Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JPH069374A - リポソ−ム製剤およびその製造法 - Google Patents

リポソ−ム製剤およびその製造法

Info

Publication number
JPH069374A
JPH069374A JP9719693A JP9719693A JPH069374A JP H069374 A JPH069374 A JP H069374A JP 9719693 A JP9719693 A JP 9719693A JP 9719693 A JP9719693 A JP 9719693A JP H069374 A JPH069374 A JP H069374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liposome
drug
solution
osmotic pressure
liposome preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9719693A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Sawahara
英幸 澤原
Masahiko Shibata
雅彦 柴田
Shinobu Tsunemi
忍 恒見
Satoshi Funada
諭 船田
Kimio Inoue
公雄 井上
Sueaki Ishimaru
末明 石丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
Priority to JP9719693A priority Critical patent/JPH069374A/ja
Publication of JPH069374A publication Critical patent/JPH069374A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 膜の相転移温度が40〜45℃のスモ−ル・
ユニラメラ・ベシクルであるリポソ−ム(平均粒子径
0.1μm以下)内に、温血動物の生体液浸透圧よりも
2.0〜5.0倍高張の薬物含有液を封入してなるリポ
ソ−ム製剤。 【効果】 本発明のリポソーム製剤は、粒子径が小さい
ため高い血中濃度の維持が可能であり、かつ温度感受性
に優れていることから、癌の温熱療法と抗腫瘍剤との併
用に有利に利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬の分野で有用な薬
物を封入して成るリポソーム製剤、及びその製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術】癌病巣部へのターゲッティング治療を指
向した、様々な特徴を有するリポソーム製剤がドラッグ
デリバリーシステムとして開発されつつある。その一つ
として知られている温度感受性リポソーム製剤は、癌の
温熱療法(適当な装置を用いて病巣部を局所的に加温す
る(43℃前後)ことにより、癌細胞のみに特異的に障
害を与える治療法)との併用により化学療法剤の効果を
増強できる。その報告例として (1)J.N.Wei
nstein, R.L.Magin, M.B.Ya
tvin and D.S.Zaharko, Sci
ence, 204,188(1979), (2)
J.N.Weinstein, R.L.Magin,
R.L.Cysyk and D.S.Zahark
o, Cancer Res., 40,1388(1
980), (3)M.B.Yatvin, T.C.
Cree, I.M.Tegmo−Larsson a
ndJ.J.Gipp, Strahlenthera
pie 160,732(1984)などが挙げられ
る。
【0003】リポソーム製剤は静脈内に投与された後、
血流に乗って癌病巣部に到達する。癌病巣部が加温され
ている場合その部分に分布する温度感受性リポソームの
みが、正常体温との温度差を感知することにより崩壊し
内包した薬物を局所的に放出する。このリポソームは加
温されていない正常組織中では安定であり薬物を放出し
ないので、副作用の軽減が期待できる。このように温度
感受性リポソーム製剤は、化学療法剤のターゲッティン
グ効果を高め得る製剤である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、温度感
受性リポソーム製剤を癌の温熱療法に適用することは有
用と考えられる。従来のリポソーム製剤はラージ・ユニ
ラメラ・ベシクル(LUV;一般に直径0.1〜2.0
μm)が利用されているが、二つの欠点が考えられる。
その一つは、静脈内に投与されたLUVは肝臓や脾臓な
どの細網内皮系組織に取り込まれ易い性質をもつため、
LUVに封入された化学療法剤(一般に副作用を有する
とされている)が正常な組織に悪影響を及ぼす可能性が
懸念されることである。今一つは、LUVは細網内皮系
組織に取り込まれ易いため血中濃度を維持することが難
しく、癌病巣部へのタ−ゲッティング効率が低くなるこ
とである。温度感受性リポソームの作用原理に基づく
と、できる限り高く血中濃度を保つことが重要であり、
さらにA.Gabizonらが指摘するように(Pro
c.Natl.Acad.Sci., 85,6949
(1988))循環血液中に長く留まるリポソーム製剤
は、受動的に癌病巣部に集積し易い性質をもつことも知
られており、より高いターゲッティングの相乗効果が期
待される。
【0005】これらの問題を解決する手がかりとして、
リポソームの粒子径を小さくすれば細網内皮系組織に取
り込まれ難くなり、血中濃度を高く保てることが知られ
ている。この報告例としては、(1)R.L.Juli
ano and D.Stamp, Biochem.
