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JPH07155104A - 脂肪成分を有する菓子類製品とチョコレート組成物 - Google Patents

脂肪成分を有する菓子類製品とチョコレート組成物

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Publication number
JPH07155104A
JPH07155104A JP5312882A JP31288293A JPH07155104A JP H07155104 A JPH07155104 A JP H07155104A JP 5312882 A JP5312882 A JP 5312882A JP 31288293 A JP31288293 A JP 31288293A JP H07155104 A JPH07155104 A JP H07155104A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fatty acid
composition
glycerin
cocoa butter
average number
Prior art date
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Pending
Application number
JP5312882A
Other languages
English (en)
Inventor
Charles F Cooper
エフ クーパー チャールズ
C Sekiyuura Bernard
シー セキューラ バーナード
A Oomusubii Richard
エイ オームスビー リチャード
Yuu Tanshiboku Christina
ユー タンシボク クリスチーナ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lyondell Chemical Technology LP
Unilever Bestfoods North America
Original Assignee
Unilever Bestfoods North America
Arco Chemical Technology LP
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unilever Bestfoods North America, Arco Chemical Technology LP filed Critical Unilever Bestfoods North America
Priority to JP5312882A priority Critical patent/JPH07155104A/ja
Publication of JPH07155104A publication Critical patent/JPH07155104A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低カロリー食品の製造に有用なエステル化プ
ロポキシ化グリセリン組成物の製造。 【構成】 C12〜C24飽和線状脂肪酸から誘導されるア
シル基を含み、全アシル基の少くとも50モル%が二つ
以下の異なる前記脂肪酸から誘導される、エステル化プ
ロポキシ化グリセリン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品たとえばチョコレ
ートその他の菓子類においてカカオバターの低カロリー
代用品として有用な脂肪酸エステル化プロポキシ化グリ
セリン組成物(fatty acid−esterif
ied propoxylatedglycerin
compositions)に関する。
【0002】
【従来の技術】カカオバターはココヤシの実を液圧プレ
スもしくは搾油機プレスすることによって、または溶剤
抽出することによって得られる天然脂肪である。カカオ
バターは、独特の融解挙動のため、チョコレートおよび
類似の食品における使用が非常に好ましい。天然に得ら
れる他のトリグリセリドと異なり、カカオバターは、2
0℃(68°F)よりも低温では明瞭な脆性破壊を示
し、また約35℃(95°F)にかなりはっきりした完
全融解点を示し、その際30〜32℃(86〜90°
F)付近で初期融解(incipent fusio
n)または軟化を示す。したがって、カカオバターから
成るチョコレート製品は室温では固体であるが、食べる
と体温で急速に融解して、粘りの強くない(non−w
axy)すぐれた口あたりとコンシステンシーを与え
る。
【0003】カカオバターの独特の物理的性質はグリセ
ロールの3個の炭素上での脂肪酸アシル基の独特の組み
合わせと配置とに帰される。カカオバターは大体等モル
比の3個の主要脂肪酸アシル基(パルミテート、ステア
レート、オレエート)を含むが、主要脂肪酸の多くの別
の組み合わせの可能性にもかかわらず、三つの主要な分
子種しか含まない。熟しつつあるココヤシの実に存在す
る酵素がこれらの主要種を選択的に作り出すことができ
る、ということは明らかである。
【0004】天然カカオバターは他のもっと容易に利用
できる脂質に比べて割合に高価であるため、カカオバタ
ーに似た融解特性を有するトリグリセリドを合成する経
済的な方法の開発のためにかなりの努力がなされてき
た。この目標は、従来のエステル化法では必要な脂肪酸
アシル基を位置選択的に(regioselectiv
ely)(すなわち、グリセロールの特定炭素原子に)
配置することができないために、実現するのがきわめて
難しい、ということがわかっている。
【0005】カカオバターを満足な菓子類製品に加工す
るのは、カカオバターがいくつかの異なる結晶形で存在
しうるために複雑である。これらの結晶形のうちいくつ
かは不安定であるため、カカオバターを含む製品は、注
意深く調質(temper)および/または種付け(s
eed)して、色むらまたは曇り(bloom)なしで
十分に維持される所望の硬さと口あたりの、滑らかな結
晶固体が生じるようにしなければならない。
【0006】曇りというのは、カカオバターを含む組成
物のマトリックスからの脂肪結晶の分離であり、一般
に、カカオバターが表面に押し出されるかまたは表面で
再結晶し、そのあと白い層または斑点が形成されること
