JPH07163373A - マルチクローニングベクター、発現ベクター、および異種蛋白質の生産 - Google Patents
マルチクローニングベクター、発現ベクター、および異種蛋白質の生産Info
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- JPH07163373A JPH07163373A JP6241581A JP24158194A JPH07163373A JP H07163373 A JPH07163373 A JP H07163373A JP 6241581 A JP6241581 A JP 6241581A JP 24158194 A JP24158194 A JP 24158194A JP H07163373 A JPH07163373 A JP H07163373A
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Abstract
種蛋白質構造遺伝子を導入する特定の手法、およびそれ
によって異種蛋白質構造遺伝子が導入された発現ベクタ
ーを提供する。 【構成】異種蛋白質構造遺伝子を導入するための制限酵
素認識部位が−ACATGT−であるベクターに異種蛋
白質構造遺伝子を導入して−ACATGN−なる配列の
連結部分を形成し、この配列中のATGを異種蛋白質構
造遺伝子の翻訳開始部位とした、シゾサッカロミセス・
ポンベにおいて機能しうる発現ベクター。 【効果】ベクターを切断する制限酵素と異種蛋白質構造
遺伝子を含む遺伝子を切断する制限酵素の組合せを選択
して異種蛋白質構造遺伝子の種類に応じて翻訳開始コド
ンATGの次の塩基(N)をA、T、G、Cの任意の塩
基とし、これにより種々の異種蛋白質を高発現量で発現
させることができる。
Description
ミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe 、以下
S.pombeという)による異種蛋白質の生産を可能
とするマルチクローニングベクター、それに異種蛋白質
遺伝子を導入した発現ベクター、その発現ベクターの構
築方法、その発現ベクターを保持したS.pombe形
質転換体、およびその形質転換体を用いた異種蛋白質の
製造法に関する。本発明により種々の異種蛋白質の遺伝
子の発現を効率化し、産生するペプチドまたは蛋白質の
製造コストを低下させることができる。
生産は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli、以下
E.coliという)、サッカロミセス・セレビシエ
(Saccharomyces cerevisiae)、あるいはバチルス(Ba
cillus)属等の微生物、動物細胞(昆虫細胞を含む)、
植物細胞を用いて盛んに行われてきた。様々な生物由来
のポリペプチドが対象と考えられ、既に多くのものが工
業的に生産され、医薬品等に用いられている。
も全てのポリペプチドに対して有効ではなく、真核生物
由来の蛋白質の複雑な翻訳後修飾あるいは天然体と同じ
立体構造を再現することは必ずしも容易ではない。実
際、原核細胞にて生産された生産物の構造および活性が
不均一であるために医薬品等への利用が拒まれているも
のも知られている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,3428-34
32(1989)) 。またE.coliには特有のエンドトキシ
ンが存在し、最終製品の夾雑物になる可能性がある。
微生物より難しく、培養にコストがかかり、得られる細
胞濃度が低いために、生産効率が悪い。このため異種蛋
白質、特に真核生物由来のポリペプチドを生産するため
に最も理想的な生物は、微生物でありかつ真核生物であ
る酵母が最もよいとされている。酵母は、培養方法も確
立しており、真核生物の遺伝情報を発現させるという点
でも都合がよい。さらに、従来より醗酵並びに食品工業
で用いられており、人体に関する安全性も確立され、ま
たエンドトキシンも含まないという特徴も有する。
pombeはサッカロミセス・セレビシエよりも動物細
胞に近い性質を持つと考えられている。このため、異種
蛋白質を発現させる宿主としてS.pombeを用いる
ことによって、動物細胞の場合と同様の、より天然体に
近い遺伝子産物が得られることが期待される。培養方法
も酵母類で共通の点が多く、他の酵母で知られている知
見を容易に応用しうる。したがって、微生物学の方法と
組換えDNA技術を用いて、S.pombeを用いた異
種蛋白質生産法を用いることが有利であるのは明白であ
る。
組換えに関する研究はE.coliやサッカロミセス・
セレビシエに比べてかなり遅れており、特に遺伝子発現
に関する研究は少ない。たとえば、特開昭61−181
397号公報、特開平2−283288号公報、および
特開平4−63596号公報等があるにすぎない。この
原因は強力なプロモータを持ち、菌体内に安定に存在
し、かつ遺伝子を導入するのに最適かつ簡便な発現ベク
ターが存在しないためである。
ベクターを提案した(特開平5−15380号公報参
照)。しかし、この発現ベクターを用いて異種蛋白質遺
伝子を過不足なく発現するにはいまだ必ずしも充分とい
えるものではなく、発現ベクターのさらなる改良が求め
られている。
み検討を行った結果、異種蛋白質遺伝子の翻訳開始部位
を制限酵素認識部位に改変することによって、目的とす
る異種蛋白質遺伝子を過不足なく発現することが可能な
発現ベクターを構築するに至った。本発明は、S.po
mbeによる異種蛋白質の生産を可能とするマルチクロ
ーニングベクター、それに異種蛋白質遺伝子を導入した
発現ベクター、その発現ベクターの構築方法、その発現
ベクターを保持したS.pombe形質転換体、および
その形質転換体を用いた異種蛋白質の製造法に関する、
下記の発明である。
モーター領域を有し、かつそのプロモーターによって支
配される異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのマルチ
クローニングサイトをそのプロモーター領域の下流に有
するベクターであり、そのベクターのマルチクローニン
グサイト先端部分における異種蛋白質構造遺伝子を導入
するための制限酵素認識部位が、5’側から−ACAT
GT−なる配列を有する制限酵素認識部位であることを
特徴とするマルチクローニングベクター。
モーター領域、およびそのプロモーター領域下流にその
プロモーターによって支配された異種蛋白質構造遺伝子
を有し、異種蛋白質構造遺伝子先端部分が5’側から−
ACATGN−(Nは任意の塩基)なる配列を有し、こ