Biophys.Res.Commun., 63,6
51(1975), (2)T.M.Allen an
d J.M.Everest, J.Pharmaco
l.Exp.Ther., 226,539(198
3), (3)Y.Sato, H.Kiwada a
nd Y.Kato, Chem.Pharm.Bul
l., 34,4244(1986),(4)R.M.
Abra and C.A.Hunt, Biochi
m.Biophys.Acta, 666,493(1
981), (5)H.Kiwada,S.Obar
a,H.Nishiwaki and Y.Kato,
Chem.Pharm.Bull., 32,124
9(1986), (6)C.A.Hunt, Y.
M.Rustum, E.Mayhew and D.
Papahadjopoulos, Drug.Met
ab.Dispos.,,124(1979),
(7)Y.E.Rahman, E.A.Cerny,
K.R.Patel, E.H.Lau and
B.J.Wright, Life Sci.,
,2061(1982)などが挙げられる。しかし、
リポソームの粒子径を小さくすると温度感受性が極端に
低下するとされている。この報告例としては、(1)I
nt.J.Pharmaceut.,57,241(1
989), (2)Cancer Drug. Del
ivery, ,223(1986),(3)小川泰
亮、戸口始、癌と化学療法,17,1127(199
0)などが挙げられる。従って現在リポソームの粒子径
が小さく、血中濃度が維持できるような、しかも優れた
温度感受性を有するリポソーム製剤の開発が望まれてい
る。
【0006】本発明は、細網内皮系組織への取り込みが
少なく、血中濃度が維持できるような粒子径の小さいス
モール・ユニラメラ・ベシクル(SUV;直径0.1μ
m以下)から成り、しかも温度感受性に優れたリポソー
ム製剤の調製を狙ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の状況に鑑み、発明
者らは粒子径が小さくても温度感受性に優れたリポソー
ムを製造するために、リポソーム膜組成の選択及びリポ
ソーム内に封入される薬液の浸透圧調整の面から種々の
検討を行い、本発明を完成したものである。すなわち本
発明は、リポソーム膜の相転移温度が40〜45℃であ
り、しかも37℃では安定であるSUV内に、温血動物
の生体液浸透圧よりも2.0〜5.0倍高張の薬物含有
液を封入して成るリポソーム製剤とその製造法に関す
る。
【0008】はじめに、本発明のリポソーム製剤を構成
する膜の組成について説明する。本発明においては、リ
ポソーム膜の構成材料及びその構成比は温熱療法の温度
で相転移を引き起こすように、すなわち膜の相転移温度
が40〜45℃、好ましくは40〜43℃となるように
選択される。この膜の材料としてはアシル基が飽和アシ
ル基である各種のリン脂質を、単独あるいは組み合せて
用いるのが有利である。グリセロリン脂質の2つの飽和
アシル基は高級飽和脂肪酸由来のアシル基であり、通常
炭素数12〜20の飽和アシル基、好ましくは炭素数1
4〜18の飽和アシル基を有するものが利用できる。こ
のようなリン脂質としては例えば卵黄レシチンや大豆レ
シチンを水素添加して得られる水素添加レシチンや、ラ
ウリル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイルな
どの組み合せから成る、全合成または半合成により得ら
れるフォスファチジルコリンなどが利用できる。また封
入する薬物の種類によっては、アシル基が飽和アシル基
であるフォスファチジルグリセロールなどを使用するこ
ともできる。具体的には、全合成または半合成により得
られるフォスファチジルコリンが有利に用いられ、この
うち膜の相転移温度が温熱療法の温度に近いことから、
飽和アシル基の炭素数が16のジパルミトイルフォスフ
ァチジルコリン(DPPC;相転移温度41.4℃)、
または炭素数18のジステアロイルフォスファチジルコ
リン(DSPC;相転移温度54.9℃)が好ましく用
いられる。
【0009】調製したリポソーム膜の相転移温度は、併
用されている飽和リン脂質の重量比例配分より求められ
る相転移温度に近いと報告されているが、本発明で用い
た平均粒子径が小さいリポソームの場合、同重量比例配
分の一般的なリポソームの相転移温度より約1〜4℃低
くなる特徴がある。この様な温度差が認められること
は、本発明のリポソームが従来利用されているものと異
なる証明の一つと考えられる。 本発明に用いた飽和リ
