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JPH07117653A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

Info

Publication number
JPH07117653A
JPH07117653A JP26631993A JP26631993A JPH07117653A JP H07117653 A JPH07117653 A JP H07117653A JP 26631993 A JP26631993 A JP 26631993A JP 26631993 A JP26631993 A JP 26631993A JP H07117653 A JPH07117653 A JP H07117653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
wheel speed
fluid pressure
brake
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26631993A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Nanahara
賢司 七原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP26631993A priority Critical patent/JPH07117653A/ja
Publication of JPH07117653A publication Critical patent/JPH07117653A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 PIまたはPID制御によるABS制御で、
過減圧現象の発生等を防ぐブレーキ液圧制御装置を提供
する。 【構成】 装置は、車輪速Vwと目標車輪速Vwoの偏
差εを算出し(ステップ104)、PID制御によりA
BS制御を行う。ABS減圧量ΔPabsは偏差εに応
じて得られる積分成分Ki・∫εを一要素としてΔPa
bs=ΔPi+ΔPp+ΔPdで算出する(同107)
が、ABS制御をかかるPID制御で行う場合に、車輪
速と目標車輪速が等しくなったら積分項のΔPiを0と
する(同106,120,107)。車輪速と目標車輪
速が等しくなった時に、積分項(I項)を0とすること
から、過減圧現象をなくすことが可能となり、急制動時
でも車輪速復帰後に過減圧現象が発生し制動力が鈍るの
が避けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブレーキ液圧制御装
置、特に制動時の車輪ロックを防止するようアンチスキ
ッド制御を行う車両のブレーキ液圧制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】車両のブレーキ液圧を制御するブレーキ
液圧制御として、例えば特開平4−87867号公報に
記載の如きものがある。
【0003】図6はその構成を線図的に示し、同図中、
1はブレーキペダル、2はマスターシリンダで、ブレー
キペダル1の踏力に応じたマスターシリンダ2からのマ
スターシリンダ液圧Pmをパイロット圧として一方向
(増圧方向)に受け、更に同方向にばね3のばね力Fs
piを受け、他方向(減圧方向)にソレノイド4の電磁
力Fsoおよびばね5のばね力Fspdを受けて、これ
らによる力のバランスにより、ポンプ6からの液圧を元
圧として車輪7のホイールシリンダ(W/C)8へのブ
レーキ液圧Pwを決定する段付きスプール式液圧制御弁
9を有する。
【0004】ここで、作動原理を式で示せば、液圧制御
弁9に作用する力の釣合式から、ブレーキ液圧Pwは、
マスターシリンダ液圧受圧面積をAm、ブレーキ液圧受
圧面積をAwとすると、次式で表される。
【数1】 Pw=(Am/Aw)Pm +(Fspi−Fspd−Fso)/Aw ・・・(1) この式から明らかなように、この装置において、ブレー
キ液圧Pwはマスターシリンダ液圧Pmに対し図7の如
くに制御される。そして通常は、(1)式の右辺第2項
が0になるようソレノイド4への電流IをFso=Fs
pi−Fspdが達成される基準電流Ibに設定し、こ