によって生じる。調質(長時間の冷却とゆっくりした加
熱の手順による安定結晶の形式)により、曇りの防止を
手助けすることができるが、曇りはチョコレート製造業
のおいて依然として繰り返し発生する問題である。調質
を必要としないかまたは最小限の調質しか必要としない
カカオバター代用品の開発が非常に望ましいと思われ
る。そうすれば、高品質チョコレートの製造に伴う加工
費が大きく減少しうるからである。
【0007】カカオバターのもう一つの欠点は高カロリ
ー成分を含むということである。カカオバターの化学組
成は他の天然油脂の化学組成とははっきりと異なってい
るが、類似の仕方で代謝され、したがって食品組成物の
エネルギー価(energyvalue)に大きく寄与
する。健康またはフィットネスのためにカロリー摂取を
制限したいという多くの人の願いのため、天然カカオバ
ターと同じ融解特性を有するが、しかし、カロリーは少
ないカカオバター代用品が大きな価値を有すると思われ
る。
【0008】菓子類製造産業においてしばしば出会うも
う一つの問題は、変形に対する抵抗力の十分に強い製品
または室温もしくは室温よりもわずかに高い温度での融
解に対する抵抗力の十分に強い製品を配合して、そのよ
うな製品が加工、輸送、貯蔵および消費者使用中に容易
かつ便利にとり扱えるようにし、しかも満足な官能的品
質を与える、という必要である。カカオバターの硬さと
固体含有率は、ある最大値まで調質することによってし
か増大させることができない。硬いチョコレートまたは
「スナップ」の大きなチョコレートが望ましい場合、こ
れらの目的を増量剤その他の使用なしで達成するのは難
しい。しかし、そのような添加剤はチョコレートの風味
または口あたりに許容できないほどの悪影響を与えるこ
とが多い。したがって、カカオバターよりも大きな配合
の柔軟性を与え、しかも「チョコレートのような」快い
官能的性質を有する菓子類を与えるカカオバター代用品
を開発することは、非常に有用であると考えられる。
【0009】いくつかのスクロース脂肪酸エステルがカ
カオバターの低カロリー代用品としての使用のために提
案されており、たとえば、米国特許第4,872,87
5号明細書および欧州特許出願第350,981号明細
書に記載されている。
【0010】エステル化エポキシド増量ポリオールが植
物油脂の完全または部分代替物として使用される、脂肪
タイプの官能成分を含む低カロリー食品成物も公知であ
る。このタイプの脂肪代用品は米国特許第4,861,
613号明細書に開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在まで、前
記のような代用物質をカカオバターの代用品としての使
用に適するように、改質し、改良する方法は知られてい
ない。
【0012】
【課題を解決するための手段1】本発明は、脂肪成分を
有する低カロリー食品たとえば菓子類製品であって、該
脂肪成分が脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン組
成物から成り、該組成物が、1グリセリン相当物(eq
uivalent of glycerin)あたりの
オキシプロピレン単位の平均数3〜16、少くとも50
mol%の脂肪酸アシル基が二つ以下の異なるC12〜C
24飽和線状脂肪酸から誘導されるような脂肪酸アシル基
成分、30よりも小さいヨウ素価、前記組成物が、膨張
計測定法によって測定される20℃で50よりも大きく
(より好ましくは、60よりも大きく、もっとも好まし
くは、65よりも大きい)、37℃で10〜20の固体
脂肪指数(solid fat index)を有する
ような、1グリセリン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭
素の平均数と1グリセリン相当物あたりのオキシプロピ
レン単位の平均数との比、を有することを特徴とする食
品を提供する。
【0013】また、本発明によれば、カカオバターと該
カカオバター75重量部に対して少くとも25重量部
(より好ましくは、少くとも225重量部)の前記の脂
肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン組成物とから成
る低カロリーカカオバター代用品が提供される。
【0014】さらに、本発明によれば、カカオバターか
ら成る食品(たとえば、チョコレート組成物のような菓
子類製品)の有効カロリー成分を減少させる方法であっ
て、カカオバターの少くとも一部(好ましくは、少くと
も75wt%)を前記の脂肪酸エステル化プロポキシ化
グリセリン組成物で置換えるように前記食品を配合する
ことから成る方法が提供される。カカオバターを本発明
の脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン組成物で置
換えることにより、少くとも25%、より好ましくは少
くとも50%のカロリー低下が達成できる。
【0015】さらに、本発明によれば、脂肪酸エステル
化プロポキシ化グリセリン組成物であって、好ましくは
塩基性触媒条件下で、1個のグリセリン相当物を3〜1
6個の酸化プロピレン相当物と反応させて、プロポキシ
化グリセリンを生成させ、該プロポキシ化グリセリンを
一つ以上の脂肪酸または脂肪酸誘導体によってエステル
化すること、によって製造され、前記脂肪酸または脂肪
酸誘導体が、生成される脂肪酸エステル化プロキシ化グ
リセリン組成物が、少くとも50mol%の脂肪酸アシ
ル基が二つ以下の異なるC12〜C24飽和線状脂肪酸から
誘導されるような脂肪酸アシル基成分、30よりも小さ
いヨウ素価、膨張計測定法によって測定される、20℃
で50よりも大きく、37℃で10〜20の固体脂肪指
数を有するように選択される脂肪酸エステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物が提供される。好ましくは、前記
プロポキシ化グリセリンの水酸基の少くとも約80%が
エステル化される。
【0016】
【発明の効果】本発明のカカオバター代用品は、天然カ
カオバターに比べて、食べた場合に消化、吸収されてエ
ネルギー価を与えるという傾向が著しく小さい。したが
って、そのような代用品で作られた菓子類は、同重量ま
たは同体積の天然ココアバターを配合した類似の菓子類
に比べてずっと小さな有効カロリーしか有しない。同時
に、このカカオバター模造品は容易に入手でき安価な出