ン脂質の併用例としては、DPPCとDSPCのモル比
(DPPC/DSPC)が90/10〜50/50の範
囲になるように用い、好ましくは85/15〜65/3
5の範囲になるように用いるのが有利である。
【0010】本発明のリポソーム製剤には、温度感受性
を著しく損なうものでなければ膜安定化剤、電荷調整剤
を用いることもできる。また同様に、温度感受性を著し
く損なうものでなければ肝臓、脾臓などの細網内皮系組
織による取り込みをさらに抑制するための工夫(例え
ば、ポリエチレングリコールのような水溶性高分子また
はGM1などのガングリオシドによる被覆)も施すこと
ができる。
【0011】次に、本発明においてリポソーム内に封入
される薬物含有液について説明を加える。リポソーム内
に封入される薬物含有液浸透圧は、温血動物の生体液浸
透圧よりも2.0〜5.0倍高張、好ましくは2.5〜
4.5倍高張になるように調整される。この液は薬物の
溶解度を考慮し、薬物単独で上記浸透圧に達しめること
もできるが、必要であれば適当な浸透圧調整剤を用いる
ことができる。本浸透圧調整剤としては、水可溶性で温
血動物が生理的に許容し得るものであれば特に制限なく
用いることができ、塩類(塩化ナトリウムなど)、糖類
(ショ糖など)、アミノ酸類(グリシンなど)などが好
ましく用いられる。
【0012】本発明において使用される薬物は、温熱療
法と組み合せて相乗効果が期待される薬物であって、リ
ポソーム内に封入してターゲッティング効果を上げるこ
とを目的とするものが選ばれる。このような薬物の具体
例としては、抗腫瘍剤が好ましい対象薬物となる。具体
的な例としては、シスプラチン、カルボプラチン、テト
ラプラチン、イプロプラチンなどの金属錯体、アドリア
マイシン、アンサマイトシンあるいはその誘導体、ブレ
オマイシン、Ara−C、ダウノマイシンなどの制癌抗
生物質、5−FU、メトトレキサートなどの代謝拮抗
剤、BCNU、CCNUなどのアルキル化剤、メルファ
ラン、ミトキサントロンなどのその他の制癌剤等が挙げ
られる。この中でとりわけ高いターゲッティング効果が
期待される薬物として、シスプラチンが有用と考えられ
る。これに関する報告は、(1)阿岸鉄三編集 “標的
治療”第一版、(株)日本メディカルセンター,東京,
P.165(1989)(2)小川泰亮、戸口始、癌と
化学療法,17,1127(1990)、等が挙げられ
る。
【0013】本発明に用いたリポソームはSUVである
ため、薬物の保持容積が小さくなりリン脂質の相対量は
増加するが、一般に原料のリン脂質は毒性が低いことが
知られており、また投与液中のリポソームの密度を調整
することにより必要な投与量を得ることができる。
【0014】本発明のリポソーム製剤の製造法について
以下に説明する。
【0015】リポソームの製造法に関しては、SUVを
製造する方法であれば、公知の技術である超音波法、フ
レンチプレス法、イクストゥルージョン法等を適用し得
る。例えば本発明に用いた超音波法では、先ず前述のよ
うな飽和アシル基を有するリン脂質を単独または複数混
合したものにクロロホルムなどの有機溶媒を加えて充分
撹拌した後、溶媒を留去しリン脂質の薄膜を形成する。
この薄膜を充分乾燥させ、薬物を含有する調製用溶液を
添加して強く撹拌することによりマルチラメラ・ベシク
ルを製造し、更に窒素気流下で超音波処理を行いSUV
を得る。このようにして得られたリポソーム製剤は一般
に、封入されなかった(フリーの)薬物と分離する必要
がある。薬物を除く方法は、一般にゲル濾過法または透
析法が適用されるが、電荷を有する薬物と同種の電荷を
持たないSUVを分離する場合、イオン交換樹脂を用い
る方法が好ましい。
【0016】本発明のリポソームは、温熱療法を適応で
きる癌疾患であれば、特に制限されることなく適用する
ことができ、またヒトに限らず、担癌動物に適用するこ
とも可能である。
【0017】
【実施例】以下に蛍光物質を封入した実施例、比較例及
び試験例を示し本発明を更に詳細に説明するが、本発明
は実施例及び試験例に限定されるものではない。
【0018】実施例1 DPPC 21マイクロモルとDSPC 9マイクロモ
ルのクロロホルム溶液3mlを50mlのナシ型フラス
コに入れ、十分に混合した後、溶媒のクロロホルムを留
去し、上記リン脂質の薄膜を形成する。この薄膜を十分
乾燥させ、0.094Mカルセイン−0.200Mショ
糖(pH7.4)溶液(浸透圧2.0倍)2mlを添加
して、強く撹拌することによりマルチラメラ・ベシクル
を製造する。さらにプル−ブ型超音波発生装置(BRA