れによりa特性を生起させる。この場合、ブレーキ液圧
Pwはマスターシリンダ液圧Pmを(Am/Aw)倍し
た値になる。
【0005】ソレノイド電流Iを基準電流Ibより大き
くすると、その増大量△Iに応じた電磁力Fsoの増大
により、ブレーキ液圧Pwは、a特性から対応した値だ
け低下したb特性に沿って制御され、逆にソレノイド電
流Iを基準電流Ibより小さくすると、その減少量に応
じた電磁力Fsoの低下により、ブレーキ液圧Pwは、
a特性から対応した値だけ上昇したc特性に沿って制御
される。
【0006】上記ソレノイド電流Iはコントローラ10
によりこれを決定するところ、車輪ロック回避のため減
圧制御するアンチスキッド(ABS)制御では、該コン
トローラ10は車輪速センサ11から得られる車輪速等
を基に目標ブレーキ液圧変化量を算出し、ソレノイド電
流Iを制御してブレーキ液圧Pwの制御をする。
【0007】従って、例えば図7において減圧制御の場
合なら、スリップ防止に必要なブレーキ液圧の減圧量△
P1を算出し、この減圧を達成するためにそれに見合っ
た分だけソレノイド電流Iを現在値(図7では基準電流
Ib)から△Iだけ増大して、ブレーキ液圧Pwをか
らへと低下させることにより、所要の減圧が実現され
る。このように電流Iを△I増やすことにより、マスタ
ーシリンダ液圧Pmが同図にPm1に示す値に保たれて
いても、ブレーキ液圧Pwは△P1減圧され、車輪のス
リップを回避するアンチスキッド制御を行うことができ
る。
【0008】なお、アンチスキッド制御領域でのヨーレ
イトフィードバック制御では、以下の如くにすると車両
のヨーレイトフィードバック制御を行うことができるこ
とになる。即ち、コントローラ10は、ステアリングホ
イール操舵角及び車速から車両が本来生ずるべきヨーレ
イト目標値を演算し、ヨーレイトセンサから得られる車
両の実ヨーレイトを当該目標値に一致させるための左右
輪制動力差を求める。そして、この制動力差を生起させ
るために例えば左右輪のうち一方のブレーキ液圧Pwを
ソレノイド電流Iの増大により減圧するものであり、か
かる液圧制御弁9によるアクチュエータは、こうした制
御も行うことができる。また、非アンチスキッド制御領
域の場合、逆にソレノイド電流Iを減少させブレーキ液
圧Pwを増圧させることにより、必要な左右輪制動力差
を得ることも可能である。
【0009】このようにソレノイド電流Iの増大により
減圧したり、あるいはソレノイド電流Iの減少により増
圧したりし、ヨーレイトフィードバック制動力制御をも
って制動中における車両のヨーレイトを目標値に一致さ
せることができる。
【0010】ここで、上記構成では、液圧制御弁9はマ
スターシリンダ液圧Pmをパイロット圧とし、これに基
づきブレーキ液圧Pwを制御する方式であるため、たと
え上記ヨーレイトフィードバック制御中でも、運転手が
ブレーキペダルを操作することにより、マスタシリンダ
圧Pmが変化し、ブレーキ液圧Pwも変化することが利
点である。コントローラ10によるブレーキ液圧Pwの
制御中に運転者が制動力の変更を希望して、ブレーキペ
ダル1の踏み込み力を変更した場合、これに伴うマスタ
ーシリンダ液圧Pmの変化がブレーキ液圧Pwの変化に
対応するようにし、従ってコントローラ10による制御
中でもブレーキペダル操作に対応した制動力変化を生じ
させられる。よって、ヨーレイトフィードバック中で
も、運転手の意志に即したブレーキ力を得ることができ
る。
【0011】また、上記装置のブレーキ液圧制御特性
は、マスターシリンダ液圧Pmをパラメータとし、ソレ
ノイド電流Iに対する変化特性として表すと、図8に示
す如きものとなる。これは他の利点の一つを示すもので
もあり、マスターシリンダ液圧違いによる制御電流Iに
対するブレーキ液圧の関係が図示の関係になっているこ
とを表す。この図から明らかなように、制御の目的上必
要なブレーキ液圧の変化目標値△Pwを達成するための
ソレノイド電流変更量△I、即ち目標減圧量(または増
圧量)に対する制御電流量が、マスターシリンダ液圧P
mの値に関係なく目標ブレーキ液圧変化量△Pwのみで
一義的に決まり、これにより、制動時における現在のブ
レーキ液圧Pw、マスターシリンダ液圧Pmが判らなく
ても、狙いとする減圧制御が容易に可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、制動時、ブ