発原料から低コストで簡単に合成されるという利点を有
する。さらに、この模造品は融解特性が天然カカオバタ
ーと非常に良く似ており、したがって室温でのすぐれた
貯蔵およびとり扱い特性と十分な官能品質とを有するチ
ョコレート製品その他の菓子類を与える。
【0017】
【課題を解決するための手段2】さらに、ここでの発見
によれば、本発明のカカオバター代用品は天然カカオバ
ターに比して別の予想外の効果を有する。本発明のカカ
オバター代用品により、天然カカオバターの多形不安定
性の問題が避けられる。カカオバターを含む組成物に普
通に加えられるいろいろな種類の調質条件により、本発
明のカカオバター代用品の安定性はほとんど影響を受け
ず、また調質がまったく行われない場合でもそうであ
る。したがって、カカオバターが事実上完全に本発明の
カカオバター代用品で置換えられた場合には、チョコレ
ート曇りをなくすことができる。調質は少くするかまた
は完全に省くことができ、したがって、バッチ時間を大
きく減少させて、チョコレート加工設備の生産性を向上
させることができる。本発明の好ましい菓子類製品にお
いては、ほとんどまたはまったく調質を必要としないた
だ一つの結晶構造を有するエステル化プロポキシ化グリ
セリン組成物の配合により、多重(すなわち、3重)加
熱−冷却サイクルにおいて、目視できる曇りが少くとも
90%減少する。実際、そのような組成物のいくつか
は、許容できないレベルの曇りの発生なしで急冷するこ
とができる。特に好ましい本発明の実施態様は、通常チ
ョコレート菓子類に曇りを発生させる温度変動に耐える
ことができ、したがってそのようなチョコレート菓子類
の貯蔵安定性を大きく改良する。明瞭な曇りの発生を大
きく(すなわち、少くとも1ヵ月、好ましくは少くとも
6ヵ月)遅らせることができ、あるいは完全に防止する
ことができる。
【0018】本発明のもう一つの予想外の利点は、ここ
に述べるカカオバター代用品を用いて製造したチョコレ
ートは、このチョコレートにすぐれた組織と風味を与え
るのに最小限のコンチング(混練)しか必要としない、
ということである。コンチングに必要な時間は、通常、
数時間から数日にわたるので、本発明は高品質チョコレ
ートの生産速度を大きく高めるものである。本発明のカ
カオバター代用品を含むチョコレートは急速に冷却・固
化する、ということもわかった。このチョコレートは迅
速に型からとり出して包装することができ、したがって
従来のチョコレート加工に比して、さらに加工時間が短
縮される。
【0019】意外なことに、本発明のカカオバター代用
品は、組成(特に成分としてココア粉末を含むもの)に
よっては、天然カカオバターよりもすぐれた風味特性を
有する、ということもわかった。カカオバターを基材と
するチョコレートは、注意深く配合し加工しないと、粘
土のような口あたりと、あとに残る苦みとを示すことが
多い。本発明のエステル化プロポキシ化グリセリン組成
物は、天然カカオバターよりも、すっきりしたココア風
味を与え、かつ甘味のより良い切れを示す傾向がある。
本発明のカカオバター代用品のその他の好ましい性質と
しては、チョコレート風味製品のすぐれた離型、光沢、
およびスナップがあり、また大きな配合の柔軟性を可能
にする穏やかで刺激の強くない風味、および不飽和脂肪
酸アシル基を最小限のレベルでしか含まないことによる
酸化に対する高い安定性、がある。
【0020】本発明の脂肪酸エステル化プロポキシ化グ
リセリン組成物によって与えられるいろいろな利点のす
べてを実現するためには、膨張計測定法によって測定さ
れる固体脂肪指数が20℃で50よりも大きく(より好
ましくは、60よりも大きく、もっとも好ましくは、6
5よりも大きい)、37℃で10〜20であるというこ
とが必須である。以下でさらに詳しく説明するように、
ここでの予想外の発見は、プロポキシ化の程度、および
存在する脂肪酸アシル基の種類と比率を必要に応じて注
意深く制御することにより、脂肪酸エステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物の融解特性と他の性質とを制御す
ることができる、ということである。
【0021】特に、天然カカオバターを用いて製造され
た類似の製品と同程度またはそれ以上に変形ゆがみと室
温での表面斑点形成に抵抗力があり、しかも口に入れた
ときに迅速に融解して十分に粘りけの小さい口あたりを
示すチョコレート製品を与える脂肪酸エステル化プロポ
キシ化グリセリン組成物が実現できる。
【0022】本発明の脂肪酸エステル化プロポキシ化グ
リセリン組成物は、グリセリン残基、オキシプロピレン
単位、および脂肪酸アシル−C(O)R基を含む。一般
に、この組成物は別個の脂肪酸エステル化プロポキシ化
グリセリン化合物の混合物であり、これらの化合物はプ
ロポキシ化の程度とアシル基組成とにおいて互いに異な
りうる。グリセリン残基は一般構造C(O)H2 −C
(O)H−C(O)H2を有することができ、グリセリ
ンC(OH)H2 −C(OH)H−C(OH)H2 また
はグリセリン等価物から誘導される。オキシプロピレン
単位は一般にグリセリル残基とアシル基の間に散在し、
構造−(−CH2 −C(CH3 )H−O−)−または−
(−C(CH3 )H−CH2 −O−)−を有する。一般
に、一つよりも多くのオキシプロピレン単位が個々のグ
リセリル残基の一つの酸素とアシル基との間に存在し
て、ポリオキシプロピレン単位が形成されるようにする
ことができる。しかし、エステル化プロポキシ化グリセ
リンの単一の“枝”または“腕”はただ一つのオキシプ
ロピレン単位しか含むことができない。アシル基の一部
は介在するオキシプロピレン単位なしで直接グリセリル
残基に結合させることができるが、しかし組成物全体で
は平均して1個のグリセリル残基あたり少くとも3個の
オキシプロピレン単位が存在しなければならない。この
エステル化アルコキシ化グリセリン組成物におけるオキ
シプロピレン単位の平均数は3〜16である。オキシプ
ロピレン単位の存在は臨界的である。オキシプロピレン
単位は、この組成物の融点を下げ、したがってオキシプ
ロピレン単位を含まない類似の組成物に比べて口あたり
と融解特性が改良される、というこうに寄与するからで
ある。意外なことに、プロポキシ化の程度が違っている
いくつかの異なる分子種が本発明の組成物全体にわたっ
て存在する(すなわち、グリセリル1個あたりのオキシ
プロピレン単位の平均数が8である組成物は、一般に
