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JPH0716425B2 - 油脂類のエステル交換反応方法 - Google Patents

油脂類のエステル交換反応方法

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Publication number
JPH0716425B2
JPH0716425B2 JP62123543A JP12354387A JPH0716425B2 JP H0716425 B2 JPH0716425 B2 JP H0716425B2 JP 62123543 A JP62123543 A JP 62123543A JP 12354387 A JP12354387 A JP 12354387A JP H0716425 B2 JPH0716425 B2 JP H0716425B2
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lipase
fats
oils
transesterification
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JP62123543A
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和広 中村
佳卓 廣田
秀季 横道
義治 河原
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Kao Corp
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Kao Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はリパーゼ(脂質分解酵素)を用いる油脂類のエ
ステル交換反応方法に関する。更に詳しくは、十分なエ
ステル合成活性を有するリパーゼ又はリパーゼを含有す
る酵素製剤を用いて油脂と脂肪酸又は脂肪酸エステルと
のエステル交換反応、油脂相互のエステル交換反応、油
脂とアルコール類とのエステル交換反応などを行う方法
に関するものである。
油脂類のエステル交換反応は、マーガリン、ショートニ
ング等の食用加工油脂の製造において、水素添加と並ぶ
重要な加工技術である。
〔従来の技術〕
油脂類のエステル交換反応は、従来より化学的な方法に
より行われてきた。即ちアルカリ金属、アルカリ金属ア
ルコラート、アルカリ金属水酸化物等のアルカル性物質
や、各種金属塩類を触媒として用いる方法により行われ
きた。しかしながら、この方法においては、油脂中の脂
肪酸の配置に関しては、無差別分布の法則に従った再配
列が起こるため、得られる油脂に結合する脂肪酸の配置
の位置については特異性が全く認められない。即ち、従
来の化学的方法ではグリセリドの結合脂肪酸の位置につ
いて非選択的である。この性質は、通常のマーガリン、
ショートニング等の食用加工油脂の製造を目的とする場
合に於いては、油脂の物理的性質を改良できる効果をも
たらすことがある。
しかしながら、特有のグリセリド組成を有する油脂の製
造を目的とする場合には、こうした従来の非選択的な方
法ではなし得なかった。ここでいう特有のグリセリド組
成とは、例えば天然のカカオ脂のように、大部分のグリ
セリドが対称構造を有する様な場合である。最近こうし
た油脂の製造を意図する場合に、従来の非選択的な化学
的方法にかえて、油脂のエステル交換反応を位置選択的
に行わしめる方法が開発されてきている。
即ち、本来油脂を加水分解する酵素であるリパーゼを用
いて油脂のエステル交換を位置選択的に行わしめようと
するものである(特開昭52−104506号公報)。この方法
に従えば、リパーゼを活性化させるため、反応系中に水
分が存在する事を必須の条件としている。この水分量
は、0.2〜1.0%と少量ではあるが、リパーゼ本来の性質
により、油脂の加水分解が必然的に起こり、ジグリセリ
ドの副成による交換脂の収率の低下を避けることが出来
ない。
更に、副生成物の生成を低減させる目的で、水分含量を
0.1%以下に低下させて反応させる試みも提案されてい
るが、水分量の低下は実質的に反応速度の低下をきた
し、実用上は得策ではない(特開昭55−71797号公
報)。
更にエステル交換速度を増大させる方法として、反応工
程を分解との合成の二段階に分けて行う方法の提案もあ
るが(特開昭60−19495号公報、特開昭60−203196号公
報)、反応の制御、特に分解工程の制御に難点がある。
該方法では、ジグリセリドに着目した点は興味あるが、
分解工程でジグリセリドを選択的に作る事は技術的に困
難を要し、モノグリセリド、グリセリンへの分解を生じ
ると同時に、未分解のトリグリセリドがなお多く残存す
る。更に、ジグリセリドの非酵素的転移により生ずる1,
3−ジグリセリドの存在により、第二段の合成工程での
目的とするエステル交換物の収量の低下が避けられな
い。また第二段の合成反応速度は通常のエステル交換速
度に比して十分であるとは言えない。こうした観点から
工程操作の複雑化は避けられないものと判断される。
以上の様に、リパーゼによる油脂類のエステル交換反応
は、前述の化学的な方法に比べ特徴的且つ有利な点を持
つ反面、未だ解決せねばならない多くの問題点があり、