レーキ液圧を車輪の制動ロックが生じないように、ロッ
クしそうなら減圧し車輪速が回復すれば増圧するよう制
御する場合において、実車輪速と目標車輪速の偏差が0
となるように、例えば、比例・積分・微分(PID)制
御によりアンチスキッド制御を行うなら、その制御則で
の目標ブレーキ液圧変化量の設定については、 「ABS制御則による目標ブレーキ液圧変化量」=「車
輪速度と目標車輪速度の偏差」×「定数1」+「車輪速
度と目標車輪速度の偏差の積分値」×「定数2」+「車
輪速度と目標車輪速度の偏差の微分値」×「定数3」 とすることができる。
【0013】このような制御則において、比例項、積分
項、微分項の定数を最適な値に選定することで良好な制
御動作が得られるが、その一方、一律にそれに従って制
御量を算出、決定しブレーキ液圧アクチュエータの駆動
をなすとき、積分項の位相が遅れて発生するため、偏差
が零となっても、その後影響が発生してしまい、その影
響の如何によっては、ABS制御精度の低下、制動力が
鈍るなどといった場合を生ずる。特に急激な車輪速変化
を伴う急制動での制御作動の際、その急制動時の車輪速
の落込みが、ABS制御則の中で減圧方向の偏差として
たまると、車輪速復帰後に過減圧現象が発生し、制動力
も鈍り、その分、できるだけ速く減速したいと運転者が
ブレーキペダルを強く踏んでいる場面での制動減速度を
確保しにくくなる。
【0014】本発明は、上述のような点に鑑みてなされ
たもので、たとえ急制動時のアンチスキッド制御でもか
かる過減圧現象の発生等を避け得て、車輪速度と目標車
輪速度の偏差を用いてアンチスキッド制御をPIまたは
PID制御により行う場合でもこれを適切に達成するこ
とのできるブレーキ液圧制御装置を提供しようとするも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
ブレーキ液圧制御装置が提供される。即ち、車輪速度と
目標車輪速度との偏差を算出し、PI制御またはPID
制御によりアンチスキッド制御を行うよう、アクチュエ
ータにより制動時のブレーキ液圧を制御する制御装置で
あって、前記算出偏差の積分値に応じた積分成分を前記
PI制御またはPID制御における積分項としてブレー
キ液圧の制御量を算出するとともに、車輪速度と目標車
輪速度が等しくなったら該積分項を0として制御量の算
出を行う制御量算出手段を有することを特徴とするブレ
ーキ液圧制御装置である。
【0016】
【作用】本発明においては、車輪速度と目標車輪速度と
の偏差を算出し、PI制御またはPID制御によりアン
チスキッド制御を行うよう、アクチュエータにより制動
時のブレーキ液圧を制御するが、制御量算出手段は、そ
の偏差の積分値に応じた積分成分をPI制御またはPI
D制御における積分項としてブレーキ液圧の制御量を算
出し、かつまたその場合、車輪速度と目標車輪速度が等
しくなったら積分項を0として、その制御量の算出を行
う。
【0017】よって、本ブレーキ液圧制御では、アンチ
スキッド制御を車輪速度と目標車輪速度の偏差を用いる
PIまたはPID制御により行うことができるととも
に、急激な車輪速の落込みを伴う急制動の場合のアンチ
スキッド制御作動時でも、その積分項を車輪速度と目標
車輪速度が等しくなったときに0とし得て、車輪速回復
時の過減圧現象を容易に防ぐことが可能で、制動時に制
動力が鈍るなどするのも回避される。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1乃至図3は、本発明ブレーキ液圧制御装
置の一実施例で、図1はハードウエア構成を示す。ま
た、図2は制御ブロック線図、図3はコントローラの制
御プログラムのそれぞれ一例である。
【0019】なお、図1では1個の車輪に係わるブレー
キ液圧制御系のみを示すが、他チャンネルについても、
同様のブレーキ液圧制御系が存在するものであり、アン
チスキッド制御(ABS制御)が例えば4チャンネル4
センサ方式のものなら、車両の他の3車輪についても同
様のブレーキ液圧制御系が存在し、前輪側及び後輪側の
各左右輪についての計4系統が存在すること勿論であ
る。
【0020】本実施例装置では、図1に示す如く、ハー
ドの基本構成については図6の場合と同様であってよ
く、ここでは、限定的でなく、適用するアクチュエータ
として、図6乃至図8につき前述した作動原理((1)