5,6,7,8,9,10,11,12個のオキシプロ
ピレン単位を含む種をかなりの比率で含む)場合でも、
この組成物は非常に狭い範囲内で融解する。すなわち、
この組成物は室温では事実上固体であるが、体温では完
全またはほぼ完全に融解し、天然カカオバターの融解挙
動と非常に良く似た挙動を示す。有機化合物の混合物は
一般に広い融解範囲を有するので、この結果は意外なも
のであった。
【0023】カカオバター代用品が温度範囲20〜37
℃において少くとも40(より好ましくは、少くとも5
0)の固体脂肪指数低下を示すように、エステル化プロ
ポキシ化グリセリンの化学組成を選択するのが非常に好
ましい。
【0024】このエステル化プロポキシ化グタセリン組
成物の、アミロプシン酵素触媒加水分解に対する抵抗力
を最大にするためには、アシル基に隣接するオキシプロ
ピレン単位は第1エステル結合ではなく第2エステル結
合が生じるように配向しなければならない。すなわち、
メチル基が酸素原子に結合した炭素原子上に配置され
て、次のようなエステル結合−CH2 −C(CH3
(H)OC(O)R)の部分を形成しなければならな
い。
【0025】好ましくは、組成物全体におけるエステル
結合の少くとも80%を第2エステル結合とする。もっ
とも好ましくは、エステル結合の少くとも95%を第2
エステル結合とする。
【0026】1グリセリン相当物あたり平均少くとも
2.5個(さらに好ましくは、少くとも2.9個)の脂
肪酸アシル基を有するように、このエステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物は強くエステル化するのが好まし
い。エステル化の程度は、通常の分析法たとえばヒドロ
キシル価によって容易に決定することができる。
【0027】この組成物の構造は、この組成物の豚アミ
ロプシン加水分解速度がオリーブ油標準の場合の20%
よりも小さくなるようなものとするのが好ましい。この
相対加水分解速度はオリーブ油速度の10%よりも小さ
いのがさらに好ましい。豚アミロプシン加水分解速度の
測定方法は米国特許第4,861,613号明細書に記
載されている(同明細書を参照されたい)。
【0028】このエステル化プロポキシ化グリセリン組
成物のオキシプロピレン単位の平均数は、直接にグリセ
リル残基に結合するアシル基の割合が大きくなってしま
うほど小さくてはならない。なぜならば、そのような直
接結合アシル基は通常の完全消化性トリグリセリドに含
まれるアシル基とほとんど同程度に酵素開裂を受けやす
く、したがって低カロリー脂肪代用品としてのこの組成
物の有用性が低下するからである。一方、オキシプロピ
レン単位の平均数は16を越えてはならない。なぜなら
ば、天然カカオバターと比べて、生成化合物の融点が相
当に低下するかまたは溶融粘度が相当に高くなり、した
がってカカオバター代用品としての使用が適当でなくな
りうるからである。
【0029】20℃と37℃における固体脂肪指数は、
必要に応じて、組成物中の、1グリセリンあたりのオキ
シプロピレン単位の平均数(プロポキシ化の程度)を変
えることによって調節することができる。脂肪酸アシル
基成分が一定の場合(すなわち、存在する各アシル基の
相対比率が一定の場合)、特定温度における固体脂肪指
数はプロポキシ化の程度が減少すると増大し、プロホキ
シ化の程度が増大すると減少する。1グリセリン相当物
あたりの脂肪酸アシル基炭素の平均数が減少するか、ま
たは組成物のヨウ素価が増大する(存在する不飽和脂肪
酸アシル基の比率増大の結果として)と、1グリセリン
あたりのオキシプロピレン単位の平均数は、20℃にお
ける固体脂肪指数を臨界値50よりも大きく保つため
に、減少する必要がある。ある脂肪酸エステル化プロポ
キシ化グリセリン組成物が37℃で不適当な高い固体脂
肪指数を有する場合、この固体脂肪指数はプロポキシ化
の程度を大きくすることによって臨界値20まで低下さ
せることができ、あるいはこの臨界値よりも小さくする
ことができる。37℃で10よりも小さな固体脂肪指数
を有する組成物においては、プロポキシ化の程度を小さ
くすることが、固体脂肪指数を所望の範囲内に調節する
のに有効である。
【0030】本発明のエステル化プロポキシ化グリセリ
ン組成物におけるアシル基の構造と比率の選択は、その
ような物質がカカオバター模造品として機能する能力に
対して臨界的である。ここでの予想外の発見によれば、
適当に狭い融解範囲を有する組成物を得るためには、異
なる脂肪酸アシル基の数を制限しなければならない。さ
らに、この組成物はC12〜C24飽和線状脂肪酸から誘導
されるアシル基をある最低比率以上含んでいなければな
らない。不飽和または枝分れ脂肪酸アシル基の含有量が
大きいと、融解範囲の許容できない広がりまたは狭まり
が生じるからである。
【0031】この発見は、天然カカオバターは不飽和脂
肪酸であるオレイン酸を大きな比率で含むので、意外な
ことであった。
【0032】これらの理由により、エステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物中の脂肪酸アシル基の少くとも5
0mol%は、二つ以下の異なるC12〜C24(より好ま
しくは、C18〜C22)飽和線状脂肪酸から誘導しなけれ
ばならない。さらに好ましくは、少くとも70mol%
のアアル基を前記のように誘導する。一つの実施態様に
おいては、少くとも50mol%のアシル基が単一のC
12〜C24飽和線状脂肪酸から誘導される。この場合、
「〜から誘導する」という言葉は、アシル基がC12〜C
24飽和線状脂肪酸内に存在するものに似た長鎖ヒドロカ
ルビル構造を有する、ということを意味する。以下で説
明するように、このエステル化プロポキシ化グリセリン
組成物は、実際に、脂肪酸または脂肪酸誘導体たとえば
脂肪酸エステル、脂肪酸ハロゲン化物、もしくは脂肪酸
無水物を用いて製造することができる。一般に、C12
24飽和線状脂肪酸から誘導されるアシル基の比率を大
きくするのが好ましい。組成物中のオキシプロピレンセ
グメントの平均数が大きくなり、20℃における固体脂
肪指数が50よりも大きく(より好ましくは、60より
も大きく、もっとも好ましくは、65よりも大きく)保
たれるからである。
【0033】さらに、ヨウ素価(これは組成物中の不飽
和脂肪酸アシル基の比率を反映する)は、組成物1gあ
たり、30センチグラムI2 よりも小さく、好ましくは