NSON SONIFIER 社製Cell Disr
uptor 185)を用いて、窒素気流下、30分間
超音波処理を行いSUVを得る。次にリポソーム内に封
入した液と等しい浸透圧を有する塩化ナトリウム・リン
酸緩衝液(pH7.4)で飽和したジエチルアミノエチ
ル セファデックス A−25カラムを通すことによ
り、リポソーム内に封入されなかったカルセインを吸着
させ除去する。
【0019】製造したSUVの粒子径の測定は光散乱法
(NICOMP model 370)により行い、平
均粒子径0.10μm以下という結果を得た。
【0020】実施例2 リポソーム内に封入する溶液として0.094Mカルセ
イン−0.400Mショ糖溶液(pH7.4)を用い
て、それ以外は実施例1と同じ方法でリポソーム製剤を
製造し、温度感受性試験を行った。なお本液の浸透圧は
3.0倍であり、製造したリポソームの平均粒子径は
0.10μm以下であった。
【0021】実施例3 リポソーム内に封入する溶液として0.094Mカルセ
イン−0.560Mショ糖溶液(pH7.4)を用い
て、それ以外は実施例1と同じ方法でリポソーム製剤を
製造し、温度感受性試験を行った。なお本液の浸透圧は
4.0倍であり、製造したリポソームの平均粒子径は以
上0.10μm以下であった。
【0022】実施例4 リポソーム内に封入する溶液として0.094Mカルセ
イン−0.705Mショ糖溶液(pH7.4)を用い
て、それ以外は実施例1と同じ方法でリポソーム製剤を
製造し、温度感受性試験を行った。なお本液の浸透圧は
5.0倍であり、製造したリポソームの平均粒子径は
0.10μm以下であった。
【0023】実施例5 DPPC 42マイクロモルとDSPC 18マイクロ
モルのクロロホルム溶液3mlを50mlのナシ型フラ
スコに入れ、十分混合した後、溶媒のクロロホルムを留
去し、リン脂質の薄膜を形成する。この薄膜を十分乾燥
させ、0.2%シスプラチン(CDDP)−0.9%塩
化ナトリウム−0.230Mショ糖溶液(pH5.0,
浸透圧2.0倍)4mlを添加して強く撹拌することに
よりマルチラメラ・ベシクルを製造する。さらにプルー
ブ型超音波発生装置(BRANSON SONIFIE
R社製Cell Disruptor 185)を用い
て、窒素気流下、30分間超音波処理を行いSUVを得
る。次にリポソーム内に封入した液と等しい浸透圧を有
する塩化ナトリウム・リン酸緩衝液(pH5.0)で飽
和したスルフォプロピル セファデクス C−25カラ
ムを通すことにより、リポソーム内に封入されなかった
CDDPを除去する。
【0024】製造したSUVの粒子径の測定は光散乱法
(NICOMP model 370)により行ない、
平均粒子径0.10μm以下という結果を得た。
【0025】実施例6 リポソーム内に封入する溶液として、0.2%CDDP
−0.9%塩化ナトリウム−0.439Mショ糖溶液
(pH5.0)を用いて、それ以外は実施例5と同じ方
法でリポソーム製剤を製造し、温度感受性試験を行っ
た。なお本液の浸透圧は3.0倍であり、製造したリポ
ソームの平均粒子径は0.10μm以下であった。
【0026】実施例7 リポソーム内に封入する溶液として、0.2%CDDP
−0.9%塩化ナトリウム−0.620Mショ糖溶液
(pH5.0)を用いて、それ以外は実施例5と同じ方
法でリポソーム製剤を製造し、温度感受性試験を行っ
た。なお本液の浸透圧は4.0倍であり、製造したリポ
ソームの平均粒子径は0.10μm以下であった。
【0027】実施例8 DPPC 48マイクロモルとDSPC 12マイクロ
モルを用いた以外は、実施例5と同様の方法により、平
均粒子径0.10μm以下、浸透圧2.0倍のリポソー
ム製剤を得た。
【0028】実施例9 DPPC 48マイクロモルとDSPC 12マイクロ
モルを用い、リポソーム内に封入する溶液として0.2
%CDDP−0.9%塩化ナトリウム−0.439Mシ
ョ糖溶液(pH5.0)を用いて、それ以外は実施例5
と同じ方法で製造し、平均粒子径0.1μm以下、浸透
圧3.0倍のリポソーム製剤を得た。
【0029】実施例10 DPPC 48マイクロモルとDSPC 12マイクロ
モルを用い、リポソーム内に封入する溶液として0.2
%CDDP−0.9%塩化ナトリウム−0.620Mシ
ョ糖溶液(pH5.0)を用いて、それ以外は実施例5
と同じ方法で製造し、平均粒子径0.1μm以下、浸透
圧4.0倍のリポソーム製剤を得た。
【0030】
【比較例】
比較例1 リポソーム内に封入する溶液として0.094Mカルセ
イン溶液(pH7.4)を用いて、それ以外は実施例1
