JPH07170896A - 粘着式トラップハウジング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、虫の捕獲を目的としたトラップハウ
ジングであって、特に捕虫用粘着シートの交換が簡単で
あり、かつより多くの虫を効果的に捕獲し得るトラップ
ハウジングを目的としている。 【構成】トレイ１１と矩形状開口部を有するカバー体１
２とを、蝶番１５ａ，１５ｂと係合部材１６ａ，１６ｂ
とを介して開閉自在に枢着したハウジングであって、前
記トレイ１１の４隅には補虫用粘着シート２０を固定し
得る係止片１４が設けられ、かつトレイ１１の底板１１
ａには丸穴１３が穿設され、前記カバー体１２のほぼ中
央部には内方側に湾曲突出した湾曲部１２ｃが形成さ
れ、更にカバー体１２の開口部には野鳥保護バリア２１
が取り付けられた粘着式トラップハウジングの構造であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、蛾等の虫を捕獲するこ
とが出来るハウジングに係り、特に捕虫用粘着シートを
簡単な操作で取り付け交換することが出来、かつより多
くの虫を効率良く捕獲することが出来る粘着式トラップ
ハウジングに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の粘着式トラップハウジン
グとしては、例えば図９に示すような構造を持ったもの
が一般的に広く実用化されていた。即ち図９に示す粘着
式トラップハウジング１は、段ボール原紙の表面にプラ
スチックフィルムを積層した平板原紙を三角筒状に折り
曲げて三角ハウジング２を形成し、かつその頂部２ヵ所
に吊下紐３を取り付け、内天井に性フェロモンなどの誘
引剤を徐放する放香具（図示せず）を固定し、更に内底
面に捕虫用粘着シート４を敷設し、これをクリップ５で
底板に固定した構造のものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】然るに、前述の構造を
持った三角ハウジング２で構成した粘着式トラップハウ
ジング１は、開口部が三角形状であるので、この開口部
の両側部が狭く面積が小さいので、内部に侵入する虫の
数が少なくなり、捕獲量が著しく少なくなる問題があっ
た。また、単に平面状の３枚のパネルよりなる三角筒
で、ハウジングが形成されているので、一旦片側の開口
部より内部に侵入した虫がそのまま他方の開口部より逃
げ出してしまい、従って捕獲率が小さくなる問題もあっ
た。

【０００４】更に、前記三角ハウジング２は、一旦三角
筒状に組立構成すると、この三角ハウジング２を開くこ
とが困難であるために、その内部に敷設された捕虫用粘
着シート４を交換しようとする場合には、この捕虫用粘
着シート４を左右の狭い開口部から出し入れして取り出
したり、新しいものを挿入して固定しなければならず、
粘着剤が塗着されているので、取り扱いが面倒で作業が
極めて煩雑である問題があった。特に粘着式トラップハ
ウジング１は、樹木に吊り下げて使用するので、捕虫用
粘着シート４を交換する場合には、粘着式トラップハウ
ジング１をその都度樹木より地上に下すか、ハシゴを用
いて、作業をなければならない問題があった。

【０００５】本発明に係る粘着式トラップハウジング
は、前述の従来の問題点に鑑み開発された全く新規な技
術であって、特に開口部より侵入する虫の数を多くする
ことが出来、かつハウジングを通過して逃げる虫の数を
少なくし、しかもハウジングの内部に取り付けた捕虫用
粘着シートを、極めて簡単な操作で交換することが出来
るようにした粘着式トラップハウジングの技術を提供す
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の粘着式トラップ
ハウジングは、前記の従来の問題点を根本的に改善した
技術であって、その第１発明の要旨は、内部に取り付け
た粘着シートを用いて蛾等の虫を捕獲することが出来る
捕虫用ハウジングに於いて、カバー体の開口が略矩形状
に形成されると共に該カバー体の天井のほぼ中央部が内
方側に湾曲突出して形成されていることを特徴とする粘
着式トラップハウジングである。また、第２発明の要旨
は、カバー体の開口部に野鳥保護用バリアを設けて構成
したことと特徴とする請求項１の粘着式トラップハウジ
ングである。

【０００７】第３発明の要旨は、捕虫用粘着シートを着
脱自在に取り付けることが出来るトレイと及び該トレイ
に開閉自在に枢着されたカバー体とで捕虫用ハウジング
を構成したことを特徴とする粘着式トラップハウジング
である。かつ、第４発明の要旨は、トレイの底板に捕虫
用粘着シートを取り外すための窓を設けて構成したこと
を特徴とする請求項３の粘着式トラップハウジングであ
る。更に、第５発明の要旨は、トレイの底板に捕獲用粘
着シートを着脱自在に固定し得る係止片を設けて構成し
たことを特徴とする請求項３の粘着式トラップハウジン
グである。