20センチグラムI2 よりも小さく、もっとも好ましく
は10センチグラムI2 よりも小さくなければならな
い。しかし、組成物が過渡に狭い範囲で融解しないよう
にするためには、割合に小さな比率の不飽和脂肪酸アシ
ル基とするのが有効でありうる。ヨウ素価はAOCS方
法Cd1−25によって測定できる。
【0034】C12〜C24飽和脂肪酸は線状(すなわち、
非枝分れ)であり、好ましくはカルボン酸官能基を一つ
だけ含む。したがって、アシル基は一般構造−C(O)
−(CH2 )n−CH3 に対応するものとすることがで
きる。ここで、nは10〜22の整数である。nの値は
偶数(例えば、10,12,14,16,18,20ま
たは22)とするのがもっとも便利である。対応する脂
肪酸が天然供給源たとえば食用トリグリセリドから低コ
ストで簡単に得られるからである。エステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物のこの成分としての使用に適した
脂肪酸の特定例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、
ステアリン酸、パルミチン酸、エイコサン(アラキン)
酸、ヘンエイコサン酸、ドコサン(ベヘン)酸、トリコ
サン酸、およびテトラコサン(リグノセリン)酸がある
が、これらのみには限定されない。これらのC12〜C24
飽和線状脂肪酸の混合物も有効に利用することができ
る。
【0035】エステル化プロポキシ化グリセリン組成物
に含まれるアシル基はすべてC12〜C24飽和線状脂肪酸
から誘導できる(ただし、少くとも50mol%のアシ
ル基が二つ以下の異なるこの種類の酸から誘導されるも
のとする)が、この組成物は他のC8 〜C24脂肪酸から
誘導される少量のアシル基を含むことができる。そのよ
うな他のアシル基比率は40%よりも小さくするのが好
ましい。一般に、長さが割合に短く(C8 〜C18)、不
飽和、および/または枝分れアシル基の含有により、生
成されるエステル化プロポキシ化グリセリンの融点は低
下する傾向がある。
【0036】必要なC12〜C24飽和線状脂肪酸と組み合
わせて随意に使用できる脂肪酸は、任意の公知の脂肪酸
たとえばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、オレ
イン酸、鯨油酸、パルミトレイン酸、ガイレイン酸、エ
ルカ酸、リンシノレイン酸、リノレン酸、ミリストレイ
ン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、またはこれ
らの酸の混合物とすることができる。0〜5個の2重結
合を含む線状モノカルボン酸の使用が好ましい。
【0037】本発明のカカオバター模造組成物に含まれ
る脂肪酸アシル基の比率と化学構造は、膨張計測定法に
よって決定される固体脂肪数が20℃で50(より好ま
しくは、60)よりも大きく、37℃で10(より好ま
しくは、5)よりも小さくなるように選択すべきであ
る。1グリセリン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭素の
平均数と1グリセリン相当物あたりのオキシプロピレン
単位の平均数との比が増大すると、組成物の融解範囲が
高温側にずれ、一方この比が減少すると、融解範囲は低
温側にずれる。したがって、このカカオバター代用品の
融解曲線は、必要に応じてこの比を変えることによりう
まく調節することができる。特定の食品用途において、
カカオバターよりもわずかに高い融解範囲を有する脂肪
が必要な場合、このエステル化プロポキシ化グリセリン
の化学組成は、そのような修正特性を達成するために必
要に応じて調節することができる。
【0038】本発明のエステル化プロポキシ化グリセリ
ン組成物における1グリセリン相当物あたり脂肪酸アシ
ル基炭素の平均数は、脂肪酸アシル基成分に関する知識
(すなわち、組成物製造に使用する脂肪酸の化学構造と
相対比率)から容易に計算することができる。脂肪酸A
とBを用いて製造されるエステル化プロポキシ化グリセ
リン組成物におけるこの平均数の計算には、次式 数1
を使用することができる。
【0039】
【数1】
【0040】たとえば、1.5モルのステアリン酸(C
18脂肪酸)と1.5モルのエイコサン酸(C20脂肪酸)
との混合物を、1グリセリンあたり平均7個のオキシプ
ロピレン単位を含むプロポキシ化グリセリン1モルと反
応させることによって製造される組成物は、1グリセリ
ン相当物あたり平均57個の脂肪酸アシル基炭素を有す
ることになる。
【0041】本発明のエステル化プロポキシ化グリセリ
ンカカオバター代用品の有効カロリー成分を最小限にお
さえるためには、化学組成を、数平均分子量が少くとも
約750になるように選択すべきである。さらに好まし
くは、この最小分子量を約1000とする。このエステ
ル化プロポキシ化グリセリン組成物によってカカオバタ
ーの物理的性質(たとえば溶融粘度と硬さ)が可能なか
ぎり近似されるようにするためには、数平均分子量が約
2300を越えないようにすることも望ましい。好まし
くは、この分子量を約2000よりも小さくする。
【0042】本発明の好ましい実施態様には、次の組成
物が含まれる。
【0043】脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン
組成物であって、1グリセリン相当物あたりのオキシプ
ロピレン単位の平均数3〜7(より好ましくは、4〜
6)、(a)少くとも70mol%の脂肪酸アシル基が
二つ以下の異なるC18〜C24飽和線状脂肪酸から誘導さ
れ、(b)35〜65mol%の脂肪酸アシル基がステ
アリル基であり、(c)20〜45mol%の脂肪酸ア
シル基がベヘニル基であるような脂肪酸アシル基成分、
10よりも小さいヨウ素価、前記組成物が、膨張計測定
法によって測定される20℃で60よりも大きく、37
℃で10〜20の固体脂肪指数を有するような1グリセ
リン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭素の平均数の比
(好ましくは、54〜62)、を有する組成物。
【0044】本発明のエステル化プロポキシ化グリセリ
ンカカオバター代用品は、任意の適当な方法によって製
造することができる。一般に、他のエステル化プロポキ
シ化グリセリン組成物の合成のために先行技術で述べら