式)及び液圧制御特性のものを用いるものとし、同様の
部分には同一の符号を付してある。
【0021】従って、図1の液圧制御弁9も、マスター
シリンダ液圧Pmをパイロット圧とし、またソレノイド
4により外部制御可能な比例圧力制御弁であって、ブレ
ーキ操作力に応じたマスターシリンダ液圧Pmをパイロ
ット圧とし、圧力源としてのポンプ6からの圧力を元圧
としてブレーキ作動圧を作り出し、このブレーキ作動圧
を、パイロット圧と対向する向きに作用するソレノイド
4による制御力の加減により制御可能な液圧制御弁であ
る。
【0022】即ち、液圧制御弁9は、ブレーキペダル1
の踏力に応じたマスターシリンダ(M/C)2からのマ
スターシリンダ液圧Pmをパイロット圧として一方向
(増圧方向)に受け、更に同方向にばね3のばね力(F
spi)を受け、他方向(減圧方向)にソレノイド4の
電磁力(Fso)及びばね5のばね力(Fspd)を受
けて、これらによる力のバランスにより、前記(1)式
に基づきポンプ6からの液圧を元圧として車輪7のホイ
ールシリンダ(W/C)8へのブレーキ液圧Pwを生成
させる。こうして、マスターシリンダ2はブレーキペダ
ル1の踏み込みによるブレーキ操作に連動して、その操
作力に応じたブレーキ操作力対応圧であるマスターシリ
ンダ液圧Pmを液圧制御弁9へパイロット圧として与
え、ホイールシリンダ7は液圧制御弁9で得られるブレ
ーキ液圧Pwによって作動され、該液圧に応じた制動力
を対応車輪に生起させるものとする。
【0023】かかる液圧制御弁9で供給液圧を調圧する
ことによりホイールシリンダ圧を制御するための上記ソ
レノイド4への通電量Iは、マイクロコンピュータ及び
アクチュエータ駆動回路等で構成されるコントローラ6
1により決定する。ここに、コントローラ61は、液圧
制御弁9の制御に関し、演算処理部61aとパワーアン
プ61bを含み、ソレノイド電流Iを供給するパワーア
ンプ61bに入力すべき指令電圧Ve(CMD)はマイ
クロコンピュータのその演算処理部61aでこれを算出
し、出力する。
【0024】コントローラ61には、対応車輪の回転周
速を検出する車輪速センサ11からの信号等を入力し、
コントローラ61は予めマイクロコンピュータの記憶部
に格納された制御プログラムに従い演算処理を遂行し、
入力される車輪速情報を基に対応車輪の車輪速を目標車
輪速となるように、ABS制御を実行する。
【0025】4チャンネル4センサ方式のABS制御の
場合、前後左右4輪の各チャンネルごとの車輪速センサ
11から車輪速Vw検出値を得、一方また、車体速を演
算し、これらに基づいて、車輪スリップ率が目標の所定
範囲(車輪のスリップ率が最大路面摩擦係数を提供する
理想スリップ率近辺等)のものとなるようにと、各輪ご
とのロック防止制御が可能で、該当車輪のスリップ率が
目標スリップ率を超えると、そのブレーキ液圧Pwを通
常より低下させる。即ち、車輪ロック防止用の減圧を達
成するためのABS制御による目標ブレーキ液圧変化量
を算出し、それに基づきパワーアンプ61bへの出力指
令電圧Ve(CMD)値を決定し、ソレノイド4の電流
I(従って、前記(1)式における電磁力Fso)を可
変制御してABS制御時のブレーキ液圧制御を実行す
る。制動時、このようにして該当車輪がロックしそうな
ら減圧し、そして車輪速度が回復すれば増圧するよう、
スキッドサイクルによるブレーキ液圧制御を行うこと
で、前後左右の車輪個々のブレーキ液圧Pwの調整制御
をすることができ、これにより各輪につき最大制動効率
が達成されるようになされる。
【0026】コントローラ61は、この場合、ABS制
御について、これを比例(P)制御に少なくとも積分
(I)制御を加えた比例・積分制御(PI制御)または
比例・積分・微分制御(PID制御)で行い、ここで
は、目標車輪速と実車輪速との偏差を算出し、PID制
御によりABS制御を行うが、ABS制御をかかるPI
D制御則で行う場合において目標ブレーキ液圧変化量の
算出をするにあたり、車輪速度と目標車輪速が等しくな
ったら積分項(I項)を0とするよう、演算処理を行
う。
【0027】これについて、図2以下をも参照して説明
する。図2は、コントローラ61の演算処理部61a
が、ブレーキ液圧制御のための出力指令電圧Ve(CM
D)の算出にあたり、それに必要とされる上記の如くの
ABS制御則による目標ブレーキ液圧変化量の算出など