の配列におけるATGが異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開
始部位であり、しかもこの配列がベクターに異種蛋白質
構造遺伝子が導入された際の制限酵素認識部位に由来す
る配列であることを特徴とする発現ベクター。
モーター領域を有するベクターのプロモーター領域下流
にそのプロモーターによって支配される異種蛋白質構造
遺伝子を導入する方法において、5’側から−ACAT
GT−なる配列を有する制限酵素認識部位で切断したベ
クター末端に5’側から−N’CATGN−(Nは任意
の塩基、N’はNに相補的な塩基)なる配列を有する制
限酵素認識部位で切断した異種蛋白質構造遺伝子の先端
を連結して−ACATGN−なる配列の連結部分を形成
し、その連結部分のATGを異種蛋白質構造遺伝子の翻
訳開始部位とし、しかもベクター側の制限酵素認識切断
部末端と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵素認識切断部
先端の組合せによりATGの次の塩基をA、T、G、お
よびCから選ばれる任意の塩基とすることを特徴とする
真核細胞内で発現しうる発現ベクターの構築方法。
ベクターと複製開始点を有する酵母ベクターとの組換え
体を保持するシゾサッカロミセス・ポンベからなる形質
転換体。
中に異種蛋白質を生成蓄積させ、これを採取することを
特徴とする異種蛋白質の製造法。
クローニングベクターに異種蛋白質構造遺伝子を導入す
るにあたり、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子とマル
チクローニングベクターをそれぞれ制限酵素で処理して
切断し、両者を連結(ライゲーション)して発現ベクタ
ーを構築する。本発明では、このとき、異種蛋白質構造
遺伝子を含む遺伝子とマルチクローニングベクターの制
限酵素認識部位はそれぞれATGを含み、切断後異種蛋
白質構造遺伝子を含む遺伝子の先端(5’末端)とマル
チクローニングベクターの末端(3’末端)を連結し、
いずれかの末端部分に存在するATGを異種蛋白質構造
遺伝子の翻訳開始部位とする。たとえば、異種蛋白質構
造遺伝子を含む遺伝子の先端がATGを含む場合、それ
に対応するマルチクローニングベクターの末端のアンチ
コード鎖部分にはTACを含む。逆に、マルチクローニ
ングベクターの末端がATGを含む場合、それに対応す
る異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子の先端のアンチコ
ード鎖部分にはTACを含む。
とするためには、上記ATGの次の塩基がA、T、G、
Cのいずれであっても上記構築手段が適用できることが
好ましい。このため、マルチクローニングベクター側の
制限酵素認識切断部と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵
素認識切断部との組合せを選択して、ATGの次の塩基
をA、T、G、Cの任意のものとする手段の採用が好ま
しい。このような手段が適用できる、種々の異種蛋白質
構造遺伝子の導入が可能なマルチクローニングベクター
は、異種蛋白質構造遺伝子導入部位であるマルチクロー
ニングサイトを有する。
ーの異種蛋白質構造遺伝子導入部位となる制限酵素認識
部位は、5’側から−ACATGT−なる制限酵素認識
部位である。この制限酵素認識部位を5’側から−Aあ
るいは−ACATGなる末端を形成する制限酵素で切断
し、その末端に対応する先端を有する異種蛋白質構造遺
伝子を連結する。このための制限酵素としては、Afl
IIIまたはNspIが用いられる。また、ベクター
側の連結部位に−ACATGT−なる配列を形成するに
は、これ以外の種々の連結部位を有するベクターの改変
により(たとえばPCR法を用いて)行うことができ
る。
種蛋白質構造遺伝子は、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺
伝子より制限酵素で切り出されたもので、その制限酵素
は−Aあるいは−ACATGなるベクター側末端に対応
する先端を形成しうる制限酵素である。異種蛋白質構造
遺伝子を切断する制限酵素は、−N’CATGN−(N
は任意の塩基、N’はNに相補的な塩基)なる制限酵素
認識部位を認識し、CATGN−あるいはN−なる先端
を形成する制限酵素である。このための制限酵素として
は、Nco I、Bsp HI、Afl III、Ns
p I、またはSph Iが用いられる。この制限酵素
認識部位が異種蛋白質構造遺伝子の先端部分に存在しな
い場合は、たとえば部位特異的変異導入法やPCR法を
用いて異種蛋白質構造遺伝子の先端部分にこの制限酵素
認識部位を配置することができる。
遺伝子側先端CATGN−の組合せ、または、上記ベク
ター側末端−ACATGと異種蛋白質構造遺伝子側先端
N−の組合せ、を連結することにより、−ACATGN
−なる連結部が形成される。その配列の内のATGが異
種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位となる。しかもAT
Gの次のNは、上記したような制限酵素の組合せにより
任意のものとすることができ、これにより使用し得る異
種蛋白質構造遺伝子の制約が全くなくなる。このための
制限酵素の組合せとしては特に下記の組合せが好まし
い。
IIIまたはNsp Iを用い、異種蛋白質構造遺伝
子を含む遺伝子を切断する制限酵素としてNco I、
Bsp HI、Afl III、Nsp I、またはS
ph Iを用い、これらを組合せてATGの次の塩基を
A、T、G、Cの任意のものとする手段の例を表1に示
す。これらの制限酵素はいずれも6塩基パリンドローム
配列を認識し、この認識部位のセンス鎖の5’端から1
番目と2番目の塩基の間または5番目と6番目の塩基の
間、および、アンチコード鎖の3’端から1番目と2番
目の塩基の間または5番目と6番目の塩基の間で切断す
る制限酵素の1種である。この場合、表1の連結後の構
造に示すように、連結部6塩基の配列は5’−ACAT
GN−3’からなり、組合せを選択することによりその
翻訳開始コドンATGの次のNをA、T、G、Cの任意
の塩基とすることができる。なお、表1中においてもN
はA、T、G、Cのいずれかを表す(ただし、表中のア
ンチコード鎖のNはコード鎖のNに対応するものを表す
ものとする)。
び発現ベクターは、導入される(あるいは導入された)
異種蛋白質構造遺伝子の発現を制御するプロモーター領
域を含む。このプロモーターはその下流に導入された前
記異種蛋白質構造遺伝子の発現を支配する。このプロモ
ーターは真核細胞内において機能しうるものであり、具
体的にはS.pombe細胞内において機能しうる必要
がある。