れている方法は、エステル化工程で、必要な比率のC12
〜C24飽和線状脂肪酸または脂肪酸誘導体が使用される
ならば、使用するのに適当である。そのような方法はた
とえば米国特許第4,861,613号、第4,98
3,329号、および第5,175,323号明細書に
記載されている。これらの明細書を参照されたい。本発
明によるエステル化プロポキシ化グリセリンの混合物か
ら成る低カロリーカカオバター代用品は、前記明細書に
記載されているエステル化法の応用または変形によって
得ることができる。たとえば、適当なプロポキシ化の程
度を有するプロポキシ化グリセリンは、生成される混合
物中の脂肪酸アシル基の少くとも約50mol%(さら
に好ましくは、少くとも約70mol%)が二つ以下の
異なるC12〜C24飽和線状脂肪酸から誘導されるように
選択された脂肪酸等価物によってエステル化される。そ
の他の脂肪酸アシル基が存在する場合、C12〜C24飽和
線状脂肪酸ではなくC8 〜C24脂肪酸から誘導すること
ができる。前記明細書に詳しく説明されているように、
脂肪酸または脂肪酸等価物たとえば脂肪酸エステル、脂
肪酸ハロゲン化物、または脂肪酸無水物を、実際にエス
テル化において使用することができる。C12〜C24飽和
線状脂肪酸アシル基は、エステル化工程でC12〜C24
飽和脂肪酸を使用し、次にエステル化プロポキシ化グリ
セリン組成物を水素化してC12〜C24飽和線状脂肪酸ア
シル基の比率を所望のレベルまで増大させることによっ
ても導入することができる。エステル化後に組成物中に
残っている残留遊離脂肪酸は、好ましくは可能なかぎり
除去または減少させて、異香、異臭、または貯蔵安定性
に関する問題が最小限におさえられるようにするべきで
ある。
【0045】本発明による使用に適した脂肪酸エステル
化プロポキシ化グリセリン組成物は、二つ以上の異なる
脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン組成物を別々
に合成してから、そのような別々の組成物を、所望の構
造特性またはSFI特性を実現するのに必要な割合で、
配合、混合、または別の方法で組合わせることによって
も、首尾よく得ることができる。たとえば、菓子類配合
物は、一つの割合に高融点のエステル化プロポキシ化グ
リセリン組成物と第2の割合に低融点のエステル化プロ
ポキシ化グリセリン組成物とを製造してから、特定の最
終用途使用のための最適特性が達成されるまで、前記菓
子類配合物でカカオバターの代用品として前記二つの組
成物をいろいろな割合で使用することよって、容易に最
適化することができる。
【0046】本発明の脂肪酸エステル化プロポキシ化グ
リセリン組成物は、菓子類製品たとえばチョコレートに
おけるカカオバターの完全または部分代用品としての使
用に特に適している。一般に、チョコレートは20〜5
5wt%(より好ましくは、25〜40wt%)の脂肪
成分から成っている。有効カロリー成分の大きな減少を
実現するためには、一般に脂肪成分の少くとも25wt
%を本発明の脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン
組成物とするのが好ましい。必要であれば、このカカオ
バター代用品の量を、菓子類製品の全脂肪の100%ま
で占めるようにすることができる。脂肪成分の残りは、
カカオバターまたは別のカカオバター代用品、等価物、
もしくは模造品(たとえば、イリッペ(illipe)
バター誘導体、スクロースポリエステル、カプレニン、
その他)、または他の天然または合成脂質とすることが
できる。これらの脂質は、純粋な形で直接に、導入する
ことができあるいは食品成分の要素としてたとばカカオ
バターを含むチョコレート液(chocolate l
iquor)もしくはココア粉末、またはミルク脂肪を
含む粉ミルク(milk solids)の要素とし
て、導入することができる。
【0047】好ましい実施例においては、曇り形成に対
して抵抗力が大きく(すなわち、調質を必要としな
い)、すぐれたチョコレート風味と組織を実現するため
にコンチングを必要としないチョコレート組成物を製造
することができ、この組成物は、20〜50wt%(よ
り好ましくは、25〜40wt%)の脂肪成分と、砂
糖、水、香辛料、粉ミルク、乳化剤、ダイエット繊維、
増量剤、ビタミン、糖アルコール、および低カロリー甘
味料から選択される残りの少くとも一つの添加成分とか
ら成る。脂肪成分自体は、少くとも75wt%のエステ
ル化プロポキシ化グリセリン組成物、25wt%までの
カカオバター、および25wt%までのミルク脂肪から
成る。好ましくは、カカオバターとミルク脂肪の量はど
ちらも15wt%よりも小さくする。
【0048】意外なことに、本発明の脂肪酸エステル化
プロポキシ化グリセリン組成物は天然カカオバターに対
して著しい相溶性を示し、また天然カカオバターの融解
特性または風味に悪影響を与えることなく、天然カカオ
バターに任意の比率で配合することができる。この配合
物の重要な部分(たとえば25wt%よりも大)がカカ
オバターである場合、最終食品において最適の外見と風
味とを実現するために、ある程度の調質および/または
コンチングが必要となりうる。
【0049】この脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセ
リン組成物から成る脂肪成分のほか、食品は、さらに、
一つ以上の通常の食品、菓子類、またはチョコレート成
分を含むことができ、たとえば、砂糖(たとえば、スク
ロース、フルクトース、グルコース、マルトース)、
水、香辛料たとえばココア粉末、チョコレート液、カカ
オマス、バニラまたは堅果または果物香辛料、粉ミルク
(脱脂乳、スキムミルク、または全乳)、乳化剤たとえ
ばレシチン、酸化防止剤、ダイエット繊維、ビタミン
(特に脂肪溶解性ビタミンたとえばビタミンA,D,
E,およびK)、増量または増粘剤(たとえばポリデキ
ストロース、ラクチトール、イソマルト、イソマルトゥ
ロース、ポリグルコース、ポリマルトース、カルボキシ
メチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アラ
ビノガラクタン、微結晶セルロース、または改質デンプ
ン)、食塩、その他を含むことができる。成分たとえば
ココア粉末、粉ミルク、またはチョコレートリキュール
中に存在する脂肪はすべて脂肪成分の一部であると見な