の諸量の算出、決定のための演算を行う場合の制御ブロ
ック線図の一例であり、それぞれの演算式を示すと、次
の通りである。
【0028】液圧制御弁9に対するソレノイド電流Iは
パワーアンプ61bへの入力電圧により決定されるが、
このパワーアンプ61bに出力される指令電圧Ve(C
MD)は、次式で求める。
【数2】 Ve(CMD)=Veo+ΔVe(abc) ・・・(2) 但し、Veo :通常時の電圧(例えば図7で
の基準電流Ib(a特性)に対応する電圧値) ΔVe(abc):ABS指令電圧
【0029】ここで、上記ABS指令電圧ΔVe(ab
c)は、車輪速Vwと目標車輪速Vwoの偏差εが0と
なるように、次式に示すPID制御則で決定されるもの
とする。
【数3】 ΔPabc=ΔPi+ΔPp+ΔPd ・・・(3)
【数4】 ΔPi=Ki・∫ε ・・・(4)
【数5】 ΔPp=Kp・ε ・・・(5)
【数6】 ΔPd=Kd・(d/dt)ε ・・・(6)
【数7】 ΔVe(abc)=ΔPabc/Kv ・・・(7) 但し、ΔPabc :ABS制御則による目標ブレ
ーキ液圧変化量 ΔPi :積分項(積分成分による減圧量) ΔPp :比例項(比例成分による減圧量) ΔPd :微分項(微分成分による減圧量) Kp,Ki,Kd:PID制御定数(ゲイン) (d/dt)ε :偏差ε(ε=Vw−Vwo)の微分
値 Kv :液圧制御弁(比例制御弁)9の(圧
力/電圧)ゲイン(負の値)
【0030】なお、目標車輪速Vwoは、車体速度Vc
ar(車速)と目標スリップ率λoより次式で決まる。
即ち、車体速度Vcarと例えば、路面μによって決め
た目標スリップ率λoとから目標車輪速を演算する。
【数8】 Vwo=(1−λo)×Vcar ・・・(8) また、非制動時は、常に、ε>0(Vw>Vwoのた
め)となり、増圧方向の指令が出てしまうため、ΔVe
(abc)≧0という条件式が必要である。
【0031】このようにして、ABS制御則で決定され
る指令電圧変化量分に関しては、上記の如くにしてこれ
を求め、パワーアンプ61bに対する指令電圧Ve(C
MD)の決定、従ってソレノイド電流Iの決定について
は、前述の通常のVeo分と、上述のPID制御則で決
定されるΔVe(abc)成分とに基づき、前記(2)
式によるVeo+ΔVe(abc)で行われ、結果、P
ID制御でABS制御が実行される。しかして、このA
BS制御中、車輪速Vwが目標車輪速Vwoに等しくな
った時に、前記(3)式右辺第1項の積分項(I項)の
ΔPiを0とする。これは、前記(4)式の制御定数K
iを選択的に所定値から値0に切り換えることによって
行え、該当するタイミングでは、かかる選択的なKi値
切換えを行うことができる。
【0032】図3は、本例においてコントローラ61が
実行する上記PID制御則に基づくABS制御プログラ
ムを具体的に示したものである。なお、この制御プログ
ラムは、図1に図示のブレーキシステムに係る車輪(自
輪)のみに関するプログラム例として示すが、他の車輪
についてもこれと同様にして指令電圧演算、出力処理が
実行されるものである。また、これは、図示せざるオペ
レーティングシステムで一定時間ごとの定時割り込みで
遂行される。
【0033】同図において、まず、ステップ101で車
輪速センサ11で検出した車輪速Vwを読み込む。次い
でステップ102で、各輪の車輪速を用いて周知の方法
で車体速Vcarの算出を行う。
【0034】そして、ステップ103において、車体速
Vcarを用い前記(8)式から目標車輪速Vwoを得
て、次のステップS104において自輪車輪速Vwと目
標車輪速Vwoとの偏差εをε=Vw−Vwoにより算
出する。次いで、斯く求めた偏差εを用いて、PID制
御でのI項,P項,D項の減圧量を算出する。即ち、前
記(4),(5),(6)式に基づき、偏差εの積分値
に予め設定した定数Kiを乗じて得られる値である積分
項ΔPi成分、同様に偏差εに定数Kpを乗じた比例項
ΔPp成分、偏差εの微分値に定数Kdを乗じた微分項
ΔPd成分のそれぞれを求める。
【0035】しかして、続くステップ106において、
上記ステップ104で算出した偏差ε(今回値)と1ル
ープ前の偏差εo(前回算出値)の積ε×εoを算出し
正負判断を行う。そして、その結果でステップ107側
またはステップ120側の処理を選択し、ε×εo>0