【０００８】

【作用】本発明では、カバー体の開口をほぼ矩形状に形
成したので、ハウジングの両側部も中央部とほぼ等しい
巾の開口部とすることが出来、これによって開口部の面
積を増大せしめて、虫の侵入を容易にすることが出来
る。またカバー体の天井のほぼ中央部を内方側に湾曲突
出させたので、性フェロモン等の誘引剤の拡散が空気の
乱流によって効率的に行われ、しかもハウジングのいず
れの方向から侵入した虫も、この湾曲部に影響されて、
ハウジング内を波形状に飛翔するので、トレイに敷設さ
れた捕虫用粘着シートに必然的に接触して捕虫され、こ
れによってハウジング内を単に通り抜けする虫の数を少
なくすることが出来る。従って虫の捕獲量を多くするこ
とが出来る。

【０００９】本発明に於いては、カバー体を前記トレイ
に開閉自在に取り付けたので、捕虫用粘着シートの交換
に当たっては、カバー体を開却してトレイ上の捕虫用粘
着シートを片手で、かつ簡単な操作で安定した状態で確
実に交換することが出来る。従って、本発明の粘着式ト
ラップハウジングは樹木に吊り下げたまま、捕虫用粘着
シートの交換が可能である。

【００１０】本発明に係る粘着式トラップハウジングに
於いては、捕虫用粘着シートを固定するための係止片を
トレイの底板に設けたので、この係止片を利用すること
によって、トレイ上に敷設した捕虫用粘着シートをトレ
イに固定したり、取り外したりすることが出来る。ま
た、該トレイには窓を設けたので、この窓に手を挿入す
ることによって、トレイ上に敷設された捕虫用粘着シー
トを裏面側から持ち上げて、容易に取り外すことが出来
る。

【００１１】

【実施例】図により本発明に係る粘着式トラップハウジ
ングの一実施例を具体的に説明すると、図１は本願の第
１発明に係る粘着式トラップハウジングの構成を示す斜
視説明図、図２は本願の第２発明に係るトラップハウジ
ングの構成を示す斜視説明図、図３は図２の構成部品の
説明図、図４は組立完成後の斜視図、図５（Ａ）はトレ
イに捕虫用粘着シートを取り付けた状態の斜視図、図５
（Ｂ）は捕虫用粘着シートを取り外す状態の説明図、図
６は図４の縦断面図、図７はカバー体に野鳥保護バリア
を取り付ける状態の説明図、図８は樹木に取り付けて使
用する状態の外観図である。

【００１２】図１に於いて、本願の第１発明に係る粘着
式トラップハウジングを説明すると、この図１は本発明
の粘着式トラップハウジングの基本的な構造を示すもの
であって、全体のハウジング構造が１体成形で構成され
た簡単な構造になっている。即ち、１０は本願の第１発
明に係る粘着式トラップハウジングであって、底板状の
トレイ１１とカバー体１２とが一体的に成形されて構成
されている。

【００１３】該カバー体１２は、図１に示すように左右
の開口がほぼ矩形状に形成されており、かつ該カバー体
１２の天井のほぼ中央部は内側に湾曲突出して湾曲部１
２ｃが形成されて、中央部の天井が両側部より低く形成
されている。また、トレイ１１の内底両側には、捕虫用
粘着シート２０をスライド挿入したり、取り出したりし
得るガイド部材１１ｃが設けられている。

【００１４】次に、図２乃至図８に於いて、１０は本願
の第２発明に係る粘着式トラップハウジングであって、
トレイ１１とこのトレイ１１に開閉自在に枢着されたカ
バー体１２との組み合わせより構成されている。トレイ
１１は底板１１ａと両側の側板１１ｂとより形成され、
底板１１ａの中央部には丸窓１３が設けられている。か
つ底板１１ａは全体を軽くかつ材料を少なくする目的
で、その丸窓１３の周りにも放射状に小窓が穿設されて
いる。底板１１ａの４隅には後述の捕虫用粘着シートを
保持するための係止片１４が設けられている。また、ト
レイ１１の側板１１ｂの外面には、所定の構造を持った
蝶番１５ａと、係合部材１６ａとが夫々突設されてい
る。

