JPH068334Y2

JPH068334Y2 - 締付け部材

Info

Publication number: JPH068334Y2
Application number: JP1988025495U
Authority: JP
Inventors: 正英佐藤; 健慈戸崎; 昭二藤本
Original assignee: Togo Seisakusho Corp
Current assignee: Togo Seisakusho Corp
Priority date: 1988-02-27
Filing date: 1988-02-27
Publication date: 1994-03-02
Anticipated expiration: 2003-02-27
Also published as: JPH01132810U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は締付け部材に関し、さらに詳しくは、自動車等
のボデーパネルから突出したスタッドボルトにねじ込ん
で自動車用部品等を締付け状態でボデーパネルに取付け
るための締付け部材に関する。

（従来の技術）従来のこのような締付け部材として、第５図及び第６図
に示す合成樹脂製の締付け部材１がある。

この締付け部材１は袋状に形成されたナット部２をスタ
ッドボルト３に外挿状態でねじ込んで、ナット部２の開
口部に設けたフランジ４により自動車用部品等を締付け
るようにしたものである。

（考案が解決しようとする課題）しかし、このような締付け部材１が、耐熱性の不十分な
材料からなる自動車用部品等、例えば自動車のロッカー
部への飛び石対策としてボデーパネル５に取付けられる
ポリプロピレン製やポリエチレン製のサイドストーンガ
ード６に対して用いられる場合には、次のような問題が
あった。

即ち、締付け部材１をスタッドボルト３にねじ込んで締
付ける際に、回転するフランジ４とサイドストーンガー
ド６との間で強い摩擦が起り、高い摩擦熱が発生する。
そして、前記の材質からなるサイドストーンガード６は
耐熱性が低いので、その取付孔７まわりの部分が摩擦熱
で軟化し締付け部材１の締付け力により破損したり、さ
らには熱溶解して締付け部材１に溶着してしまう場合が
あった。このようなことが起ると、サイドストーンガー
ド６がガタ付いたり、またその取外しや取換えに支障を
来たすと言う不具合があった。

また、このような不具合に対し、締付け部材１とサイド
ストーンガード６との間にフランジ４の回転運動を伝え
ない他の薄板状部材を介在させることも考えられる。

しかしこの場合には、部品点数の増加による管理の面倒
さと取付け工数の増加を招き、作業性が低下する。

次に、サイドストーンガード６には何個所かに締付け部
が設定されており、かつ組付けライン上においてサイド
ストンガード６を取付けるべき多数のボデーが順次搬送
されて行く。従って、締付け部材のスタッドバルトへの
ねじ込み作業をインパクトレンチ等を用いて効率的かつ
迅速に行ないたいという要求がある。

しかし、上記の締付け部材１では、これを１個ずつ作業
者の手で把持してスタッドボルト３にあてがいつつイン
パクトレンチを操作するという作業を余儀なくされるた
め、インパクトレンチの連続操作による効率的な作業が
困難であり、前記した作業性向上の要求に十分に対応で
きなかった。

そこで本考案は、スタッドボルトにねじ込む方式の締付
け部材を用いて自動車用部品等の取付け部品をボデーパ
ネルに取付けるにあたり、部品点数を増加させることな
く、締付け部材と取付け部品との間の摩擦を有効に防止
すること、及び多数の締付け部材のねじ込み作業を効率
的に行ない得るようにすることを、その解決すべき課題
とする。

また、本考案の他の課題はスタッドボルトに対して仮止
めができ、かつワッシャ部の破損や溶着を防止し得て締
付け固定を良好になし得る締付け部材を提供することに
ある。

（課題を解決するための手段）上記課題を解決するための手段は、自動車等のボデーパ
ネルから突出したスタッドボルトにねじ込んで自動車用
等の取付け部品をボデーパネルに取付けるための合成樹
脂製の締付け部材であって、スタッドボルトにねじ込み
可能な丸孔を備えかつ外周に締付け用のフランジを備え
たナット部と、このナット部に作用するねじ込み方向の
外力によって切断され得るつなぎ部を介して前記ナット
部とほぼ同軸に位置するように連結された環状のワッシ
ャ部とからなり、また、前記フランジの下側には前記ワッシャ部内に嵌入
しかつ前記スタッドボルトを挿通させ得る内径の環状の
嵌入部が設けられ、該嵌入部の内周部にはスタッドボル
トのねじ溝に係止し得る撓み変形可能な仮止め用の係止
爪を突出させたことである。