工業的に実施するためには、これらを解決する必要があ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
産業上の経済的な面からみると、こうした反応を触媒す
るために必要な酵素の価格は未だに非常に高価であり、
該反応の工業化に当たっては、使用する酵素の量を低減
するか或いは回収して繰り返し使用することが前提とな
る。かかる実状にあって、酵素量の低減の試みは実質的
に反応速度の低下をきたし、反応装置の巨大化及び生産
効率の低下をきたすものであり、また回収再使用にあた
っては、酵素の経時的な劣化は避けることが出来ず、一
定重量の酵素から生産可能なエステル交換物の量はおの
ずと限界がある。
このように、従来の技術では実質的な面での反応速度、
及び経済的な面での酵素の耐久性の両立を計ったものは
未だ認められない。
〔問題点を解決するための手段〕
かかる実状において、本発明者らは、油脂の加水分解を
抑制し、エステル交換のみを効率よく且つ経済的に行わ
しめる方法について鋭意検討し、上記問題点を解決する
目的で、リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素製剤(以
後、リパーゼ剤と略称する)によるエステル交換方法
と、リパーゼの持つ特徴について種々検討した結果、リ
パーゼ剤の有効な使用方法を見い出し本発明の完成に至
った。
即ち、本発明は、リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素
製剤を用いて油脂と脂肪酸又は脂肪酸エステルとのエス
テル交換反応、油脂相互のエステル交換反応、又は油脂
とアルコール類とのエステル交換反応を行うに際して、
リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素製剤を、分解活性
として500〜20,000unit/反応基質重量(g)及び合成活
性として0.05unit以上/反応基質重量(g)となるよう
に濃度調整してエステル交換反応を行うことを特徴とす
る、油脂類のエステル交換反応方法に関するものであ
る。
即ち、本発明は、油脂と脂肪酸又は脂肪酸エステルのエ
ステル交換反応、又は油脂相互のエステル交換反応、又
は油脂とアルコール類とのエステル交換反応を、高濃度
のリパーゼ剤の存在下で行う方法に関するものである。
リパーゼが加水分解のみならず逆反応である合成反応を
も触媒することは、岩井、辻坂等の先駆的研究により明
らかとなっている(M.Iwai,Y.Tsujisaka,J.Fukumoto,J.
Gen.Appl.Microbiol.,10,13(1964)参照)。本発明者
らはこの実験事実をもとに油脂類のエステル交換反応に
ついて酵素化学及び反応工学の立場から解析を行った結
果、ジグリセリドと酵素の複合体が反応に関与してお
り、エステル交換速度が次式で表されることを見い出し
た。
V=k〔E・DG〕〔FA〕 ここkは総括反応速度定数、〔FA〕は脂肪酸濃度、〔E
・DG〕はジグリセリド・酵素複合体濃度を表す。kは反
応系内の水分と酵素濃度に大きく依存するが、水分量の
増加のみでは遊離のジグリセリドの増加のみを助長する
結果となり、実質的なエステル交換反応速度の増加は認
められないばかりでなく、複雑な脱水工程を伴うことが
必要となる。一方、酵素濃度の増加は反応系内の遊離の
ジグリセリドの増加を抑制し、上記の速度式から明らか
なようにエステル交換反応速度の増加を可能ならしめ
る。更に驚くべきことに、反応系内の酵素濃度を増加さ
せることにより、機構は明らかではないが、酵素相互の
安定化作用が発現すると考えられ、酵素の経時的な劣化
によるエステル交換活性の低下を大幅に改善できること
が明らかとなった。
更に本発明者らは各種酵素のエステル交換速度が異なる
ことに着目し、ジグリセリドからトリグリセリドを合成
する酵素活性について測定方法を開発し試験した結果、
分解活性に比してトリグリセリド合成活性が著しく高い
ものがよりエステル交換性速度が大きいという事実を見
い出した。
本発明者らは、このように知見に基づいて更に詳細に研
究を進めた結果、本発明を完成したのである。
本発明の方法によれば、複雑な反応工程を要することな
く一段の反応により大幅な時間の短縮が可能となり、且
つ基質の化水分解による目的成分の収率低下をきたすこ
となく、更にリパーゼ剤(リパーゼ又はリパーゼを含有
する酵素製剤)のエステル交換活性の低下を抑制し、リ
パーゼ剤の回収使用回数を増大させる事ができる。
本発明で用いるリパーゼ剤としては市販のリパーゼのま
までもよく、特開昭60−251891号公報記載の活性化リパ
ーゼ製剤、或いは必要に応じて各種担体に保持された固
定化リパーゼ製剤の何れも用いる事ができるが、好まし
くは分解活性に対する合成活性の比が1×10-4以上のも
のを用いるのが良い。また必要以上のリパーゼ剤の存在
は、反応系のスラリー濃度の増加により作業性を損なう
ため好ましくない。適切な酵素濃度としては、合成活性
として0.05unit以上/反応基質重量(g)及び分解活性
として500〜20,000unit/反応基質重量(g)と、就中、
1,000〜10,000unit/反応基質重量(g)が好ましい。
エステル交換反応にあたりリパーゼ剤を活性化するた
め、反応系内の水分量を反応基質1重量部に対して0.00
5〜0.2重量部、好ましくは0.01〜0.1重量部とすること
が望ましい。
リパーゼ剤の分解性については、福本らの方法(J.Gen.