能できるものであり、かつ導入された異種蛋白質構造遺
伝子の転写を促進するものである。このプロモーターと
しては、たとえば、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子
プロモーター、ヒトサイトメガロウィルス遺伝子プロモ
ーター、ヒトコリオニックゴナドロピンα遺伝子プロモ
ーター等がある。特に動物細胞ウィルス由来のプロモー
ターなどの転写を強力に促進するもの(R.Toyama et a
l.,FEBS Lett,268,217-221(1990) )であることが好ま
しい。このような好ましいプロモーターとしては、動物
細胞ウィルス由来のプロモーター、特にヒトサイトメガ
ロウィルス遺伝子のプロモーターがある。
抗生物質耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子、異種蛋白質
を細胞外に分泌させるためのシグナルペプチドコード遺
伝子、その他の種々の遺伝子を有していてもよい。ま
た、E.coliなどの原核細胞内で機能しうるプロモ
ーターや薬剤耐性遺伝子等を組み込んでシャトルベクタ
ーとすることもできる。
複製開始点を有することが必要である。しかし、上記本
発明のマルチクローニングベクターや発現ベクターは必
ずしも複製開始点を有している必要はない。複製開始点
は発現ベクター構築後に導入することができる。また、
複製開始点を有しない発現ベクターを細胞内に入れ込ん
だ後細胞内でその発現ベクターに自動的に複製開始点を
導入できる。これらの複製開始点導入手段は公知であ
る。たとえば酵母内で機能し得る複製開始点を有するベ
クター(以下酵母ベクターという)を本発明の発現ベク
ターに組み込むことができる(特開平5−15380号
公報参照)。また、本発明の発現ベクターと酵母ベクタ
ーを1つの細胞内に入れ込み、細胞内で自動的に両者を
融合させることができる。このような複製開始点導入手
段を採用できることより、本発明の発現ベクターは複製
開始点を有していてもよく、有していなくてもよい。同
様に本発明のマルチクローニングベクターも複製開始点
を有していてもよく、有していなくてもよい。ただし、
いかなる場合でも細胞内で発現ベクターの発現が起こる
ためには、最終的にはベクターに複製開始点が必要であ
る。
耐性遺伝子を組み込むことはクローニングのためやマー
カーとして用いるために通常必須である。本発明のベク
ターにおいても抗生物質耐性遺伝子とその転写を促進す
るプロモーター(以下第2のプロモーターという)を有
していることが好ましい。この第2のプロモーターは、
前記異種蛋白質構造遺伝子の転写を促進するプロモータ
ーに比較してそれよりも転写促進活性の低いものである
ことが好ましい。しかもこの第2のプロモーターとして
は、動物細胞ウィルス由来のプロモーター、特にSV4
0初期プロモーターが好ましい。この第2のプロモータ
ーに支配される抗生物質耐性遺伝子としては、通常のも
のであってよいが、特に本発明においてはネオマイシン
耐性遺伝子が好ましい。
有する発現ベクターを使用することによって異種蛋白質
発現量を増大させることが可能となる。このためには第
2のプロモーターは前記異種蛋白質構造遺伝子を支配す
るプロモーターよりも転写促進活性が低い必要がある。
たとえば上記のようなSV40初期プロモーターとそれ
によって支配されるネオマイシン耐性遺伝子とを有する
発現ベクターを保持するS.pombeを培養する場合
を例にとって説明する。このS.pombe形質転換体
をG418(ネオマイシン)含有培地で培養すると、培
地中のG418濃度に依存して菌体内で発現ベクターの
コピー数が増す。したがって、G418濃度を高くする
ことにより菌体内で発現ベクターのコピー数を多くする
ことができ、その結果異種蛋白質発現量を増大させるこ
とができる。この際、第2のプロモーターの活性が異種
蛋白質構造遺伝子を支配するプロモーターよりも高活性
であると、発現ベクターのコピー数が少なくても充分な
ネオマイシン耐性蛋白質(酵素)が生産されるために発
現ベクターのコピー数を増やす必要がなくなり、目的と
する異種蛋白質発現量を増大させることができない。
ーの例として実施例で作成したpTL2Mの制限酵素切
断地図を示す。このpTL2Mは大略5,000bp
(より正確には約5,000±200bp)の大きさ
で、ヒトサイトメガロウィルス遺伝子(hCMV)のプ
ロモーター領域、プロモーター領域とマルチクローニン
グサイト(MCS)を連結する非翻訳領域(5’−UT
R)、および異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのM
CSを時計回り方向にこの順に有する。MCS先端に前
記した特定の制限酵素認識部位が存在する。一方さら
に、上記hCMVプロモーター領域先端付近から反時計
方向回りに、SV40プロモーター領域、およびネオマ
イシン耐性遺伝子(NmR )をこの順に有する。また、
さらにNmR の下流域に前記したように、E.coli
などの原核細胞内で機能しうる薬剤耐性遺伝子であるア
ンピシリン耐性遺伝子(ApR )を有し、また図示され
ているようにSV40ターミネーター(2か所)、原核
細胞内で機能する複製開始点(Ori)、および下流側
非翻訳領域(3’−UTR)を有する。
モーター領域の末端(通常TATAなる配列)と翻訳開
始コドンATGの間に存在する配列である。この非翻訳
領域の長さが翻訳活性に影響することが少なくない。本
発明におけるベクターのこの部分の長さは20〜200
bpであることが好ましい。より好ましくは30〜10
0bpである。図示したpTL2Mでは約56bpであ
る。
能し得る複製開始点を有していない。このpTL2Mを
使用するにあたっては真核細胞内で機能し得る複製開始
点を導入する必要がある。真核細胞内で機能し得る複製
開始点を有する配列やその配列を有するベクターは公知
であり、これを用いてpTL2Mに複製開始点を導入す
ることができる。S.pombe細胞内で機能し得る複
製開始点を有す公知のベクターとしては、たとえばpA
U5やpAL7がある(K.Okazaki et.al.,Nucleic Aci
ds Res.,18,6485-6489(1990)、K.Okayama et.al.,Molec
ular CellularBiol.,3,280-289(1983) )。これら酵母
ベクターは自動複製配列(ars)と安定化配列(st
b)を有し、さらに選択マーカーや抗生物質耐性遺伝子
を有する。この酵母ベクターをpTL2Mに組み込むこ
とにより、S.pombe細胞内で複製し得るマルチク
ローニングベクターが得られる。同様に、マルチクロー