【００１５】前記カバー体１２は、左右の開口がほぼ矩
形状に形成されており、特に図２に明らかな如く、左右
対称的な形状を持った２個のカバー部材１２ａ，１２ｂ
より構成され、これ等の２個のカバー部材１２ａ，１２
ｂは複数個の突起１７と、この突起１７を挿入係止し得
る嵌入穴１８との組み合わせにより、相互に連結し得る
ように構成されている。このようにカバー体１２を２個
の分割した目的は、小型の射出成形機を用いてカバー部
材１２ａ，１２ｂを安価に大量生産するためであるが、
このカバー体１２は始めから一体のものとして成形する
ことも当然可能である。

【００１６】カバー体１２の片側外面には、前記トレイ
１１の蝶番１５ａと蝶着し得る蝶番１５ｂが突設され、
かつカバー体１２の他側外面には、前記係合部材１６ａ
と係合し得る係合部材１６ｂが突設されている。カバー
体１２の左右開口の上部には、吊部材１９が夫々突設さ
れている。この吊部材１９には丸紐でも巾広紐でも掛け
られるような工夫がされている。カバー体１２には内方
側に湾曲突出した湾曲部１２ｃが形成されている。

【００１７】２０は捕虫用粘着シートであって、使用前
には、例えば三つに折り畳んで保管し得るように構成さ
れている。この捕虫用粘着シート２０は、特に図５
（Ａ）に示すように、トレイ１１上に敷設した後で、そ
のコーナー部を夫々係止片１４内に挿入することによっ
て、トレイ１１に簡単に取り付けることが出来る。ま
た、トレイ１１より捕虫用粘着シート２０を取り外す場
合には、図２のように湿式トラップハウジング１０を開
却した後で、図５（Ｂ）に示すようにトレイ１１の裏側
から丸窓１３に手を挿入することによって、捕虫用粘着
シート２０を簡単に取り外すことが出来る。更に、該粘
着式トラップハウジング１０は、係合部材１６ａ，１６
ｂの係合を片手で解除することによって、図２に示す如
くトレイ１１とカバー１２とを簡単に開くことが出来
る。

【００１８】２１は野鳥保護バリアであって、特に図７
に示すように、その頭部２１ａを前記カバー体１２の両
側の開口天井面に設けられた嵌合片１２ｄに嵌入するこ
とによって、簡単に取り付けることが出来るように構成
されている。この野鳥保護用バリア２１を開口部に取り
付けることによって、捕獲された虫を目的として野鳥が
粘着式トラップハウジング１０内に侵入することを防止
出来るように工夫されている。

【００１９】前記カバー体１２は、特に図２に示す如
く、天井のほぼ中央部が湾曲して湾曲部１２ｃを形成し
ており、この部分の天井が低く形成されている。従って
誘引剤などが風によって拡散する際に乱流が生じて効率
的に拡散させることが出来る。また、粘着式トラップハ
ウジング１０の開口部より侵入して来た虫は、この湾曲
部１２ｃがあるために、湿式トラップハウジング１０内
を波形状に進まなければならないようになっている。２
２は性フェロモンなどの誘引剤を放出し得る放香具であ
って、前記湾曲部１２ｃの天面に取り付けられている。

【００２０】前記トレイ１１、カバー体１２のカバー部
材１２ａ，１２ｂ及び野鳥保護用バリア２１は、夫々別
々に分解して重ね合わせて搬送することが出来、かつ現
場で簡単に組立てることが出来るように構成されてい
る。従って、本発明のハウジングは、工場での大量生
産、保管、搬送、組立、開閉操作等の取り扱い、及び解
体等が極めて簡単である。

【００２１】本願発明に使用される前記捕虫用粘着シー
ト２０は、次のような構造を有している。即ち、捕虫用
粘着シート２０は、紙、板プラスチックシートなどのシ
ート状支持体の表面に、害虫捕獲用の粘着剤を層状や筋
状などに塗布して形成したものであって、粘着剤として
はゴム系やアクリル系の公知の粘着剤が用いられてい
る。

【００２２】更に、本発明に使用される性フェロモンな
どの誘引剤を放出する放香具２２は、次のような構成を
有している。即ち、放香成分としての誘引剤は、性フェ
ロモン、集合フェロモンなどの各種フェロモン類、ある
いは餌の臭いなどを対象とする害虫を誘引するものであ
れば、特に限定されない。また、放香具２２の形態とし
ては、上記誘引成分を紙やゴム、多孔質体、高分子成形
体などに塗布したり、含浸担持させたものや、これらの
表面を、さらに高分子フィルムなどで被覆して、徐放性
を付与したものなどが挙げられる。