Appl.Microbiol.,98,353(1963)に従い、オリーブ油乳
化液5mlと0.1Mリン酸緩衝液4mlに、所定量の酵素(リパ
ーゼ剤)を加え37℃にて30分間反応した時に生成する脂
肪酸の量をオレイン酸として1μmol/minに相当するも
のを1unitとした。また合成活性とは、下記参考例1及
び参考例2に記載の方法に従い、オリーブ油より分解精
製によって得た高純度ジグリセリドア0.9gとオレイン0.
1gとを4mlのn−ヘキサンに溶解させ、分解活性として6
00unitの酵素を加え、40℃にて1時間反応した時に生成
するトリグリセリドの量をトリオレインとして1μmol/
Hrに相当するものを1unitとした。
また本発明に用いるリパーゼ剤用のリパーゼとしては、
位置特異性に優れたリゾプス(Rhizopus)属、アスペル
ギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、脂肪
酸特異性を有するジオトリケム(Geotrichum)属、位置
特異性を全く示さないキャンジダ(Candida)属等の微
生物起源のリパーゼ及び膵臓リパーゼ等の動物起源のリ
パーゼ等が挙げられる。
必要に応じてリパーゼと共に公知の担体を用いることが
出来る。担体としては、セライト、ケイソウ土、カオリ
ナイト、シリカゲル、パーライト、ガラス繊維、モレキ
ュリーシーブ、活性炭、炭酸カルシウム等のエステル交
換反応系に不溶性の無機担体、及び、セルロースパウダ
ー、イオン交換樹脂、キトサン等の有機高分子のような
リパーゼ活性に悪影響を与えないものであれば何れも使
用出来る。また、担体の形状としては、粉末状、顆粒
状、繊維状、スポンジ状等種々有るが、その何れでも使
用できる。
本発明で用いる油脂としては、一般的な植物性油脂、動
物性油脂もしくは加工油脂、あるいは、これらの混合油
脂が挙げられる。これらの例としては、大豆油、綿実
油、菜種油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、ヤ
シ油、牛脂、ラード、魚油等が挙げられる。更にエステ
ル交換反応でカカオバター代用脂の製造を目的とする場
合は、グリセリドの2位のオレイン酸を多量に含有する
油脂、例えば、パーム油、オリーグ油、高オレイン酸ひ
まわり油、高オレイン酸サフラワー油、椿油、さざんか
油、サル脂、シア脂、イリッペ脂、コクム脂、モーラ
脂、フルワラ脂、ボルネオタロー脂、マンゴー核油、又
はこれらの分別油脂を用いることができる。
エステル交換は油脂と脂肪酸、油脂と脂肪酸エステル、
油脂と油脂、又は油脂とアルコール類を反応させる事に
よって行われる。脂肪酸としては、炭素数2〜24の直鎖
で通常自然界に存在するもの、例としては酢酸、カプリ
ル酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸ある
いはオレイン酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸等
の不飽和脂肪酸等も用いることができる。
脂肪酸エステルとしては、前記脂肪酸(炭素数2〜24の
直鎖脂肪酸)と炭素数1〜6の直鎖飽和一価アルコール
のエステル化物が用いられる。例えば、パルミチン酸メ
チル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステ
アリン酸エチルなどを使用することができる。
アルコール類としては、炭素数1〜24の直鎖脂肪族一価
アルコールを使用することが出来る。
本発明のエステル交換反応は、必要に応じてリパーゼに
対して不活性な溶剤中にて実施する事ができる。好まし
い溶剤としては、n−ヘキサン、石油エーテル、石油ベ
ンジン等が挙げられる。溶剤の好適な使用量は、例えば
脂肪酸1重量部に対して1〜10重量部程度である。本発
明における反応温度は通常の酵素反応と同様に20〜70℃
で行うことができる。また必要に応じて反応系内の余剰
の水分を乾燥窒素等の不活性ガスを吹き込むことによっ
て反応系外に排除することも副生成物の低減には効果的
である。