が成立するときはステップ107へ進み、そうでなけれ
ばステップ120を経てステップ107へ進む。
【0036】ここで、上記の積値ε×εoが負というこ
とは、車輪速度が目標車輪速度を交差したことを意味す
ることになる(図4参照)。つまり、前回ループと今回
ループとの間で、車輪速度と目標車輪速度が等しくなっ
た時点があったこととなる。これにより、本プログラム
例では、車輪速Vwが目標車輪速Vwoに等しくなった
ことを知るようにし、この時、ステップ120で前記積
分項のΔPiを値0とし(積分値∫εにかかわらず、そ
の乗算係数である制御定数Ki(積分ゲイン)を0にし
て、前記ステップ105での算出ΔPi値をΔPi=0
と設定し)、ステップ107でABS減圧量の算出をす
る。
【0037】即ち、ABS制御則による目標ブレーキ液
圧変化量ΔPabcを前記(3)式ΔPabc=ΔPi
+ΔPp+ΔPdで求めるとき、このタイミングでは、
ΔPabc=0+ΔPp+ΔPd、従って前記ステップ
105での算出値ΔPp(=Kp・ε),ΔPd(=K
d・(d/dt)ε)を適用して、ΔPabc=ΔPp
+ΔPdで算出することになる。
【0038】一方、前記ステップ106での判断の結
果、上記の積値ε×εoが正のときは、そのままステッ
プ107でABS減圧量算出処理をする。従って、この
時は、前記ステップ105で算出された値ΔPi(=K
i・∫ε),ΔPp(=Kp・ε),ΔPd(=Kd・
(d/dt)ε)のそれぞれをそのまま適用して、PI
D制御のABS制御則による目標ブレーキ液圧変化量Δ
PabcをΔPabc=ΔPi+ΔPp+ΔPdで算出
することになる。
【0039】かくてステップ107の算出処理後は、ス
テップ108〜ステップ110の処理を実行するもので
あり、ステップ108ではABS指令電圧ΔVe(ab
s)を算出し((3)式)、ステップ109で前記式
(2)に従い最終的な指令電圧Ve(CMD)を算出
し、ステップ110においてその指令電圧Ve(CM
D)をパワーアンプ61bに出力する。対応輪の液圧制
御弁9のソレノイド4にはかかる指令電圧Ve(CM
D)に応じたソレノイド電流Iが出力され、これにより
ABS領域ではABS制御を上記PID制御で実行する
こととなる。
【0040】そして、次のステップ111においては、
本プログラム実行ごと、今回ループでのステップ104
処理で算出した偏差値εを、次回ループにおけるステッ
プ106の処理での1ループ前偏差値εoとして使用す
るするべく、εo=εでストアし、このようにして次回
ループでの演算処理に適用するものを逐次更新して、本
プログラムを終了する。かくして前回ループでストアさ
れたものが、逐次、次回ループでその都度読み出され、
前述の如くに車輪速度と目標車輪速度が等しくなったか
をチェックするのに用いられることになる。
【0041】以上のような制御によると、制動時の車輪
速Vwを目標車輪速Vwoとなるように、液圧制御弁9
によりブレーキ液圧Pwを制御し、ABS制御をする場
合に、偏差εに基づく比例制御に加え積分動作及び微分
動作の両者を組み合わせ、比例+積分+微分動作で良好
な制御動作が得られるよう、それぞれのその制御ゲイン
を適用しようとする車両のブレーキ液圧制御系によるA
BSシステムに最も適合する適切な値のものに設定し得
て応答性、安定性の向上を図ることが可能であるととも
に、車輪速Vwが目標車輪速Vwoに等しくなったら積
分項を0とすることができ、たとえ急制動時のABS作
動においてでも、車輪速の落込み後の車輪速復帰時に過
減圧現象が発生し制動力が鈍るといった状態になるのを
避けることができる。
【0042】図4(a)〜(c)は本制御による場合の
ABS制御状態を、また図5はこれと対比して示すため
前記図3のステップ106,120,111の処理を有
しない比較例でのABS制御状態を、それぞれ示すもの
である。ここでは、急制動時における車輪速、目標車輪
速等、及びブレーキ液圧、指令電圧の推移を表し、主に
ブレーキぺダルの踏み込みに伴うABS制御開始初期に
おける車輪速の一発目の落込み及びその車輪速復帰時の
様子が示される。
【0043】図5の例では、ブレーキぺダルの踏み込み
によるABS制御開始に伴い、急制動時の車輪速の落込
みが、PID制御によるABS制御則の中で減圧方向の
偏差としてたまる(積分項の位相が遅れて発生するた
め、偏差が零となっても、その後影響が発生してしま