と同じ方法でリポソーム製剤を製造し、温度感受性試験
を行った。なお本液の浸透圧は1.1倍であり、製造し
たリポソームの平均粒子径は0.10μm以下であっ
た。
【0031】比較例2 リポソーム内に封入する溶液として0.2%CDDP−
0.9%塩化ナトリウム溶液(pH5.0)を用いて、
それ以外は実施例5と同じ方法でリポソーム製剤を製造
し、温度感受性試験を行った。なお本液の浸透圧は1.
0倍であり、製造したリポソームの平均粒子径は0.1
0μm以下であった。
【0032】比較例3 DPPC 48マイクロモルとDSPC 12マイクロ
モルを用い、リポソーム内に封入する溶液として0.2
%CDDP−0.9%塩化ナトリウム溶液(pH5.
0)を用いて、それ以外は実施例5と同じ方法でリポソ
ーム製剤を製造し、温度感受性試験を行った。製造した
リポソームの平均粒子径は0.10μm以下であった。
【0033】
【試験例】
試験例1 実施例1〜4及び比較例により得られたリポソーム製剤
について、カルセインを用いて温度感受性試験を行っ
た。
【0034】製造したリポソーム液は、内包する薬物の
濃度が全液に対し167μMになるように希釈して、イ
ンビトロ(in vitro)の温度感受性試験に供し
た。インビトロの温度感受性試験は以下の要領で行っ
た。すなわちCrj:CD−1の雌マウスから採取した
血液0.5mlを、37℃、41℃、43℃の恒温槽に
入れ5分間プレインキュベーションを行った。50μl
のリポソーム液添加時を0分とし、2、5、10、1
5、20、30分間インキュベーションを行った後に1
0μlのリポソームと血液の混合液を採取し、蛍光測定
用の緩衝液(0.35Mショ糖−0.01M EDTA
−0.04M Tris−HCl;pH8.5)1.2
mlに入れた。その後直ちに1400gで10分間遠心
を行い血球成分を除去した。上清0.9mlの蛍光量を
測定した後(蛍光量A)、10%トライトンX100溶
液を0.1ml添加しリポソームを完全に破壊してカル
セインを放出させ、蛍光量を測定した(蛍光量B)。薬
物の放出率は式1により求めた。
【0035】 放出率={1−(0.9×A/B)/自己消光値}×100 (1) ただし自己消光値は血液を添加する前の緩衝液中での値
を表しており、同様に0.9mlの蛍光量を測定した後
に10%トライトンX100溶液を0.1ml添加して
測定した蛍光量の比から求められる。
【0036】各温度におけるインキュベーション15分
後の放出率をまとめた(表1)。また、実施例3のリポ
ソーム製剤を代表例として放出率の経時的変化を示した
(図1)。図中、−□−は37℃、−●−は41℃、−
○−は43℃における放出率を示す。
【0037】
【表1】 表1より浸透圧が2.0倍より小さいと37℃における
膜の安定性が極端に悪く内部の薬物が放出されてしまう
が、これは封入液の浸透圧を上げることにより改善され
ることがわかる。しかも43℃における薬物の放出率が
変わらずに良好であることからも、本発明のリポソーム
は温熱療法との併用に有用であることが示される。更
に、41℃における薬物放出率も同様に高く、また図1
に示すようにリポソームは添加後速やかに崩壊すること
からも、本発明で開発したリポソーム製剤が温度感受性
に優れていることがわかる。
【0038】試験例2 実施例5〜10及び比較例2,3により得られたリポソ
ーム製剤について、シスプラチンを用いて温度感受性試
験を行った。
【0039】製造したリポソーム液は、内包する薬物の
濃度が全液にたいして400μMになるように希釈し
て、インビトロ(in vitro)の温度感受性試験
に供した。インビトロの温度感受性試験は以下の要領で
行った。すなわち、Crj:CD−1の雌マウスから採
取した血液0.582mlを37℃の恒温槽に入れ、5
分間プレインキュベーションを行った。100μlのリ
ポソーム液を添加した時を0分とし、2、5、10、1
5、20、30分間インキュベーションを行った後、6
0μlのリポソームと血液の混合液を採取し、リポソー
ム内液と等しい浸透圧の塩化ナトリウム・リン酸緩衝液
(pH5.0)0.15mlに入れた。その後直ちに1
400gで10分間遠心を行い血球成分を除去した。上
清50μlを試験管に取り(T試料)、残りの上清をセ
ントリコン100(グレースジャパン(株)アミコン事
業部)に入れ、170gで20分間遠心を行い、リポソ
ームを除去した濾液を得た。濾液の50μlを採取して
試験管に移した(F試料)。F試料とT試料のそれぞれ
に濃硝酸液0.2mlを加え、140℃で2時間加熱し
た。さらに約30%の過酸化水素水0.2mlを加え1