す。糖アルコールたとえばソルビトール、キシリトー
ル、もしくはマンニトール、または低カロリー甘味料た
とえばサッカリン、アスパルタム、シクラメイト、スク
ラロース、アセスルファム、アセスルファム−K、その
他も、本発明のエステル化プロポキシ化グリセリン組成
物と組み合せて使用することができる。
【0050】本発明による食品は、公知の加工方法と技
術を用いて、標準配合のカカオバター成分を前記の脂肪
酸エステル化プロポキシ化グリセリンカカオバター模造
品で置換えることにより容易に製造することができる。
そのような方法は、たとえば、「Zoumasら、“C
hocolate and Cocoa”,Encyc
iopedia of Chemical Techn
ology,Vol.5,pp1−19(1979)」
および「Minifie,Chocolate,Coc
oa and Confectionavy Scie
nce andTechnology,Avi Pub
lishing Co.(1970)」に記載されてい
る。これらの刊行物を参照された。一般に、脂肪酸エス
テル化プロポキシ化グリセリン組成物1部によって、直
接前記配合におけるカカオバター1部を置換えることが
できる。
【0051】本発明の組成物は、ミルクチョコレートお
よびスイート(ダーク)チョコレートの製造において特
に有用である。焼き製品たとえばクッキー、ケーキ、ド
ーナッツ、ペーストリー、カップケーキに使用するチョ
コレートころも(coating)も容易に製造するこ
とができる。また、この脂肪酸エステル化プロポキシ化
グリセリンカカオバター代用品は、ころもで被覆する
(enrobing)ための組成物にも使用することが
できる。各種の糖菓およびキャンディーの製造にチョコ
レート組成物を使用する通常の方法がどれでも使用でき
る。そのような方法としては、たとえば、型作り(液体
チョコレートを型に注入してから冷却し、型を除去し
て、固体ブロック、中空シェル、または菓子類材料たと
えばフォンダン、ファッジ、またはキャラメルが詰めら
れたシェルを作る)、ころも被覆(菓子類の芯を、液体
チョコレートカーテンを通過させてから冷却することに
より、菓子類の芯をチョコレートで被覆する)、または
パンニング(回転パンが使用され、菓子類芯が回転して
なだれを打つように相互に動きまわる一方、回転中にチ
ョコレートが手またはスプレーによって塗布され、回転
パンに当たられる冷却空気によって固められる)があ
る。この脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン組成
物から成るチョコレート組成物は、必要に応じて調質ま
たは種付けすることにより、所望の口あたりと安定性を
得ることができる。
【0052】以上の説明により、当業者は、容易に本発
明の本質的特徴を確認することができ、また本発明の意
図と範囲を逸脱することなく、本発明にいろいろな変更
を加えて、各種の使用、条件、および実施態様に適合さ
せることができる。
【0053】
【実施例】以下に示す例は本発明のカカオバター模造品
と食品組成物をさらに詳しく説明するものであるが、ど
のような意味でも本発明を限定するものではない。
【0054】例1,2 本発明による二種類のエステル化プロポキシ化グリセリ
ン組成物を、米国特許第4,983,392号明細書記
載のエステル化法を用いて、1グリセリン相当物あたり
平均約5オキシプロピレン単位を含むプロポキシ化グリ
セリンを、水素化した高エルカ酸濃度セイヨウアブラナ
油脂肪酸(脂肪酸供給源A)と水素化したカノラ油脂肪
酸(脂肪酸供給源B)との混合物と反応させることによ
って製造した(プロポキシ化グリセリンの事実上完全な
エステル化を達成するのに十分な脂肪酸を使用した)。
これらの組成物は、表1に示す脂肪酸アシル基分布と膨
張計測定法による固体脂肪指数値とを示した。各組成物
の融解曲線を図1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】例3 本発明による「砂糖なしの」低カロリーチョコレートこ
ろもを、表2の成分と通常の加工法とを用いて、製造し
た。
【0057】
【表2】成 分 重量部 ココア粉末 5.7 結晶ソルビトール 40.3 脱脂粉乳 22.0 例1の組成物 31.5 レシチン 0.5
【0058】例4 例1のエステル化プロポキシ化グリセリン組成物を用い
て、表3の配合でダークチョコレートを作った。
【0059】
【表3】 wt% 成 分 ココア粉末(Hershey) 17.50 砂糖(微粉砕) 46.77 エステル化プロポキシ化グリセリン 35.39 レシチン 0.31 バニリン(Florasynth) 0.03 合 計 100.00
【0060】手順 ココア粉末、砂糖、およびバニリ
ンを低速で混合して、ブレンドする。エステル化プロポ
キシ化グリセリンを融解させて、60〜71℃(140
〜160°F)に加熱し、ココア−砂糖混合物に加え
る。完全にブレンドしてから、レシチンを加え、この混
合物を十分に混合して流体とする。次に、この混合物を
3ロールリファイナーに注いでこれを通過させ、粒子寸
法が約25μmとなるようにする。精砕したチョコレー
トをダブルボイラー内で71℃(160°F)で再融解
させてから、十分に混合して、組織の滑らかな流体とな
るようにする。次に、必要であれば0.20%以下のレ
シチンを追加し、49℃(120°F)での降伏値が1
50dyn/cm2 の所望の粘度が保証されるようにす
る。チョコレートを型に注ぎ、型を振動させて、チョコ
レート中にとり込まれた気泡がすべて放出されるように
する。13〜17℃(55〜62°F)の室内において
循環空気中で冷却させたあと、チョコレートを型からと
り出す。
【0061】例2のエステル化プロポキシ化グリセリン
組成物を用いて、表4の配合でミルクチョコレートを作
った。
【0062】
【表4】 wt% 成 分 ココア粉末(Hershey) 7.00 砂糖(微粉砕) 44.32 脱脂粉ミルク(Carnation) 14.06 食塩、微粉 0.19 エステル化プロポキシ化グリセリン 33.95 レシチン 0.45 バニリン(Florasynth) 0.03 合 計 100.00
【0063】手順 ココア粉末、砂糖、脱脂粉ミルク、食塩、およびバニリ
ンをHobartボウル内で低速混合し、ブレンドす
る。エステル化プロポキシ化グリセリンの一部(30.