上記の手段において、ナット部は筒状のものもいわゆる
袋ナット状のものも含み、かつ予め雌ねじを設けたもの
やタッピングねじタイプのスタッドボルト用として内周
部が滑らかに形成されたもの或いは内周部がスプライン
状に形成されたものでも良い。

つなぎ部は、ナット部にねじ込み方向の外力が作用した
際に、その軸方向の締付け力により切断される方式のも
のでも、周方向の回転力により切断される方式のもので
も良い。つなぎ部の個数は問わない。

ワッシャ部は環状の構造を有するものであれば良く、例
えば角形の環状体、平坦なリング状或いは筒状に形成し
得る。

仮止め用の係止爪の形状及び個数は限定しない。

さらに、前記ワッシャ部における自動車用部品等の取付
け部品と対向する部分に、該取付け部品の所定部分に設
けた突起あるいは孔部に係合してワッシャ部の回転に抵
抗するストッパ用の突起を形成することもできる。

（作用）締付け部材のナット部をスタッドボルトにねじ込むと
き、つなぎ部が切断され、ナット部とワッシャ部は別体
になる。ナット部によって取付け部品を締付ける際、別
体となったナット部の嵌入部はワッシャ部の孔部内に嵌
入するため、フランジとワッシャ部との間で滑りが起
り、ワッシャ部はほとんど回転することなく、ナット部
による軸方向の締付け力を取付け部品に及ぼす。なお、
請求項(2)に記載に考案においては、ワッシャ部の回転
が完全に規制され、軸方向の締付け力のみが取付け部品
に作用する。

ナット部とワッシャ部とは取付け部品の取付けに供され
るまでは一体の部品として取扱われる。

又、締付け部材は仮止め用の爪を用いてスタッドボルト
に仮止めし得るため、取付け部品に設定された複数の締
付け部においてそれぞれ締付け部材を仮止めし、インパ
クトレンチの連続操作により効率的かつ迅速にねじ込み
作業を行ない得る。

（実施例）次に本考案の第１実施例を第１図〜第３図に基づいて説
明する。

合成樹脂製の締付け部材８はナット部９とワッシャ部１
０とを備えている。

ナット部９は、第２図に示すように上端が閉じられた筒
形状を備え、内周部は所定の内径に形成されたボルトね
じ込み用の滑らかな丸孔１１とされ、外周部には締付け
用のフランジ１２が突出されると共に、このフランジ１
２より上側の部分は角形の頭部１３、下側の部分は円筒
形の嵌入部１４とされている。嵌入部１４はスタッドボ
ルトを充分に挿通され得る内径の環状形をなす。

嵌入部１４の内周部には、周方向の対向位置から中心方
向へ突出する撓み変形可能な厚さの１対の仮止め用の係
止爪１４ａが設けられている。係止爪１４ａを設けた部
分の周囲には、成形時における型抜き用の孔１４ｂが残
されている。

次にワッシャ部１０は上側の小径リング部１５と下側の
大形リング部１６とが段部１７を介して連続する形状を
備えた環状体である。小径リング部１５は、前記フラン
ジ１２にほぼ一致する外径と、前記嵌入部１４の外径よ
りやや大きい内径とを備えている。又、大形リング部１
６は、後述するサイドストーンガード１８の取付孔１９
よりも所定幅大きい内径を備えている。

そしてナット部９とワッシャ部１０とは、嵌入部１４の
下端部外周と小径リング部１５の上端部内周とを形方向
につなぐ適当数の細いつなぎ部２０によってほぼ同軸上
に位置するように、一体的に連結されている。

本実施例は以上のように構成されたものであり、ナット
部９ワッシャ部１０とを一体品として取扱えるので、輸
送、納品或いは部品管理に際して便宜である。

締付け部材８は次のように使用される。即ち、第２図の
ように、まずサイドストーンガード１８を、その取付孔
１９をボデーパネル２１のタッピングねじタイプのスタ
ッドボルト２２に嵌合した状態で、ボデーパネル２１に
当接させる。次いで締付け部材８のワッシャ部１０側を
スタッドボルト２２の軸心に沿うようにしてサイドスト
ーンガード１８にあてがう。このとき、スタッドボルト
２２の先端がナット部９の丸孔１１の入口部分まで嵌入
し、係止爪１４ａがスタッドボルト２２のねじ溝に係止
されることにより、締付け部材８は第２図に示す状態で
仮止めされる。