40℃で30分間加熱して灰化を行い、無色透明の試料
液を得た。液量を測定した後、原子吸光分光光度計
((株)日立製作所、Z−9000形)を用いてF試料
とT試料中の白金定量を行った。37℃におけるシスプ
ラチン放出率(R37)は式2より算出した。
【0040】R37=PtF/PtT (2) ただし、PtFはF試料中の白金量を、PtTはT試料
中の白金量を表している。
【0041】41℃と43℃のインキュベーション試験
は、リポソームと血液の混合液の採取時間を1、2、
4、7、10、15分後に変更して行い、それ以外はす
べて上記の方法に従った。41℃と43℃でのシスプラ
チン放出率は式3より算出した。
【0042】 R41(またはR43)=PtF/PtT/0.77 (3) ただし、値0.77は補正値であり、リポソームに封入
していない遊離のシスプラチン液を同条件、同手順のイ
ンキュベーション試験を行うことにより得た数値であ
る。
【0043】各温度におけるインキュベーション15分
後の放出率をまとめた(表2および3)。
【0044】表2および3より浸透圧が1.0倍の薬液
を内包するリポソームは37℃でかなりの薬物が漏れて
いることがわかる。しかも41℃と43℃では薬物をあ
まり放出せず、温度感受性が著しく劣るリポソームと言
える。これに対して、高張液を内包するリポソームは3
7℃での薬物の漏れが浸透圧比に比例して改善され、し
かも41℃と43℃における薬物放出性も良くなること
がわかる。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】 試験例3 S−180細胞を7週令のCrj:CD−1雌マウスの
左足部筋肉内に移植して、9日目に癌の直径(癌が増殖
した左足の直径から正常の右足の直径を差し引いた値)
が0.53cmとなった担癌マウス20匹を5群に分け
て本試験に用いた。なお、癌の直径の変動係数は4.0
%であり、癌の大きさが揃ったマウスを用いた。温熱治
療は以下の方法で行った。すなわち、癌組織の皮膚表面
に被覆熱電対を貼り付けて皮膚の温度信号を温度調節計
に送り、直流定電圧定電流電源の出力を制御することに
よって、癌組織全体に巻き付けたコードヒーターを加熱
した。本法により、42.5±0.1℃の精度で加温す
ることができた。
【0047】CDDP封入SUVは実施例8の方法で作
成したものを、CDDP濃度が400μMになるように
調整して投与液とした。CDDP水溶液は、日本化薬
(株)のランダ注を生理食塩水(大塚生食注)で希釈し
て、CDDP濃度を400μMに合わせて用いた。な
お、CDDPの投与量は1.5mg/kg、尾静脈内投
与直後から加温を始め、癌組織の皮膚表面温度が42.
5℃に到ってから40分間加温を続けた。治療は移植後
9日目、13日目、17日目の計3回行った。
【0048】図2中の−●−はCDDP封入SUVを静
注して温熱治療を併用した群、−□−はCDDP封入S
UVを静注して温熱治療を行わなかった群、−△−はC
DDP水溶液を静注して温熱治療を行った群、−◎−は
温熱治療のみを行った群、−○−は無処置群を示してい
る。図2から明らかなように本発明のCDDP封入SU
Vを投与して温熱治療を行った群(−●−)には抗腫瘍
効果が認められ、その効果はCDDP水溶液を投与して
温熱治療を行った群(−△−)よりも明らかに大きかっ
た。全マウスが生存していた、最終治療日から20日経
過時の平均腫瘍直径は、コントロール群に対して−●−
群が58%、−△−群が91%であった。
【0049】
【発明の効果】本発明のリポソーム製剤は、粒子径が小
さいため高い血中濃度の維持が可能であり、かつ温度感
受性に優れていることから、癌の温熱療法と抗腫瘍剤と
の併用に有利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は、実施例3で作成したリポソーム製剤
に封入したカルセインの、各温度における放出率の経時
的変化を示したものである。
【図2】第2図は、実施例8のCDDPを封入するリポ
ソーム製剤をマウスに投与したときの抗腫瘍効果を対照
群と比較して示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 船田 諭 埼玉県大里郡妻沼町大字西城810番地 萬 有製薬株式会社開発研究所内 (72)発明者 井上 公雄 埼玉県大里郡妻沼町大字西城810番地 萬 有製薬株式会社開発研究所内 (72)発明者 石丸 末明 埼玉県大里郡妻沼町大字西城810番地 萬 有製薬株式会社開発研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜の相転移温度が40〜45℃のスモール