ニングベクターに異種蛋白質構造遺伝子を導入した発現
ベクターにこの酵母ベクターを組み込むことにより、
S.pombe細胞内で複製し得る発現ベクターが得ら
れる。この酵母ベクターを組み込んで発現ベクターを構
築する方法については、上記文献のほか、本発明者らの
発明にかかわる特開平5−15380号公報に記載され
ている。
ことは困難なことが少なくない。上記pTL2M自体比
較的大きなベクターであり、これに上記酵母ベクターを
組み込んで酵母細胞に入れ込むことは比較的困難であ
る。これを解決する手段としては上記酵母ベクター(通
常は制限酵素で切断した線状のDNAを用いる)と本発
明のマルチクローニングベクターないし発現ベクターと
を別々に同一の細胞に入れ込む方法がある。この場合、
酵母ベクターは細胞内で自動的にマルチクローニングベ
クターないし発現ベクターに組み込まれ、上記したよう
な複製開始点を有するベクターが自動的に構築される。
後述実施例ではこの方法を用いてS.pombeの形質
転換を行った。
クターを構築するための一般的手法は公知であり、たと
えば文献「J.Sambrook et al., "Molecular Cloning 2n
d ed.", Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)
」に記載されている。本発明のマルチクローニングベ
クターおよび発現ベクターはこの一般的手法を用い前記
した方法で構築することができる。発現ベクターの宿主
として本発明で用いるS.pombeの菌株としては、
たとえばATCC 38399(leu1−32h−)
またはATCC 38436(ura4−294h−等
が挙げられ、これらは、アメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクション(American Type CultureCollection)
から入手可能である。
質転換する方法は公知であり、たとえば酢酸リチウム法
(K.Okazaki et al.,Nucleic Acids Res.,18,6485-6489
(1990)) 等によって、S.pombeの形質転換体が得
られる。形質転換体を培養するための培地は公知であ
り、YPD培地等の栄養培地(M.D.Rose et al.,"Metho
ds In Yeast Genetics",Cold Spring Harbor Laborator
y Press(1990))あるいはMB培地等の最少培地(K.Okaz
aki et al.,Nucleic Acids Res.,18,6485-6489(1990))
等を用いることができる。形質転換体の培養は、通常1
6〜42℃、好ましくは25〜37℃で、8〜168時
間、好ましくは48〜96時間行う。振盪培養と静置培
養のいずれも可能であるが、必要に応じて撹拌や通気を
加えてもよい。
としては、公知の、塩析または溶媒沈澱法等の溶解度の
差を利用する方法、透析、限外濾過またはゲル電気泳動
法等の分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマト
グラフィー等の荷電の差を利用する方法、アフィニティ
ークロマトグラフィー等の特異的親和性を利用する方
法、逆相高速液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を
利用する方法、等電点電気泳動法等の等電点の差を利用
する方法等が挙げられる。
は、公知の、ウエスタンブロッティング法または活性測
定法等が挙げられる。また精製された蛋白質は、アミノ
酸分析、アミノ末端分析、一次構造解析などによりその
構造を明らかにすることができる。
説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその
技術範囲が限定されるものではない。
クター構築の元となるベクターpRL2Mの作製を示
し、実施例2はそのpRL2Mを使用した異種蛋白質構
造遺伝子導入前のベクターpTL2Mの作製を示す。こ
のベクターpTL2Mは本発明のマルチクローニングベ
クターであり、以下の実施例はこのベクターpTL2M
に種々の異種蛋白質構造遺伝子を導入してその発現を試
験した例である。また、実施例3はこのベクターpTL
2Mを含むS.pombe形質転換体の製造を示し、実
施例4はこの形質転換体細胞抽出液の調製(コントロー
ル用)を示す。実施例5では特にヒトリポコルチンIの
生産について種々の試験を行った例を示す。
ラスミドpcD4B(特開平5−15380号公報参
照)を制限酵素Sac Iで消化後、末端をT4 DN
Aポリメラーゼで平滑化し、さらに制限酵素Bam H
Iで消化した後、フェノール抽出およびエタノール沈殿
によって核酸分画を回収した。さらにアガロースゲル電
気泳動後、ガラスビーズ法(旭硝子(株)製「DNA
PREP」(商品名)使用、以下同様)によって約45
00塩基対に相当するDNAを精製した。
リポコルチンI遺伝子(cDNA)を含むベクターpc
D4lipoI(特開平5−15380号公報参照)を
制限酵素Xmn IおよびBam HIで消化した後、
フェノール抽出およびエタノール沈澱によって核酸分画
を回収した。さらにアガロースゲル電気泳動後、ガラス
ビーズ法によって約1300塩基対に相当するDNAを
精製した。
造(株)販売)でライゲーションした後、大腸菌DH5
(東洋紡(株)販売)を形質転換した。得られた形質転
換体よりベクターを調製し、目的とするベクターpRL
2L(図1)を持った形質転換体をスクリーニングし
た。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から
目的のベクターであることを確認した。
Lを制限酵素Eco RIおよびHind IIIで消
化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロー
スゲル電気泳動により約5000塩基対に相当するバン
ドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。別に、公知
のプラスミドpUC19を制限酵素Eco RIおよび
Hind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノー
ル沈澱の後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動より約6
0塩基対に相当するバンドを切り出し、ゲルから抽出精
製した。
大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpRL
2M(図2)をスクリーニングした。部分塩基配列の確
認および制限酵素地図の作製から目的のベクターである
ことを確認した。
トとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-TTGACTAG
TTATTAATAGTA-3' およびオリゴデオキシリボヌクレオチ
ド 5'-CTAGAATTCACATGTTTGAAAAAGTGTCTTTATC-3' を合成
プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCR
によって目的断片を増幅した。制限酵素Spe Iおよ
びEco RIで末端を調節し、フェノール抽出、エタ
ノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約60
0塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法
で精製した。
よびEco RIで消化し、フェノール抽出、エタノー
ル沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約4500塩
基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精
製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸
菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2M
(図3)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認お
よび制限酵素切断地図の作製から目的のベクターである
ことを確認した。pTL2Mの制限酵素切断地図を図4
に示す。
ン要求性株、ATCC 38399(leu1−32h
−)を最少培地で0.8×107 細胞数/mlになるま
で生育させた。集菌、洗菌後109 細胞数/mlになる
ように0.1モル酢酸リチウム(pH5.0)に懸濁
し、30℃で60分間インキュベートした。その後、上
記懸濁液100μlにpAL7をPst Iで切断した
DNAの1μg、実施例1で得たベクターpTL2Mの
2μgをTE(EDTAを含んだトリスバッファー)1
5μlに溶かして加え、50%PEG4000を290
μl加えよく混合したのち30℃で60分間、43℃で
15分間、室温で10分間の順にインキュベートした。
遠心によりPEG4000を除去し、培養液1mlに懸
濁した。
の培養液を加えて、32℃、30分間インキュベートし
た。うち300μlを最少寒天培地にスプレッドした。
32℃で3日間インキュベートし、形質転換体をG41
8を含むプレートに移し、さらに32℃で5日間培養し
た。得られたものは、目的とする形質転換体であった。
で得た形質転換体を2%グルコース、1%イースト抽出
液、2%ペプトン、およびG418を200μg/ml
を含む液体培地50mlで32℃、3日間培養した。そ
の培養液から108 細胞程度の菌体を集菌、洗菌し、5
0ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、
超音波破砕を行った。遠心によって細胞抽出液(上清)
を得た。この細胞抽出液をSDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(TEFCO社製 4〜20%ポリアクリ
ルアミドゲル、以下SDS−PAGEという)にて行う
解析の陰性対象(コントロール)として以下の実施例に
ついて用いた。
80号公報参照)のリポコルチンIcDNA全長をベク
ターpcD4lipoIをテンプレートとし、オリゴデ
オキシリボヌクレオチド 5'ーATGCCATGGCAATGGTATCAGAAT
T-3'およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-AGCCAG
TATACACTCCGCTA-3' を合成プライマーとして、Taqポ
リメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅し
た。制限酵素Nco IおよびBam HIで末端を調
節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロー
スゲル電気泳動により約1400塩基対に相当するバン
ドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
IおよびBam HIで消化し、フェノール抽出、エタ
ノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約500
0塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法
で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、
大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL
2L(図5)をスクリーニングした。部分塩基配列の確
認および制限酵素地図の作製から目的のベクターである
ことを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。この際
細胞抽出液にプロテアーゼ(12マイクルモルPMS
F、25マイクロモル ロイペプチン、5マイクロモル
E−64)を存在させておく。SDS−PAGEにて調
べたところ、分子量36,000の位置にコントロール
pTL2Mを導入した酵母抽出液には見られないバンド
が確認され、抗ヒトリポコルチンI抗体(ウサギ)を用
いてウエスタンブロットを行なったところ、このバンド
のみが特異的に染色された(図6)。図6はヒトリポコ
ルチンIの発現を示すSDS−PAGE観察図およびウ
エスタンブロット観察図であり、図における1〜4は下
記のものを表す。
出液、 2;S.pombe(pTL2L)細胞抽出液、 3;S.pombe(pTL2M)細胞抽出液、 4;S.pombe(pTL2L)細胞抽出液。
してウエスタンブロットを行い、天然体のリポコルチン
Iを標準として定量をしたところ、発現されたリポコル
チンは全可溶性蛋白質の50wt%を占めていることが
わかった。
の精製]上記で得た粗抽出液をヒトリポコルチンIのカ
ルシウム結合型のみを認識するモノクローナル抗体をリ
ガンドとしたアフィニテイーカラムに1ミリモル塩化カ
ルシウム、50ミリモルトリス塩酸(pH7.5)、
0.15モル塩化ナトリウムにて吸着させ2ミリモルE
GTA、50ミリモルトリス塩酸(pH7.5)、0.