次いで角形頭部１３に適当な手段、例えばインパクトレ
ンチでねじ込み方向に外力を加える。すると、ナット部
９がスタッドボルト２２の軸方向沿いにねじ込まれる一
方。サイドストーンガード１８にあてがわれたワッシャ
部１０はその方向に動けないので、このような相対位置
の変化によってつなぎ部２０が切断され、ナット部９と
ワッシャ部１０とは別体になる。

つなぎ部２０が切断されるまでの間に、一時的にワッシ
ャ部１０はナット部９と共に回転し、サイドストーンガ
ード１８との間で摩擦を起すが、極めて短時間の摩擦で
あり、かつ、つなぎ部２０を介してワッシャ部１０に伝
達された小さなトルクに基づく摩擦であるため、問題と
ならない。

そしてそのままナット部９をスタッドボルト２２に対し
てねじ込んで行くと、第３図のように、嵌入部１４がワ
ッシャ部１０の内周部へ嵌入し、フランジ１２が小径リ
ング部１５の上端に当接する。この時点から、大きなト
ルクによるナット部９の締付けが行なわれるが、既に別
体となっているナット部９のフランジ１２とワッシャ部
１０の小径リング部１５との間である程度の滑りが起る
ので、ワッシャ部１０はあまり回転せず、かつワッシャ
部１０に伝達されるトルクも低減する。従ってサイドス
トーンガード１８はワッシャ部１０を介する締付け力に
よってボデーパネル２１に固定される一方で、ワッシャ
部１０との間で強い摩擦を起さず、高い摩擦熱によって
軟化して破損したり、ワッシャ部１０と溶着したりする
という不具合が防止される。

なお、サイドストーンガードの耐熱性が著しく劣る場合
や、ナット部とワッシャ部との間で滑りが起り難い条件
にある場合に対処するための実施例については後述す
る。なお、ワッシャ部１０はナット部９の緩み止めとも
なる。

以上の取付け工程において、ナット部９とワッシャ部１
０とを一体物として取扱うことができるので、別体のワ
ッシャとナットとをそれぞれ取付ける方式のものに比し
作業が簡単で、取付け工数を減少させることができる。
しかもサイドストーンガード１８に設定された複数の締
付け部においてそれぞれ締付け部材８を仮止めしたもと
で、インパクトレンチを連続操作することにより複数の
締付け部材８のねじ込み作業を効率的かつ迅速に行ない
得る。以上の点から作業性が良い。

さらに本考案の第２実施例を第４図(a)〜第４図(c)に基
づいて説明する。

本実施例では、第４図(a)のようにワッシャ部２９にお
ける小径リング部３０と大径リング部３１との間の段部
３２の底面に４個のストッパ用の突起３３を設けると共
に、第４図(b)のようにサイドストーンガード３４の取
付孔３５まわりの部分にも上記突起３３に対応して位置
する４個のストッパ用の突起３６を設けたものである。

これらのストッパ用の突起３３，３６はワッシャ部２９
をサイドストーンガード３４に当接させたときに互いに
頂部が干渉する高さに形成されており、従って両方の突
起３３，３６の噛み合いによりワッシャ部２９のサイド
ストーンガード３４に対する相対的な回転動作が完全に
防止される。なお、両方の突起３３，３６はそれぞれ１
〜３個或いは５個以上設けても良く、かつその個数が互
いに一致する必要はない。また、これらの突起３３，３
６は、ワッシャ部２９の回転方向に対する片側を急角度
（例えばほぼ垂直）に、他の片側を緩傾斜状に隆起さ
せ、ナット部のねじ込み方向へのワッシャ部２９の回転
には抵抗するが、逆方向への回転にはほとんど抵抗しな
いようにしても良い。