95%)を融解させて、71℃(160°F)に加熱
し、ココア−砂糖混合物に加える。十分にブレンドして
から、レシチンの一部(0.30%)を加え、この混合
物を完全に混合して、流体とする。この混合物を3ロー
ルリファイナーに2回通し、約25μmの粒子寸法とな
るようにする。精砕したチョコレートをダブルボイラー
内で71℃(160°F)で再融解させて、十分に混合
し、組織の滑らかな流体とする。融解、71℃(160
°F)への加熱後、エステル化プロポキシ化グリセリン
の残りの部分を加える。必要であれば、0.25%以下
のレシチンを追加し、49℃(120°F)での降伏値
が150dyn/cm2の粘度が達成されるようにす
る。このミルクチョコレートを型に注ぎ、型を振動させ
て、チョコレート内にとり込まれた気泡がすべて放出さ
れるようにする。13〜17℃(55〜62°F)の室
内において循環空気中で冷却させたあと、チョコレート
を型からとり出す。
【0064】このようにして得られる成形ダークおよび
ミルクチョコレート製品は、十分に成形された硬くて光
沢のあるチョコレートで、折ったときにすぐれた「スナ
ップ」を示す、と期待される。このチョコレートは、甘
みの迅速な切れとこくのあるチョコレート風味を与える
はずである。このチョコレートの光沢ある外観とすぐれ
た風味は、箔に軽く包まれた、周期的冷却−室温条件下
での長期の室温貯蔵後においても、保存されると期待さ
れる。これに対して、エステル化プロポキシ化グリセリ
ンのかわりにカカオバターを用いて作ったチョコレート
においては、製造中に調質を使用した場合でも、製造後
二日以内に脂肪曇りが発生する。
【図面の簡単な説明】
【図1】天然カカオバターの固体脂肪指数を、温度範囲
10〜40℃において、いくつかの脂肪酸エステル化プ
ロポキシ化グリセリン組成物の固体脂肪指数と比較した
図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】例1,2 本発明による二種類のエステル化プロポキシ化グリセリ
ン組成物を、米国特許第4,983,392号明細書記
載のエステル化法を用いて、1グリセリン相当物あたり
平均約5オキシプロピレン単位を含むプロポキシ化グリ
セリンを、水素化した高エルカ酸濃度セイヨウアブラナ
油脂肪酸(脂肪酸供給源A)と水素化したカノラ油脂肪
酸(脂肪酸供給源B)との混合物と反応させることによ
って製造した(プロポキシ化グリセリンの事実上完全な
エステル化を達成するのに十分な脂肪酸を使用した)。
これらの組成物は、表1に示す脂肪酸アシル基分布と膨
張計測定法による固体脂肪指数値とを示した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】削除
フロントページの続き (71)出願人 593208555 シーピーシー インターナショナル イン コーポレーテッド アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07632 イングルウッド クリフス イン ターナショナル プラザ ピー オー ボ ックス 8000 (72)発明者 チャールズ エフ クーパー アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 19301 パオリ ウイスター ロード 26 (72)発明者 バーナード シー セキューラ アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08829 ハイ ブリッジ シルバン ロー ド 25 エイ (72)発明者 リチャード エイ オームスビー アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07062 ノース プレインフィールド フ ァラガット ロード 170 (72)発明者 クリスチーナ ユー タンシボク アメリカ合衆国 ニュージャージー州 07083 ユニオン コードウエル アベニ ュー 892

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪成分を有する菓子類製品であって、
    該脂肪成分が脂肪酸エステル化プロポキシ化グリセリン
    組成物から成り、該組成物が、1グリセリン相当物あた
    りのオキシプロピレン単位の平均数3〜16、少くとも
    50mol%の脂肪酸アシル基が二つ以下の異なるC12
    〜C24飽和線状脂肪酸から誘導されるような脂肪酸アシ
    ル基成分、30よりも小さいヨウ素価、前記組成物が、
    膨張計測定法によって測定される20℃で50よりも大
    きく、37℃で10〜20の固体脂肪指数を有するよう
    な、1グリセリン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭素の
    平均数と1グリセリン相当物あたりのオキシプロピレン
    単位の平均数との比、を有することを特徴とする菓子類
    製品。
  2. 【請求項2】 前記脂肪成分が事実上前記脂肪酸エステ
    ル化プロポキシ化グリセリン組成物から成ることを特徴
    とする請求項1の菓子類製品。
  3. 【請求項3】 前記脂肪成分がさらにカカオバターを含
    むことを特徴とする請求項1の菓子類製品。
  4. 【請求項4】 (a)脂肪酸エステル化プロポキシ化グ
    リセリン組成物と、(b)少くとも一つの添加成分とか
    ら成るチョコレート組成物であって、前記(a)の組成
    物が、1グリセリン相当物あたりのオキシプロピレン単
    位の平均数3〜16、少くとも70mol%の脂肪酸ア
    シル基が二つ以下の異なるC18〜C24飽和線状脂肪酸か
    ら誘導されるような脂肪酸アシル基成分、10よりも小
    さいヨウ素価、前記(a)の組成物が、膨張計測定法に
    よって測定される20℃で65よりも大きく、37℃で
    10〜20の固体脂肪指数を有するような、1グリセリ
    ン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭素の平均数と1グリ
    セリン相当物あたりのオキシプロピレン単位の平均数と
    の比、を有し、前記(b)の添加成分が、砂糖、水、香
    辛料、粉ミルク、乳化剤、ダイエット繊維、ビタミン、
    増量剤、糖アルコール、脂質、および低カロリー甘味料
    から成るグループから選択されること、を特徴とするチ
    ョコレート組成物。
  5. 【請求項5】 (a)25〜40wt%の脂肪成分と
    (b)少くとも一つの添加成分とから成る曇りに対して
    抵抗力の大きなチョコレート組成物であって、前記
    (a)の脂肪成分が、(i)少くとも75wt%の脂肪
    酸エステル化プロポキシ化グリセリン組成物、(ii)
    25wt%までのカカオバター、および(iii)25
    wt%までのミルク脂肪、から成り、前記(i)の組成
    物が、1グリセリン相当物あたりのオキシプロプレン単
    位の平均数3〜16、少くとも70mol%の脂肪酸ア
    シル基が二つ以下の異なるC18〜C24飽和線状脂肪酸か
    ら誘導されるような脂肪酸アシル基成分、10よりも小
    さいヨウ素価、前記(i)の組成物が、膨張計測定法に
    よって測定される20℃で65よりも大きく、37℃で
    10〜20の固体脂肪指数を有し、固体脂肪指数が温度
    範囲20℃〜37℃において少くとも50だけ減少する
    ような、1グリセリン相当物あたりの脂肪酸アシル基炭
    素の平均数と1グリセリン相当物あたりのオキシプロピ
    レン単位の平均数との比、を有し、前記(b)の添加成
    分が、砂糖、水、香辛料、粉ミルク、乳化剤、ダイエッ
    ト繊維、増量剤、ビタミン、糖アルコール、および低カ
    ロリー甘味料から成るグループから選択される、ことを
    特徴とするチョコレート組成物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004357616A (ja) * 2003-06-06 2004-12-24 Ezaki Glico Co Ltd ココアパウダーの処理方法及び粉末調整ココアの製造方法

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JP2004357616A (ja) * 2003-06-06 2004-12-24 Ezaki Glico Co Ltd ココアパウダーの処理方法及び粉末調整ココアの製造方法

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