15モル塩化ナトリウムにて溶出させることにより、S
DS−PAGEにおいて単一なバンドをなす組換えヒト
リポコルチンIを得た(図7)。図7はヒトリポコルチ
ンIの精製を示すSDS−PAGE観察図であり、図に
おけるAおよびBは下記のものを表す。
液、 B;精製ヒトリポコルチンI。
性]上記実施例にて精製した組換えヒトリポコルチンI
によるPLA2阻害活性をB.Rothhut らの方法(B.Rothh
ut,et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.117,878-884(19
83))にて測定した。すなわち、トリチウムを含むオレイ
ン酸で標識した大腸菌を基質として、ハチ毒PLA2の
活性に対するヒトリポコルチンIの阻害活性を調べた。
この結果を図8に示した。この結果より、ヒト胎盤由来
リポコルチンIの示す阻害活性と、阻害の程度、阻害様
式が一致していることがわかった。図8は蛋白質量とP
LA2の活性の関係を示すグラフである。
た精製ヒトリポコルチンIが、カルシウム存在下にてF
−アクチンに結合するかどうかをH.Hayashi らの方法
(H.Hayashi et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.146,91
2-919(1987)) にて検討した。ヒト胎盤由来リポコルチ
ンIと同様、1ミリモルカルシウム存在下にて50wt
%のヒトリポコルチンIがF−アクチンと結合し、1ミ
リモルEGTA存在下では全く結合は見られなかった
(図9)。図9はアクチン結合活性を示すSDS−PA
GE観察図であり、図における1〜4は以下のものを示
す。
渣、 2;1ミリモルEGTA存在下の遠心上清、 3;1ミリモル塩化カルシウム存在下の遠心残渣、 4;1ミリモル塩化カルシウム存在下の遠心上清。
ヒトリポコルチンIのアミノ酸組成をアミノ酸分析機
(JEOL JLC−360)により分析した。その結
果を表2に示す。DNA塩基配列から予想される組成と
一致していることがわかった。
得た組換えヒトリポコルチンIのアミノ末端からのアミ
ノ酸配列の決定を気相法シークエンサー(SHIMAD
ZU PSQ−1)にて行ったが、PTH−アミノ酸は
検出されなかった。そこで組換えヒトリポコルチンIを
V8プロテアーゼ(ベーリンガー社)により完全分解
し、ODS C18カラム(HPLC)にて各フラグメ
ントを分取し、各フラグメントのアミノ酸組成を調べる
ことによりアミノ末端フラグメントを選んだ。次に、そ
のペプチドにアシルアミノ酸遊離酵素を作用させた。そ
の結果を図10に表す。
フであり、図10aはアミノ末端フラグメントの溶出量
を表すグラフであり、図10bはそのアミノ末端フラグ
メントにアシルアミノ酸遊離酵素を作用させた後のフラ
グメントの溶出量を表すグラフである。図10bに示す
ように溶出時間の早いところにピークがあらわれ、また
アミノ末端フラグメントの溶出位置は移動した。
酸組成を調べたところAla であり、またアセチルAla を
HPLCにて溶出させると、図10bのようにこのピー
クと一致する。また後者のピークをシークエンサーにて
解析するとMet-Val-Ser-Gluであることがわかった。し
たがって、組換えヒトリポコルチンIのアミノ末端アミ
ノ酸配列は天然体と同様Acetyl-Ala-Met-Val-Ser-Gluで
あると考えられる。
ー数の確認]実施例で作製した形質転換体を培養し、5
×107 個の細胞を得た。培地中のG418濃度を各々
0、25、50、100、200μg/mlの5種類に
対して行った以外は、培養方法は実施例4と同じ方法で
行った。ガラスビーズ、SDSおよびフェノールを用い
て菌体を破砕し、全DNAを抽出した。制限酵素Eco
RIおよびHind IIIで消化した後、0.8%
アガロースゲル電気泳動後、ナイロンメンブレンに転写
し、ヒトリポコルチンI遺伝子のEco RI−Hin
d III断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼ
ーションを行った。この結果を図11に示す。図11は
G418濃度とpTL2Lのコピー数と関係を示すグラ
フである。図に示すように、培地中のG418濃度に依
存して菌体内のベクターコピー数が増加し、最大200
コピー程度まで上昇することがわかった。
授より供与を受けた、ラット肝臓アルギナーゼcDNA
全長を含むベクターpARGr−2[S.Kawamoto et a
l.,Biochem. Biophis.Res.Commun.,136,955-961(1986)
]より、インサートを制限酵素Eco RIおよびP
st Iで切り出し、市販のベクターであるブルースク
リプトのEcoRI−Pst I部位にサブクローニン
グした。
デオキシリボヌクレオチド 5'-GACTCATGAGCTCCAAGCCAAA
GCC-3'およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-TTCC
CAGTCACGACGTTGTA-3' を合成プライマーとして、Taq
ポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅し
た。制限酵素Bsp HIおよびXba Iで末端を調
節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロー
スゲル電気泳動により約1300塩基対に相当するバン
ドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
IおよびXba Iで消化し、フェノール抽出、エタノ
ール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000
塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で
精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大
腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2
R(図12)をスクリーニングした。部分塩基配列の確
認および制限酵素地図の作製から目的のベクターである
ことを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS
−PAGEによって発現を確認したところ、ラットアル
ギナーゼに相当する分子量35,000付近の位置にコ
ントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検
出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定し
たところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であった。ま
た、ラットアルギナーゼ特異的な抗体を用いてウエスタ
ンブロッティングを行い、ラットアルギナーゼであるこ
とを確認した。
む公知のベクターpUC19をテンプレートとし、オリ
ゴデオキシリボヌクレオチド 5'-ATCGCATGCCAGTACCCCCA