さらに、第４図(c)のように、サイドストーンガード３
７の取付孔３８まわりの部分には適当数の孔３９を設け
ると共に、ワッシャ部（図示省略）の段部の底面には上
記孔３９に嵌入し得る高さ、形状及び位置関係に同数の
ストッパ用の突起を設けて、この突起を孔３９に嵌入さ
せることによりワッシャ部の回転止めを図っても良い。

第４図(a)〜第４図(c)に示す上記各実施例は、次のよう
な場合に特に適する。

(A)ナット部を締付ける際に、ナット部とワッシャ部と
の間で滑りが起り難い条件にある場合、例えばナット部
とワッシャ部との間の摩擦抵抗が大きく、ワッシャ部と
サイドストーンガードとの間の摩擦抵抗に比しても差が
なく、あるいはそれ以上である場合。

(B)サイドストーンガードが特に耐熱性の劣る材料から
なるため、僅かな摩擦熱の発生も防ぎたい場合。

なお、上記各実施例は耐熱性の不十分な材料からなる他
種の自動車用部品等の取付け部品の取付けにも用い得る
ことは言うまでもなく、一般的にワッシャ部材を介して
ナット部材を締付けることが適当であるような部品の取
付け全般に適用し得るものである。

（考案の効果）請求項(1)に記載の考案は、スタッドボルトにねじ込む
方式の締付け部材を用いて耐熱性の不十分な自動車用部
品等の取付け部品を自動車等のボデーパネルに取付ける
にあたり、締付け部材と取付け部品との間の摩擦を有効
に防止して摩擦熱の発生を防ぎ、取付け部品の破損やそ
の締付け部材との溶着という不具合を避け得る。又、ナ
ット部とワッシャ部とをつなぎ部を介して仮付けし部品
点数を増やすことなく一体的に取扱い可能としたこと、
及びスタッドボルトに対する仮止め用の係止爪を備える
ことから、取付け部品をスタッドボルトに仮止めした後
に、所定の締付け固定をすることができ、取付け部品の
取付けの作業性も良好である。

請求項(2)に記載の考案は、ナット部を締付ける際の締
付け部材と取付け部品との間の摩擦、およびこれによる
摩擦熱の発生をほぼ完全に防止できる。

とくに本願考案は、ナット部の締付けの際、ワッシャ部
と分離したナット部の嵌入部がワッシャ部の孔部内に嵌
入した状態において、ナット部の締付けが行なわれるた
め、ナット部の締付けにおける摩擦はフランジ部下面と
ワッシャ部の上面とにおいて行なわれることとなり、取
付け部品に摩擦熱を作用させないようにした点に特徴を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１図実施例の斜視図、第２図及び第
３図は第１図のＡ−Ａ断面で示す取付け状態図、第４図
(a)〜第４図(c)は第２実施例を説明する要部の斜視図、
第５図は従来例の斜視図、第６図はその使用状態を示す
断面図である。８……締付け部材９……ナット部１０……ワッシャ部１２……フランジ１４ａ……係止爪１８……サイドストーンガード２０……つなぎ部２１……ボデーパネル２２……スタッドボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者藤本昭二大阪府吹田市江ノ木町25番25号日本スタッドウェルディング株式会社大阪営業部内 (56)参考文献特公昭45−36690（ＪＰ，Ｂ１)

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】自動車等のボデーパネルから突出したスタ
ッドボルトにねじ込んで自動車用等の取付け部品をボデ
ーパネルに取付けるための合成樹脂製の締付け部材であ
って、スタッドボルトにねじ込み可能な丸孔を備えかつ外周に
締付け用のフランジを備えたナット部と、このナット部
に作用するねじ込み方向の外力によって切断され得るつ
なぎ部を介して前記ナット部とほぼ同軸に位置するよう
に連結された環状のワッシャ部とからなり、また、前記フランジの下側には前記ワッシャ部内に嵌入
しかつ前記スタッドボルトを挿通させ得る内径の環状の
嵌入部が設けられ、該嵌入部の内周部にはスタッドボル
トのねじ溝に係止し得る撓み変形可能な仮止め用の係止
爪を突出させたことを特徴とする締付け部材。
【請求項２】前記ワッシャ部における自動車用等の取付
け部品と対向する部分に、該取付け部品の所定部分に設
けた突起あるいは孔部に係合してワッシャ部の回転に抵
抗するストッパ用の突起を形成したことを特徴とする請
求項(1)に記載の締付け部材。