う)。このため同図(a)〜(c)にみられるように、
車輪速の一発目の落込みに続く回復の際(同図
(a))、ブレーキ液圧の過減圧現象(同図(b))の
発生する制御となっている。かかる過減圧現象で、次に
スキッドサイクルでの増圧に転じるのがそれだけ遅れ、
車輪速がしばらくは目標車輪速へ向け低下してこない状
態(張付き状態)をもたらす(同図(a))。
【0044】これに対し、図3のステップ106,12
0,111の処理を組み込んだ図4の制御による場合、
急制動によるABS作動時でも、そのような状況は適切
に解消されている。図4では、車輪速度の一発目の落込
み後の回復時の図5(b)でみた比較例のものにおける
ような過減圧現象(図5(b))がなくなっているのが
分かる。図5(a)のような車輪速の張付き現象も、生
じてはいない。このように、本制御においては、車輪速
度と目標車輪速度が等しくなったら積分項を0としたた
め、過減圧現象をなくすことが可能となり、制動力も鈍
らずに制動減速度を出せ、ABS制御精度のより一層の
向上も図れる。
【0045】なお、本発明は、上述の例に限定されるも
のではない。例えば、PID制御で説明したが、これに
限らないのであり、PI制御でもよく、従って、目標車
輪速と実車輪速との偏差を算出し、PIまたはPID制
御によりABS制御を行うブレーキ液圧制御に適用でき
る。
【0046】また、ABSシステムのハード構成も実施
例のものに限られない。従って、アクチュエータとして
例示した液圧制御弁によるもの以外の他のアクチュエー
タを用いるABSシステムでも、PIまたはPID制御
を行うものなら同じように適用でき、同様の効果を得ら
れるものである。また、4チャンネル4センサ式のもの
に限らず、3チャンネルABSにも適用できることはい
うまでもない。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、アンチスキッド制御を
車輪速度と目標車輪速度の偏差を用いるPIまたはPI
D制御により効果的に行えることができるとともに、か
かるPIまたはPID制御によるアンチスキッド制御で
も、その車輪速度と目標車輪速度が等しくなったら積分
項を0とすることができ、たとえ急制動時のアンチスキ
ッド作動のときも過減圧現象をなくすことが可能で、制
動力も鈍らずに制動減速度を出せ、制動時の減速度の確
保、アンチスキッド制御精度の向上も容易に図れるブレ
ーキ液圧制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ブレーキ液圧制御装置の一実施例を示
す、1輪のみに係わる液圧ブレーキ系のシステム図であ
る。
【図2】制御系における制御ブロック線図の一例であ
る。
【図3】コントローラが実行するABS制御プログラム
の一例を示すフローチャートである。
【図4】実施例装置によるアンチスキッド制御作動時の
制御状態の一例を示す動作タイムチャートである。
【図5】図4と対比して示すための比較例制御での動作
タイムチャートである。
【図6】従来例の説明に供するもので、電子油圧制御弁
を用いる液圧ブレーキ系のシステム図である。
【図7】そのブレーキ液圧制御特性を示す線図である。
【図8】同じく、液圧制御特性を別様式で表現した特性
線図である。
【符号の説明】 1 ブレーキペダル 2 マスターシリンダ 3 ばね 4 ソレノイド 5 ばね 6 ポンプ 7 車輪 8 ホイールシリンダ 9 液圧制御弁 11 車輪速センサ 61 コントローラ 61a 演算処理部 61b パワーアンプ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪速度と目標車輪速度との偏差を算出
    し、PI制御またはPID制御によりアンチスキッド制
    御を行うよう、アクチュエータにより制動時のブレーキ
    液圧を制御する制御装置であって、 前記算出偏差の積分値に応じた積分成分を前記PI制御
    またはPID制御における積分項としてブレーキ液圧の
    制御量を算出するとともに、車輪速度と目標車輪速度が
    等しくなったら該積分項を0として制御量の算出を行う
    制御量算出手段を有することを特徴とするブレーキ液圧
    制御装置。
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