エステル交換反応を終了した反応混合物から、脂肪酸、
少量のモノグリセリド、ジグリセリド等の部分エステル
及び未反応のアルコール等を液−液抽出、アルカリ中
和、又は真空もしくは分子蒸留等、従来の分離精製手段
を単独又はこれらを適宜組み合わせて使用することによ
り容易に除去可能であり、かくして精製されたエステル
交換物を得ることができる。
〔発明の効果〕
本発明の方法は、リパーゼの持つ合成活性を十分に発揮
させる為のものであり、リパーゼの合成活性が、酵素濃
度に比例することを有効に活用したものである。本発明
のように反応基質に対しては酵素濃度が十分高い場合に
は、従来副反応である加水分解を促進する水分が反応系
中に多量に存在しても、何等の副生物の増加を見ること
なく著しい反応速度の増加がみられる。また、初期速度
ばかりでなくエステル交換反応の平衡に到達するまでの
時間(終期速度)が予期した以上に短絡されるという効
果がみられる。
更に本発明の持つ最も大きな効果は、反応系内のリパー
ゼ剤濃度の十分高くすることによって、酵素相互の安定
化効果が発現し、その結果、経時的な酵素活性の低下が
少なくなり、反応後に回収されたリパーゼ剤の効果的再
使用が可能となり、工業的な規模での実施において酵素
重量あたりの生産性を著しく向上させ、もって経済性を
改良しうる点である。
更に本発明は、位置選択的なリパーゼ剤を用いることに
より、例えば安価なパーム油から高価なカカオ代用脂を
効果的に製造することができる。
〔実施例〕
以下に、参考例、実施例、比較例等を挙げ、本発明を更
に詳細に説明する。これらの例中の%、部は、すべて重
量基準である。
参考例1(1,2−ジグリセリドの調製) オリーブ油500gと市販酵素1〔大阪細菌研究所製、オリ
パーゼ4S(リゾプス・ジャポニカス起源の菌体内酵
素);分解活性1,500unit/g〕20gと水1,500mlとを混合
し40℃にて3時間撹拌することによりオリーブ油加水分
解物を得た。
この加水分解物をジエチルエーテル500mlにて3回抽出
を繰り返し、常法により脱水、溶剤留去の後トリグリセ
リド、ジグリセリド、脂肪酸から成る混合物を得た。イ
アトロスキャン(IATROSCAN)TH−10によるシンクログ
ラフィー法(M.Tanaka et.al.,Lipids vol 15(10),87
2(1980)等参照)によりトリグリセリド、1,2−ジグリ
セリド、1,3−ジグリセリド、脂肪酸等の分析を行っ
た。このとき0.3%硼酸処理シリカゲルロッドを用い、
展開溶剤としてはクロロホルム:アセトン=96:4を用い
た。この時の分析結果は表−1に示した。
ここで得た油分の50gを取り、シリカゲル(Merck社Sili
ca gel 60、200−400Mesh)200gを充填したカラムクロ
マトグラフィーによりn−ヘキサン:ジエチルエーテル
=9:1及び8:2、各1,000mlにより分離し、後の区分に粗
ジグリセリドを得た。得られた粗ジグリセリドの組成は
表−2に示した。
この粗ジグリセリドを予め硼酸処理をしたフロリジルを
用いたカラムクロマトグラフィーによって精製した。得
られた1,2−ジグリセリドの組成は、表−3に示した。
参考例2(合成活性の測定) 参考例1で得たジグリセリド(表−3の高純度ジグリセ
リド)に対して、ジグリセリド:脂肪酸の比が9:1とな
るようにオレイン酸を混合し、該混合物1gを4mlのn−
ヘキサンに溶解させものに対して市販酵素1、市販酵素
2又は調製酵素の分解活性としてそれぞれ600unit相当
加え、40℃にて反応させた時に生成するトリグリセリド
の量をイアトロスキャンにより定量した。各酵素につい
て1時間反応後に生成するトリグリセリドをトリオレイ
ンとした生成量(μmol)を求め、分解の逆反応である
合成反応の活性として1μmol/Hrを、合成活性1unitと
した。
それぞれの合成活性及び活性比(分解活性に対する合成
活性の比)は表−4に示した。
尚、表−4中の市販リパーゼ1は大阪細菌研究所製のオ
リパーゼ4S(リゾプス・ジャポニカス起源の菌体内酵
素)であり、市販リパーゼ2は田辺製薬製のタリパーゼ
