易に対応す
ることができ、多様な仕様に容易に対応することのでき
るエレベータのコンペンロープ取付構造を得ることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエレベータのコンペンロープ取付構造
の一実施例を示す図。

【図２】図１の右側面図。

【図３】本発明のコンペンロープ取付構造の要部を示す
拡大図で、（ｂ）は正面図、（ａ）は（ｂ）の左側面
図、（ｃ）は（ｂ）の底面図。

【図４】従来のエレベータのコンペンロープ取付構造を
示す図で、（ａ）はエレベータの全体を示す図、（ｂ）
は、コンペンロープ取付部分を示す正面図、（ｃ）は、
（ｂ）の右側面図。

【符号の説明】

１…縦枠、２…床枠、３Ａ，３Ｂ…底梁、４…端板、５
Ａ，５Ｂ…ビーム、６…ヒッチ板、７…押え金具、８…
ボルト、９…ナット、10…かご、11…綱車、12…そらせ
シーブ、13…主索、14…つり合いおもり、16…テールコ
ード、17…コンペンロープ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 かご床の下部に横設された固定骨と、こ
   の固定骨に固定されコンペンロープの端部が固定される
   ヒッチ板を備えたエレベータのコンペンロープ取付構造
   において、前記固定骨に貫設された締結具と、この締結
   具が貫挿されこの締結具で前記ヒッチ板を前記固定骨に
   押圧する押え具を設けたことを特徴とするエレベータの
   コンペンロープ取付構造。
2. 【請求項２】 かご床の下部に横設された一対のビーム
   と、このビームの下部上面に固定されコンペンロープの
   端部が固定されるヒッチ板を備えたエレベータのコンペ
   ンロープ取付構造において、前記ビームの下部に貫設さ
   れた締結具と、この締結具が貫挿されこの締結具で前記
   ヒッチ板を前記ビームの下部上面に押圧する押え具を設
   けたことを特徴とするエレベータのコンペンロープ取付
   構造。
3. 【請求項３】 かご床の下部に横設された一対のビーム
   と、このビームの下部上面に固定されコンペンロープの
   端部が固定されるヒッチ板を備えたエレベータのコンペ
   ンロープ取付構造において、前記ビームの下部に貫設さ
   れた締結具と、この締結具が貫挿され片側が前記ヒッチ
   板の下面に当接し他側が前記ビームの下面に当接し前記
   締結具で前記ヒッチ板を前記ビームの下部上面に押圧す
   る押え具を設けたことを特徴とするエレベータのコンペ
   ンロープ取付構造。