    ・ユニラメラ・ベシクルであるリポソーム(平均粒子径
    0.1μm以下)内に、温血動物の生体液浸透圧よりも
    2.0〜5.0倍高張の薬物含有液を封入して成るリポ
    ソーム製剤。
  2. 【請求項2】アシル基が飽和アシル基であるリン脂質を
    リポソーム膜の主構成成分とする請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】2.5〜4.5倍高張の薬物含有液を封入
    して成ることを特徴とする請求項1または2記載のリポ
    ソーム製剤。
  4. 【請求項4】薬物が抗腫瘍剤である請求項1,2または
    3記載の製剤。
  5. 【請求項5】浸透圧が温血動物の生体液浸透圧よりも
    2.0〜5.0倍高張の薬物含有液を封入し、膜の相転
    移温度が40〜45℃のスモール・ユニラメラ・ベシク
    ルであるリポソーム(平均粒子径0.1μm以下)を形
    成せしめることを特徴とするリポソーム製剤の製造法。
  6. 【請求項6】アシル基が飽和アシル基であるリン脂質を
    主剤としてリポソーム膜を構成させることを特徴とする
    請求項5記載のリポソーム製剤の製造法。
  7. 【請求項7】薬物が抗腫瘍剤であることを特徴とする請
    求項5または6記載のリポソーム製剤の製造法。
JP9719693A 1992-04-07 1993-03-31 リポソ−ム製剤およびその製造法 Pending JPH069374A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9719693A JPH069374A (ja) 1992-04-07 1993-03-31 リポソ−ム製剤およびその製造法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-114086 1992-04-07
JP11408692 1992-04-07
JP9719693A JPH069374A (ja) 1992-04-07 1993-03-31 リポソ−ム製剤およびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH069374A true JPH069374A (ja) 1994-01-18

Family

ID=26438382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9719693A Pending JPH069374A (ja) 1992-04-07 1993-03-31 リポソ−ム製剤およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH069374A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013508315A (ja) * 2009-10-23 2013-03-07 バイオ−ベスト アーペーエス 保存安定性が改善されたspla2加水分解性リポソーム
WO2015166985A1 (ja) * 2014-04-30 2015-11-05 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
WO2015166987A1 (ja) * 2014-04-30 2015-11-05 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
JPWO2015166986A1 (ja) * 2014-04-30 2017-04-20 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013508315A (ja) * 2009-10-23 2013-03-07 バイオ−ベスト アーペーエス 保存安定性が改善されたspla2加水分解性リポソーム
WO2015166985A1 (ja) * 2014-04-30 2015-11-05 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
WO2015166987A1 (ja) * 2014-04-30 2015-11-05 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