(リゾプス・デレマー起源の菌対外酵素)であり、調製
酵素は下記実施例1に示す通りに、市販リパーゼ2を処
理して調製したリパーゼ剤である。
実施例1 パーム油を溶剤分別して得た中融点部(沃素価32.5)10
0部と市販のステアリン酸(ルナックS−90、ステアリ
ン酸純度95%、花王株式会社製)90部を、40℃にて250
部のn−ヘキサンに溶解させた。該溶液に本出願人によ
る出願に係わる特開昭60−251891号公報記載の方法に従
い市販リパーゼ2〔田辺製薬製、タリパーズ(リゾプス
・デレマー起源の菌対外酵素)、分解活性4800unit/g、
合成活性0.42unit/g〕を処理して得た調製酵素(分解活
性2,500unit/g、合成活性1.20unit/g、分解活性に対す
る合成活性の比4.8×10-4)を50部加え、24時間反応を
行った。この時の分解活性は油脂に対して1,250unit/油
脂重量(g)(以下同じ基準による)(合成活性として
は0.60unit/油脂重量(g))に相当する。またこの時
の反応系内の水分含量は油脂1部に対し0.023部とし
た。
反応終了後に生成物を回収し、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィーによりトリグリセリド画分を分取し(展開
溶剤,n−ヘキサン:エチルエーテル=90:10)。分取し
トリグリセリド画分は基準油脂分析試験法の方法に従い
メチルエステルとしてガスクロマトグラフィーによりア
ルキル基組成の分析を行った。
反応によってトリグリセリド中に取り込まれたステアリ
ン酸の量から、次式で表される平衡値を100%とした時
の反応率を算出したエステル交換反応の進行度を調べ
た。この時の反応率は96.3%となり、十分に反応が行わ
れた結果を示していた。
反応率%(t時間後)=100×(St−So)/(S∞−So) 上の式において、 St;時間tにおける油脂中のステアリン酸含量 So;反応前の原料油脂中のステアリン酸含量 S∞;1,3ランダム平衡時のステアリン酸含量 を意味する。
実施例2 実施例1において反応終了後の酵素を回収し、実施例1
中に記した原料を新たに加えて繰り返し反応させた。こ
の時の反応時間は各回とも24時間で一定とした。
繰り返し10回目迄は何等の活性の低下は認められなかっ
た(反応率100%)。更に繰り返し作用を続けたとこ
ろ、14回目で反応率83%となった。
実施例3 パーム油中融点部(沃素価31.5、ジクリセリド含量1.6
%)100部と市販ステアリン酸(ルナックS−90、ステ
アリン酸純度95%、花王株式会社製)90部を40℃にて25
0部のn−ヘキサンに溶解させた。該溶液に市販リバー
ゼ1(大阪細菌研究所製オリパーゼ4S、分解活性1,500u
nit/g、合成活性1.40unit/g、分解活性に対する合成活
性の比9.333×10-4)を40部加え20時間反応させた。こ
の時の合成活性は0.56unit/油脂重量(g)(分解活性
としては600unit/油脂重量(g))に相当した。またこ
の時の反応系内の水分含量は油脂1部に対して0.0214部
とした。
20時間反応後に生成物を回収し、一部は実施例1と同様
な処理を行って得た油脂のステアリン酸含量より反応率
を求めたところ、反応の平衡値100%に到達していた。
更に別の一部をフロリジルカラムクロマトグラフィー
(展開溶剤,n−ヘキサン:ジエチルエーテル=5:5)に
より脂肪酸を除去し、副生するジグリセリド含量を逆相
高速液体クロマトグラフィー(固定相=日立ゲル3057、
日立化成工業株式会社製ODSシリカ、溶離液=アセト
ン:アセトニトリル=5:5)により分析した結果、ジグ
リセリドの増加は4.7%にとどまった。
実施例4 実施例3と同様にして市販リパーゼ1の使用量を80部
(合成活性1.02unit/油脂重量(g))、160部(合成活
性2.04unit/油脂重量(g))、320部(合成活性4.08un
it/油脂重量(g))として同様の反応を行った結果、
合成活性unitとして十分な0.2unit以上/油脂重量
(g)を用いた場合には、酵素濃度の比例関係から予期