【００２３】前述の従来の三角ハウジング２を使用した
粘着式トラップハウジング１と、本発明に係る粘着式ト
ラップハウジング１１とを使用して、虫の捕獲量等につ
いて実験を重ねた結果、両者間には次に示すような大き
な差があることが明らかとなった。即ち、平成５年９月
１７日より１０月２８日にかけて、兵庫県下のゴルフ場
２ケ所に於いて地上約１．５ｍの木の枝に吊り下げてシ
バツトガの捕獲試験を行った結果、次の第１表に示すよ
うな実験結果が得られた。 以下余白

【００２４】

【表１】

【００２５】

【発明の効果】本発明に係る粘着式トラップハウジング
は、上述の構造と作用とを有するので、次のような多大
な効果を有している。

【００２６】（１）本発明のハウジングは、トレイとカ
バーとを蝶番等を用いて開閉自在に構成したので、その
内部に取り付けられる捕虫用粘着シートを片手で簡単な
操作で交換することが出来る。（２）従って樹木に吊下
げたまま交換することが出来る。（３）トレイには係止
片を設けたので、別のクリップ等を使用することなく、
捕虫用粘着シートを簡単に取り付けることが出来る。
（４）トレイの底板には穴を設けたので、この穴を利用
することによって取り扱いが困難である捕虫用粘着シー
トを、容易に取り外すことが出来る。

【００２７】（５）カバー体は、その開口が矩形状に形
成されているので、開口部の面積を増大せしめて、虫の
侵入数を多くすることが出来る。（６）カバー体の天井
のほぼ中央部を内方側に湾曲突出させたので、ハウジン
グ内に侵入した虫を波形状に飛翔させ、底面に設けた捕
虫用粘着シートによる捕虫率を増大せしめることが出来
る。（７）トレイ及びカバー体は別々に成形されるので
大量生産が可能で、保管、搬送に効果的であり、かつ組
立及び解体等が極めて簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願の第１発明に係る粘着式トラップハウジン
グの構成を示す斜視説明図である。

【図２】本願の第２発明に係る粘着式トラップハウジン
グの構成を示す斜視説明図である。

【図３】図２の構成部品の説明図である。

【図４】組立完成後の斜視図である。

【図５】図５（Ａ）はトレイに捕虫用粘着シートを取り
付けた状態の斜視図、図５（Ｂ）は捕虫用粘着シートを
取り外す状態の説明図である。

【図６】図３の縦断面図である。

【図７】カバー体に野鳥保護バリアを取り付ける状態の
説明図である。

【図８】樹木に取り付けて使用する状態の外観図であ
る。

【図９】従来例の粘着式トラップハウジングの斜視説明
図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ 三角
ハウジング ３ 吊下紐 ４ 捕虫
用粘着シート ５ クリップ 10 ハウジング 11 トレ
イ 11a 底板 11b 側板 11c ガイド部材 12 カバ
ー体 12a,12b カバー部材 12c 湾曲
部 12d 嵌合片 13 丸窓 14 係止片 15a,15b 蝶番 16a,16b 係合部材 17 突起 18 嵌入穴 19 吊部
材 20 捕虫用粘着シート 21 野鳥
保護バリア 21a 頭部 22 放香
具

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に取り付けた粘着シートを用いて蛾等
   の虫を捕獲することが出来る捕虫用ハウジングに於い
   て、カバー体の開口が略矩形状に形成されると共に該カ
   バー体の天井のほぼ中央部が内方側に湾曲突出して形成
   されていることを特徴とする粘着式トラップハウジン
   グ。
2. 【請求項２】カバー体の開口部に野鳥保護用バリアを設
   けて構成したことを特徴とする請求項１の粘着式トラッ
   プハウジング。
3. 【請求項３】捕虫用粘着シートを着脱自在に取り付ける
   ことが出来るトレイと及び該トレイに開閉自在に枢着さ
   れたカバー体とで捕虫用ハウジングを構成したことを特
   徴とする粘着式トラップハウジング。
4. 【請求項４】トレイの底板に捕虫用粘着シートを取り外
   すための窓を設けて構成したことを特徴とする請求項３
   の粘着式トラップハウジング。
5. 【請求項５】トレイの底板に捕獲用粘着シートを着脱自
   在に固定し得る係止片を設けて構成したことを特徴とす
   る請求項３の粘着式トラップハウジング。