GGAGAAGA-3' およびオリゴデオキシリボヌクレオチド
5'-TGAAAATCTTCTCTCATCCG-3' を合成プライマーとし
て、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断
片を増幅した。制限酵素Sph IおよびHind I
IIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱
の後、アガロースゲル電気泳動により約1000塩基対
に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製し
た。
IおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、
エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5
000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビー
ズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの
後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターp
TL26m(図13)をスクリーニングした。部分塩基
配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクタ
ーであることを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS
−PAGEによって発現を確認したところ、ヒトIL−
6に相当する分子量21,000付近の位置にコントロ
ールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出でき
た。その発現量は、デンシトメーターにて測定したとこ
ろ全菌体蛋白質の10wt% 程度であった。また、ヒトIL
−6特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを
行い、ヒトIL−6であることを確認した。
木村成道博士より供与を受けた、ラットNDPキナーゼ
α体cDNA全長を含むベクターpNDPKαを制限酵
素Nco IおよびHindIIIで消化し、フェノー
ル抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動
により約600塩基対に相当するバンドを切り出し、ガ
ラスビーズ法で精製した。別に、pTL2Mを制限酵素
Afl IIIおよびHind IIIで消化し、フェ
ノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気
泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出
し、ガラスビーズ法で精製した。
大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL
2−Nα(図14)をスクリーニングした。部分塩基配
列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクター
であることを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS
−PAGEによって発現を確認したところ、ラットND
Pキナーゼα体に相当する分子量17,000付近の位
置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバン
ドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて
測定したところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であっ
た。また、ラットNDPキナーゼα体特異的な抗体を用
いてウエスタンブロッティングを行い、ラットNDPキ
ナーゼα体であることを確認した。
木村成道博士より供与を受けた、ラットNDPキナーゼ
β体cDNA全長を含むベクターpNDPKβを制限酵
素Nco IおよびEcoRIで消化し、フェノール抽
出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動によ
り約700塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラス
ビーズ法で精製した。
IおよびEco RIで消化し、フェノール抽出、エタ
ノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約500
0塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法
で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、
大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL
2−Nβ(図15)をスクリーニングした。部分塩基配
列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクター
であることを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS
−PAGEによって発現を確認したところ、ラットND
Pキナーゼβ体に相当する分子量17,000付近の位
置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバン
ドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて
測定したところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であっ
た。また、ラットNDPキナーゼβ体特異的な抗体を用
いてウエスタンブロッティングを行い、ラットNDPキ
ナーゼβ体であることを確認した。
子バンクより供与を受けた、ヒト血清アルブミンcDN
Aを含むベクターpILMALB5をテンプレートと
し、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-AGACCATGGATG
CACACAAGAGTGAGGT-3' およびオリゴデオキシリボヌクレ
オチド 5'-CAGGAAACAGCTATGACCAT-3' を合成プライマー
として、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目
的断片を増幅した。制限酵素Nco IおよびHind
IIIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール
沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約1800塩
基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精
製した。
IおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、
エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5
000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビー
ズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの
後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターp
TL2Bm(図16)をスクリーニングした。部分塩基
配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクタ
ーであることを確認した。
換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS
−PAGEによって発現を確認したところ、ヒト血清ア
ルブミンに相当する分子量69,000付近の位置にコ
ントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検
出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定し
たところ全菌体蛋白質の30wt%程度であった。ま
た、ヒト血清アルブミン特異的な抗体を用いてウエスタ
ンブロッティングを行い、ヒト血清アルブミンであるこ
とを確認した。
で発現することができるため、異種蛋白質生産の効率を
大幅に上昇させることが可能である。また上述のヒトリ
ポコルチンIの場合に見られるようにその発現量は菌体
蛋白質の50wt%を占め、その分子量、アミノ酸組
成、アミノ末端近傍のアミノ酸配列、などがヒト胎盤由
来リポコルチンI(Nature 320,77-81(1986))における各
々と同一であり、またPLA2阻害活性の程度やアクチ
ンとの結合能などについても上記天然型と同様であるこ
とから、本発明により分裂酵母を用いて天然型とほぼ同
一と思われる蛋白質をきわめて効率よく得られることが
可能となった。
察図
Claims (14)
- 【請求項1】真核細胞内において機能しうるプロモータ
ー領域を有し、かつそのプロモーターによって支配され
る異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのマルチクロー
ニングサイトをそのプロモーター領域の下流に有するベ
クターであり、そのベクターのマルチクローニングサイ
ト先端部分における異種蛋白質構造遺伝子を導入するた
めの制限酵素認識部位が、5’側から−ACATGT−
なる配列を有する制限酵素認識部位であることを特徴と
するマルチクローニングベクター。 - 【請求項2】ベクターがさらに第2のプロモーター領域
とその第2のプロモーターによって支配される抗生物質
耐性遺伝子を有し、かつ第2のプロモーターの転写促進
活性が第1のプロモーターの転写促進活性よりも低い、
請求項1のマルチクローニングベクター。 - 【請求項3】真核細胞内において機能しうるプロモータ
ー領域、およびそのプロモーター領域下流にそのプロモ
ーターによって支配された異種蛋白質構造遺伝子を有
し、異種蛋白質構造遺伝子先端部分が5’側から−AC
ATGN−(Nは任意の塩基)なる配列を有し、この配
列におけるATGが異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部
位であり、しかもこの配列がベクターに異種蛋白質構造
遺伝子が導入された際の制限酵素認識部位に由来する配
列であることを特徴とする発現ベクター。 - 【請求項4】−ACATGN−なる配列が、−Aなるベ
クター側末端とCATGN−なる異種蛋白質構造遺伝子
側先端との連結によって、または、−ACATGなるベ
クター側末端とN−なる異種蛋白質構造遺伝子側先端と
の連結によって、形成された配列である、請求項3の発
現ベクター。 - 【請求項5】プロモーター末端と異種蛋白質構造遺伝子
の翻訳開始部位との間に非翻訳領域を有し、その非翻訳
領域の長さが20〜200bpである、請求項3または
4の発現ベクター。 - 【請求項6】ベクターがさらに第2のプロモーター領域
とその第2のプロモーターによって支配される抗生物質
耐性遺伝子を有し、かつ第2のプロモーターの転写促進
活性が第1のプロモーターの転写促進活性よりも低い、
請求項3、4または5の発現ベクター。 - 【請求項7】真核細胞内において機能しうるプロモータ
ー領域を有するベクターのプロモーター領域下流にその
プロモーターによって支配される異種蛋白質構造遺伝子
を導入する方法において、5’側から−ACATGT−
なる配列を有する制限酵素認識部位で切断したベクター
末端に5’側から−N’CATGN−(Nは任意の塩
基、N’はNに相補的な塩基)なる配列を有する制限酵
素認識部位で切断した異種蛋白質構造遺伝子の先端を連
結して−ACATGN−なる配列の連結部分を形成し、
その連結部分のATGを異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開
始部位とし、しかもベクター側の制限酵素認識切断部末
端と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵素認識切断部先端
の組合せによりATGの次の塩基をA、T、G、および
Cから選ばれる任意の塩基とすることを特徴とする真核
細胞内で発現しうる発現ベクターの構築方法。 - 【請求項8】ベクター側制限酵素認識部位を切断する制
限酵素がAfl IIIまたはNsp Iであり、異種
蛋白質構造遺伝子側制限酵素認識部位を切断する制限酵
素がNco I、Bsp HI、Afl III、Ns
p I、またはSph Iである、請求項7の発現ベク
ターの構築方法。 - 【請求項9】ベクターがさらに第2のプロモーター領域
とその第2のプロモーターによって支配される抗生物質
耐性遺伝子を有し、かつ第2のプロモーターの転写促進
活性が第1のプロモーターの転写促進活性よりも低い、
請求項7または8の発現ベクターの構築方法。 - 【請求項10】複製開始点を有しない請求項3、4、5
または6の発現ベクターを複製開始点を有する酵母ベク
ターと人為的にあるいは酵母内で自動的に組換えて複製
開始点を有する発現ベクターを構築する、発現ベクター
の構築方法。 - 【請求項11】請求項3、4、5または6の発現ベクタ
ーまたはその発現ベクターと複製開始点を有する酵母ベ
クターとの組換え体を保持するシゾサッカロミセス・ポ
ンベからなる形質転換体。 - 【請求項12】請求項11の形質転換体を培養し、培養
物中に異種蛋白質を生成蓄積させ、これを採取すること
を特徴とする異種蛋白質の製造法。 - 【請求項13】請求項11の形質転換体が、請求項6の
発現ベクターまたはその発現ベクターと複製開始点を有
する酵母ベクターとの組換え体を保持するシゾサッカロ
ミセス・ポンベからなる、請求項12の製造法。 - 【請求項14】発現ベクターが有する抗生物質耐性遺伝
子に対応する抗生物質を含有する培養液中で形質転換体
を培養する、請求項13の製造法。
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