される以上の短時間の内に反応が平衡に到達することが
認められた。
実施例5 実施例3において反応終了後の酵素を回収し、実施例3
中に記した原料を新たに加えて繰り返し反応させた。こ
の時の反応時間は各回とも20時間で一定とした。
繰り返し11回目迄は何等の活性の低下は認められなかっ
た(反応率100%)。更に繰り返し使用を続けたとこ
ろ、16回目で反応率85%となった。
実施例6 実施例4で市販リパーゼ1の使用量を160部とした場合
を、実施例5と同様に酵素を回収し、新たに原料と共に
繰り返し反応させた。この時の反応時間は4時間で一定
とした。
繰り返し80回目迄は何等の活性の低下は認められなかっ
た(反応率100%)。更に繰り返しを続けたところ、120
回目で反応率85%となった。
比較例1 実施例1において調製酵素の量を10部とした以外は同様
の操作を行った。この時の分解活性は250unit/油脂重量
(g)(合成活性としては0.12unit/油脂重量(g))
であった。またこの時の反応系内の水分含量は油脂1部
に対して0.0048部とした。24時間反応後の反応率は33.6
%にすぎなかった。更に反応を72時間迄継続させること
により反応率は95.8%となったが、実施例5と同様に酵
素を回収し繰り返し72時間反応させたところ3回目で反
応率65%まで低下してしまった。
比較例2 実施例3において市販リパーゼ1の添加量を10部とした
以外は実施例3と同様の操作を行った。この時の合成活
性は0.14unit/油脂重量(g)(分解活性としては150un
it/油脂重量(g))に相当した。また反応系内の水分
含量は油脂に対して0.55%とした。反応時間は96時間
で、反応率99.7%となった。
実施例5と同様に酵素を回収し、新たな原料と共に繰り
返し反応させた。この時の反応時間は96時間で一定とし
た。繰り返し4回目に反応率の急激の低下がみられた
(反応率55%)。
以上の結果、分解活性として500unit以上/油脂重量
(g)の酵素濃度の十分高い系では、酵素の繰り返し使
用時の活性低下が少なくなり、酵素単位重量あたりのエ
ステル交換物の生産性が向上することが認められた。ま
た合成活性比が十分高いリパーゼ及び又はリパーゼ剤
を、基質とする油脂に対して合成活性として0.2unit以
上/油脂重量(g)の十分な量使用した系では、短時間
で反応が平衡に到達する事が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−203196(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素製剤
    を用いて油脂と脂肪酸又は脂肪酸エステルとのエステル
    交換反応、油脂相互のエステル交換反応、又は油脂とア
    ルコール類とのエステル交換反応を行うに際して、リパ
    ーゼ又はリパーゼを含有する酵素製剤を、分解活性とし
    て500〜20,000unit/反応基質重量(g)及び合成活性と
    して0.05unit以上/反応基質重量(g)となるように濃
    度調整してエステル交換反応を行うことを特徴とする、
    油脂類のエステル交換反応方法。
  2. 【請求項2】分解活性に対する合成活性の比が1×10-4
    以上である特許請求の範囲第1項記載の油脂類のエステ
    ル交換反応方法。
  3. 【請求項3】リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素薬剤
    を活性化するため反応系内の水分量を、反応基質1重量
    部に対して0.005〜0.2重量部とする特許請求の範囲第1
    項又は第2項記載の油脂類のエステル交換反応方法。
  4. 【請求項4】リパーゼ又はリパーゼを含有する酵素薬剤
    をエステル交換反応後に繰り返し使用する特許請求の範
    囲第1,2又は3項記載の油脂類のエステル交換反応方
    法。
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