JPWO2015166985A1 (ja) * 2014-04-30 2017-04-20 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
JPWO2015166987A1 (ja) * 2014-04-30 2017-04-20 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
JPWO2015166986A1 (ja) * 2014-04-30 2017-04-20 富士フイルム株式会社 リポソーム組成物及びその製造方法
US10646442B2 (en) 2014-04-30 2020-05-12 Fujifilm Corporation Liposome composition and method for producing same
US10772834B2 (en) 2014-04-30 2020-09-15 Fujifilm Corporation Liposome composition and method for producing same
US11684575B2 (en) 2014-04-30 2023-06-27 Fujifilm Corporation Liposome composition and method for producing same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1287581C (en) Liposome composition
CA1339008C (en) Amphotericin b liposome preparation
EP0496835B1 (en) Solid tumor treatment method and composition
US4877619A (en) Liposomal vesicles for intraperitoneal administration of therapeutic agents
EP0662820B1 (en) Compositions for treatmewnt of inflamed tissues
JP2001510451A (ja) 弱塩基性薬物を担持するイオン運搬体―中介リポゾーム
JP2004511426A5 (ja)
PT1443900E (pt) Composições de veículo lipídico com estabilidade melhorada no sangue
EP0358719B1 (en) Liposome compositions of anthracycline derivatives
JP2677576B2 (ja) 非水溶性の有効成分のためのリン脂質輪送ビヒクル
US20030113369A1 (en) Liposomes with enhanced circulation time and method of treatment
AU665992B2 (en) Liposome formulation and process for production thereof
CN108619096A (zh) 声动力敏感脂质体、药物组合物及其用途
CN114652683A (zh) 一种Mdivi-1纳米长循环脂质体及其制备方法和应用
JPH069374A (ja) リポソ−ム製剤およびその製造法
Cevc Drug-carrier and stability properties of the long-lived lipid vesicles. Cryptosomes, in vitro and in vivo
JPH035426A (ja) 安定な電解質含有レシチン分散液
US20010051183A1 (en) Liposomes with enhanced circulation time and method of treatment
JP2931981B2 (ja) リポソーム製剤およびその製造法
JPWO2005021012A1 (ja) ゲムシタビン封入薬剤担体
WO2007133514A2 (en) Photosensitizer formulations for topical applications
JPH0114A (ja) リポソーム製剤およびその製造法
JPH04187634A (ja) リポソーム製剤
WO2003022250A2 (en) Unilamellar vesicles stabilized with short chain hydrophilic polymers
CN118975987A (zh) 一种脂质体及其制备方法和应用